JP3964769B2 - 医療用荷電粒子照射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、照射対象に荷電粒子線ビームを照射する医療用荷電粒子線ビーム照射装置に係わり、特に、複数の走査電磁石を用いビームを走査することにより照射範囲を拡大する医療用荷電粒子照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
陽子や炭素イオン等の荷電粒子線ビームを患者の患部に照射してガンや腫瘍等を治療する医療用荷電粒子照射装置は、イオン源で発生し、シンクロトロン等の加速器で加速した荷電粒子を、照射野形成手段で照射範囲を患部形状に合わせて成型した後、患者ベッドに横臥した患者の患部に照射する(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
照射野形成手段は、照射対象(患部)の立体形状に合わせて荷電粒子線ビームの照射野を形成し線量分布を調整するものであり、荷電粒子線ビームの進行方向(照射対象の深さ方向、Z軸)に垂直な平面(X軸とY軸を備えたX−Y平面)内における照射範囲を成形する横方向ビーム形成部と、荷電粒子線ビームの進行方向(Z軸)における照射範囲を形成する飛程調節部とから構成される。
【0004】
飛程調節部は、照射対象の深さに対応して荷電粒子線ビームのエネルギーを調整し、荷電粒子線ビームの進行方向(深さ方向)の照射対象の形状に合わせて荷電粒子線ビームを整形するものである。
【0005】
横方向ビーム形成部は、荷電粒子線ビームの進行方向に垂直な平面(X−Y平面)方向に荷電粒子線ビームを拡大した後、拡大された荷電粒子線ビームをコリメータで切り取ることにより、荷電粒子線ビームの進行方向に垂直な平面上の照射対象の形状に合わせて荷電粒子線ビームを整形するものである。このときのビーム拡大には、ビームを走査する手法やビーム径を拡大させる手法、あるいはそれらを組み合わせる手法等がある。
【0006】
ビームを走査する手法においては、一般に、2つのビーム偏向手段を、それぞれの偏向面が互いに垂直になるように配置することが多く、特に陽子、重粒子といった高エネルギービームの照射においては、そのビーム偏向手段として電磁石(走査電磁石)を用いることが多い。例えばY方向に垂直な磁極面を備えY方向の磁場を発生してビームをX方向に偏向するX方向走査電磁石を上流側に配置し、X方向に垂直な磁極面を備えX方向の磁場を発生してビームをY方向に偏向するY方向走査電磁石を下流側に配置する。この場合、ビームのX方向位置は上流側のX方向走査電磁石内で徐々に偏向され、電磁石通過後直線的に変化するため、X方向走査点は上流側X方向走査電磁石の中心付近となり、同様にしてビームのY方向走査点はほぼ下流側Y方向走査電磁石の中心付近となる。
【0007】
このような構成において、下流側のY方向走査電磁石では、上流側X方向走査電磁石によるビーム走査によって、上流側に比べてX方向におけるビーム通過範囲が大きくなり、結果として磁場発生方向であるX方向における磁極間隔を大きくしなければならない。ここで、走査電磁石においては、通常、磁場発生方向における磁極間隔が大きくなるほどその磁気抵抗が大きくなるため、磁極間隔のべき乗(例えば2乗)に比例して消費電力が大きくなる。このため、上記のようなX方向の磁極間隔の増大によってY方向走査電磁石における消費電力は著しく増大し、運転コスト(ランニングコスト)が増大することとなっていた。また、走査電磁石を励磁するための電源については、通常、その最大電圧と最大電流との積で表される電源容量が磁場発生方向の磁極間隔が大きくなるほど例えばそれにほぼ比例して大きくなるため、上記のような構成では、Y方向走査電磁石の励磁用電源として電源容量の極めて大きいものを用意する必要があり、設備コスト(初期コスト)が増大することとなっていた。
【0008】
そこで、これに対応して、従来、X方向走査電磁石とY方向走査電磁石とを大きく距離を離して配置するとともに、これら2つの走査電磁石の間に設けた偏向電磁石及び四極電磁石のX方向におけるビーム収束機能を利用し、下流側Y方向走査電磁石近傍でのX方向におけるビーム通過範囲を小さくするものが提唱されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
この従来技術では、X方向走査電磁石でX方向にビームを曲げて位置をずらすように偏向させた後、偏向電磁石や四極電磁石のビーム収束機能を利用しそれらを通過する間にX方向にビームの位置のずれを小さくするように徐々に偏向させ、下流側Y方向走査電磁石近傍で一度焦点を結ばせる。これにより、実質的にビーム走査点をその焦点位置(言い換えればY方向走査電磁石付近)に移動させ、下流側Y方向走査電磁石でのX方向におけるビーム通過範囲を縮小している。そして、焦点以降、Y方向走査電磁石を通過し再度X方向にビーム通過範囲が大きくなった粒子線ビームを、コリメータへと導入するようになっている。
【0010】
【非特許文献1】
「Review of Scientific Instruments Vol.64 No.8(1993年8月)」(p.2055〜2122)
【特許文献1】
特開平10-282300号公報(段落番号【0011】、【0012】及び図7)
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、X方向走査電磁石とY方向走査電磁石の間に設けた偏向電磁石及び四極電磁石のX方向ビーム収束機能を利用し、下流側Y方向走査電磁石近傍で一度焦点を結ばせることでY方向走査電磁石におけるビーム通過範囲を縮小している。これにより、Y方向走査電磁石におけるX方向の磁極間隔の増大による消費電力の増大及び励磁用電源容量の増大を防止し、コスト低減を図ることができる。
【0013】
しかしながら、上記偏向電磁石や四極電磁石のビーム収束機能は本来それほど大きくないため、一旦X方向走査電磁石でビームを曲げて位置をずらすように偏向させた荷電粒子線ビームを逆にビームの位置のずれを小さくするように偏向させる間、その輸送距離の大きさとともにX方向におけるビーム通過範囲の最大値が比較的大きくなり、これに伴ってそれら偏向電磁石や四極電磁石でのX方向におけるビーム通過範囲が大きくなる。すなわち、走査電磁石の小型化を図れるものの、それ以外のビーム偏向手段(この例では四極電磁石や大型構造の偏向電磁石)のX方向における大型化を招く。このため、それらの自重の増大によって支持構造物のたわみが増大し(特にこの公知例のような回転ガントリーでその傾向が顕著となる)、この結果、ビーム照***度の向上が困難となる。
