JP3963024B2 - クラッチレリーズ軸受装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はクラッチレリーズ軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両等に搭載され摩擦板を用いた動力断続装置であるクラッチを動作させる場合において、入力部材であるシフトフォークでクラッチカバーのダイヤフラムスプリングを軸線方向に押圧することにより、スプリングの付勢力を摩擦板から解除して動力伝達の切り離しが行なわれている。
【0003】
ところで、シフトフォークは車体等の固定側に通常配置されているが、クラッチカバーはエンジンのフライホイール等に取り付けられてそれと一体的に回転するようになっている。従って、クラッチカバーのダイヤフラムスプリングをシフトフォークが直に押圧するとなると、当接部の摩耗を招来することとなる。そこで、ダイヤフラムスプリングに当接して一体的に回転する回転輪を含むクラッチレリーズ軸受と、この軸受を所定の状態に保持すると共にシフトフォークからの入力を受けるようになっている回転しない軸受保持部材とからなるクラッチレリーズ軸受装置を、例えば特開平7−286629号に示されているように、ダイヤフラムスプリングとシフトフォークとの間に設けている。
【0004】
この特開平7−286629号に開示されたクラッチレリーズ軸受装置においては、軸受の内輪の先端部がダイヤフラムスプリングに対向し、一方軸受の外輪の後端がガイドスリーブのフランジ部と当接している。更に、ばね部材により外輪とフランジ部とを軸線方向に挟み込むようにして、軸受はガイドスリーブに取り付けられている。シフトフォークの先端によりガイドスリーブのフランジ部がばね部材を介して後方から押されれば、内輪先端部がダイヤフラムスプリングに当接するよう、軸受装置全体が軸線方向に移動可能となっている。
【0005】
ここで軸受外輪は、ガイドスリーブのフランジ部に対して半径方向に移動自在となるよう、ばね部材によって付勢され弾性的に支持されているため、ガイドスリーブのフランジ部が後方よりシフトフォークに押されて軸受の外輪がクラッチのダイヤフラムスプリングに当接したときに、互いの間に偏心があっても、自動的に軸受が調心されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図15に、かかる従来技術の構成によるクラッチレリーズ軸受装置の一部断面を示す。ここで、ばね部材530は略U字形状であり、その頂面はフラットになっている。従って、ばね部材530の外輪512側端部に半径方向に力Fを印加すると、ばね部材530とフランジ部522との係合点Pを支点として、比較的大きなモーメントMが生じ、よってばね部材530が変形することにより容易に外れてしまう恐れがある。
【0007】
本願発明の目的は、外輪に不用意に半径方向の力が印加されても、容易に脱落することのないばね部材を設けたクラッチレリーズ軸受装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決する手段】
上記目的を達成すべく、本願発明のクラッチレリーズ軸受装置は、
互いに同心的に配置されかつ相対回転する内輪及び外輪を含み、一方の輪が固定され、回転する他方の輪がクラッチ装置の回転部材に当接するようになっているクラッチレリーズ軸受と、
ガイド軸上に摺動自在に嵌合された円筒部と、外方延在部とを備える軸受保持手段と、
前記軸受保持手段に対して、前記クラッチレリーズ軸受の前記一方の輪を半径方向に移動可能となるよう保持する円周方向に複数配設された連結部材とからなっているクラッチレリーズ軸受装置において、
前記連結部材は、前記保持手段の外方延在部の軸方向両側面をすきまで挟み込む第一の幅を有する凹部と前記第一の幅よりも半径方向小径側で第一の幅より大きい第二の幅を有する凹部の異なる2以上の軸方向の幅を有する凹部を有し、
前記連結部材の前記第二の幅を有する凹部の一方の端部は、前記外方延在部に半径方向大径側にスライド不能に係合しており、前記連結部材の前記第二の幅を有する凹部の他方の端部は、前記クラッチレリーズ軸受の静止輪に係合し、前記外方延在部と前記静止輪とが近接する方向に押圧力を印加するようになっており、
前記連結部材の静止輪側の端部に、半径方向大径側に向かう力が印加されたときに、前記連結部材が、前記連結部材と前記保持部材の外方延在部との係合部を支点にして傾くことによって、前記端部が前記静止輪から外れる前に、前記第一の幅を有する凹部の内面が前記外方延在部と接触し、それにより前記連結部材の傾きが制限されるようになっている。
