JP3956004B2 - 電球形蛍光ランプおよび照明器具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電球形蛍光ランプおよび電球形蛍光ランプを具備した照明器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
電球形蛍光ランプは、発光管の管径が細く、また、発光管を屈曲形にして比較的狭い外囲器内に収納されている。このため、管壁負荷が高く、また、放熱が不十分となって発光管の温度が上昇する。このような温度的に厳しい条件の下で、発光管に封入されている水銀の水銀蒸気圧を適正に制御するために、例えば特公平3−34187号公報に記載されているように、補助アマルガムを発光管端部の電極近傍に設置するとともに、主アマルガムを発光管端部から突出された排気細管内に収容した構造が一般的に用いられている。また、補助アマルガムを用いていない電球形蛍光ランプとして、特開平8−31374号公報(従来技術)に記載のものがある。この従来技術の電球形蛍光ランプは、蛍光体層にアマルガム粒を混合させることによって消灯中にアマルガムに水銀を吸着させ、再点灯時に、このアマルガムから水銀を放出させて光束立ち上がりを向上させたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術の電球形蛍光ランプは、蛍光体層に非発光物質であるアマルガムが混合されているので、蛍光体層から放射される可視光が減少し、光束が低下してしまうという欠点がある。また、蛍光体層にアマルガム粒を混合させるので、蛍光体層が水銀との反応によって劣化するおそれがあり、実用化にあたっては種々の課題を有するものである。
【0004】
本発明は、点灯方向によらず、蛍光ランプの発光効率(lm/W)を低下させることなく、光束の立ち上がりが早く、かつ、安定したランプ特性が得られる電球形蛍光ランプおよびこの電球形蛍光ランプを具備した照明器具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の電球形蛍光ランプの発明は、内部に不活性ガスが封入され、両端部に電極が封装された屈曲形蛍光ランプと;一端に口金が取着され、他端に屈曲形蛍光ランプが取着されたカバーと;カバーの内部に収容されて屈曲形蛍光ランプを付勢させる点灯装置と;屈曲形蛍光ランプの一端内部に配設された第1のアマルガムと;屈曲形蛍光ランプの内部で移動可能に封入された粒状であって第1のアマルガムよりも水銀吸着力の大きい第2のアマルガムと;を具備していることを特徴とする。
【0006】
本発明および以下の各発明において、特に言及しない限り用語の定義および技術的意味は次のとおりとする。
【0007】
不活性ガスは、少なくともアルゴンガスを含むものの他、クリプトン、ネオン等を含む希ガスを混合したものでもよい。
【0008】
点灯装置は、蛍光ランプを付勢するものであれば、鉄心およびコイルから構成された安定器やインバータ点灯装置などのいずれであってもよい。
【0009】
口金を介して点灯装置が給電されると、点灯装置は屈曲形蛍光ランプを始動させる。始動時、屈曲形蛍光ランプの一端内部に形成された第1のアマルガムは、電極に近いので加熱されて水銀を放出する。放出された水銀は、屈曲形蛍光ランプ内の全域に拡散される。また、始動直後の一定時間、熱電子の衝突による熱で蛍光ランプの発光部が発熱する結果、蛍光ランプの内部に封入された第2のアマルガムも水銀を放出する。その結果、蛍光ランプの発光部は直ちに水銀蒸気で満たされる。その後、第2のアマルガムは発光部内の水銀蒸気を吸収して、発光部内の水銀蒸気圧を所望の圧力に保つようにする。
【0010】