【0014】
本発明の目的は、他のビーム偏向手段を大型化することなく、コスト低減を図れる医療用荷電粒子照射装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、荷電粒子を患者の患部に照射する医療用荷電粒子照射装置において、入射した荷電粒子線ビームを、そのビーム進行方向に垂直な平面内における一の方向へビームを曲げて位置をずらすように偏向する第1走査電磁石と、この第1走査電磁石より下流側に設けられ、前記第1走査電磁石で偏向された荷電粒子線ビームを、前記第1走査電磁石による偏向とは逆に前記ビームの位置のずれを小さくし下流側で焦点を結ぶように前記一の方向へ偏向する第2走査電磁石と、この第2走査電磁石より下流側に設けられ、前記第2走査電磁石で前記一の方向へ偏向され前記一の方向における通過範囲が縮小した荷電粒子線ビームを、前記ビーム進行方向に垂直な平面内における前記一の方向と直交する他の方向へ偏向する第3走査電磁石とを有する。
【0016】
本発明においては、第1走査電磁石で例えばX方向にビームを曲げて位置をずらすように偏向させた後に下流側の第2走査電磁石でX方向にビームの位置のずれを小さくするように偏向させることにより、例えばさらに下流側のY方向第3走査電磁石近傍で一度焦点を結ばせることが可能となる。これによって、実質的にビーム走査点をその焦点位置(言い換えれば第3走査電磁石付近)に移動させ、下流側第3走査電磁石におけるX方向におけるビーム通過範囲を縮小し、焦点以降、第3走査電磁石を通過し再度X方向にビーム通過範囲を拡大し所定の大きさとなった粒子線ビームを、コリメータへと導入する。
【0017】
このとき、従来構造のように本来ビーム収束機能のそれほど大きくない偏向電磁石や四極電磁石を用いず、ビーム偏向機能の高い第2走査電磁石を用いることによってX方向にビーム通過範囲を急激に縮小させることができるので、一旦第1走査電磁石でビームを曲げて位置をずらした後にビームの位置のずれを小さくする間におけるその輸送距離を小さくでき、またそのときのビーム通過範囲の最大値を小さくすることができる。したがって、それらの間に通常設けられる偏向電磁石や四極電磁石等の他のビーム偏向手段の小型化を図ることができる。
【0018】
一方このとき、本発明においては、元来の例えばX方向走査電磁石1個とY方向走査電磁石の合計2個から、第1走査電磁石(X方向)、第2走査電磁石(X方向)、第3走査電磁石(Y方向)の合計3個に1個増えるため、その分の消費電力及び電源容量は別途追加となる。
【0019】
しかしながら、例えば消費電力についてみると、X方向走査電磁石1個とY方向走査電磁石1個とを配置する上記の元来構造では、下流側のY方向走査電磁石においてX方向ビーム通過範囲の増大に応じ磁場発生方向であるX方向の磁極間隔が大きくなっている。前述したように消費電力は磁場発生方向における磁極間隔の例えば2乗に比例することから、Y方向走査電磁石の消費電力はX方向走査電磁石の例えば5倍程度にも達する。このため、X方向走査電磁石及びY方向走査電磁石2つを合計した消費電力は著しく増大する。
【0020】
本発明においては、前述したように最下流側の第3走査電磁石におけるX方向ビーム通過範囲の縮小によって磁極間隔を元来構造の例えば1/2程度に低減できることから、上記元来のY方向走査電磁石の約1/3程度にまで第3走査電磁石の消費電力を低減することができる。これに対して、新たな追加分となる第1走査電磁石は偏向量が小さく極めて小型のもので足りることから、第1及び第2走査電磁石の消費電力を合計しても元来のX方向走査電磁石の消費電力の2倍には至らない。この結果、第1〜第3走査電磁石3個の合計消費電力を、元来のX方向及びY方向走査電磁石2個の合計消費電力よりも例えば1/2程度にまで小さくでき、運転コスト(ランニングコスト)を低減することができる。
【0021】
また、電源容量についてみると、X方向走査電磁石1個とY方向走査電磁石1個とを配置する上記の元来構造では、前述したように電源容量は磁場発生方向における磁極間隔に例えば比例することから、Y方向走査電磁石の励磁電源に必要な電源容量は、X方向走査電磁石の励磁電源の例えば数倍(3〜5倍)程度にも達する。このため、Y方向走査電磁石については特に大型の電源が必要で、場合によっては通常の市場では入手できず別途製作する必要が生じ、設備コスト(初期コスト)が増大する。
【0022】
本発明においては、前述したように最下流側の第3走査電磁石におけるX方向ビーム通過範囲の縮小によって磁極間隔が低減されることから、上記元来のY方向走査電磁石の60%程度まで第3走査電磁石用励磁電源の電源容量を低減することができ、コストを著しく低減できる。これに対して、新たな追加分となる第1走査電磁石は偏向量が小さく極めて小型のもので足りることから、第1走査電磁石用に使用される電源容量は元来のX方向走査電磁石の電源容量の1/3程度で足り、また第2走査電磁石用に使用される電源容量も元来のX方向走査電磁石と大差ない程度のもので足りる。この結果、総合的に見て、第1〜第3走査電磁石3個の励磁用電源に必要な設備コスト(初期コスト)を、元来のX方向及びY方向走査電磁石2個の励磁用電源に必要な設備コストに比べて、少なくともほぼ等しいか若しくは小さくすることができる。
【0023】
以上のようにして、本発明においては、他のビーム偏向手段を大型化することなく、コスト低減を図ることができる。
【0024】
(2)上記目的を達成するために、また本発明は、荷電粒子を患者の患部に照射する医療用荷電粒子照射装置において、入射した荷電粒子線ビームを、そのビーム進行方向に垂直な平面内における一の方向へビームを曲げて位置をずらすように偏向する第1走査電磁石と、この第1走査電磁石より下流側に設けられ、前記第1走査電磁石で偏向された荷電粒子線ビームを、前記第1走査電磁石による偏向とは逆に前記ビームの位置のずれを小さくし下流側で焦点を結ぶように前記一の方向へ偏向する第2走査電磁石と、この第2走査電磁石より下流側に設けられ、前記第2走査電磁石で前記一の方向へ偏向され前記一の方向における通過範囲が縮小した荷電粒子線ビームを、前記ビーム進行方向に垂直な平面内における前記一の方向と直交する他の方向へ偏向する第3走査電磁石と、前記第1走査電磁石による偏向量と前記第2走査電磁石による偏向量と比例関係維持するように、それら第1及び第2走査電磁石を制御する第1偏向制御手段とを有する。
