JP3951433B2 - 車両用乗員保護装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、フロントエアバック、サイドエアバックまたはプリテンショナのような乗員保護デバイスを備えてなる車両用乗員保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の車両用乗員保護装置としては、例えば特開平8−198044号公報に記載の装置がある。
すなわち、接近してくる衝突相手車両に対して自車両から超音波や赤外線レーザビームまたは電磁波等の波を発信し、衝突相手車両から反射される反射波を分析して、衝突の過酷度を評価し、この評価結果に基づいて衝撃前にエアバッグを展開すべく構成した車両用乗員保護装置(予測センサを有する側部衝撃用エアバッグシステム)である。
【0003】
この装置によれば、衝突荷重入力を検知して乗員保護デバイスを作動させる従前の装置に対して、衝撃前に評価結果に基づいて乗員保護デバイスを作動させることができるので、乗員保護性能を大幅に向上させることができる利点がある反面、上述の反射波から得られるデータ(例えば接近速度や衝突角度など)には限界がある関係上、高精度な乗員保護デバイスの作動を行なうことが困難な問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、情報享受側の車両において、衝突相手車両からの該相手車両に関する所定データを受信し、受信した所定データに基づいて乗員保護デバイスの作動内容を変更することで、車両間通信を有効利用しつつ自車両(情報享受側の車両から見た自車両)の高精度な乗員保護デバイスの作動を確保することができ、しかも、上述の所定データを車重情報に設定することで、質量から衝突時の衝撃度合を判断することができ、より一層高精度な乗員保護デバイスの作動を確保することができ、また、上述の所定データに基づいて乗員保護デバイスの作動度合を変更することで、検出または推測される衝突エネルギに対応して乗員保護デバイスを適切な度合にて作動させることができ、さらに、上述の所定データに基づいて衝撃度を演算し、衝撃度が所定値以下の時に乗員保護デバイスの作動を禁止することで、この乗員保護デバイスの無駄な作動を阻止することができ、加えて、上述の所定データに基づいて衝突相手車両が自車両に衝突する時刻を演算し、演算された衝突時刻に応じて乗員保護デバイスの作動タイミングを変化させることで、衝突時刻に対応した作動タイミングが得られ、乗員保護性能の大幅な向上を図ることができる車両用乗員保護装置の提供を目的とする。
【0005】
この発明の一実施態様は、情報提供側の車両において、自車両の衝突の可能性を判定する判定部の判定結果に基づいて衝突の可能性が大の時に送信部を介して自車両に関する所定データを情報享受側の車両に送信することで、車両間通信を有効利用しつつ相手車両(情報提供側の車両から見た相手車両)の高精度な乗員保護デバイスの作動を確保することができる車両用乗員保護装置の提供を目的とする。
【0006】
この発明の一実施態様は、上述の所定データを位置情報、車速情報、進行方向情報、ブレーキ操作情報、アクセル操作情報、減速度情報および操舵情報の少なくとも1つに設定することで、受信した所定データに対応して高精度かつ適切な乗員保護デバイスの作動を行なうことができる車両用乗員保護装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両用乗員保護装置は、情報を享受する側の車両において、自車両(情報享受側の車両から見た自車両)の衝突を検出または推測する衝突センサと、上記衝突センサが自車両の衝突を検出または推測した時に乗員保護デバイスを作動させる制御手段と、衝突相手車両からの該相手車両に関する所定データを受信する受信部と、上記受信部で受信した所定データに基づいて制御手段による乗員保護デバイスの作動内容を変更させる変更手段と、上記所定データに基づいて衝撃度を演算する衝撃度演算手段と、上記衝撃度演算手段の演算結果に基づいて衝撃度が所定値以下の時、上記乗員保護デバイスの作動を禁止する禁止手段と、上記所定データに基づいて衝突相手車両が自車両に衝突する衝突時刻を演算する衝突時刻演算手段と、を備え、上記所定データが車重情報に設定され、上記変更手段は、所定データに基づいて乗員保護デバイスの作動度合を変更すると共に、上記衝突時刻演算手段で演算された衝突時刻に応じて乗員保護デバイスの作動タイミングを変化させるものである。