始動時、第1のアマルガムおよび第2のアマルガムより水銀が放出され、その水銀は蛍光ランプの全域に拡散されるので、蛍光ランプの水銀蒸気圧の立ち上がりが早く、付随して、光束の立ち上がりが早い。また、立ち上がり後、第2のアマルガムは発光部内の水銀蒸気圧を所望の圧力に保つので、所望のランプ特性を安定的に得ることができる。最大の発光効率(lm/W)を得るとともにランプ特性を安定させるには、発光部内の水銀蒸気圧を常時一定に保つ必要があるが、第2のアマルガムがその役割を果たすものである。
【0011】
電球形蛍光ランプの点灯方向に応じて、粒状の第2のアマルガムは蛍光ランプの内部を移動し、内部の最下部に停留される。最下部は最冷部となっており、また、第2のアマルガムは第1のアマルガムよりも水銀蒸気圧が低く、水銀吸着力が高いので、第2のアマルガムは発光部内の水銀蒸気を吸収して、発光部内の水銀蒸気圧を所望の圧力に保つようにする。
【0012】
電球形蛍光ランプの点灯方向に応じて、第2のアマルガムは蛍光ランプ内の最冷部に移動するので、発光部内の水銀蒸気圧が所望の圧力に保たれ、所望のランプ特性を得ることができる。
【0013】
請求項2に記載の電球形蛍光ランプの発明は、請求項1記載の電球形蛍光ランプにおいて、第1のアマルガムは、ビスマス、錫および水銀で構成されるアマルガムであることを特徴とする。
【0014】
第1のアマルガムは、蛍光ランプの発光部に水銀を供給する役割があるので、水銀量をある程度(例えば、15wt%)確保している。
【0015】
ビスマス、錫および水銀で構成されるアマルガムは、低い加熱温度でも多量に水銀を放出する。すなわち、水銀蒸気圧の高いアマルガムである。
【0016】
ビスマス、錫および水銀で構成された第1のアマルガムは、電極による加熱により直ちに多量の水銀を放出するので、蛍光ランプの光束の立ち上がりが早い。
【0017】
請求項3に記載の電球形蛍光ランプの発明は、請求項1または請求項2記載の電球形蛍光ランプにおいて、第2のアマルガムは、ビスマスもしくはビスマス−錫を含みさらに鉛およびインジウムの少なくとも一方を含んで構成されるアマルガム、または、ビスマス、錫および水銀で構成されるアマルガムで、かつ、第1のアマルガムよりも水銀の重量比が小さいアマルガムであることを特徴とする。
【0018】
ビスマス、錫および水銀で構成されるアマルガムは、請求項2記載の第1のアマルガムよりも水銀の重量比が小さく、例えば、4wt%である。
【0019】
ビスマスもしくはビスマス−錫を含みさらに鉛およびインジウムの少なくとも一方を含んで構成されるアマルガム、または、ビスマス、錫および水銀で構成されるアマルガムで、かつ、第1のアマルガムよりも水銀の重量比が小さいアマルガムは、第1のアマルガムよりも同一温度における水銀の放出量が少ないので蛍光ランプの発光部での水銀蒸気圧が低く、かつ、水銀吸着力が大きい。
【0020】
ビスマスもしくはビスマス−錫を含みさらに鉛およびインジウムの少なくとも一方を含んで構成されるアマルガム、または、ビスマス、錫および水銀で構成されるアマルガムで、かつ、第1のアマルガムよりも水銀の重量比が小さいアマルガムである第2のアマルガムは、第1のアマルガムよりも水銀吸着力が大きいので、蛍光ランプの発光部内の水銀蒸気圧を所望の圧力にコントロールしやすい。その結果、所望のランプ特性を得ることができる。
【0021】
請求項4に記載の電球形蛍光ランプの発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の電球形蛍光ランプにおいて、屈曲形蛍光ランプは、グローブで覆われていることを特徴とする。
【0022】
屈曲形蛍光ランプがグローブで覆われることにより、電球形蛍光ランプの意匠性は向上するが、蛍光ランプの温度は大きく上昇する。
【0023】