【0025】
第1走査電磁石による偏向量と第2走査電磁石による偏向量とが比例関係に維持されることにより、ビーム曲げて位置ずれ増大→位置ずれの低減→第3走査電磁石近傍の焦点という粒子線ビームの挙動を維持しつつ、容易かつ確実に走査を行うことができる。
【0026】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記第3走査電磁石より下流側に、荷電粒子線ビームを散乱させる散乱体を設ける。
【0027】
散乱体を設ける場合、ビーム走査点から散乱体までの距離が大きくなるほど、より多くの方向のより広い範囲から種々のビームが散乱体に入射する可能性が高くなり、散乱体から出射した後におけるビーム外郭が曖昧になる結果、照射ビームの角度分布広がりが大きくなり、コリメータでビームを切り出した後の照射対象内線量分布の切れ(半影)が大きくなって照***度の向上が困難となる。
【0028】
本発明においては、上記(1)で説明したように実質的にビーム走査点を焦点位置である第3走査電磁石付近に移動させるので、第3走査電磁石より下流側に散乱体を設けることで、走査点と散乱体との距離を小さくすることができる。これにより、照射対象内線量分布の半影を小さくし照***度を向上することができる。また、大きな範囲を走査し、広い領域を照射する照射装置を実現することができる。特に、ビーム走査点を散乱体付近に合わせた場合には、照射対象内線量分布の半影をより小さくすることができ、照***度を一層向上させることができる。
【0029】
(4)上記(1)又は(2)において、また好ましくは、前記第2走査電磁石より下流側でかつ前記第3走査電磁石より上流側に、荷電粒子線ビームを散乱させる散乱体を設ける。
【0030】
散乱体をY方向の第3走査電磁石より上流側へ配置したことにより、散乱体と照射面との距離が長くなり、照射面で同じビーム強度分布を形成するために必要な散乱量を小さくすることができる。これにより、散乱体の厚さを薄くすることができ、散乱体におけるビームのエネルギー損失を小さくできる。この結果、照射面に到達するビームのエネルギーが高くなるため、照射対象内でのビームの到達深度が深くなり、より深い標的に対し照射を行うことができる。
【0031】
(5)上記(2)において、また好ましくは、前記第1偏向制御手段は、前記第1走査電磁石及び第2走査電磁石に共通の単一の励磁電源を備え、前記第1走査電磁石及び第2走査電磁石はそれぞれの励磁コイルが前記単一の励磁電源に対し直列に接続されている。
【0032】
これにより、第1走査電磁石及び第2走査電磁石によるビーム偏向量を、特に調節を行わなくても容易に比例関係にすることができる。したがって、運転が簡単になると共に、ずれによる誤照射の可能性を低減することができる。
【0033】
(6)上記(2)において、また好ましくは、前記第1偏向制御手段は、前記第1走査電磁石及び第2走査電磁石に対しそれぞれ電源を供給する第1励磁電源及び第2励磁電源と、これら第1及び第2励磁電源に共通の電源制御手段とを備えている。
【0034】
本発明においては、第1走査電磁石及び第2走査電磁石用の励磁電源がそれぞれ別個に設けられることにより、各励磁電流を、増幅率を変えることで調整し、これによって走査点位置を所望に調整することができる。したがって、第1走査電磁石及び第2走査電磁石の間の機器の条件変更や、磁石の設計誤差があった場合にも、走査点がずれないように調節することができ、ビームの第3走査電磁石磁極への衝突回避や照***度の維持を実現することができる。またこのとき、第1及び第2励磁電源は第2電源制御手段という単一の信号源で制御されることになるので、第1及び第2走査電磁石の位相調節を行う必要がなく、運転が簡単になると共に、位相ずれによる誤照射の可能性を低減することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0038】
本実施形態の医療用荷電粒子照射装置は、この種のものとして公知の放射線治療装置、例えば陽子線治療装置に適用されるものである。詳細な図示は省略するが、この陽子線治療装置においては、例えば特開2001−353228号公報に記載のもののように、入射器にて発生した荷電粒子(例えば陽子)ビームが、低エネルギビーム輸送装置を通過して主加速器であるシンクロトロンに入射され、このシンクロトロンで治療に必要とされるエネルギ(通常100〜200MeV)まで加速される。シンクロトロンから出射した荷電粒子ビームは、本実施形態の荷電粒子照射装置(回転照射装置)に入射される。
【0039】
図2は、本実施形態による荷電粒子照射装置の全体概略構造を表す概念的側面図である。以下、荷電粒子線ビームの進行方向(照射対象の深さ方向)をZ軸方向(Z方向)、これに垂直な平面内における一の方向をX方向(図2の出射ノズル5(後述)の部分においては紙面内左右方向)、その平面内におけるX方向と直交する方向をY方向(図2の出射ノズル5(後述)の部分においては紙面と垂直方向)としている。
【0040】
この図2において、本実施形態の荷電粒子照射装置1は、ビーム輸送用の偏向電磁石2A,2B,2C、ビーム収束用の四極電磁石3A,3B,3C、真空粒子チャンバ4、出射ノズル5、及びX方向走査電磁石(第1走査電磁石)101を取り付けた回転ガントリー6と、この回転ガントリー6を所定の回転軸kまわりに回転駆動するモータ(図示せず)とを備えており、モータを駆動して回転ガントリー6を回転軸kまわりに回転させることにより、照射方向を変えられるようになっている。
【0041】
出射ノズル5は、X方向走査電磁石(第2走査電磁石)102と、その下流側に配設したY方向走査電磁石(第3走査電磁石)103と、さらにその下流側に配設され、ビーム拡大の条件に応じて散乱物の厚さを変更できる散乱体ユニット(散乱体)104とを備えている。
【0042】
X方向走査電磁石102は、出射ノズル5外に設けたX方向走査電磁石101とともに、Y方向に磁場を発生し、上記した偏向電磁石2A,2B,2Cと同じ面内にビームを(その偏向量を可変に)偏向する。このとき、X方向走査電磁石101はビームを曲げて位置をずらすように偏向し、X方向走査電磁石102は、X方向走査電磁石101による上記のビームの位置のずれを小さくするように偏向する。これらX方向走査電磁石10,10の励磁コイル(図示せず)は共通のX方向走査電磁石電源105に電源線106a,106bを介して直列に接続されており、そのX方向走査電磁石電源105からの電力によって励磁される。
