JP3963085B2 - 交通流の異常検知装置及び方法 - Google Patents

交通流の異常検知装置及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3963085B2
JP3963085B2 JP2001211154A JP2001211154A JP3963085B2 JP 3963085 B2 JP3963085 B2 JP 3963085B2 JP 2001211154 A JP2001211154 A JP 2001211154A JP 2001211154 A JP2001211154 A JP 2001211154A JP 3963085 B2 JP3963085 B2 JP 3963085B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lane
road
traffic flow
vehicle
point
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001211154A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002163754A (ja
Inventor
理 服部
弘 下浦
健二 天目
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2001211154A priority Critical patent/JP3963085B2/ja
Publication of JP2002163754A publication Critical patent/JP2002163754A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3963085B2 publication Critical patent/JP3963085B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Traffic Control Systems (AREA)
  • Alarm Systems (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路に車両感知器等を設置して交通計測データを集め、この交通計測データによって、突発事象の発生による交通流の異常を検知することができる交通流の異常検知装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
道路上に交通事故、災害などの突発事象が発生したとき、この突発事象に基づく交通流の異常をいち早く検知して、後続の車両に知らせたり、後続の車両を誘導したりする必要がある。
従来、道路にカメラを設置して、画像処理をして交通流の異常を検知することが行われているが(特開平7−21488号公報、特開平10−40490号公報など参照)、道路の広い範囲にわたってカメラを設置することは経費がかかり、また、夜間や悪天候時の検知が困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
複数車線の道路において、突発事象が発生すれば、一部の車線が制限されることが経験上知られている。
図8は、2車線の道路1において、左車線に事故が発生して、右車線のみの通行になった例を示している。
事故地点の上下流では、事故地点の車線制限の影響で、車線の利用率(車線の利用率とは、全車線の交通量に対する当該車線の交通量の比で定義してもよく、全車線の占有率に対する当該車線の占有率の比で定義してもよい)に何らかの変化が起こることが予想される。
【0004】
そこで、発明者は、所定地域若しくは所定区間の道路上の車線利用率に着目することにより、道路上の突発事象の発生を精度よく検知することができるのではないかと考えた。
本発明は、少ない誤差で、道路上の突発事象の発生を確実に検知することができる交通流の異常検知装置及び方法を実現することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の交通流の異常検知装置は、道路を走行する車両を計測する車両計測手段と、車両計測手段の計測結果に基づいて、複数車線道路の、任意の車線に着目した車線利用率を算出する車線利用率算出手段と、車線利用率算出手段により算出された車線利用率に基づいて道路上の突発事象の発生を検知する交通流監視手段とを有するものである。
前記交通流監視手段は、一つの車両計測手段の設置地点の車線利用率と、当該車両計測手段の設置地点の上流又は下流で観測された車線利用率との相関を算出し、相関が基準値よりも低い場合に、当該設置地点と上流地点との間、又は当該設置地点と下流地点との間で、道路上の突発事象の発生を検知する(請求項1)
【0006】
道路上の突発事象がなければ、車両が車線変更する頻度は低く、車線利用率は時間的にほぼ一定であるが、事故などの突発事象が発生すると、車両が車線変更する頻度は高くなり、車線利用率は通常の値よりも高くなったり、低くなったりして、変動する。そこで、この車線利用率を監視していれば、道路上の突発事象の発生の有無を検知することができる。
