JP3956488B2 - 小型スピーカの固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型スピーカによる再生機能を備えた、携帯型再生装置、自動車用モニター装置等の小型電子機器装置におけるスピーカの取付け構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、小型電子機器装置における小型スピーカのキャビネットへの取付け構造は図5の(A)、(B)で示すように、小型スピーカ1はその外部ケースとなるスピーカシャーシ2の外周縁部3の全周を接着剤4によりキャビネット5に接着固定する構造とされていた。
【0003】
また、他の従来例としては、図6の(A)、(B)で示すように、小型スピーカ1はその外部ケースとなるスピーカシャーシ2のグネット収納部2aから離間したスピーカシャーシ2の外周上面部2bをキャビネット5にネジ7によってネジ止め固定される金属板若しくは樹脂等で形成された固定部品6によって、キャビネット5に押圧固定する構造とされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の小型スピーカ1の固定構造においては、先ず図5で示す接着による固定構造の場合、スピーカシャーシ2の外周縁部3の全周に接着剤4を塗布するため、接着剤4が硬化するまで次の組み立て作業に移ることが出来ない。硬化のための時間を要するという課題が生じていた。
【0005】
次に図6の他の従来例で示す固定構造においては、小型スピーカ1はキャビネット5にネジ止め固定される固定部品6を少なくとも2部材必要とし、部品点数が増加するという課題が生じていた。
また、固定部品6のネジ止めに際してネジ7の回転とともに固定部品6が点線で示すように回転移動し、十分な固定力が得られずこれを防ぐために固定部品6の位置を修正しながらネジ7を締めていくことが必要となり、作業時間が増加するという課題も生じていた。
さらに、固定部品6がスピーカシャーシ2の外周上面部2bを押圧するため、スピーカシャーシ2が変形し、共振点の変化や、コーン紙の振動空間容量が変化して小型スピーカ1の音質に悪影響を及ぼすという課題も生じていた。
さらに、固定部品6が金属の場合、その取付面積が小型スピーカ1との接触面積を大きくとる場合には、スピーカのマグネットの磁力に影響を及ぼし、音質低下となる恐れも生じていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記した課題を解決することを目的として創作されたもので、その手段は、スピーカシャーシを有する小型スピーカを電子機器のキャビネットに固定部品よって押圧する電子機器のキャビネットにおける小型スピーカの固定構造において、固定部品は、連結部と、連結部に連接された階段状の係合段部が形成された押圧部と、押圧部の外周に連結して形成されたキャビネット取付部と、キャビネット取付部に設けられた位置決め用穴と、からなり、キャビネットは、スピーカシャーシを嵌合位置決めするスピーカ位置決め台部と、スピーカ位置決め台部の上面に設けられた位置決め突起と、からなり、固定部品は、連結部とスピーカシャーシのマグネット収容部との間に隙間ができるよう押圧部がスピーカシャーシ方向に延在してスピーカシャーシの外周縁部とのみ係合して、キャビネット取付部がスピーカ位置決め台部の各上面に位置して位置決め穴と位置決め突起とが嵌合して位置決めされた状態で、キャビネットに押圧固定されることを特徴とするものである。
【0007】
また、固定部品は対称位置に押圧部が一体的に形成され、この押圧部は小型スピーカのシャーシと、振動板となるコーンの接合部分のみを押圧する構成とされて、小型スピーカの音質劣化を防止する手段も講じられた固定構造となっている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図の実施例に従って説明すると、第1の実施例として図1の平面図で示すように、小型スピーカ10は、そのスピーカシャーシ11のマグネット収納部13から離間した状態で外周縁部12のみを樹脂等で形成した固定部品14で電子機器のキャビネット21に押圧固定される。
【0009】
ここで、固定部品14は、連結部15と、この連結部15に連接した対称位置に、スピーカシャーシ11のマグネット収納部13と連結部15が接触しないように、図中下方向に延在し、スピーカシャーシ11の外周面に沿った湾曲する階段状の係合段部16a、16bを形成した一対の押圧部16と、押圧部16の外周に連結して一体的に形成された逆L字状の一対の取付部17a、17bからなるキャビネット取付部17とから構成され、取付部17には、位置決め用の楕円状の位置決め穴18と、ネジ20が取付られる固定用ネジ止め穴19がそれぞれ設けられている。
【0010】
次に、図2の一部断面図で示すように、小型スピーカ10と固定部品14と、小型電子機器のキャビネット21との組み付け固定構造について説明する。
図示するように、小型スピーカ10は、そのスピーカシャーシ11の外周縁部12がキャビネット21に設けた一対のスピーカ位置決め台部22の間に位置するように嵌合位置決めされる。
【0011】
続いて、固定部品14が小型スピーカ10の上面から、小型スピーカ10の振動体となるコーン紙との接合面であるスピーカシャーシ11の外周縁部12の部分とのみ係合して押圧するように、階段状の係合段部16a、16bを形成した一対の押圧部16が押圧係合状態に組み付けられている。
ここで、押圧部16の外周に連結して一体的に形成された逆L字状の一対の取付部17a、17bからなるキャビネット取付部17が、キャビネット21に設けた一対の位置決め台部22の各上面22a、22bに位置して、楕円状の位置決め穴18とピン状の位置決め突起23とが嵌合し、位置決めされた状態でネジ20により、取付部17の部分がネジ止めされ、固定部品14はキャビネット21に取付固定されている。
【0012】
このとき、小型スピーカ10は、キャビネット21と固定部品14の押圧部16により挟持された状態でキャビネット21に固定され、固定部品14の連結部15は前記したように、固定状態でマグネット収納部13との間に間隙が出来るよう組み付け固定されている。
