JP3964829B2 - 樹脂組成物の製造方法及びこれによって得られる樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、脂肪族系ポリエステル系生分解性樹脂の弾性率を改善することのできる樹脂組成物の製造方法及びそれによって得られる樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自然環境保護の見地から、自然環境中で分解する生分解性ポリマー及びその成形品が求められ、脂肪族ポリエステルなどの自然分解性樹脂の研究が活発に行われている。特にポリ乳酸は融点が高く、透明性に優れているなどの点を有しているため、成形品として大いに注目を浴びている。
【0003】
このような環境に配慮した樹脂材料として、これまでにポリ乳酸を原料とするプラスチックの工業製品への応用が、次々と発表されている。これらの樹脂材料は、例えば、ノート型パソコンの筐体の一部に、また携帯型ヘッドホンカセットの筐体などへの使用が検討されている。このプラスチックは通常の使用環境では分解しないが、高温多湿のコンポスト環境では、微生物により水と二酸化炭素に分解するため、廃棄物の環境負荷が低く、今後環境問題を解決する有望な材料として期待されている。
【0004】
しかしながら、電子機器分野において用いられる生分解性素材はどのような種類でもよいというわけでなく、電子機器の筺体、構造材として用いるには、実用上遭遇する機械的力印加に対する靱性、耐衝撃性、引き裂き強度など優れた機械的特性を有することが要求されている。
特に、電子機器の筐体もしくは構造材料として用いる場合、電子機器自体が発熱するため、室温よりも高温の温度60℃湿度80%雰囲気中で100時間保持しても変形しないことが必要とされている。
【0005】
ところで、現在、生分解性を有するプラスチックは、その分子骨格に、脂肪族系ポリエステル樹脂を有するもの、ポリビニルアルコールを有するもの、及び多糖類を有するものの3種に大別することができるが、前記のような生分解性樹脂は、一般に融点が低く、実用的な成形品に適した物性(特に耐熱性)が得られていないため、電子機器等の筺体へ利用されていなかった。例えば、最も耐熱性の高いポリ乳酸においても、その成形物に60℃、湿度80%のエージングテスト(100時間)を行うと変形がおこり、家電製品の筺体材料などへの適用は困難な状況である。なお、耐熱性(弾性率)を高めることを目的として、無機フィラーの添加、結晶核剤の添加による結晶化速度の向上がすでに知られているが、無機フィラーの添加によって電子機器の耐熱性を満足させるためには、樹脂材料中に数十%の無機フィラーの添加が必要であり、流動性、耐衝撃性の低下を招いてしまう。また、結晶核剤としては、リン酸系、ソルビトール系が知られているが、これらはポリプロピレンに対しては充分な効果があるが、生分解性脂肪族系ポリエステル樹脂に対してはその効果が不十分である。また、結晶核剤を用いた場合、その廃棄物の生態系への影響も懸念される。このようなことから現時点において生分解性樹脂は、農林水産用資材(フィルム、植栽ポット、釣糸、魚網等)、土木工事資材(保水シート、植物ネット、土嚢等)、包装・容器分野(土、食品等が付着してリサイクルが難しいもの)等に利用されているに過ぎない。
【0006】
このように、このポリ乳酸はこれまで衝撃に対する強度が弱く、加えて耐熱性も十分であるとはいえなかった。そこで、ポリ乳酸のこの欠点を解決するために、樹脂組成物を特定の温度、加湿雰囲気下で一定時間おくことにより耐熱性(弾性率)を上昇させることが検討されている(特許文献1参照)。この方法によれば、樹脂材料に特別コストアップにつながるような複雑な処理を行うことなく耐熱性を改善することが期待されるが、この方法によれば実用的に十分な機械的強度を有する樹脂材料を得るためには、処理時間が長く、実用的ではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−088161号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の生分解性プラスチック材料の耐熱性改善方法と比較して、簡単で短時間の処理によって耐熱性を顕著に改善することのできる樹脂組成物の製造方法及びそれによって得られる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸のような脂肪族ポリエステル系の生分解性樹脂組成物に対して特定の処理を行うことにより、室温より高い温度領域で弾性率が低下するのを抑制することが出来ることに着目して本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明の樹脂組成物の製造方法は、脂肪族ポリエステル系からなる生分解性樹脂組成物を、アルコール分子と接触させる方法であって、この樹脂組成物とアルコール分子との接触は、樹脂組成物にアルコールの蒸気を噴霧する方法、あるいは、アルコールの沸騰下、アルコール蒸気中に樹脂組成物を一定時間静置することによって行うものである。