【0009】
【発明の実施の形態】
本願発明のクラッチレリーズ軸受によれば、前記連結部材の静止輪側の端部に、半径方向に力が印加されたときに、前記連結部材が、前記連結部材と前記保持部材の外方延在部との係合部を支点にして傾くことによって、前記端部が前記静止輪から外れる前に、前記第一の凹部の一つが前記外方延在部と接触し、それにより前記連結部材の傾きが制限されるようになっている。前記連結部材は、その傾きが制限されれば容易に脱落することがなくなる。
【0010】
【実施例】
以下、本願発明の実施例を図面を参照して以下に詳細に説明する。
図1は、本願発明の実施例であるクラッチレリーズ軸受装置をシフトフォーク側から見た図である。図2は、図1のII-II線に沿って切断して矢印方向に見た軸線方向断面図である。
【0011】
図2において、クラッチレリーズ装置は、クラッチレリーズ軸受10と、軸受保持手段であるガイドスリーブ20と、連結部材であるばね部材30とからなる。クラッチレリーズ軸受10は、左方端に当接部11aを有する略円管状の内輪11と、内輪11を同心的に内包する短い円管状の外輪12と、内輪11と外輪12との間に転動自在に配置された複数のボール15と、ボール15を所定間隔で保持する保持器16と、ボール15の軸線方向両側で内輪11と外輪12とにより画成される空間を防塵油密的に密封するシール17、18とからなる。内輪11は外輪12に対して回転自在に支持されている。また内輪11の当接部11aは、半径方向外方にめくれたような形状をしており、図示しないクラッチカバーのダイヤフラムスプリングに当接するようになっている。また、内輪11の当接部11aと反対側の端部はプレスによるブランク加工のままとし、切削加工を行わず製作コストを安くするようにしている。
【0012】
一方、ガイドスリーブ20は樹脂製であって、円管状の本体21と、本体21の中央近傍の外周から半径方向に延在するフランジ部(外方延在部)22と、フランジ部22の半径方向外方端において軸線方向左方に突出する外壁部23と、フランジ部22の半径方向外方端において軸線方向に突出するガイド部25(図1)とからなる。本体21の内方には図示しないガイド軸が延在しており、本体21はガイド軸上を摺動自在となっている。なお、本体21の内方には拡径部24が設けられている。この拡径部24は、本体21がガイド軸上を摺動する際に異物を噛みこまないように機能するものである。外壁部23は、クラッチレリーズ軸受10の外方に設けられ、その半径方向の移動制限部となっている。また、クラッチレリーズ軸受10を半径方向に移動可能とするため、外輪12の外周と外壁23の内周との間には隙間27が形成されている。フランジ部22の中程には、水平溝26が設けられており、この水平溝26にはシフトフォークを固定するクリップ(不図示)が挿入されるようになっている。
【0013】
更に、フランジ部22は、ばね部材30の取付部に半径方向に延在する外方突起22hを有する。ばね部材30と外方突起22hとの間には、スキマΔが存在する。ばね部材30における外輪12の当接面の、鉛直方向に対する傾き角αは0ないし5度である。
【0014】
図3は、ガイドスリーブ20を図1と同一方向に見た図であり、図4は、図3のガイドスリーブ20をIV方向に見た部分拡大図である。図3において、ガイドスリーブ20のフランジ部22の水平方向端部には、突起22fが形成されている。また、フランジ部22には、ばね部材30の取付位置に形成されたストッパ22gと、一対の突起22cが形成されている。フランジ部22の内方略全面部22aは、後述する補強部材40の板厚・形状に合わせてフランジ部22の周辺より低くなっているが、ばね部材30の嵌合する部分22bは、それより高くなっている。ガイド部25はばね部材30の組付時にガイドの機能を有するものであり、図4に示すようにばね部材30の両わきを軸線方向に延在している。
【0015】
図1より明らかなように、同一形状のものが2つ設けられたばね部材30は、クラッチレリーズ軸受10をガイドスリーブ20に対して取り付ける機能を有する。図5は、ばね部材30の斜視図である。ばね部材30は、一枚のSK5等のばね鋼板をプレスで打ち抜いた後折り曲げその後焼入処理することによって形成されている。ばね部材30は、ガイドスリーブ20のフランジ部に当接するベース部31と、軸受の外輪12に当接する押圧部32と、ベース部31と押圧部32との間に設けられ、押圧部32に外輪12を付勢するための弾性力を付与する梁部33とからなっている。なお、押圧部32はシール17に接触しないように、またばね部材30の組付を容易にすべく、軸線方向外方に傾斜した傾斜部32aを有する。