請求項1ないし3の電球形蛍光ランプにおいては、蛍光ランプの温度が上昇すると、蛍光ランプの一端内部に配設された第1のアマルガムよりの水銀の放出および拡散は早くなり、光束の立ち上がりは早くなるが、発光部内の水銀蒸気圧を所望の圧力にコントロールし難い。しかし、第2のアマルガムは、蛍光ランプの温度が上昇しても第2のアマルガムに対する水銀蒸気圧はほぼ一定あるいは小さな上昇である。そして、第2のアマルガムは、第1のアマルガムより発光部内に温度上昇に伴って増加して拡散されてきた水銀蒸気を吸収して、発光部内の水銀蒸気圧を所望の圧力に保つ。その結果、屈曲形蛍光ランプがグローブで覆われた電球形蛍光ランプにおいても、所望のランプ特性を得ることができる。
【0024】
請求項4の電球形蛍光ランプにおいては、蛍光ランプの温度が上昇すると、蛍光ランプの内部に封入された第1のアマルガムよりの水銀の放出および拡散は早くなり、光束の立ち上がりは早くなるとともに、蛍光ランプの一端内部に配設された第2のアマルガムが発光部内の水銀蒸気圧を所望の圧力に保つ。その結果、屈曲形蛍光ランプがグローブで覆われた電球形蛍光ランプにおいても、所望のランプ特性を得ることができる。
【0025】
請求項5に記載の照明器具の発明は、請求項1ないし4のいずれか一記載の電球形蛍光ランプと;電球形蛍光ランプを配設している照明器具本体と;を具備していることを特徴とする。
【0026】
照明器具は、所望のランプ特性が得られた電球形蛍光ランプを具備しているので、信頼性が高く、安定して使用できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す電球形蛍光ランプの一部切り欠き断面図である。
【0029】
図1に示す電球形蛍光ランプ20は、屈曲形蛍光ランプ21、口金22、カバー23および点灯装置24などから構成されている。屈曲形蛍光ランプ21は、U字形に屈曲された発光部25を形成して、内部に不活性ガスとしてのアルゴンガスを封入し、両端部26a,26bには図示しない電極が封装されている。そして、発光部25には図示しない蛍光体膜が塗布されており、一端部26aに形成されている排気細管27には、ビスマス、錫および水銀で構成されている第1のアマルガム28が配設されており、発光部25には、ビスマス、鉛、インジウムおよび水銀で構成されている粒状の第2のアマルガム29が封入されている。第2のアマルガム29は、第1のアマルガム28よりも水銀吸着力が大きく、第1のアマルガム28は水銀蒸気圧が高いものである。第2のアマルガム29は、排気細管27より屈曲形蛍光ランプ21内の発光部25内に封入される。排気細管27から発光部25内を排気したとき、ビスマス、鉛、インジウムおよび水銀で構成されている第2のアマルガム29は、水銀が放出されて、ビスマス、鉛、インジウムのアマルガムとなるが、屈曲形蛍光ランプ21の点灯後、再び、ビスマス、鉛、インジウムおよび水銀で構成される第2のアマルガム29となる。第1のアマルガム28は、不活性ガスを発光部25内に封入した後、排気細管27内に封入され、その後、排気細管27を封止することによって、排気細管27内に配設されるものである。なお、不活性ガスは、アルゴンガスの他、アルゴンガスとネオン、クリプトンなどの不活性ガスを混合したものでもよい。
【0030】
カバー23の一端23aにねじ込み形の口金22が取着され、その他端23bに屈曲形蛍光ランプ21が樹脂等を用いて取着されている。カバー23の内部には点灯装置としてのインバータ点灯装置24が収容されており、インバータ点灯装置24は、口金22および屈曲形蛍光ランプ21と電気的に図示しないリード線で接続されている。口金22を介してインバータ点灯装置24が給電されると、インバータ点灯装置24は高周波電圧を出力して屈曲形蛍光ランプ21を付勢させる。なお、点灯装置は、鉄心およびコイルで構成された安定器であってもよい。また、口金は差し込み形であってもよい。
【0031】
