JP3953765B2 - 磁気転写装置 - Google Patents

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    • G11B23/505Reconditioning of record carriers; Cleaning of record carriers ; Carrying-off electrostatic charges of disk carriers
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報を担持したマスター担体からスレーブ媒体へ磁気転写を行う磁気転写装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気転写は、転写パターンが形成されたマスター担体と転写を受ける磁気記録部を有するスレーブ媒体を密着させた状態で、転写用磁界を印加してマスター担体に担持した情報(例えばサーボ信号)に対応する磁化パターンをスレーブ媒体に転写記録するものである。
【0003】
この磁気転写方法としては、例えば特開昭63−183623号公報、特開平10−40544号公報、特開平10−269566号公報等に開示されている。
【0004】
ところで、上記磁気転写方法による磁気転写時に、マスター担体の繰り返し使用により、マスター担体の表面に塵埃が付着して汚染される。このマスター担体に付着する塵埃としては、周辺環境で発生しているもの、マスター担体とスレーブ媒体との接触により発生するマスター担体およびスレーブ媒体の削れカスなどがあげられる。
【0005】
これらの塵埃がマスター担体に付着した状態で磁気転写を行うと、塵埃付着部を中心とし周辺に及ぶ範囲までマスター担体とスレーブ媒体の密着が確保できず、所定信号レベルのパターン転写ができずに磁気転写品質が低下する。記録した信号がサーボ信号の場合にはトラッキング機能が十分に得られずに信頼性が低下するという問題があった。
【0006】
上記付着塵埃はマスター担体とスレーブ媒体の密着を繰り返すことで、そのマスター担体表面への付着力が助長され、以降の磁気転写したスレーブ媒体のすべてに同様またはそれ以上のパターン転写不良が生じ、多数の不良品の発生原因となる。さらに、これら付着物により、マスター担体表面を変形させ、正常な機能を損なう問題がある。
【0007】
また、上記のような点から、特開2000−285637に見られるように、回転するクリーナディスクに取り付けたクリーナパッドを、マスター担体の表面に押し付けて付着した塵埃を除去するクリーニング技術が開示されている。また、洗浄によって付着物を除去することも考えられる。
【0008】
また、スレーブ媒体がハードディスクまたは高密度フレキシブルディスクのような円盤状媒体の場合には、このスレーブ媒体の片面または両面に円盤状のマスター担体を密着させた状態で、その片側または両側に電磁石装置、永久磁石装置による磁界印加装置を配設して転写用磁界を印加する。この磁気転写における転写品質を高めるためには、スレーブ媒体とマスター担体とをいかに隙間なく密着させることが重要な課題である。つまり密着不良があると、磁気転写が起こらない領域が生じ、磁気転写が起こらないとスレーブ媒体に転写された磁気情報に信号抜けが発生して信号品位が低下し、記録した信号がサーボ信号の場合にはトラッキング機能が十分に得られずに信頼性が低下するという問題がある。
【0009】
磁気記録媒体においては一般に、情報量の増加と共に多くの情報を記録する大容量で安価で、さらに好ましくは短時間で必要な箇所が読み出せるような、いわゆる高速アクセスが可能な媒体が望まれている。それらの一例としてハードディスク、高密度フレキシブルディスクが知られ、その大容量を実現するためには、狭いトラック幅を正確に磁気ヘッドが走査し、高いS/N比で信号を再生する、いわゆるトラッキングサーボ技術が、大きな役割を担っている。ディスクの1周の中で、ある間隔でトラッキング用のサーボ信号、アドレス情報信号、再生クロック信号等が、いわるプリフォーマットとして記録されている。
【0010】
磁気ヘッドはこのようなプリフォーマットの信号を読み取って自らの位置を修正することにより正確にトラック上を走行することが可能に設定されている。現在のプリフォーマットは、ディスクを専用のサーボライト装置を用いて1枚ずつまた1トラックずつ記録して作成される。
【0011】
しかしながら、サーボライト装置は高価であり、またプリフォーマット作成に時間が掛かるために、この工程が製造コストの大きな部分を占めることになっており、その低コスト化が望まれている。
【0012】
一方、1トラックずつプリフォーマットを書くのではなく、磁気転写方法によりそれを実現することが提案されている。この磁気転写方法としては、例えば特開昭63−183623号公報、特開平10−40544号公報、特開平10−269566号公報等に開示されている。この磁気転写は、マスター担体とスレーブ媒体を密着させた状態で、転写用磁界を印加してマスター担体に担持した情報(例えばサーボ信号)に対応する磁化パターンの転写を行うもので、マスター担体とスレーブ媒体との相対的な位置を変化させることなく静的に記録を行うことができ、正確なプリフォーマット記録が可能であり、しかも記録に要する時間も極めて短時間である。
【0013】
また、スレーブ媒体がハードディスクまたは高密度フレキシブルディスクのような円盤状磁気記録媒体の場合には、このスレーブ媒体の片面または両面に円盤状のマスター担体を密着させた状態で、その片側または両側に電磁石装置、永久磁石装置による磁界印加装置を配設して転写用磁界を印加する。その際、スレーブ媒体のトラック方向に磁界を印加するために、スレーブ媒体とマスター担体を密着したものまたは磁界を相対的に回転させて、円盤状のスレーブ媒体のトラック全周に磁化パターンを転写している。
【0014】
この磁気転写を行う際の重要な課題の一つに、マスター担体とスレーブ媒体との位置決めを精度良く行うことがある。特に、ハードディスク等のスレーブ媒体では、磁気転写後にドライブ装置に取り付けられたときの回転中心と転写記録された磁化パターンの中心とが精度良く一致していなければならない。その際、マスター担体の作製においては、転写情報のパターンの形成中心と、マスター担体の形状中心とを精度良く一致させることは困難で、例えば、中央部に位置決め穴を開口させても、その加工精度が十分でない場合がある。
【0015】
上記点から、特開平11−175973号に見られるように、マスター担体とスレーブ媒体を密着させる際に、画像装置で両者の位置決めを行うものが知られている。具体的には、まず密着フランジにスレーブ媒体をセットした後、その上にパターンに対応して透明部分に形成したマーカーを有するマスター担体を載置し、画像装置でマーカーとスレーブ媒体との位置とが一致するように観察しつつマスター担体の位置調整を行ってから両者を密着させるようにしている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、マスター担体のクリーニングを行う際には、このマスター担体を磁気転写装置より取り外し、各種方法で付着物の除去を行った後、再度装置に取り付ける必要があり、マスター担体の位置決め作業が煩雑で転写稼働率が低下する問題がある。
【0017】
特に、マスター担体に形成したサーボパターン等の転写パターンは、記録容量の増大に応じて微細となり、そのパターンの中心位置とスレーブ媒体の回転中心とが精度良く一致しないと所定の機能を確保することができないことから、単純な位置決めでは精度不足となるため、例えば転写パターンを測定顕微鏡等で観察して転写装置への位置合わせを行うような煩雑な作業を必要としている。このように、マスター担体の取り外し、取付作業には時間がかかるため、生産性の低下を招いていた。
【0018】
また、クリーニング後のマスター担体の運搬時や取付時に、空気中に浮遊している塵埃が付着したり、マスター担体を手や治具で保持することにより、手や治具に付着している塵埃がクリーニング後のマスター担体に付着し、転写不良が発生する恐れもある。
【0019】
本発明はこのような問題に鑑みなされたもので、マスター担体の交換が容易に行えるようにして、転写稼働率を向上して生産性を高めるようにした磁気転写装置を提供することを目的とするものである。
【0020】
また、従来の磁気転写装置においては、スレーブ媒体とマスター担体との密着性を高めるために、押圧手段により押圧力を印加してマスター担体に対してスレーブ媒体を押し付けると共に、両者の密着面のエアを吸引して密着面に残留するエアを低減している。
【0021】
その際、マスター担体を固定する下側チャンバーと、マスター担体にスレーブ媒体を押し付ける上側チャンバーとを備え、下側チャンバーの上面と上側チャンバーの下面とをOリング等のシール材を介して接触させて両チャンバーを密閉することが考えられる。この構成で、内部の真空度を上げると、シール材が潰れて押圧力も高くなってしまい、真空度と密着圧力が独立に制御できない。このため、最適な真空度と密着圧力を得ることができず、密着不良、マスター担体の耐久性劣化などの原因となっていた。
【0022】
つまり、マスター担体に対するスレーブ媒体の押圧力が高くなると、マスター担体に転写情報に応じて形成された微細凹凸パターンが欠けやすく、耐久面で問題となる。また、真空度を下げると密着面にエアが残留しやすくなる。
【0023】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、スレーブ媒体とマスター担体との密着における密着圧力と真空度を最適状態として密着性を高めて良好な磁気転写が行えるようにした磁気転写装置を提供することを目的とするものである。
【0024】
また、特開平7−78337号には、マスター担体の背面全体を弾性体による圧接手段で均等な圧力で押圧してスレーブ媒体とマスター担体との密着性を高めるようにした技術が開示されているが、このような解決手段では、スレーブ媒体の全面を弾性体によって押圧しているので、密着に必要な押圧力が全体として大きくなり、装置が大型化するなどの問題を有する。
【0025】
例えば、スレーブ媒体とマスター担体間の密着に必要な圧力は、1〜50N/cm2(0.1〜5.0kg/cm2)であり、スレーブ媒体が3.5インチ型ディスクの場合には、この圧力を得るためには全体で70〜3540N(7〜354kg)の押圧力が必要となる。この荷重に耐えるように磁気転写装置の強度設計を行わなければならず、装置が大型化する。また、例えばリング型ヘッド電磁石による磁界印加装置を使用して転写用磁界を印加する場合、前述のスレーブ媒体とマスター担体とを圧接させる密着装置の厚みが大きくなって、スレーブ媒体とマスター担体との密着面に対し転写用磁界を印加する磁極を接近して配設することが困難となり、漏れ磁界強度が大きくなって所定の磁界強度分布を印加することができずに転写不良の発生原因となる。
【0026】
また、マスター担体に対しスレーブ媒体の全面を均等に押圧しても、実際には各種歪み、エアの残留等により全面を均等に密着させるのは困難であり、部分的に密着不良が発生し、転写不良を生起する。特に、転写情報はマスター担体の全面に均一に形成されるのではなく、後述の図(B)に示すように、例えばサーボパターンPの場合には略放射状に部分的に形成されるものであり、この転写パターンの部分で密着性が確保できていれば良好な磁気転写が行えることが判明した。
【0027】
本発明はこのような問題に鑑みなされたもので、押圧力を過大とすることなく磁気転写におけるスレーブ媒体とマスター担体との密着圧を確保して密着性を高め転写信号品質を向上するようにした磁気転写用弾性押圧部材を提供することを目的とするものである。
【0028】
また、上記のような磁気転写を行う際の重要な課題の一つに、マスター担体とスレーブ媒体との位置決めを精度良く行うことがある。特に、ハードディスク等のスレーブ媒体では、磁気転写後にドライブ装置に取り付けられたときの回転中心と転写記録された磁化パターンの中心とが精度良く一致していなければならず、これが大きくずれると、転写記録した信号がサーボ信号の場合にはトラッキング機能が十分に得らなくなる恐れがある。
【0029】
マスター担体とスレーブ媒体との位置決めを行う場合に、マスター担体の中心穴と、スレーブ媒体の中心穴とを、ホルダに設けた中心ピンに嵌装することにより位置決めすることが、構造的に好適である。
【0030】
上記のような位置決めの場合に、マスター担体とスレーブ媒体との中心位置がずれていると、前述のような問題のほかに、両者をホルダに収納して密着させるときに、スレーブ媒体あるいはマスター担体の中心穴が中心ピンに片当たりして、そのマスター担体またはスレーブ媒体を破損する恐れがある。また、マスター担体とスレーブ媒体との中心位置がずれていると、両者を密着させた際に、密着力が不均一に作用する可能性もあり、全周で均一な密着を得ることが困難となる。さらに、ずれたエッジ部が他方の端部に密着力により押し付けられて傷が発生し耐久性等の点で問題となる。
【0031】
本発明はこのような問題に鑑みなされたもので、マスター担体とスレーブ媒体とを密着させて良好な磁気転写が行えるようにした磁気転写装置を提供することを目的とするものである。
【0032】
また、上記のようなマスター担体の位置調整では、スレーブ媒体を交換して磁気転写を行う毎に、マスター担体とスレーブ媒体を画像装置を使用して位置決め動作を行うので、この位置決め動作に時間を要して磁気転写効率が低下する問題があった。