【0043】
Y方向走査電磁石103は、X方向に磁場を発生し、Y方向にビームを(その偏向量を可変に)偏向する。このY方向走査電磁石103の励磁コイル(図示せず)はY方向走査電磁石電源107に電源線108を介して接続されており、そのY方向走査電磁石電源107からの電力によって励磁される。
【0044】
次に、上記構成の本実施形態の荷電粒子照射装置1の動作を説明する。
【0045】
荷電粒子照射装置1に入力されたビームは、偏向電磁石2A〜Cにより軌道が曲げられかつ四極電磁石3A〜Cによってベータトロン振動が調節されて下流側に輸送され、X方向走査電磁石102の上流側で真空チャンバー4から真空窓を通して空気中に出て、更に空気中を出射ノズル5内各機器により成型されながら通過した後、照射対象Pに照射される。
【0046】
このようなビーム輸送過程において、ビームは、X方向走査電磁石101,102それぞれの磁極間を通過することによって偏向電磁石2Cと同じ面内においてX方向に偏向され、さらにY方向走査電磁石103の磁極間を通過することによってY方向に偏向される。
【0047】
図3は、上述したX方向走査電磁石電源105及びY方向走査電磁石電源107によりX方向走査電磁石101,102及びY方向走査電磁石103に供給する励磁電流の時間変化の一例を表す図であり、図4はそれら3台の走査電磁石101,102,103によるビーム偏向に起因する、照射面でのビーム中心軸移動量の時間変化の一例を表す図である。
【0048】
図3において、この例では、X方向走査電磁石電源105及びY方向走査電磁石電源107は、その時間変化が正弦波状となるような励磁電流をそれぞれX方向走査電磁石101,102及びY方向走査電磁石103に供給しており、X方向励磁電流とY方向励磁電流とは、位相が互いに90°ずれている。
【0049】
照射面におけるビームの中心軸は、X方向走査電磁石101,102の偏向量に比例した量だけX方向に移動し、Y方向走査電磁石に103よる偏向量に比例した量だけY方向に移動する。これにより、図4に示すように、X方向走査電磁石101によるビーム中心軸移動量とX方向走査電磁石102によるビーム中心軸移動量との和(ビーム中心軸のX方向総移動量)は、Y方向走査電磁石103によるビーム中心軸移動量(ビーム中心軸のY方向移動量)と振幅が略等しく、位相が90°ずれる。この結果、ビーム中心軸が照射対象Pの照射面において円形の軌跡を描くように制御されている。
【0050】
なおこのとき、2つのX方向走査電磁石101,102については、前述のように互いにX方向走査電源105に対し直列に接続されていることにより、下流側のX方向走査電磁石102によるビーム中心軸移動量の振幅がY方向走査電磁石103によるビーム中心軸移動量の振幅よりも若干大きくなる(例えば1.2倍)とともに、上流側のX方向走査電磁石101によるビーム中心軸移動量の振幅が常に上記X方向走査電磁石102のビーム中心軸移動量の振幅と逆方向で比例関係(例えば0.2倍)に維持されるようになっている。このようにして、前述したビーム中心軸のX方向総移動量と、ビーム中心軸移動量のY方向移動量とが略等しい関係が成立されている。
【0051】
図1は、上記のような励磁制御により実現される荷電粒子ビームの通過挙動を表す説明図であり、ビームのX方向走査面内ビーム軸通過範囲及びビーム通過範囲を模式的に示したものである。なお、各走査電磁石101,102,103の磁極の領域のみを併せて示している。X方向走査電磁石101が位置する部分において、紙面上下方向がX方向であり、紙面と垂直方向がY方向である。X方向走査電磁石102及びY方向走査電磁石103が位置する部分において、紙面左右方向がX方向であり、紙面と垂直方向がY方向である。一点鎖線mはビーム通過範囲の中心であって、全ての走査電磁石による偏向量が0の場合ビームの中心軸がこの一点鎖線mに一致するものである。また点線nはビーム中心軸のX方向走査面内通過範囲を示し、実線pはビームの通過範囲であってビーム中心軸の周りビーム径分だけ大きな範囲となっているものである。
【0052】
図1及び前述の図2において、ビームは、まず最上流側のX方向走査電磁石101によって曲げて位置をずらすように比較的小さい振幅で偏向され、この結果走査振幅(言い換えればある程度の時間単位でみたときのビーム軸通過範囲、ビーム径を加味すればビーム通過範囲、以下同様)が下流に行くにしたがって徐々に大きくなる。その後、下流側に配置されたX方向走査電磁石102によってビームは逆に上記ビームの位置のずれを小さくするように(ビーム通過範囲が小さくなる方向に)比較的大きな振幅で偏向される。これにより、X方向走査電磁石102よりも下流では走査振幅が再び小さくなってゆく。
【0053】
このとき、前述したように2つのX方向走査電磁石101,102による偏向量が比例関係に維持されることにより、ビーム中心軸の振幅が0になる焦点ができ、この焦点位置Qが事実上のX方向の走査点となる。走査振幅は焦点位置Qに向かって小さくなっていって焦点位置Qで0になった後、その下流側で再度大きくなる。なお、上記のように比例関係に維持される2つのX方向走査電磁石101,102の偏向量の比を小さくするほど、X方向走査点(焦点位置)Qはより下流側へと移動するが、この例では、例えば電磁石のビーム進行方向磁極長さ及びコイル巻数を適切に選択することによって偏向量の比を調節し、図1に示すように走査点Qが概ねY方向走査電磁石103の水平方向中心部(あるいは少なくともその近傍)に来るように予め設定されている。そして、Y方向走査電磁石103の磁極間隔は、ビーム通過範囲に干渉しない限りにおいてなるべく狭くなるように設定されている。
【0054】