【0008】
この発明の一実施態様は、情報を提供する側の車両において、自車両に関する所定データを情報享受側の車両に送信する送信部と、自車両(情報提供側の車両から見た自車両)の衝突の可能性を判定する判定部と、上記判定部の判定結果に基づいて衝突の可能性が大の時に上記送信部を介して自車両に関する所定データを送信制御する制御部とを備えたものである。
【0009】
この発明の一実施態様は、上記所定データが位置情報、車速情報、進行方向情報、ブレーキ操作情報、アクセル操作情報、減速度情報および操舵情報の少なくとも1つに設定されたものである。
【0010】
【発明の作用及び効果】
この発明によれば、情報享受側の車両において、上述の衝突センサは自車両(情報享受側の車両から見た自車両)の衝突を検出または推測し、上述の制御手段は衝突センサが自車両の衝突を検出または推測した時に乗員保護デバイスを作動させ、上述の受信部は衝突相手車両(情報享受側の車両から見た相手車両)からの該相手車両に関する所定データを受信するが、上述の変更手段は受信部で受信した所定データに基づいて制御手段による乗員保護デバイスの作動内容を変更させる。
このように受信した所定データに応じて乗員保護デバイスの作動内容を変更させるので、車両間通信を有効利用しつつ、自車両の高精度な乗員保護デバイスの作動を確保することができる効果がある。
【0011】
しかも、上述の所定データを車重情報に設定したので、車重(荷物等の積載重量や搭乗人員重量を含むが少なくとも車体の重量)つまり質量から衝突時の衝撃度合を判断することができ、この結果、より一層高精度な乗員保護デバイスの作動を確保することができる効果がある。
【0012】
また、上述の変更手段は所定データに基づいて乗員保護デバイスの作動度合を変更する。このため、衝突センサで検出または推測される衝突時(衝突を検出または推測した時)に衝突エネルギに対応して乗員保護デバイスを適切な作動度合にて作動させることができる効果がある。
【0013】
さらに、上述の衝撃度演算手段は所定データに基づいて衝撃度を演算し、上述の禁止手段は衝撃度演算手段の演算結果に基づいて衝撃度が所定値以下の時に乗員保護デバイスの作動を禁止する。
このため、乗員保護デバイスを作動させる必要がない軽突時のような軽衝撃度の際には、乗員保護デバイスの無駄な作動を阻止することができる効果がある。
【0014】
加えて、上述の衝突時刻演算手段は所定データに基づいて衝突相手車両が自車両に衝突する衝突時刻を演算し、上述の変更手段は演算された衝突時刻に応じて乗員保護デバイスの作動タイミングを変化させる。
この結果、演算された衝突時刻に対応した適切な作動タイミングが得られ、乗員保護性能の大幅な向上を図ることができる効果がある。
【0015】
この発明の一実施態様によれば、上述の送信部は自車両(情報提供側の車両から見た自車両)に関する所定データを情報享受側の車両に送信し、上述の判定部は自車両の衝突の可能性を判定するが、上述の制御部は判定部の判定結果に基づいて衝突の可能性が大の時に送信部を介して自車両に関する所定データを送信制御する。
このため、車両間通信を有効利用しつつ、相手車両(情報提供側の車両から見た相手車両)の高制度な乗員保護デバイスの作動を確保することができる効果がある。
【0016】
この発明の一実施態様によれば、上述の所定データを位置情報、車速情報、進行方向情報、ブレーキ操作情報、アクセル操作情報、減速度情報および操舵情報の少なくとも1つの設定したので、受信部が受信した所定データに応じて高精度かつ適切な乗員保護デバイスの作動を行なうことができる効果がある。