【0013】
次に、本発明の他の実施例について説明する。図3で示すように、本発明の他の実施例となる固定部品30は、小型スピーカ10の上面から、小型スピーカ10の振動体となるコーン紙との接合面であるスピーカシャーシ11の外周縁部12の全周囲面部分とのみ係合して押圧するように、階段状の係合段部31を設けた押圧部32が小型スピーカ10の外周面に合わせて環状に連結形成され、キャビネットへの取付部33が図3で示す実施例では対称位置に4カ所33a、33b、33c、33dと設けられている。
【0014】
さらに第1の実施例と同様に、各取付部33a、33b、33c、33dにはそれぞれ、キャビネット21の位置決め突起23と嵌合する、位置決め用の楕円穴34とネジ20がねじ込まれるねじ穴35とが対称的な位置関係で設けられた構成とされている。
尚、この実施例で示すように押圧部32が一体的な環状に形成されている場合、その取付部33は2カ所、若しくは2カ所以上設けることが出来、取付部33を2カ所以上設けることにより、小型スピーカ10の押圧力をバランス良く保って固定することが可能となり、小型スピーカのシャーシに無理な変形を起こさせることが無くなり、音質の劣化を防止することが出来る。
【0015】
続いて、本発明に係る、固定部品とキャビネットとの固定構造の変形例について、図4で説明する。例えば第1の実施例で示した固定部品14は、小型スピーカ10におけるシャーシ11のマグネット収納部13から離間した状態で外周縁部12のみを電子機器のキャビネット21に押圧した状態で、キャビネット21に取付部17a、17bからなるキャビネット取付部17が、ネジ止めにより固定されず、キャビネット21より上方に立設された、フック25を設けた一対の係合片24a、24bにより、取付部17a、17bを下方に押しつける用に係合押圧することにより固定される構造とされているものである。
【0016】
【発明の効果】
従って、上述した構造からなる、本発明に係る小型スピーカの固定構造によれば、第1及び第2の実施例で示す場合、ネジ止め固定とされる構造のため、接着剤による固定のように、接着剤の硬化待ち時間を必要とせず、単純にスピーカの上方から組み付け、ネジ止めすることにより簡単な組立行程作業とすることが出来、作業コストの低減を図ることが出来る。
【0017】
次に、小型スピーカの固定は一部材でキャビネットに固定することができ、部品点数の削減が可能となるとともに、小型スピーカの外周縁部のみを押さえて固定する構造であるため、スピーカシャーシの中央マグネット部、及びコーン紙の振動空間部に、押圧による変形の発生を防止でき、音質の変化による劣化、並びに音量の低下等の不具合発生を防止できるものである。
加えて、スピーカ部の外周全部を押圧して固定する場合、均等な押圧固定ができ、スピーカの音質向上を図ることができる。
【0018】
また、固定部品とキャビネットとの固定に際して、位置決め突起と位置決め穴を設ける構成とすることにより、ネジ止め時の回転を防止して、同時にスピーカ固定部品の取付位置補正が出来作業性の向上を図ることが出来る。
【0019】
さらに、変形例として示したネジを用いない、フックをそなえた、キャビネットから一体的に立設形成された係合部材による固定の場合は、作業工程の短縮を図るとともに、部品点数の低減も図れ、一層のコスト低減を目指すことができるという効果が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一実施例を示す平面図。
【図2】図1の組み付け状態を示す一部断面図。
【図3】本発明の第二の実施例を示す平面図。
【図4】本発明の第三の実施例を示す一部断面図。
【図5】従来例の一例を示し、(A)は平面図、(B)は従来例の側面図。
【図6】従来例の他の例を示し、(A)は平面図、(B)は組み付け状態を示す側面図。
【符号の説明】
10 小型スピーカ
11 スピーカシャーシ
12 外周縁部
13 マグネット収納部
14 固定部品
15 連結部
16 押圧部
17 取付部
18 位置決め穴
19 ネジ穴
20 ネジ
21 キャビネット
22 位置決め台部
23 位置決め突起
Claims (5)
- スピーカシャーシを有する小型スピーカを電子機器のキャビネットに固定部品よって押圧する電子機器のキャビネットにおける小型スピーカの固定構造において、
前記固定部品は、
連結部と、前記連結部に連接された階段状の係合段部が形成された押圧部と、前記押圧部の外周に連結して形成されたキャビネット取付部と、前記キャビネット取付部に設けられた位置決め用穴と、からなり、
前記キャビネットは、
前記スピーカシャーシを嵌合位置決めするスピーカ位置決め台部と、前記スピーカ位置決め台部の上面に設けられた位置決め突起と、からなり、
前記固定部品は、
前記連結部と前記スピーカシャーシのマグネット収容部との間に隙間ができるよう前記押圧部が前記スピーカシャーシ方向に延在して前記スピーカシャーシの外周縁部とのみ係合して、前記キャビネット取付部が前記スピーカ位置決め台部の各上面に位置して前記位置決め穴と前記位置決め突起とが嵌合して位置決めされた状態で、
前記キャビネットに押圧固定されることを特徴とする小型スピーカの固定構造。 - 前記固定部品は、前記連結部の対称位置に階段状の係合段部が連接された一対の押圧部を備えることを特徴とする請求項1に記載の小型スピーカの固定構造。
- 前記固定部品は、前記連結部の全周に階段状の係合段部が連接された環状押圧部を備えることを特徴とする請求項1に記載の小型スピーカの固定構造。
- 前記位置決め用穴は、楕円状であり位置補正可能な状態で嵌合されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の小型スピーカの固定構造。
- 前記固定部品と前記キャビネットとは、前記キャビネット取付部とスピーカ位置決め台部にネジ止めする構成とした請求項1乃至4のいずれか1項に記載の小型スピーカの固定構造。
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