以上のようにして各走査電磁石101,102,103により偏向され、Y方向走査電磁石103内の走査点Qから再び走査振幅が徐々に大きくなったビームは、Y方向走査電磁石103のさらに下流側の散乱体104に入射され、散乱体104に備えられた散乱物により散乱される。これにより、ビームを構成する粒子のXY面内分布がビーム中心軸の周りにガウス分布状に広がり、下流に進むに従ってビーム強度分布が広がる。即ち、ビーム通過範囲がさらに拡大される(図1参照)。このとき、照射面位置でのビーム強度分布はほぼXY方向の2次元ガウス分布であって、その標準偏差はビーム中心軸の描く円の半径の約3分の2に調整され、ガウス分布を円形に走査する結果、照射対象Pの照射面上でのビーム走査1周にわたる平均積算ビーム強度分布が走査中心のまわり走査円の約70%の円形領域内部で一様になるように図られている。
【0055】
散乱体104から出射されたビームは、リッジフィルタ5aを通過することによってそのエネルギを決められた割合で減衰され、ビームのエネルギに患部の厚さに応じた分布が与えられる。その後、線量モニタ5bによりビームの線量が計測され(積算通過量や強度分布を計測してもよい。これら各値を基に照射対象Pに吸収させる線量が制御される)、さらにボーラス5cに入力されて患部の下部形状に応じたエネルギ分布とされる(言い換えれば照射対象P内での深さ方向線量分布が調整され)る。そして、コリメータ5dにより患部の水平方向形状に成形され(言い換えれば照射対象Pにおける横方向線量分布が調整され)た後、照射対象(患者の患部)Pに照射される。
【0056】
なお、以上において、X方向走査電磁石101は、各請求項記載の、入射した荷電粒子線ビームをX方向においてその偏向量を可変に偏向する第1可変偏向手段を構成し、X方向走査電磁石102は、第1可変偏向手段より下流側に設けられ、第1可変偏向手段で偏向された荷電粒子線ビームをX方向においてその偏向量を可変に偏向する第2可変偏向手段を構成し、Y方向走査電磁石103は、第2可変偏向手段より下流側に設けられ、第2可変偏向手段で偏向された荷電粒子線ビームを、Y方向においてその偏向量を可変に偏向する第3可変偏向手段を構成する。
【0057】
また、X方向走査電源10が、第1走査電磁石及び第2走査電磁石に共通の単一の励磁電源を構成すると共に、第1走査電磁石による偏向量と第2走査電磁石による偏向量と比例関係維持するように、それら第1及び第2走査電磁石を制御する第1偏向制御手段をも構成し、さらに、第1可変偏向手段による偏向量と第2可変偏向手段による偏向量と比例関係維持するように、かつ、第2可変偏向手段を通過した後の荷電粒子線ビームの走査点が第3可変偏向手段の中心部か若しくは少なくとも近傍となるように、第1及び第2可変偏向手段を制御する第2偏向制御手段をも構成する。
【0058】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
【0059】
(1)他のビーム偏向手段(偏向電磁石、四極電磁石)の小型化
上述したように、本実施形態の荷電粒子照射装置1においては、最上流側のX方向走査電磁石101でX方向にビームを曲げて位置をずらすように(ビーム通過範囲を大きくするように)偏向させた後に下流側のX方向走査電磁石102でX方向に上記ビームの位置のずれを小さくするように(ビーム通過範囲を縮小させる)偏向することにより、さらに下流側のY方向走査電磁石103内部にビーム走査点Qを位置させる。これにより、Y方向走査電磁石103におけるX方向ビーム通過範囲を縮小し、その走査点Q以降、Y方向走査電磁石103を通過し再度X方向にビーム軸通過範囲が拡大して所定の大きさとなった粒子線ビームを、コリメータ5dへと導入する。
【0060】
このように、本来ビーム収束機能のそれほど大きくない偏向電磁石や四極電磁石を用いる従来構造(特開平10-282300号公報)と異なり、ビーム収束機能の高いX方向走査電磁石102でX方向にビーム通過範囲を急激に縮小させるので、一旦X方向走査電磁石101でビームを曲げて位置をずらした後にビームの位置のずれを小さくする間におけるその輸送距離を小さくでき、またそのときのX方向ビーム通過範囲の最大値を小さくすることができる。これにより、上記従来構造に比べ、輸送経路に設けられる他の偏向手段としての偏向電磁石2Cの小型化(X方向における寸法の低減)を図ることができる。また、この結果自重による支持構造物(この例では回転ガントリー6)のたわみを低減できるので、たわみによるビーム照***度の低下を防止できる。
【0061】
(2)コスト低減
この作用について、比較例を参照しつつ以下詳細に説明する。
【0062】
図5は、1台のX方向走査電磁石及び1台のY方向走査電磁石を備えた元来の荷電粒子照射装置にほぼ相当する本実施形態の比較例による荷電粒子照射装置の全体概略構造を表す概念的側面図であり、図6は、そのビームのX方向走査面内ビーム軸通過範囲及びビーム通過範囲を模式的に示したものであり、それぞれ前述の図2及び図1にそれぞれ相当する図である。なお、図5及び図6において、上記実施形態による荷電粒子照射装置1と同等の部分には「′」を添字として追加した符号を付して表し、適宜説明を省略する。
【0063】
これら図5及び図6において、この比較例の荷電粒子照射装置1′では、走査電磁石として、X方向走査電磁石102′、Y方向走査電磁石103′の2つのみがこの順序で鉛直方向に近接配置され、さらにY方向走査電磁石103′の下流側に、散乱体104′が配置されている。
【0064】
ビームは、上記実施形態の荷電粒子照射装置1の照射方法と同様にして、X方向走査電磁石102′とY方向走査電磁石103′によって偏向され、ビーム中心軸が照射面で円形の軌跡を描く。すなわち、上流側のX方向走査電磁石102′の水平方向中心部(あるいは少なくともその近傍)にX方向における走査点Q′があり、この走査点Q′より下流側に行くにしたがって走査振幅が大きくなる。これによって、X方向走査電磁石102′の下流側に位置するY方向走査電磁石103’位置でのX方向ビーム通過範囲は比較的大きくならざるを得ず、Y方向走査電磁石103′のX方向における磁極間隔も大きくなる。
【0065】
このとき、一般に、走査電磁石の消費電力は磁場発生方向における磁極間隔の例えば2乗に比例することから、本比較例においては、Y方向走査電磁石103′の消費電力はX方向走査電磁石102′の例えば5倍程度にも達する。このため、X方向走査電磁石102′及びY方向走査電磁石103′2つを合計した消費電力は著しく増大する。
【0066】
また、電源容量についてみると、一般に、走査電磁石の電源容量は磁場発生方向における磁極間隔に例えば比例することから、Y方向走査電磁石103′を励磁するY方向走査電磁石電源107′に必要な電源容量は、X方向走査電磁石102′を励磁するX方向走査電磁石電源105′の例えば数倍(3〜5倍)程度にも達する。このため、Y方向走査電磁石電源107′については特に大型の電源が必要で、場合によっては通常の市場では入手できず別途製作する必要が生じ、設備コスト(初期コスト)が増大する。
