JP3959830B2 - 重金属処理剤及びこれを用いた処理方法 - Google Patents

重金属処理剤及びこれを用いた処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重金属を含有する固体廃棄物、例えば、ゴミ焼却場から排出される焼却灰及び飛灰、鉱山及び金属精錬所より排出される鉱滓、重金属で汚染された土壌、排水処理後に生ずる汚泥等に含有する鉛、水銀、クロム、カドミウム、亜鉛及び銅等の有害な重金属をより簡便に固定化し、不溶出化することを可能にする方法に関するものである。
【0002】
殊に都市ゴミや産業廃棄物などの焼却プラントからの焼却灰、飛灰を処理するまたは、焼却プラントの燃焼排ガス中に含まれる重金属を処理するに好適な方法を提供する。
【0003】
【従来の技術】
近年、廃水中や固体廃棄物中の重金属を捕集、固定化する方法として、アミン誘導体を用いる方法が提案されている。殊に、アミン誘導体の内、ジチオカルバミン酸及びその塩を用いる処理方法については、数多くの提案がなされており、廃水処理分野においては、特公昭56−39358号公報、特公平4−32717号公報等が挙げられる。
【0004】
これらの廃水処理分野で培われたジチオカルバミン酸塩に関する技術は、重金属含有固体廃棄物の処理に応用されている。具体的な重金属含有固体廃棄物の例としては、都市ゴミや産業廃棄物などの焼却プラントから排出される焼却灰や飛灰が挙げられる。飛灰は電気集塵機(EP)やバグフィルター(BF)で捕集されたのち埋め立てや海洋投棄されているが、これらの飛灰は有害な重金属を多く含んでおり、埋め立て地からの雨水等による鉛、水銀等の溶出は環境汚染の可能性がある。このため飛灰は特別管理廃棄物に指定され、「セメント固化法」、 「酸その他の溶剤による抽出法」、「溶融固定化法」あるいは「薬剤添加法」のいずれかの処理を施した後、廃棄することが義務づけられている。
【0005】
このうち薬剤添加法は他の方法に比べ、一般に、装置ならびに取扱いが簡便なため、種々の提案がなされている。例えば、ポリエチレンイミン等のポリアミンを原料とするジチオカルバミン酸塩に無機硫化物を併用する方法が特開平5−50055号公報等に開示され、低分子ポリアミンのジチオカルバミン酸塩と高分子ポリアミンのジチオカルバミン酸塩を併用する方法が特開平3−231921号公報に開示されている。さらに低分子ポリアミンのジチオカルバミン酸塩の単独使用については、ジエチレントリアミンを原料とするジチオカルバミン酸塩を使用する方法が特開平6−79254号公報に開示されている。しかしながら、これらの方法では、加湿水及び薬剤と飛灰との混練時に発生する熱によって、混練系内が温度上昇し、ジチオカルバミン酸塩分解を誘発する場合があり、このため、硫化水素及び二硫化炭素等の有害ガス発生や薬剤の重金属処理能の低下を招くことがあった。
【0006】
さらに特開平5−92122号公報及び特開平5−208117号公報においては、焼却プラントの200〜300℃の高温の煙道排ガス中にジチオカルバミン酸系化合物、チオ−ル系化合物、メルカプタン系化合物等を噴霧し、重金属、特に水銀を除去する方法が提案されている。しかしながら、本発明者らの知見によれば、ジチオカルバミン酸塩の分解温度は、窒素中でさえも、190℃であり、本化合物を高酸化条件にある煙道に噴霧した場合には、その分解物質である硫化水素ガス及び二硫化炭素ガスの発生が著しく、有害であり、かつ装置腐食が甚だしい。
【0007】
また、ジチオカルバミン酸系飛灰処理剤に代表される有機薬剤は、重金属固定化能が高いと言う反面、生成した有機キレ−ト錯体を保持するマトリックスが、飛灰自身以外に無く、長期保存安定性が十分に期待できるのか問題を残している。
【0008】
さらに飛灰処理に関しては、EP或いはBF捕集などによるばいじん対策以外に、排ガス及びダイオキシン対策が必要であり、これらの対策によっては得られる飛灰の性状が大きく異なる。高アルカリ性飛灰においては重金属溶出量が多くなる、特にアルカリ性領域での鉛の溶出量が増大することが知られている。このような飛灰の重金属固定化のためには、従来の薬剤ではその使用量を大幅に増加するか、或いは燐酸、硫酸バンド、塩化第二鉄等のpH調整剤、或いはセメント等の他の薬剤との併用法を取らざるを得ず、処理薬剤費が増大し、或いは処理方法が複雑化する等の問題があった。例えば、特公平4−61710号報、特開平2−144188号報、特開平7−155725号報において燐酸塩化合物による飛灰処理を提案しているが、これらの方法では、pH調整剤やカルシウム源として水酸化カルシウムの添加が必要であることや処理可能な飛灰のpH領域が限定され、重金属固定化能が不十分であり、酸性物質である燐酸そのものを使用した場合には、装置腐食を招くという課題があった。