JP3963931B2 - 形態安定性に優れたエンボス加工織物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱セットにより得られる形態安定性及び/又は耐水性を有する布帛、並びにそれに使用する芯鞘型複合繊維に関する。
従来の技術
従来から、鞘成分に低融点ポリマーを用いた芯鞘型の横断面形状を有する複合繊維(以下、正転芯鞘型複合繊維という)を使用した布帛で、熱処理により経糸及び緯糸の交絡点を融着固定した布帛は種々の目的で使用されている。
しかし、このような布帛は、風合が悪く(硬く)、また、低融点ポリマー成分が布帛表面に現れるため、染色堅牢度が低下したり、染色性が劣ったりして、衣料用途に用いるには問題が多い。
逆に、芯成分に低融点ポリマーを用いた芯鞘型複合繊維(以下、逆転芯鞘型複合繊維という)を使用した布帛としては、数例の開示が認められるだけである。例えば特開平6−220770号公報では、布帛表面に明確な皺状凹凸と色差を有する布帛を得るために、芯成分にエチレン―酢酸ビニル共重合体を使用し、鞘成分にポリアミド成分を使用した逆転芯鞘型複合繊維を使用しており、特開平4−11006号公報では、耐摩擦溶融性を向上したスポーツ衣料の開発を目的とし、芯成分に低融点ポリマーを配置した逆転芯鞘型複合繊維からなる仮撚加工糸の使用を開示している。
前者の布帛は、屈曲熱固定されるものであるが、熱処理条件を厳しく制御しないと、繊維の風合が悪くなったり、屈曲部の固定が弱くなるとされるものであり、表面に皺状凹凸を付与した製品以外、何ら特異な用途に使用されるものではなかった。また、後者は、スライディング等による摩擦で穴があかない衣料の開発を目的としたものであり、芯成分に低融点ポリマーを用いた逆転芯鞘型複合繊維を使用しているとはいえ、この複合繊維が、布帛や衣料の成形性等に何ら特異な効果を発揮しているものではない。
他方、プリーツ加工、硬仕上げ等の形態安定性や傘地等に適した防水布を得るためには、従来、布帛表面にメラミン樹脂、アクリル系樹脂等をコーティングすることが必須とされていた。
しかし、これら樹脂コーティングは風合いが硬くなったり、樹脂によっては熱成形時に悪臭などの弊害が生じたりする欠点がある。これに加えて、アクリル系樹脂等のコーティングでは、コーティング面において、染料の移行が起こり易い。例えば、乗用車のリヤウインドウ部に放置された傘は、すぐ染料が移行し、傘の色がむらになったり、プリント柄が不鮮明になるなど、商品としては致命的な欠陥を生じることとなる。
また、耐水布帛を得る方法としては、一般にカレンダー加工等の加熱加圧処理を施すことが知られているが、通常のポリエステル糸等を用いた布帛にカレンダー加工を施しても、糸条の交絡点の隙間を完全に埋めることができず飛躍的な耐水性を得ることは困難であった。
特開平6−220770号公報 特開平4−11006号公報
本発明は、芯鞘型複合繊維を使用した布帛で、樹脂コーティング等を施さなくても、風合の良好な形態安定性及び/又は高度の耐水性を有する布帛を提供すること、及びそれに使用する新規な芯鞘型複合繊維を提供することを目的としている。
また、本発明者らは、該芯鞘型複合繊維の有する形態安定性を特定の用途に適用することによって極めて有用な最終製品が得られることに想到した。
例えば、該芯鞘型複合繊維とウレタン弾性糸とからなるカバリング糸を用いた織編物に加熱加圧処理を施すことにより表面平滑性に優れた布帛を得ることができる。このような布帛は、競泳、スキー、スノーボード、自転車競技、スピードスケートなどにおいて、空気や水に対するウエア表面の流体抵抗性が速度を減速させることから、従来は布帛の表面にウレタン樹脂などをコーティングしたり、フィルムをラミネートしたりすることにより平滑性を向上させる方法が知られている。
しかし、従来の該布帛は隙間の極めて少ない樹脂層あるいはフィルム層を有するため透湿性、通気性に乏しくなり、更には高密度で、厚みも大きくなるという問題を有する。このため、スポーツ素材としては軽くて薄く、透湿性、通気性を有するものほど好ましいとされ、樹脂コーティングあるいはフィルムラミネートを施すことなしに平滑性、耐水性に優れた布帛を得ることが望まれていた。