【0016】
更にばね部材30は、ベース部31と梁部33との略中間において、半径方向に突出するように形成された凸部34を有し、この凸部34は、ガイドスリーブ20のフランジ22部の端部に対応している。また、ベース部31の両側部31aにおける下方端近傍においては、切欠き37が形成され、更にその下縁部31bには、比較的大きな切欠き38が形成されている。切欠き38と下縁部31bとの交差部には、面取り39が形成されている。ここで凸部34の内側が第1の凹部30aとなり、ベース部31と押圧部32との間が第2の凹部30bとなる。
【0017】
図6は、補強部材40の斜視図である。補強部材40は、円筒部41と、円筒部41の略中央から上方および下方へ突出した板状のアンビル部42と、円筒部41の端部から半径方向に延在するフランジ部43とからなり、比較的肉厚の薄い板をプレスし、その後アンビル部42をチタンコーティングしている。これによりシフトフォークとの接触部にて著しい摩耗が発生しないようにしている。
【0018】
円筒部41は、ガイドスリーブ20に取り付けられた際に本体21に丁度嵌合する径を有し、それにより補強部材40の半径方向の位置決めが達成されるようになっている。円筒部41の上方および下方は、アンビル部42と対応するように延長されて矩形部41aを形成している。この矩形部41aは、シフトフォークをガイドする機能と、アンビル部の剛性を確保する機能とを有する。アンビル部42とフランジ部43との間には段差が形成されている。
【0019】
補強部材40のフランジ部43には、円周部に矩形状切欠43aが形成されており、この切欠43aは取付時に、ガイドスリーブ20のフランジ部22の対応する位置に形成された突起22fと係合して、補強部材40の回り止めを達成している。更に、フランジ部43には、ガイドスリーブ20の突起22cとストッパ22g及び部分22bを貫通させるためのC字形切欠き43bが形成されている。
【0020】
尚、ガイドスリーブ20のストッパ22gは、図1から明らかなように、ばね部材30をガイドスリーブ20に取り付ける際に、ばね部材30の切欠き38に係合して、それ以上ばね部材30が内方に押し込まれることを防止するよう機能する。ばね部材30の面取り39は、その挿入を容易にする機能を有する。
【0021】
図7は、図1のVII-VII線に沿って切断した部分を拡大して矢印方向に見た図である。ガイドスリーブ20のフランジ部22には、更に突起22cが形成されている。突起22cは、斜面22dと台部22eとからなっており、ばね部材30が装着された際に切欠き37に係合する形状となっている。フランジ部22の部分22a(図3)と22bの段差は補強部材40の板厚より大きいため、そこに補強部材40をセットすると、ばね部材30と補強部材40との間にスキマδが生ずるようになっている。
【0022】
次に、本願発明の実施例であるクラッチレリーズ軸受装置の動作につき以下に説明する。
図1において、図示しないシフトフォークが枢動して、その先端が補強部材40のアンビル部42に当接して一定の荷重を印加する。補強部材40の板厚は比較的厚くその剛性も十分であるため、シフトフォークより受ける大荷重を受けることができる。シフトフォークとアンビル部42の接触は滑り接触であるが、アンビル部42はチタンコーティングされているので摩耗は小さく抑えられる。クラッチレリーズ軸受装置は、シフトフォークからの入力により図示しないガイド軸上を軸線方向に摺動して、図示しないクラッチカバーのダイヤフラムスプリングに内輪11の当接部11aを当接させる。ダイヤフラムスプリングが回転していても、内輪11は回転自在であるので、当接後にダイヤフラムスプリングと一体で回転することとなり、更に軸受装置が軸線方向に移動することによりダイヤフラムスプリングが押圧されてクラッチが動作されるようになっている。
【0023】