また、燐酸塩化合物と珪酸塩化合物の併用系による飛灰処理の方法が特開平7−39848、特開平7−185500で提案されているが、同様にこれらの方法も飛灰に対する添加量が多く、pH領域が限定され、重金属固定化能が劣るという課題を有していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記記載の従来技術が有する問題を解決する、すなわち、高温条件下において重金属処理を実施しようとも、分解による有害ガスの発生及び装置腐食がなく、重金属処理能が高い重金属処理剤及び処理方法を提供することにある。また、あらゆるpH領域で重金属処理が可能でかつ効率的な処理方法及び処理剤を提供し、しかも処理した固体廃棄物が長期に安定性であることを期待できる処理方法及び処理剤を提供することも本発明の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに一般式一般式MnCO3(式中、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は鉄であり、nはMがアルカリ金属又はアンモニウムの場合2であり、アルカリ土類金属又は鉄の場合1である)の炭酸化合物及び/又は一般式M(HCO3)m(式中、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は鉄であり、mはMがアルカリ金属又はアンモニウムの場合1であり、アルカリ土類金属又は鉄の場合2である)の炭酸水素化合物と脂肪族もしくは芳香族アミン化合物から誘導されるジチオカルバミン酸塩及びアルミノシリケートを含んでなる重金属処理剤が、高温条件下において重金属処理を実施しようとも分解による有害ガスの発生及び装置腐食がなく、高効率で重金属処理を行えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は上記の炭酸化合物及び/又は炭酸水素化合物と脂肪族もしくは芳香族アミン化合物から誘導されるジチオカルバミン酸塩及びアルミノシリケートを含んでなる処理剤に関し、また、本処理剤を用いた重金属含有固体廃棄物を処理する方法に関するものである。
【0012】
殊に本発明は脂肪族もしくは芳香族アミン化合物から誘導されるジチオカルバミン酸塩及びアルミノシリケートを含んでなる重金属処理剤とこれを用いた処理方法にある。
【0013】
本発明においていて対象となる重金属含有固体廃棄物は特に限定されるものではないが、例えば、通常都市ゴミや産業廃棄物等の焼却施設から排出される焼却灰(炉底灰)や電気集塵機、バグフィルタ−、マルチサイクロン等で捕集された灰塵、いわゆる飛灰、鉱山及び金属精錬所より排出される鉱滓、重金属で汚染された土壌、排水処理後に生ずる汚泥等に適用できる。
【0014】
殊に本薬剤は150℃〜400℃の範囲の高温の重金属含有固体廃棄物の処理に適用できる。例えば、焼却プラントの高温の燃焼排ガスの煙道中に噴霧し重金属を固定化処理することが可能であり、通常排ガスの乾式処理に用いられる消石灰等の脱塩化水素剤を噴霧することなしに、本剤のみで排ガス中の脱塩化水素及び重金属処理が可能となる。
【0015】
本発明の重金属処理剤に用いられる一般式MnCO3(式中、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は鉄であり、nはMがアルカリ金属又はアンモニウムの場合2であり、アルカリ土類金属又は鉄の場合1である)の炭酸化合物としては、以下のものを挙げることができる。
【0016】
Li2CO3、Na2CO3、K2CO3等の炭酸のアルカリ金属塩、MgCO3、CaCO3等の炭酸のアルカリ土類金属塩や、(NH42CO3、FeCO3、及びこれらの水和物等を挙げることができ、これらは単独もしくは2種以上の混合物として用いることができる。
【0017】
本発明の重金属処理剤に用いられる一般式M(HCO3m(式中、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は鉄であり、mはMがアルカリ金属又はアンモニウムの場合1であり、アルカリ土類金属又は鉄の場合2である)の炭酸水素化合物としては、以下のものを挙げることができる。
【0018】
LiHCO3、NaHCO3、KHCO3等の炭酸水素のアルカリ金属塩、Mg(HCO32、Ca(HCO32等の炭酸水素のアルカリ土類金属塩、NH4HCO3、Fe(HCO32、及びこれらの水和物等を挙げることができ、これらは単独もしくは2種以上の混合物として用いることができる。
【0019】
さらに、これらの炭酸化合物と炭酸水素化合物を組み合わせて用いることや、Na2CO3・NaHCO3、MgCO3・KHCO3等のセスキ炭酸及びその水和物も本発明の範囲に含まれる。
【0020】
さらに、このような炭酸化合物及び/又は炭酸水素化合物を用いることで、重金属含有固体廃棄物を処理する際に発生することのある塩化水素のような有害ガスなどを除去する効果も期待できる。
