JP3957109B2 - 画像読取装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像読取装置及び方法に係り、特に、多数個の読取セルによって読取対象画像を読み取る画像読取方法、及び該画像読取方法を適用可能な画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、写真フィルムに記録されているフィルム画像を、CCDセンサ等の読取センサを備えた画像読取装置によって読み取り、該読み取りによって得られた画像データに対して各種の補正等の画像処理を行った後に、画像の出力(記録材料への画像の記録、ディスプレイへの画像の表示、情報記録媒体への画像データの格納等)を行う画像処理システムが知られている。また、フィルム画像(特にネガフィルムに記録されたネガ画像)は濃度のばらつきが大きいので、所望の画質の出力画像を得るために、画像読取装置ではフィルム画像を予備的に読み取り(所謂プレスキャン)、フィルム画像の濃度等に応じた読取条件(例えばフィルム画像に照射する光の光量やCCDの電荷蓄積時間等)を決定し、決定した読取条件でフィルム画像を読み取っていた(所謂ファインスキャン)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プレスキャンは一定の読取条件で行われるのに対し、特にネガフィルムに記録されたネガ画像の中には、撮影時の露光量が過大であったために濃度が極端に高い画像(露光オーバのネガ画像)が存在していたり、撮影時の露光量が不足していたために濃度が極端に低い画像(露光アンダのネガ画像)が存在していることがある。露光アンダのネガ画像に対するプレスキャンでは、ネガ画像を透過した光の光量が過大になって読取センサで飽和が生じる(例えば読取センサがCCDであれば蓄積電荷の飽和が生ずる)ので、露光アンダのネガ画像を精度良く読み取ることは困難である。また、露光オーバのネガ画像に対するプレスキャンではネガ画像を透過した光の光量が不足するので、同様に露光オーバのネガ画像を精度良く読み取ることは困難である。
【0004】
ファインスキャン時の読取条件はプレスキャンの結果に基づいて決定されるので、上記のようにプレスキャン時の読み取りの精度の低いフィルム画像に対しては、ファインスキャン時の読取条件として適正な読取条件を得ることができず、決定した読取条件でファインスキャンを行ったとしても、フィルム画像の読取精度が不足する、という問題がある。
【0005】
上記問題を解決するため、プレスキャンによって濃度が極端に低い又は極端に高いことが判明したフィルム画像に対しては、該フィルム画像の濃度に応じて読取条件を変更してプレスキャンを再度行うことも提案されている。しかし、特に長尺状の写真フィルムに記録されたフィルム画像の読み取りは、写真フィルムを往復搬送しながら該写真フィルムに記録されている各フィルム画像を順に読み取っていくことにより成されるので、1個以上のフィルム画像についてプレスキャンを再度行うためには写真フィルムの往復搬送の回数を増やす必要があり、これに伴ってフィルム画像の読み取りに要する時間が大幅に増大する。
【0006】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、読取対象画像の読み取り回数の増大を招くことなく、読取対象画像を精度良く読み取ったに等しい画像データを得ることができる画像読取装置及び方法を得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る画像読取装置は、読取対象画像からの光が各々入射され入射光のうちの所定波長域の光に応じた電荷を蓄積する多数個の読取セルを備え、所定の複数の読取セル又は個々の読取セルを単位として読取条件を独立に制御可能で、かつ前記所定波長域が互いに異なる複数の読取センサと、個々の前記読取センサによって互いに異なる3種類の読取条件で読取対象画像が各々読み取られるように、前記複数の読取センサの所定の複数の読取セル又は個々の読取セルを単位として電荷蓄積時間を独立に制御する読取条件制御手段と、個々の前記読取センサが読取対象画像を前記3種類の読取条件で各々読み取ることによって得られた3種類の読取データに対し、最適な読取データを選択して出力するか、又は前記3種類の読取データのうちの少なくとも2種類の読取データの画素位置の差異を補正した後に合成して出力する出力手段と、を含んで構成している。
【0008】
請求項1記載の発明は、読取対象画像からの光が各々入射され入射光のうちの所定波長域の光に応じた電荷を蓄積する多数個の読取セルを備え、所定の複数の読取セル又は個々の読取セルを単位として読取条件を独立に制御可能で、かつ前記所定波長域が互いに異なる複数の読取センサを備えており、請求項1記載の発明に係る読取条件制御手段は、個々の読取センサによって互いに異なる3種類の読取条件で読取対象画像が各々読み取られるように、複数の読取センサの所定の複数の読取セル又は個々の読取セルを単位として電荷蓄積時間を独立に制御する。これにより、互いに異なる3種類の読取条件での読取対象画像の読み取りが同時に行われることになり、読取対象画像の読み取りを1回行うことにより、3種類の読取条件に対応して3種類の読取データを得ることができる。
【0011】
また読取センサは、全ての読取セルが一列に配列された構成、或いは所定数の読取セルが一列に配列されて成る読取セル列が互いに平行に複数本設けられた構成(所謂ラインセンサ)であってもよいし、読取セルがマトリクス状に配列された構成(所謂エリアセンサ)であってもよい。読取センサがラインセンサである場合、読取センサと読取対象画像とを相対的に移動させながら読取センサが読取対象画像を読み取る構成とすることにより、読取対象画像の全面を読み取ることができる。
【0012】
一方、出力手段は、3種類の読取条件に対応する3種類の読取データに対し、最適な読取データを選択して出力するか、又は3種類の読取データのうちの少なくとも2種類の読取データの画素位置の差異を補正した後に合成して出力する。3種類の読取データは、互いに異なる読取条件で読取対象画像を読み取ることで得られたデータであるので、読取対象画像読み取り時の読取精度も互いに相違している。従って、出力手段が、最適な読取データ(3種類の読取条件のうち読取対象画像に最も適した読取条件(読取精度が最も高い読取条件)に対応する読取データ)を選択して出力することにより、読取対象画像を精度良く読み取ったに等しい画像データが出力されることになる。
【0013】
また、出力手段が、3種類の読取データのうちの少なくとも2種類の読取データの画素位置の差異を補正した後に合成して出力するようにした場合には、合成対象の読取データの中に、読取対象画像に対する適性の低い(読取精度が低い)読取条件に対応する読取データが混じっていたとしても、前記読取条件とは異なる読取条件(読取対象画像に対する適性が高い(読取精度が高い)読取条件)に対応する読取データと合成されることにより、より高い読取精度で読取対象画像を読み取ったに等しい画像データが出力されることになる。
また、本発明に係る読取手段は、多数の読取セルに対し、所定の複数の読取セル又は個々の読取セルを単位として読取条件を異ならせることにより、互いに異なる3種類の読取条件で読取対象画像を各々読み取るので、3種類の読取条件に対応する3種類の読取データは、読取対象画像上での画素位置が互いにずれているが、請求項1記載の発明に係る出力手段は、読取データを合成して出力する場合に、合成対象の各読取データの画素位置の差異を補正した後に合成を行うので、画素位置が異なる読取データを合成することによって、合成対象の各読取データを合成することによって得られる画像データが表す画像の画質が劣化することも防止することができる。
【0014】
従って、請求項1の発明によれば、読取対象画像を精度良く読み取ったに等しい画像データを得ることができる。また請求項1の発明では、読取対象画像を1回読み取ることで3種類の読取データが得られるので、読取対象画像の読み取り回数の増大を招くこともない。
【0015】
なお、請求項1の発明において、出力手段は、読取データを選択して出力する機能、及び読取データを合成して出力する機能の少なくとも一方を備えていればよいが、例えば読取対象画像が記録されている媒体の種類や、読取対象画像の画像特徴量等に応じて、読取データを選択して出力するか、読取データを合成して出力するかを切り替えるように出力手段を構成してもよい。
【0016】