【0017】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両用乗員保護装置を示し、この車両用乗員保護装置は図1に示す情報を提供する側の車両B(以下、情報提供側の車両Bと略記する)と、情報を享受する側の車両A(以下、情報享受側の車両Aと略記する)との間の車両間通信を有効利用して、フロントエアバッグ、サイドエアバッグ、プリテンショナなどの乗員保護デバイスを制御するものである。
【0018】
まず、情報提供側(車両B側)の構成について述べると、図2は情報提供側の車両Bにおける乗員保護装置の制御回路ブロック図を示し、CPU20は、車重情報入力部1、ナビゲーション装置2、GPSセンサ3、車速センサ4、地磁気センサ5、ブレーキセンサ6、スロットルセンサ7、舵角センサ8、Gセンサ9、近接センサ10(超音波を用いて相手車両Aが急接近してくることを検出し、衝突を予測するセンサ)からの必要な各種信号入力に基づいて、ROM11に格納されたプログラムに従って、送信部12、受信部13、乗員保護デバイス14を駆動制御し、またはRAM15(記憶手段)は入力された車重情報などのデータやマップを記憶する。
【0019】
上述の車重情報入力部1は例えばテンキー等により構成され、荷物等の積載重量、乗員人数などを含む車体重量を予め手動入力するためのものである。
上述のナビゲーション装置2は現在地表示機能、自動ルート計算機能を有する一方、地図情報を格納したCD−ROMを有し、このCD−ROMから車両Bの現時点における位置情報をCPU20に入力することができる。
【0020】
上述のGPSセンサ3はGPS人工衛星からの電波を受信して、自車つまり車両Bの絶対位置を測位する。
上述の車速センサ4は車両Bの走行速度を検出(加速度および減速度の検出を含む)する。また上述の地磁気センサ5は車両Bの進行方向つまり方位を検出し、この地磁気センサ5と上述の車速センサ4とで現在位置を推測する自立推測航法手段が構成される。
【0021】
またブレーキセンサ6はブレーキング(制動)を検出して、ブレーキ操作情報、減速度情報をCPU20に出力する。スロットルセンサ7はスロットル開度TVOを検出して、アクセル操作情報や加減速度情報をCPU20に出力する。舵角センサ8は操舵角を検出して、操舵情報をCPU20に出力する。
【0022】
さらにGセンサ9は加速度(または減速度)を検知して、衝突を検出し、近接センサ10は超音波を用いて相手車両Aが急接近してくることを検出して、衝突を予測(推測)する。一方、上述の送信部12は相手車両Aに対して自車両Bに関する所定データdを送信する。
【0023】
ここで、上述のCPU20は、Gセンサ9または近接センサ10からの信号に基づいて自車両Bの衝突の可能性有無を判定する判定部(図5に示すフローチャートの第2ステップS2参照)と、
この判定部の判定結果に基づいて衝突の可能性が大の時に、上述の送信部12を介して自車両Bに関する所定データdを相手車両Aに送信制御する制御部(図5に示すフローチャートの第3ステップS3参照)と、
を兼ねる。
つぎに図3、図4を参照して情報享受側(車両A側)の構成について述べる。
【0024】
図3に示す情報享受側の車両Aはドライバーズシート16、パッセンジャーズシート17、リヤシート18を有し、ドライバーズシート16と対向するステアリングホイール19には運転席側フロントエアバッグ21を内設し、パッセンジャーズシート17と対向するインストルメントパネル22には助手席側フロントエアバッグ23を内設している。
【0025】
またドライバーズシート16のシートバックにおけるボディ外板側には側突時の衝撃を緩和する運転席側サイドエアバッグ24を内設し、パッセンジャーズシート17のシートバックにおけるボディ外板側には側突時の衝撃を緩和する助手席側サイドエアバッグ25を内設している。
【0026】