【0021】
本発明の重金属処理剤に用いられるイオン交換体としては、脂肪族もしくは芳香族アミン化合物から誘導されるジチオカルバミン酸塩及びアルミノシリケートである
【0024】
本発明で使用できるジチオカルバミン酸又はその塩は、通常、二硫化炭素とアミン化合物をアルカリ存在下に反応させて製造することができるが、この際に使用されるアミン化合物としては以下の化合物を使用することができる。
【0025】
具体的には、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、アミルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、キシレンジアミン等の1級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン等の2級アミン類、
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタミン、トリエチレンジアミン等のポリエチレンポリアミン類、
ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン等の環状アミン類等
を挙げることができる。
【0026】
これらのアミン化合物において、アミン1分子内のジチオカルバミン酸基又はその塩の基の数としては、用途に応じて、1以上から分子内の1級及び2級窒素原子数の総数の間の任意の数とすることができる。
【0027】
さらにこれらのアミン化合物の内、窒素数4以上のポリエチレンポリアミン又は、窒素数2以上の環状ポリアミンから合成されたジチオカルバミン酸基又はその塩は、飛灰中に含まれる重金属の捕捉能が高く好ましい。特に2級アミノのみを有するピペラジン誘導体は飛灰中に含まれる重金属の捕捉能が極めて高く好適である。
【0028】
本発明に用いられるジチオカルバミン酸塩としては、上記記載のジチオカルバミン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムの塩が使用できる。これらの内、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシム、カルシウム、バリウム、アンモニウムの塩が好ましい。
【0035】
本発明で用いられるアルミノシリケ−トとしては、一般式、Q2/qO・Al23・ySiO2・zH2O(式中、qはカチオンQの原子価、yは2以上の実数、zは0以上の実数であり、Qはカチオンであって、有機非金属カチオン、有機金属カチオン、無機非金属カチオン、無機金属カチオンのいずれかを含む)で示される組成を有する結晶性アルミノシリケ−トの天然品や合成品が挙げられる。
【0036】
その結晶構造については特に限定されないが、フェリエライト、フィリップサイト、ソ−ダライト、カンクリナイト、エオリナイト、オフレタイト、クリノプチロライト、グメリナイト、チャバサイト、フォ−ジャサイト、モルデナイト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、L型ゼオライトを挙げることができる。これらは単独もしくは2種以上の混合物として使用することができる。
【0037】
また、これらのアルミノシリケートにバインダーを加えて粒子状に成形したものやアルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩などの所望の塩の溶液によりイオン交換したものも用いることもでき、その方法については公知の方法を用いればよい。
【0038】
これらのアルミノシリケートの内、そのイオン交換性、耐熱性などを考慮すればA型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライトを用いることが好ましく、また、経済性の点からはA型ゼオライト、特に4A型ゼオライトが実用的である。
【0042】
発明の重金属処理剤、上記記載の脂肪族もしくは芳香族アミン化合物から誘導されるジチオカルバミン酸塩及びアルミノシリケートを組み合わせて用いることより効果的に重金属含有固体廃棄物中の重金属の捕捉処理を行うことができる。その効果の1例としては、用いられるイオン交換体の特性に基づく効果的に捕捉可能な重金属イオン種を単独使用の場合よりも広くすることが可能であるため、処理対象の重金属含有固体廃棄物中の重金属の種類やそれらの濃度が種々変動してもそれらを網羅的に捕捉できるようになるのである。
【0043】
上記記載の炭酸化合物もしくは炭酸水素化合物と脂肪族もしくは芳香族アミン化合物から誘導されるジチオカルバミン酸塩及びアルミノシリケートとの量比は特に限定されるものではなく、また、処理する重金属含有固体廃棄物の重金属含有量や形態によって任意に変えることができる。
【0044】