【0033】
通常、1枚のマスター担体によって複数のスレーブ媒体に対して順次磁気転写を行うものであり、転写効率を高めるには、磁気転写装置に予めマスター担体をセットし、このマスター担体との密着位置にスレーブ媒体を搬送して両者を密着させた後に転写用磁界を印加することが好ましい。その際、ハードディスクのようなスレーブ媒体には、ドライブの回転軸に取り付けるための中心孔が設けられ、その中心位置と回転中心とを一致させるようにすることから、上記中心孔をスレーブ保持軸(位置決め軸)によって保持することで位置精度を確保できるものである。
【0034】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、マスター担体とスレーブ媒体とを密着させて磁気転写する際の位置合わせを改善し、生産効率の高い磁気転写が行えるようにした磁気転写方法を提供することを目的とするものである。
【0035】
また、上記転写用磁界を印加する際に、磁界印加装置は固定で密着させたマスター担体とスレーブ媒体を回転させる第1の方法と、密着させたマスター担体とスレーブ媒体は固定で磁界印加装置を回転させる第2の方法とが考えられる。
【0036】
第2の方法は磁界印加装置が電磁石装置の場合など、磁界生成機構に加えて回転駆動機構を設けることになって装置が巨大化し、設備面、コスト面などで不利となる。この点、第1の方法では第2の方法の上記のような問題はないが、マスター担体とスレーブ媒体の密着状態で、マスター担体とスレーブ媒体をそれぞれ交換可能に保持して密着させる機構を一体的に回転させる際に、それぞれの回転軸の回転中心を精度良く一致させなければならない。
【0037】
例えば、スレーブ媒体を保持した回転基盤に対して、マスター担体を保持した押圧基盤を接離移動させて、マスター担体とスレーブ媒体を密着させ、回転基盤と一体に押圧基盤を回転させる際に両者の回転中心にズレが発生していると、マスター担体とスレーブ媒体間に微小な滑りが発生し、精度の良い磁気転写が達成できない。また、スレーブ媒体とマスター担体との密着が強く、回転動作時にスレーブ媒体とマスター担体とに滑りが発生しない場合には、転写精度は維持できるが、回転中心のズレは装置の軸、軸受などの機械的な繰り返し変形で逃げることになり、駆動抵抗の増大、部品の摩耗、疲労による強度低下等の使用頻度による装置の耐久性等への影響が問題となる。
【0038】
さらに、磁気転写においては、スレーブ媒体の片面または両面の記録面に、磁気転写用マスター担体の転写情報担持面を、両者の回転中心位置を正確に位置決めした状態で密着させる必要があり、その作業が簡易に行えることが望まれる。
【0039】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、スレーブ媒体とマスター担体との密着動作および回転動作を両者間の滑りおよび装置の変位を伴うことなく実現できるようにした磁気転写方法を提供することを目的とするものである。
【0040】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気転写装置は、情報信号を担持したマスター担体を位置決め保持するマスター固定台座と、転写を受けるスレーブ媒体を前記マスター担体に密着させる密着装置とを備え、前記マスター担体は前記マスター固定台座ごと交換することを特徴とするものである。
【0041】
前記密着装置は、転写位置でマスター固定台座に保持されたマスター担体に対しスレーブ媒体を押圧密着させる押え部材を備えている。
【0042】
また、前記マスター固定台座を複数具備し、順次転写位置に移動させる搬送台をさらに備えることが望ましい。その際、各マスター固定台座は予めマスター担体を位置決め保持させてから搬送台にセットし、マスター固定台座ごとマスター担体を交換する。
【0043】
前記マスター固定台座に保持したマスター担体の付着物を除去するクリーニング手段をさらに備えるのが好ましい。その際、マスター担体のクリーニング手段と同一または別体のクリーニング手段により、スレーブ媒体のクリーニングを行ってもよい。クリーニング手段は、超音波洗浄ヘッドを使用するのが好適であり、その他、超音波振動を与えた気体の吹き付け、イオン風(除電エア)・クリーンエアの吹き付けなどが適用できる。転写を行う直前のマスター担体およびスレーブ媒体をクリーニングし、必要に応じて点着直後のマスター担体をクリーニングする。
【0044】
前記搬送台から取り出したマスター固定台座を、マスター担体と共に洗浄するクリーニング装置を設置してもよい。このクリーニング装置としては、超音波洗浄ヘッドによるメガソニック振動を与えた液体洗浄、超音波加振ヘッドによる洗浄槽の液中または気中で超音波振動洗浄、超音波振動を与えた気体の吹き付け、グライドヘッドによるグライドクリーニング、グライドクリーニング後の超音波洗浄、エキシマレーザー照射による焼却洗浄、プラズマクリーニングなどが使用できる。
【0045】
なお、スレーブ媒体をホルダーに保持し、磁気転写する前工程でスレーブ媒体をホルダーと一緒にクリーニングするようにしてもよい。
【0046】
また、本発明による磁気転写装置は、情報信号を担持したマスター担体に転写を受ける磁気記録部を有するスレーブ媒体を密閉状態で密着させる密着装置と、前記マスター担体にスレーブ媒体を押し付ける押圧力を印加する押圧手段と、前記密着装置の密閉空間を減圧して真空度を得る減圧手段と、転写用磁界を印加する磁界印加装置とを備え、磁気転写時の前記押圧手段の押圧力によるマスター担体とスレーブ媒体との密着圧力と、前記減圧手段による真空度とを独立に制御することを特徴とするものであることが望ましい。
【0047】
このとき、先に真空度を制御した状態で、押圧力を制御するのが望ましい。例えば、真空度は排出エア量によって制御し、押圧力は上下チャンバーの位置で制御する。
【0048】
なお、マスター担体とスレーブ媒体を密着させる際、周囲の真空度は50〜100kPaに制御するのが好ましく、密着圧力は0.01〜49N/cm2(1〜5000gf/cm2)に制御するのが好ましい。
【0049】
また、本発明の他の磁気転写装置は、情報信号を担持したマスター担体に転写を受ける磁気記録部を有するスレーブ媒体を密閉状態で密着させる密着装置と、前記マスター担体にスレーブ媒体を押し付ける押圧力を印加する押圧手段と、前記密着装置の密閉空間を減圧して真空度を得る減圧手段と、転写用磁界を印加する磁界印加装置とを備え、前記密着装置は、下側チャンバーと、該下側チャンバーに相対的に接離移動可能な上側チャンバーと、両チャンバーの接離移動方向と平行な面に摺接して上側チャンバーと下側チャンバーの内部空間を密閉するシール材とを備えたことを特徴とするものであることが望ましい。
【0050】
また、本発明の磁気転写用弾性押圧部材は、転写する情報に対応した転写パターンが部分的に形成されたマスター担体の情報担持面と、転写を受けるスレーブ媒体の片面とを密着させ、転写用磁界を印加して磁気転写を行う際に、前記スレーブ媒体の背面を押圧するものであって、前記スレーブ媒体の背面に接触する押圧面を、前記マスター担体の転写パターンとの密着部分を主に押圧する凹凸形状に形成したことを特徴とするものであることが望ましい。
【0051】
このとき、前記弾性押圧部材は、内周の内リング部と、外周の外リング部と、該内リング部と外リング部を連結するマスター担体のサーボパターンに対応した複数の放射部とを、前記スレーブ媒体の背面に接触する押圧凸部に構成するのが好適である。
【0052】
なお、磁気転写方法としては、基板上に転写する情報に対応した転写パターンを部分的に有するマスター担体と、転写を受ける磁気記録部を有するスレーブ媒体とを背面側から前記弾性押圧部材の凹凸形状の押圧面によって転写パターンに対応する部分を主に押圧して密着させて転写用磁界を印加し、マスター担体の転写パターンに対応した磁化パターンをスレーブ媒体に転写するものである。
【0053】
磁気転写を行う際には、スレーブ媒体の磁化を、予め面内記録なら面内トラック方向に、また垂直記録なら垂直方向に初期直流磁化しておき、前記マスター担体と密着させてその初期直流磁化方向と略逆向きのトラック方向または垂直方向に転写用磁界を印加して磁気転写を行うのが好適である。
【0054】
また、本発明の磁気転写装置は、転写を受ける円盤状のスレーブ媒体の記録面に、転写情報に対応したパターンが形成された円盤状のマスター担体を対峙密着させてホルダに収納後に、転写用磁界を印加し磁気転写を行う磁気転写装置において、
前記マスター担体とスレーブ媒体とは、ホルダに設けられた中心ピンにより中心位置の位置合わせが行われ、前記マスター担体とスレーブ媒体との中心位置の偏心量が100μm以下であることを特徴とするものであることが望ましい。
【0055】
このとき、マスター担体のパターン中心位置と、スレーブ媒体の中心位置との偏心量を50μm以下とするのが望ましい。
【0056】
また、本発明による磁気転写方法は、転写情報に対応したパターンが形成された円盤状のマスター担体の情報担持面と転写を受ける円盤状の磁気記録媒体によるスレーブ媒体とを密着させて転写用磁界を印加し磁気転写を行う磁気転写方法において、前記スレーブ媒体の中心孔を位置決め保持するスレーブ保持軸の外周部に、前記マスター担体を位置調整可能に配置し、該マスター担体をそのパターンの中心位置を前記スレーブ保持軸の中心位置に位置合わせして固定した後、前記スレーブ保持軸にスレーブ媒体を供給してマスター担体とスレーブ媒体との位置決めを行うことを特徴とするものであることが望ましい。
【0057】
その際、前記マスター担体のパターンを測定顕微鏡で観測し、該パターンの中心位置を前記スレーブ保持軸の中心位置に合わせるのが好ましい。また、前記マスター担体に前記パターンの形成と共に位置合わせ用のマークを設け、該マークを測定顕微鏡で観測し、前記パターンの中心位置を前記スレーブ保持軸の中心位置に合わせるようにしてもよい。
【0058】
また、本発明の磁気転写方法を実施する磁気転写装置は、転写情報に対応したパターンが形成された円盤状のマスター担体の情報担持面と転写を受ける円盤状の磁気記録媒体によるスレーブ媒体とを密着させて転写用磁界を印加し磁気転写を行う磁気転写装置において、マスター担体側の第1の基盤と、スレーブ媒体側の第2の基盤と、第1の基盤の中心位置に設けられスレーブ媒体の中心孔を位置決め保持するスレーブ保持軸と、前記スレーブ保持軸の外周部の第1の基盤にXY方向に位置調整可能に設けられたマスター保持部材とを備え、前記マスター保持部材を、保持したマスター担体のパターンの中心位置が前記スレーブ保持軸の中心位置と合致した状態で固定するものであることが望ましい。
【0059】
前記第1の基盤を脱着可能に設け、該第1の基盤を転写位置から外して、前記マスター担体の位置合わせを行うのが好適である。その際、前記マスター担体のパターンまたは前記マークを測定顕微鏡で観測し、パターンの中心位置を前記スレーブ保持軸の中心位置に合わせるのが好ましい。
【0060】
前記測定顕微鏡は、例えば、XY方向に移動可能なステージを備え、観察部を観測しつつ複数の点をプロットすると、近似円を描いて中心位置が求められるようになっているものを使用する。前記ステージ上に前記第1の基盤を載置し、そのマスター保持部材にマスター担体を保持させた後、スレーブ保持軸の中心位置を求め、同様にマスター担体のパターンまたはマークからパターンの中心位置を求め、両者が一致するようにマスター担体をスレーブ保持軸に対してXY方向に位置調整する。
【0061】
さらに、前記磁気転写装置は、前記のように位置合わせしたマスター担体とスレーブ媒体とを押圧密着させる加圧手段、密着したスレーブ媒体およびマスター担体に対して転写用磁界を印加する磁界印加手段などを備える。マスター保持部材に対するマスター担体の固定は吸引固定などによって行うのが好適である。
【0062】
磁界印加手段は、電磁石装置または永久磁石装置が採用され、マスター担体とスレーブ媒体との密着部分の片側または両側から転写用磁界を印加し、マスター担体とスレーブ媒体を密着したものまたは転写用磁界を相対的に回転させて磁気転写を行う。
【0063】
また、本発明による磁気転写方法は、情報信号を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体である磁気記録媒体とを密着させて回転させつつ転写用磁界を印加し磁気転写を行う磁気転写方法において、前記マスター担体とスレーブ媒体とを加圧手段による押圧で密着させ、回転手段の回転駆動により前記マスター担体とスレーブ媒体とを一体に回転させる際に、前記加圧手段が回転方向の力成分を束縛しないことを特徴とするものであることが望ましい。
【0064】
このとき、加圧手段は、スレーブ媒体またはマスター担体を接離方向に移動させて両者を密着させるものであり、スレーブ媒体およびマスター担体はそれぞれ押圧力を担持する基盤に保持するのが好ましい。また、回転手段は、スレーブ媒体とマスター担体とを密着した状態で一体に回転させるもので、両者の密着力で回転力を伝達するか、動力伝達機構で回転力を伝達するのが好ましい。
【0065】
また、本発明の磁気転写方法を実施する磁気転写装置は、情報信号を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体である磁気記録媒体とを密着させて回転させつつ転写用磁界を印加し磁気転写を行う磁気転写装置において、前記スレーブ媒体またはマスター担体を保持して回転駆動される回転基盤と、前記スレーブ媒体またはマスター担体に対してマスター担体またはスレーブ媒体を押圧する押圧基盤と、前記押圧基盤を保持して前記回転基盤に対して接離移動可能な加圧本体と、前記押圧基盤と加圧本体との間の回転方向の力成分を束縛しない押圧力伝達機構とを備えていることが望ましい。
