JP3956249B2 - 多色印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高精細印刷装置に関し、特に見当合わせ精度が高く印刷の寸法精度も高い多色印刷装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
高精細のパターンを形成した電子材料等の形成には、フォトリソグラフィー、電着等の方法が用いられているが、これらの方法は、多数の工程を経て製造され、また、量産には大がかりな装置を必要としている。これに対して、印刷によってパターンを形成する方法は、量産に好適な方法であるが、印刷によって得られるパターンはその精度において、フォトリソグラフィーに比べて劣るという問題点があった。
【0003】
従来、高精細パターンを印刷する方法としては、例えば特開昭62−85202号公報に見られるグラビアオフセット法が知られているが、ブランケット(中間胴)から被印刷体への転写の際に形状の変化が生じ、版形状が正確に再現されず、版形状を数10μmのレベルで再現することは困難であった。
【0004】
この問題を解決するために、本発明者は、別途、表面に粘弾性を有する層を設けた印刷基材に、凹版内のインキを転写する高精細印刷方法を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の高精細印刷方法により高精細のグラビア印刷が可能になったが、多色印刷に適用する場合は、新たな問題を生じる。通常、グラビア印刷方式による多色印刷においては、印刷ラインに沿って複数の印刷ユニットを配置して多色印刷する方式が行われている。
【0006】
しかしながら、グラビア印刷方式での多色印刷の際の見当合わせは、アライメントマークの検出、印刷基材のテンションコントロール、位置補正等により精密制御する必要があり、これによっても高精細印刷パターンにおいては、見当あわせに限界があり±100mμ以下にすることは困難であった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するものであり、高精細な多色印刷を可能とする多色印刷装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の多色印刷装置は、複数の圧胴(8A、8C)が反転ローラ(8B)を介して配設され、各圧胴(8A、8C)の周囲に配設された複数のカラー印刷ユニット(C1、C2、C3、C4)と、各カラー印刷ユニット(C1、C2、C3、C4)に備えられた版胴(4)と、各カラー印刷ユニット(C1、C2、C3、C4)の下流側に配設されたUV照射装置(23)と、上流側の圧胴(8A)外周面に印刷基材(7)を供給する供給ロール(20)及び下流側の圧胴(8C)の外周面から印刷基材(7)を巻取る巻取ロール(22)とを備え、前記圧胴(8A、8C)の外周面にはゴム材を介して金属膜を形成するとともに、前記圧胴(8A、8C)と反転ローラ(8B)の外周面には印刷パターン領域外に多数のエア吸引孔(27)を形成したことを特徴とする。なお、上記構成に付加した番号は、本発明の理解を容易にするために図面と対比させるもので、これにより本発明が何ら限定されるものではない。また、本発明は、特にグラビア印刷方式において有用なものである。
以上
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図2は、本発明で採用されるグラビア印刷方式を説明するための図である。
【0010】
印刷装置1において、インキ2は回転するファニッシャーローラ3に均一に付着され、次いで、ファニッシャーローラ3と接触して回転するグラビア版胴4上に形成された印刷パターン5にインキが充填され、さらに、印刷パターン5のインキの表面がドクター6によって整形される。次いで、印刷基材7が連続的にグラビア版胴4の表面に供給され、グラビア版胴4と反対の面から回転する圧胴8によって押圧されて、印刷基材7の面上にグラビア版胴4の印刷パターン5に充填されたインキパターン9が転写される。
【0011】
図3は、図2において、グラビア版胴から印刷基材にインキが転写される過程を示す図である。図3(A)において、印刷基材7は、圧胴8によってグラビア版胴4の表面に所定の圧力によって密着させられるが、印刷基材7が背面から圧胴8により加圧されてグラビア版胴4のパターン非形成部10に接触させられると、印刷基材7の支持体11の表面に形成されたタック層12がパターン非形成部10に密着する。
