JP3955952B2 - 顕微赤外分光法を利用した分子アレイによる検体の分析方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分光法による分子アレイ分析方法に関する。より具体的には、基板上にプローブを固定配置した分子アレイに検体を作用させ、プローブの微小スポットを顕微フーリエ変換赤外分光法でスキャンし、プローブと特異的に結合した検体中の分子を赤外吸収の測定により検出して検体を分析する方法に関する。本発明の分析方法は基本的にあらゆる分子および化合物の分析に適用できるが、高感度、高速そして大量の検体処理が要求される生体分子および関連分子の分析において特に有用である。
【0002】
【従来の技術】
遺伝子研究の現状は、ヒトゲノム全塩基配列のドラフト解読が終わり、ポストゲノム時代の幕開けを迎えた。今後研究の中心となるのが遺伝子発現、突然変異、1塩基多型(SNP)等にかかわる機能ジェノミックス(Functional Genomics)やタンパク質の構造・機能にかかわるプロテオミックス(Proteomics)の研究である。遺伝子の発現には、細胞の周期や組織の種類、生物種やグループ内での型、他のタンパク質や遺伝子との相互作用といった要素が複雑に影響し合う。従って、研究を行う上でそれらの要素の組み合わせは天文学的な数字となる。このため、今後の研究あるいは臨床的検査においては、多数の遺伝子またはタンパク質を一度にかつ短時間で処理・検出できるようなハイスループットのツールが強く求められる。このような状況下で最も効果的なツールの一つとして期待されるのが分子アレイテクノロジー(アレイテクノロジー)である。
【0003】
アレイテクノロジーでは、まず既知の核酸やタンパク質等のプローブ分子を基板上に多数の点としてスポット状に高密度に修飾したアレイを作成する。次いで、これに検体としての核酸やタンパク質等を反応させ、核酸やタンパク質と特異的に相互作用したスポットをアレイ上で検出し、個々のスポットの検出信号の強度から検体中の物質の種類や量について情報を得る。また、基板上に検体を同様に配列し、プローブ分子を作用させることで上記と同様の情報を得ることもできる。
【0004】
現在のアレイテクノロジーには解決すべき問題が数多く残されている。特に課題となるのが、アレイ上の個々のスポットに結合した核酸やタンパク質の検出法である。これまで、アレイに作用させる検体物質(生体分子)を蛍光色素や電気化学活性な化合物によってラベル化することが一般に行われている。たとえば蛍光色素の場合、検体物質を作用させた後、アレイ上のスポットが示す蛍光の有無と強度によって、プローブと結合した化学種の存在と量を見積もる。しかし、検体分子を蛍光色素でラベルするには手間がかかり、更に核酸やタンパク質分子のように巨大な分子ではラベル分子が結合する場所や数を制御することが一般に困難である。特に、タンパク質においては、蛍光ラベルがタンパク質の分子識別部位や反応活性部位に導入された場合、元のタンパク質が本来示すべき機能・性質が変わってしまい、元のタンパク質についての情報が得られない可能性もある。従って、ラベル化を必要としない検出法が望まれている。
【0005】
これまで、蛍光ラベル等の化学修飾を利用しない生体物質の検出法としては、水晶発振子を利用した方法(例えば非特許文献1)、表面プラズモン共鳴を利用した方法(例えば非特許文献2)がある。これらは、水晶発振子や金薄膜などに固定化した核酸やタンパク質に結合した生体物質による表面の質量変化などによる振動数変化やプラズモンによる屈折率変化によって検出する手法である。しかしながら、これらの検出下限は数ngであり、検出感度が必ずしも充分でない。
【0006】
【非特許文献1】
Y.Okahata, Y.Matsunobu, K.Ijiro, M.Mukai, A.Murakami, K.Makino,J.Am.Chem.Soc., 114, 8299-8300 (1992)
【非特許文献2】
永田和宏、半田宏 共編「生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法」シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社出版(1998年)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、検体の分子を格別に化学修飾することなしに非ラベルで分子アレイを用いて高感度に検出できる検体の分析方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、検体の分子を格別に化学修飾することなしに非ラベルで分子アレイ上で高感度に検出できる方法を見出すことを目的として鋭意研究した結果、分子アレイ上のプローブと反応した検体の分子を顕微フーリエ変換赤外分光法にて赤外吸収を測定して検出することによって上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
分光法を利用した測定によって測定対象物質の化学的官能基についての情報を得ることができることは周知であった。しかし、これまでの分光法では、一度に1つの測定対象物質しか測定することができなかった。そこで、分光法をアレイ化することができれば多数の測定対象物質を同時に測定することができるという効果が生じる。
一方、分光法をアレイ化する手法は、従来のマイクロアレイ法にはない利点を持っている。即ち、従来のマイクロアレイ法は、使用したラベルを介した情報しか得られず、結果として、測定対象物質について誤った情報を得やすいという問題があった。これに対し、分光法をアレイ化した場合は、測定対象物質をラベル化する必要がないので、測定対象物質自体の情報を得ることができ、さらに、アレイ化したことによる多数の測定対象物質の構造変化や量的変化についての情報を官能基を指標として得ることができる。このような応用は分光法をアレイ化することによって初めて可能となる。
【0010】
上述のように、分光法を分子アレイに適用することは、従来にない利点を持っている。しかしながら、単に分光法と分子アレイを組み合わせただけでは、検体の検出感度が低すぎて、検体の測定は不可能であった。
本発明者は、基板上へ生体物質を固定化する際のリンカーの選択、また、固定化法による固定化物質の基板からの配向を検討することにより、検体の高感度検出を可能とした。ここで、生体物質の固定化配向はマスキング剤の選択により達成された。マスキング剤は非特異的な吸着を低減させるのでバックグラウンドを下げることができ、検体の検出感度を上げることができる。
【0011】
即ち、本発明の第1の発明は、顕微フーリエ変換赤外分光法を利用した分子アレイによる検体の分析方法であって、基板上にプローブを固定配置した分子アレイに検体を作用させ、プローブの微小スポットを顕微フーリエ変換赤外分光法によりスキャンし、プローブと特異的に結合した検体中の分子を赤外吸収の測定により検出することを特徴とする、検体の分析方法である。