すなわち、当該設置地点の車線利用率と、当該設置地点の上流又は下流で観測された車線利用率とが、ほぼ同じような値をとる(相関が高い)ならば、当該設置地点と上流又は下流地点との区間で、車線変更はあまり行われていないと判断できるので、その区間での道路上の突発事象の発生はないと判断できる。かなり違う値をとる(相関が低い)ならば、当該設置地点と上流又は下流地点との区間で車線変更が行われ、その区間での道路上の突発事象の発生が想定される。したがって、突発事象の発生区間を特定することができる。
車線利用率算出手段は、車線ごとの道路の交通量に基づいて車線利用率を算出してもよく、車線ごとの道路の占有率に基づいて車線利用率を算出してもよい(請求項2,3)。
【0009】
前記基準値は、交通状態、道路線形、又は車両計測手段の設置間隔に応じて決定され、記憶されている値であってもよい(請求項)。
また、本発明の交通流の異常検知装置は、交通流監視手段により道路上の突発事象が検知された場合に、その突発事象の発生を外部に知らせる情報提供手段をさらに有していてもよい(請求項)。
前記情報提供手段は、当該地域内若しくは当該区間内を走行する車両、又は当該地域内若しくは当該区間内への走行が予想される車両に対して情報を提供してもよい(請求項)。例えば路側ビーコンなどの移動通信手段を用いて、車両のドライバに情報を提供することができる。
【0010】
情報提供手段は、すでに予定されている道路上の事象に対しては、その事象の発生を検知しても外部に知らせなくてもよい。例えば、道路工事等のためある時間から車線が制限されることが分かっているときは、その時間に道路上の突発事象の発生が検知されても、外部に知らせない。これは外部に知らせることによる混乱を防止するためである。
前記交通流監視手段は、判定の基礎となった前記相関の逆数(評価値という)の大きさ(尤度)に応じて、段階的な判定を行い、前記情報提供手段は、この交通流監視手段による段階的な判定の結果によって異常情報の内容を変えることが好ましい(請求項)。
【0011】
突発事象発生の尤度(確実性)に応じて、例えば「この先事故・止まれ」、「前方注意」など情報提供の内容を変えることにより、ドライバなどに、より適切な情報を与えることができる
【0012】
また、本発明の交通流の異常検知方法(請求項)は、請求項1記載の交通流の異常検知装置と同一の発明に係る方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、高速道路の交通流監視を例にとって、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
1.システムの構成
図1は、交通流の異常検知をするための交通流監視システムを示す概略図である。
【0014】
2車線ある高速道路1に、2ループ埋め込み式の車両感知器5が、間隔をおいて車線ごとに設置されている。また、車両の上方から車高を測定する超音波式の車両感知器3も、車線ごとに設置されている。これらの車両感知器3,5が設置された高速道路の区間を区間1,2,‥‥,i,‥‥(iは2以上の整数)と表示する。各区間の距離をLiとする。これらの車両感知器3,5、カメラは、一次処理装置4につながれていて、一次処理装置4は、車両通過台数のカウントや、車両速度の検知等を行う。
【0015】
また、高速道路1には、事故情報や路面情報などを車両に知らせるための可変表示板6が設けられている。また、車両と双方向通信を行う路側ビーコン7が設けられている。
さらに、高速道路1に接続する一般道路2には、高速道路1の事故情報や路面情報などを、高速道路1に入ろうとする車両に知らせるための可変表示板9が設けられている。
【0016】
交通管理センター10内部のコンピュータ11は、各区間に設置された一次処理装置4、路側ビーコン7、可変表示板6などと、有線通信網12(無線通信網であってもよい)を通して接続されている。また、当該コンピュータ11は、国土交通省、警察庁、都道府県警、消防庁などの関係機関13と通信回線を通して結ばれており、放送局14とも通信回線を通して結ばれている。
なお、前記のシステム例では、高速道路を想定していたが、一般道路であってもよい。車線数が2車線の道路を想定したが、車線数は、2に限られるものではなく、1車線であっても3以上の車線であってもよい。
【0017】
また、複数埋め込み式の車両感知器5に代えて、道路の脇に設置されるドップラー式の車両感知器を用いてもよい。また、道路にテレビカメラを設置して画像処理により車両通過台数、車高、車長、通過速度などを検知してもよい。
2.交通管理センター
以下に説明するコンピュータ11の機能の全部又は一部は、CD−ROM等の記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータ11が実行することにより実現される。
【0018】
図2は、交通管理センター10内部のコンピュータ11の機能ブロック図である。
コンピュータ11の入力処理部21には、車両感知器5の感知信号が一次処理装置4を介して入力される。入力処理部21は、車両感知器5が感知した車両の通過台数や車両速度の検知量に基づいて、交通量(単位時間当たりの通過台数)Q、平均速度V、占有率O(ある時間T内に車両が車両感知器を横切った時間tkの総和Σtkを時間Tで割ったもの:Σtk/T)や車両の特徴量等を算出する。「平均」速度としたのは、一定時間内に通過した各車両の速度の平均をとるためである。以下、「平均速度」のことを単に「速度」という。