【0066】
押圧力伝達機構は、ボールベアリング等を介して圧接したスラストベアリング構造で構成するか、加圧エアを噴出したエアギャップで構成するのが好適である。これに応じて、押圧基盤が回転基盤と一体に密着力または回転力伝達機構により回転し、加圧本体が回転方向に固定とするのが好ましい。回転力伝達機構が回転基盤と押圧基盤との位置決めを兼ねてもよい。回転基盤の回転軸を回転駆動する機構を設けて回転基盤を介して押圧基盤を回転させる。
【0067】
その際、回転基盤にスレーブ媒体またはマスター担体を位置決め保持し、押圧基盤にマスター担体またはスレーブ媒体を位置決め保持し、回転基盤と押圧基盤との間に両者の位置決め手段が設置され、これにより、スレーブ媒体とマスター担体との位置決めを行うのが好ましい。
【0068】
また、本発明の磁気転写装置は、前記スレーブ媒体を位置決め保持した回転基盤または押圧基盤に位置決めピンまたは位置決め穴を設け、押圧基盤または回転基盤に保持したマスター担体に位置決め穴または位置決めピンを設けてなる位置決め機構を設置するのが好ましい。
【0069】
その際、マスター担体をスレーブ媒体より大きく設け、スレーブ媒体との密着部分以外の部分に、スレーブ媒体を保持した回転基盤または押圧基盤と、マスター担体との位置決め機構を配置することができる。また、中心部にスレーブ媒体を保持する回転基盤または押圧基盤と、マスター担体との位置決め機構を配置することができる。位置決め機構は、一方が位置決めピンで他方が位置決め穴であり、位置決めピンの先端をテーパー状にするのが好ましい。位置決めピンは外周部の複数のピン、または、中心部の1つのピンとすることが好ましい。
【0070】
前記転写用磁界を印加する磁界印加装置としては、電磁石装置または永久磁石装置が使用されるが、磁界強度等の条件を設定調整する点からは電磁石装置を使用するのが好ましい。磁界印加装置はスレーブ媒体の半径方向に延びる範囲にトラック方向と平行に磁界を発生させ、スレーブ媒体とマスター担体を密着させたものを回転させて、円盤状のスレーブ媒体の全面に磁化パターンを転写する。
【0071】
前記スレーブ媒体の片面にマスター担体を密着させて片面逐次転写を行う場合と、スレーブ媒体の両面にそれぞれマスター担体を密着させて両面同時転写を行う場合とがある。片面逐次転写は、回転基盤にスレーブ媒体(またはマスター担体)を保持し、押圧基盤にマスター担体(またはスレーブ媒体)を保持する。両面同時転写は、回転基盤に第1のマスター担体を保持し、押圧基盤に第2のマスター担体を保持し、両者間にスレーブ媒体を挟持する。これにより、スレーブ媒体の片面または両面にマスター担体を密着させ、その片側または両側に磁界印加装置を配設して転写用磁界を印加する。
【0072】
なお、上記磁気転写方法としては、最初にスレーブ媒体をトラック方向に直流磁化する初期磁化を施し、このスレーブ媒体と転写する情報に対応する微細凹凸パターンに磁性層が形成されたマスター担体とを密着させてスレーブ媒体面の初期直流磁化方向と略逆向きの方向に転写用磁界を印加して磁気転写を行うものが好ましい。前記情報としてはサーボ信号が好適である。
【0073】
【発明の効果】
上記のような本発明によれば、マスター担体を位置決め保持するマスター固定台座と、スレーブ媒体をマスター担体に密着させる密着装置とを備え、マスター担体をマスター固定台座ごと交換するようにしたことにより、マスター担体のみを交換する際の密着装置に対する位置決めが不要となり、マスター担体の交換時間を短縮できるため転写稼働効率が高まり、生産性が向上する。
【0074】
また、マスター固定台座を複数具備し、順次転写位置に移動させる搬送台をさらに備えた場合には、マスター担体交換時の効率がより一層高まり、磁気転写の稼働効率が向上できる。
【0075】
さらに、マスター固定台座に保持したマスター担体の付着物を除去するクリーニング手段をさらに備えると、転写を行う直前のマスター担体のクリーニングが行え、マスター固定台座の交換時や、運搬過程でのマスター担体表面へ付着した塵埃を除去でき、転写時の塵埃の付着を最小限にし、転写不良を防ぐことができ、品質の安定した磁気転写が実施でき信頼性の向上を図ることができる。
【0076】
一方、搬送台から取り出したマスター固定台座を、マスター担体と共に洗浄するクリーニング装置をさらに備えると、上記のような付着物の除去による転写不良の防止と共に、交換時およびクリーニング時にマスター担体の脱着を行わないことで同様に作業効率が高められる。
【0077】
また、本発明において、密着装置によりマスター担体とスレーブ媒体とを密閉状態で密着させ、押圧手段によりマスター担体にスレーブ媒体を押し付ける押圧力を印加し、減圧手段により密閉空間を減圧して真空度を得る際に、押圧手段の押圧力によるマスター担体とスレーブ媒体との密着圧力と減圧手段による真空度とを独立に制御するようにした場合、最適な密着条件が得られ、マスター担体とスレーブ媒体の密着を全面にわたって完全にし、密着不良に起因する信号抜けの発生を防止して転写ムラなどのない良好な転写を実現することができると共に、真空度が上がっても押圧力が高くなりすぎることがなく、マスター担体の耐久性劣化を防止でき、真空度を上げることができて密着面に残留するエアをなくすことができる。
【0078】
特に、密閉空間からエアを排出して先に真空度を制御した状態で、マスター担体とスレーブ媒体を密着させて密着圧力を制御すると、両者の密着面にエアが残留することなく、さらに密着性が高まり、転写品位を高めることができる。
【0079】
また、密着装置が相対的に接離移動可能な下側チャンバーと上側チャンバーの接離移動方向と平行な面に摺接して両チャンバーの内部空間を密閉するシール材を備えたものでは、密着圧力と真空度の独立制御が簡易な構成で容易に行える。
【0080】
さらに、マスター担体、スレーブ媒体、必要に応じて配設したスレーブ媒体を押圧する弾性材の厚みを変更する場合にも、密着装置の上下チャンバーなどの形態を変更せずにこれに対応でき、磁気転写時の真空度、圧力を独立に制御することが可能である。
【0081】
また、本発明において、マスター担体と密着させるスレーブ媒体の背面を押圧する弾性押圧部材の押圧面をマスター担体の転写パターンとの密着部分を主に押圧する凹凸形状に形成した場合、全体としての押圧力を低減しつつ必要な密着部分の圧力を確保することができ、また、弾性押圧部材の凹部に相当する部分の圧力が低くエアの逃げ道となってさらに密着性の向上が得られ、密着不良に起因する信号抜けの発生を防止して転写信号品位を高め信頼性を向上することができる。
【0082】
つまり、転写情報が例えばサーボ信号の場合には、マスター担体に形成される転写パターンの面積は全面積の10%以下であり、この転写パターンに対応して弾性押圧部材の押圧面における凹凸形状の押圧面積をスレーブ媒体の全面積の10%に形成した場合には、スレーブ媒体とマスター担体との密着圧力を50N/cm2(5.0kg/cm2)とするのに必要な全体の押圧力は、スレーブ媒体が3.5インチ型ディスクのときには、354N(35.4kg)と全面押圧の場合の1/10に軽減でき、強度確保するための各部品の厚み等が小さくなり、装置のコンパクト化が図れる。さらに、スレーブ媒体とマスター担体との密着面に対し、磁界印加装置における磁極を接近して配設でき、漏れ磁界強度が小さくなり所定の磁界強度分布を有する転写用磁界を印加して良好な磁気転写が行える。
【0083】
また、本発明において、円盤状のスレーブ媒体とマスター担体を対峙密着させて磁気転写を行う際に、両者の中心位置をホルダに設けた中心ピンにより位置合わせし、このマスター担体とスレーブ媒体との中心位置の偏心量が100μm以下となるようにした場合、均一な全面密着が得られて、片当たりによる破損防止、および端部の傷付きが防止できて耐久性の向上が図れる。
【0084】
特に、マスター担体のパターン中心位置とスレーブ媒体の中心位置との中心位置の偏心量を50μm以下とすると、高い転写精度を確保することができる。
【0085】
また、本発明において、スレーブ媒体の中心孔を位置決め保持するスレーブ保持軸の外周部にマスター担体を位置調整可能に配置し、このマスター担体をそのパターンの中心位置をスレーブ保持軸の中心位置に合わせて固定した後、スレーブ保持軸にスレーブ媒体を供給してマスター担体とスレーブ媒体との位置決めを行うこととした場合、スレーブ媒体をドライブ装置に取り付けた際の回転中心となるスレーブ保持軸の中心位置とマスター担体に形成したパターンの中心位置とを精度良く一致させることができ、信頼性が高まると共に、スレーブ媒体をスレーブ保持軸に供給することによりマスター担体との位置決めが行え、スレーブ媒体の供給毎の位置決めが不要となって生産効率の高い磁気転写が行える。
【0086】
また、マスター担体のパターンを測定顕微鏡で観測し、該パターンの中心位置をスレーブ保持軸の中心位置に合わせるようにすると、精度の良い位置合わせが容易に行える。
【0087】
マスター担体にパターンの形成と共に位置合わせ用のマークを設けると、マスター担体の位置合わせにおける基準設定が簡易で、測定顕微鏡による位置調整作業が容易となる。
【0088】
また、磁気転写装置は、マスター担体側の第1の基盤と、スレーブ媒体側の第2の基盤と、スレーブ媒体の中心孔を位置決め保持するスレーブ保持軸と、スレーブ保持軸の外周部のXY方向に位置調整可能なマスター保持部材とを備えたことにより、前述のようなスレーブ媒体とマスター担体との正確な位置決めが容易に行え、生産効率の高い磁気転写が実現できる。
【0089】
第1の基盤を脱着可能に設け、転写位置から外してマスター担体の位置合わせを行うようにすると、位置合わせ作業が測定顕微鏡等を利用して容易に行える。
【0090】
また、本発明において、マスター担体とスレーブ媒体とを密着させて回転させつつ転写用磁界を印加し磁気転写を行う際に、マスター担体とスレーブ媒体との押圧における回転方向の力成分を束縛しないようにした場合、回転側と押圧側との中心ズレを発生することなく、マスター担体とスレーブ媒体は一体に回転して精度の良い磁気転写が達成でき、装置にも繰り返し変形を生じることなく耐久性の向上が図れる。
【0091】
また、スレーブ媒体を位置決め保持した基盤と、このスレーブ媒体に密着させるマスター担体とを位置決め機構で位置決めすると、両者の中心位置決めが簡略化でき、精度の良い磁気転写が効率よく行える。
【0092】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は一実施形態に係る磁気転写装置の概略機構図である。
【0093】
図1に示す磁気転写装置1は、情報信号を担持したマスター担体3を保持する下側のマスター固定台座11に対し、転写位置でマスター担体3上に転写を受ける磁気記録部を有するスレーブ媒体2を中心位置を合わせた状態で押圧密着させる上側の押え部材12を有する密着装置5と、前記マスター固定台座11を複数具備し、順次転写位置に移動させる搬送台6と、マスター固定台座11に保持したマスター担体3の付着物を除去するクリーニング手段7とを備える。さらに磁気転写装置1は、図示していないが、密着装置5に密着力を印加する押圧手段と、密着装置5を回転させつつ転写用磁界を印加する磁界印加装置とを備えている。
【0094】
そして、マスター担体3は各マスター固定台座11に予め位置決め保持され、このマスター固定台座11を複数搬送台6にセットし、マスター担体3を交換する際には搬送台6よりマスター固定台座11ごと交換するように設けられている。
【0095】
搬送台6(インデックステーブル)は、円盤状のテーブル13の中心部が回転軸14に保持され、テーブル13には3カ所に前記マスター固定台座11の保持部15を有し、不図示の回転駆動手段により転写位置、交換位置、クリーニング位置に順次移動される。なお、搬送台6における保持部15の数は3カ所に限定されるものではない。
【0096】
上記クリーニング位置に設置されたクリーニング手段7は、超音波加振した液体または気体をマスター担体3表面に吹き付ける超音波洗浄ヘッド16を備え、搬送台6の回転により転写位置の直前のクリーニング位置に移動したマスター固定台座11に保持されたマスター担体3のクリーニングを行い、付着物を除去する。なお、このクリーニング手段としては、イオン風(除電エア)・クリーンエアを吹き付けるものでもよい。クリーニングがウェットプロセスの場合には、IPA液またはIPAの蒸気の使用や乾燥風の吹き付け等により乾燥が行われる。
【0097】
マスター固定台座11は円盤状で、マスター担体3の外径より大きい円形状の上面11aを有し、この上面11aの中央部にマスター担体3の下面を吸着などにより保持する。上側の押え部材12も同様に円盤状で、スレーブ媒体2の外径より大きい下面12aを有し、この押え部材12が上下方向にマスター固定台座11に対して接離移動可能であり、スレーブ媒体2をマスター担体3上に押圧して密着させるようになっている。なお、押え部材12の下面12aにシート状の弾性材を取り付け、この弾性材を介してスレーブ媒体2を押圧してもよい。
【0098】
また、マスター固定台座11の底面および押え部材12の上面には、回転軸部11b,12bが突設されている。このマスター固定台座11および押え部材12は磁気転写時には図示しない回転機構に連係されて一体に回転駆動される。