【0012】
本発明の第2の発明は、顕微フーリエ変換赤外分光法を利用した分子アレイによる検体の分析方法であって、基板上に検体を固定配置した分子アレイにプローブを作用させ、検体の微小スポットを顕微フーリエ変換赤外分光法によりスキャンし、プローブと特異的に結合した検体中の分子を赤外吸収の測定により検出することを特徴とする、検体の分析方法である。
【0013】
本発明の第3の発明は、顕微フーリエ変換赤外分光法を利用した分子アレイによる検体の分析方法であって、検体とプローブを相互作用させた後に基板上に固定し、検体の微小スポットを分顕微フーリエ変換赤外光法によりスキャンし、プローブと特異的に結合した検体中の分子を赤外吸収の測定により検出することを特徴とする、検体の分析方法である。
【0014】
本発明の第4の発明は、プローブ若しくは検体を、リンカーを介して基板上に固定化することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の検体の分析方法である。
【0015】
本発明の第5の発明は、マスキング剤を基板上に固定化することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の検体の分析方法である。
【0016】
本発明において顕微フーリエ変換赤外分光法に用いられる光は赤外光である。
【0017】
そして、本発明においては、分光法として顕微フーリエ変換赤外分光法を用いることが特徴である。
【0018】
本発明の第の発明は、顕微フーリエ変換赤外分光法で分子アレイの基板全体をスキャンして得られる赤外吸収の測定結果を画像化して表示し、プローブと特異的に結合した分子を検出することを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の検体の分析方法である。
【0019】
本発明の第の発明は、分子アレイが、核酸チップ、核酸マイクロアレイ、タンパク質チップ、糖チップ、細胞チップ、ペプチドチップ、抗体チップ、酵素活性検出チップ、環境ホルモンチップ、遺伝子発現チップ、創薬チップから選択されるいずれか1つである請求項1から8のいずれか1項記載の検体の分析方法である。
【0020】
本発明、分子アレイの基板上の赤外の反射光を測定することを特徴とする検体の分析方法である。
【0021】
本発明の第の発明は、検体中の分子に特異的な波長の赤外吸収を測定して、プローブと特異的に結合した分子を検出する請求項1からのいずれか1項記載の検体の分析方法である。
【0022】
本発明の第の発明は、検体中の分子の官能基もしくは当該分子にラベルとして導入した官能基に特異的な波長の赤外吸収を測定して、プローブと特異的に結合した分子を検出する請求項1からのいずれか1項記載の検体の分析方法である。
【0023】
本発明の第10の発明は、核酸由来のリン酸エステル基若しくはカルボニル基、ペプチド結合由来のアミド基若しくはカルボニル基、又は水酸基、シアノ基、イソシアネ−ト、チオイソシアネ−トに特異的な波長の赤外吸収を測定して、プローブと特異的に結合した検体中の核酸、タンパク質またはペプチドを検出する請求項1からのいずれか1項記載の検体の分析方法である。
【0024】
本発明の第11の発明は、検体である核酸とDNAプローブを作用させドットブロット法にて分析することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の検体の分析方法である。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明が特に強調するところは、基板上に核酸やタンパク質などの分子をプローブとして固定配置した分子アレイに、未知のDNAなどの核酸やタンパク質等の生体分子を含む検体を作用させて、プローブと特異的に結合した検体中の核酸やタンパク質等の生体分子を、分光法により光吸収を測定することにより検出して、検体を分析する応用手法である。
【0026】
また、本発明のもうひとつの実施形態として、基板上に未知のDNAなどの核酸やタンパク質等の生体分子を含む検体を固定配置した分子アレイに、核酸やタンパク質などの分子をプローブを作用させて、プローブと特異的に結合した検体中の核酸やタンパク質等の生体分子を、分光法により光吸収を測定することにより検出して、検体を分析することも可能である。
【0027】
さらに、本発明のもうひとつの実施形態として、検体とプローブをともに基板に固定せず、両者を相互作用させた後、基板上に固定することにより、検体を分光法により検出することができる。この方法によれば、多段階の相互作用をアレイで検出することができる。例えば、ホルモンとホルモンレセプターを作用させた後、両者を基板上のDNA二重らせんに結合させるという手法により、分子間相互作用の様子を知ることができる。
【0028】
本発明の分析方法で用いる分子アレイとは、基板上にDNAやRNAといった核酸やタンパク質などの生体分子をプローブとして固定配置したものであり、代表的なものとしては、核酸チップ、核酸マイクロアレイ、タンパク質チップなどが挙げられる。核酸チップのひとつであるDNAチップは半導体集積回路製造用の光リソグラフィー技術を応用してシリコン基板上に複数種の20 塩基前後のオリゴヌクレオチドをプローブとして合成したものである。核酸マイクロアレイのひとつであるDNAマイクロアレイはスライドグラスなどの基板上に、あらかじめ調製したDNAをプローブとして機械的に高密度に並べて固定化したものである。DNAチップ、DNAマイクロアレイは、お互いに相補的なDNA分子同士が特異的に結合することを利用して検体中のDNAなどの核酸分子を検出するものであり、遺伝子発現、突然変異、1塩基多型(SNP)等の分析に広く利用されている。DNAの代わりにRNAを用いた、RNAチップやRNAマイクロアレイも同様に広く利用されている。タンパク質チップは、例えば、各種のタンパク質を基板上にプローブとして固定化したものであり、タンパク質同士の相互作用などによって検体中のタンパク質の解析に用いられるものである。例えば、各種のペプチドを基板上に固定化したリセプタータンパク質を検索するタンパク質チップ、各種のペプチドもしくはタンパク質をリガンドとして固定化したタンパク質チップなどが挙げられる。
本発明では、以上に例示したものに限定されず、他の各種の核酸チップ、核酸マイクロアレイ、タンパク質チップなどを用いることができる。
【0029】