ばね部材30は適切な板厚となっていて、ガイドスリーブ20に対してクラッチレリーズ軸受10を、押圧部32と外輪12との間に作用する摩擦力のみで支持しているため、軸受10はガイドスリーブ20に対して半径方向に移動可能となっている。従って、内輪11の当接部11aがダイヤフラムスプリングに当接したとき、両者の間に偏心があれば、軸受10を同心に位置させようとする公知の力が生じ、それにより軸受10は半径方向に移動して、自動調心が達成されることとなる。なお、ガイドスリーブ20の外壁部23は、軸受10が所定量以上半径方向外方に移動しないよう制限する機能を有する。また、一般の玉軸受の外輪にはフランジがないタイプが多いので、本実施例のように外輪をばね部材30で挟みこむように構成すれば、外輪自体を改造する必要がなく既存のものを使用でき、コスト低減に寄与しうる。
【0024】
ばね部材30と補強部材40とは、図7に示すようにスキマδが生ずる程度に離隔しているため、クラッチレリーズ動作に伴いシフトフォークから補強部材40に軸線に直角な方向の力が印加された場合でも、かかる力はばね部材30に伝達されることはない。したがって、ばね部材30は、シフトフォークからの力で変形等することはない。
【0025】
次に、クラッチレリーズ軸受装置の組付方法について説明する。 ガイドスリーブ20の本体21の周囲に、クラッチレリーズ軸受10および補強部材40が配置された後、図1の斜め上方及び斜め下方からばね部材30が、ガイドスリーブ20のガイド部25にガイドされつつ挿入される。ばね部材30は外周の一方向から挿入できるようにしているため、組付が容易となっている。ばね部材30は、ガイドスリーブ20の突起22cを弾性変形しながら乗り越えて、切欠き37が突起22cに係合し、かつ切欠き38がストッパ22gに当接した段階で所定の形状に戻り、組付が完了する。斜面22dの作用によりばね部材30の挿入は比較的容易に行われるが、一旦係合した後は台部22eの作用により不用意に抜けないように構成されている。
【0026】
ところで、ばね部材30の剛性が高すぎると、ガイドスリーブ20は樹脂性であることから、突起乗り上げ時に突起22cを削ってしまう恐れがあるので、適切な剛性とすることが必要である。そこで、図5に示すように、本実施例においては、l1=5ないし8mm、l2=3ないし4mm、l3=1.5ないし2.5mm 、l4=2ないし4mm、l5=0.5ないし1.5mmとし、適切な剛性を得ている。かかる場合、突起22cの高さを0.6ないし0.9mm、ばね部材30の板厚を0.6ないし0.9mmとすれば適切な剛性が得られるので、ばね部材30の組付時に突起22cが削られることがない。
【0027】
図8は、図2のクラッチレリーズ軸受において、ばね部材30の近傍を取り出して拡大した図である。図8において、ばね部材30の押圧部32近傍に半径方向の力Fが印加されたとすると、ばね部材30は反時計まわりのモーメントを受けて、押圧部32が軸受外輪12から離隔する方向に曲がろうとする。しかしながら、スキマΔ(図2)が適切な値となっているため、かかる場合にはばね部材30の押圧部32が軸受外輪12から外れる前に、凸部34の内面つまり第1の凹部30aが外方突起22hと干渉し、それ以上の曲がりを制限することになる。これにより、押圧部32が外輪12から離隔することを防止し、もってばね部材30が脱落することを防止するものである。
なお、本実施例ではばね部材30と外方突起22hとの間にスキマを持たせた構造にしてあるが、組込み状態でスキマなく当初から接触している構造にすることも可能である。ただし、この場合にはばね部材30に過大な応力が働かないように、また、しめ代が大きくなり過ぎないように考慮する必要がある。つまり、大きな荷重を負荷して無理にばね部材を抜こうとするとガイドスリーブ20の外方突起22hがせん断されてばね部材30が脱落してしまうおそれがあるが、ガイドスリーブ20の外方突起22hのせん断を受ける面積が大きくなるように設計すれば、ばね部材30が壊れるまで大きな荷重を負荷しても脱落しないようにすることができる。
【0028】
ところで、従来構造によるクラッチレリーズ軸受装置の場合、軸受外輪12の肉厚が薄いと、許容偏心量の範囲内で軸受10を動かしたとき、ばね部材30の先端の押圧部32が外輪12の内径から外れて(つまり内側に落ち込んで)しまうことがある。ばね部材30の全てが同じような接触状態(先端32a全周が内側に落ち込んだ状態)になれば、外輪12はどちらの方向にもスムーズに動けるようになる。しかしながら、ばね部材30と内輪11とが干渉しないような寸法としているため、押圧部32が外れた部分と180度反対側の押圧部32は、外輪12の端面から外れないこととなる。このような状態になると、軸受外輪12は、抵抗の大きい方(すなわちばね部材を押し広げる方向)には動きにくくなり、このため調心機能が十分発揮できない恐れがある。