【0099】
不図示の押圧手段は加圧シリンダを備え、その押圧ロッドの先端が密着装置5の押え部材12に所定の押圧荷重を印加する。なお、押圧状態で密着装置5は回転するために、押え部材12の回転軸部12bに押圧力が作用するようになっている。
【0100】
磁気転写を行う際には、スレーブ媒体2の磁化を、予め面内記録なら面内トラック方向に、また垂直記録なら垂直方向に初期直流磁化しておく。このスレーブ媒体2をマスター担体3と密着させ、初期直流磁化方向と略逆向きのトラック方向または垂直方向に転写用磁界を印加して磁気転写を行う。
【0101】
スレーブ媒体2は、両面または片面に磁気記録部(磁性層)が形成されたハードディスク、高密度フレキシブルディスクなどの円盤状磁気記録媒体が使用される。その磁気記録部は塗布型磁気記録層あるいは金属薄膜型磁気記録層で構成される。
【0102】
マスター担体3は剛体による円盤状ディスクに形成されている。このマスター担体3は、基板上に形成された微細凹凸パターンに軟磁性体が被覆されてなり、この面がスレーブ媒体2に密着される転写パターンが形成された転写情報担持面となる。これと反対側の面がマスター固定台座11に保持される。
【0103】
マスター担体3の基板としては、ニッケル、シリコン、石英板、ガラス、アルミニウム、合金、セラミックス、合成樹脂等を使用する。凹凸パターンの形成は、スタンパー法等によって行われる。軟磁性体の形成は、磁性材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜手段、メッキ法などにより成膜する。面内記録と垂直記録とで、ほぼ同様のマスター担体3が使用される。
【0104】
転写用磁界および初期磁界を印加する不図示の磁界印加装置は、面内記録の場合には、例えば、リング型ヘッド電磁石を上下両側に配設し、上下で同じ方向にトラック方向と平行に発生させた転写用磁界を印加する。密着装置5を回転させて、スレーブ媒体2とマスター担体3の全面に転写用磁界を印加する。磁界印加装置を回転移動させるように設けてもよい。磁界印加装置は、片側にのみ配設するようにしてもよく、永久磁石装置を両側または片側に配設してもよい。また、垂直記録の場合の磁界印加装置は、極性の異なる電磁石または永久磁石を密着装置5の上下に配置し、垂直方向に転写用磁界を発生させて印加する。部分的に磁界を印加するものでは、密着装置5を移動させるか磁界を移動させて全面の磁気転写を行う。
【0105】
前記磁気転写装置1の転写位置すなわち密着装置5の部分には、図2に示すように、クリーニング手段8を配設して、転写を行う直前のマスター担体3をクリーニングしてもよい。また、点着直後のマスター担体3をクリーニングしてもよい。
【0106】
図2におけるクリーニング手段8は、転写位置の近傍に、超音波洗浄ヘッド17が密着装置5に対して進退移動可能に設けられている。超音波洗浄ヘッド17は、前述と同様に超音波加振した液体または気体を洗浄面に吹き付けるもの、または、イオン風(除電エア)・クリーンエアを吹き付けるものである。そして、上側の押え部材12が開いた状態でマスター固定台座11に保持されたマスター担体3上に移動してそのクリーニングを行い、クリーニング後には待避位置に移動するようになっている。
【0107】
さらに、マスター担体3に密着する直前のスレーブ媒体2をクリーニングしてもよい。スレーブ媒体2のクリーニングは、マスター担体3のクリーニング手段8と同一または別体のクリーニング手段により行う。
【0108】
上記磁気転写装置1では、同じマスター担体3により複数のスレーブ媒体2に対する磁気転写を行うものであり、まず各マスター固定台座11にそれぞれマスター担体3を位置を合わせて保持させておき、この複数のマスター固定台座11を搬送台6にセットする。そして、転写位置に移動させる前にクリーニング手段7によってマスター固定台座11に保持したマスター担体3のクリーニングを行う。搬送台6の回転によりクリーニング後のマスター固定台座11を転写位置に移動させ、押え部材12をマスター固定台座11から離間した開状態で、予め面内方向または垂直方向の一方に初期磁化したスレーブ媒体2を中心位置を合わせてセットした後、密着装置5の押え部材12をマスター固定台座11に接近移動させ、押圧手段によりスレーブ媒体2とマスター担体3とを所定の押圧力で押圧密着させる。図2のクリーニング手段8を備えたものでは、この密着の直前のマスター担体3(およびスレーブ媒体2)をクリーニングする。
【0109】
その後、密着装置5の上下面に磁界印加装置を接近させ、密着装置5を回転させつつ磁界印加装置によって初期磁化とほぼ反対方向に転写用磁界を印加し、マスター担体3の転写パターンに応じた磁化パターンをスレーブ媒体2の磁気記録部に転写記録する。
【0110】
上記磁気転写時に印加された転写用磁界は、マスター担体3の転写パターンにおけるスレーブ媒体2と密着した軟磁性体による凸部パターンに吸い込まれ、面内記録の場合にはこの部分の初期磁化は反転せずその他の部分の初期磁化が反転し、垂直記録の場合にはこの部分の初期磁化が反転しその他の部分の初期磁化は反転しない結果、スレーブ媒体2にはマスター担体3の転写パターンに応じた磁化パターンが転写記録される。
【0111】
そして、所定回数の磁気転写が行われたとき、転写後のマスター担体3またはスレーブ媒体2の表面に塵埃等が付着するなどの異常が発生したとき、転写不良が発生したときなどには、搬送台6を回転駆動してクリーニング後の新たなマスター固定台座11を転写位置に移動させて、上記と同様に次の磁気転写を継続して行う。なお、1回の磁気転写ごとに搬送台6を回転して、マスター担体3を取り替えてもよい。
【0112】
転写位置から待機位置に移動されたマスター固定台座11は、その状態に応じて搬送台6から取り外して交換する。交換時には、マスター固定台座11ごと取り外して、新たなマスター担体3を保持したマスター固定台座11をセットする。また、そのままクリーニング手段7によるクリーニングで再使用可能な場合には交換しない。
【0113】
取り外したマスター固定台座11は、別途設置した不図示のクリーニング装置により、マスター担体3をマスター固定台座11ごとクリーニングしてもよい。このクリーニング装置は、前述の図1のクリーニング手段7に代えて設置するか、併設して両者でクリーニングを行うようにしてもよい。
【0114】
このクリーニング装置により、例えば、洗浄槽の洗浄液中にマスター担体3を保持したままのマスター固定台座11を浸漬し、超音波加振ヘッドによって洗浄液を超音波加振し、マスター担体3の表面の付着物を洗浄除去する。そのほか、超音波洗浄ヘッドによるメガソニック振動を与えた液体洗浄、超音波加振ヘッドによる気中での超音波振動洗浄、超音波振動を与えた気体の吹き付け、グライドヘッドによるグライドクリーニング、グライドクリーニング後の超音波洗浄、エキシマレーザー照射による焼却洗浄、プラズマクリーニングなどが使用できる。
【0115】
なお、スレーブ媒体2を不図示のホルダーに保持し、磁気転写する前工程でスレーブ媒体2をホルダーと一緒にクリーニングするようにしてもよい。
【0116】
本実施の形態によれば、搬送台6にそれぞれマスター担体3を位置決め保持したマスター固定台座11を複数具備し、順次クリーニング手段7,8によってクリーニングしたマスター担体3を転写位置に移動させて磁気転写を行い、磁気転写後のマスター固定台座11ごとマスター担体3を交換するために、マスター担体3の交換が容易で交換作業の効率が高く、生産性が向上すると共に、転写を行う直前のマスター担体3のクリーニングにより転写不良を防ぐことができ、良好な磁気転写が実施できる。さらに、搬送台6から取り出したマスター固定台座11を、マスター担体3と共に洗浄する場合でも、交換時およびクリーニング時にマスター担体3の脱着を行わないことで作業効率が高められる。
【0117】
次に、本発明の別の実施の形態を詳細に説明する。図3は一実施形態にかかる磁気転写装置の転写状態を示す要部斜視図である。図4は密着装置の断面図である。なお、各図は模式図であり各部の寸法は実際とは異なる比率で示している。
【0118】
図3に示す磁気転写装置20は、下側チャンバー31と上側チャンバー32とを備え、内部に図4のようにスレーブ媒体22、マスター担体23、弾性材24を配置して中心位置を合わせた状態でスレーブ媒体22とマスター担体23とを密着させる密着装置25と、密着装置25を加圧する押圧手段26と、密着装置25内のエアを排出して内部を減圧状態とする減圧手段27(図4参照)と、密着装置25を回転させつつ転写用磁界を印加する磁界印加装置28とを備える。そして、減圧手段27による密着装置25内の真空度と、押圧手段26によるスレーブ媒体22とマスター担体23との押圧力とを独立に制御する。
【0119】
密着装置25の下側チャンバー31は円盤状で、マスター担体23の外径より大きい円形状の上面31aを有し、この上面31aの中央部にマスター担体23の下面を吸着などにより保持する。上側チャンバー32は円盤状で、スレーブ媒体22の外径より大きい下面32aを有し、この下面32aにシート状の弾性材24が取り付けられ、この弾性材24の下面にスレーブ媒体22を保持する。上側チャンバー32が上下方向に下側チャンバー31に対して接離移動可能であり、スレーブ媒体22をマスター担体23上に押圧して密着させるようになっている。なお、スレーブ媒体22はマスター担体23上にセットするようにしてもよい。
【0120】
下側チャンバー31の外周には上方に突出する鍔部31bが、上側チャンバー32の外周には下方に突出する鍔部32bがそれぞれ設けられている。上側チャンバー32の鍔部32bの外周面の径は、下側チャンバー31の鍔部31bの内周面の径より小さく、下側チャンバー31の鍔部31bの内周側に、上側チャンバー32の鍔部32bが挿入可能に設けられている(逆の大小関係にあってもよい)。そして、上側チャンバー32の鍔部32bの外周にOリングによるシール材33が装着され、このシール材33は上側チャンバー32を下側チャンバー31側に移動させた際に、下側チャンバー31の鍔部31bの内周面に摺接して、接離移動方向(軸方向)と平行な面同士のシールを行って両チャンバー31,32間の内部空間を密閉する。シール材33は下側チャンバー31に装着してもよい。
【0121】
上記シール材33により内部空間を密閉した状態で、下側チャンバー31と上側チャンバー32との接離移動が可能に設けられている。また、スレーブ媒体22、マスター担体23、弾性材24の厚みが変化してスレーブ媒体22とマスター担体23との密着高さが変更しても、密閉状態を確保できる。
【0122】
下側チャンバー31の底面および上側チャンバー32の上面には、回転軸部31c,32cが突設されている。この下側チャンバー31および上側チャンバー32は図示しない回転機構に連係されて一体に回転駆動される。
【0123】
また、下側チャンバー31の鍔部31bより内周側でマスター担体23より外周部の上面31aには減圧手段27の排気口27aが開口されている。この排気口27aに連通するエア通路27bが下側チャンバー31内に形成され、回転軸部31cを通して外部に導出され、不図示の真空ポンプに接続されている。この減圧手段27によるエアの排出により、上側チャンバー32と下側チャンバー31とで形成される密閉空間を50〜100kPaの所定の真空度に制御する。
【0124】
図3に示すように、押圧手段26は加圧シリンダ34を備え、その押圧ロッド35の先端が密着装置25の上側チャンバー32に所定の押圧荷重を印加する。なお、押圧状態で密着装置25は回転するために、上側チャンバー32の回転軸部32cに押圧力が作用するように受け部材36が配設されている。この押圧手段26による押圧力は、スレーブ媒体22とマスター担体23とが0.01〜49N/cm2(1〜5000gf/cm2)の密着圧力となるように、前記真空度の制御とは独立して最適値に制御する。
【0125】
磁気転写を行う際には、スレーブ媒体22の磁化を、予め面内記録なら面内トラック方向に、また垂直記録なら垂直方向に初期直流磁化しておく。このスレーブ媒体22をマスター担体23と密着させ、初期直流磁化方向と略逆向きのトラック方向または垂直方向に転写用磁界を印加して磁気転写を行う。
【0126】
スレーブ媒体22は、両面または片面に磁気記録部(磁性層)が形成されたハードディスク、高密度フレキシブルディスクなどの円盤状磁気記録媒体が使用される。その磁気記録部は塗布型磁気記録層あるいは金属薄膜型磁気記録層で構成される。
【0127】
マスター担体23は剛体による円盤状ディスクに形成されている。このマスター担体23は、基板上に形成された微細凹凸パターンに軟磁性体が被覆されてなり、この面がスレーブ媒体22に密着される転写パターンが形成された転写情報担持面となる。これと反対側の面が下側チャンバー31に真空吸着保持される。
【0128】
マスター担体23の基板としては、ニッケル、シリコン、石英板、ガラス、アルミニウム、合金、セラミックス、合成樹脂等を使用する。凹凸パターンの形成は、スタンパー法等によって行われる。軟磁性体の形成は、磁性材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜手段、メッキ法などにより成膜する。面内記録と垂直記録とで、ほぼ同様のマスター担体23が使用される。
【0129】
弾性材24はスレーブ媒体22の背面(上面)に接触して押圧するもので、弾性特性を有する材料により円盤状に形成され、上側チャンバー32に保持される。弾性特性を有する材料としては、シリコンゴム、ポリウレタンゴム、フッ素ゴム、ブタジエンゴム、テフロン(登録商標)ゴム、バイトンゴムなど一般的なゴムや、スポンジゴム等の発泡樹脂などが使用できる。