口金22を介してインバータ点灯装置24が給電(100V)されると、インバータ点灯装置24は駆動して高周波電圧を出力して屈曲形蛍光ランプ21に印加される。すると、屈曲形蛍光ランプ21の電極が発熱して熱電子を放出し、発光部25に放電が形成され、屈曲形蛍光ランプ21は始動、点灯する。そして、電極が発する熱によって、排気細管27内に配設されている第1のアマルガム28は加熱され、水銀を放出する。放出された水銀は発光部25内に拡散されていく。また、始動直後は、発光部25の最冷部が不安定であり、第2のアマルガム29も水銀を放出するので、時間の経過とともに発光部25内の水銀の蒸気圧が高まっていく。そして、発光部25内に水銀蒸気が充満されると、第2のアマルガム29は水銀を吸収して発光部25内の水銀蒸気圧を一定に保つ。第2のアマルガム29は発光部25内の最冷部に停留されているので、水銀蒸気圧のコントロール作用を備えるものである。放電によって水銀から放射された紫外線が発光部25内の蛍光体膜に照射されて、屈曲形蛍光ランプ21から可視光が放射される。可視光の光束は、発光部25内の水銀蒸気圧の上昇とともに立ち上がり、水銀蒸気圧が安定すると光束も安定する。水銀蒸気圧が安定すると、ランプ電流、ランプ電圧、ランプ電力のランプ特性も安定する。定格のランプ特性が得られる水銀蒸気圧となるように、第1のアマルガムおよび第2のアマルガム等が構成されている。
【0032】
図2に、図1に示す電球形蛍光ランプ20の立ち上がり特性を示す。なお、屈曲形蛍光ランプ21は、電力13Wで、管外径φ12.5mm、発光部25の全長72.5mmである。また、第1のアマルガム28は、ビスマス(48.5%)、錫(36.5%)および水銀(15%)からなるアマルガム(以下、Am1と略する。)であり、第2のアマルガム29は、ビスマス(52.6%)、鉛(40.5%)、インジウム(2.9%)および水銀(4%)からなるアマルガム(以下、Am2と略する。)である。なお、括弧内は、屈曲形蛍光ランプ21への封入時の組成比率を示し、屈曲形蛍光ランプ21が点灯、消灯されると、アマルガムに含まれる水銀量が異なるので、その組成比率は異なるものである。また、電球形蛍光ランプ20は、下向き(口金22が上向き)点灯した。図中、(A)は、図1に示す本実施の形態の電球形蛍光ランプ20の始動後の点灯時間に対する光束の立ち上がりを示す。なお、光束の立ち上がりは、安定時の光束を100%としてその相対光束で示している。(B)は、従来の電球形蛍光ランプの始動後の点灯時間に対する光束の立ち上がりを示す。従来の電球形蛍光ランプは、図1に示す電球形蛍光ランプ20において、第2のアマルガム29が屈曲形蛍光ランプ21に封入されていないものであり、第1のアマルガム28(Am1)のみが排気細管27に配設されているものである。(C)は、従来の電球形蛍光ランプにおいて、第1のアマルガム28をアマルガム(Am2)とした電球形蛍光ランプの始動後の点灯時間に対する光束の立ち上がりを示す。本実施の形態の電球形蛍光ランプ20から放射される光束(A)は、始動後、1分で安定状態(100%)の80%まで立ち上がり、2分でほぼ安定状態まで立ち上がり、その後は安定的に維持された。従来の電球形蛍光ランプの光束(B)が約1分で安定状態まで立ち上がっていることからすると、立ち上がり時間は遅くなっている。これは、始動直後は、発光部25内の水銀蒸気圧が低く、第1のアマルガム28から発光部25内に水銀が拡散されることに加え、第2のアマルガム29からも水銀が放出、拡散されるが、水銀蒸気圧が発光部25内で高まってくると、第2のアマルガム29が水銀を吸収するので発光部25内の水銀蒸気圧がその分低くなって光束が低下することを示している。しかし、電球形蛍光ランプ20の光束は、始動後、1分で安定状態の80%まで立ち上がっているので、一般的に言えば、立ち上がりは早いと言える。また、電球形蛍光ランプ20は、安定時、光束が安定し、図示しないが、ランプ特性もほぼ定格値を保った。これは、発光部25内の水銀蒸気圧が所望の圧力にコントロールされていることを示す。下向き点灯されている屈曲形蛍光ランプ21の最下部26cは電極やインバータ点灯装置24の熱源に遠く、しかも最下に位置しているので、最冷部を形成している。この最下部26Cに第1のアマルガム28よりも水銀吸着力の大きい粒状の第2のアマルガム29が移動して停留しているので、発光部25内の水銀蒸気は主に第2のアマルガム29に吸収されて、発光部25内の水銀蒸気圧が所望の圧力に保たれ、その結果、定格のランプ特性が得られるものである。