【0067】
これに対して、本実施形態の荷電粒子照射装置1においては、上記比較例のX方向走査電磁石102′1個とY方向走査電磁石103′の合計2個から、X方向走査電磁石101、X方向走査電磁石102、Y方向走査電磁石103の合計3個と1個増える。しかしながら、本願発明者等の検討によれば、本実施形態の荷電粒子照射装置1においては、前述したように最下流側のY方向走査電磁石103におけるX方向ビーム通過範囲の縮小によって磁極間隔を上記比較例のY方向走査電磁石103′の例えば1/2程度にまで低減できることがわかった。この結果、比較例のY方向走査電磁石103′の約1/3程度にまでY方向走査電磁石103の消費電力を低減することができる。一方、上記比較例と比べた場合の新たな追加分となるX方向走査電磁石101は前述のように偏向量が小さく極めて小型のもので足りることから、X方向走査電磁石101,102の消費電力を合計しても上記比較例のX方向走査電磁石102′の消費電力の2倍には至らない。この結果、X方向走査電磁石101、X方向走査電磁石102、Y方向走査電磁石103の3個の合計消費電力を、上記比較例におけるX方向走査電磁石102′及びY方向走査電磁石103′の2個の合計消費電力よりも例えば1/2程度にまで小さくでき、運転コスト(ランニングコスト)を低減することができる。
【0068】
また、電源容量についてみると、本願発明者等の検討によれば、本実施形態の荷電粒子照射装置1においては、前述したように最下流側のY方向走査電磁石103におけるX方向ビーム通過範囲の縮小によって磁極間隔が低減されることから、上記比較例のY方向走査電磁石103′の励磁用の電源107′の60%程度までY方向走査電源107の電源容量を低減することができ、コストを著しく低減できる。これに対して、上記比較例と比べて新たな追加分となるX方向走査電磁石101は偏向量が小さく極めて小型のもので足りることから、X方向走査電磁石用に増加すべき電源容量は上記比較例のX方向走査電源10′の電源容量の1/3程度で足りる。またX方向走査電磁石102用に使用される電源容量については、X方向走査電磁石102位置でのビーム通過範囲が、比較例のX方向走査電磁石102′よりもX方向に大きくなっており、X方向走査電磁石磁場の有効磁場範囲を広げる必要がある。しかしながらこの場合、磁極面に平行な方向(X方向)への伸長であることから、その電源容量の増加は磁極間隔が大きくした場合ほど多くなく、上記比較例のX方向走査電源10′と大差ない程度のもので足りる。これらの結果、総合的に見て、3個の走査電磁石101,102,10の励磁用に用いる電源105,107に必要な設備コスト(初期コスト)は、上記比較例の2個の走査電磁石102′,103′の励磁用に用いる電源105,107に必要な設備コストに比べて、少なくともほぼ等しいか若しくは小さくすることができることがわかった。
【0069】
以上のように、本実施形態の荷電粒子照射装置1においては、1台のX方向走査電磁石及び1台のY方向走査電磁石を備えた比較例に比べ、運転コスト(ランニングコスト)を低減することができ、また設備コストを少なくともほぼ等しいか若しくは小さくできる。したがって、トータルで見ると、比較例よりも確実にコスト低減を図ることができる。
【0070】
(3)その他
1.X方向走査電源共通化による効果
上述したように、本発明においてはX方向走査電磁石101による偏向量とX方向走査電磁石102による偏向量と比例関係維持する必要がある。本実施形態では、2つのX方向走査電磁石101,102を互いに共通のX方向走査電源105に対して直列に接続していることにより、それぞれの走査電磁石101,102によるビーム偏向量を特に調節を行わなくても容易に比例関係にすることができる。したがって、運転が簡単になると共に、ずれによる誤照射の可能性を低減することができる。
【0071】
2.散乱体の配置位置による効果
一般に、ビーム走査とビーム径拡大を組み合わせる横方向ビーム拡大方法では、散乱体とビーム走査位置が離れるほど、照射対象へ到達する照射ビームの質が悪化する。例えば2つの走査電磁石を用いる場合、それら走査電磁石の上流又は下流に散乱物を配置すると、一方の走査電磁石が散乱物から遠くなり、照射ビームの角度分布広がりが大きくなり、横方向ビーム整形の為のコリメータでビームを切り出した際の切れ(半影)が大きくなって、照射性能が悪化する。本実施形態においては、図1に示すように、図6の上記比較例に比べてX方向走査点Qと散乱体104との間の距離を小さくできることから、散乱体104上でのビーム通過範囲を小さくできる。これにより、照射対象Pの照射面位置でのビーム角度分布広がりを小さくできるので、コリメータ5dでビームを横方向に切り出した場合の、横方向ビーム強度分布の切れ(=照射対象内線量分布の半影)を小さくでき、照***度を向上できる効果がある。また、大きな範囲を走査し、広い領域を照射する照射装置を実現することができる。
【0072】
またこのとき、本実施形態では、X方向走査点QをY方向走査磁石103の中心でなく散乱体104の中心部又はその近傍に来るように、X方向走査電磁石101,102の偏向量の比を調節することもできる。この場合、Y方向走査電磁石103の磁極間隔は若干大きくなるものの、上記した照射対象P内線量分布の半影をより小さくできる効果がある。
【0073】
なお、上記実施形態においては、散乱体104を、最下流側であるY方向走査電磁石103よりも下流側に配置したが、これに限られず、X方向走査電磁石102とY方向走査電磁石103との間に設けても良い。以下、この変形例について、図7及び図8により説明する。
【0074】
図7は、本変形例による荷電粒子照射装置のX方向走査面内ビーム軸通過範囲及びビーム通過範囲を模式的に示した図であり、上記実施形態の図1に相当する図である。なお、この図7において、上記実施形態による荷電粒子照射装置1と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0075】
図7において、この変形例の荷電粒子装置では、散乱体104が、X方向走査電磁石102の下流側でY方向走査電磁石103の上流側に(言い換えればX方向走査電磁石102とY方向走査電磁石103との間に)配置されている。その他の点は、上記実施形態の荷電粒子装置1とほぼ同様である。