【0019】
区間iに注目して、区間iの距離をLi、時刻tにおける区間iへの第1車線の流入交通量をQ1,i(t)、第2車線の流入交通量をQ2,i(t)とし、第1車線と第2車線の両方を合わせた、時刻tにおける区間iへの流入交通量をQi(t)とする。同じく、区間iからの第1車線の流出交通量をQ1,i+1(t)、第2車線の流出交通量をQ2,i+1(t)とし、第1車線と第2車線の両方を合わせた、時刻tにおける区間iからの流出交通量をQi+1(t)とする。
【0020】
Qi(t)=Q1,i(t)+Q2,i(t)
Qi+1(t)=Q1,i+1(t)+Q2,i+1(t)
また、時刻tにおける区間iへの第1車線の流入速度をV1,i(t)、第2車線の流入速度をV2,i(t)とする。同じく、区間iからの第1車線の流出速度をV1,i+1(t)、第2車線の流出速度をV2,i+1(t)とする。第1車線と第2車線の、各交通量で重み付け平均した時刻tにおける区間iへの流入速度をVi(t)とし、区間iからの流出速度をVi+1(t)とする。
【0021】
また、第1車線の車両の占有率をO1,i(t),第2車線の車両の占有率をO2,i(t)とする。両車線の占有率をOi(t)とする。
Oi(t)=[O1,i(t)+O2,i(t)]/2
の関係がある。
また、入力処理部21は、車両の特徴量を算出する。すなわち、車両感知器3の出力に基づいて各車両の最大車高を算出するとともに、車両感知器5の2つのループの出力時間差に基づいて車両の速度を測定し、これと車両の感知時間とに基づいて車長を算出する。車両が通過するごとに車高、車長が算出されるので、1又は複数の車高、車長のデータ列が車線ごとに得られる。
【0022】
なお、コンピュータ11の入力処理部21において交通量Qや平均速度Vを算出していたが、これらの算出処理は、一次処理装置4の中でするようにしてもよい。
これらの交通量、速度、占有率、車高、車長等の検知データを、「交通計測データ」という。
3.車線利用率の算出
コンピュータ11の判定部22は、一定(例えば1分)間隔の時刻t1,t2,t3,‥‥,tk,‥‥(代表するときは添え字のない「t」を使う)ごとに交通量Q1,i(t),Q2,i(t),速度V1,i(t),V2,i(t),占有率O1,i(t),O2,i(t)を記録し、第1車線及び第2車線の車線利用率r1,i(t),r2,i(t)を算出する。以下、区間の添え字iは省略する。
【0023】
ここで、車線利用率r1(t),r2(t)とは、全車線の交通量に対する当該車線の交通量の比で定義してもよく、全車線の占有率の和に対する当該車線の占有率の比で定義してもよい。前者の場合、
r1(t)=Q1(t)/Q(t),
r2(t)=Q2(t)/Q(t)
である。後者の場合、
r1(t)=O1(t)/2O(t),
r2(t)=O2(t)/2O(t)
である。
【0024】
判定部22は、過去の期間T(例えば10分)にわたる車線利用率の平均値を算出する。この平均値を、r1,r2と書く。
4.突発事象の発生判定
判定部22は、図3に示す手順により、突発事象の発生を判定する。
図3は、判定部22が行う突発事象発生を監視する処理を説明するためのフローチャートである。以下の説明は、ある車両感知器5の設置地点に注目して、その地点で行われる処理についてのものであるが、これより上流及び下流の車両感知器5の各設置地点においても、それぞれ同様の処理が行われることを予め断っておく。判定部22は、この処理を、時刻tkごとに繰り返し行う。
【0025】
まず、判定部22は、平均の車線利用率r1又はr2を算出し(ステップS0)、しきい値と比較する(ステップS1)。これにより、車線利用率r1又はr2が偏っているかどうかを判断する(ステップS2)。その判断基準として、r1若しくはr2が0.5に近いかどうか、又はr1とr2との比が1に近いかどうか、があげられる。例えば、
r1<0.4
又は
r1>0.6
であれば、偏っていると判断し、
0.4≦r1≦0.6
であれば、偏っていないと判断する。0.6や0.4はしきい値である。しきい値が0.5に近過ぎると、車線利用率が偏っていると判断される機会が増えて、突発事象発生の判定率が増える。その結果、過剰判定に結びつく。しきい値が0.5から離れ過ぎると、車線利用率が偏っていると判断される機会が減り、突発事象発生の判定率が減る。その結果、突発事象発生を見逃しやすくなる。
【0026】
このしきい値は、実際に道路上の突発事象が発生した時点前後の車線利用率のデータを記録しておき、本発明の実施により道路上の突発事象の発生を最も精度よく検知することができるような値に選べばよい。さらに、交通量、時間帯、曜日、催事のある日ない日など、過去のいろいろな条件での車線利用率のデータを蓄積し、交通量、時間帯や、曜日、催事の有無などに応じて、最適なしきい値を設定するようにしてもよい。
【0027】
図4は、道路上に突発事象が発生していないときの、第1車線(左車線)と第2車線(右車線)の両方を合わせた交通量(単位:台/分)と車線利用率との関係をグラフ化した一日の観測データを示す。このデータから、交通量が少ない時は、第1車線の車線利用率が高く、交通量が多い時は、第2車線の車線利用率が高くなっている。そこで、車線ごとに交通量に応じたしきい値を設定すればよいことが分かる。
【0028】