ところで、出力手段が最適な読取データを選択して出力する場合、請求項2に記載したように、出力手段は3種類の読取データの少なくとも何れかから求まる読取対象画像の特徴量に基づいて、最適な読取データを選択することができる。上記の特徴量としては、読取対象画像に対する最適な読取条件を判断可能な特徴量、例えば読取対象画像の平均濃度や濃度の最大値、最小値、中間値、或いはストグラムのピークにおける濃度値、濃度ヒストグラムにおける濃度の最大値又は最小値からの累積頻度が所定値のときの濃度値等を用いることができる。読取対象画像の特徴量に基づいて読取データを選択することにより、3種類の読取条件のうち読取対象画像に最も適した読取条件(読取精度が最も高い読取条件)に対応する読取データを正確に選択することができる。
【0017】
また、読取セルによる画像の読取条件が変更されると、読取対象画像からの入射光の光量と、該入射光量に応じて読取セルから出力される信号のレベルと、の関係が変化し、前記入射光量と、前記信号から得られる読取データの値と、の関係も変化する。このため、読取データを合成して出力する場合には、請求項3に記載したように、出力手段は、読取条件の相違に起因する合成対象の各読取データの差異を予め補正することが好ましい。
【0019】
ところで、本発明に係る3種類の読取条件は、例えば予め固定的に定めておくことができるが、読取対象画像に対する最適な読取条件が前記3種類の読取条件の何れかと一致することは稀であり、3種類の読取条件の中間に相当する読取条件が最適な読取条件であることが多い。このため、請求項4記載の発明は、請求項1の発明において、読取データを合成して出力する場合、出力手段は、3種類の読取データの少なくとも何れかから求まる読取対象画像の特徴量に基づいて合成対象の各読取データの合成割合を決定し、前記各読取データを、互いに対応する画素のデータ毎に、前記決定した合成割合で一律に合成することを特徴としている。
【0020】
請求項4記載の発明では、3種類の読取データの少なくとも何れかから求まる読取対象画像の特徴量(この特徴量としては、例えば請求項2の発明と同様の特徴量を用いることができる)に基づいて合成対象の各読取データの合成割合を決定し、合成対象の各読取データを、互いに対応する画素のデータ毎に、前記決定した合成割合で一律に合成するので、読取対象画像に対する最適な読取条件が、3種類の読取条件の中間に相当する読取条件であった場合にも、読取対象画像を精度良く読み取ったに等しい画像データを得ることができる。
【0021】
なお、上述した請求項4の発明では、合成対象の各読取データの合成割合を決定し、合成対象の各読取データを、互いに対応する画素のデータ毎に、前記決定した合成割合で一律に合成しているが、請求項5に記載したように、合成対象の各読取データの合成割合を画素単位で決定し、合成対象の各読取データを、互いに対応する画素のデータ毎に、画素単位で決定した合成割合で各々合成するようにしてもよい。これにより、読取対象画像を、画素単位で最適な読取条件で読み取ったに等しい画像データを得ることができる。
【0022】
請求項6記載の発明に係る画像読取方法は、読取対象画像からの光が各々入射され入射光のうちの所定波長域の光に応じた電荷を蓄積する多数個の読取セルを備え、所定の複数の読取セル又は個々の読取セルを単位として読取条件を独立に制御可能で、かつ前記所定波長域が互いに異なる複数の読取センサに対し、個々の前記読取センサによって互いに異なる3種類の読取条件で読取対象画像が各々読み取られるように、前記複数の読取センサの所定の複数の読取セル又は個々の読取セルを単位として電荷蓄積時間を独立に制御し、個々の前記読取センサが読取対象画像を前記3種類の読取条件で各々読み取ることによって得られた3種類の読取データに対し、最適な読取データを選択して出力するか、又は前記3種類の読取データのうちの少なくとも2種類の読取データの画素位置の差異を補正した後に合成して出力するので、請求項1の発明と同様に、読取対象画像の読み取り回数の増大を招くことなく、読取対象画像を精度良く読み取ったに等しい画像データを得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。まず本発明に係る画像処理装置を含んで構成された、本実施形態に係るディジタルラボシステムについて説明する。
【0024】
(システム全体の概略構成)
図1には本実施形態に係るディジタルラボシステム10の概略構成が示されており、図2にはディジタルラボシステム10の外観が示されている。図1に示すように、このラボシステム10は、ラインCCDスキャナ14、本発明に係る画像処理装置としての画像処理部16、レーザプリンタ部18、及びプロセッサ部20を含んで構成されており、ラインCCDスキャナ14と画像処理部16は、図2に示す入力部26として一体化されており、レーザプリンタ部18及びプロセッサ部20は、図2に示す出力部28として一体化されている。
【0025】
ラインCCDスキャナ14は、写真フィルム(例えばネガフィルムやリバーサルフィルム)等の写真感光材料(以下、単に「写真感光材料」と称する)に記録されているフィルム画像(被写体を撮影後、現像処理されることで可視化されたネガ画像又はポジ画像)を読み取るためのものであり、例えば135サイズの写真フィルム、110サイズの写真フィルム、及び透明な磁気層が形成された写真フィルム(240サイズの写真フィルム:所謂APSフィルム)、120サイズ及び220サイズ(ブローニサイズ)の写真フィルムのフィルム画像を読取対象とすることができる。ラインCCDスキャナ14は、上記の読取対象のフィルム画像を3ラインカラーCCDで読み取り、R、G、Bの画像データを出力する。
【0026】
図2に示すように、ラインCCDスキャナ14は作業テーブル30に取り付けられている。画像処理部16は、作業テーブル30の下方側に形成された収納部32内に収納されており、収納部32の開口部には開閉扉34が取り付けられている。収納部32は、通常は開閉扉34によって内部が隠蔽された状態となっており、開閉扉34が回動されると内部が露出され、画像処理部16の取り出しが可能な状態となる。
【0027】
また作業テーブル30には、奥側にディスプレイ164が取り付けられていると共に、2種類のキーボード166A、166Bが併設されている。一方のキーボード166Aは作業テーブル30に埋設されている。他方のキーボード166Bは、不使用時には作業テーブル30の引出し36内に収納され、使用時には引出し36から取り出されてキーボード166A上に重ねて配置されるようになっている。キーボード166Bの使用時には、キーボード166Bから延びるコード(信号線)の先端に取り付けられたコネクタ(図示省略)が、作業テーブル30に設けられたジャック38に接続されることにより、キーボード166Bがジャック38を介して画像処理部16と電気的に接続される。
【0028】
また、作業テーブル30の作業面30U上にはマウス40が配置されている。マウス40は、コード(信号線)が作業テーブル30に設けられた孔42を介して収納部32内へ延設されており、画像処理部16と接続されている。マウス40は、不使用時はマウスホルダ40Aに収納され、使用時はマウスホルダ40Aから取り出されて、作業面30U上に配置される。
【0029】
画像処理部16は、ラインCCDスキャナ14から出力された画像データ(スキャンデータ)が入力されると共に、デジタルカメラでの撮影によって得られた画像データ、フィルム画像以外の原稿(例えば反射原稿等)をスキャナで読み取ることで得られた画像データ、コンピュータで生成された画像データ等(以下、これらをファイル画像データと総称する)を外部から入力する(例えば、メモリカード等の記憶媒体を介して入力したり、通信回線を介して他の情報処理機器から入力する等)ことも可能なように構成されている。
【0030】
画像処理部16は、入力された画像データに対して各種の補正等の画像処理を行って、記録用画像データとしてレーザプリンタ部18へ出力する。また、画像処理部16は、画像処理を行った画像データを画像ファイルとして外部へ出力する(例えばメモリカード等の記憶媒体に出力したり、通信回線を介して他の情報処理機器へ送信する等)ことも可能とされている。
【0031】
レーザプリンタ部18はR、G、Bのレーザ光源を備えており、画像処理部16から入力された記録用画像データに応じて変調したレーザ光を印画紙に照射して、走査露光によって印画紙に画像を記録する。また、プロセッサ部20は、レーザプリンタ部18で走査露光によって画像が記録された印画紙に対し、発色現像、漂白定着、水洗、乾燥の各処理を施す。これにより、印画紙上に画像が形成される。
【0032】
(ラインCCDスキャナの構成)