本発明におけるイオン交換体の形態についてはあらゆる形態が使用できる。すなわち、固体状、粉体状、スラリ−状、溶液状のいずれの形態も使用できる。
【0045】
さらに、本発明において、NaOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、FeCl2、FeCl3、Al(OH)3、Al2(SO43等のpH調整剤を併用することもできる。
【0046】
重金属含有固体廃棄物を処理する際の本発明の薬剤の使用量としては、処理する重金属含有固体廃棄物中の重金属含有量や形態によって変えることができる。
【0047】
本重金属処理剤により、重金属含有固体廃棄物を処理する方法については、−20℃〜350℃の温度範囲で、混練による方法、噴霧による方法、本処理剤スラリ−もしくは本処理剤溶液に浸す方法等あらゆる方法を採用することができる。
【0048】
本発明の方法により処理される重金属含有固体廃棄物中の重金属は、鉛、水銀、クロム、カドミウム、亜鉛、銅、ニッケル、砒素、セレン等が例示できる。特に、鉛、水銀、クロム、カドミウム、ニッケル、亜鉛、銅については処理能が高く好適である。
【0049】
【実施例】
次に、実施例によりさらに詳細に本発明を説明する。但し、本発明は下記実施例によってなんら制限を受けるものではない。
【0050】
比較例1
オ−トクレ−ブ中で、重金属含有固体廃棄物である湿式処理を採用しているスト−カ焼却炉より排出される中性焼却飛灰(組成がCa=10.0%、Na=5.5%、K=5.4%、Mg=2.1%、Al=7.0%、Fe=1.8%、Pb=0.84%、Zn=3.4%、Cr=0.043%、Cd=0.032%、Cu=0.25%であるEP灰)に対し、炭酸水素ナトリウム5.0重量%とメルカプト酢酸カルシウムの2.5重量%と水22.5重量%を添加し、150℃で1時間混練した後、環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003959830
【0052】
比較例2
比較例1において、メルカプト酢酸カルシウムの2.5重量%に代えて、テトラエチレンペンタミンのジチオカルバミン酸ナトリウム2.5重量%を用いたこと以外は、比較例1と同様に、加熱処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0053】
比較例3
比較例1において、メルカプト酢酸カルシウムの2.5重量%に代えて、4A型ゼオライト(東ソ−株式会社製、商品名トヨビルダー)5.0重量%を用いたこと以外は、比較例1と同様に、加熱処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0054】
比較例
比較例1において、炭酸水素ナトリウムとメルカプト酢酸カルシウムを添加せずに飛灰に対し、水30重量%のみを添加し、室温混練後、環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0055】
比較例
オ−トクレ−ブ中で、比較例1で用いた飛灰に対し、テトラエチレンペンタミンのジチオカルバミン酸ナトリウム2.5重量%と水27.5重量%を添加し、150℃で1時間混練した後、環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示すが、Pb及びCd溶出量が規制値以上であり、ジチオカルバミン酸ナトリウム単独では耐熱性が不十分であることを意味する。
【0056】
参考例
比較例において、150℃、1時間の混練処理を、室温で1時間としたこと以外は、比較例と同様に、混練処理し、環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。室温混練であるため、Pb溶出値は規制値以下であった。
【0057】
比較例6
オ−トクレ−ブ中で、重金属含有固体廃棄物である湿式処理を採用しているスト−カ焼却炉より排出される中性焼却飛灰(組成がCa=10.0%、Na=5.5%、K=5.4%、Mg=2.1%、Al=7.0%、Fe=1.8%、Pb=0.84%、Zn=3.4%、Cr=0.043%、Cd=0.032%、Cu=0.25%であるEP灰)に対し、炭酸水素ナトリウムの10.0重量%と炭酸ナトリウム(ソ−ダ灰;ライト灰)の10.0重量%、4A型ゼオライト(東ソ−株式会社製、商品名トヨビルダ−)20.0重量%、水10.0重量%を添加し、200℃で1時間混練した後、環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0058】
比較例7
比較例6において、炭酸水素ナトリウムを添加せず、炭酸ナトリウム(ソ−ダ灰;ライト灰)の添加量を20.0重量%としたこと以外は、比較例6と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0059】
比較例