偏っていると判断されたときは、上流に設置された車両感知器5で検知された車線利用率との相関を算出する(ステップS3)。この相関は、例えば、当該車線利用率r1と上流の車線利用率r1′との差の逆数で与えられる(ABSは絶対値を表す)。
1/ABS(r1−r1′)
当該車線利用率r1と上流の車線利用率r1′とが近い値をとれば、相関が大きくなり、該車線利用率r1と上流の車線利用率r1′とが離れた値をとれば、相関が小さくなる。
【0029】
次に、相関を一定の基準値と比較する(ステップS4)。「相関」が「基準値」を下回れば突発事象が起こったと判断する。
このように相関を基準値と比較するのは、当該車線利用率r1と、上流の車線利用率r1′とが離れた値をとれば(つまり相関が小さい)、上流地点から当該地点まで、車線利用率に変化が起こり、その間に突発事象が起こったと判断できることに基づく。「基準値」として、経験上、区間内の突発事象の発生を精度よく検知できる値に選ぶとよい。
【0030】
基準値の選び方は、次の(1)交通状態(2)道路線形(3)車両感知器の設置間隔、に応じて自動的に決定される。
(1)交通状態
交通状態は、交通量Q(t)又は占有率 O(t)で判定する。交通量Q(t)や占有率O(t)が低いと、平常時でも当該車線利用率r1と上流の車線利用率r1′とが異なる値をとることが多くなる。したがって、相関が小さくなり、「基準値」を下げないと誤検知する可能性が高くなる。
【0031】
一方、交通量Q(t)や占有率 O(t)が大きいと、当該車線利用率r1と上流の車線利用率r1′とが似た値をとることが多くなる。したがって、相関が大きくなり、「基準値」を上げないと、検知漏れが多くなる。
(2)道路線形
合流道路、分岐道路のない区間であれば、平常時、当該車線利用率r1と上流の車線利用率r1′とが近い値をとる。したがって、相関が大きくなり、「基準値」を上げる。
【0032】
合流道路、分岐道路を含む区間であれば、平常時、当該車線利用率r1と上流の車線利用率r1′との相関は小さくなる。したがって、「基準値」を下げる。
(3)車両感知器の設置間隔
車両感知器の設置間隔が広いと、当該車線利用率r1と上流の車線利用率r1′との相関は小さくなる。したがって、「基準値」を下げる。車両感知器の設置間隔が狭いと、当該車線利用率r1と上流の車線利用率r1′との相関は大きくなる。したがって、「基準値」を上げる。
【0033】
上流地点との相関が基準値以下であれば(ステップS4のNO)、下流地点で設置された車両感知器5で検知された車線利用率との相関を算出する(ステップS5)。この場合基準値の選び方も、前述した(1)〜(3)に従って行う。
下流地点との相関も、基準値以下であれば(ステップS6のNO)、当該地点を含む区間で突発事象が発生したと判断する(ステップS7)。
上流地点との相関が基準値以上(相関があると判断された場合)であれば(ステップS4のYES)、上流地点から当該地点まで、車線利用率に変化がなく、その間に突発事象が起こったとは考えにくい。したがって、当該地点での突発事象発生の判定処理を停止する(この場合、当該地点より上流の地点で行われている突発事象発生監視処理において、突発事象の発生が検知される可能性がある)。
【0034】
下流地点との相関が一定の基準値以上(相関があると判断された場合)であれば(ステップS6のYES)、当該地点から下流地点まで、車線利用率に変化がなく、その間に突発事象が起こったとは考えにくい。したがってこの場合も、当該地点での突発事象発生の判定処理を停止する(この場合、当該地点より下流の地点で行われている突発事象発生監視処理において、突発事象の発生が検知されている可能性がある)。
【0035】
5.突発事象発生区間の特定
以上に説明した突発事象の発生が複数の区間で判定された場合、各区間における相関を比較して、もっとも相関の低い区間を突発事象発生区間として特定することができる。
図5は、突発事象発生区間を特定する処理を説明するためのフローチャートである。
【0036】
まず、4.で説明した突発事象発生判定処理を、それぞれの監視対象道路区間1,2,‥‥,i,‥‥で行う(ステップW1)。すべての監視対象道路区間1,2,‥‥,iで同処理が終了すれば(ステップW2のYES)、突発事象発生と判定された区間があるかどうか調べる(ステップW3)。そして、各区間で算出された相関を比較する(ステップW4)。この相関が最小を示す区間を、突発事象発生区間と特定する(ステップW5)。
【0037】
以下、相関の逆数を「評価値」ということにする。すなわち、評価値=1/(相関)。
図6は、5つの区間での検知処理結果から得られた評価値の時間推移を示すグラフである。このグラフによれば、事故は8時20分に発生し、各区間1〜3での評価値が上がっている。特に区間2の評価値が最大であるので、区間2が突発事象発生区間と特定することができる。
【0038】
6.情報伝達
以上のようにして突発事象の発生及びその発生区間が決定されると、交通管理センター10は、可変表示板6,9に、突発事象の発生を表示し、路側ビーコン7を通して車両に突発事象の発生を通知する。
この通知にあたっては、前記評価値を複数のしきい値と比較する。1つは「検知しきい値」であり、他の1つは「注意しきい値」である。「検知しきい値」>「注意しきい値」の関係がある。
【0039】