更には、本発明では、他の各種の生体分子のアレイを用いることができる。例えば、各種糖を基板上に固定化し核酸やタンパク質の解析に用いる糖チップ、各種細胞を基板上に固定化し細胞との相互作用の解析に用いる細胞チップ、各種DNA結合性ペプチドを基板上に固定化したDNAを解析するペプチドチップ、各種抗体を基板上に固定化した抗原タンパク質を検索する抗体チップ、プロテアーゼ阻害活性などを有する各種ペプチドを基板上に固定化した酵素活性検出チップ、環境ホルモン物質にさらした細胞から取り出した遺伝子をチップの遺伝子と反応させ、その細胞の遺伝子の働きの変化をモニターする環境ホルモンチップ、同時に数千の遺伝子をモニターすることのできる遺伝子発現チップ、候補となる種々の天然及び人工薬剤を基板上に固定化してターゲットとなるタンパク質に特異的に相互作用する薬剤を検索する創薬チップなどが挙げられる。さらに、核酸チップに関しては、異なった多数の検体である核酸を基板上に固定化しておいてDNAプローブを相互作用させて、多種類の検体の特定遺伝子の存在あるいは存在量を調べるDNAプローブ法の一つであるドットブロット法(実験医学 Vol.5, No.11, 84-86, 1987)への適用も可能である。
【0030】
これらの分子アレイは、シリコン基板、スライドグラスなどに核酸、ペプチド、タンパク質などを固定化したものであるが、これら以外にも、本発明の分子アレイの基板として他の各種の基板を利用することができる。例えば、フッ化カルシウムの単結晶のプレートを利用できる。このプレートをアミノシラン系ポリマーで処理するかポリリジンによりコートする等の表面処理により、核酸などを固定化できる。また、金をコートしたガラス基板等へチオール基と金との結合を利用してタンパク質あるいは核酸などを固定化することも可能である。更には石英ガラス上に人工ダイヤまたはダイヤモンドライクカーボン(DLC)を表面修飾したものから官能基を伸ばしたものなどを基板として用いることも可能である。また、セラミックスなどを基板とすることもできる。
【0031】
本発明の顕微フーリエ変換赤外分光法を利用した検体の分析方法は検体の検出感度が高いので、この分析方法を用いれば、極めて微量である多数の検体を一度に分析することができる。
【0032】
このように、本発明の分光法を利用した分子アレイによる検体の分析方法は、検体の検出感度が高いことを特徴とするが、これは、生体物質を分子アレイの基板上に固定化する方法を改良することによって実現された。即ち、1)基板上へ生体物質を固定化する際のリンカーを選択し、2)固定化法による固定化物質の基板からの配向を検討することにより、検体の高感度検出を可能とした。ここで、生体物質の固定化配向はマスキング剤の選択により達成された。
【0033】
分光法を利用する検体の分析においては、検体である生体物質の分子配向によって吸収強度(シグナル)が変化するので、シグナルが大きくなるように生体物質の配向を揃える必要がある。本発明においては、リンカーは、生体物質と基板をつなぐ役割を担う他、固定化する生体物質の配向を揃える作用を有するので、リンカーを用いることによって、検体の検出感度を向上させることができる。
リンカーを用いた生体物質の固定化の一例を図1に示す。この例では、基板上に固定化する生体物質として抗CEA抗体を用いている。金基板上に3,3’-Dimercaptopropionic acidにより自己組織化膜を形成させ、WSCIとN-Hydroxysuccimideにより末端カルボン酸を活性化させる。次いで、ペプチド結合を介して抗体CEA抗体を金基板上に固定化する。抗CEA抗体を固定化するためのリンカーとしては、他にDithiodipropionic acidやDithiodipropionic acid N-hydroxysuccimide esterが用いられる。
【0034】
これに加えて、本発明においては、リンカーと共に、マスキング剤を用いることにより、生体物質の固定化配向をより向上させることができる。マスキング剤は、基板上でリンカーを介した生体物質が固定化される以外の部分を埋めることによって、生体分子の基板への非特異的な吸着を防ぐ作用を有し、また、生体物質の配向を揃える作用を有する。マスキング剤としては、例えば、エチレングリコールタイプのものとして、HS(CH11(OCHCHOHで表される物質を用いることができる。
【0035】
リンカーとマスキング剤を用いて生体物質を固定化する一例を図2及び図3に示す。この例では、タンパク質を固定化するリンカーとしてHS(CH11(OCHCHOCHCOOHで表される物質を用い、マスキング剤としてHS(CH11(OCHCHOHで表される物質を用いている。リンカーとマスキング剤を混合して金基板上に固定した後、リンカーのタンパク質結合部を活性化してタンパク質を固定化する。リンカーとマスキング剤は、チオール部分でAu−S結合により金に固定化されている。リンカーとマスキング剤は、アルキル鎖部分で単分子膜(SAM)を形成し、その上にエチレングリコール層を形成する。そうすると、エチレングリコール層部分に水の層があるような環境ができあがり、そこにタンパク質が浮かぶようにリンカーに固定される。
【0036】
リンカーとマスキング剤を用いて生体物質を固定化するもう一つの例を図4に示す。この例では、ペプチドを固定化するリンカーとして、HS−(CH−OPi(Piはリン酸を表す。)で表される物質とDNA2本鎖とPeptide-DNA連結分子の3者をつないだものを用いている。マスキング剤としては、メルカプトヘキサノール(HS−(CH−OH)を用いているが、図2に示したHS(CH11(OCHCHOHで表される物質を用いてもよい。図4(a)では、HS−(CH−OPiで表される物質とDNA2本鎖をつないだものを金基板に固定し、ペプチドがPeptide-DNA連結分子を介してDNA2本鎖とつながっている。リンカーとマスキング剤は、チオール部分でAu−S結合により金に固定化されているこの例では、DNA2本鎖が基板上に強固に固定されるので、ペプチドを基板から垂直に立たせることができる。これにより、このペプチドと作用する検体の基板上の配向性が向上し、検体の高感度検出が可能となる。図4(b)では、HS−(CH−OPiで表される物質とDNA2本鎖をつないだものを金基板に固定し、ペプチドがPeptide-DNA連結分子を介してDNA2本鎖とつながっているが、図4(c)で表される縫込み型インターカレータがDNA2本鎖領域に結合している点が、図4(a)と異なっている。図4(c)では、縫込み型インターカレータの例を3つ示している。これらのインターカレータは置換基部分がDNA2本鎖から飛び出すのでインターカレータのエチレングリコール部分やポリオール部分や糖鎖部分が水と水和する。これによって図4(b)の例では、ペプチドの固定化されている周囲を水溶液中のような環境にすることができる。図4(a)及び(b)の例でも基板上へのペプチドの吸着が抑えられるが、図4(b)の例では、縫込み型インターカレータによってDNA2本鎖が安定化し、ペプチドの結合を更に強固にし、タンパク質相互作用後のペプチドプローブの引き剥がしが抑えられる効果を有する。