比較例6において、炭酸水素ナトリウム及び4A型ゼオライトを添加せず、炭酸ナトリウム(ソ−ダ灰;ライト灰)の添加量を20.0重量%としたこと以外は、比較例6と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0060】
比較例9
オ−トクレ−ブ中で、重金属含有固体廃棄物である湿式処理を採用しているスト−カ焼却炉より排出される中性焼却飛灰(組成がCa=10.0%、Na=5.5%、K=5.4%、Mg=2.1%、Al=7.0%、Fe=1.8%、Pb=0.84%、Zn=3.4%、Cr=0.043%、Cd=0.032%、Cu=0.25%であるEP灰)に対し、炭酸水素ナトリウムの20.0重量%、4A型ゼオライト(東ソ−株式会社製、商品名トヨビルダ−)20.0重量%、水10.0重量%を添加し、200℃で1時間混練した後、環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0061】
比較例10
比較例9において、炭酸水素ナトリウムの20.0重量%に代えて、炭酸水素カリウム20.0重量%を用いたこと以外は、比較例9と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0062】
比較例11
比較例9において、炭酸水素ナトリウムの20.0重量%に代えて、炭酸水素アンモニウム20.0重量%を用いたこと以外は、比較例9と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0063】
比較例12
比較例9において、炭酸水素ナトリウムの20.0重量%に代えて、炭酸カルシウム20.0重量%を用いたこと以外は、比較例9と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0064】
比較例13
比較例9において、4A型ゼオライト20.0重量%に代えて、X型ゼオライト20.0重量%を用いたこと以外は、比較例9と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0065】
比較例14
比較例9において、4A型ゼオライト20.0重量%に代えて、Y型ゼオライト20.0重量%を用いたこと以外は、比較例9と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0066】
比較例15
比較例9において、4A型ゼオライト20.0重量%に代えて、モルデナイト20.0重量%を用いたこと以外は、比較例9と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表1に示す。
【0067】
比較例16
オ−トクレ−ブ中で、重金属含有固体廃棄物であるプラズマ溶融炉より排出される溶融飛灰α(組成がCa=4.1%、Na=12.0%、K=12.0%、Mg=0.38%、Al=1.3%、Fe=1.3%、Pb=3.6%、Zn=8.7%、Cr=0.019%、Cd=0.059%、Cu=0.53%であるBF灰)に対し、炭酸水素ナトリウム20.0重量%と4A型ゼオライト(東ソ−株式会社製商品名トヨビルダ−)20.0重量と水20.0重量%を添加し、200℃で1時間混練した後、環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
Figure 0003959830
【0069】
比較例17
比較例16において、4A型ゼオライト20.0重量%に代えて、精製燐酸(75wt%水溶液)の20.0重量%を用いたこと以外は、比較例16と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
【0070】
比較例18
比較例16において、4A型ゼオライト20.0重量%に代えて、珪酸ソ−ダ20.0重量%を用いたこと以外は、比較例16と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
【0071】
比較例19
比較例16において、炭酸水素ナトリウム及び4A型ゼオライトを添加せず、飛灰に対し、水20.0重量%のみを添加し、室温にて混練後、環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
【0072】
比較例20
比較例16において、4A型ゼオライトを添加しなかったこと以外は、比較例16と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
【0073】
比較例21
比較例16において、炭酸水素ナトリウムを添加しなかったこと以外は、比較例16と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
【0074】
比較例22