評価値が検知しきい値を超えていれば突発事象の発生尤度が十分に高く「突発事象発生」と判断する。この検知しきい値が高すぎると検知漏れが多くなり、検知しきい値が低すぎると誤検知が増える。この検知しきい値は、検知漏れ率や誤検知率の実績に基づき、自動的に決定されるようにしてもよい。
検知しきい値を超えていなければ、この評価値を注意しきい値と比較する。注意しきい値を超えていれば、突発事象の発生尤度が中程度に高く、「突発事象の発生の可能性が高い注意状態」と判断する。
【0040】
注意しきい値を超えていなければ、突発事象の発生尤度が低く、「突発事象の発生なし」と判断する。
「突発事象発生」と判定されていれば、交通管理センター10の出力処理部25は、可変表示板6,9に「この先事故・止まれ」のような運転者の警告を与えるメッセージを表示し、路側ビーコン7を通して車両にも危険区間である旨を通知する。
【0041】
「突発事象の発生の可能性が高い注意状態」と判定されていれば、出力処理部25は、可変表示板6,9に「前方注意」のように運転者の注意を喚起するようなメッセージを表示し、路側ビーコン7を通して車両にも走行注意区間である旨を通知する。
そして、これらの情報を通信回線を通して関係機関13や放送局14に連絡する。
【0042】
なお、すでに道路工事などが予定され、交通流の異常が予想されている場合は、出力処理部25は、当該時刻に突発事象の発生を判定しても、この判定に基づいて可変表示板6,9に突発事象の発生を表示することはなく、関係機関13や放送局14に連絡することもない。
以上で本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記に限られるものではない。前記の例では、高速道路を想定していたが、一般道路であってもよい。また、複数埋め込み式の車両感知器5に代えて、道路の脇に設置されるドップラー式の車両感知器を用いてもよい。また、道路にテレビカメラを設置して画像処理により車両通過台数と通過速度、空間占有率などを検知してもよい。
【0043】
また、3車線の道路でも本発明は適用できる。この場合、各車線の車線利用率r1(t),r2(t),r3(t)は、全車線の交通量に対する当該車線の交通量の比で定義してもよく、全車線の占有率に対する当該車線の占有率の比で定義してもよい。前者の場合、
r1(t)=Q1(t)/Q(t),
r2(t)=Q2(t)/Q(t)
r3(t)=Q3(t)/Q(t)
Q(t)=Q1(t)+Q2(t)+Q3(t)
である。後者の場合、
r1(t)=O1(t)/3O(t),
r2(t)=O2(t)/3O(t)
r3(t)=O3(t)/3O(t)
O(t)=[O1(t)+O2(t)+O3(t)]/3
である。4車線以上ある道路においても、各車線の車線利用率が定義できる。
【0044】
【実施例】
高速道路に、車両感知器を設置し、車両感知器の感知信号に基づいて、左側車線の車両利用率r1を算出した。
図7は、事故の発生した日に算出された車線利用率r1の変動を示すグラフである。太い実線は事故発生地点の上流500m、細い実線は事故発生地点の下流100mの測定結果を示す。
【0045】
事故の起こった時刻13時25分よりも前は、車線利用率r1は、いずれの地点でも、0.5前後で安定している。しかし、事故の起こった時刻13時25分の後、車線利用率r1は上昇していく。14時頃になれば、事故発生地点の下流100mの車線利用率r1は高いが、事故発生地点の上流500mでの車線利用率r1は下がってきて、両者の相関が小さくなってくる。
なお、14時20分ごろ、事故発生地点の下流100mの車線利用率r1が0になっているが、これは、事故処理のため車線通行規制が行われたことを示している。
【0046】
したがって、車線利用率に着目する本発明により、事故の発生が良好な精度で予測可能であることが、裏付けられたといえる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明の交通流の異常検知装置によれば、道路上の車線利用率の変動に着目することにより、道路上の突発事象の発生及びその発生区間を精度よく検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】交通流の異常検知をするための交通流監視システムを示す概略図である。
【図2】交通管理センター10のコンピュータ11の機能ブロック図である。
【図3】判定部22が行う突発事象発生を監視する処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】道路上に突発事象が発生していないときの、交通量と車線利用率との関係をグラフである。
【図5】突発事象発生区間を特定する処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】5つの区間での検知処理結果から得られた評価値の時間推移を示すグラフである。
【図7】実際に事故の発生した日に算出された車線利用率r1の変動を示すグラフである。
【図8】2車線の道路において、左車線に事故が発生して、右車線のみの通行になった例を示す図である。
【符号の説明】
1 高速道路
2 一般道路
3 車両感知器
4 一次処理装置
5 車両感知器
6 可変表示板
7 路側ビーコン
9 可変表示板
10 交通管理センター
11 コンピュータ
13 関係機関
14 放送局
21 入力処理部
22 判定部
25 出力処理部