【0037】
本発明では、生体分子に特異的な波長の光吸収を測定することにより、プローブと特異的に結合した検体中の生体分子を検出することができる。また、生体分子の中の官能基に特異的な波長の光吸収を測定することにより、プローブと特異的に結合した検体中の生体分子を検出することができる。例えば、核酸は、リン酸エステル基や核酸塩基由来のカルボニル基等の特定波長の光を特徴的に吸収する官能基を有し、タンパク質は、ペプチド結合由来のアミド基やカルボニル基等の特定波長の光を特徴的に吸収する官能基を有する。従って、分子アレイに検体を作用させた後に、アレイ上のプローブの微小スポットを分光法でスキャンし、リン酸エステル基やアミド基等について特定波長の光吸収を測定すれば、アレイ上のプローブに特異的に結合した微小スポットの微量核酸やタンパク質等の高感度検出が可能になる。
また、本発明においては、上述の官能基の他、水酸基、シアノ基、イソシアネ−ト、チオイソシアネ−トといった官能基に特異的な波長の光吸収を測定して、プローブと特異的に結合した検体中の核酸、タンパク質またはペプチド等を検出することも可能である。
【0038】
具体的には、未知の分子を含む検体試料を、数千、数万に及ぶプローブを直径 0.5〜0.05 mm 程度の微小スポットとして固体基板上に規則的に配置・固定したアレイに反応させ、これを分光測定装置によってスキャンする。スキャンとは、基板上に光線の極細のビームを照射し、反射ないし透過してくる光を、基板全面にわたって、場所ごとに丁寧に測定することである。反射の際に、基板表面に存在するプローブのスポットに結合した検体中の分子がその分子に特異的な波長の光を吸収する。例えば、核酸やタンパク質等は、リン酸エステル基やアミド基等の官能基を有するため、これらの官能基に特異的な特定波長の光を吸収する。例えば、リン酸エステル基は1086 cm-1、アミド基は1500〜1700 cm-1の光を吸収する。従って、これらの特定波長の光の吸収の有無、強度を基板上のスポットごとに測定すれば、検体中の核酸やタンパク質などの分子の有無、量、未知分子の結合特性、化学構造等を知ることができる。また、スポットの有無が予め不明でも、所在を確認することができる。基盤上での光の反射でなく、基盤を透過する光を測定してもよい。この場合も反射光の場合と同様に検体中の分子の有無、量、結合特性などの化学情報が得られる。例えば、分子アレイの基板として上記したフッ化カルシウムを用いた場合には透過光を測定する。上記した金をコートしたガラス基板、石英ガラスなどを用いた場合には反射光を測定する。
【0039】
また、本発明では、検体中の分子の官能基自体に特異的な波長の光吸収を測定するのみならず、当該分子にラベルとして導入した分子の官能基に特異的な波長の光吸収を測定して、プローブと特異的に結合した分子を検出することにより検体を分析することもできる。
【0040】
本発明では、これらの分子アレイに、核酸やタンパク質などの生体分子を含む検体を作用させて、プローブと特異的に結合した検体中の核酸やタンパク質等の生体分子を、顕微フーリエ変換赤外分光法により検出する。分光法に用いる光としては、感度に優れ、生体内色素以外の色素の検出も可能で、ラベル化を全く必要としない点で、赤外光を用いるのが適当である。また、本発明に用いる分光法としては、微小領域の吸収スペクトルを高感度で、かつ、高速測定できる点で、顕微フーリエ変換赤外分光法が適当である。
【0041】
顕微フーリエ変換赤外分光法は、顕微赤外分光法、顕微FT-IR法あるいは顕微IR法とも呼ばれる分析法であり、分子骨格の振動に基づく赤外線の吸収を測定する手法で、分子内に存在するカルボニル基、リン酸エステル基などの官能基に応じて生体分子等が特定波長の赤外線を特徴ある強度で吸収する現象を基礎にしている。顕微フーリエ変換赤外分光法は、微小領域の赤外吸収スペクトルを高感度で高速に測定することが可能である。顕微フーリエ変換赤外分光測定装置は市販されており、本発明ではこれらの市販装置をそのまま利用することができる。
【0042】
本発明においては、分光測定装置により検体中の分子の光吸収を測定する場合、測定結果は通常画像化して表示するのが好ましい。画像化は通常次のようにして行われる。例えば、分子アレイに検体を作用させた後に、分光測定装置で分子アレイの基板全体をスキャンして、基板上の各プローブの微小スポットの特定波長の光吸収を測定し、測定部位毎にその吸収強度に応じて色分けし、その色分けした結果を基板全体と対応する形で二次元で表示することにより画像化できる。また、測定した光の吸収強度を山の高さに対応させてその結果を基板全体と対応する形で三次元で表示することもできる。これらの画像化は、通常、分光測定装置により得られるデータをコンピュータ処理することにより達成される。このようにして測定結果を分子アレイの基板全体に亘って画像化して表示することにより、極めて簡便に且つ高感度で検体中の分子を分析することができる。
【0043】
本発明によれば、タンパク質中の2次構造の含有率の違いをスペクトルのパターンの違いとして検出できるので、タンパク質の違いを区別することができる他、タンパク質の発現状態を調べたり、タンパク質の構造変化を調べることができる。また、この方法は、タンパク質を使った診断に応用することもできる。
【0044】
本発明によれば、基板上に固定された捕捉分子に対してタンパク質が相互作用したものと、相互作用しなかったものとの間で光吸収強度の差が生じることを利用して基板上のタンパク質を直接観察することができる。
また、本発明によれば、タンパク質の相互作用の過程において、光吸収の強度を測定することにより、糖やリン酸の有無を検出することができる。また、タンパク質の相互作用の過程において、光吸収の強度の変化を測定することにより、糖やリン酸の量の変化も検出することができる。また、リン酸の吸収を用いればタンパク質がリン酸化されているかどうか調べることもできる。
【0045】
以下に、分子アレイとしてDNAチップおよびタンパク質チップを用いた場合を例にとって、本発明の分析方法の一例をより具体的に説明する。
DNAチップの場合には、基板上に固定化した各種DNAプローブと、検体試料中のDNAやRNAとをハイブリダイゼーションさせる。検体試料中のDNAやRNAが基板上のどの場所のDNAプローブと2本鎖を形成したかを顕微フーリエ変換赤外分光測定装置によって核酸塩基由来のカルボニル基やリン酸エステル基の赤外吸収を測定して画像化する。これによって検体試料中にどのような遺伝子が存在するかを知ることができる。また、赤外線の吸収強度によってその存在量を知ることができる。最初に存在するDNAプローブも赤外線を吸収するのでハイブリダイゼーション前後の強度変化によって検出可能である。また、DNAプローブとしてDNA結合性ペプチド(DNAに類似した特性をもつ人工ペプチド;Peptide Nucleic Acid, PNAと呼ばれる。J. Wangら, Anal. Chem., 69, 5200-5202 (1997))を用い、リン酸エステル基の赤外吸収を測定すれば、プローブのバックグラウンド吸収を考慮することなく検出が可能となる。