更に、該芯鞘型複合繊維等を用いた織物にエンボス加工を施すことによって、耐久性のあるエンボス模様を形成することができる。エンボス加工は、一般的には、加熱した硬質彫刻ロールと、これと対をなす軟質ロールを適当な加圧条件下で回転させ、両ロール間に布帛を導入することによりこれへ凹凸模様を容易に施すことが出来るが、形際が不鮮明になりがちであり、又従来の通常のポリエステル糸を用いた織物では、耐久性に乏しく、洗濯等で簡単に凹凸が減少・消失する欠点がある。
加えて、従来は、加熱処理により表面の低融点成分が融着して形態安定性等を発揮する繊維は知られていたが、かかる繊維は前述の如く風合いが硬化するなどの欠点があり、その用途も限定されたものとなっていた。
本発明の他の目的は、特定の芯鞘型複合繊維を特定の用途に適用することによって、該芯鞘型複合繊維の形態安定性に基づく夫々特異な作用効果を奏せしめ、従来の芯鞘型複合繊維では得ることのできなかった極めて有用な最終製品を提供することにある。
本発明は、異種のポリマーからなる芯鞘型複合繊維であって、JIS K 7196の熱機械分析法で測定した芯成分の軟化点が鞘成分の軟化点より20℃以上低く、前記芯成分が、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で加熱する示差熱分析法で融点ピークを生じない実質的に非晶質のポリマーからなるもの(以下、非晶質逆転芯鞘型複合繊維という)である。
また、本発明は、かかる非晶質逆転芯鞘型複合繊維を用いた形態安定性を有する布帛、造花、かつらである。
かかる非晶質逆転芯鞘型複合繊維は、芯成分に、結晶化度が低く、実質的に非晶質のポリマーを使用しているため、加熱、冷却が繰り返されても、可逆的に軟化、固化の繰り返しが可能となり、また、加圧下での加熱による糸の平面化等のセット性も非常に良好である。
加えて、本発明は、熱可塑性合成繊維のマルチフィラメントより織成した生地に、加熱した彫刻ロールを押圧してなるエンボス加工織物において、経糸及び/又は緯糸の全部、或はその一部に、前記非晶質逆転芯鞘型複合繊維より構成したマルチフィラメントを用い、経糸方向及び緯糸方向の織物カバーファクターの和を800〜2500の範囲となしたことを特徴とする形態安定性に優れたエンボス加工織物である。
かかる織物は、図柄作成を加熱下の加圧による織地の凹凸に依存するのではなく、低軟化点且つ非晶質のポリマーからなる鞘成分を、エンボス加工機の硬質加熱ロールにより押圧させ、そのフィラメント径を変形・増大せしめることで加熱ロールに画かれた凸状模様を織地上に形成するため、耐久性のあるエンボス模様となる。
さらに、本発明は、芯成分の融点が鞘成分の融点より低い逆転芯鞘型複合繊維を、少なくとも一部に使用した布帛で、芯成分の軟化点以上、鞘成分の融点以下の温度で、加圧下、熱セットすることにより、前記布帛を平坦な状態に成形したことを特徴とする耐水性を有する布帛である。
かかる布帛は、布帛を構成する糸の交点の隙間がなく、耐水性を有する布帛となる。
(1)非晶質逆転芯鞘型複合繊維の説明
本発明の非晶質逆転芯鞘型複合繊維、すなわち、JIS K 7196の熱機械分析法で測定した芯成分の軟化点が鞘成分の軟化点より20℃以上低い芯鞘型複合繊維で、前記芯成分が、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で加熱する示差熱分析法で融点ピークを生じない実質的に非晶質のポリマーからなるものである複合繊維は、特に、鞘成分がポリエステルからなり、芯成分が、60〜80℃のガラス転移点を有し、かつ軟化点が200℃以下である共重合ポリエステル系ポリマーからなる芯鞘型複合繊維を使用する。
かかる共重合ポリエステルの代表的なものは、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とし、共重合成分として、酸成分にシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の公知のジカルボン酸成分の一種または二種以上を、またジオール成分に1、4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、1、4−シクロヘキサンジメタノール等の公知のジオール成分の一種または二種以上を使用したものであり、50モル%以下の割合で共重合されたものが好ましく、その他の共重合成分としてジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が添加されてもよい。