さらにドライバーズシート16の後部近傍位置には運転席側プリテンショナ26を設け、パッセンジャーズシート17の後部近傍位置には助手席側プリテンショナ27を設けて、必要時にプリテンショナ26,27を作動させてシートベルト(図示せず)の弛みをとって、乗員の体勢を正規の位置に規制するように構成している。
【0027】
上述の各エアバッグ21,23,24,25およびプリテンショナ26,27は乗員保護デバイス(乗員保護手段)であって、各エアバッグ21,23,24,25は衝突が検知または予測された時、イグナイタに引火し、インフレータに内蔵させた化学物質に着火して、この化学物質から発生するガスをフィルタを通過させてエアバッグ(空気袋)内に入れて、エアバッグを図3に仮想線で示すように展開させることで、衝突時の荷重を緩和するものである。
【0028】
図4は図3で示した情報享受側の車両Aにおける乗員保護装置の制御回路ブロック図を示し、CPU30は受信部28、送信部29、Gセンサ31、近接センサ32(超音波を用いて相手車両Bが急接近してくることを検出し、衝突を予測するセンサ)、自車位置検出手段36からの必要な各種信号入力に基づいて、ROM33に格納されたプログラムに従って、フロントエアバッグ21,23、サイドエアバッグ24,25、プリテンショナ26,27を駆動制御し、またRAM34(記憶手段)は乗員保護デバイスを作動させるか否かを判定する衝撃度の
所定値データなどの必要なデータやマップを記憶する。
上述の受信部28は衝突相手車両Bの送信部12(図2参照)から送信される該相手車両Bに関する所定データdを受信する受信手段である。
【0029】
また、Gセンサ31は加速度(または減速度)を検出して、衝突の有無を検知する。近接センサ32は超音波を用いて相手車両Bが急接近してくることを検出して、衝突を予測(予知)する。CPU30に内部構成された演算部35は受信部28が受信した所定データdに基づいて衝撃度、並びに衝突相手車両Bが自車両Aに衝突する衝突時刻を演算する。
【0030】
さらに、上述の自車位置検出手段36はCD−ROM(地図情報)をもったナビゲーション装置、GPSセンサ、車速センサ、地磁気センサ等の必要な要素から構成されて、自車両Aの位置を検出する。
【0031】
しかも、上述のCPU30は、衝突センサ(Gセンサ31、近接センサ32参照)が自車両Aの衝突を検出または推測した時に乗員保護デバイス(エアバッグ21,23,24,25、プリテンショナ26,27参照)を作動させる制御手段(CPU30それ自体参照)と、
受信部28で受信した所定データdに基づいて制御手段(CPU30)による乗員保護デバイスの作動内容を変更させる変更手段(図6に示すフローチャートの第7ステップQ7参照)と、
受信部28で受信した所定データdに基づいて衝撃度を演算する衝撃度演算手段(図6に示すフローチャートの第3ステップQ3参照)と、
この衝撃度演算手段の演算結果に基づいて衝撃度が所定値以下の時、乗員保護デバイスの作動を禁止する禁止手段(図6に示すフローチャートの第8ステップQ8参照)と、
受信部28で受信した所定データdに基づいて衝突相手車両Bが自車両Aに衝突する衝突時刻を演算する衝突時刻演算手段(図6に示すフローチャートの第6ステップQ6参照)と、
を兼ねる。
【0032】
さらに上述の変更手段(第7ステップQ7参照)は所定データdに基づいて乗員保護デバイスの作動度合を変更すると共に、衝突時刻演算手段(第6ステップQ6参照)で演算された衝突時刻に応じて乗員保護デバイスの作動タイミングを変化させるように構成している。
【0033】
また、この実施例では上述のCPU30は、衝撃度演算手段(第3ステップQ3参照)で演算された衝撃度と、乗員保護デバイスを作動させるべき所定値とを比較する作動可否判定手段(図6に示すフローチャートの第4ステップQ4参照)と、
上述の衝撃度に基づいて乗員保護デバイスの作動度合(エアバッグの場合にはインフレータの作動量に相当)を演算する作動度合演算手段(図6に示すフローチャートの第5ステップQ5参照)と、
を兼ねるものである。
【0034】
