JP3950931B2 - コレステリック液晶性ポリエステル組成物 - Google Patents

コレステリック液晶性ポリエステル組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なコレステリック液晶性ポリエステル組成物および該組成物からなる複屈折率が高く、広いコレステリック選択反射波長スペクトルの帯域幅を有し、オプトエレクトロニクスの分野への応用に好適な新規な光学フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶は、その種類によって特有の分子配向の秩序を有することが知られている。そのために液晶は、該分子配向を利用し、または制御することによって様々な分野に応用され、工業的に大きな分野を形成している。
低分子液晶については、周知のごとく、時計、電卓あるいはテレビなどの表示素子としてネマチックタイプのものが広く使用されている。またディスプレイの分野においては、確固たる地位を築いている。以上の如く低分子液晶においては、その電気光学効果に基づく応用が用途の大半を占めている。
【0003】
一方、高分子液晶は、その力学的特性もさることながら、ネマチック、スメクチックおよびコレステリックのそれぞれの液晶のタイプに応じて、低分子液晶と同様な電気光学効果あるいは熱光学効果を示すことがよく知られている。高分子液晶は、電場・熱などの外力に対する応答が低分子液晶に比べて遅いため、低分子液晶と同じ用途に用いることはできない。しかしながら高分子液晶は、それぞれの液晶のタイプに特有の配向構造を固定化することができるという大きな特徴を有する。液晶の種類に応じて、該液晶に特有の配向構造が固定化された高分子液晶は、表示材料、記録材料として利用されている。また高分子液晶は、光学材料に有利なフィルム化・薄膜化が容易であり、フィルム化・薄膜化された高分子液晶は様々な分野に応用可能である。
【0004】
各種液晶のうち、コレステリック液晶には、その螺旋ピッチに応じた波長領域の円偏光を選択的に反射する性質がある。コレステリック液晶性を示す高分子液晶をフィルム化・薄膜化すると分子は、通常フィルム面に平行に配向し、コレステリック層もフィルム面に平行となる。このフィルム面にある角度で光が入射すると、コレステリックピッチに応じて、ある特定波長の円偏光のみが選択的に反射される。すなわちコレステリック液晶性の高分子液晶を固定化して得られるフィルム・薄膜は、本質的に選択反射フィルターとなる。選択反射の中心波長(λs )はコレステリック液晶の螺旋ピッチ(P:360°ねじれた時の膜厚)と平均屈折率(N)によって規定されるが、その選択反射帯域幅(Δλ)はコレステリック液晶の複屈折率(Δn)に依存する。
【0005】
【数1】
Figure 0003950931
【0006】
液晶の複屈折率Δnの値は、通常0.1〜0.3程度であり、590nmにおける選択反射帯域幅Δλは、通常30〜100nm(N=1.7と仮定)となる。これを大きく上回る値を得るためには、特異な分子構造によってΔnを高める必要がある。Δnは、分子の分極率と配向秩序パラメーターに依存することから、光学的に異方性を生じさせる分極率の高い分子や、電子密度の高い共役系分子であるベンゼン環、多環芳香族、エチレン−アセチレン連鎖基、末端シアノ基などをもつ化合物によって向上することが知られている。このような低分子液晶は、M.Hirdらによって報告されている(M.Hird et.al,Liquid Crystals,1993,15,123)。しかしながら高分子液晶においては、このようなΔnが高く、広い選択反射帯域幅を有するものについては知られていない状況にあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、新たなコレステリック液晶性ポリエステル組成物を見出し、さらに該組成物が溶融時に液晶相を示し、かつ液晶転移温度以下に冷却することにより該液晶相を固定化可能な特徴を有することも見出すことにより上記課題を解決するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、主鎖型液晶性ポリエステルにおいて、主鎖方向に共役系の延びた分極率の高い特定のモノマー単位、およびカテコール単位を有する液晶性ポリエステルおよび光学活性な液晶性ポリエステルとの組成物を開発し、該組成物を用いることにより、高い複屈折率と広い選択反射帯域幅を示す新たな光学フィルムを発明するに至った。
【0009】
すなわち本発明の第1は、
下記I成分の液晶性ポリエステル 50〜99.5重量%、および
下記II成分の光学活性な液晶性ポリエステル 0.5〜50重量%
より成ることを特徴とするコレステリック液晶性ポリエステル組成物。
〔I成分〕
下記構造単位(A)、(B)、(C)並びに任意に(D)および/または(E)から構成された、フェノール/テトラクロロエタン(重量比60/40)混合溶媒中、濃度0.5g/dl、温度30℃で測定した対数粘度が0.05〜1.0である液晶性ポリエステル
【0010】
【化8】
Figure 0003950931
【0011】
【化9】
Figure 0003950931
【0012】
【化10】
Figure 0003950931
【0013】
【化11】
Figure 0003950931
【0014】
【化12】
Figure 0003950931
【0015】
〔II成分〕
下記構造単位(F)及び(G)より構成され、フェノール/テトラクロロエタン(重量比60/40)混合溶媒中、濃度0.5g/dl、温度30℃で測定した対数粘度が0.05〜1.0である光学活性な液晶性ポリエステル
【0016】
【化13】
Figure 0003950931
【0017】
【化14】
Figure 0003950931
である。
【0018】
また本発明の第2は、溶融時に液晶相を呈し、かつ液晶転移温度以下に冷却することにより該液晶相におけるコレステリック配向を固定化することが可能であることを特徴とするコレステリック液晶性ポリエステル組成物である。
また本発明の第3は、コレステリック液晶性ポリエステル組成物から形成されることを特徴とする光学フィルムである。
【0019】
ここで本発明の第2でいう液晶転移温度以下に冷却することにより液晶相の固定化が可能であるという意味は液晶状態にある当該コレステリック液晶性ポリエステル組成物を任意の冷却速度にて冷却した際、結晶相への相転移が実質的に発生せず、かつ液晶転移温度(ガラス転移温度)以下においては液晶状態における分子配向状態がそのまま保持されうるということである。上記において実質的に結晶相への相転移が発生しないとは、少なくとも光学的測定手法では結晶相の存在が認められないということを意味する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルを構成する各成分について説明する。
I成分の液晶性ポリエステルは、構造単位(A)、(B)、(C)を必須構造単位とし、必要に応じて(D)および/または(E)の単位を有するポリエステルである。
【0021】