また、共重合ポリエステルは、前述の如き共重合成分を、所望の軟化点となるように、紡糸及び加工操業性を損なわない物性範囲内で適宜選択して使用したものでよいが、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とし、共重合成分としてイソフタル酸を使用したものが、工業的に安価に、安定して入手でき、しかもポリマー物性もよく、好ましい。かかるイソフタル酸共重合ポリエステルでは、イソフタル酸成分が20〜40モル%であるのが好ましく、また、芯鞘型複合繊維の芯/鞘の比率は、容積比率で5/1〜1/5、特に3/1〜1/2程度であるのが好ましい。複合繊維の断面形状は、円形、楕円形、多角形、星形などのいずれでもよく、また、芯と鞘は、同心的に配置されても、偏心的に配置されてもよいが、一般に断面形状が円形で芯と鞘が同心的に配置されたものを使用するのがよく、芯成分は外部に露出することのない芯鞘構造をとる。
かかる複合繊維は、芯成分に、結晶化度が低く、実質的に非晶質のポリマーを使用しているため、加熱、冷却が繰り返されても、可逆的に軟化、固化の繰り返しが可能となり、また、加圧下での加熱による糸の平面化等のセット性も非常に良好である。
従って、かかる複合繊維を使用した布帛は、次のような利点を有するものとなる。
(1)一度熱セットした形状を再度加熱により解除し、新たな形状に熱セットすることが可能である。例えば、熱セットにより5cm幅の折り目をつけたプリーツカーテンを製造した後、加熱により、このプリーツを除去し、改めて異なる折り目(例えば3cm幅の折り目)のプリーツカーテンにセットし直すというようなことも、品質よく可能となる。
(2)樹脂コーティングしなくても、通常のカレンダー加工等による加圧熱セットだけで、効率よく、傘地や防水衣料等に使用できる耐水性ある製品となすことができる。但し、用途に応じて、樹脂コーティングを併用することも可能である。
(3)このようにして得た耐水性や形態保持性は、洗濯耐久性の高いものとなる。
(4)布帛表面には、複合繊維の芯成分が現れないため、風合が固くならず、染色堅牢度の低下や均染性の低下という問題も生じ難い。
参考例1〕
下記の3種の原糸を準備した。
原糸(a1)−イソフタル酸(IPA)が酸成分の12モル%を占め、融点が227℃(DSC法)、軟化点が197℃である共重合ポリエチレンテレフタレートを芯とし、酸成分がテレフタル酸100%であるポリエチレンテレフタレート(融点255℃、軟化点240℃)を鞘とする、芯鞘型複合繊維を芯鞘比率(容積比)1:1で紡糸し、50d/12fの糸とした。
原糸(b1)−原糸(a1)の芯成分と鞘成分を逆にした50d/12fの糸。
原糸(c1)−酸成分がテレフタル酸100%であるレギュラーポリエステルの50d/12fの糸。
これら3種の原糸を、酸成分がテレフタル酸100%であるレギュラーポリエステルの50d/24f原糸を経糸とした織物の緯糸に使用し、加工揚がりの経緯糸密度が110本/in×94本/inとなるように平織物(A1、B1、C1)を製織し、得られた布帛を通常のポリエステル平織物の加工と同様の工程及び条件で染色(液流型染色機)、仕上げ加工した。
この段階で、本発明の織物(A1)と通常のポリエステル布帛である織物(C1)は、均一な染色布帛を得ることができたが、鞘に低融点成分を用いた芯鞘型複合繊維を緯糸とした織物(B1)は染色斑が出来、皺が残り、外観の悪いものとなった。
次に、このようにして得た染色布帛に、フッ素系撥水剤を用いて通常の撥水加工を施し、35kg/cm2の加圧状態で、200℃の加熱処理(カレンダー加工)を行い、加工直後及び洗濯10回後の耐水圧を測定した。
その結果を表1に示す。
Figure 0003963931
本発明による織物(A1)は、風合が柔らかく、耐水圧も高い数値を示し、樹脂コーティング無しでも、傘地として使用できるものであった。これに対して織物(B1)は通常のポリエステル織物(C1)に比べると耐水圧は高くなったが、その値は傘地等への使用には不十分であり、また、染色加工による皺が残り、風合も硬くなり、実用性あるものではなかった。