タンパク質チップの場合にも、基板に固定化された各種ペプチドに検体である生体試料からのタンパク質と相互作用させ、その後、顕微フーリエ変換赤外分光測定装置にてカルボニル基の赤外吸収を指針に検出が可能である。また、リン酸の赤外吸収を用いればタンパク質がリン酸化されているかどうかを調べることもできる。
【0046】
更には、他の各種の分子アレイを用いることによっても本発明の分析方法を実施することができる。例えば、各種糖を基板上に固定化して核酸やタンパク質の解析に用いる糖チップ、各種細胞を基板上に固定化し細胞との相互作用の解析に用いる細胞チップ、各種DNA結合性ペプチドを基板上に固定化したDNAを解析するペプチドチップ、各種抗体を基板上に固定化した抗原タンパク質を検索する抗体チップ、プロテアーゼ阻害活性などを有する各種ペプチドあるいは合成薬剤を基板上に固定化した酵素活性検出チップ、環境ホルモン物質にさらした細胞から取り出した遺伝子をチップの遺伝子と反応させ、その細胞の遺伝子の働きの変化をモニターする環境ホルモンチップ、同時に数千の遺伝子をモニターすることのできる遺伝子発現チップ、候補となる種々の薬剤を基板上に固定化してターゲットとなるタンパク質に特異的に相互作用する薬剤を検索する創薬チップなどが例として挙げられる。それぞれのチップの基板上に固定化された各種プローブ分子に特異的に結合した検体中の核酸、ペプチド、タンパク質などを、それらが特徴的に有する官能基の赤外吸収に基づいて、検索・解析し、また定量することができる。
【0047】
以上に説明したように、本発明の分析方法では、検体試料の成分物質、含有分子を特別に蛍光色素などでラベル化する必要もなく簡便に検体の分析が可能である。しかしながら、必要に応じて検出感度を更に向上させるために、光吸収の大きい官能基を検体中の生体分子に導入して検出する手法を用いることもできる。例えばニトリル基などを検体成分に導入することにより、通常分子の光吸収と重ならずしかも検体成分中に稀な官能基によって検体中の成分をラベルすることができる。このような化学修飾は、蛍光色素などによる化学修飾に比べて反応操作が容易であり、しかも官能基自体が小さいため、生体分子の元々の化学機能に与える影響も少ない。従って、このような官能基の導入により、更に高感度で検体の分析が可能となる。
【0048】
【実施例】
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
[フッ化カルシウムプレート上での2本鎖DNAの検出]
(1)方法
フッ化カルシウム (CaF2) の単結晶基板に、DNAアレイヤーにて仔牛胸腺DNAの濃度を変化させて25個スポットした。左から3 μM, 30 μM, 0.3 mM, 3 mM, 30 mM の仔牛胸腺DNA(すべて塩基対当りの濃度)を20 nlづつスポットした。スポットした絶対量は、60 fmol, 0.6 pmol, 6 pmol, 60 pmol, 0.6 nmol である。これらのDNAを顕微フーリエ変換赤外分光測定装置にて測定を行った。条件は次の通りである。
透過イメージング, 分解能:8 cm-1, 測定範囲:4000〜700 cm-1, アパーチャーの大きさ:100 μm×100 μm, 面積:5.8 mm×5.8 mm, 測定時間:約 30 分。
リン酸エステル基の赤外特性吸収である1086 cm-1でのケミマップを測定した。
(2)結果
測定結果を図5に示す。図5は、DNAマイクロアレイの顕微フーリエ変換赤外分光測定装置により、2本鎖DNAである仔牛胸腺DNAのリン酸エステル基の1086 cm-1の赤外吸収の強度を二次元に画像化したものである。丸い輪になっている部分が2本鎖DNAの存在部分である。A-Eの縦に並んでいる丸い輪はすべて同じ濃度の2本鎖DNAである。この図5から、Bはかろうじて検出できるがCのすべては丸い輪が見えて検出可能であった。これから見積もって数ピコモルレベルの2本鎖DNAが顕微フーリエ変換赤外分光法で検出可能であることが明らかになった。
【0049】
実施例2
[フッ化カルシウムプレート上での2本鎖DNAの検出]
(1)方法
CaF2の単結晶基板にDNAアレイヤーにて仔牛胸腺DNA溶液を1600個スポットした。30 mMの仔牛胸腺DNA(すべて塩基対当りの濃度)を1 nlづつスポットした。スポットした絶対量は、30 pmolである。DNAのこれを顕微フーリエ変換赤外分光測定装置にて測定を行った。条件は次の通りである。
透過イメージング, 分解能:64 cm-1, 測定範囲:2000〜800 cm-1, ピクセルサイズ:25 μm×25 μm, 面積:2 cm×2 cm, 測定時間:約60 分。
リン酸エステル基の赤外特性吸収である1086 cm-1でのケミマップを測定した。
(2)結果
測定結果を図6に示す。図6の(a)は、画像化した際2本鎖DNA濃度が高い部分の赤外吸収スペクトルを示している。灰色の部分のリン酸エステル基の吸収に基づく波数域に出てくるピークの積分値を二次元上に画像化したのが図6の(b)である。反射イメージングにてその一部を画像化したものが (b) に示されている。この際の条件は次の通りである。
分解能:16 cm-1, 測定範囲:4000〜700 cm-1, ピクセルサイズ:25 μm×25 μm, 面積:1.3 cm×1.3 cm, 測定時間:約60 分。
図6の(b)には1600 個の仔牛胸腺DNA(30 pmol)のスポットが示されている。図6の(c)は、(b)の一部を反射イメージングによって測定した際の赤外吸収スペクトルである。(b)の左下のプラス印の部分の赤外吸収スペクトルである(右上のプラス印をバックグラウンドとして差し引いている)。図6の(d)は、(c)の灰色部分のアミド基に基づく赤外吸収の積分値にてアレイの一部を画像化したものである。
図6の結果から、顕微フーリエ変換赤外分光法により、DNAマイクロアレイの基板上の多数のDNAスポットを画像化できことが明らかになった。
【0050】
実施例3
[金蒸着ガラスプレート上でのSNP解析]
(1)方法
金蒸着ガラスプレートにピランハ溶液を滴下し、3 分間放置後蒸留水で洗浄した。これに5'-末端にチオール基を導入したLPL arita WTプローブとarita WTまたはarita MTをハイブリダイゼーションさせた後、この基板にスポットした(2×SSC緩衝液、DNA濃度は2本鎖換算で0.5 mMを1 nlで0.5 nmol)。 LPLはリポタンパクリパーゼの略でarita型変異によって高脂血症の引き金となる。湿度を制御した容器中で一晩放置した。これを2×SSC溶液で洗浄後、顕微フーリエ変換赤外分光測定装置にて測定を行った。条件は次の通りである。