比較例16において、炭酸水素ナトリウムを添加せず、4A型ゼオライト20.0重量%に代えて、精製燐酸(75wt%水溶液)の20.0重量%を用いた以外は、比較例16と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
【0075】
比較例23
比較例16において、炭酸水素ナトリウムを添加せず、4A型ゼオライト20.0重量%に代えて、珪酸ソ−ダ20.0重量%を用いた以外は、比較例16と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
【0076】
比較例24
オ−トクレ−ブ中で、重金属含有固体廃棄物であるプラズマ溶融炉より排出される溶融飛灰β(組成がCa=1.4%、Na=13.9%、K=11.2%、Mg=0.19%、Al=0.67%、Fe=1.4%、Pb=4.8%、Zn=7.8%、Cr=0.010%、Cd=0.034%、Cu=0.63%であるBF灰)に対し、炭酸水素ナトリウム20.0重量%と4A型ゼオライト(東ソ−株式会社製商品名トヨビルダ−)20.0重量と水20.0重量%を添加し、200℃で1時間混練した後、環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表3に示す。
【0077】
【表3】
Figure 0003959830
【0078】
実施例
比較例24において、イオン交換体として4A型ゼオライト20.0重量%に加え、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム5.0重量%を用いたこと以外は、比較例24と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表3に示す。
【0079】
比較例25
比較例24において、炭酸水素ナトリウム及び4A型ゼオライトを添加せず、飛灰に対し、水20.0重量%のみを添加し、室温にて混練後、環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表3に示す。
【0080】
比較例26
比較例24において、4A型ゼオライトを添加しなかったこと以外は、比較例24と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表3に示す。
【0081】
比較例27
比較例24において、炭酸水素ナトリウムを添加しなかったこと以外は、比較例24と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表3に示す。
【0082】
比較例28
比較例24において、炭酸水素ナトリウム20.0重量%に代えて、水酸化カルシウム20.0重量%を用いたこと以外は、比較例24と同様に、加熱混練処理及び環境庁告示第13号溶出試験を行った。溶出試験結果を表3に示す。
【0083】
【発明の効果】
本発明の第一の効果は、150℃〜400℃に及ぶ高温条件下においても重金属を処理し、無害化することが可能なことにある。本処理剤を用いることによって、焼却プラントからの燃焼排ガス中の重金属を煙道中にて処理することが可能となる。
【0084】
本発明の第二の効果は、重金属固定化能が高く、あらゆるpH領域の重金属含有固体廃棄物に対し、適用できることにある。少量の添加で効果を発揮し経済的であるとともに、他の助剤の使用に際しても、安全かつ簡便な処理方法にて実施できるので工業的にも非常に有用なことにある。
【0085】
本発明の第三の効果は、高温、酸性条件下に強い処理剤であることから、処理した固体廃棄物の長期安定性が期待できることにある。

Claims (4)

  1. 一般式MnCO(式中、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は鉄であり、nはMがアルカリ金属又はアンモニウムの場合2であり、アルカリ土類金属又は鉄の場合1である)の炭酸化合物及び/又は一般式M(HCO)m(式中、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は鉄であり、mはMがアルカリ金属又はアンモニウムの場合1であり、アルカリ土類金属又は鉄の場合2である)の炭酸水素化合物と脂肪族もしくは芳香族アミン化合物から誘導されるジチオカルバミン酸塩及びアルミノシリケートを含んでなることを特徴とする重金属処理剤。
  2. 請求項1に記載の重金属処理剤を重金属含有固体廃棄物に添加混合することを特徴とする処理方法。
  3. 重金属含有固体廃棄物が焼却プラントから排出される焼却灰又は飛灰であることを特徴とする請求項に記載の処理方法。
  4. 重金属処理剤を焼却プラントの燃焼排ガスの煙道に噴霧し、集塵装置にて捕集して塩化水素及び重金属を共に除去することを特徴とする請求項又は請求項に記載の処理方法。
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