参考例2〕
下記の3種の原糸を準備した。
原糸(a2)−イソフタル酸(IPA)が酸成分の25モル%を占め、DSC法による測定で、実質的に融点ピークを有しない、軟化点約150℃の共重合ポリエチレンテレフタレートを芯とし、酸成分がテレフタル酸100%であるポリエチレンテレフタレート(融点255℃、軟化点240℃)を鞘とする、芯鞘型複合繊維を芯鞘比率(容積比)1:1で紡糸し、50d/12fの糸とした。
原糸(b2)−原糸(a2)の芯成分と鞘成分を逆にした50d/12fの糸。
原糸(c2)−酸成分がテレフタル酸100%であるレギュラーポリエステルの50d/12fの糸。
これら3種の原糸を、酸成分がテレフタル酸100%であるレギュラーポリエステルの50d/48f原糸を経糸とした織物の緯糸に使用し、加工揚がりの経緯糸密度が175本/in×105本/inとなるように平織物(A2,B2,C2)を製織し、これら布帛を通常のポリエステル平織物の加工と同様の工程及び条件で染色(液流型染色機)、仕上げ加工した。次に、このようにして得た染色布帛にフッ素系撥水剤を用いて通常の撥水加工を施した。
撥水加工後の各布帛の形態安定性を測定した結果、及び撥水加工後、160℃で加圧熱処理した布帛の耐水圧と形態安定性の測定結果を表2に示す。
Figure 0003963931
)エンボス織物の説明
逆転芯鞘型複合繊維を用いた織物に対するエンボス加工について説明する。
構成単糸を非晶質逆転芯該鞘型複合繊維により構成したマルチフィラメントは、経糸及び/又は緯糸用としてその一部又は全部に使用する。その使用比率が最も低いのは、経糸又は緯糸のみに使用した場合であるが、かかる場合でも、少なくともその30%に使用する。これが30%未満となると、防水性と形態安定性の乏しいものとなり、本発明の目的を達成することはできない。経糸又は緯糸上の配置状態は当然均等にし、本質的に交織が好ましい。また、非晶質逆転芯鞘型複合繊維と交織するマルチフィラメントとしては、通常使用されているレギュラータイプのポリアミドフィラメント及びポリエステルフィラメントのマルチフィラメント並びにその加工糸が挙げられる。
かかる織物において、経糸方向及び緯糸方向の織物カバーファクター[繊度(デニール)0.5×打ち込み本数(本/インチ]の和をTCFとすると、このTCFの範囲を800>TCF>2500、にすることが必要である。TCFが2500以上になると鮮明な柄の現出、特に形際の明瞭化が困難となり、又800以下になると耐久性のある織物の製織は困難となる。
非晶質逆転芯鞘型複合繊維を用いた織物は、織成後、通常のエンボス過程前の前処理である精練過程、液流を使用するリラックス過程、必要に応じて実施する染色過程、及び仕上過程等を順次経由した後、エンボスカレンダー加工機に送られる。
通常のエンボスカレンダー加工機においては、凸状模様の彫刻を有する硬質加熱ロールとこれと対をなす凹側の軟質ロールの両者を、適当な圧力で圧着させながら回転させ、両ロール間に型押し対象の織物を導入することによりこれへエンボス模様を形成している。そして前記凸部と凹部の高低差は1mm以上を必要としており、1mm未満では十分な凹凸模様を形成することは難しいとされている。
本発明による織物は、図柄作成を加熱下の加圧による織地の凹凸に依存するのではなく、低軟化点且非晶質のポリマーからなる芯成分又は鞘成分を、エンボス加工機の硬質加熱ロールにより押圧させ、そのフィラメント径を変形・増大せしめることで加熱ロールに画かれた凸状模様を織地上に形成する。
前記エンボス加工過程における織地の変形状態から、本発明織物を製造する装置においては、柄形成用の凸部と凹部の高低差をそれほど必要としない。このため、凸状模様を有する硬質加熱ロールと平滑面を有する軟質ロールの組み合わせでも容易に柄形成を実施し得る。通常、エンボスロール対の加圧力は10kg/cm2程度必要とされるが、本発明にかかる織物では5kg/cm2程度で実施することが可能である。
本発明の織物を得るために重要な加工条件の一つは柄模様を有する硬質加熱ロールの表面温度である。