図3に示すように、ラインCCDスキャナ14の光学系は、作業テーブル30の下方に配置された光源部46、作業テーブル30に支持された拡散ボックス53、作業テーブル30上にセットされ読取対象の写真フィルム22を搬送するフィルムキャリア38、及び作業テーブル30を挟んで光源部46の反対側に配置された読取部54を備えている。
【0033】
光源部46は金属製のケーシング47内に収容されており、ケーシング47の内部には、ハロゲンランプ等から成るランプ48が配置されている。ランプ48の周囲にはリフレクタ49が設けられており、ランプ48から射出された光の一部はリフレクタ49によって反射され、一定の方向へ射出される。リフレクタ49の光射出側には、リフレクタ49からの射出光の光軸Lに沿って、UV/IRカットフィルタ50、絞り50、ターレット52が順に設けられている。ターレット52にはネガフィルム用のバランスフィルタ及びリバーサルフィルム用のバランスフィルタが嵌め込まれており、これらのバランスフィルタを選択的に光軸L上に位置させることにより、読取対象の写真フィルムの種類(ネガフィルム/リバーサルフィルム)に応じて、光源部46から射出される光の色成分を適切に調整可能とされている。
【0034】
拡散ボックス53は、上方へ向けて、写真フィルム22の搬送方向に沿った幅が徐々に小さくなり、該搬送方向に直交する方向(写真フィルム22の幅方向)に沿った幅が徐々に大きくなる(図示省略)形状とされている。拡散ボックス53の光入射側及び光射出側には光拡散板(図示省略)が各々取付けられている。拡散ボックス53に入射された光は、フィルムキャリア38(すなわち写真フィルム22)に向けて、写真フィルム22の幅方向を長手方向とするスリット光とされ、また光拡散板によって拡散光とされて射出される。拡散ボックス53は、フィルムキャリア38と同様に読取対象の写真フィルム22の種類毎に用意されており、読取対象の写真フィルム22の種類に応じて選択される。
【0035】
フィルムキャリア38の光軸Lに対応する位置には、写真フィルム22の幅方向に沿った長さが写真フィルム22の幅より長くされたスリット状の開口(図示省略)が設けられている。拡散ボックス53から射出されたスリット光は、フィルムキャリア38にセットされている読取対象の写真フィルム22に照射され、写真フィルム22を透過した光が読取部54へ射出される。また、フィルムキャリア38は、拡散ボックス53からのスリット光が照射される位置(読取位置)で写真フィルム22が湾曲するように、写真フィルム22をガイドする図示しないガイドが設けられている。これにより、読取位置での写真フィルム22の平面性が確保される。
【0036】
読取部54はケーシング55内部に収容されている。ケーシング55の内部には、ラインCCD116が取付けられた載置台56が設けられており、載置台56からは支持レール57が複数本垂下されている。支持レール57には、作業テーブル30と接近離間する方向(図3の矢印A方向)にスライド移動可能にレンズユニット58が支持されている。作業テーブル30には支持フレーム59が立設されており、載置台56は、支持フレーム59に取り付けられたガイドレール(図示省略)に、作業テーブル30と接近離間する方向Bにスライド移動可能に支持されている。レンズユニット58は複数枚のレンズから成り、複数枚のレンズの間にはレンズ絞り59が設けられている。
【0037】
また、ラインCCD116の光入射側にはCCDシャッタ61が設けられている。CCDシャッタ61にはNDフィルタが取付けられており(図示省略)、ラインCCD116に入射される光を遮光する全閉状態、ラインCCD116に光を入射させる全開状態、ラインCCD116に入射される光をNDフィルタによって減光する減光状態の何れかに切り替わるようになっている。
【0038】
図4(A)に示すように、ラインCCD116にはセンシング部が間隔を空けて互いに平行に3ライン設けられている(図4(A)のセンシング部117R、117G、117B参照)。センシング部117R、117G、117Bは、フォトダイオード等の光電変換素子とCCDセルとから成る読取セルが一列に多数(例えば5060個)配置されて各々構成されており、センシング部117Rの光入射側にはRの色分解フィルタが、センシング部117Gの光入射側にはGの色分解フィルタが、センシング部117Bの光入射側にはBの色分解フィルタが各々取付けられている(所謂3ラインカラーCCD)。ラインCCD116は、各センシング部117の受光面がレンズユニット40の結像点位置に一致するように配置されている。
【0039】
また、各センシング部117の近傍には、多数のCCDセルから成る転送部118R、118G、118Bが各センシング部117に対応して各々設けられている。各転送部118には出力端119R、119G、119Bが各々接続されている。各センシング部117の各読取セルに蓄積された電荷は、対応する転送部118によりインターライン方式で順に転送され、各出力端119を介して画像信号として順に出力される。なお以下では、センシング部117R及びセンシング部117Rに対応する転送部118RをRラインセンサ116R、センシング部117G及びセンシング部117Gに対応する転送部118GをGラインセンサ116G、センシング部117B及びセンシング部117Bに対応する転送部118BをBラインセンサ116Bと称する(図5も参照)。
【0040】
更に、本実施形態に係るラインCCD116は電子シャッタ機能を備えているが、この電子シャッタ機能の作動タイミング(電子シャッタ制御信号によって規定される各読取セルへの電荷の蓄積の開始及び終了のタイミング、及び移送ゲートトリガ信号によって規定される読取セルから転送部118のCCDセルへの電荷の転送タイミング)については、各ラインセンサ116R、116G、116B毎に、センシング部117の一端部側を基準として、3n−2番目の各読取セルで構成される読取セル群A、3n−1番目の各読取セルで構成される読取セル群B、3n番目の各読取セルで構成される読取セル群Cを単位として(但し、n=1,2,3,…) 、独立に制御可能とされている(図4(B)も参照:図では読取セル群毎に区別して各読取セルを示しており、図中の「j」はR、G、Bの何れかを表している)なお、転送部118から外部への電荷の転送タイミングについては、転送クロック信号に基づきラインセンサ116R、116G、116B単位で独立に制御可能とされている。
【0041】
また、ラインCCD116は、CCDセルの飽和領域を越えた過大な光量の光が入射されてCCDセルに過剰電荷が発生した場合に該過剰電荷を基板側に排出する構造、所謂オーバフロードレイン構造を有しており、過剰電荷がフォトダイオードを介して溢れ出すことにより、過剰電荷が周辺の信号電荷(隣接するCCDセルに蓄積されている電荷や、転送されている電荷)に偽信号として重畳するブルーミングを抑制する、耐ブルーミング特性を有している。なお、耐ブルーミング特性を有するCCDは、ビデオカメラ用のCCDとして広範に用いられている。
【0042】
ラインCCD116にはタイミングジェネレータ64が接続されている。タイミングジェネレータ64は、ラインCCDスキャナ14全体の制御を司るマイクロプロセッサ66に接続されており、マイクロプロセッサ66からの指示に従って、ラインCCD116を動作させるための各種のタイミング信号(電子シャッタ制御信号、移送ゲートトリガ信号、転送クロック制御信号)を生成し、ラインCCD116に入力する。なお、電子シャッタ制御信号、移送ゲートトリガ信号については、ラインCCD116の各ラインセンサ116R、116G、116Bの各読取セル群(読取セル群A〜C)毎に別々に生成する。またタイミングジェネレータ64は、その他の機器(後述するA/D変換器82等)を動作させるための各種のタイミング信号(クロック信号)も発生する。
【0043】
マイクロプロセッサ66には、RAM70(例えばSRAM)及びROM72(例えば記憶内容を書換え可能なROM)がバス68を介して接続されている。またマイクロプロセッサ66は、バス68及びインタフェース(I/F)回路82を介して画像処理部16に接続されており、読取対象の写真フィルム22の読取条件等が画像処理部16から通知される。マイクロプロセッサ66は、通知された読取条件に基づいてラインCCDスキャナ14の各部の動作を制御すると共に、ラインCCD116の動作タイミング(各ラインセンサの各読取セル群毎の電荷蓄積時間等)を決定し、タイミングジェネレータ64による各種のタイミング信号の生成を制御する。
【0044】