このように構成した車両用乗員保護装置(車両間通信による乗員保護システム)の作用を、図5および図6に示すフローチャートを参照して、以下に詳述する。
【0035】
まず、図5に示すフローチャートを参照して、情報提供側の車両Bにおける所定データ送信処理について説明する。
【0036】
第1ステップS1で、CPU20(図2参照)は所定データdを収集する。すなわち、ナビゲーション装置2のCD−ROM、GPSセンサ3または車速センサ4および地磁気センサ5からなる自立推測航法手段から位置情報を得る。車速センサ4から車速情報を得る。地磁気センサ5から進行方向情報を得る。予め車重情報入力部1を用いてRAM15の所定エリアに記憶されたデータから車重情報を得る。ブレーキセンサ6からブレーキ操作情報を得る。スロットルセンサ7からアクセル操作情報を得る。車速センサ4、ブレーキセンサ6またはスロットルセンサ7から減速度情報を得る。舵角センサ8から操舵情報を得る。そして、これらの各情報から所定データdを形成する。
【0037】
次に第2ステップS2で、CPU20はGセンサ9または近接センサ10からの信号に基づいて自車両Bが相手車両Aと衝突する可能性が大か否かを判定し、NO判定時には第1ステップS1にリターンする一方、YES判定時(衝突可能性大の時)には次の第3ステップS3に移行する。
この第3ステップS3で、CPU20は送信部12を駆動して、先の第1ステップS1で収集した所定データdを相手車両Aへ無線手段にて送信(データ通信)する。
【0038】
つぎに図6に示すフローチャートを参照して、情報享受側の車両Aにおける乗員保護デバイスの作動制御処理について説明する。
第1ステップQ1で、図4に示すCPU30は受信部28を駆動して、衝突相手車両Bの送信部12から送信されてくる所定データdを受信すると共に、自車位置検出手段36から自車両Aの位置a(図7参照)の読込みを実行する。
【0039】
次に第2ステップQ2で、CPU30はGセンサ31または近接センサ32からの信号に基づいて、衝突検知または衝突推測か否かを判定し、NO判定時には待機する一方、YES判定時には次の第3ステップQ3に移行する。
この第3ステップQ3で、CPU30は内部構成された演算部35(CPU内蔵の演算部)を駆動し、上述の所定データdに基づいて衝突相手車両Bの自車両Aに対する衝撃度を演算する。
【0040】
次に第4ステップQ4で、CPU30は演算された衝撃度と所定値とを比較して、衝撃度が所定値よりも小さい時(YES判定時)には第8ステップQ8に移行する一方、衝撃度が所定値よりも大きい時(NO判定時)には次の第5ステップQ5に移行する。
この第5ステップQ5で、CPU30は衝撃度に基づいて乗員保護デバイス(つまりフロントエアバッグ21,23、サイドエアバッグ24,25、プリテンショナ26,27)の作動度合を演算する。この作動度合はエアバッグ21,23,24,25の場合にはインフレータ作動量に相当する。
ここで、上述の作動度合は次の[数1]で求めることができる。
【0041】
【数1】
また上述の作動度合は受信した所定データd中にブレーキ操作情報もしくは減速度情報がある場合には減少補正される一方、所定データd中にアクセル操作情報がある場合には増大補正される。このような減少または増大補正により作動度合をより一層高精度に求めることができる。
【0042】
次に第6ステップQ6で、CPU30は衝撃度に基づいて乗員保護デバイス(つまりフロントエアバッグ21,23、サイドエアバッグ24,25、プリテンショナ26,27)の作動タイミングを演算する。
この作動タイミングは図7に示すように自車両Aの位置をa、衝突相手車両Bの位置をb、衝突相手車両Bの車速をV、自車両Aの位置aと衝突相手車両Bの位置bとを結ぶ線に対する衝突相手車両Bの進行方向の成す角度をθとするとき、次の[数2]で求めることができる。
【0043】
【数2】
また、上述の作動タイミングは受信した所定データd中にブレーキ操作情報もしくは減速度情報がある場合には、遅延補正される一方、所定データd中にアクセル操作情報がある場合には、作動タイミングが早まるように進み補正される。このような遅れ補正または進み補正により作動タイミングをより一層高精度に求めることができる。