これによって、アルコール分子が脂肪族ポリエステル系からなる生分解性樹脂に浸透し、樹脂組成物の弾性率が改善され耐熱性が向上する。
【0011】
またアルコールの蒸気噴霧またはアルコールの沸騰下で一定時間煮沸することにおいて、弾性率の低下が抑制されるまでアルコールの蒸気噴霧、またはアルコールの沸騰下で煮沸することが好ましい。
本発明で用いるアルコールとしては、炭素数が1〜5の直鎖のアルコールであることが好ましい。また、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂は、ポリ乳酸を含有するものであることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を詳細に説明する。
本発明では、脂肪族ポリエステル系からなる生分解性樹脂をアルコール分子と接触することにより得られることを特徴とする。樹脂組成物と、アルコール分子とを接触させるには、生分解性樹脂にアルコールの蒸気を噴霧して接触させるか、あるいは、アルコールの沸騰下で、アルコール蒸気中に樹脂組成物を一定時間静置し、アルコール蒸気と樹脂組成物とを接触させることによって行われる。
このアルコールの蒸気噴霧は、具体的には、アルコールを加熱し、発生したアルコール蒸気を、空気のようなキャリアガスに混合し、送風してアルコール蒸気を含有する基体を樹脂組成物に直接に吹きつけることによって行うことができる。この方法においてキャリアガスとしては、空気や窒素ガスなど不活性なガスであれば使用可能である。次に、アルコールの沸騰蒸気中に樹脂組成物を静置する方法は、液体状のアルコールを沸点以上に加熱し沸騰させてアルコールの沸騰蒸気中に樹脂組成物を静置することによって行われる。
【0013】
樹脂組成物にこのような処理を施すことにより、アルコール分子が、脂肪族ポリエステル樹脂のなかに結晶核剤として入り込み、結晶化を高める働きをし、それによって耐熱性が向上するものと考えられる。
【0014】
また、このアルコール分子は、脂肪族ポリエステル樹脂の末端にあるカルボン酸を攻撃し、カルボン酸とアルコールによって加熱エステル反応を生起することができる。一般に脂肪族ポリエステル樹脂の加水分解は、樹脂の末端にあるカルボン酸が水と反応し、ジッパー反応として分解が始まると言われているが、このアルコールと末端カルボン酸残基とのエステル化反応によって、この末端にあるカルボン酸を保護することができる。これによってこの脂肪族ポリエステルの分解反応を抑制することもができる。
本発明において使用するのに適したアルコールとしては、炭素数が1〜5のアルコールが挙げられる。
また、このアルコールは直鎖のアルコールであることが望ましい。直鎖でないアルコールは沸点が高くなることにより処理温度が高くなり、取り扱いが困難になるため、直鎖でかつ炭素数が1〜5であるアルコールが望ましい。
特に使用するアルコールの種類としては、再生可能資源である植物資源から得ることができるエタノールを用いることがもっとも望ましい。
【0015】
本発明の樹脂組成物とアルコールとを接触させておく処理時間については、温度や、雰囲気中のアルコール濃度によって異なるが、処理時間が5分以上であれば十分であり、上限については、特に、制限されないが60分以上処理を行っても耐熱性の改善効果が期待できず、実用的ではない。特に、10〜40分の処理時間が好ましい。
【0016】
本発明のアルコールとの接触処理は、前記したように気体状のアルコールと樹脂組成物とが接触することによって行われるものであり、樹脂組成物表面にアルコールの液膜を形成すると、樹脂組成物とアルコールとの反応が活発化し、樹脂材料が変性してしまうため好ましくない。アルコール成分の組成が前記範囲を下回ると、耐熱性改善効果を発揮させるのに要する時間が長くなり、実用的ではない。また、アルコール成分の組成が前記範囲を上回った場合、アルコール蒸気が液化して樹脂組成物表面に凝縮し、樹脂との反応が活発化するために好ましくない。
【0017】
また、樹脂組成物とアルコールとの接触温度は、40℃〜沸点の範囲が好ましい。接触温度がこの範囲を下回った場合、耐熱性改善の効果を発揮するのに要する時間が長くなり、実用的ではない。一方。接触温度が前記範囲を上回った場合、樹脂組成物とアルコールとの反応が活性化して好ましくない。
【0018】
前記脂肪族系ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂、具体的には、乳酸、りんご酸、グルコース酸等のオキシ酸の重合体またはこれらの共重合体、特にポリ乳酸に代表されるヒドロキシカルボン酸系脂肪族系ポリエステル樹脂を挙げることができる。