【0130】
転写用磁界および初期磁界を印加する磁界印加装置28は、面内記録の場合には、例えば、スレーブ媒体22の半径方向に延びるギャップ37を有するコア38にコイル39が巻き付けられたリング型ヘッド電磁石が上下両側に配設されてなり、上下で同じ方向にトラック方向と平行に発生させた転写用磁界を印加する。密着装置25を回転させて、スレーブ媒体22とマスター担体23の全面に転写用磁界を印加する。磁界印加装置28を回転移動させるように設けてもよい。磁界印加装置28は、片側にのみ配設するようにしてもよく、永久磁石装置を両側または片側に配設してもよい。
【0131】
また、垂直記録の場合の磁界印加装置28は、極性の異なる電磁石または永久磁石を密着装置25の上下に配置し、垂直方向に転写用磁界を発生させて印加する。部分的に磁界を印加するものでは、密着装置25を移動させるか磁界を移動させて全面の磁気転写を行う。
【0132】
上記磁気転写装置20では、同じマスター担体23により複数のスレーブ媒体22に対する磁気転写を行うものであり、まず下側チャンバー31および上側チャンバー32にマスター担体23および弾性材24を位置を合わせて保持させておく。そして、上側チャンバー32と下側チャンバー31とを離間した開状態で、予め面内方向または垂直方向の一方に初期磁化したスレーブ媒体22を中心位置を合わせてセットした後、押圧手段26を駆動して上側チャンバー32を下側チャンバー31に接近移動させる。
【0133】
そして、上側チャンバー32のシール材33が下側チャンバー31の鍔部31bの内周面に摺接して、スレーブ媒体22およびマスター担体23を収容した両チャンバー31,32の内部空間を密閉する。スレーブ媒体22とマスター担体23とが押圧状態となる前に、減圧手段27により密閉空間のエア排出を行って減圧し、内部を所定の真空度とした後に、さらに上側チャンバー32を下降作動する。押圧手段26による押圧力を印加して、スレーブ媒体22の背面を弾性材24を介して押圧してマスター担体23と所定の密着圧力で密着させる。
【0134】
その後、密着装置25の上下面に上下の磁界印加装置28を接近させ、密着装置25を回転させつつ磁界印加装置28によって初期磁化とほぼ反対方向に転写用磁界を印加し、マスター担体23の転写パターンに応じた磁化パターンをスレーブ媒体22の磁気記録部に転写記録する。
【0135】
上記磁気転写時に印加された転写用磁界は、マスター担体23の転写パターンにおけるスレーブ媒体22と密着した軟磁性体による凸部パターンに吸い込まれ、面内記録の場合にはこの部分の初期磁化は反転せずその他の部分の初期磁化が反転し、垂直記録の場合にはこの部分の初期磁化が反転しその他の部分の初期磁化は反転しない結果、スレーブ媒体22にはマスター担体23の転写パターンに応じた磁化パターンが転写記録される。
【0136】
本実施の形態によれば、両チャンバー31,32内を密閉状態とし、内部を所定の真空度に減圧して密着面に残留するエアを排出した後、所定押圧力を独立に加圧し、マスター担体23とスレーブ媒体22を密着させるために、最適な真空度と圧力による密着が行えて密着性を高めることができ、密着不良に伴う転写不良を防止して良好な磁気転写を行うことができる。
【0137】
次に、本発明のさらに別の実施の形態を詳細に説明する。図5は一実施形態にかかる磁気転写装置の転写状態を示す要部斜視図である。図6は密着装置の分解斜視図、図7は一つの実施形態の弾性押圧部材およびマスター担体の平面図である。なお、各図は模式図でありその厚み等は実際の寸法とは異なる比率で示している。
【0138】
図5に示す磁気転写装置40は、下側圧接部材48と上側圧接部材49とを備え、内部に図6のようにスレーブ媒体42、マスター担体43、弾性押圧部材44を配置して中心位置を合わせた状態で密着させる密着装置45と、密着装置45を加圧する加圧装置46と、密着装置45を回転させつつ転写用磁界を印加する磁界印加装置47とを備える。
【0139】
磁気転写を行う際には、スレーブ媒体42の磁化を、予め面内記録なら面内トラック方向に、また垂直記録なら垂直方向に初期直流磁化しておく。このスレーブ媒体42をマスター担体43と密着させ、初期直流磁化方向と略逆向きのトラック方向または垂直方向に転写用磁界を印加して磁気転写を行う。
【0140】
スレーブ媒体42は、両面または片面に磁気記録部(磁性層)が形成されたハードディスク、高密度フレキシブルディスクなどの円盤状磁気記録媒体が使用され、中心孔42aが開口されている。その磁気記録部は塗布型磁気記録層あるいは金属薄膜型磁気記録層で構成される。
【0141】
マスター担体43は、中心孔43aが開口された剛体による円環状ディスクに形成されている。このマスター担体43は、基板上に形成された微細凹凸パターンに軟磁性体が被覆されてなり、この面がスレーブ媒体42に密着される転写パターンが形成された転写情報担持面43bである。これと反対側の面が下側圧接部材48に真空吸着保持される。
【0142】
マスター担体43の基板としては、ニッケル、シリコン、石英板、ガラス、アルミニウム、合金、セラミックス、合成樹脂等を使用する。凹凸パターンの形成は、スタンパー法等によって行われる。軟磁性体の形成は、磁性材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜手段、メッキ法などにより成膜する。面内記録と垂直記録とで、ほぼ同様のマスター担体43が使用される。
【0143】
転写情報がサーボ信号の場合は、マスター担体43の情報担持面43bには、図7(B)に示すように、中心部から等間隔でほぼ放射方向(図示の場合は、若干湾曲している)に延びる細幅の領域にサーボパターンP(転写パターン)が部分的に形成されている。このサーボパターンPの部分がスレーブ媒体42との密着が要求される部分であり、磁気転写によりサーボパターンPに対応する磁化パターンをスレーブ媒体42に転写記録する。
【0144】
弾性押圧部材44はスレーブ媒体42の背面(上面)に接触して押圧するもので、弾性特性を有する材料により円盤状に形成され、上側圧接部材49に保持される。この弾性押圧部材44のスレーブ媒体42の背面と接する押圧面44aの形状は、図7(A)に示すように、マスター担体43の前記サーボパターンPに対応して該パターンPの部分を主に押圧する凹凸形状に設けられている。
【0145】
前記押圧面44aは、内周の内リング部50と、外周の外リング部51と、内リング部50と外リング部51を連結するマスター担体43のサーボパターンPに対応した複数の放射部52とが、スレーブ媒体42に接触する押圧凸部に形成される。その他の部分は凹部53(裏面に貫通していてもよい)に形成され、スレーブ媒体42とは接触しない。
【0146】
弾性押圧部材44の材料は、圧力印加時に押圧面積が過剰に増大しない程度の弾性特性を有している。具体的材料としては、シリコンゴム、ポリウレタンゴム、フッ素ゴム、ブタジエンゴム、テフロン(登録商標)ゴム、バイトンゴムなど一般的なゴムや、スポンジゴム等の発泡樹脂などが使用できる。
【0147】
密着装置45の下側圧接部材48は、マスター担体43の大きさに対応した円形状の吸着面48aを有し、その表面が平坦に仕上げられている。この吸着面48aには、吸気孔がほぼ均等に開口している(多孔質面でもよい)。図示していないが、この吸気孔には内部から下側圧接部材48の外部に導出された吸気通路を経て真空ポンプに接続されて吸引され、吸着面48aに密着されたマスター担体43の底面を真空吸着し、好ましくはマスター担体43の平坦性を吸着面48aに沿わせて矯正する。上側圧接部材49の下面は、弾性押圧部材44を保持する支持面49aに設けられている。
【0148】
下側圧接部材48および上側圧接部材49の外形は円盤状で、上側圧接部材49が軸方向に移動可能に設けられて加圧装置46によって接離移動すると共に、互いに所定の圧力で圧接される。外周には鍔部48b,49bを有し、閉作動時には上下の圧接部材48,49の鍔部48b,49bが当接して内部を密閉状態に保持する。下側圧接部材48の中心部には、マスター担体43およびスレーブ媒体42の中心孔43a,42aに係合して位置決めするピン48cが形成されている。上側圧接部材49の支持面49aには、不図示の位置決め機構により弾性押圧部材44が、マスター担体43のサーボパターンPの位置と放射部52の位置とを合わせて保持される。また、下側圧接部材48および上側圧接部材49は図示しない回転機構に連係されて一体に回転駆動される。
【0149】
図5に示すように、加圧装置46は加圧シリンダ54を備え、その押圧ロッド55の先端が密着装置45の上側圧接部材49に所定の押圧荷重を印加する。この押圧力は、スレーブ媒体42とマスター担体43におけるサーボパターンP近傍の密着圧力が、各部で1〜50N/cm2(0.1〜5.0kg/cm2)の適正値となるように、接触面積に基づいて設定される。なお、押圧状態で密着装置45は回転するために、上側圧接部材49の中心軸部49cに押圧力が作用するように受け部材56が配設されている。
【0150】
転写用磁界および初期磁界を印加する磁界印加装置47は、面内記録の場合には、例えば、スレーブ媒体42の半径方向に延びるギャップ57を有するコア58にコイル59が巻き付けられたリング型ヘッド電磁石が上下両側に配設されてなり、上下で同じ方向にトラック方向と平行に発生させた転写用磁界を印加する。密着装置45を回転させて、スレーブ媒体42とマスター担体43の全面に転写用磁界を印加する。磁界印加装置47を回転移動させるように設けてもよい。磁界印加装置47は、片側にのみ配設するようにしてもよく、永久磁石装置を両側または片側に配設してもよい。
【0151】
また、垂直記録の場合の磁界印加装置47は、極性の異なる電磁石または永久磁石を密着装置45の上下に配置し、垂直方向に転写用磁界を発生させて印加する。部分的に磁界を印加するものでは、密着装置45を移動させるか磁界を移動させて全面の磁気転写を行う。
【0152】
上記磁気転写装置40では、同じマスター担体43により複数のスレーブ媒体42に対する磁気転写を行うものであり、まず下側圧接部材48および上側圧接部材49にそれぞれ中心位置を合わせてマスター担体43および弾性押圧部材44をそれぞれのパターン位置を合わせて保持させておく。そして、上側圧接部材49と下側圧接部材48とを離間した開状態で、予め面内方向または垂直方向の一方に初期磁化したスレーブ媒体42を中心位置を合わせてセットした後、加圧装置46を駆動して上側圧接部材49を下側圧接部材48に接近させて閉作動し、スレーブ媒体42の背面に弾性押圧部材44を接触させて、その押圧面44aの凸部で主にサーボパターンP近傍を押圧してマスター担体43と密着させる。その後、密着装置45の上下面に上下の磁界印加装置47を接近させ、密着装置45を回転させつつ磁界印加装置47によって初期磁化とほぼ反対方向に転写用磁界を印加し、マスター担体43の転写パターンに応じた磁化パターンをスレーブ媒体42の磁気記録部に転写記録する。
【0153】
上記磁気転写時に印加された転写用磁界は、マスター担体43の転写パターンにおけるスレーブ媒体42と密着した軟磁性体による凸部パターンに吸い込まれ、面内記録の場合にはこの部分の初期磁化は反転せずその他の部分の初期磁化が反転し、垂直記録の場合にはこの部分の初期磁化が反転しその他の部分の初期磁化は反転しない結果、スレーブ媒体42にはマスター担体43の転写パターンに応じた磁化パターンが転写記録される。
【0154】
本実施の形態によれば、マスター担体43にスレーブ媒体42を密着させる際に、凹凸形状の押圧面44aを有する弾性押圧部材44によって、スレーブ媒体42の背面の主に転写パターン部分を押圧するため、この密着が必要な転写パターンの部分での密着性を高め、密着不良に伴う転写不良を防止して良好な磁気転写を行うことができると共に、全体としての押圧力を低くすることができ、装置のコンパクト化が得られる。
【0155】
次に、本発明のさらに別の実施の形態を詳細に説明する。図8は本発明の一つの実施の形態にかかる磁気転写装置の転写状態を示す要部斜視図である。図9はホルダの分解斜視図である。
【0156】
図8および図9に示す磁気転写装置60は面内記録方式により両面同時転写を行うものであり、円盤状のスレーブ媒体62の上下に、円盤状のマスター担体63,64を対峙密着させたホルダ61を回転させつつ、このホルダ61の上下に配設した磁界印加装置65(電磁石装置)によって転写用磁界を印加して、マスター担体63,64に担持した情報を磁気的にスレーブ媒体62の両面に同時に転写記録する。
【0157】
ホルダ61は、シリンダ構造の下ホルダ68と上ホルダ69とを備え、内部空間に、転写を受けるスレーブ媒体62と、スレーブ媒体62の下側記録面にサーボ信号等の情報を転写する下側マスター担体63と、スレーブ媒体62の上側記録面にサーボ信号等の情報を転写する上側マスター担体64とを交換可能に収納する。下ホルダ68は、下側マスター担体63を吸着保持して平坦性を矯正する下側吸着部材66を備え、上ホルダ69は、上側マスター担体64を吸着保持して平坦性を矯正する上側吸着部材67(下側吸着部材66と同構成)を備える。スレーブ媒体62の両面に下側マスター担体63と上側マスター担体64とが、中心位置を合わせた状態で圧接され、対峙密着される。ここで対峙密着とは、接触密着、ごく僅かな隙間を空けて対峙することの双方の何れかを指すものとする。