Claims (8)

  1. 道路を走行する車両を計測する車両計測手段と、
    車両計測手段の計測結果に基づいて、複数車線道路の、任意の車線に着目した車線利用率を算出する車線利用率算出手段と、
    車線利用率算出手段により算出された車線利用率に基づいて道路上の突発事象の発生を検知する交通流監視手段とを有し、
    前記交通流監視手段は、一つの車両計測手段の設置地点の車線利用率と、当該車両計測手段の設置地点の上流又は下流で観測された車線利用率との相関を算出し、相関が基準値よりも低い場合に、当該設置地点と上流地点との間、又は当該設置地点と下流地点との間で、道路上の突発事象の発生を検知することを特徴とする交通流の異常検知装置。
  2. 車線利用率算出手段は、車線ごとの道路の交通量に基づいて車線利用率を算出するものである請求項1記載の交通流の異常検知装置。
  3. 車線利用率算出手段は、車線ごとの道路の占有率に基づいて車線利用率を算出するものである請求項1記載の交通流の異常検知装置。
  4. 前記基準値は、交通状態、道路線形、又は車両計測手段の設置間隔に応じて決定され、記憶されている値である請求項1記載の交通流の異常検知装置。
  5. 交通流監視手段により道路上の突発事象が検知された場合に、その突発事象の発生を外部に知らせる情報提供手段をさらに有することを特徴とする請求項1の交通流の異常検知装置。
  6. 情報提供手段は、当該地域内若しくは当該区間内を走行する車両、又は当該地域内若しくは当該区間内への走行が予想される車両に対して情報を提供するものであることを特徴とする請求項記載の交通流の異常検知装置。
  7. 前記交通流監視手段は、判定の基礎となった前記相関の逆数(評価値という)の大きさに応じて、段階的な判定を行い、前記情報提供手段は、この交通流監視手段による段階的な判定の結果によって異常情報の内容を変えることを特徴とする請求項記載の交通流の異常検知装置。
  8. 道路を走行する車両を計測し、
    この計測結果に基づいて、複数車線道路の、任意の車線に着目した車線利用率を算出し、
    一つの車両計測地点の車線利用率と、当該車両計測地点の上流又は下流で観測された車線利用率との相関を算出し、
    相関が基準値よりも低い場合に、当該地点と上流地点との間、又は当該地点と下流地点との間において、道路上の突発事象の発生を検知することを特徴とする交通流の異常検知方法。
JP2001211154A 2000-09-13 2001-07-11 交通流の異常検知装置及び方法 Expired - Fee Related JP3963085B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001211154A JP3963085B2 (ja) 2000-09-13 2001-07-11 交通流の異常検知装置及び方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000278352 2000-09-13
JP2000-278352 2000-09-13
JP2001211154A JP3963085B2 (ja) 2000-09-13 2001-07-11 交通流の異常検知装置及び方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002163754A JP2002163754A (ja) 2002-06-07
JP3963085B2 true JP3963085B2 (ja) 2007-08-22