【0019】
前記ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステル樹脂は通常、環状ジエステルであるラクチド及び対応するラクトン類の開環重合による方法、いわゆるラクチド法により、またラクチド法以外では、乳酸直接脱水縮合法により、それぞれ得ることができる。
【0020】
また、前記ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂を製造するための触媒としては、錫、アンチモン、亜鉛、チタン、鉄、アルミニウム化合物を例示することができ、中でも錫系触媒、アルミニウム系触媒が好ましく、オクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセテートが特に好適である。
【0021】
前記ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂の中でも、ラクチド開環重合により得られるポリ乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂は、微生物によってポリL体−乳酸に加水分解されてL体−乳酸になる。また、このL体−乳酸は人体等に対して安全なものであることが確認されているため好ましい。しかし、本発明に係るポリ乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂はこれに限定されることはなく、したがって、その製造に使用するラクチドについても、L体に限定されない。
【0022】
また本発明では、例えば生分解性ポリエステル樹脂の加水分解性を調整するために、ポリエステル樹脂の末端官能基であるカルボン酸および水酸基と反応性を有する化合物、例えばカルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン系化合物などの添加剤を用いることができる。特にカルボジイミド化合物は、ポリエステル樹脂と溶融混練でき、少量添加で加水分解性を調整できるため好適である。ここで、カルボジイミド化合物は分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)であり、例えば、触媒として有機リン系化合物または有機金属化合物を用い、各種ポリイソシアネートを約70℃以上の温度で、無溶媒または不活性溶媒中で、脱炭酸縮合反応に付することにより合成することができる。前記カルボジイミド化合物に含まれるモノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−ナフチルカルボジイミド等を例示することができ、これらの中では、特に工業的に入手が容易であるという面から、ジシクロヘキシルカルボジイミドあるいはジイソプロピルカルボジイミドが好適である。本発明において、前記カルボジイミド化合物の生分解性樹脂への混合は、押出機による溶融混練による方法を使用することができる。なお、生分解性樹脂の生分解速度は、配合するカルボジイミド化合物の種類および添加量により調節することができるので、目的とする製品に応じ、配合するカルボジイミド化合物の種類および添加量を決定すればよい。例えばカルボジイミド化合物の添加量は、ポリ乳酸に対して0.1〜2重量%である。
【0023】
本発明に使用される生分解性樹脂組成物には、必要に応じて、補強材、無機並びに有機フィラー、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等の他、滑剤、ワックス類、着色剤、結晶化促進剤、デンプンのような分解性を有する有機物等を併用することができる。
無機フィラーとしては、タルク、マイカ、モンモリロナイト、カオリナイト、ベントナイト、炭酸カルシウムなどの粘土鉱物があげられる。
【0024】
前記本発明のアルコール処理は、樹脂材料粉末の状態で行ってもよいし、樹脂材料に各種添加剤を添加した成形前の樹脂組成物の段階で行ってもよい、また、この樹脂組成物を所要の形状に成形した成形体の状態で処理を行ってもよい。しかしながら、処理の効率を向上させるためには、材料の比表面積が大きい粉末状の状態で行うことが望ましい。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例により説明を行う。
以下に弾性率の測定方法を示す。まず、サンプル片として、長さ約20mm×幅約5mm×厚さ約0.5mmの試料を樹脂組成物成形体から切り出した。このサンプルを次の条件で、粘弾性を測定した。
測定装置;粘弾性測定装置DMA210(セイコーインスツルメンツ社製)
周波数;1Hz
測定開始温度;30℃
測定終了温度;140℃
昇温速度;2℃/min.