【0158】
下ホルダ68および上ホルダ69の一方または両方が軸方向に移動可能に設けられて図示しない開閉機構によって開閉作動される。また、上記ホルダ61は、下ホルダ68と上ホルダ69との摺接によって形成される内部空間のエアを真空吸引し、内部を減圧状態として、上記スレーブ媒体62と上下のマスター担体63,64との密着力を得る不図示の真空吸引手段を備える。
【0159】
図示のスレーブ媒体62は、中心部にドライブ装置の回転支軸に装着するための中心穴62aが開口されたハードディスクであり、円盤状のベースの両面に磁性層が形成された記録面を有する。
【0160】
また、下ホルダ68の中心部には、スレーブ媒体62の中心穴62aを基準として位置決めする中心ピン68bが立設されている。この中心ピン68bにより下側のマスター担体63の位置決めをも行うものであり、下側マスター担体63の中心部には、この中心ピン68bが嵌装する位置決め用の中心穴63aが開口されている。
【0161】
上側マスター担体64の上ホルダ69への位置決めは、上ホルダ69の中心部に上記の中心ピン68bと同様な不図示の中心ピンが設けられ、上側マスター担体64の中心穴64aに嵌装して位置決めが行われる。さらに、下ホルダ68と上ホルダ69との位置決めによって、下側マスター担体63と上側マスター担体64との中心位置を合わせる位置決め機構が設けられる。
【0162】
上記のような下ホルダ68に設けられた中心ピン68bによる位置合わせにおいて、図10に示すように、下側マスター担体63の中心位置63cとスレーブ媒体62の中心位置62cとの偏心量dが、100μm以下となるように設定されている。上側マスター担体64とスレーブ媒体62の中心位置の偏心量も同様に100μm以下となるように設定されている。
【0163】
また、望ましくは、マスター担体63,64に形成されたパターンの中心位置と、スレーブ媒体62の回転中心位置との偏心量が、50μm以下となるように設定されている。
【0164】
前記スレーブ媒体62は、磁気転写を行う際には、その磁化を、予め面内記録なら面内トラック方向に、また垂直記録なら垂直方向に初期直流磁化しておく。このスレーブ媒体62をマスター担体63,64と密着させた磁気転写時には、初期直流磁化方向と略逆向きのトラック方向または垂直方向に転写用磁界を印加する。
【0165】
前記下側マスター担体63および上側マスター担体64は、前述のように円環状ディスクに形成され、その片面に前記スレーブ媒体62の記録面に密着される磁性体のパターンによる転写情報担持面を有し、これと反対側の面が下側吸着部材66および上側吸着部材67に真空吸着保持される。
【0166】
マスター担体63,64は、基板上に形成された微細凹凸パターンに軟磁性体が被覆されて転写パターンが形成されてなる。マスター担体63,64の基板としては、ニッケル、シリコン、石英板、ガラス、アルミニウム、合金、セラミックス、合成樹脂等を使用する。凹凸パターンの形成は、スタンパー法等によって行われる。軟磁性体の形成は、磁性材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜手段、メッキ法などにより成膜する。面内記録と垂直記録とで、ほぼ同様のマスター担体が使用される。
【0167】
下側吸着部材66(上側吸着部材67も同様)は、マスター担体63の大きさに対応した円盤状に設けられ、その表面が中心線平均表面粗さRaが0.01〜0.1μm程度の平面度に平坦に仕上げられた吸着面66aに形成されている。この吸着面66aには、直径約2mm以下の吸引孔66bが約25〜100個ほぼ均等に開口している。図示していないが、この吸引孔66bには吸着部材66の内部から下ホルダ68の外部に導出された吸引通路を経て真空ポンプに接続されて吸引され、吸着面66aに密着されたマスター担体63の背面を真空吸着し、該マスター担体63の平坦性を吸着面66aに沿わせて矯正する。
【0168】
下ホルダ68および上ホルダ69は円盤状で、下ホルダ68の外周には上方に突出する鍔部68aが、上ホルダ69の外周には下方に突出する鍔部69aがそれぞれ設けられている。詳細には図示していないが、上ホルダ69の鍔部69aの外周面の径は、下ホルダ68の鍔部68aの内周面の径より小さく、下ホルダ68の鍔部68aの内周側に、上ホルダ69の鍔部69aが挿入可能に設けられている(逆の大小関係にあってもよい)。そして、上ホルダ69の鍔部69aの外周にOリング等による不図示のシール材が装着され、このシール材は上ホルダ69を下ホルダ68側に移動させた際に、下ホルダ68の鍔部68aの内周面に摺接して、接離移動方向(軸方向)と平行な面同士のシールを行って両ホルダ68,69間の内部空間を密閉する。シール材は下ホルダ68に装着してもよい。
【0169】
ホルダ61は、上記内部空間を密閉した状態で、下ホルダ68と上ホルダ69との接離移動が可能なシリンダ構造に設けられ、スレーブ媒体62、マスター担体63,64の厚みが変化してスレーブ媒体62とマスター担体63,64との密着高さが変更しても、密閉状態を確保できる。この下ホルダ68および上ホルダ69は図示しない回転機構に連係されて一体に回転駆動される。
【0170】
また、ホルダ61の内面には、内部空間に開口する真空吸引手段の吸引口を備えている。この吸引口に連通するエア通路が下ホルダ68または上ホルダ69内に形成され、外部に導出されて真空ポンプに接続される。この真空吸引手段によるエアの真空吸引により、ホルダ61内の内部空間を所定の真空度に制御する。
【0171】
磁気転写時には、上記真空吸引に伴う圧力により、上ホルダ69と下ホルダ68とが互いに接近するように移動させて、上下のマスター担体63,64の情報担持面とスレーブ媒体62の磁気記録面とを対峙密着させ、このマスター担体63,64とスレーブ媒体62との密着状態で、磁界印加装置65により転写用磁界を印加してサーボ信号等の情報を磁気的に転写記録する。なお、密着力の印加方式は、上記のような真空吸引方式に加えて、またはこれに代えて、外部からの機械的な圧力印加方式が採用可能である。
【0172】
転写用磁界および初期磁界を印加する磁界印加装置65は、面内記録の場合には、例えば、スレーブ媒体62の半径方向に延びるギャップを有するコアにコイルが巻き付けられたリング型ヘッド電磁石が上下両側に配設されてなり、上下で同じ方向にトラック方向と平行に発生させた転写用磁界を印加する。ホルダ61を回転させて、スレーブ媒体62とマスター担体63の全面に転写用磁界を印加する。磁界印加装置65を回転移動させるように設けてもよい。磁界印加装置65は、片側にのみ配設するようにしてもよく、永久磁石装置を両側または片側に配設してもよい。
【0173】
また、垂直記録の場合の磁界印加装置は、極性の異なる電磁石または永久磁石をホルダ61の上下に配置し、垂直方向に転写用磁界を発生させて印加する。部分的に磁界を印加するものでは、ホルダ61を移動させるか磁界を移動させて全面の磁気転写を行う。
【0174】
上記のような磁気転写装置60による磁気転写工程を説明する。この磁気転写装置60では、同じマスター担体63,64により複数のスレーブ媒体62に対する磁気転写を繰り返し行うものであり、まずホルダ61の下ホルダ68および上ホルダ69の下側吸着部材66および上側吸着部材67にそれぞれ中心位置を合わせて下側マスター担体63および上側マスター担体64をそれぞれ真空吸着して保持させておく。
【0175】
そして、上ホルダ69と下ホルダ68とを離間した開状態で、予め面内方向または垂直方向の一方に初期磁化したスレーブ媒体62を中心位置を合わせてセットした後、上ホルダ69を下ホルダ68に接近移動させる閉作動を行い、両ホルダ68,69の鍔部68a,69aの嵌合摺接により、ホルダ61の内部空間を密閉する。真空吸引手段により内部空間のエア排出を行って減圧し、所定の真空度とする。これにより、上ホルダ69は真空度に応じて作用する外力(大気圧)による圧力で、下ホルダ68に向けて上下のマスター担体63,64でスレーブ媒体62を挟むよう密着力を加え、均一に所定の密着圧力で密着させる。
【0176】
その後、ホルダ61の上下面に上下の磁界印加装置65を接近させ、ホルダ61を回転させつつ磁界印加装置65によって初期磁化とほぼ反対方向に転写用磁界を印加する。この印加された転写用磁界は、マスター担体63,64の転写パターンにおけるスレーブ媒体62と密着した軟磁性体による凸部パターンに吸い込まれ、面内記録の場合にはこの部分の初期磁化は反転せずその他の部分の初期磁化が反転し、垂直記録の場合にはこの部分の初期磁化が反転しその他の部分の初期磁化は反転しない結果、スレーブ媒体2にはマスター担体63,64の転写パターンに応じた磁化パターンが転写記録される。
【0177】
本実施の形態によれば、スレーブ媒体62の両面に上下のマスター担体63,64を対峙密着させるホルダ61による密着構造において、スレーブ媒体62の中心位置とマスター担体63,64の中心位置との偏心量を100μm以下となるように設けたことにより、マスター担体63,64とスレーブ媒体62との接触領域で均一な密着力による全面密着を実現でき、局所的な密着力印加が防止でき、エッジの片当たりによる傷発生も防止できた。さらに、マスター担体63,64のパターン中心とスレーブ媒体62との精度の良い位置合わせにより、所望の性能が得られるパターンの転写信号が記録できる。
【0178】
以下、本発明のさらに別の実施の形態を詳細に説明する。図11は本発明の一つの実施の形態にかかる磁気転写方法を実施する磁気転写装置の転写状態を示す要部斜視図である。図12は密着状態における要部の断面図、図13はマスター担体の位置調整を測定顕微鏡により行う際の概略機構図、図14および図15はマスター担体の位置調整過程を示す平面図、図16は密着前状態の要部断面図である。なお、各図は模式図でありその厚み等は実際の寸法とは異なる比率で示している。
【0179】
図11に示す磁気転写装置70は、第1の基盤76(回転台)と第2の基盤77(押圧部材)との間に、図12に示すように転写を受ける円盤状の磁気記録媒体によるスレーブ媒体72と、サーボ信号等の転写情報に対応したパターンが形成された円盤状のマスター担体73の情報担持面とを不図示の加圧手段(プレス機構)により押圧密着させ、上下に配置した磁界印加手段75により転写用磁界を印加するものである。マスター担体73は下側の第1の基盤76の上部に配置され、スレーブ媒体72はマスター担体73の上側で、第2の基盤77の下部に配置される。
【0180】
下側の第1の基盤76は、ベース部材93の上部の中心位置にスレーブ媒体72の中心孔72aを位置決めするスレーブ保持軸94を備えると共に、このスレーブ保持軸94の外周部にマスター担体73を保持するマスター保持部材95を備えている。マスター保持部材95は、スレーブ保持軸94に対してXY方向に位置調整可能に設けられる。
【0181】
そして、マスター担体73を保持したマスター保持部材95を、後述のように、マスター担体73に形成されたパターン86(図14参照)の中心位置がスレーブ保持軸94の中心位置に合致するように予め調整して固定しておき、このマスター担体73上に供給するスレーブ媒体72を、その中心孔72aとスレーブ保持軸94との嵌合により位置決めし、マスター担体73とスレーブ媒体72との位置決めを行う。
【0182】
スレーブ媒体72は、両面に磁気記録層が形成されたハードディスク等の円盤状磁気記録媒体である。このスレーブ媒体72を保持するスレーブ保持軸94は突起状に形成され、その外径はスレーブ媒体72の中心孔72aとほぼ同径に形成され、その位置決めによりスレーブ媒体72の中心位置をスレーブ保持軸94の中心基準位置に一致するように保持する。スレーブ保持軸94のマスター担体73上面よりの突出量はスレーブ媒体72の厚さより小さく(第2の基盤77の中心部に凹部が形成されている場合は大きくてもよい)形成されている。
【0183】
一方、マスター担体73はスレーブ保持軸94の外径より大きい内孔73aを有する円環ディスク状に形成され、詳細は示していないが、その片面(図で上面)に磁性層による微細凹凸パターン86が円環状トラックに対応して同心円状に形成された転写情報担持面を有し、これと反対側の面(図で下面)がマスター保持部材95の上面に保持される。
【0184】
前記第1の基盤76のベース部材93は円盤状に形成され、その上面中心部にスレーブ保持軸94がマスター保持部材95の中央を上下に貫通して立設され、スレーブ保持軸94の外周部のベース部材93上にはマスター保持部材95が、例えば直交2方向に設けられたガイド96によりX方向移動部とY方向移動部とが重ねられてXY方向に移動可能に配設され、それぞれの方向の移動量が不図示の調整機構により調整可能であると共に、調整後には移動不能に固定可能である。このマスター保持部材95の上面にマスター担体73をエアの吸引等によって保持する。例えば、マスター保持部材95の上面に多数の吸引孔が開口され、エア吸引力によって載置されたマスター担体73を吸引固定する。
【0185】
第1の基盤76は、磁気転写位置より脱着可能に設けられ、図13に示す測定顕微鏡80に移載して、マスター保持部材95に保持したマスター担体73のパターン86の中心位置がスレーブ保持軸94の中心位置と合致するように調整する。なお、第1の基盤76は、不図示の回転駆動手段によって回転駆動される。
【0186】
第2の基盤77は第1の基盤76と同等の円盤状に形成され、この第2の基盤77は加圧手段を構成し、不図示の昇降機構により上下移動可能に設置され、シリンダ等により発生された押圧力が不図示の機構により加えられる。