【0012】
タック層12は、グラビア版胴4の回転に伴って、接触部を変えながら移動する。図3(A)に示すように、印刷基材7の表面が印刷パターン5と接触して印刷基材7側へのインキの転写が始まった段階では、印刷パターン形成部の近傍13では、印刷基材7の表面のタック層12は、依然としてグラビア版胴4のパターン非形成部10と密着している。回転に伴って移動した印刷基材7は、図3(B)に示すように、印刷パターン5の近傍のパターン非形成部14に一部が接触した状態で転写が進むので、正確に位置決めが行われた状態で転写が完了することになる。
【0013】
上記印刷基材7の支持体11は、厚さが10〜50μmで、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の合成樹脂製フィルム等の強度が大きくまたヤング率も大きな合成樹脂フィルム等が好適である。また、タック層12は、厚さが20〜50μmで、粘弾性もしくはタック性を有し、具体的にはグラビア版胴への粘着性、インキの転写の際の溶剤の吸収によるインキの増粘特性とともに、加熱によって支持体から容易に剥離する剥離性を有する材料、例えばシリコン系コポリマーとしてジメチルポリシロキサン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−イソシアネートエチル、メタクリレート、またはジメチルポリシロキサンまたはメチルフェニルポリシロキサンまたはメチルフロロポリシロキサンが好ましい。このタック層12は、インキの転写の際に表面の粘弾性もしくはタック性により、転写されたインキパターンの形状が正確に再現されるという特徴を有している。
【0014】
図4は、図3においてタック層へのインキの転写を説明するための図である。印刷基材7の支持体11には、強度が大きな合成樹脂フィルムを使用している。これらの基材が、インキ中の溶剤が浸透しないために、転写したインキは、徐々に表面より溶剤が揮発して転写インキパターン15の形状が安定した状態になるが、支持体11上に形成したタック層12は、インキの溶剤を吸収する作用を有しているので、インキがタック層12に転写された際にインキ中の溶剤16がタック層12へ吸収されて、インキパターン中の溶剤が減少し、インキは粘度を高めることとなり、パターン形状の保持性が良好になる。このような特性は、タック層への転写の開始時から発現するために、タック層12上へインキパターンの形状が正確に転写される。
【0015】
次いで、得られた印刷基材上に形成されたインキパターンを被印刷体へ転写する。図5は、被印刷体への転写方法を説明するための図である。印刷基材7は、支持体11上に転写インキパターン15を有しており、被印刷体17とともに転写ロール18に送られる。転写ロール18の加圧ロールは、所定の圧力及び温度に加圧、加熱されており、タック層から転写インキパターン15が被印刷体17に転写される。
【0016】
図1は、本発明の多色印刷装置の1実施形態を示し、図1(A)は断面図、図1(B)は図1(A)の一部拡大断面図である。本発明は、例えばカラーフィルタのカラーパターンの印刷に適用することができる。
【0017】
図1(A)において、本発明の多色印刷装置は、2つの圧胴8A、8Cが反転ローラ8Bを介して配置されている。圧胴8Aの周囲には、黒、赤のパターンを印刷するための2組のカラー印刷ユニットC1、C2が配設され、圧胴8Cの周囲には、緑、青のパターンを印刷するための2組のカラー印刷ユニットC3、C4が配設されている。各カラー印刷ユニットC1〜C4は、例えば図2で説明した、インキ2、ファニッシャーローラ3、グラビア版胴4、印刷パターン5、ドクター6を備えている。供給ロール20に巻回された印刷基材7は、テンションロール21、圧胴8A、反転ローラ8B、圧胴8Cの周面を経て巻取ロール22に巻回されている。各カラー印刷ユニットC1〜C4の下流側にはUV照射装置23が配設されている。UV照射装置23は、インキを乾燥させるためのもので、従って、インキとしてはUV照射により乾燥する組成のものを用いる。
【0018】
図1(B)に示すように、圧胴8A、8Cは、金属製のシリンダ24の外周面に形成されたゴム材25と、ゴム材25上に形成された厚さが5〜20μmの金属膜26とからなり、圧胴8A、8Cと反転ローラ8Bの外周面には、印刷パターン領域外に多数のエア吸引孔27が形成され、エア吸引孔27は図示しない真空ポンプに接続されている。