制御モード;引っ張り
歪振幅;10μm
最小張力/圧縮力;5gf
張力/圧縮力ゲイン;1.2
【0026】
(実施例1)
島津製作所製のラクティ9000(重量平均分子量:140000)を押出し機を用いて数センチ角の平板に成形した(以下試験片という)。これにエタノールを78℃で沸騰させこの蒸気を30分間この試験片に噴霧した。その後弾性率測定のための形状に切削加工し、弾性率の測定を行った。その結果を図1に示す。
図1より明らかなように、室温ではこの試験片の、貯蔵弾性率は10MPaを示していた。また、80℃においても10MPaを保っていることが判明した。
【0027】
(比較例1)
島津製作所製のラクティ9000(重量平均分子量:140000)を押出し機を用いて数センチ角の平板に成形した(以下試験片という)。この試験片を、アルコール処理を行うことなく、弾性率測定のための形状に切削加工し、弾性率の測定を行った。その結果を、図2に示す。
図2より明らかなように、この試験片の弾性率は、80℃付近で大きく減少し、最低値の10MPaまで低下していた。また、80℃においては10MPaであることが判明した。
【0028】
(実施例2)
島津製作所製のラクティ9000(重量平均分子量:140000)を押出し機を用いて数センチ角の平板に成形した(以下試験片という)。これにメタノールを68℃で沸騰させ蒸気を30分間この試験片に噴霧した。その後弾性率測定のための形状に切削加工し、弾性率の測定を行った。その結果を図3に示す。
図3から明らかなように、室温では貯蔵弾性率は10MPaを示し、80℃でも10MPaを保っていることが明かとなった。
【0029】
(実施例3)
島津製作所製のラクティ9000(重量平均分子量:140000)を押出し機を用いて数センチ角の平板に成形した(以下試験片という)。これにエタノールを78℃で沸騰させ蒸気を30分間この試験片に噴霧した。その後弾性率測定のための形状に切削加工し、弾性率の測定を行った。その結果を図4に示す。
図4から明らかなように、室温では貯蔵弾性率は10MPaを示し、80℃でも10MPaを保っていた。
【0030】
(実施例4)
島津製作所製のラクティ9000(重量平均分子量:140000)を押出し機を用いて数センチ角の平板に成形した(以下試験片という)。これにエタノールを60℃で沸騰させ蒸気を30分間この試験片に噴霧した。その後弾性率測定のための形状に切削加工し、弾性率の測定を行った。その結果を図5に示す。
図5から明らかなように、室温では貯蔵弾性率は10MPaを示し、80℃でも10MPaを保っていた。
【0031】
(実施例5)
島津製作所製のラクティ9000(重量平均分子量:140000)にマイカを10%添加して押出し機を用いて数センチ角の平板に成形した(以下試験片という)。これにエタノールを78℃で沸騰させ蒸気を30分間この試験片に噴霧した。その後弾性率測定のための形状に切削加工し、弾性率の測定を行った。その結果を図6に示す。
図6から明らかなように、室温では貯蔵弾性率は10MPaを示し、80℃でも10MPaを保っていた。
【0032】
(比較例2)
島津製作所製のラクティ9000(重量平均分子量:140000)にマイカを10%添加して押出し機を用いて数センチ角の平板に成形した(以下試験片という)。この試験片にアルコール処理を施こすことなく、その後弾性率測定のための形状に切削加工し、弾性率の測定を行った。その結果を図7に示す。
図7から明らかなように、室温では貯蔵弾性率は10MPaを示し、80℃では10MPaまで弾性率が低下していた。
【0033】
(実施例7)
島津製作所製のラクティ9000(重量平均分子量:140000)にモンモリロナイトを10%添加して押出し機を用いて数センチ角の平板に成形した(以下試験片という)。これにエタノールを78℃で沸騰させ蒸気を30分間この試験片に噴霧した。その後弾性率測定のための形状に切削加工し、弾性率の測定を行ったところ、室温では貯蔵弾性率は10MPaを示し、80℃でも10MPaを保っている(図8)。