【0033】
さらに、電球形蛍光ランプ20および従来の電球形蛍光ランプの発光効率(lm/W)を測定した。定格電源電圧100Vで2時間、下向き点灯した後、屈曲形蛍光ランプ21の全光束を測定した。その結果、電球形蛍光ランプ20は、ランプ電力13.5Wで、全光束715lm、発光効率53lm/Wとなり、従来の電球形蛍光ランプのランプ電力13W、全光束650lm、発光効率50lm/Wの発光特性と比較して、発光効率が6%向上した。従来の電球形蛍光ランプの発光効率が低いのは、発光部25内の水銀蒸気圧が所定の蒸気圧より高いことを示している。なお、光束(C)の電球形蛍光ランプの発光効率は、54lm/Wと高いが、図2に示すように、立ち上がり特性は非常に劣るものであった。
【0034】
上述のように、本実施の形態の電球形蛍光ランプ20は、従来の電球形蛍光ランプに比べ、立ち上がり特性は劣るが、発光効率が向上し、定格のランプ特性が得られるとともにランプ特性が安定しているものである。
【0035】
上述の光束の立ち上がり特性、光束の安定性および発光効率(lm/W)などは、電球形蛍光ランプ20を横向き点灯、上向き(口金22が下向き)点灯時もほぼ同様であった。第2のアマルガム29は、屈曲形蛍光ランプ21内で移動可能に粒状に形成されているので、電球形蛍光ランプ20を横向きにした時は屈曲形蛍光ランプ21の最下部26dまたは26e(図1参照)に、上向きにした時は最下部26aまたは26b(図1参照)に重力等の作用で移動し停留する。電球形蛍光ランプ20の点灯時、横向きの最下部26dまたは26eに、上向きの最下部26aまたは26bに最冷部が形成されるので、発光部25内の水銀蒸気は排気細管27内に配設されている第1のアマルガム28より水銀吸着力の大きい第2のアマルガム29に主に吸収されて、発光部25内の水銀蒸気圧が所望の圧力に保たれ、その結果、所望のランプ特性が得られるとともにランプ特性が安定する。
【0036】
また、第2のアマルガム29として、ビスマス(66wt%)、インジウム(32wt%)、水銀(2wt%)からなるアマルガム、ビスマス(65wt%)、インジウム(31wt%)、水銀(4wt%)からなるアマルガム、ビスマス(55wt%)、錫(41wt%)、水銀(4wt%)からなるアマルガムおよびビスマス(49wt%)、鉛(37wt%)、インジウム(10wt%)水銀(4wt%)からなるアマルガムなど、ビスマスもしくはビスマス−錫を含みさらに鉛およびインジウムの少なくとも一方を含んで構成される各種組成比率のアマルガム、または、ビスマス、錫および水銀で構成されるアマルガムで、かつ、第1のアマルガムよりも水銀の重量比が小さい各種組成比率のアマルガムを用いても、上述と同様に、電球形蛍光ランプ20の点灯方向に影響されずに従来の電球形蛍光ランプと比べて、所望のランプ特性が得られ、ランプ特性が安定して発光効率(lm/W)が向上した電球形蛍光ランプ20が得られた。
【0037】
本実施の形態は、屈曲形蛍光ランプ21の一端部26aに形成された排気細管27内に第1のアマルガム28を配設するとともに屈曲形蛍光ランプ21内に第1のアマルガム28よりも水銀吸着力の大きい第2のアマルガム29を封入するものである。そして、屈曲形蛍光ランプ21の始動時に、第1のアマルガム28より発光部25内に水銀を放出、拡散させるとともに第2のアマルガム29も水銀を放出させて、水銀蒸気圧の立ち上がり、すなわち、光束の立ち上がりを早くするものであり、光束の立ち上がり後、第2のアマルガム29は発光部25内の水銀を吸収して発光部25内の水銀蒸気圧を所望の水銀蒸気圧に保ち、所望のランプ特性、すなわち、定格のランプ特性を得るものである。したがって、第1のアマルガム28は、電極などによる加熱で水銀を発光部25内に放出する水銀蒸気圧の高いアマルガムであればよく、第2のアマルガム29は、屈曲形蛍光ランプ21の始動時に水銀を放出して、水銀蒸気が発光部25内に充満した後は水銀を吸収するアマルガムで、かつ、第1のアマルガム28よりも水銀吸着力の大きいアマルガムであればよいものである。