【0029】
そこで、本実施例においては、図2に示すようにばね部材30の取付状態において、押圧部32の鉛直方向に対する角度(接触角)αを0ないし5度として、いかなる半径方向に外輪12が移動しても、押圧部32の先端32aが外輪12の内径側に落ち込まないようにしている。また、ばね部材の断面高さを小さくできるので、ばね部材30と内輪11との干渉がないよう設計することが容易となる。なお、あまり大きな接触角は問題があるので、5度程度にとどめるのが好ましい。
【0030】
図9は、本願発明の第2の実施例のクラッチレリーズ軸受装置を示す、図2と同様な断面図である。図9の実施例は図2の実施例とほぼ同様であるが、外方突起122hの突出量Lが、図2の外方突起22hの突出量lよりも大きい点において相違する。これにより、ばね部材30と外方突起22hとのスキマΔが、図2の実施例と同一であっても、押圧部32に半径方向力が印加されたとき、ばね部材30の傾きは比較的小さく抑えることができる。
【0031】
更に、本願発明の第3の実施例を図面を参照して以下に詳細に説明する。
図10は、本願発明の第3の実施例であるクラッチレリーズ軸受装置をシフトフォーク側から見た図である。図11は、図10のXI-XI 線に沿って切断して矢印方向に見た軸線方向断面図である。
【0032】
第3の実施例が上述した実施例と最も異なるのは、補強部材140の形状である。図12は、補強部材140の斜視図である。図12において、補強部材140は、大円筒141と小円筒142を直列に連結し、それに断面がC字形状のアーム143、144を両わきに連結した構成となっている。大円筒141は、その外周から頂面にかけて2つの切欠145、146を形成している。また、アーム143、144の自由端からは、軸線方向に鈎状のタブ143a、144aがそれぞれ延在している。なお、補強部材140はプレス加工を容易とすべく、SPCC等の軟鋼から形成されており、タブ143a、144aは摩耗等を防止すべく浸炭窒化処理がされている。
【0033】
第3の実施例は、シフトフォークとの接触部がシフトフォークの強度上のバックアップとなるガイドスリーブ20の外径よりも外側に配置された場合、すなわち図11の点Psにおいてシフトフォークが当接するような場合に、より効果的である。補強部材140の小円筒142の内径は本体21の外径にほぼ等しく、大円筒141の内径はフランジ部22の外径にほぼ等しくなっており、図11に示すように、ガイドスリーブ20と嵌合してすっぽりと包み込むような形状となっている。
【0034】
本実施例においてばね部材30は、スリーブ部材20と軸受外輪12とを連結するので、図10に示すように、補強部材140の切欠145、146内にばね部材30を設置することとなる。この切欠の存在により、補強部材140の強度低下が予想されるので、中央の開口を軸線方向に折り曲げることによって小円筒142を形成し、強度を向上させている。
【0035】
図13は、本願発明の第4の実施例のクラッチレリーズ軸受を示す、図2と同様な断面図である。図14は、図13のクラッチレリーズ軸受を矢印XIV から見た部分図である。図13、14の実施例は図2の実施例とほぼ同様であるが、補強部材240の形状、ばね部材230の形状が若干相違する。より具体的には、補強部材14の外周部240bが外方に突出し、かつシフトフォーク側の面にプレスにより形成された2つの突起240aが設けられ、一方ばね部材230にはこれに対応する部分に切欠230aのみが設けられている。突起240aは、尖った工具により裏面から押されることにより形成され、半径方向内方に向かって立ち上がる形状となっている。尚、本実施例においては、軸受保持手段はガイドスリーブ20と補強部材240とで構成し、外方延在部は突起240aにより構成する。
【0036】
ばね部材230を補強部材240に挿入すると、ばね部材230は、突起240aを弾性変形しながら乗り越えて、切欠き230aが突起240aに係合した段階で所定の形状に戻り、組付が完了する。突起240aの形状によりばね部材230の挿入は比較的容易に行われるが、一旦係合した後は不用意に抜けないように構成されている。
【0037】
一方、ばね部材230の押圧部232近傍に半径方向の力Fが印加されたとすると、ばね部材230は反時計まわりのモーメントを受けて、押圧部232が軸受外輪12から離隔する方向に曲がろうとする。しかしながら、スキマΔ(図13)が適切な値となっているため、かかる場合にはばね部材230の押圧部232が軸受外輪12から外れる前に、軸受保持手段を構成している補強部材の外周部240bがばね部材230と干渉し、それ以上の曲がりを制限することになる。これにより、押圧部232が外輪12から離隔することを防止し、もってばね部材230が脱落することを防止するものである。