一方、ラインCCD116の信号出力端は、増幅器76を介してA/D変換器78に接続されており、ラインCCD116から出力された信号は、増幅器76で増幅されA/D変換器78でディジタルデータに変換される。A/D変換器78の出力端は、相関二重サンプリング回路(CDS)80、インタフェース(I/F)回路82を順に介して画像処理部16に接続されている。CDS80では、フィードスルー信号のレベルを表すフィードスルーデータ及び画素信号のレベルを表す画素データを各々サンプリングし、各画素毎に画素データからフィードスルーデータを減算する。そして、演算結果(各CCDセルでの蓄積電荷量に正確に対応する画素データ)を、I/F回路82を介してスキャン画像データとして画像処理部16へ順次出力する。
【0045】
なお、ラインCCD116からはR、G、Bの測光信号が並列に出力されるので、増幅器76、A/D変換器78、CDS80から成る信号処理系も3系統設けられており、I/F回路82からは、スキャン画像データとしてR、G、Bの画像データが並列に、画像処理部16に入力される。
【0046】
(画像処理部の構成)
次に画像処理部16の構成について図6を参照して説明する。画像処理部16は、ラインCCDスキャナ14から入力されるR、G、Bのデータに対応してラインスキャナ補正部122R、122G、122Bが設けられている。ラインスキャナ補正部122R、122G、122Bは互いに同一の構成であり、以下ではこれらを区別せずに「ラインスキャナ補正部122」と総称する。
【0047】
ラインスキャナ補正部122は、ラインCCDが写真フィルムを読み取ることによってラインCCDスキャナ14からスキャンデータが入力されると、入力されたスキャンデータから各画素毎に対応するセルの暗出力レベルを減ずる暗補正、暗補正を行ったデータを写真フィルムの濃度を表すデータに対数変換する濃度変換、写真フィルムを照明する光の光量むらに応じて前記濃度変換を行ったデータを画素単位で補正するシェーディング補正、該シェーディング補正を行ったデータのうち入射光の光量に正確に対応した信号が出力されないセル(所謂欠陥画素)のデータを周囲の画素のデータから補間して新たに生成する欠陥画素補正の各処理を順に行う。
【0048】
ラインスキャナ補正部122の出力端はセレクタ132の入力端に接続されており、ラインスキャナ補正部122で前記各処理が施されたデータは、スキャンデータとしてセレクタ132に入力される。また、セレクタ132の入力端は入出力コントローラ134のデータ出力端にも接続されており、入出力コントローラ134からは、外部から入力されたファイル画像データがセレクタ132に入力される。セレクタ132の出力端は入出力コントローラ134、イメージプロセッサ部136A、136Bのデータ入力端に各々接続されている。セレクタ132は、入力された画像データを、入出力コントローラ134、イメージプロセッサ部136A、136Bの各々に選択的に出力可能とされている。
【0049】
イメージプロセッサ部136Aは、メモリコントローラ138、イメージプロセッサ140、3個のフレームメモリ142A、142B、142Cを備えている。フレームメモリ142A、142B、142Cは各々1フレーム分以上のフィルム画像の画像データを記憶可能な容量を有しており、セレクタ132から入力された画像データは、メモリコントローラ138により、3個のフレームメモリ142の何れかに記憶される。
【0050】
イメージプロセッサ140は、フレームメモリ142に記憶された画像データを取込み、階調変換、色変換、画像の超低周波輝度成分の階調を圧縮するハイパートーン処理、粒状を抑制しながらシャープネスを強調するハイパーシャープネス処理等の各種の画像処理を行う。なお、上記の画像処理の処理条件は、オートセットアップエンジン144(後述)によって自動的に演算され、演算された処理条件に従って画像処理が行われる。イメージプロセッサ140は入出力コントローラ134に接続されており、画像処理を行った画像データは、フレームメモリ142に一旦記憶された後に、所定のタイミングで入出力コントローラ134へ出力される。なお、イメージプロセッサ部136Bは、上述したイメージプロセッサ部136Aと同一の構成であるので説明を省略する。
【0051】
ところで、本実施形態では個々のフィルム画像に対し、ラインCCDスキャナ14において異なる解像度で2回の読み取りを行う。1回目の比較的低解像度での読み取り(以下、プレスキャンという)では、ラインCCD116によって写真フィルムの全面を読み取るが、このとき各ラインセンサ116R、116G、116Bの読取セル群A〜Cは、互いに異なる電荷蓄積時間で電荷を蓄積するように制御される(詳細は後述)。従って、プレスキャンでは、読取セル群A〜C毎により、互いに異なる3種類の読取条件での写真フィルムの全面の読み取りが同時に行われる。プレスキャンによって得られたデータ(プレスキャンデータ)は、セレクタ132を介して入出力コントローラ134へ出力され、更に入出力コントローラ134に接続されたオートセットアップエンジン144に出力される。
【0052】
オートセットアップエンジン144は、CPU146、RAM148(例えばDRAM)、ROM150(例えば記憶内容を書換え可能なROM)、入出力ポート152を備え、これらがバス154を介して互いに接続されて構成されている。オートセットアップエンジン144は、入出力コントローラ134から入力されたプレスキャンデータに基づいてフィルム画像のコマ位置を判定し、フィルム画像に対応する領域のデータ(プレスキャン画像データ)を抽出し、プレスキャン画像データからフィルム画像の種別(サイズや濃度等)を判定する。そして、ラインCCDスキャナ14による2回目の比較的高解像度での読み取り(以下、ファインスキャンという)における読取条件を各フィルム画像毎に決定し、各フィルム画像のコマ位置、種別及び読取条件をラインCCDスキャナ14に出力する。
【0053】
また、オートセットアップエンジン144は、複数コマ分のフィルム画像のプレスキャン画像データに基づいて、ファインスキャンによって得られる画像データ(ファインスキャン画像データ)に対する画像処理の処理条件を演算し、演算した処理条件をイメージプロセッサ部136のイメージプロセッサ140へ出力する。この画像処理の処理条件の演算では、撮影時の露光量、撮影光源種やその他の特徴量から類似のシーンを撮影した複数のフィルム画像が有るか否か判定し、類似のシーンを撮影した複数のフィルム画像が有った場合には、これらのフィルム画像のファインスキャン画像データに対する画像処理の処理条件が同一又は近似するように決定する。
【0054】
なお、画像処理の最適な処理条件は、画像処理後の画像データを、レーザプリンタ部18における印画紙への画像の記録に用いるのか、外部へ出力するのか等によっても変化する。画像処理部16には2つのイメージプロセッサ部136A、136Bが設けられているので、例えば、画像データを印画紙への画像の記録に用いると共に外部へ出力する等の場合には、オートセットアップエンジン144は各々の用途に最適な処理条件を各々演算し、イメージプロセッサ部136A、136Bへ出力する。これにより、イメージプロセッサ部136A、136Bでは、同一のファインスキャン画像データに対し、互いに異なる処理条件で画像処理が行われる。
【0055】
入出力コントローラ134はI/F回路156を介してレーザプリンタ部18に接続されている。画像処理後の画像データを印画紙への画像の記録に用いる場合には、イメージプロセッサ部136で画像処理が行われた画像データは、入出力コントローラ134からI/F回路156を介し記録用画像データとしてレーザプリンタ部18へ出力される。また、オートセットアップエンジン144はパーソナルコンピュータ158に接続されている。画像処理後の画像データを画像ファイルとして外部へ出力する場合には、イメージプロセッサ部136で画像処理が行われた画像データは、入出力コントローラ134からオートセットアップエンジン144を介してパーソナルコンピュータ158に出力される。
【0056】
パーソナルコンピュータ158は、CPU160、メモリ162、ディスプレイ164及びキーボード166(図2も参照)、ハードディスク168、CD−ROMドライバ170、搬送制御部172、拡張スロット174、画像圧縮/伸長部176を備えており、これらがバス178を介して互いに接続されて構成されている。搬送制御部172はフィルムキャリア38に接続されており、フィルムキャリア38による写真フィルム22の搬送を制御する。また、フィルムキャリア38にAPSフィルムがセットされた場合には、フィルムキャリア38がAPSフィルムの磁気層から読み取った情報(例えばプリントサイズ等)が入力される。
【0057】
また、メモリカード等の情報記憶媒体に対してデータの読出し/書込みを行うドライバ(図示省略)や、他の情報処理機器と通信を行うための通信制御装置は、拡張スロット174を介してパーソナルコンピュータ158に接続される。入出力コントローラ134から外部への出力用の画像データが入力された場合には、前記画像データは拡張スロット174を介して画像ファイルとして外部(前記ドライバや通信制御装置等)に出力される。また、拡張スロット174を介して外部からファイル画像データが入力された場合には、入力されたファイル画像データは、オートセットアップエンジン144を介して入出力コントローラ134へ出力される。この場合、入出力コントローラ134では入力されたファイル画像データをセレクタ132へ出力する。
【0058】
(作用)
次に本実施形態の作用として、写真フィルム22に対するプレスキャンについて、画像処理部16のオートセットアップエンジン144で実行されるプレスキャン制御処理の内容を示す図8のフローチャートを参照しながら説明する。なお、このプレスキャン制御処理は、ラインCCDスキャナ14のフィルムキャリア38に読取対象の写真フィルム22がセットされている状態で実行される。
【0059】
ステップ250では、ラインCCDスキャナ14に対し、ラインCCD116の各ラインセンサ116R、116G、116Bの各読取セル群A〜Cの電荷蓄積時間を含む、予め定められたプレスキャン時の読取条件を通知し、読取対象の写真フィルム22に対するプレスキャンを指示する。なお、本実施形態では、プレスキャン時の読取条件のうち、読取セル群Aの電荷蓄積時間tA 、読取セル群Bの電荷蓄積時間tB 、読取セル群Cの電荷蓄積時間tC をtA >tB >tC となるように定めている。次のステップ252では、RAM148等のメモリに所定量以上のプレスキャンデータ PScanDataj (但し、jはR、G、Bの何れかを表す)が蓄積されたか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。
【0060】
一方、読取対象の写真フィルム22に対する読取条件が通知されると、ラインCCDスキャナ14のマイクロプロセッサ46は、通知された読取条件に基づいて、写真フィルム22の搬送速度、絞り51の位置を決定し、決定した搬送速度で写真フィルム22が搬送されるようにフィルムキャリア38を制御すると共に、決定した位置へ絞り51を移動させる。また、画像処理部16から各ラインセンサの各読取セル群を単位として通知された電荷蓄積時間に基づいて、電荷の蓄積開始のタイミング及び蓄積終了のタイミングを各ラインセンサの各読取セル群毎に決定し、決定したタイミングを表すデータをタイミングジェネレータ64へ出力する。これにより、タイミングジェネレータ64からは、ラインCCD116の3個のラインセンサの各々に対し、例として図8に示すような3種類の電子シャッタ制御信号、3種類の移送ゲートトリガ信号、及び転送クロック信号を各々出力する。
【0061】
ラインCCD116の各読取セルは、電子シャッタ制御信号(図8(A)〜(C)参照)がハイレベルになっている間は電荷を蓄積しない(光電変換素子による光電変換によって発生した電荷が基板側に排出する)状態となっているが、電荷の蓄積を開始すべきタイミングが到来し電子シャッタ制御信号がローレベルになると電荷を蓄積する状態に切り替わり、光電変換素子による光電変換によって発生した電荷の蓄積を開始する。
【0062】
また、移送ゲートトリガ信号(図8(A)〜(C)参照)がハイレベルになると、各読取セルから転送部118の各CCDセルへの蓄積電荷の転送が開始され、移送ゲートトリガ信号がハイレベルとなっている期間中は転送部118Bへの電荷の転送が継続される(移送ゲートトリガ信号がハイレベルとなっている期間中に受光した光が光電変換されることによって生じた電荷も転送部へ転送される)。そして、電荷の蓄積を終了すべきタイミングが到来し移送ゲートトリガ信号がローレベルになると転送部118への電荷の転送を終了する。
【0063】
転送部118へ転送された電荷は、転送クロック信号(図8(D)参照)が入力されると、転送クロック信号に同期したタイミングで、転送部118から出力端119を介して画像信号として外部へ転送される。上記により1ライン分の写真フィルム22の読み取りが完了する。写真フィルム22が一定速度で搬送されている状態で上記動作が繰り返されることにより、各ラインセンサ116R、116G、116Bによって写真フィルム22の読み取りがR、G、B同時に行われる。
【0064】
ところで、図8(A)〜(C)には、単一のラインセンサに入力される3種類の電子シャッタ制御信号及び3種類の移送ゲートトリガ信号を各々示している。すなわち、図8(A)は読取セル群Aに属する各読取セルの電荷蓄積期間を制御する電子シャッタ制御信号及び移送ゲートトリガ信号を、図8(B)は読取セル群Bに属する各読取セルの電荷蓄積期間を制御する電子シャッタ制御信号及び移送ゲートトリガ信号を、図8(C)は読取セル群Cの各読取セルの電荷蓄積期間を制御する電子シャッタ制御信号及び移送ゲートトリガ信号を示している。
【0065】
図8より明らかなように、本実施形態では、プレスキャン時に各読取セル群に対応する電子シャッタ制御信号がハイレベルからローレベルに変化するタイミングを互いに異ならせることで、各読取セル群A〜C毎に電荷蓄積時間(読取条件を構成する各種のパラメータの1つ)を互いに異ならせている。なお、これに代えて移送ゲートトリガ信号がハイレベルからローレベルに変化するタイミングを互いに異ならせてもよい。これにより、写真フィルム22のプレスキャン時には、互いに異なる3種類の読取条件での写真フィルム22の読み取りが同時に行われることになり、ラインCCD116の各ラインセンサ116R、116G、116Bからは、画像信号として、3種類の読取条件に対応する3種類の画像信号が混在している信号が出力される。
【0066】
本実施形態では、各読取セル群A〜Cの電荷蓄積時間を(tA >tB >tC )としているので、読取対象の写真フィルム22に記録されているフィルム画像を読み取ったときに各読取セル群A〜Cに蓄積される電荷量は、図9にヒストグラムで示すように、読取セル群Bの蓄積電荷量の分布範囲を基準にして、読取セル群Aの蓄積電荷量の分布は高電荷量側にシフトし(図9では、読取セル群Aを構成する読取セルの一部で蓄積電荷の飽和が生じている場合を示している)、読取セル群Cの蓄積電荷量の分布は低電荷量側にシフトする。従って、概念的には、読取セル群Aからはフィルム画像の濃度が比較的低濃度に見え、読取セル群Cからはフィルム画像の濃度が比較的高濃度に見え、読取セル群Bからは、フィルム画像の濃度が読取セル群Aから見える濃度と読取セル群Cから見える濃度の中間的な濃度に見えることになる(図9の画像A〜画像C参照)。
【0067】
このように、ラインCCD116は読取センサに対応しており、タイミングジェネレータ64、マイクロプロセッサ66及びオートセットアップエンジン144は読取条件制御手段に対応している。
【0068】
ラインCCD116が読取対象の写真フィルム22を順に読み取ることによってラインCCD116から順に出力される画像信号(3種類の画像信号が混在している信号)は、増幅器76、A/D変換器78、CDS80、I/F回路82、ラインスキャナ補正部122、セレクタ132、入出力コントローラ134を介してオートセットアップエンジン144に入力され、プレスキャンデータ PScanDataj としてRAM148等のメモリに順に蓄積される。プレスキャンデータ PScanDataj がメモリに所定量以上蓄積されるとプレスキャン制御処理(図7)のステップ252の判定が肯定され、ステップ254へ移行する。なお、ステップ254移行の処理は本発明の出力手段に対応している。
【0069】
ステップ254では、蓄積されたプレスキャンデータ PScanDataj を、R、G、B各色毎に、読取セル群Aから出力された画像信号に対応するデータ、読取セル群Bから出力された画像信号に対応するデータ、及び読取セル群Cから出力された画像信号に対応するデータに分離し、読取セル群Aに対応するプレスキャンデータPScanDataAj 、読取セル群Bに対応するプレスキャンデータPScanDataBj 、読取セル群Cに対応するプレスキャンデータPScanDataCj を取得する。
【0070】