【0038】
図1に示す電球形蛍光ランプ20は、粒状の第2のアマルガム29を屈曲形蛍光ランプ21内に封入しているので、始動時に第1のアマルガム28に加え第2のアマルガム29からも水銀が放出され、従来の電球形蛍光ランプに比べると劣るが、それでも光束の立ち上がりが早い。また、第2のアマルガム29は、光束が立ち上がった後は発光部25内の水銀を吸着して発光部25内の水銀蒸気圧を所望の圧力に保つので、所望のランプ特性が得られ、かつ、ランプ特性が安定するという効果をもたらす。また、発光効率(lm/W)は従来の電球形蛍光ランプよりも向上する。さらに、電球形蛍光ランプ20は、従来技術の電球形蛍光ランプのように、光束の立ち上がりを早くするために、蛍光体層10に水銀8と融和しやすいアマルガム12を混合したり、蛍光体層13上にアマルガム層14を形成するものではないので、従来技術の電球形蛍光ランプ1と比べ安価であるという利点がある。
【0039】
次に、本発明の第2の実施の形態を示す電球形蛍光ランプについて述べる。
【0040】
図3は、本発明の第2の実施の形態を示す電球形蛍光ランプの一部切り欠き断面図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0041】
図3に示す電球形蛍光ランプ30は、屈曲形蛍光ランプ31、口金32、カバー33、点灯装置34およびグローブ35などから構成されている。屈曲形蛍光ランプ31は、鞍形に屈曲された発光部36を形成して、一端部36aに形成されている排気細管37には第1のアマルガム28が配設され、発光部36には粒状の第2のアマルガム29が封入されている。屈曲形蛍光ランプ31は23W、25Wなどのランプ特性を有するものである。カバー33の一端33aにねじ込み形の口金32が取着され、その他端33bに屈曲形蛍光ランプ31が樹脂等を用いて取着されている。屈曲形蛍光ランプ31は、カバー33の他端33bに取り付けられた透光性のグローブ35で覆われている。カバー33の内部には点灯装置としてのインバータ点灯装置34が収容されており、インバータ点灯装置34は、口金32および屈曲形蛍光ランプ31と電気的に図示しないリード線で接続されている。口金32を介してインバータ点灯装置34が給電されると、インバータ点灯装置34は高周波電圧を出力して屈曲形蛍光ランプ31を付勢させる。なお、カバー33、グローブ35には通気用の穴を形成してもよい。
【0042】
電球形蛍光ランプ30の屈曲形蛍光ランプ31は、グローブ35で覆われているので、発光部36内の最冷部の温度が上昇しやすい。しかし、電球形蛍光ランプ30は、図1に示す電球形蛍光ランプ20と同様な作用で、第2のアマルガム29が発光部36内の過剰な水銀蒸気を吸収して、発光部36内の水銀蒸気圧を定格のランプ特性が得られる所望の圧力に保つ。図4に、発光部36内に封入されたアマルガムにおいて、アマルガム温度に対する水銀蒸気圧の特性を示す。図中、(1)は水銀、(2)は第1のアマルガム28、(3)は第2のアマルガム29に対する特性である。水銀は、アマルガム温度に対して直線的に水銀蒸気圧が上昇する。第1のアマルガム28は、水銀と同様に水銀蒸気圧が上昇するが、アマルガム温度が高くなると緩やかな上昇となる。第2のアマルガム29は、アマルガム温度が低い(例えば、50℃以下)範囲では、水銀と同様に直線的に水銀蒸気圧が上昇するが、ある温度範囲(例えば、50〜60℃)において、ほぼ一定の水銀蒸気圧となり、さらにアマルガム温度が上昇すると水銀蒸気圧が緩やかに上昇するものである。