【0187】
図13に示す測定顕微鏡80は、ベース81の上面に対して垂直に支柱82が立設され、この支柱82に光学系による観察部83が上下移動可能に設けられる。ベース81の上面には、XY方向に移動可能なステージ84を備え、ハンドル85の操作によってX方向およびY方向に移動操作が行えるようになっている。図示していないが、ステージ84には移動量検出手段が設置され、その検出に基づき演算部(パソコン)で各種演算が行え、表示部で座標表示等が行える。
【0188】
上記ステージ84上に前記第1の基盤76を載置し、観察部83で観測しつつステージ84の移動操作を行い、視野の基点にマスター担体73のパターン86の複数の基準点86a(図14参照)またはマーク88(図17参照)をプロットすると、近似円を描いて中心位置が演算され、その座標が表示部に表示される。また、スレーブ保持軸94の中心位置を同様に測定し、その座標が表示部に表示される。なお。両者の座標の偏位量が表示できるものが位置合わせを行う上で好ましい。
【0189】
測定顕微鏡80によるマスター担体73の位置決めを、図14および図15に基づき説明する。まず、図14に示すように、マスター担体73をマスター保持部材95の上面に手作業等により載置した状態では、マスター担体73のパターン86の中心位置はスレーブ保持軸94の中心位置とずれて(図14の場合は左下方にずれて)偏心状態にある。そして、測定顕微鏡80のステージ84上に第1の基盤76を載置し、観察部83による観察とステージ84の操作により、スレーブ保持軸94の中心位置を求め、同様にマスター担体73のパターン86における例えば外周のトラックの複数フレームの始点信号を基準点86aとしてプロットしパターン86の中心位置を求め、両者が一致するようにマスター保持部材95をX方向およびY方向(図の場合は右上方向)に位置調整し、この操作を繰り返して、図15に示すように両者の中心位置が合致した状態でマスター保持部材95を固定する。
【0190】
なお、上記パターン86の一部を基準点86aとして観測する代わりに、図17に示すように、マスター担体73にパターン86の形成と共に位置合わせ用のマーク88を設け、このマーク88を測定顕微鏡80で観測し、パターン86の中心位置を求めるようにしてもよい。マーク88は、例えば、パターン86の外部における同心円上の複数点に形成する。
【0191】
図11の磁界印加手段75は、スレーブ媒体72およびマスター担体73の半径方向に延びるギャップ90を有するコア91にコイル92が巻き付けられた電磁石装置89,89が上下両側に配設されてなり、上下で同じ方向にトラック方向と平行な転写用磁界を印加する。なお、磁界印加手段75としては、電磁石装置に代えて永久磁石装置で構成してもよく、片側のみに配設するようにしてもよい。
【0192】
磁界印加時には、スレーブ媒体72およびマスター担体73を一体に回転させつつ磁界印加手段75によって転写用磁界を印加し、マスター担体73の転写情報をスレーブ媒体72のトラック全周に転写記録する。転写用磁界を回転移動させるように設けてもよい。また、磁界印加手段75は、第1の基盤76と第2の基盤77との開閉動作を許容するように、電磁石装置89が待避移動するように設けられる。
【0193】
上記のような磁気転写装置70の動作すなわち磁気転写方法を説明する。まず、図16に示すように、第2の基盤77が上昇移動した密着前の状態において、第1の基盤76のマスター保持部材95に前述のようにして予めマスター担体73をそのパターン86の中心をスレーブ保持軸94の中心と位置合わせして保持した後、このマスター担体73上にスレーブ媒体72を搬入し、その中心孔72aをスレーブ保持軸94に嵌合させて載置する。このスレーブ保持軸94による位置決めによって、スレーブ媒体72の回転中心とマスター担体73のパターン86の中心位置とが精度良く位置決めされる。
【0194】
その後、加圧手段により第2の基盤77を下降作動させ、第2の基盤77の押圧面がスレーブ媒体72の上面に当接し、このスレーブ媒体72を押圧してその下面(磁気記録面)をマスター担体73の上面(情報担持面)に所定の圧力で密着させる。続いて、両側の電磁石装置89,89を接近させ、第1の基盤76および第2の基盤77を略1回転させつつこの電磁石装置89,89によって転写用磁界を印加して、マスター担体73の転写情報に応じた磁化パターンをスレーブ媒体72の記録面に記録する。
【0195】
磁気転写が終了した後には、第2の基盤77を開作動して押圧力を解放し、転写後のスレーブ媒体72をマスター担体73から外し、取り出し搬送する。その後、別工程でスレーブ媒体72を反転後スレーブ保持軸94に再セットし、スレーブ媒体72の反対面にマスター担体73を密着させて同様に磁気転写を行う。
【0196】
また、図18に示すように両面同時転写を行うようにしてもよい。下側の第1の基盤76は前記と同様に、ベース部材93の上部の中心位置にスレーブ媒体72の中心孔72aを位置決めするスレーブ保持軸94を備えると共に、このスレーブ保持軸94の外周部に下側のマスター担体73を保持するマスター保持部材95を備え、そのパターンの中心位置がスレーブ保持軸94の中心位置に合致して固定されている。スレーブ保持軸94の中心部には位置決め穴94aが設けられている。
【0197】
一方、上側の第2の基盤77は、ベース部材97の下部の中心位置に前記スレーブ保持軸94の位置決め穴94aに挿入されて位置決めする位置決めピン98を備えると共に、この位置決めピン98の外周部に上側のマスター担体74を保持するマスター保持部材99を備え、そのパターンの中心位置が位置決めピン98の中心位置に合致して固定されている。
【0198】
そして、磁気転写時には、第1の基盤76のマスター保持部材95に保持された下側のマスター担体73上にスレーブ媒体72を搬入し、その中心孔72aをスレーブ保持軸94に嵌合させて載置し、スレーブ媒体72の回転中心と下側のマスター担体73とが位置決めされる。その後、第2の基盤77を下降作動させ、その位置決めピン98をスレーブ保持軸94の位置決め穴94aに嵌合させ、第2の基盤77のマスター保持部材99に保持された上側のマスター担体74と、スレーブ媒体72の回転中心とが位置決めされる。そして、スレーブ媒体72の下面および上面に上下のマスター担体73,74の情報担持面をそれぞれ所定の圧力で密着させ、転写用磁界を印加して、マスター担体73,74の転写情報に応じた磁化パターンをスレーブ媒体72の両面に同時に記録する。
【0199】
前記スレーブ媒体72には予め初期磁化を行っておく。この初期磁化は、スレーブ媒体72の保磁力以上の磁界強度部分をトラック方向位置で少なくとも1カ所以上有する磁界強度分布の磁界を、好ましくは、スレーブ媒体72の保磁力以上の磁界強度部分をトラック方向位置で一方向のみで有しており、逆方向の磁界強度はいずれのトラック方向位置でのスレーブ媒体72の保磁力未満である磁界強度分布の磁界を、トラック方向の一部分で発生させ、スレーブ媒体72あるいは磁界をトラック方向に回転させることにより全トラックの初期磁化(直流消磁)を行う。
【0200】
また、転写用磁界は、上記初期磁化のトラック方向とは逆方向のトラック方向に印加するものであり、最適転写磁界強度範囲(スレーブ媒体72の保磁力の0.6〜1.3倍)の最大値を越える磁界強度がトラック方向のいずれにも存在せず、最適転写磁界強度範囲内の磁界強度となる部分が1つのトラック方向で少なくとも1カ所以上有する。さらに、これと逆向きのトラック方向の磁界強度がスレーブ媒体72の記録面全領域においていずれのトラック方向位置においても最適転写磁界強度範囲未満である。
【0201】
本実施の形態によれば、磁気転写を行う際に、予めマスター担体73をそのパターン86の中心位置とスレーブ保持軸94の中心位置と一致させて保持し、その上にスレーブ媒体72を搬送し、スレーブ保持軸94に位置決め保持してマスター担体73と密着させて両者の位置決めを行うことにより、スレーブ媒体72の中心位置と転写された磁化パターン86の中心位置とが精度良く合致し、磁気転写後のスレーブ媒体72をドライブ装置に装着した際の回転中心との位置精度が高くできる。一度位置決め固定したマスター担体73に対する複数のスレーブ媒体72の供給が、位置決め精度を確保しつつ効率よく行え、良好な磁気転写を効率よく継続することができ、生産効率の向上が図れる。
【0202】
なお、前記実施の形態ではマスター保持部材95がXY方向に移動可能であるが、マスター保持部材が固定式の場合には、マスター担体73を直接移動させて位置合わせを行うようにしてもよい。
【0203】
以下、本発明のさらに別の実施の形態を詳細に説明する。図19は本発明の一つの実施の形態における磁気転写方法を実施する磁気転写装置の概要を示す断面図、図20は加圧本体の平面図である。なお、各図は模式図であり各部の寸法は実際とは異なる比率で示している。
【0204】
図19の片面逐次転写を行う磁気転写装置100において、磁気転写時には、後述の初期直流磁化を行った後のスレーブ媒体102(磁気記録媒体)のスレーブ面(磁気記録面)を、マスター担体103の情報担持面に接触させ、加圧手段104により所定の押圧力で密着させる。このスレーブ媒体102とマスター担体103との密着状態で、回転手段105によりスレーブ媒体102およびマスター担体103を回転させつつ、磁界印加装置106により転写用磁界を印加してサーボ信号等の磁化パターンをスレーブ媒体102に転写記録する。この磁気転写において、マスター担体103とスレーブ媒体102とを回転手段105の回転駆動により密着状態で回転させる際に、加圧手段104が回転方向の力成分を束縛しないで押圧力を印加してなる。
【0205】
スレーブ媒体102は、両面に磁気記録層が形成されたハードディスク、フレキシブルディスク等の円盤状磁気記録媒体である。スレーブ媒体102には予め初期磁化を行っておく。この初期磁化は、スレーブ媒体102の保磁力Hcs以上の磁界強度部分をトラック方向位置で少なくとも1カ所以上有する磁界強度分布の磁界を、好ましくは、スレーブ媒体102の保磁力Hcs以上の磁界強度部分をトラック方向位置で一方向のみで有しており、逆方向の磁界強度はいずれのトラック方向位置でのスレーブ媒体102の保磁力未満である磁界強度分布の磁界を、トラック方向の一部分で発生させ、スレーブ媒体102あるいは磁界をトラック方向に回転させることにより全トラックの初期磁化(直流消磁)を行う。
【0206】
図19において下側のスレーブ媒体102は、回転手段105における円盤状の回転基盤151の上面に保持されている。回転基盤151は底面中心部に回転軸152が設けられ、回転軸152は軸受部材153により回転自在に支持される。この回転軸152には、不図示のスプロケットに駆動モータによる回転力がタイミングベルト、チェーン等の伝達部材を介して伝達されるか、ラック/ピニオンギヤを使用した機構等により回転力が伝達され、または、回転力を直結したモーター、ロータリーアクチュエータ(エア、油圧)等により回転力が伝達され、これにより回転基盤151は磁気転写時に所定速度で略1回転する。
【0207】
上側のマスター担体103はディスク状に形成され、その片面に磁性層による微細凹凸パターンが形成された転写情報担持面を有し、この情報担持面をスレーブ媒体102に密着させる。これと反対側の面が、加圧手段104における円盤状の押圧基盤141の下面に保持され、この押圧基盤141によりマスター担体103がスレーブ媒体102に対して押圧される。
【0208】
押圧基盤141の上部には加圧本体142が配設され、この加圧本体142に押圧基盤141が保持されて前記回転基盤151に対して接離移動可能に上下方向に移動される。そして、加圧本体142と押圧基盤141との間の回転方向の力成分を束縛しない押圧力伝達機構143が設置されている。
【0209】
加圧本体142は、円板部142aの外周に下側に延びる周壁42bが設けられ、この周壁142bの下端部には内側に突出する係止部142cが形成されている。加圧本体142の上部にはロッド142dが取り付けられ、不図示の昇降機構に連係されて上下移動可能に形成されている。この加圧本体142の底面には、押圧力伝達機構143を構成する複数のボールベアリング143aが埋設されている。加圧本体142の円板部142aの底面側で係止部142cの上部に押圧基盤141が配設され、押圧基盤141は加圧本体142の上動時には係止部142cに保持されて一体に移動し、下降した密着時には押圧基盤141の上面にボールベアリング143aが圧接してスラストベアリングとなり、押圧力を伝達する。
【0210】
上記加圧本体142は回転方向には固定であり、ボールベアリング143aの回転により押圧基盤141が回転基盤151と一体に回転することが許容される。加圧時には、係止部142cは押圧基盤141から離れているように、押圧基盤141が加圧本体142内で若干上下動できるように設けられている。
【0211】
図20に示すように、加圧本体142の上面には磁界印加装置106のヘッド部が挿入される凹部142eが形成され、マスター担体103とスレーブ媒体102の密着面に接近して、磁界を印加するようになっている。凹部142eに対応する底面部には、上記ボールベアリング143aを配設しないのが好ましい。ボールベアリング143aはスプリングを備え、出没移動して全てのボールベアリング143aが押圧基盤141の上面に接触して均等に押圧するように設けるのが好ましい。
【0212】