【0076】
ビームは、上記実施形態の荷電粒子照射装置1の照射方法と同様にしてX方向走査電磁石101,102とY方向走査電磁石103によって偏向される。またこのとき、X方向走査電磁石102とY方向走査電磁石103との間で散乱体104によって散乱され、ビームを構成する粒子のXY面内分布がビーム中心軸の周りにガウス分布状に広がり下流に進むに従ってビーム強度分布が広がる。そして、最終的にビーム中心軸は照射対象Pの照射面で円形の軌跡を描く。
【0077】
本変形例においても、上記実施形態と同様、本発明の基本的な効果である(1)他のビーム偏向手段の小型化及び(2)コスト低減の効果を得ることができる。
【0078】
すなわち、最上流側のX方向走査電磁石101でX方向にビームを曲げて位置をずらすように偏向させた後に下流側のX方向走査電磁石102でX方向にビームの位置のずれを小さくするように偏向させ、さらに散乱体4を介して下流側のY方向走査電磁石103内部にビーム走査点Qを位置させることにより、Y方向走査電磁石103におけるX方向ビーム通過範囲を縮小する。これにより、本来ビーム収束機能のそれほど大きくない偏向電磁石や四極電磁石を用いる従来構造に比べ、偏向電磁石2Cの小型化を図ることができる。またこれにより、1台のX方向走査電磁石及び1台のY方向走査電磁石を備えた元来の構造に比べ、運転コストを低減することができ、また設備コストを少なくともほぼ等しいか若しくは小さくでき、トータルで見てコスト低減を図ることができる。
【0079】
なお、散乱体ユニットがY方向走査電磁石3よりも上流にあるので、Y方向走査電磁石3を通過する際のビーム通過範囲が上記実施形態の場合に比べて若干大きくなるが、全体的には、ほぼ上記実施形態と同程度の効果を得ることができる。特に、例えば散乱体がX方向走査電磁石とY方向走査電磁石の間にあることを前提とした従来の荷電粒子線ビーム照射装置(例えば特開平10−211292号公報)と比較した場合には、上記の効果は顕著である。
【0080】
図8は、1台のX方向走査電磁石及び1台のY方向走査電磁石を備えた上記特開平10−211292号公報による荷電粒子照射装置にほぼ相当する本実施形態の比較例による荷電粒子照射装置のビームのX方向走査面内ビーム軸通過範囲及びビーム通過範囲を模式的に示したものである。なお、図8において、上記実施形態による荷電粒子照射装置1と同等の部分には「″」を添字として追加した符号を付して表し、適宜説明を省略する。
【0081】
この図8において、この比較例の荷電粒子照射装置では、走査電磁石として、X方向走査電磁石102″、Y方向走査電磁石103″の2つのみがこの順序で鉛直方向に近接配置され、さらにそれら電磁石102″と電磁石103″との間に、散乱体104″が配置されている。この場合、先に図6を用いて前述した比較例と同様、X方向走査電磁石102″の水平方向中心部に走査点Q″があり、下流側に行くにしたがって走査振幅が大きくなるが、Y方向走査電磁石103″に入射する前に散乱体104″によってさらに走査振幅が拡大される。これによって、Y方向走査電磁石103″位置でのX方向ビーム通過範囲がかなり大きくなり、Y方向走査電磁石103″のX方向における磁極間隔もかなり大きくなる。
【0082】
これに対して、図7に示した本変形例の荷電粒子照射装置においては、図8と比較して分かるように、最下流側のY方向走査電磁石103におけるX方向ビーム通過範囲の縮小によって磁極間隔を上記比較例のY方向走査電磁石103″に比べて大幅に低減できる。したがって、上記(1)(2)で述べた効果を得ることができることがわかる。すなわち、散乱体104をX方向走査電磁石102とY方向走査電磁石103との間に配置することを前提とした場合においても、Y方向走査電磁石103の磁極間隔を小さくすることができ、コストダウンや他の偏向手段小型化という効果を図ることができる。
【0083】
また本変形例においては、上記に加え、以下のような効果もある。
【0084】
すなわち、図7と図1とを比較してわかるように、本変形例では、散乱体104と照射面との距離が図1に示した実施形態に比べて大きい。これにより、照射面で同じビーム強度分布を形成するために必要な散乱量は小さくなるので、散乱体104を上記実施形態に比べて薄くすることができる。この結果、散乱体104におけるビームのエネルギー損失が小さくなり、照射面に到達するビームのエネルギーが高くなる。したがって、照射対象P内でのビームの到達深度が深くなり、上記実施形態よりも深い標的に対して照射を行うことができる。
【0085】
なお、以上は、3台の走査電磁石101,102,103と散乱体104とを備えた構成を用いた照射法を例にとって説明したが、散乱体の有無は本発明の本質的ではなく、散乱体104の有無に関係なく前述の発明本来の(1)(2)の効果が得られるのは言うまでもない。
【0086】
また、以上は、2台のX方向走査電磁石101,102を、単一のX方向走査電源105で励磁した場合を例にとって説明したが、これにも限られず、2台のX方向走査電磁石101,102の電源を別々(第1操作電磁石としてのX方向走査電磁石101を励磁する第1励磁電源と、第2操作電磁石としてのX方向走査電磁石102を励磁する第2励磁電源)にしても良い。この場合、各励磁電流を、増幅率を変えることで調整し、これによって走査点位置を所望に調整することができる。したがって、X方向走査電磁石101及びX方向走査電磁石102の間の機器の条件変更や、磁石の設計誤差があった場合にも、走査点がずれないように調節することができ、ビームのY方向走査電磁石103磁極への衝突回避や照***度の維持を実現することができる。またこの際、それぞれの電源を共通の電源制御手段(単一の信号源)で制御するようにすれば、2つのX方向走査電磁石101,102の位相調節を行う必要がなく、運転が簡単になると共に、位相ずれによる誤照射の可能性を低減することができる。
【0087】
さらに、以上は、ビーム中心軌道が照射面で円形となるように走査する場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えばテレビ同様にスキャンさせるなど、任意の軌跡を描かせても良い。この場合でも、2台のX方向走査電磁石101,102によるビーム偏向量を比例関係にすることにより、X方向走査点位置Qは変化せず、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