ほぼ一定の水銀蒸気圧となるアマルガム温度の温度範囲は、第2のアマルガム29を構成する組成および組成比率によって異なるものである。屈曲形蛍光ランプ31において、粒状の第2のアマルガム29は発光部36の最下部36bに移動して停留し、最下部36bは最冷部に形成される。屈曲形蛍光ランプ31がグローブ35で覆われ、最下部36bの温度が上昇して最冷部温度が上昇しても、最冷部温度が、水銀蒸気圧がほぼ一定となるアマルガムの温度範囲(例えば、50〜60℃)になるようにしている。したがって、屈曲形蛍光ランプ31の温度が上昇しても、第2のアマルガム29は発光部36内の水銀蒸気を吸収して、発光部36内の水銀蒸気圧を所望の圧力に保つように作用する。
【0043】
図3に示す電球形蛍光ランプ30において、光束の立ち上がり特性および発光効率(lm/W)を測定した。その結果、光束の立ち上がりは、図2の(A)に示す図1の電球形蛍光ランプ20とほぼ同一の立ち上がり特性であり、発光効率は54lm/Wであった。また、点灯方向に関係なく、所望のランプ特性が安定して得られた。
【0044】
なお、上記実施形態の電球形蛍光ランプが小形化、高負荷点灯化によって管壁負荷(W/m 2 )が上昇し、高温状態で点灯される場合には、第1および第2のアマルガム28,29の配設関係をそれぞれ逆に構成すればよい。
【0045】
すなわち、管壁負荷条件での高温点灯では、最冷部が放電空間から離間した箇所に形成されるため、この領域に水銀吸着力の大きい第2のアマルガム29を配設し、第1のアマルガム28を屈曲形蛍光ランプ21,31の内部に配設することで、最冷部温度で第2のアマルガム29が水銀蒸気圧を制御して効率よく点灯することができるとともに、点灯直後に第1のアマルガム28に吸着していた水銀を放出することにより始動立上りを改善することができる。
【0046】
この変形例では、第1のアマルガム28は、定量封入用として用いられる亜鉛アマルガム(Zn−Hg)をペレット状にして屈曲形蛍光ランプ21,31の内部に移動可能な状態で封入している。第2のアマルガムは、ビスマス−インジウム−水銀(Bi−In−Hg)やビスマス−インジウム−錫−水銀(Bi−In−Sn−Hg)などが用いられ、排気細管27に配設される。
【0047】
次に、本発明の第3の実施の形態を示す照明器具について述べる。
【0048】
図5は、本発明の第3の実施の形態を示す照明器具の一部切り欠き断面図である。
【0049】
図5に示す照明器具40は、門柱灯であり、図1に示す電球形蛍光ランプ20が上向きにされて照明器具本体41に配設されている。電球形蛍光ランプ20が照明器具本体41内に密閉されて収容されていても、屈曲形蛍光ランプ21内の第2のアマルガム29が、発光部25内の水銀蒸気を吸収して、発光部25内を所望の水銀蒸気圧に保つので、所望のランプ特性が得られる。
【0050】
電球形蛍光ランプ20の始動後、直ちに明るくなり、明るさが安定している信頼性の向上した照明器具40が提供できる。
【0051】
次に、本発明の第4の実施の形態を示す照明器具について述べる。
【0052】
図6は、本発明の第4の実施の形態を示す照明器具の一部切り欠き断面図である。
【0053】
図6に示す照明器具50は、天井等に埋設されるダウンライトあり、図3に示す電球形蛍光ランプ30が下向きにされて照明器具本体51に配設されている。電球形蛍光ランプ30の始動後、直ちに明るくなり、明るさが安定している信頼性の向上した照明器具50が提供できる。