透過イメージング, 分解能:8 cm-1, 測定範囲:2000〜800 cm-1, ピクセルサイズ:25 μm×25 μm, 面積:0.8 cm×0.8 cm, 測定時間:約20 分。
リン酸エステルの赤外特性吸収である1086 cm-1でのケミマップを反射イメージングにて測定した。
各種プローブの塩基配列は以下の通りである。
LPL arita WTプローブ:5'-GGATAGCTTCTCC-3'
arita WT:3'-CCTATCGAAGAGG-5'
arita MT:3'-CCTATC-AAGAGG-5'(G→欠損)
(2)結果
測定結果を図7に示す。図7において左の図の左上と右下は同じ野生型(WT)のDNAプローブに野生型(WT)の遺伝子を作用させたものを顕微フーリエ変換赤外分光測定装置により画像化したものである。左の図の左下と右上は野生型(WT)のDNAプローブに変異型(MT)の遺伝子を作用させたものである。洗浄前の遺伝子サンプルを測定した結果を表す左の図では、いずれのスポットも本手法で画像化できた(2本鎖DNAの存在が確認された)。しかし、洗浄後の遺伝子サンプルを測定した結果を表す右の図に示すように、洗浄によって左の図の左下と右上のスポットは無くなったが、左の図の左上と右下のスポットは残っていた。この結果は、DNAプローブと目的遺伝子とがフルマッチの2本鎖を形成した部分のみを本発明の分析方法で検出できることを示している。すなわち、本発明の分析方法で遺伝子の変異を識別できたのである。
【0051】
実施例4
[ペプチドチップによる特定ペプチドに相互作用する蛋白質の検出]
(1)方法
フッ化カルシウム(CaF2)の単結晶プレートにアレイヤーを用いてS-タンパク(アミノ酸残基104、アミド結合数103)、S-ペプチド(アミノ酸残基20、アミド結合数19)の1 mMの水溶液を1 nlずつスポットした。スポット当たり1 pmolのS-ペプチドとS-タンパクが存在している。これを顕微フーリエ変換赤外分光測定装置にて画像化した。
(2)結果
測定結果を図8に示した。図8の(a)は二次元画像で1500から1700 cm-1の赤外吸収強度変化を色の違いとして画像化してある。(b)は吸収強度の違いを三次元図として表してある。1500から1700 cm-1の赤外吸収はタンパク質やペプチドのアミド結合に対応しているので、そこに存在するペプチドやタンパク質の量に比例するはずである。図8は予想どおりアミド結合の量に応じたスポットの強度を示している。これによって、ペプチドチップ上の特定のスポットにタンパク質が相互作用した場合スポット上のアミド結合の量が増加し、顕微フーリエ変換赤外分光システムでその変化を検出できることがわかった。言い換えれば、ペプチドチップの画像化への応用も証明できた。また、本手法によりタンパクのピコモルレベルの高感度検出が達成された。
【0052】
実施例5
[蛋白質の構造の違いを検出]
プロテインチップはタンパク質の有する機能を解析するツールである。タンパク質の機能発現において、その立体構造変化を追跡することができるプロテインチップは機能プロテオミクス研究の観点において非常に有用である。本検出システムはFT−IR測定を基盤としているが、タンパク質のIRスペクトルからは立体構造の情報を読み取ることが可能である。
タンパク質アミド結合由来の赤外吸収は、その立体構造、特にαへリックスやβシートといった2次構造を反映したスペクトルを与えることが分かっている。これはαへリックスやβシートにおける主鎖アミド結合の水素結合様式が違うことに起因する。表1にタンパク質の2次構造とアミドI、アミドIIバンドの振動数を示す。
【0053】
【表1】
Figure 0003955952
【0054】
以上のことから、本検出システムにおいてタンパク質の立体構造についての情報を得ることができるかを確認することを目的として、立体構造の異なる(2次構造含有率の異なる)3種のタンパク質について金基板上での顕微FT−IR測定を行った。
(1)方法
金基板をピランハ溶液で5分間前処理を行い、水で洗浄後、スピンドライヤーで乾燥した。マイクロアレイヤ−を用いて測定サンプルを金基板にスポットした。測定サンプルとしては、BSA(αへリックスのみ)、Avidine(βシートのみ)、RNアーゼS−タンパク質(αへリックスとβシート)をそれぞれ1.5pmol用いた。真空デシケーターで金基板を乾燥させた後、顕微FT−IRによる測定を行った。測定条件は、分解能を2cm−1、スキャンの回数を500回、アパチャ−の大きさを100μm×100μmとした。
(2)結果
測定結果を図9に示す。各蛋白質の二次構造含有率の違いをIRスペクトルパターンの違いとして検出できたことが分かる。
【0055】
実施例6
[顕微FT−IRによる蛋白質濃度変化の観察]
(1)方法
金基板をピランハ溶液で5分間前処理を行い、水で洗浄後、スピンドライヤーで乾燥した。金基板にマイクロアレイヤーを用いてBSAを2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、0(control)pmolそれぞれスポットした。1サンプルあたり10スポット)。真空デシケーターで金基板を乾燥させた後、顕微FT−IRによる測定を行った。測定結果よりアミド結合の特性吸収である1700−1500cm−1の吸収を抽出し、イメージ画像(ChemiMap)を構築した。
(2)結果
測定結果を図10に示す。図10は1700−1500cm−1のケミマップであり、(a)は2次元のケミマップ、(b)は3次元のケミマップを表している。サンプル量の減少に伴う吸光度の減少が観察された。10スポットの平均吸光度及び標準偏差を算出し、サンプル量に対してプロットした結果を図11に示す。また、各サンプル量の平均吸光度及び標準偏差を表2に示す。各スポット間の吸光度のばらつきも少なく、サンプル量に対して線形的な相関があり、定量的な分析ができることが分かった。
【0056】
【表2】
Figure 0003955952
【0057】
実施例7
[金基板上のDNA検出]
(1)方法
まず、前処理として金基板をピランハ溶液に5分間浸し、水で洗浄後、遠心乾燥を行った。次に、DNAマイクロアレイヤーを用いて、金基板上に39.7pmol(base当たり)の仔牛胸腺DNAを4つスポットし、IRイメージング測定を行った。測定条件は、ピクセルの数を120×114、ピクセルサイズを6.25μm×6.25μm、測定範囲を2000〜800cm−1、分解能を8cm−1、スキャンの回数を4とした。
(2)結果
測定結果を図12に示す。図12(a)は、DNAのIRスペクトルを表し、図12(b)は、1105−1075cm−1のケミマップ(False Color Image)を表し、図12(c)は、1105−1075cm−1のケミマップ(3D surface Projection)を表している。顕微FT−IR法による金基板上のDNAの検出が可能であることが分かった。また、4本のピークの高さは同程度であった。