【0038】
以上、本発明を実施例を参照して説明してきたが、本発明は上記実施例に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、ばね部材は2つでなく3つでもよい。また、連結部材の凹部は曲線形状になっていて、図16に示すように局部的な最小幅が2つ以上有する構造にすることも可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本願発明のクラッチレリーズ軸受によれば、前記連結部材の静止輪側の端部に、半径方向に力が印加されたときに、前記連結部材が、前記連結部材と前記保持部材の外方延在部との係合部を支点にして傾くことによって、前記端部が前記静止輪から外れる前に、前記第一の凹部の一つが前記外方延在部と接触し、それにより前記連結部材の傾きが制限されるようになっている。前記連結部材は、その傾きが制限されれば容易に脱落することがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例であるクラッチレリーズ軸受装置をシフトフォーク側から見た図である。
【図2】図1のII-II線に沿って切断して矢印方向に見た軸線方向断面図である。
【図3】ガイドスリーブ20を図1と同一方向に見た図である。
【図4】図3のガイドスリーブ20をIV方向に見た部分拡大図である。
【図5】ばね部材30の拡大斜視図である。
【図6】補強部材40の斜視図である。
【図7】図1のVII-VII線に沿って切断した部分を拡大して矢印方向に見た図である。
【図8】図2のクラッチレリーズ軸受において、ばね部材30の近傍を取り出して拡大した図である。
【図9】本願発明の第2の実施例のクラッチレリーズ軸受装置を示す、図2と同様な断面図である。
【図10】本願発明の実施例であるクラッチレリーズ軸受装置をシフトフォーク側から見た図である。
【図11】図10のXI-XI線に沿って切断して矢印方向に見た軸線方向断面図である。
【図12】補強部材140の斜視図である。
【図13】本願発明の第4の実施例のクラッチレリーズ軸受を示す、図2と同様な断面図である。
【図14】図13のクラッチレリーズ軸受を矢印XIVから見た部分図である。
【図15】従来技術による構成において、ばね部材が脱落することを示す図である。
【図16】連結部材の他の例を示す図である。
【符号の説明】
10………クラッチレリーズ軸受
20………ガイドスリーブ
30、230………ばね部材
40、140、240………補強部材

Claims (1)

  1. 互いに同心的に配置されかつ相対回転する内輪及び外輪を含み、一方の輪が固定され、回転する他方の輪がクラッチ装置の回転部材に当接するようになっているクラッチレリーズ軸受と、
    ガイド軸上に摺動自在に嵌合された円筒部と、外方延在部とを備える軸受保持手段と、
    前記軸受保持手段に対して、前記クラッチレリーズ軸受の前記一方の輪を半径方向に移動可能となるよう保持する円周方向に複数配設された連結部材とからなっているクラッチレリーズ軸受装置において、
    前記連結部材は、前記保持手段の外方延在部の軸方向両側面をすきまで挟み込む第一の幅を有する凹部と前記第一の幅よりも半径方向小径側で第一の幅より大きい第二の幅を有する凹部の異なる2以上の軸方向の幅を有する凹部を有し、
    前記連結部材の前記第二の幅を有する凹部の一方の端部は、前記外方延在部に半径方向大径側にスライド不能に係合しており、前記連結部材の前記第二の幅を有する凹部の他方の端部は、前記クラッチレリーズ軸受の静止輪に係合し、前記外方延在部と前記静止輪とが近接する方向に押圧力を印加するようになっており、
    前記連結部材の静止輪側の端部に、半径方向大径側に向かう力が印加されたときに、前記連結部材が、前記連結部材と前記保持部材の外方延在部との係合部を支点にして傾くことによって、前記端部が前記静止輪から外れる前に、前記第一の幅を有する凹部の内面が前記外方延在部と接触し、それにより前記連結部材の傾きが制限されるようになっているクラッチレリーズ軸受装置。
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