【0044】
次に第7ステップQ7で、CPU30は必要な乗員保護デバイスを前述の各ステップQ5,Q6で求められた作動度合、作動タイミングにて作動させる。ここで、作動時刻は上述の[数2]で求められた作動タイミングの経過時点に設定される。
【0045】
一方、衝撃度が所定値よりも小さい場合には、前述の第4ステップQ4でYES判定されて、第8ステップQ8に移行し、この第8ステップQ8で、CPU30は乗員保護デバイスの作動を禁止して、この乗員保護デバイスの無駄な作動を阻止した後に、一連の処理を終了する。
【0046】
このように上記実施例の車両用乗員保護装置によれば、情報提供側の車両Bにおいて、上述の送信部12は自車両B(情報提供側の車両Bから見た自車両)に関する所定データdを送信し、上述の判定部(図5の第2ステップS2参照)は自車両Bの衝突の可能性を判定するが、上述の制御部(図5の第3ステップS3参照)は判定部(第2ステップS2参照)の判定結果に基づいて衝突の可能性が大の時に送信部12を介して自車両Bに関する所定データdを相手車両Aに送信制御する。
このため、車両間通信を有効利用しつつ、相手車両Aの高精度な乗員保護デバイス(エアバッグ21,23,24,25、プリテンショナ26,27参照)の作動を確保することができる効果がある。
【0047】
また、情報享受側の車両Aにおいて、上述の衝突センサ(Gセンサ31、近接センサ32参照)は自車両A(情報享受側の車両Aから見た自車両)の衝突を検出または推測し、上述の制御手段(CPU30参照)は衝突センサが自車両Aの衝突を検出または推測した時に乗員保護デバイス(エアバッグ21,23,24,25、プリテンショナ26,27参照)を作動させ、上述の受信部28は衝突相手車両Bからの該相手車両Bに関する所定データdを受信するが、上述の変更手段(図6の第7ステップQ7参照)は受信部28で受信した所定データdに基づいて制御手段(CPU30参照)による乗員保護デバイスの作動内容を変更させる。
このように受信した所定データdに応じて乗員保護デバイスの作動内容を変更させるので、車両間通信を有効利用しつつ、自車両Aの高精度な乗員保護デバイスの作動を確保することができる効果がある。
【0048】
さらに、上述の所定データdを車重情報に設定したので、車重(荷物等の積載重量や含む車体重量)つまり質量から衝突時の衝撃度合を判断することができ、この結果、より一層高精度な乗員保護デバイスの作動を確保することができる効果がある。
【0049】
さらにまた、上述の所定データdを位置情報、車速情報、進行方向情報、ブレーキ操作情報、アクセル操作情報、減速度情報および操舵情報の少なくとも1つに設定(図5の第1ステップS1参照)したので、情報享受側の車両Aにおける受信部28が受信した所定データdに応じて高精度かつ適切な乗員保護デバイスの作動を行なうことができる効果がある。
【0050】
しかも、上述の変更手段(図6の第7ステップQ7参照)は所定データdに基づいて乗員保護デバイスの作動度合を変更する。このため、衝突センサ(Gセンサ31、近接センサ32参照)で検出または推測される衝突時(衝突を検出または推測した時)に衝突エネルギに対応して乗員保護デバイスを適切な作動度合にて作動させることができる効果がある。
【0051】
また、上述の衝撃度演算手段(図6の第3ステップQ3参照)は所定データdに基づいて衝撃度を演算し、上述の禁止手段(同図の第8ステップQ8参照)は衝撃度演算手段の演算結果に基づいて衝撃度が所定値以下の時(第4ステップQ4でのYES判定時)に乗員保護デバイスの作動を禁止する。
このため、乗員保護デバイス(エアバッグ21,23,24,25、プリテンショナ26,27参照)を作動させる必要がない軽衝撃度の際には、乗員保護デバイスの無駄な作動を阻止することができる効果がある。
【0052】