Family

ID=26599910

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001211154A Expired - Fee Related JP3963085B2 (ja) 2000-09-13 2001-07-11 交通流の異常検知装置及び方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3963085B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5741954B2 (ja) * 2012-02-17 2015-07-01 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 交通情報配信システム、ナビゲーションシステム、交通情報配信プログラム、及び交通情報配信方法
KR101936659B1 (ko) * 2016-12-01 2019-01-09 주식회사 스마트비전 터널 내 교통 상황 통지 장치 및 방법
CN112071091B (zh) * 2019-06-10 2023-01-17 张雷 一种协同智慧互通管控方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002163754A (ja) 2002-06-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3758534B2 (ja) 交通流の異常検知装置及び方法
CN111712862B (zh) 用于生成交通量或交通密度数据的方法和***
Qiu et al. Estimation of freeway traffic density with loop detector and probe vehicle data
CN104008648A (zh) 一种基于雷达跟踪技术的拥堵引发点监测***及方法
US20210043076A1 (en) Traffic monitoring apparatus, traffic monitoring system, traffic monitoring method, and non-transitory computer readable medium storing program
JP6690702B2 (ja) 異常走行検出装置、異常走行検出方法とそのプログラム
KR101944048B1 (ko) 지능형 교통 서비스 시스템 및 방법
KR101936659B1 (ko) 터널 내 교통 상황 통지 장치 및 방법
CN109637127B (zh) 一种信号灯近似时长的确定方法及***
Margreiter Automatic incident detection based on bluetooth detection in northern Bavaria
US9783101B2 (en) Vehicle turning alarm method and vehicle turning alarm device
CN106228818A (zh) 一种利用平面感知技术的快速路车道信号灯控制方法及***
JP3876653B2 (ja) 交通流の異常検知装置及び方法
JP3753014B2 (ja) 交通流の異常検知装置及び方法
JP2019087037A (ja) 情報伝達システム
JP2016133942A (ja) 交通指標算出装置、交通指標算出方法及びコンピュータプログラム
Versavel Road safety through video detection
JP3963085B2 (ja) 交通流の異常検知装置及び方法
JP3552991B2 (ja) 交通渋滞緩和システム
JP4030354B2 (ja) 突発事象検出装置
JP2893544B2 (ja) 異常交通流の検出装置
Luk et al. Characterization of incidents on an urban arterial road
Monsere et al. Validating dynamic message sign freeway travel time messages with ground truth geospatial data
Knoop et al. Relationship between application scale and maximum time latency in intelligent transport solutions
JP2006195657A (ja) 交通情報提供方法及び装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050517

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050607

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050802

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060606

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060804

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070306

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070406

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070501

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070514

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110601

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110601

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120601

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130601

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees