JP3956753B2 - 窒化ガリウム系化合物半導体発光素子 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はレーザダイオード(LD)、発光ダイオード(LED)等の発光素子に使用される窒化ガリウム系化合物半導体(InaAlbGa1−a−bN、0≦a、0≦b、a+b≦1)よりなる発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、実用化されている光度1cdの青色LEDは窒化ガリウム系化合物半導体(InaAlbGa1−a−bN、0≦a、0≦b、a+b≦1)よりなり、図1に示す構造を有している。それは、サファイアよりなる基板1の表面に、GaNよりなるバッファ層2と、GaNよりなるn型層3と、AlGaNよりなるn型クラッド層4と、InGaNよりなる活性層5と、AlGaNよりなるp型クラッド層6と、GaNよりなるp型コンタクト層7とが順に積層されたダブルへテロ構造である。この青色LEDは順方向電流(If)20mAにおいて、順方向電圧(Vf)3.6V、ピーク発光波長450nm、光度1cd、発光出力1.2mWと、青色LEDでは過去最高の性能を示している。
【0003】
前記構造のLEDにおいて、基板1はサファイアの他にZnO、SiC、GaAs、Si等の材料が使用可能であるが、一般的にはサファイアが用いられる。バッファ層2はGaNの他、GaAlN、AlN等が形成される。n型コンタクト層3、n型クラッド層4は窒化ガリウム系化合物半導体にSi、Ge、Sn、C等のn型ドーパントをドープした窒化ガリウム系化合物半導体で形成される。また、n型コンタクト層3、n型クラッド層4は、このように二層に分けなくても単一のn型層として、クラッド層およびコンタクト層として作用させてもよい(つまり、いずれかの層を省略できる)。活性層5は少なくともインジウムを含む窒化ガリウム系化合物半導体よりなり、ノンドープ、Zn、Mg、Cd、Be等のp型ドーパント及び/またはn型ドーパントがドープされている。p型クラッド層6、p型コンタクト層7は窒化ガリウム系化合物半導体にp型ドーパントをドープした後、400℃以上でアニーリングすることにより、p型とされている。また、p型クラッド層6、p型コンタクト層7は、単一のp型層として、クラッド層およびコンタクト層として作用させてもよい(n層と同様にいずれかの層を省略可能)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
窒化ガリウム系化合物半導体の場合、他のGaAs、GaP、AlInGaP等のIII−V族化合物半導体に比べて、一般に電流が均一に広がりにくいという性質を有している。そこで図1のような構造のLED素子を実現した場合、n層から活性層に供給される電子の流れが、抵抗の低い箇所に集中してしまうという問題がある。図2は電流の集中による活性層の発光を模式的に示している。これは、n型コンタクト層3の負電極8より供給された電子が、図2の矢印に示すように、p型コンタクト層7の正電極9と、n型コンタクト層3の負電極8との間の抵抗が低くなるように、いちばん近い距離を流れることにより、活性層5が網掛け部で示すように部分的に強く発光していることを表している。このように、電子がn型コンタクト層3に均一に広がらないと、活性層5から均一な発光が得られないという欠点がある。
【0005】
また、上記構造のLEDはVf3.6Vと、従来のMIS構造の窒化ガリウム系化合物半導体よりなる青色LEDに比べて、5V以上Vfを低下させた。これはp−n接合による発光を示すものであるが、Vfについてもまだ改良する余地があり、さらなるVfの低下が望まれている。
【0006】
従って本発明はこのような事情を鑑みてなされてものであり、その目的とするところは、ダブルへテロ、シングルへテロ等、少なくともn型層が活性層と基板との間に形成された構造を備える窒化ガリウム系化合物半導体発光素子において、まず第一に活性層より均一な発光を得て、素子の光度、出力を向上させることにあり、第二にVfをさらに低下させて、発光効率を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
(1) 少なくともn型層が活性層と基板との間に形成された構造を備える窒化ガリウム系化合物半導体発光素子であって、
前記n型層は、負電極が設けられたGaN若しくはAlGaNのn型コンタクト層と、
該n型コンタクト層に接して、層の膜厚が10オングストローム〜0.3μmで、混晶比(In/Ga)が0.5以下のInGaNと、AlGaNと、を積層した多層膜の第二のn型層と、
を有することを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(2)前記第二のn型層が、前記コンタクト層の基板側に設けられていることを特徴とする上記(1)記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(3)前記第二のn型層が、前記コンタクト層の活性層側に設けられていることを特徴とする上記(1)記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(4)前記活性層が、前記第二のn型層表面に接して設けられていることを特徴とする上記(3)記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(5) 前記n型層表面に、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層、p型コンタクト層を積層した構造であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(6) 前記n型クラッド層が、AlGaNであることを特徴とする上記(5)記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(7) 前記窒化ガリウム系化合物半導体発光素子が、n型層、活性層、p型層を順に積層された構造を備えることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
【0008】
本発明の一実施例の発光素子の構造を図3に示す。基本的な構造は図1に示す発光素子とほぼ同じであるが、第一のn型層であるn型コンタクト層3に接して、活性層5側にその第一のn型層3よりも電子キャリア濃度が大きい新たな第二のn型層33を形成している。基板1、バッファ層2、n型コンタクト層3、n型クラッド層4、活性層5、p型クラッド層6、p型コンタクト層7等は窒化ガリウム系化合物半導体で形成され、n型コンタクト層3とn型クラッド層4とを単一のn型層とすることもでき、またp型クラッド層6とp型コンタクト層7とを単一のp型層とすることもできる。
【0009】
本発明の発光素子において、結晶性に優れた窒化ガリウム系化合物半導体層を成長させるには、基板1にサファイアを好ましく用い、バッファ層2にGaN、またはAlNを成長させ、10オングストローム〜0.5μmの膜厚で形成することが好ましい。
【0010】
活性層5と基板1との間に形成する第一のn型層は、n型コンタクト層3としては通常1μm〜5μmの膜厚で形成し、その表面にn型クラッド層4を形成する場合には50オングストローム〜1μmの膜厚で成長する。但し、前記のように、このn型クラッド層4は特に形成しなくてもよい。窒化ガリウム系化合物半導体としてはGaN、AlGaNが好ましく、最も好ましくはGaNとする。なぜならGaN、AlGaNはノンドープあるいはn型ドーパントをドープして容易にn型となり、ドーパントにより電子キャリア濃度を制御することが容易である。さらにAlGaNよりも単一層で結晶性のよい厚膜を形成するにはGaNが成長しやすい。例えば、サファイアを基板としてn型層とp型層とを順に積層した素子を実現した場合、n型コンタクト層3の電極8を設けるため、p型層をエッチングにより取り除き、n型コンタクト層3を露出させる必要があるが、単一層で厚膜が形成できると、エッチング深さの遊度があるので、実際の素子を実現する際に非常に好都合である。
【0011】
次に、活性層5は、通常50オングストローム〜0.5μmの膜厚で成長し、InGaNとすることが好ましい。InGaNはインジウムの混晶比によりバンド間発光を利用して発光素子の発光波長を紫〜緑色まで容易に変化させることができ、さらにn型、p型のドーパントをドープして発光中心とすることも容易である。さらにInのGaに対する混晶比(In/Ga)は0.5以下であることが好ましい。0.5より多いInGaNは結晶性がよくないので実用的な発光素子を得ることが困難となる傾向にある。最も優れた活性層としてはn型ドーパントと、p型ドーパントとがドープされてn型とされ、Gaに対するIn混晶比が0.5以下のInGaNを活性層とすることが好ましい。
【0012】
活性層5の上に成長するp型層もGaN、AlGaNが好ましく、p型クラッド層6は50オングストローム〜1μmの膜厚で形成し、pコンタクト層7は50オングストローム〜5μmの膜厚で成長する。但し、このp型クラッド層6は特に形成させなくてもよい。窒化ガリウム系化合物半導体としてはGaN、AlGaNを好ましく形成する、これらは単一層で結晶性のよい厚膜が成長しやすく、またp型ドーパントをドープして400℃以上でアニールすると容易にp型となる傾向にある。
【0013】
【作用】
図4に、図3の発光素子における第一のn型層であるn型コンタクト層3から、活性層5に供給される電子の流れを模式的に示す。これは、n型コンタクト層3から供給される電子が、矢印に示すように電子キャリア濃度の大きい第二のn型層33中を通って均一に広がることにより活性層5を均一に発光させることを示している。このように第一のn型層に接して、その第一のn型層よりも電子キャリア濃度の大きい第二のn型層33を活性層側に形成すると、電子が第二のn型層33中に均一に広がるので、活性層5から均一な面発光が得られる。
【0014】
第二のn型層33はインジウムを含むInXAlYGa1−X−YN(0<X、Y≦0)とすることが好ましく、特に好ましくはInのGaに対する混晶比(In/Ga)が0.5以下のInGaNとするのがよい。なぜなら、Inを含む窒化ガリウム系化合物半導体の方が、含まないものよりも電子キャリア濃度の大きい層を形成しやすく、またInを含む結晶は、含まない結晶に比べて結晶が柔らかく、転位などの結晶欠陥を吸収しやすい。そのため基板上にAlGaN、GaN等の格子整合していない第一のn型層3を成長させた場合、その第一のn型層3の結晶欠陥を第二のn型層33で緩和することが可能であるからである。
【0015】
第二のn型層33の電子キャリア濃度は1×1018/cm3〜1×1022/cm3の範囲に調整することが好ましく、また第二のn型層33よりも電子キャリア濃度の小さい第一のn型層は1×1016/cm3〜1×1019/cm3の範囲に調整することが好ましい。これらの電子キャリア濃度は、前記のように第二のn型層にSi、Ge、Sn、C等のn型ドーパントをドープすることにより調整可能である。第二のn型層33の電子キャリア濃度が1×1018/cm3よりも小さいと、電子を広げる作用が得られにくくなり均一な活性層の発光が得られにくく、1×1022/cm3よりも大きいと結晶性が悪くなり、発光素子の性能に悪影響を及ぼす恐れがある。また第一のn型層についても電子キャリア濃度が1×1016/cm3よりも小さいと活性層自体の発光が得られにくく、また1×1019/cm3よりも大きいと1μm以上の厚膜を形成した際に結晶性が悪くなる傾向にあり、素子の出力を低下させる恐れがあるからである。
【0016】
第二のn型層33の膜厚は通常10オングストローム〜1μmの膜厚で、さらに好ましくは50オングストローム〜0.3μmの膜厚で形成することが好ましい。10オングストロームよりも薄いと結晶性が不十分となるので、電子を広げる作用が得られにくくなり均一な活性層の発光が得られにくく、また1μmよりも厚いと結晶欠陥が第二のn型層中に発生しやすくなり結晶性が悪くなるので、発光素子の性能を悪化させる恐れがある。
【0017】
さらに、第二のn型層33はIn、Ga、Alの組成比が異なる窒化ガリウム系化合物半導体を2層以上積層した多層膜としてもよい。多層膜とする際の各層の膜厚も10オングストローム〜1μm、さらに好ましくは50オングストローム〜0.3μmの多層膜とすることが好ましい。この第二のn型層33を多層膜とすることにより、第一のn型層の結晶欠陥を多層膜層で止めると共に、格子整合していない窒化ガリウム系化合物半導体を積層した際の結晶中の歪を緩和して、結晶性に優れた半導体層を成長できるので発光素子の出力を向上させることができる。
【0018】
次に、図5は本発明の他の実施例の発光素子の構造を示す模式断面図である。これは第一のn型層3に形成された負電極8と基板1との間に、第二のn型層33が形成され、第二のn型層33と負電極8との距離が接近していることを示している。本来であれば、電極8をキャリア濃度の大きい第二のn型層33の表面に形成できれば、例えば図4と比較して、電子がキャリア濃度の大きい第二のn型層33を通って流れるので、発光素子のVfを低下させることができる。しかしながら、サファイアのような絶縁性基板を用いた場合、エッチングを第二のn型層33で止めることが生産技術上困難であるため、図5のように第二のn型層33と負電極8との距離を短くして、電極8から注入された電子がキャリア濃度の大きい第二のn型層33を通ることにより、Vfを低下させることが可能となる。
【0019】
さらに、サファイアを基板とし、そのサファイア基板の表面に少なくともn型層と、活性層と、p型層とが順に積層されて、そのp型層と活性層とがエッチングされて露出されたn型層の表面に電極が形成される構造の発光素子においては、第二のn型層33を、n型層の電極形成面と基板との間に形成することにより効果的にVfを低下させることができる。なぜなら、SiC、ZnO、Si等の導電性基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体を成長した構造の発光素子であれば、n型層の電極は基板側に形成でき、n層側の電子は活性層に対し垂直に供給される。それに対し前記のようにサファイア基板を有する素子は、活性層に対し平行に供給される。垂直に供給される電子がn型層を移動する距離はせいぜい数μmであるのに対し、平行に供給される電子の移動距離は数十μm〜数百μmもある。従って電子が平行に供給される素子において、電子が平行に供給される第二のn型層のキャリア濃度を大きくすることにより、電子が移動しやすくなるのでVfを低下させることができる。
【0020】
【実施例】
[実施例1]
MOVPE法により、2インチφのサファイアよりなる基板1の表面に、GaNよりなるバッファ層2を0.02μmの膜厚で成長させる。このバッファ層2の表面に第一のn型層として、Siをドープした電子キャリア濃度5×10/18cm3のn型GaNよりなるn型コンタクト層3を1μmの膜厚で成長させる。
【0021】
次にn型コンタクト層3の表面に第二のn型層として、Siをドープした電子キャリア濃度1×1020/cm3のn型In0.1Ga0.9N層を0.05μmの膜厚で成長させる。
【0022】
次に同じくSiをドープした電子キャリア濃度5×1018/cm3のGaNよりなるn型コンタクト層3’を3μmの膜厚で成長させる。
【0023】
n型コンタクト層3’の表面に、Siをドープした電子キャリア濃度1×1018/cm3のn型Al0.2Ga0.8Nよりなるn型クラッド層を0.1μmの膜厚で成長させ、その上にSiとZnドープn型In0.1Ga0.9Nよりなる活性層5を0.1μmと、MgドープAl0.2Ga0.8Nよりなるp型クラッド層6と、MgドープGaNよりなるp型コンタクト層7を順に成長させて積層する。
【0024】
以上のようにして得たウェーハをアニーリング装置に入れ、700℃でアニーリングして、p型クラッド層6およびp型コンタクト層7をさらに低抵抗なp型とした後、p型コンタクト層7の表面に所定の形状のマスクを形成し、p型コンタクト層側からエッチングを行い、n型コンタクト層3’を露出させる。
【0025】
後は常法に従い、p型コンタクト層7に正電極9と、露出したn型コンタクト層3’に負電極8を形成した後、チップ状に分離して、図5に示すような構造の青色発光素子とした。この発光素子発光させたところ、活性層5から主発光波長450nmの均一な面発光が観測され、順方向電流(If)20mAにおいて、Vfは3.3Vであり、発光出力は1.8mWであった。
【0026】
[実施例2]
バッファ層2の表面に、第一のn型層として電子キャリア濃度1×1018/cm3のGeドープGaNよりなるn型コンタクト層3を1μmの膜厚で成長し、その表面に電子キャリア濃度5×1020/cm3のGeドープIn0.2Ga0.8Nよりなる第二のn型層を0.01μmの膜圧で成長させる。次に第二のn型層33の表面に同じく電子キャリア濃度1×1018/cm3のGeドープn型GaNよりなるn型コンタクト層3’を2μmと、電子キャリア濃度5×1020/cm3のGeドープn型In0.2Ga0.8Nよりなる第二のn型層33’を0.01μmと、電子キャリア濃度1×1018/cm3のGeドープn型GaN層とを1μmの膜厚で順に成長させる。
【0027】
後は実施例1と同様にしてn型クラッド層4、活性層5、p型クラッド層6、p型コンタクト層7を積層して、図6に示すような構造の青色発光素子とした。但し、図6に示すように、p型コンタクト層7からのエッチング深さはn型コンタクト層3’までとし、負電極8はn型コンタクト層3’の表面に形成した。そして、この発光素子を発光させたところ、実施例1と同様に活性層5からは均一な面発光が観測され、If20mAにおいてVf3.2V、発光出力は2.0mWであった。
【0028】
[実施例3]
バッファ層2の表面に、第一のn型層として電子キャリア濃度1×1018/cm3のSiドープAl0.1Ga0.9Nよりなるn型コンタクト層3を3μmの膜厚で成長させる。次にその表面に、電子キャリア濃度1×1020/cm3のSiドープIn0.2Ga0.8Nを0.01μmと、電子キャリア濃度1×1020/cm3のSiドープAl0.05Ga0.95Nを0.01μmとを、それぞれ交互に5層づつ積層した第二のn型層33を成長させる。
【0029】
次に第二のn型層33の表面に、SiとZnドープn型In0.1Ga0.9Nよりなる活性層5を0.1μmと、MgドープAl0.2Ga0.8Nよりなるp型クラッド層6と、MgドープGaNよりなるp型コンタクト層7を順に成長させて積層する。つまり、実施例1のn型クラッド層4を成長させない他は同様にして活性層5、p型クラッド層6、p型コンタクト層7を成長させる。後は実施例1と同様にしてエッチングを行い、図3に示すような構造の発光素子とした。この発光素子を発光させたところ同様に活性層5からは均一な面発光が得られ、If20mAにおいて、Vf3.5Vであり、発光出力は2.2mWであった。
【0030】
[比較例1]
実施例1において、第二のn型層33を成長させず、GaNコンタクト層を連続的に4μmの膜厚で成長させる他は同様にして、図1に示すような構造の発光素子とした。この発光素子の活性層は、図2に示すように正電極9と、負電極8との間で強く発光し、均一な発光を得ることができなかった。またIf20mAにおいて、Vfは3.6V、発光出力1.2mWであった。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の発光素子は全て活性層から均一な面発光を得て発光出力の向上した素子を実現できる。また、実施例1、2のように第二のn型層33を負電極8と、基板1との間に形成した発光素子は、明らかにVfが低下している。また実施例3は第二のn型層が基板と負電極との間にないので、Vfは低下に関しては影響が少ないが、第二のn型層を多層膜としているので、活性層、p型クラッド層、p型コンタクト層の結晶欠陥が少なくなり、発光出力が向上している。このように本発明の発光素子はキャリア濃度の大きい第二のn型層が第一のn型層に接して活性層側に形成されていることにより、均一な面発光を得て、発光出力の向上した素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の発光素子の構造を示す模式断面図。
【図2】 図1の発光素子の発光状態を示す模式断面図。
【図3】 本発明の一実施例の発光素子の構造を示す模式断面図。
【図4】 図3の発光素子の発光状態を示す模式断面図。
【図5】 本発明の他の実施例の発光素子の発光状態を示す模式断面図。
【図6】 本発明の他の実施例の発光素子の構造を示す模式断面図。
【符号の説明】
1・・・・・基板 2・・・・・バッファ層
4・・・・・n型クラッド層 5・・・・・活性層
6・・・・・p型クラッド層 7・・・・・p型コンタクト層
8・・・・・負電極 9・・・・・正電極
3、3'、3”・・・・・第一のn型層(n型コンタクト層)
33、33' ・・・・・第二のn型層
Claims (7)
- 少なくともn型層が活性層と基板との間に形成された構造を備える窒化ガリウム系化合物半導体発光素子であって、
前記n型層は、負電極が設けられたGaN若しくはAlGaNのn型コンタクト層と、
該n型コンタクト層に接して、層の膜厚が10オングストローム〜0.3μmで、混晶比(In/Ga)が0.5以下のInGaNと、AlGaNと、を積層した多層膜の第二のn型層と、
を有することを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。 - 前記第二のn型層が、前記コンタクト層の基板側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
- 前記第二のn型層が、前記コンタクト層の活性層側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
- 前記活性層が、前記第二のn型層表面に接して設けられていることを特徴とする請求項3記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
- 前記n型層表面に、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層、p型コンタクト層を積層した構造であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
- 前記n型クラッド層が、AlGaNであることを特徴とする請求項5記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
- 前記窒化ガリウム系化合物半導体発光素子が、n型層、活性層、GaN若しくはAlGaNのp型層を順に積層された構造を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
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