次のステップ256では、写真フィルムに記録されているフィルム画像のエッジ位置(画像外縁の位置)を判定し、判定したエッジ位置から画面位置(コマ位置)を判定し、画面位置の判定結果に基づいて、プレスキャンデータから1コマ分のフィルム画像に対応する画像データ(フィルム画像データ)を切り出すことを、プレスキャンデータデータPScanDataAj ,PScanDataBj ,PScanDataCj に対して各々行う。これにより、プレスキャンデータA〜Cから、同一のフィルム画像を表す3種類の画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj (本発明に係る複数種の読取データに相当)が抽出される。
【0071】
ところで、画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj が表すフィルム画像の濃度は相対濃度(読取セルの蓄積電荷量に対応する値)であるので、次のステップ258では、相対濃度を絶対濃度に変換するための絶対濃度変換条件に従って画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj を各々変換することにより、画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj を、フィルム画像の絶対濃度を表す画像データへ変換(規格化)する。本実施形態では、各読取セル群毎に読取条件(電荷蓄積時間)を異ならせているので、絶対濃度変換条件についても各読取セル群毎の読取条件(電荷蓄積時間)に応じて各読取セル群毎(各画像データ毎)に定められており、読取セル群A〜Cに対応する画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj 毎に異なる変換条件で絶対濃度への変換が行われる。なお、このステップ258は、請求項3に記載の「読取条件の相違に起因する読取データの差異を予め補正する」ことに対応している。
【0072】
ステップ260では、最長の蓄積時間tA でフィルム画像の読み取りを行った結果に相当する画像データImageAj から、R、G、B各色毎に最小濃度Dmin j を求める。なお、この最小濃度Dmin j は請求項2、請求項4、請求項5に記載の特徴量に対応している。次のステップ262では、読取対象の写真フィルム22がネガフィルムかリバーサルフィルムかを判定する。
【0073】
読取対象の写真フィルム22がネガフィルムの場合にはステップ264へ移行する。画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj は、互いに異なる読取セル群がフィルム画像の読み取りを行うことで得られた画像データであるので、各画像データが表す各画素のフィルム画像上での実際の位置は、各画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj 毎に互いに異なっている。このため、ステップ264では、画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj のフィルム画像上での画素位置が互いに一致するように画像データを補正する。この補正は、例えば画像データImageBj の画素位置を基準として、画像データImageAj ,ImageCj の各々について、前記基準位置におけるR、G、Bの濃度値を補間演算によって求めることで行うことができる。
【0074】
このステップ264は、請求項1に記載の「読取データの画素位置の差異を補正」することに対応している。なお、上記の画素位置の補正は、画像データの合成を行った場合に、画素位置の相違に起因する画質の劣化を抑制するためのものであるので、画像データの合成を行う場合に、合成対象の画像データに対してのみ、上記の補正を行うようにしてもよい。
【0075】
次のステップ266では、ROM150等に予め記憶されている合成割合判定マップを取り込む。この合成割合判定マップは、例として図10(A)に示すように、画像の最小濃度Dmin j と、3種類の画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj の合成割合(重み係数)と、の関係をR、G、B各色毎に定めたものであり、図10(A)において、αA は画像データImageAj ,に対する重み係数、αB は画像データImageBj に対する重み係数、αC は画像データImageCj に対する重み係数を各々表している。
【0076】
ステップ268では、ステップ260で求めた最小濃度Dminj に基づき、ステップ266で取り込んだ合成割合判定マップに従って画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj の合成割合(画像データImageAj,ImageBj,ImageCjに対する重み係数αA、αB、αC)を判定する。そして、次のステップ270では、先に判定した合成割合(重み係数αA、αB、αC)に基づき、次の(1)式に従って、画像データImageAj,ImageBj,ImageCjを画素単位で重み付けして合成し、合成画像データSpimagejを求める。なお、ステップ268、270は請求項4の発明に対応している。
【0077】
但し、xは各画素を識別する符号である。
【0078】
最小濃度Dmin j が極端に低い超低濃度域内の値の場合、すなわちフィルム画像中に素抜け又は素抜けに近い部分が有る場合には、短い電荷蓄積時間でフィルム画像の読み取りを行わないと、読取セルで蓄積電荷の飽和が生ずる可能性が高い。これに対して本実施形態に係る合成割合判定マップは、図10(A)からも明らかなように、最小濃度Dmin j が超低濃度域内の値の場合には、重み係数αA 、αB が各々「0」、重み係数αC のみが「1」とされているので、(1)式より、読取セル群Cが最短の電荷蓄積時間tC でフィルム画像の読み取りを行うことによって得られた最適な画像データImageCj が合成画像データ Spimagej として設定されることになる。
【0079】
また、最小濃度Dmin j が極端に高い超高濃度域内の値の場合、すなわちフィルム画像全体の濃度が極端に高いと推定される場合には、電荷蓄積時間を長くしないとフィルム画像を精度良く読み取ることができない。これに対して本実施形態に係る合成割合判定マップは、最小濃度Dmin j が超高濃度域内の値の場合には、重み係数αB 、αC が各々「0」、重み係数αA のみが「1」とされているので、(1)式より、読取セル群Aが最長の電荷蓄積時間tA でフィルム画像の読み取りを行うことによって得られた最適な画像データImageAj が合成画像データ Spimagej として設定されることになる。
【0080】
また、最小濃度Dmin j が中間的な濃度域(中濃度域)内の値の場合には、電荷蓄積時間を長くし過ぎると読取セルで蓄積電荷の飽和が生じ、電荷蓄積時間を短くし過ぎるとフィルム画像の読取精度が不足する。これに対して本実施形態に係る合成割合判定マップは、最小濃度Dmin j が中濃度域内の値の場合には、重み係数αA 、αC が各々「0」、重み係数αB のみが「1」とされているので、(1)式より、読取セル群Bが中間的な電荷蓄積時間tB でフィルム画像の読み取りを行うことによって得られた最適な画像データImageBj が合成画像データ Spimagej として設定されることになる。
【0081】
更に、本実施形態に係る合成割合判定マップは、最小濃度Dmin j が超低濃度域と中濃度域の間に相当する低濃度域内の値の場合には、重み係数αA のみが「0」、重み係数αB 、αC は「0」より大、かつ「1」より小で、(αB +αC =1)とされているので、最小濃度Dmin j が上記濃度域内の値である場合には、(1)式より、画像データImageBj と画像データImageCj を合成した画像データが合成画像データ Spimagej として設定される。また、最小濃度Dmin j が低濃度域内の値である場合、最小濃度Dmin j の値が大きくなるに従って重み係数αB の値が大きくなるように合成割合判定マップが定められているので、最小濃度Dmin j が低濃度域内の何れの値の場合にも、最小濃度Dmin j の値に応じて画像データImageBj と画像データImageCj の合成割合が変更されることで、最小濃度Dmin j に応じた最適な合成画像データ Spimagej が得られる。
【0082】