【0019】
上記構成からなる本発明の多色印刷装置の作用について説明する。印刷基材7は、エア吸引孔27から吸引されるエアにより圧胴8A、8Cと反転ローラ8Bの面に密着された状態で、圧胴8A、8Cと反転ローラ8Bの同期回転により図示矢印の如く搬送される。各カラー印刷ユニットC1〜C4のファニッシャーローラ3及びグラビア版胴4は、圧胴8A、8Cの回転に同期して駆動され、印刷基材7上の所定の位置に所定のパターンで転写およびUV照射装置23による乾燥がなされ、印刷パターンが転写された印刷基材7は巻取ロール22に巻回されていく。このとき、印刷基材7は圧胴8A、8Cと反転ローラ8Bに密着されているため、見当合わせ精度が向上し、また、圧胴8A、8Cは表面の内側にゴム材25が存在するため、圧胴表面がメタルのみの場合と比較して凹版からインキを転移し易くなり、高精細の多色印刷が可能になる。さらに、上記のように高精度の見当合わせができるため、重ね刷りが可能となり印刷パターンのピンホール対策ができる。
【0020】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。また上記実施形態は、転写の際に形状の変化が少ないグラビア印刷方式に特に有用であるが、オフセット印刷方式やフレキソ印刷方式にも適用可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、高精細な多色印刷を可能とする多色印刷装置を提供することができ、また、用いる圧胴の径を小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多色印刷装置の1実施形態を示し、図1(A)は断面図、図1(B)は図1(A)の一部拡大断面図である。
【図2】本発明で採用されるグラビア印刷方式を説明するための図である。
【図3】図2において、グラビア版胴から印刷基材にインキが転写される過程を示す図である。
【図4】図3においてタック層へのインキの転写を説明するための図である。
【図5】被印刷体への転写方法を説明するための図である。
【符号の説明】C1〜C4…カラー印刷ユニット4…版胴(グラビア版胴)7…印刷基材8A、8C…圧胴8B…反転ローラ20…供給ロール22…巻取ロール23…UV照射装置25…ゴム材26…金属膜27…エア吸引孔
以上
Claims (2)
- 複数の圧胴(8A、8C)が反転ローラ(8B)を介して配設され、各圧胴(8A、8C)の周囲に配設された複数のカラー印刷ユニット(C1、C2、C3、C4)と、各カラー印刷ユニット(C1、C2、C3、C4)に備えられた版胴(4)と、各カラー印刷ユニット(C1、C2、C3、C4)の下流側に配設されたUV照射装置(23)と、上流側の圧胴(8A)外周面に印刷基材(7)を供給する供給ロール(20)及び下流側の圧胴(8C)の外周面から印刷基材(7)を巻取る巻取ロール(22)とを備え、前記圧胴(8A、8C)の外周面にはゴム材を介して金属膜を形成するとともに、前記圧胴(8A、8C)と反転ローラ(8B)の外周面には印刷パターン領域外に多数のエア吸引孔(27)を形成したことを特徴とする多色印刷装置。
- 前記各カラー印刷ユニットに備えられた版胴としてグラビア版胴を用いたことを特徴とする請求項1記載の多色印刷装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP04733198A JP3956249B2 (ja) | 1998-02-27 | 1998-02-27 | 多色印刷装置 |
Publications (2)
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JPH11245367A JPH11245367A (ja) | 1999-09-14 |
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1998
- 1998-02-27 JP JP04733198A patent/JP3956249B2/ja not_active Expired - Fee Related
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