また、回転基盤151と押圧基盤141は、スレーブ媒体102およびマスター担体103より外側部分に配設された位置決め機構107によって中心位置決めがなされる。図示の場合には、回転基盤151に複数の位置決めピン171が立設され、押圧基盤141には位置決め穴172が開口され、両者の係合によりスレーブ媒体102とマスター担体103との中心位置決めが行われる。また、この位置決め機構107を介して回転基盤151の回転力が押圧基盤141に伝達される。スレーブ媒体102とマスター担体103の密着力によっても回転力が伝達される。位置決めピン171の先端は、テーパー形状に設けられ、位置決め穴172への係合が誘い込まれる。
【0213】
転写用磁界を印加する磁界印加装置106は、回転基盤151と押圧基盤141との間に密着保持されたスレーブ媒体102およびマスター担体103の半径方向に延びるヘッド部を有するコアにコイルが巻き付けられた電磁石装置または永久磁石装置が片側または上下両側に配設されてなり、トラック方向と平行に前記初期磁界と略反対方向に転写用磁界を印加する。なお、磁界印加装置106は、加圧本体142の昇降移動に対し、それと干渉しない位置に待避移動するように設けられている。
【0214】
転写用磁界は、最適転写磁界強度範囲(スレーブ媒体102の保磁力Hcsの0.6〜1.3倍)の最大値を越える磁界強度がトラック方向のいずれにも存在せず、最適転写磁界強度範囲内の磁界強度となる部分が1つのトラック方向で少なくとも1カ所以上有する。さらに、これと逆向きのトラック方向の磁界強度がスレーブ媒体102の記録面全領域においていずれのトラック方向位置においても上記強度範囲の最小値未満である。
【0215】
上記磁気転写装置100による磁気転写は、まず、予めマスター担体103を位置決め固定している押圧基盤141と共に加圧本体142を上昇移動させ、回転基盤151との間にスレーブ媒体102の脱着作業用の空間を形成した状態で、回転基盤151の上面にスレーブ媒体102を中心位置を位置決めした状態でセットする。続いて、加圧本体142を下降移動させ、押圧基盤141と回転基盤151とを位置決め機構107によって位置決めを行いつつ、スレーブ媒体102の記録面にマスター担体103の転写情報担持面を、押圧力伝達機構143を介して作用する所定の押圧力で密着させる。次に、駆動モータを起動して回転軸152を駆動し、回転基盤151と共に位置決め機構107を介して連結している押圧基盤141を一体に回転駆動する。これと同時に磁界印加装置106によって転写用磁界を印加して、マスター担体103の転写情報担持面に形成されているサーボ信号等の転写情報をスレーブ媒体102の記録面に磁気的に転写記録する。
【0216】
本実施の形態によれば、転写用磁界を印加する際の回転時には、加圧手段104における押圧基盤141はボールベアリング143aによる押圧力伝達機構143の作用で回転方向の力成分が拘束されず、押圧基盤141は押圧力を作用しつつ加圧本体142とは独立して回転基盤151の回転中心を中心として回転する。これにより、回転による駆動負荷を加圧本体142側に与えることなく、また、スレーブ媒体102とマスター担体103との間に滑りを生じることなく一体に回転させて、精度良く磁気転写を行うことができる。
【0217】
図21は他の実施の形態による押圧力伝達機構144を有する磁気転写装置100の要部断面図である。
【0218】
本実施の形態では、押圧力伝達機構144はエアギャップにより構成される。押圧基盤141は前記と同様に構成され、加圧本体142の円板部142aと係止部142cとの間に保持される。加圧本体142の円板部142aの底面には、多数のエア噴出孔144aが開口されている。円板部142aの内部にはエア噴出孔144aに連通するエア通路144bが設けられ、このエア通路144bは外部に導出されて不図示の加圧源に接続されて圧縮エアが供給されるようになっている。
【0219】
押圧基盤141は下降した加圧時には、加圧本体142のエア噴出孔144aから押圧基盤141の上面に向けて噴出された加圧エアによって離間して、加圧本体142と押圧基盤141との間にエアギャップを形成した状態で押圧力を伝達する。回転方向には固定された加圧本体142に対して、押圧基盤141が回転基盤151と一体に回転することが、エアギャップによる非接触滑動で許容される。その他は図19と同様に構成され、同様に磁気転写が行われる。
【0220】
本実施の形態においても、転写用磁界を印加する際の回転時には、加圧手段104における押圧基盤141は、加圧エアの噴出で形成されたエアギャップによる押圧力伝達機構144の作用で、加圧本体142に対して回転方向の力成分が束縛されず、押圧基盤141は押圧力を作用しつつ加圧本体142とは独立して回転基盤151の回転中心を中心として回転する。これにより、回転による駆動負荷を加圧本体142側に与えることなく、また、スレーブ媒体102とマスター担体103との間に滑りを生じることなく一体に回転させて、精度良く磁気転写を行うことができる。
【0221】
次に、図22は他の実施の形態によるスレーブ媒体102とマスター担体103との位置決め機構108を有する回転基盤151および押圧基盤141を示す図、図23はマスター担体103の平面図である。
【0222】
本実施の形態の回転基盤151および押圧基盤141の基本構造は図19と同様である。押圧基盤141に保持されたマスター担体103は、回転基盤151に保持されるスレーブ媒体102の外径より大きく形成され、スレーブ媒体102との密着部分の外側部分に、回転基盤151とマスター担体103との位置決め機構108が配置されている。
【0223】
スレーブ媒体102を位置決め保持する回転基盤151に4本の位置決めピン181が立設され、マスター担体103に4つの位置決め穴182(図23参照)が設けられて位置決め機構108が設置されている。位置決めピン181の先端は、テーパー形状に設けられ、位置決め穴182への係合が誘い込まれる。
【0224】
本実施形態によれば、密着動作時には、回転基盤151の位置決めピン181がマスター担体103の位置決め穴182に挿入され、回転基盤151すなわちスレーブ媒体102とマスター担体103との位置決めが行われる。これにより、図19に示した位置決め機構107に対して、押圧基盤141とマスター担体103との精密な位置決めが不要となり、組付精度の簡略化が図れる。
【0225】
図24はさらに他の実施の形態の位置決め機構109を有する回転基盤151および押圧基盤141を示す図である。
【0226】
本実施の形態の回転基盤151および押圧基盤141の基本構造は図19と同様である。回転基盤151の中心部に、回転基盤151とマスター担体103との位置決め機構109が配置されている。回転基盤151の中心部には径の大きい位置決めピン191が立設され、マスター担体103の中心部には位置決め穴192が設けられて位置決め機構109が設置されている。位置決めピン191はスレーブ媒体102の中心孔を貫通して突出する。位置決めピン191の先端は、テーパー形状に設けられ、位置決め穴192への係合が誘い込まれる。なお、回転基盤151の位置決めピン191にスレーブ媒体102の中心孔を挿通することによって、スレーブ媒体102の位置決めを行うようにしてもよい。
【0227】
本実施形態によれば、加圧動作時には、回転基盤151の中心位置決めピン191がマスター担体103の位置決め穴192に挿入され、回転基盤151すなわちスレーブ媒体102とマスター担体103との位置決めが行われる。これにより、図22と同様に、押圧基盤141とマスター担体103との精密な位置決めが不要となり、組付精度の簡略化が図れる。さらに、位置決めピン191によってスレーブ媒体102の位置決めを行うとさらに簡略化が図れる。
【0228】
なお、前記各実施の形態とは逆に、回転基盤151にマスター担体103を、押圧基盤141にスレーブ媒体102を保持するようにしてもよい。これらの基盤151,141に対するスレーブ媒体102およびマスター担体103の固定は、エア吸引による吸着固定などにより行われ、そのための吸引通路が形成される。また、マスター担体103は転写パターン以外の部分に小孔を開口してスレーブ媒体102との密着部分のエアを吸引し、密着表面間にエアが残留しないようにするのが好ましい。
【0229】
また、前記各実施の形態のように、スレーブ媒体102の片面にマスター担体103を密着させて片面逐次転写を行う場合と、スレーブ媒体102の両面にそれぞれマスター担体103を密着させて両面同時転写を行う場合とがある。片面逐次転写の場合は、回転基盤151にスレーブ媒体102(またはマスター担体103)を、押圧基盤141にマスター担体103(またはスレーブ媒体102)を保持して密着させて転写用磁界を印加する。片面転写後に、スレーブ媒体102の反対面を反対面用のパターンを有するマスター担体103に密着させて転写用磁界を印加する。また、両面同時転写の場合は、回転基盤151に第1のマスター担体103を、押圧基盤141に第2のマスター担体103をそれぞれ保持し、両マスター担体103,103間にスレーブ媒体102を挟持して両面に密着させて転写用磁界を印加する。
【0230】
本発明における磁気転写は、基本的に、スレーブ媒体102に初期磁界をトラック方向の一方向に印加して予め初期磁化(直流消磁)を行う。その後、このスレーブ媒体102のスレーブ面(磁気記録面)とマスター担体103の基板の微細凹凸パターンに磁性層が被覆されてなる情報担持面とを密着させ、スレーブ媒体102のトラック方向に前記初期磁界とは逆方向に転写用磁界を印加して磁気転写を行う。その結果、スレーブ媒体102のスレーブ面(トラック)にはマスター担体103の情報担持面の磁性層の密着凸部と凹部空間との形成パターンに応じた磁化パターンを転写記録する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一つの実施の形態にかかる磁気転写装置の概略図
【図2】 他の実施形態における密着装置部分の概略図
【図3】 本発明の別の実施の形態による磁気転写装置の転写状態を示す要部斜視図
【図4】 密着装置の断面図
【図5】 本発明のさらに別の実施の形態にかかる磁気転写装置の転写状態を示す要部斜視図
【図6】 密着装置の分解斜視図
【図7】 本発明のさらに別の実施形態の弾性押圧部材およびマスター担体の平面図
【図8】 本発明のさらに別の実施の形態に係る磁気転写装置の転写状態を示す要部斜視図
【図9】 図8のホルダの分解斜視図
【図10】 中心位置の偏心量を示す説明図
【図11】 本発明のさらに別の実施の形態による磁気転写装置の転写状態を示す要部斜視図
【図12】 密着状態における磁気転写装置の要部断面図
【図13】 マスター担体の位置調整を行う測定顕微鏡の概略機構図
【図14】 マスター担体の位置調整前の状態を示す概略平面図
【図15】 マスター担体の位置調整後の状態を示す概略平面図
【図16】 密着前状態における磁気転写装置の要部断面図
【図17】 他の形態のマスター担体を示す平面図
【図18】 他の実施の形態による磁気転写装置の密着前状態における要部断面図
【図19】 本発明のさらに別の実施の形態による磁気転写方法を実施する磁気転写装置の概略断面図
【図20】 図19における加圧本体の平面図
【図21】 他の実施の形態による押圧力伝達機構を有する磁気転写装置の要部断面図
【図22】 他の実施の形態の位置決め機構を有する回転基盤および押圧基盤を示す図
【図23】 図22におけるマスター担体の平面図
【図24】 さらに他の実施の形態の位置決め機構を有する回転基盤および押圧基盤を示す図
【符号の説明−3】
1,20,40,60,70,100 磁気転写装置
2,22,42,62,72,102 スレーブ媒体
3,23,43,63,64,73,103 マスター担体
5,25,45 密着装置
6 搬送台
7,8 クリーニング手段
11 マスター固定台座
12 押え部材
13 テーブル
14,152 回転軸
15 保持部
24 弾性材
26 押圧手段
27 減圧手段
28,47,65,106 磁界印加装置
31 下側チャンバー
32 上側チャンバー
33 シール材
43b 情報担持面
44 弾性押圧部材
44a 押圧面
46 加圧装置
48,49 圧接部材
50 内リング部
51 外リング部
52 放射部
53 凹部
61 ホルダ
62a,63a,64a 中心穴
65 磁界印加装置
68 下ホルダ
68b 中心ピン
69 上ホルダ
72a 中心孔
75 磁界印加手段
76 第1の基盤
77 第2の基盤
80 測定顕微鏡
83 観察部
84 ステージ
86 パターン
86a 基準点
88 マーク
89 電磁石装置
93 ベース部材
94 スレーブ保持軸
95 マスター保持部材
104 加圧手段
105 回転手段
107〜109 位置決め機構
141 押圧基盤
142 加圧本体
142a 円板部
142c 係止部
143,144 押圧力伝達機構
143a ボールベアリング
144a エア噴出孔
151 回転基盤
171,181,191 位置決めピン
172,182,192 位置決め穴

Claims (1)

  1. 情報信号を担持したマスター担体を位置決め保持するマスター固定台座と、転写を受けるスレーブ媒体を前記マスター担体に密着させる密着装置とを備え、
    前記マスター担体は前記マスター固定台座ごと交換することを特徴とする磁気転写装置。
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