【0058】
実施例8
[顕微IR法によるDNA濃度変化の観察]
(1)方法
まず、前処理として金基板をピランハ溶液に5分間浸し、水で洗浄後遠心処理を行った。次に、DNAのマイクロアレイヤーを用いて、金基板上に19.85、9.93、4.96、2.48、1.24pmol(base当たり)の仔牛胸腺DNAを4つスポットし、IRイメージング測定を行った。測定条件は、ピクセルの数を526×512、ピクセルサイズを6.25μm×6.25μm、測定範囲を2000〜800cm−1、分解能を32cm−1,スキャンの数を4回とした。
(2)結果
測定結果を図13示す。図13(a)は、1105−1075cm−1のケミマップ(False Color Image)を表し、図13(b)は、1105−1075cm−1のケミマップ(3D surface Projection)を表している。また図中、AからEの符号はサンプルの濃度を表し、Aが19.85mM、Bが9.93mM、Cが4.96mM、Dが2.48mM、Eが1.24mMである。この測定結果より、1スポット当たりの検出限界は絶対量で約2.5pmol(リン酸ジエステル基当たり)であることが分かった。
また、図13のデータから書くスポットの平均吸光度・標準偏差を算出し、サンプル量に対してプロットを行った。結果を表3及び図14に示す。この結果より、DNAの量と吸光度との間に線形的な相関があることが分かった。
【0059】
【表3】
Figure 0003955952
【0060】
実施例9
[1本鎖・2本鎖DNAの検出]
(1)方法
まず、前処理として金基板をピランハ用絵師に5分間浸し、水で洗浄後、遠心乾燥を行った。次に、DNAマイクロアレイヤーを用いて、金基板上に0.4mMの1本鎖DNA(20merのプローブ)及び2本鎖DNA(20merのプローブと50merのターゲットをハイブリダイズさせたもの)をスポットし、IRイメージング測定を行った。測定条件は、ピクセルの数を113×106、ピクセルサイズを25μm×25μm、測定範囲を2000〜800cm−1、分解能を32cm−1、スキャンの回数を16回とした。
(2)結果
結果を図15に示す。図15(a)は、1105−1075cm−1のケミマップ(False Color Image)を表し、図15(b)は、1105−1075cm−1のケミマップ(3D surface Projection)を表している。また、図中Aは、0.4mM(2本鎖DNAあたり)の2本鎖DNA(20mer−50mer)を表し、Bは0.4mM(1本鎖DNAあたり)の1本鎖DNAを表している。これにより、1本鎖及び2本鎖のDNAの識別が可能であることが分かった。
【0061】
実施例10
[金基板へのDNAの固定化]
(1)方法
まず、前処理として金基板をピランハ溶液に5分間浸し、水で洗浄後、遠心乾燥を行った。次に、DNAマイクロアレイヤーを用いて、金基板上に0.4mMの1本鎖DNA(20merのプローブ)及び2本鎖DNA(20merのプローブと50merのターゲットをハイブリダイズさせたもの)をスポットした。これを高温の密閉容器に入れ、37℃で約2時間放置した。基板を取り出し、SSCで2回洗浄した後、IRイメージング測定を行った。測定条件は、ピクセルの数を120×111、ピクセルサイズを25μm×25μm、測定範囲を2000〜800cm−1、分解能を32cm−1、スキャンの回数を16回とした。
(2)結果
結果を図16に示す。図16(a)は、1105−1075cm−1のケミマップ(False Color Image)を表し、図16(b)は、1105−1075cm−1のケミマップ(3D surface Projection)を表している。また、図中Aは、0.4mM(2本鎖DNAあたり)の2本鎖DNA(20mer−50mer)を表し、Bは0.4mM(1本鎖DNAあたり)の1本鎖DNAを表している。この測定結果より、固定化・洗浄後の2本鎖DNAの検出が可能であることが分かった。1本鎖DNAについては、2スポットの内一方は検出でき、もう一方は検出できなかった。
【0062】
実施例11
[アミド結合数の異なるタンパク質の顕微FT−IRによる観察]
(1)方法
まず、前処理として金基板をピランハ溶液で処理した(5分間、2回)。次いで、マイクロアレイヤーを用いて、測定サンプルを基板上にスポットした(Cartesian Technologies社、PixSys PS5000 (Pin 方式)。測定サンプルとしては、RNアーゼSタンパク質、BSA、Avidineのそれぞれ1.5pmolを用いた。これらのサンプルの分子内タンパク質アミド結合の数は、順に103、606、128であり、BSAが最も多くRNアーゼSタンパク質とAvidineが同程度である。そして、基板を真空乾燥し、顕微FT−IR測定を行った。測定条件は、ピクセルサイズを25μm×25μm、分解能を16cm−1、スキャンの回数を16回、測定モードを反射イメージングモードとした。そして、アミド結合に由来する1700〜1500cm−1のデータを抽出し、イメージング画像として処理した。
(2)結果
測定結果より得られたイメージング画像を図17に示す。図17(a)は2次元イメージング画像を表し、図17(b)は、3次元イメージング画像を表している。また、両図中AはRNアーゼSタンパク質を、BはBSAを、CはAvidineを表している。分子内アミド結合の数の多いBSAがその数の少ないRNアーゼSタンパク質やAvidineより吸収が大きくなっている。これによって、アミド結合数の差を赤外吸収強度に差として捉えることができたことが分かる。
【0063】
実施例12
[FT−IRRAS測定によるCEA−AntiCEA Antibody相互作用の検出]
(1)方法
金基板をピランハ溶液で処理した(5分間、2回)。この基板をシャーレに置き、1mM dithiodipropionic acidを添加し、室温で溶液を20時間攪拌した。次いで、これをエタノール中で5分間超音波照射した。この基板を蒸留水で洗浄後、100mg/ml EDCaq.と100mg/ml NHSaq.を等量混合し、室温で10時間攪拌した。次に、1mM HEPES buffer (pH8.0)で洗浄後、0.1mg/mlの抗CEA抗体1mM HEPES buffer 溶液を基板にのせて、室温で3時間反応させた。次いで、基板を蒸留水中で1時間洗浄後、1mMの3−Aminopropanol を加え、室温で30分攪拌した。次いで、基板を蒸留水で洗浄後、真空デシケーターで1時間乾燥させ、FT−IR測定を行った。次いで、1mg/mlのCEA PBS buffer(pH7.4)溶液を基板に添加し、室温で3時間静置した。次いで、基板を純水中で10分間洗浄後、真空デシケーターで1時間乾燥させ、FT−IRRAS測定を行った。