更に、本実施形態に係る合成割合判定マップは、最小濃度Dmin j が超高濃度域と中濃度域の間に相当する高濃度域内の値の場合には、重み係数αC のみが「0」、重み係数αB 、αA は「0」より大、かつ「1」より小で、(αA +αB =1)とされているので、最小濃度Dmin j が高濃度域内の値である場合には、(1)式より、画像データImageAj と画像データImageBj を合成した画像データが合成画像データ Spimagej として設定される。また、最小濃度Dmin j が高濃度域内の値である場合、最小濃度Dmin j の値が大きくなるに従って重み係数αA の値が大きくなるように合成割合判定マップが定められているので、最小濃度Dmin j が高濃度域内の何れの値の場合にも、最小濃度Dmin j の値に応じて画像データImageAj と画像データImageBj の合成割合が変更されることで、最小濃度Dmin j に応じた最適な合成画像データ Spimagej が得られる。
【0083】
次のステップ272では、(1)式によって得られた合成画像データ Spimagej をプレスキャン画像データとして出力し、ステップ280へ移行する。ステップ280では、読取対象の写真フィルムに記録された全てのフィルム画像に対して上記の処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ254に戻り、ステップ254以降の処理を繰り返す。これにより、読取対象の写真フィルム22(ネガフィルム)に記録された全てのフィルム画像に対してステップ254〜272の処理が行われ、各フィルム画像のプレスキャン画像データとして合成画像データ Spimagej が各々出力されることになる。そして、ステップ280の判定が肯定されるとプレスキャン制御処理を終了する。
【0084】
一方、処理対象の写真フィルム22がリバーサルフィルムである場合には、ステップ262からステップ274へ移行し、ROM150等に予め記憶されている出力データ判定マップを取り込む。この出力データ判定マップは、例として図10(B)に示すように、画像の最小濃度Dmin (例えばR、G、B毎の最小濃度Dmin j の平均値)の変化に対し、3種類の画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj の何れを出力するかをR、G、B共通に定めたものである。本実施形態に係る出力データ判定マップは、図10(B)から明らかなように、最小濃度Dmin が濃度D1 以下のときには画像データImageCj を出力し、最小濃度Dmin が濃度D1 よりも高くかつ濃度D2 以下のときには画像データImageBj を出力し、最小濃度Dmin が濃度D2 よりも高いときには画像データImageCj を出力するように定められている。
【0085】
次のステップ276では、ステップ260で求めた最小濃度Dmin j から最小濃度Dmin を演算し、該最小濃度Dmin に基づき、ステップ274で取り込んだ出力データ判定マップに従って、出力すべき画像データを画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj の中から選択する。このステップ276は、請求項2に記載の最適な読取データの選択に対応している。ステップ278では、プレスキャン画像データとして、ステップ276で選択した画像データを出力する。
【0086】
ステップ278の処理を行うとステップ280へ移行し、ステップ280の判定が肯定される迄、ステップ254〜262、ステップ274〜280を繰り返す。これにより、読取対象の写真フィルム22(リバーサルフィルム)に記録された全てのフィルム画像に対してステップ254〜260、ステップ274〜278の処理が行われ、各フィルム画像のプレスキャン画像データとして、各々画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj の何れかが選択的に出力されることになる。そして、ステップ280の判定が肯定されるとプレスキャン制御処理を終了する。
【0087】
上記のプレスキャン制御処理によって出力された各フィルム画像のプレスキャン画像データは、各フィルム画像に対してファインスキャンを行う際の読取条件の演算、ファインスキャンを行うことによって得られる画像データ(ファインスキャン画像データ)に対する画像処理の処理条件の演算、該処理条件の検定等の処理に用いられる。
【0088】
前述のように、プレスキャン画像データは、読取セル群A〜Cにより互いに異なる読取条件でフィルム画像の読み取りが行われることで得られた画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj に基づいて、最小濃度Dmin に応じて合成(又は選択)を行うことで得られた画像データ、すなわちフィルム画像を精度良く読み取ったに等しい画像データであるので、読取条件の演算や画像処理の処理条件の演算等の処理を高精度に行うことができると共に、濃度が極端に高い、或いは濃度が極端に高いフィルム画像が混在していた場合にも、プレスキャンを再度行う必要はない。
【0089】
また、上記の各処理が終了すると、読取対象の写真フィルム22に対してファインスキャンが行われるが、このファインスキャン時には、ラインセンサ116R、116G、116B毎に、読取セル群A〜Cに対して同一の電荷蓄積時間でフィルム画像の読み取りが行われるようにラインCCD116を制御する。従ってフィアンスタン時には、プレスキャン時よりも高解像度(本実施形態では3倍の解像度)でフィルム画像の読み取りが行われる。
【0090】
なお、上記では読取セルを3つの群に分け、各読取セル群毎に読取条件(電荷蓄積時間)を異ならせた場合を説明したが、これに限定されるものではなく、4個以上の多数の群、或いは2個の群(例えばラインセンサのセンシング部の一端部側を基準として奇数番目の各読取セルで構成される読取セル群と偶数番目の各読取セルで構成される読取セル群等)に分けて、各群毎に読取条件を異ならせるようにしてもよい。
【0091】
また、上記では画像データの合成に際し、画像単位で一定の合成割合(重み係数)で合成を行っていたが、これに限定されるものではなく、例えば読取セルを3つの群に分ける場合には、次の(2)式にも示すように、重み係数を画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj の何れかにおける各画素毎の濃度値((2)式ではImageXj (x) で表現)に応じて画素単位で変更して画像の合成を行うようにしてもよい。
【0092】
Spimagej(x) =αA(ImageXj(x))×ImageAj(x)
+αB(ImageXj(x))×ImageBj(x)
+αC(ImageXj(x))×ImageCj(x) …(2)
上記のようにして画像データを合成することは、請求項5の発明に対応している。
【0093】
また、上記では読取対象の写真フィルムがリバーサルフィルムである場合に、互いに異なる複数種の読取条件での読み取りによって得られた複数種の画像データ(画像データImageAj ,ImageBj ,ImageCj )の中から、画像の最小濃度Dmin に応じて選択的に画像データを出力するようにしていたが、これに限定されるものではなく、複数種の画像データを合成してプレスキャン画像データとして出力するようにしてもよい。但し、ネガフィルムは階調特性が比較的軟調(露光量−発色濃度特性を表す特性曲線の傾きが小さい)であるので1コマ当りの濃度範囲は狭い(例えばΔD=1.0〜1.5)が、フィルム種や撮影時の露光状態(アンダ露光/ノーマル露光/オーバ露光等)によって画像の濃度範囲が大きくシフトするために、ネガフィルムのプレスキャン時に複数種の読取条件での読み取りによって広い濃度範囲を読み取っている。これに対し、リバーサルフィルムは階調特性が硬調であるので、1コマ当りの読取濃度範囲を広く(例えばΔD=2.5以上)する必要がある。従って、リバーサルフィルムを読み取ることによって得られた複数種の画像データを合成してプレスキャン画像データとして出力する場合には、上記のように、複数種の画像データに対し、合成すべき画像データを各画素毎の濃度値に応じて画素単位で選択・合成してプレスキャン画像データとして出力する必要がある。また、先に説明したように、フィルム画像の相対濃度(読取セルの蓄積電荷量に対応する値)を表す画像データを、フィルム画像の絶対濃度を表す画像データへ変換(規格化)する際に、各読取セル群毎の読取条件の相違に起因する複数種の画像データの差異を補正しているが、この補正の精度が不足していると、前記読取条件の相違に起因する複数種の画像データの差異を補正しきれず、上記のようにリバーサルフィルムを読み取ることによって得られた複数種の画像データに対し、合成すべき画像データを各画素毎の濃度値に応じて画素単位で選択・合成してプレスキャン画像データとして出力する場合に、合成後の画像データが表す画像の階調が変化する恐れがある。従って、読取条件の相違に起因する複数種の画像データの差異の補正精度が低い等の場合には、特にリバーサルフィルムが読取対象であるときに、複数種の画像データの中から選択的に画像データを出力する形態を採用することが好ましい。