【0054】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、始動時、第1のアマルガムおよび第2のアマルガムより水銀が放出されて、蛍光ランプの全域に拡散されるので、蛍光ランプの光束の立ち上がりが早い。また、第2のアマルガムは発光部内の水銀蒸気圧を所望の圧力に保つので、所望のランプ特性を安定的に得ることができる。そして、電球形蛍光ランプの点灯方向に応じて、第2のアマルガムは最冷部に移動するので、発光部内の水銀蒸気圧が所望の圧力に保たれ、その結果、所望のランプ特性を得ることができる。請求項2の発明によれば、ビスマス、錫および水銀で構成される第1のアマルガムは、電極による加熱により直ちに多量の水銀を放出するので、光束の立ち上がりが早い。請求項3の発明によれば、ビスマスもしくはビスマス−錫を含みさらに鉛およびインジウムの少なくとも一方を含んで構成されるアマルガム、または、ビスマス、錫および水銀で構成されるアマルガムで、かつ、第1のアマルガムよりも水銀の重量比が小さいアマルガムである第2のアマルガムは、第1のアマルガムよりも水銀吸着力が大きいので、蛍光ランプの発光部内の水銀蒸気圧を所望の圧力にコントロールしやすく、その結果、所望のランプ特性を得ることができる。
【0055】
請求項4の発明によれば、光束の立ち上がりが早く、所望のランプ特性を得ることができる蛍光ランプがグローブで覆われた電球形蛍光ランプを提供できる。請求項5の発明によれば、所望のランプ特性が得られた電球形蛍光ランプを具備しているので、信頼性が高く、安定して使用できる照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す電球形蛍光ランプの一部切り欠き断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す電球形蛍光ランプの立ち上がり特性図。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す電球形蛍光ランプの一部切り欠き断面図。
【図4】アマルガム温度に対する水銀蒸気圧の特性を示す説明図。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示す照明器具の一部切り欠き断面図。
【図6】本発明の第4の実施の形態を示す照明器具の一部切り欠き断面図。
【符号の説明】
20,30 電球形蛍光ランプ
21,31 屈曲形蛍光ランプ
22,32 口金
23,33 カバー
24,34 点灯装置
28
第1のアマルガム
29
第2のアマルガム
35
グローブ
40,50 照明器具
41,51 照明器具本体
Claims (5)
- 内部に不活性ガスが封入され、両端部に電極が封装された屈曲形蛍光ランプと;
一端に口金が取着され、他端に屈曲形蛍光ランプが取着されたカバーと;
カバーの内部に収容されて屈曲形蛍光ランプを付勢させる点灯装置と;
屈曲形蛍光ランプの一端内部に配設された第1のアマルガムと;
屈曲形蛍光ランプの内部で移動可能に封入された粒状であって第1のアマルガムよりも水銀吸着力の大きい第2のアマルガムと;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 第1のアマルガムは、ビスマス、錫および水銀で構成されるアマルガムであることを特徴とする請求項1記載の電球形蛍光ランプ。
- 第2のアマルガムは、ビスマスもしくはビスマス−錫を含みさらに鉛およびインジウムの少なくとも一方を含んで構成されるアマルガム、または、ビスマス、錫および水銀で構成されるアマルガムで、かつ、第1のアマルガムよりも水銀の重量比が小さいアマルガムであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電球形蛍光ランプ。
- 屈曲形蛍光ランプは、グローブで覆われていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の電球形蛍光ランプ。
- 請求項1ないし4のいずれか一記載の電球形蛍光ランプと;
電球形蛍光ランプを配設している照明器具本体と;
を具備していることを特徴とする照明器具。
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