非晶質逆転芯鞘型複合繊維の鞘成分として、レギュラーポリエステル繊維又はレギュラーポリアミド繊維を用いた場合は表面温度を160〜190℃の範囲にするのが適切であり、接圧時間は1秒以上であれば、鮮明で且耐久性に優れたエンボス加工織物を製造し得る。
〔実施例
下記の3種の原糸を準備した。
原糸a16−イソフタル酸(IPA)が酸性分の25モル%を占め、DSC法による測定で、実質的に融点ピークを有しない、軟化点約150℃の共重合ポリエチレンテレフタレートを芯とし、酸性分がテレフタル酸100%であるポリエチレンテレフタレート(融点255℃、軟化点240℃)を鞘とする芯鞘型複合繊維を芯鞘比率(容積比)1:1で紡糸し、75d/24fの糸とした。
原糸c16−酸性分がテレフタル酸100%であるレギュラーポリエステルの75d/24fの糸。
これら2種の原糸に対して夫々、1000T/Mの追撚を施して試験用緯糸とした。一方酸成分がテレフタル酸100%であるレギュラーポリエステル75d/36fの糸に、1000T/Mの追撚を施して共通して使用する試験用経糸とした。
このようにして得た経緯糸を夫々、WJL織機により、経密度71本/インチ、緯密度75本/インチの平織に製織し、試験反A,Cとなし、この試験反に夫々、精練、液流によるリラックス、190℃の予備セット、130℃の染色、160℃の仕上セットを施してエンボス加工用原布A16・C16とした。
これら2反の原布A16・C16を夫々エンボス加工機に仕掛け、所定の花柄模様を施した加熱ロール(170℃)と平坦面を有する軟質ゴムロール(常温)間に通して完成されたエンボス加工織物を得た。両ロールの接圧は5kg/cm2、接触時間は1秒である。以上三種の加工織物のエンボス加工直後及び洗濯10回後の形態安定性の試験結果を表11に示す。尚、形態安定性は直径10mmのガラス管に試験織物を巻きつけ、熱セットし、冷却し、広げた状態で100g/cm2の荷重を載せ、5分後、荷重を取り除いた時の巻き状態と花柄の残留状態を目視判断した。
Figure 0003963931
本発明において、経糸方向の織物カバーファクターとは、経糸密度(本/インチ)×(経糸デニール)0.5の平方根を示し、又緯糸方向の織物カバーファクターとは、緯糸密度(本/インチ)×緯糸デニールの平方根を示す。本発明において定義するTCFとは、前記両者の和である。
[発明の効果]
以上のように、本発明の複合繊維は優れた形態安定性を有するため、種々の用途に使用可能であり、例えば、プリーツをつけたカーテンや衣料、造花、扇子、電気の傘、レインコート、ウインドブレーカー、雨傘、テント、自動車カバー、鞄地、手袋、鯉のぼり、提灯等に非常に効率よく使用できるものとなり、一定形状に成形した状態で熱セットすることにより、形態保持性を持った製品を得ることができる。特に、ウレタン弾性糸のカバリング糸、造花の素材、かつらの人工毛髪、エンボス加工織物等に使用した場合は、極めて顕著な効果を得ることができる。
更に、かかる複合繊維を用いた布帛は、加圧下で熱セットを行うことにより優れた耐水性を得ることもできる。
なお、本発明において、布帛とは織物、編物、不織布のいずれをも意味するものであり、前述の如き芯鞘型複合繊維は、これら布帛を構成する糸の少なくとも一部に使用されればよい。ただし、熱セットにより耐水性ある製品を得る場合には、布帛全体に均一に配置されている必要がある。

Claims (1)

  1. 熱可塑性合成繊維のマルチフィラメントより織成した生地に、加熱した彫刻ロールを押圧してなるエンボス加工織物において、経糸及び/又は緯糸の全部、或はその一部に、JIS K 7196の熱機械分析法で測定した芯成分の軟化点が鞘成分の軟化点より20℃以上低い芯鞘型複合繊維で、前記芯成分が、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で加熱する示差熱分析法で融点ピークを生じない実質的に非晶質のポリエステル系ポリマーからなり、外部に露出することのない芯鞘構造を有する複合繊維からなるマルチフィラメントを用い、経糸方向及び緯糸方向の織物カバーファクターの和を800〜2500の範囲となしたことを特徴とする形態安定性に優れたエンボス加工織物。
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