【0095】
また、上記では写真フィルムに対してプレスキャンを行う際に、複数種の読取条件で同時にフィルム画像を読み取るようにしていたが、これに限定されるものではなく、例えば読取センサとして、ファインスキャンに要求される読み取りの解像度の数倍程度の解像度で読み取り可能な極めて多数の読取セルを有する読取センサを使用可能である等の場合には、プレスキャンを省略し、ファインスキャン時に複数種の読取条件で同時にフィルム画像を読み取るようにすることも可能である。
【0096】
また、上記では読取対象の画像として、写真フィルムに記録されたフィルム画像を例に説明したが、これに限定されるものではなく、紙等の他の記録媒体に記録された画像の読み取りに適用することも可能であることは言うまでもない。
【0097】
また、上記では読取センサとして、読取セルが一列に配列されたラインセンサ(詳しくは3ラインカラーセンサ)を用いていたが、これに限定されるものではなく、読取セルがマトリクス状に配置されたエリアセンサを用いてもよい。またCCDセンサに代えてMOS型撮像素子等の他の読取センサを用いてもよい。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1及び請求項6記載の発明は、入射光のうちの所定波長域の光に応じた電荷を蓄積する多数個の読取セルを備え、所定の複数の読取セル又は個々の読取セルを単位として読取条件を独立に制御可能で、かつ前記所定波長域が互いに異なる複数の読取センサに対し、個々の前記読取センサによって互いに異なる3種類の読取条件で読取対象画像が各々読み取られるように、複数の読取センサの所定の複数の読取セル又は個々の読取セルを単位として電荷蓄積時間を独立に制御し、読み取りによって得られた3種類の読取データから最適な読取データを選択して出力するか、又は少なくとも2種類の読取データの画素位置の差異を補正した後に合成して出力するようにしたので、読取対象画像の読み取り回数の増大を招くことなく、読取対象画像を精度良く読み取ったに等しい画像データを得ることができる、という優れた効果を有する。
【0099】
請求項2記載の発明は、請求項1の発明において、最適な読取データを選択して出力する場合、複数種の読取データの少なくとも何れかから求まる読取対象画像の特徴量に基づいて前記選択を行うようにしたので、上記効果に加え、読取対象画像に最も適した読取条件に対応する読取データを正確に選択することができる、という効果を有する。
【0101】
請求項4記載の発明は、請求項1の発明において、読取対象画像の特徴量に基づいて合成対象の各読取データの合成割合を決定し、合成対象の各読取データを、互いに対応する画素のデータ毎に、決定した合成割合で一律に合成するようにしたので、上記効果に加え、読取対象画像に対する最適な読取条件が、複数種の読取条件の中間に相当する読取条件であった場合にも、読取対象画像を精度良く読み取ったに等しい画像データを得ることができる、という効果を有する。
【0102】
請求項5記載の発明は、請求項1の発明において、読取対象画像の特徴量に基づいて合成対象の各読取データの合成割合を画素単位で決定し、合成対象の各読取データを、互いに対応する画素のデータ毎に、画素単位で決定した合成割合で各々合成するようにしたので、上記効果に加え、読取対象画像を、画素単位で最適な読取条件で読み取ったに等しい画像データを得ることができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るディジタルラボシステムの概略ブロック図である。
【図2】ディジタルラボシステムの外観図である。
【図3】ラインCCDスキャナの光学系の概略構成図である。
【図4】(A)は本実施形態に係るラインCCDの概略構成図、(B)はプレスキャン時に互いに異なる電荷蓄積時間で電荷蓄積(読み取り)が行われるラインCCDの各読取セル群を区別して示す概念図である。
【図5】ラインCCDスキャナの電気系の概略構成を示すブロック図である。
【図6】画像処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図7】オートセットアップエンジンで実行されるプレスキャン処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】(A)乃至(C)は単一のラインセンサの各読取セル群の電荷蓄積期間を制御する電子シャッタ制御信号及び移送ゲートトリガ信号、(D)は転送クロック信号を示すタイミングチャートである。
【図9】ラインCCDの各読取セル群における蓄積電荷量のヒストグラムを示す線図、及び各読取セル群から見た読取対象画像を概念的に示すイメージ図である。
【図10】(A)は合成割合判定マップ、(B)は出力データ判定マップの一例を各々示す線図である。
【符号の説明】
14 ラインCCDスキャナ
16 画像処理部
116 ラインCCD
64 タイミングジェネレータ
66 マイクロプロセッサ
144 オートセットアップエンジン
Claims (6)
- 読取対象画像からの光が各々入射され入射光のうちの所定波長域の光に応じた電荷を蓄積する多数個の読取セルを備え、所定の複数の読取セル又は個々の読取セルを単位として読取条件を独立に制御可能で、かつ前記所定波長域が互いに異なる複数の読取センサと、
個々の前記読取センサによって互いに異なる3種類の読取条件で読取対象画像が各々読み取られるように、前記複数の読取センサの所定の複数の読取セル又は個々の読取セルを単位として電荷蓄積時間を独立に制御する読取条件制御手段と、
個々の前記読取センサが読取対象画像を前記3種類の読取条件で各々読み取ることによって得られた3種類の読取データに対し、最適な読取データを選択して出力するか、又は前記3種類の読取データのうちの少なくとも2種類の読取データの画素位置の差異を補正した後に合成して出力する出力手段と、
を含む画像読取装置。 - 前記最適な読取データを選択して出力する場合、前記出力手段は、前記3種類の読取データの少なくとも何れかから求まる前記読取対象画像の特徴量に基づいて、前記最適な読取データを選択することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 前記読取データを合成して出力する場合、前記出力手段は、読取条件の相違に起因する合成対象の各読取データの差異を予め補正することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 前記読取データを合成して出力する場合、前記出力手段は、前記3種類の読取データの少なくとも何れかから求まる前記読取対象画像の特徴量に基づいて合成対象の各読取データの合成割合を決定し、前記各読取データを、互いに対応する画素のデータ毎に、前記決定した合成割合で一律に合成することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 前記読取データを合成して出力する場合、前記出力手段は、前記3種類の読取データの少なくとも何れかから求まる、前記読取対象画像を構成する各画素の特徴量に基づいて、合成対象の各読取データの合成割合を画素単位で決定し、前記各読取データを、互いに対応する画素のデータ毎に、前記画素単位で決定した合成割合で各々合成することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 読取対象画像からの光が各々入射され入射光のうちの所定波長域の光に応じた電荷を蓄積する多数個の読取セルを備え、所定の複数の読取セル又は個々の読取セルを単位として読取条件を独立に制御可能で、かつ前記所定波長域が互いに異なる複数の読取センサに対し、個々の前記読取センサによって互いに異なる3種類の読取条件で読取対象画像が各々読み取られるように、前記複数の読取センサの所定の複数の読取セル又は個々の読取セルを単位として電荷蓄積時間を独立に制御し、
個々の前記読取センサが読取対象画像を前記3種類の読取条件で各々読み取ることによって得られた3種類の読取データに対し、最適な読取データを選択して出力するか、又は前記3種類の読取データのうちの少なくとも2種類の読取データの画素位置の差異を補正した後に合成して出力する
画像読取方法。
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