【0034】
(比較例3)
島津製作所製のラクティ9000(重量平均分子量:140000)にモンモリロナイトを10%添加して押出し機を用いて数センチ角の平板に成形した(以下試験片という)。その後弾性率測定のための形状に切削加工し、弾性率の測定を行った。その結果を図9に示す。
図9から明らかなように、室温では貯蔵弾性率は10MPaを示し、80℃では10MPaまで弾性率が低下していた。
【0035】
(実施例8)
ヒドロキシブチレートを押出し機を用いて数センチ角の平板に成形した(以下試験片という)。これにエタノールを78℃で沸騰させ蒸気を30分間この試験片に噴霧した。その後弾性率測定のための形状に切削加工し、弾性率の測定を行ったところ、室温では貯蔵弾性率は10MPaを示し、80℃でも10MPaを保っている。
【0036】
(比較例4)
実施例1で用いた試験片を、80℃で、80%の相対湿度の雰囲気中で試験片を15分間静置した。これを、実施例1と同等の方法で弾性率を測定した。その結果、80℃における弾性率は、103MPaであった。前記実施例1で得られた80℃における弾性率105MPaの試料を得るためには、前記加湿条件下での放置を少なくとも2時間行わなければならなかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明では脂肪族ポリエステルをアルコールの蒸気噴霧またはアルコールの沸騰下で一定時間煮沸することによって、より短い時間で弾性率の低下を抑制し、一定に(80℃において10MPaまで)保つことができる。これにより通常の電子機器の筐体などに使用できる他、他の用途にも活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エタノール78℃30分を噴霧した際の脂肪族ポリエステルの貯蔵弾性率を示すグラフ
【図2】未処理の脂肪族ポリエステルの貯蔵弾性率を示すグラフ
【図3】メタノール68℃30分を噴霧した際の脂肪族ポリエステルの貯蔵弾性率を示すグラフ
【図4】エタノール78℃60分を噴霧した際の脂肪族ポリエステルの貯蔵弾性率を示すグラフ
【図5】エタノール60℃30分を噴霧した際の脂肪族ポリエステルの貯蔵弾性率を示すグラフ
【図6】エタノール78℃30分を噴霧した際のマイカ添加のポリ乳酸弾性率を示すグラフ
【図7】マイカ添加の未処理のポリ乳酸の弾性率を示すグラフ
【図8】エタノール78℃30分を噴霧した際のモンモリロナイト添加のポリ乳酸弾性率を示すグラフ
【図9】モンモリロナイト添加の未処理のポリ乳酸の弾性率を示すグラフ

Claims (3)

  1. 脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂を、アルコールと接触させる樹脂組成物の製造方法であって、
    前記アルコールと前記樹脂組成物の接触が、前記樹脂組成物への前記アルコールの蒸気噴霧、または前記アルコールの沸騰蒸気雰囲気中での前記樹脂組成物の静置によって行うものであることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記アルコールは、炭素数が1〜5の直鎖のアルコールであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂は、ポリ乳酸を含むものであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。
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