さらに、上述の衝突時刻演算手段(図6の第6ステップQ6参照)は所定データdに基づいて衝突相手車両Bが自車両Aに衝突する衝突時刻を演算し、上述の変更手段(同図の第7ステップQ7参照)は演算された衝突時刻に応じて乗員保護デバイスの作動タイミングを変化させる。
この結果、演算された衝突時刻(図6に示すフローチャート中の作動タイミング参照)に対応した適切な作動タイミングが得られ、乗員保護性能の大幅な向上を図ることができる効果がある。
【0053】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の判定部は、実施例のCPU20制御による第2ステップS2(図5参照)に対応し、
以下同様に、
制御部は、第3ステップS3(図5参照)に対応し、
衝突センサは、Gセンサ31または近接センサ32に対応し、
乗員保護デバイスは、フロントエアバッグ21,23、サイドエアバッグ24,25、プリテンショナ26,27に対応し、
制御手段は、CPU30に対応し、
変更手段は、CPU30制御による第7ステップQ7(図6参照)に対応し、
衝撃度演算手段は、第3ステップQ3(図6参照)に対応し、
禁止手段は、第8ステップQ8(図6参照)に対応し、
衝突時刻演算手段は、第6ステップQ6(図6参照)に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車両用乗員保護装置を備えた情報提供側および情報享受側の車両の説明図。
【図2】 情報提供側の制御回路ブロック図。
【図3】 情報享受側車両の乗員保護デバイスの配置レイアウトを示す平面図。
【図4】 情報享受側の制御回路ブロック図。
【図5】 情報提供側の所定データ送信処理を示すフローチャート。
【図6】 情報享受側の乗員保護デバイス作動制御処理を示すフローチャート。
【図7】 作動タイミング演算時の説明図。
【符号の説明】
12…送信部
21,23…フロントエアバッグ(乗員保護デバイス)
24,25…サイドエアバッグ(乗員保護デバイス)
26,27…プリテンショナ(乗員保護デバイス)
28…受信部
30…制御手段
31…Gセンサ(衝突センサ)
32…近接センサ(衝突センサ)
A…情報享受側の車両
B…情報提供側の車両
S2…判定部
S3…制御部
Q3…衝撃度演算手段
Q6…衝突時刻演算手段
Q7…変更手段
Q8…禁止手段
d…所定データ
Claims (3)
- 情報を享受する側の車両において、
自車両の衝突を検出または推測する衝突センサと、
上記衝突センサが自車両の衝突を検出または推測した時に乗員保護デバイスを作動させる制御手段と、
衝突相手車両からの該相手車両に関する所定データを受信する受信部と、
上記受信部で受信した所定データに基づいて制御手段による乗員保護デバイスの作動内容を変更させる変更手段と、
上記所定データに基づいて衝撃度を演算する衝撃度演算手段と、
上記衝撃度演算手段の演算結果に基づいて衝撃度が所定値以下の時、上記乗員保護デバイスの作動を禁止する禁止手段と、
上記所定データに基づいて衝突相手車両が自車両に衝突する衝突時刻を演算する衝突時刻演算手段と、を備え、
上記所定データが車重情報に設定され、
上記変更手段は、所定データに基づいて乗員保護デバイスの作動度合を変更すると共に、上記衝突時刻演算手段で演算された衝突時刻に応じて乗員保護デバイスの作動タイミングを変化させる
車両用乗員保護装置。 - 情報を提供する側の車両において、
自車両に関する所定データを情報享受側の車両に送信する送信部と、
自車両の衝突の可能性を判定する判定部と、
上記判定部の判定結果に基づいて衝突の可能性が大の時に上記送信部を介して自車両に関する所定データを送信制御する制御部とを備えた
請求項1記載の車両用乗員保護装置。 - 上記所定データが位置情報、車速情報、進行方向情報、ブレーキ操作情報、アクセル操作情報、減速度情報および操舵情報の少なくとも1つに設定された
請求項1または2記載の車両用乗員保護装置。
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