さらに、以上は、本発明を、照射装置を回転させて照射方向を変更する回転ガントリーに適用した場合を例にとって説明したが、これに限られるものではなく、照射方向が固定の照射装置に対しても適用できる。この場合、一般にX方向走査電磁石101と102との間にビームを偏向する機器を設けないが、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、ビーム収束機能の高い第2走査電磁石を用いてX方向にビームの位置のずれを小さくするように急激に偏向させるので、一旦第1走査電磁石でビームを曲げて位置をずらすように偏向させた後にビームの位置のずれを小さくするように偏向させるときのビーム通過範囲の最大値を小さくすることができる。したがって、それらの間に通常設けられる偏向電磁石や四極電磁石等の他のビーム偏向手段の小型化を図ることができる。また、第1〜第3走査電磁石3個の合計消費電力を、元来のX方向及びY方向走査電磁石2個の合計消費電力よりも例えば1/2程度にまで小さくして運転コスト(ランニングコスト)を低減できるとともに、第1〜第3走査電磁石3個の励磁用電源に必要な設備コスト(初期コスト)を、元来のX方向及びY方向走査電磁石2個の励磁用電源に必要な設備コストに比べて、少なくともほぼ等しいか若しくは小さくすることができるので、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による荷電粒子照射装置の励磁制御により実現される荷電粒子ビームの通過挙動を表す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態による荷電粒子照射装置の全体概略構造を表す概念的側面図である。
【図3】X方向走査電磁石電源及びY方向走査電磁石電源によりX方向走査電磁石及びY方向走査電磁石に供給する励磁電流の時間変化の一例を表す図である。
【図4】3台の走査電磁石によるビーム偏向に起因する、照射面でのビーム中心軸移動量の時間変化の一例を表す図である。
【図5】1台のX方向走査電磁石及び1台のY方向走査電磁石を備えた元来の荷電粒子照射装置にほぼ相当する本実施形態の比較例による荷電粒子照射装置の全体概略構造を表す概念的側面図である。
【図6】ビームのX方向走査面内ビーム軸通過範囲及びビーム通過範囲を模式的に示したものである。
【図7】散乱体を、X方向走査電磁石とY方向走査電磁石との間に設けた変形例による荷電粒子照射装置のX方向走査面内ビーム軸通過範囲及びビーム通過範囲を模式的に示した図である。
【図8】1台のX方向走査電磁石及び1台のY方向走査電磁石を備えた比較例による荷電粒子照射装置のビームのX方向走査面内ビーム軸通過範囲及びビーム通過範囲を模式的に示したものである。
【符号の説明】
101 X方向走査電磁石(第1走査電磁石、第1可変偏向手段)
102 X方向走査電磁石(第2走査電磁石、第2可変偏向手段)
103 Y方向走査電磁石(第3走査電磁石、第3可変偏向手段)
104 散乱体
10 X方向走査電源(単一の励磁電源、第1偏向制御手段、第2偏向制御手段)
P 照射対象(患部)

Claims (6)

  1. 荷電粒子を患者の患部に照射する医療用荷電粒子照射装置において、
    入射した荷電粒子線ビームを、そのビーム進行方向に垂直な平面内における一の方向へビームを曲げて位置をずらすように偏向する第1走査電磁石と、
    この第1走査電磁石より下流側に設けられ、前記第1走査電磁石で偏向された荷電粒子線ビームを、前記第1走査電磁石による偏向とは逆に前記ビームの位置のずれを小さくし下流側で焦点を結ぶように前記一の方向へ偏向する第2走査電磁石と、
    この第2走査電磁石より下流側に設けられ、前記第2走査電磁石で前記一の方向へ偏向され前記一の方向における通過範囲が縮小した荷電粒子線ビームを、前記ビーム進行方向に垂直な平面内における前記一の方向と直交する他の方向へ偏向する第3走査電磁石とを有することを特徴とする医療用荷電粒子照射装置。
  2. 荷電粒子を患者の患部に照射する医療用荷電粒子照射装置において、
    入射した荷電粒子線ビームを、そのビーム進行方向に垂直な平面内における一の方向へビームを曲げて位置をずらすように偏向する第1走査電磁石と、
    この第1走査電磁石より下流側に設けられ、前記第1走査電磁石で偏向された荷電粒子線ビームを、前記第1走査電磁石による偏向とは逆に前記ビームの位置のずれを小さくし下流側で焦点を結ぶように前記一の方向へ偏向する第2走査電磁石と、
    この第2走査電磁石より下流側に設けられ、前記第2走査電磁石で前記一の方向へ偏向され前記一の方向における通過範囲が縮小した荷電粒子線ビームを、前記ビーム進行方向に垂直な平面内における前記一の方向と直交する他の方向へ偏向する第3走査電磁石と、
    前記第1走査電磁石による偏向量と前記第2走査電磁石による偏向量と比例関係維持するように、それら第1及び第2走査電磁石を制御する第1偏向制御手段とを有することを特徴とする医療用荷電粒子照射装置。
  3. 請求項1又は2記載の医療用荷電粒子照射装置において、前記第3走査電磁石より下流側に、荷電粒子線ビームを散乱させる散乱体を設けたことを特徴とする医療用荷電粒子照射装置。
  4. 請求項1又は2記載の医療用荷電粒子照射装置において、前記第2走査電磁石より下流側でかつ前記第3走査電磁石より上流側に、荷電粒子線ビームを散乱させる散乱体を設けたことを特徴とする医療用荷電粒子照射装置。
  5. 請求項2記載の医療用荷電粒子照射装置において、前記第1偏向制御手段は、前記第1走査電磁石及び第2走査電磁石に共通の単一の励磁電源を備え、前記第1走査電磁石及び第2走査電磁石はそれぞれの励磁コイルが前記単一の励磁電源に対し直列に接続されていることを特徴とする医療用荷電粒子照射装置。
  6. 請求項2記載の医療用荷電粒子照射装置において、前記第1偏向制御手段は、前記第1走査電磁石及び第2走査電磁石に対しそれぞれ電源を供給する第1励磁電源及び第2励磁電源と、これら第1及び第2励磁電源に共通の電源制御手段とを備えていることを特徴とする医療用荷電粒子照射装置。
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