(2)結果
測定結果を図18に示す。両スペクトルの1600cm−1付近にある鋭いピークはアミド基由来のものを表し、CEAのスペクトルの3300cm−1付近にあるピークは糖鎖由来のものを表している。測定の結果、CEAを添加・洗浄後のスペクトルにおいてアミド結合の吸収強度が若干上昇することが分かった。このように、CEAをノンラベル、二次抗体の使用なしに検出することに成功した。また、この方法ではラベル化が必要でないため、CEAの情報について誤って検出するという問題がないという利点を有する。
【0064】
実施例13
[金基板への抗CEA抗体の固定化]
(1)方法
金基板をピランハ処理した(5分間、2回)。ついで、この基板に10mM 3,3’-dithiodipropionic acid dihydroxysuccimide ester/DMSO溶液を滴下し、24時間静置した。その後、基板をDMSO中で超音波処理し、水洗し、スピンドライヤーで乾燥し、真空デシケーターで乾燥した。次いで、0.1mg/ml抗CEA抗体10mM HEPES buffer(pH8.0)溶液を基板に滴下し、24時間静置した。そして、基板を水洗し、スピンドライヤーで乾燥し、真空デシケーターで乾燥した。そして、基板をFT−IRRAS測定した。
(2)結果
測定結果を図19に示す。抗CEA抗体のアミド結合に由来する吸収スペクトルを検出することができた。
【0065】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明による顕微フーリエ変換赤外分光法を利用して分子アレイにより検体を分析する方法は、次のような種々の優れた利点を有する。即ち、1)検出感度が高いので、極めて微量である多数の検体を一度に分析できる、2)原理的にラベル化操作を必要とせず、もしラベル化を行うなら、さらに高感度化が期待できる、3)ラベル化操作を必要としないため、全体の測定手続きが大幅に簡素化される、4)検体はラベル化による化学修飾を受けないため、検体分子が本来有する特性・機能を誤りなく評価できる、5)検体の分子種(核酸、タンパク質、糖質、脂質、人工合成分子等)を問わず全く同一の観測手段、即ち、顕微フーリエ変換赤外分光法によってあらゆる分子アレイを観測できる、6)アレイの基板には金属及びガラス、セラミックス、フッ化カルシウム等の多様な素材が利用可能であり、プローブ分子を基板に固定する手法について極めて多様な選択が可能である、7)検体分子についての定量性も優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の検体の分析方法に係り、リンカーを介して生体物質を基板上に固定化する方法の一例を示す図である。
【図2】 図2は、本発明の検体の分析方法に係り、リンカーを介して生体物質を基板上に固定化し、それと共にマスキング剤を基板上に固定化する方法の一例を示す図である。
【図3】 図3は、本発明の検体の分析方法に係り、リンカーを介して生体物質を基板上に固定化し、それと共にマスキング剤を基板上に固定化する方法の図2と同様の一例を示す図である。
【図4】 図4は、本発明の検体の分析方法に係り、リンカーを介して生体物質を基板上に固定化し、それと共にマスキング剤を基板上に固定化する方法のもう一つの例を示す図である。
【図5】 図5は、DNAマイクロアレイの顕微フーリエ変換赤外分区測定装置により、2本鎖DNAである仔牛胸腺DNAのリン酸エステル基の1086 cm-1の赤外吸収の強度を二次元に画像化したものである。
【図6】 図6は、顕微フーリエ変換赤外分光法により、DNAマイクロアレイの基板上の1600 個の仔牛胸腺DNA(30 pmol)のスポットが画像化できたことを示すものである。
【図7】 図7は、金蒸着ガラスプレートを用いたDNAチップを用いて顕微フーリエ変換赤外分光法で画像化することによりSNP解析が可能であることを示すものである。
【図8】 図8は、ペプチドチップを顕微フーリエ変換赤外分光測定装置により画像化したものである。
【図9】 図9は、2次構造含有率の異なるタンパク質の顕微IR測定により、各蛋白質の二次構造含有率の違いをIRスペクトルパターンの違いとして検出できたことを示すものである。
【図10】 図10は、BSAを2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、0(control)pmolそれぞれスポットし、顕微FT−IRによる測定を行った時の、アミド結合の特性吸収である1700−1500cm−1のケミマップを示す。
【図11】 図11は、BSAサンプルの10スポットの平均吸光度をサンプル量に対してプロットした結果を示す。
【図12】 図12は、顕微IR法による金基板上でのDNA検出の状態を示す。
【図13】 図13は、顕微IR法によるDNAの濃度変化の状態を示す。
【図14】 図14は、サンプルのDNA濃度と平均吸光度との関係を示す。
【図15】 図15は、1本鎖DNAと2本鎖DNAの顕微FT−IRによる測定を行った時の、リン酸エステルの特性吸収である1105−1075cm−1のケミマップを示す。
【図16】 図16は、固定化DNAの検出の状態を示す1105−1075cm−1のケミマップである。
【図17】 図17は、アミド結合数の異なるタンパク質を顕微FT−IRにより測定した時の、アミド結合の特性吸収である1700−1500cm−1のケミマップを示す。
【図18】 図18は、FT−IRRAS測定による抗CEA抗体とCEA添加後の抗CEA抗体のスペクトルを示す。
【図19】 図19は、抗CEA抗体のFT−IRRAS測定によるスペクトルを示す。

Claims (1)

  1. 顕微フーリエ変換赤外分光法を利用した分子アレイによる検体の分析方法であって、(1)基板上にプローブを固定配置した分子アレイに検体を作用させ、プローブの微小スポットを顕微フーリエ変換赤外分光法によりスキャンするか、(2)基板上に検体を固定配置した分子アレイにプローブを作用させ、検体の微小スポットを顕微フーリエ変換赤外分光法によりスキャンするか、又は(3)検体とプローブを相互作用させた後に基板上に固定し、検体の微小スポットを顕微フーリエ変換赤外分光法によりスキャンすることによって、プローブと特異的に結合した検体中の分子を赤外吸収の測定により検出する検体の分析方法において、プローブ若しくは検体を、リンカーとしての(A)HS(CH 11 (OCH CH OCH COOH、又は、(B)HS−(CH −OPi(Piはリン酸を表す。)で表される物質とDNA2本鎖とPeptide−DNA連結分子の3者をつないだもの、を介して基板上に固定化することを特徴とする検体の分析方法。
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