構造単位(A)は、高い複屈折率を発現するための必須成分であり、4’−ヒドロキシ−4−スチルベンカルボン酸(含アルコキシ置換体)または該カルボン酸の機能性誘導体から誘導される単位である。ここで該カルボン酸のアルコキシ置換体とは、4’−ヒドロキシ−2’−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−3’−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−2’,3’−ジメトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−2’,5’−ジメトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−2’,6’−ジメトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−2’−エトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−3’−エトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−2’,3’−ジエトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−2’,5’−ジエトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−2’,6’−ジエトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−2’−メトキシ−5’−エトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−2’−メトキシ−6’−エトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−3’−メトキシ−2’−エトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−3’−メトキシ−5’−エトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4’−ヒドロキシ−2’−メトキシ−6’−エトキシ−4−スチルベンカルボン酸などである。
【0022】
構造単位(A)においては、該単位以外のヒドロキシカルボン酸成分、具体的には構造単位(E)として4−(4’−ヒドロキシフェニル)安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸またはそれぞれの機能性誘導体(例えばアセトキシ化合物、メチルエステル等のアルキルエステル)から誘導される単位を必要に応じて含むことができる。構造単位(A)は、液晶性ポリエステル中、通常20〜80モル%、好ましくは25〜75モル%、さらに好ましくは30〜70モル%の割合で存在する。また構造単位(E)を含む場合、構造単位(A)、(E)の組成比(モル比)は、(A)/(E)として通常1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1の範囲で決定されるが、当該ポリエステル中に構造単位(A)を少なくとも20モル%以上含むことが本発明では望ましい。
【0023】
構造単位(B)は、液晶性を発現するためのメソーゲンとしての役割を果たす成分であり、具体的には4,4’−スチルベンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、テレフタル酸、ブロモテレフタル酸またはこれらジカルボン酸の機能性誘導体(例えばジメチルエステル等のジアルキルエステルやジクロリドのような酸クロリド)から誘導される単位である。構造単位(B)は液晶性ポリエステル中に、通常10〜40モル%、好ましくは15〜35モル%、さらに好ましくは20〜35モル%の割合で存在する。
【0024】
次いで構造単位(C)は、冷却下で液晶相を固定化するための役割を果たす成分であり、具体的にはカテコールまたはカテコールの機能性誘導体(例えばジアセトキシ化合物などの誘導体)から誘導される単位である。また該単位以外のジオール成分、具体的には構造単位(D)として4,4’−ジヒドロキシスチルベン、4,4’−ビフェノール、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、メチルヒドロキノンまたはそれぞれの機能性誘導体(例えばジアセトキシ化合物などの誘導体)から誘導される単位を必要に応じて含むことができる。構造単位(C)は、液晶性ポリエステル中、通常10〜40モル%、好ましくは15〜35モル%、さらに好ましくは20〜35モル%の割合で存在する。また構造単位(D)を含む場合、構造単位(C)、(D)の組成比(モル比)は、(C)/(D)として通常1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1の範囲で決定されるが、当該ポリエステル中に構造単位(C)を少なくとも10モル%以上含むことが本発明では望ましい。
【0025】
なお構造単位(B)、(C)また必要に応じ構造単位(D)を含んだ場合における組成比(モル比)は、ポリエステルの製造反応上ジカルボン酸成分とジオール成分とを化学量論量とする必要があるため、(B)/(C)または(B)/{(C)+(D)}として概略1であり、通常45/55〜55/45、好ましくは48/52〜52/48の範囲である。
本発明の液晶性ポリエステルの具体例としては、
【0026】
【化15】
Figure 0003950931
a:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
bまたはc:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
【0027】
【化16】
Figure 0003950931
a:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
bまたはc:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
【0028】
【化17】
Figure 0003950931
a:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
bまたはc:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
【0029】
【化18】
Figure 0003950931
a:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
bまたはc:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
【0030】
【化19】
Figure 0003950931
a:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
【0031】
【化20】
Figure 0003950931
a:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
【0032】
【化21】
Figure 0003950931
a:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
【0033】
【化22】
Figure 0003950931
a:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
【0034】
【化23】
Figure 0003950931
a:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
【0035】
【化24】
Figure 0003950931
a+d:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
ただしa/d(モル比)は、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1
bまたはc:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
【0036】
【化25】
Figure 0003950931
a+d:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
ただしa/d(モル比)は、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1
bまたはc:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
【0037】
【化26】
Figure 0003950931
a+d:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
ただしa/d(モル比)は、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1
bまたはc:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
【0038】
【化27】
Figure 0003950931
a+e:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
ただしa/e(モル比)は、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
【0039】
【化28】
Figure 0003950931
a+e:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
ただしa/e(モル比)は、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
【0040】
【化29】
Figure 0003950931
a+e:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
ただしa/e(モル比)は、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
【0041】
【化30】
Figure 0003950931
a+e:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
ただしa/e(モル比)は、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
【0042】
【化31】
Figure 0003950931
a+e:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
ただしa/e(モル比)は、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
【0043】
【化32】
Figure 0003950931
a+e:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
ただしa/e(モル比)は、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
【0044】
【化33】
Figure 0003950931
a+e:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
ただしa/e(モル比)は、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
【0045】
【化34】
Figure 0003950931
a+e:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
ただしa/e(モル比)は、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
【0046】
【化35】
Figure 0003950931
a+e:20〜80mol%、好ましくは30〜70mol%
ただしa/e(モル比)は、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1
bまたはc+d:10〜40mol%、好ましくは15〜35mol%
ただしc/d(モル比)は、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1
などを挙げることができる。
【0047】
本発明の液晶性ポリエステルは、上記の構造単位に対応するモノマー成分を共重合して得ることができる。重合方法は特に制限されるものではなく、当該分野で公知の重合法、例えば溶融重合法または溶液重合法を適用することにより合成することができる。
溶融重合法によりI成分の液晶性ポリエステルを合成する場合、例えば所定量の4’−アセトキシ−3’−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸(構造単位(A)形成モノマー、4,4−スチルベンジカルボン酸(構造単位(B)形成モノマー)、カテコールジアセテート(構造単位(C)形成モノマー)を高温、常圧下または減圧下で重合させることによって、容易に目的のポリエステルを得ることができる。ここで構造単位(A),(B),(C)並びに必要に応じ(D)および/または(E)を構成するモノマー成分の仕込み比(モル比)としては、前記の構成単位のモル比を満足した上、ジカルボン酸成分とジオール成分が実質上化学量論関係にあればよい。すなわちA/(B+C)、A/(B+C+D)、(A+E)/(B+C)、または(A+E)/(B+C+D)の値として通常20/80〜80/20、好ましくは25/75〜75/25、さらに好ましくは30/70〜70/30の範囲である。またA/Eの値としては、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1の範囲である。またB/CまたはB/(C+D)の値としては概略1であり、通常45/55〜55/45、好ましくは48/52〜52/48の範囲である。さらにC/Dの値としては、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1の範囲である。
【0048】
重合条件は特に限定されないが、通常、温度150〜350℃、好ましくは200〜300℃、反応時間は30分以上、好ましくは1時間〜20時間程度である。また減圧下において重合反応を行うことが望ましい。なお重合反応を促進させるために、1−メチルイミダゾール、4−ジメチルアミノピリジン等のアミン、アルカリ金属塩、Fe、Mn、Ti、Co、Sb、Snなどの金属塩を単独もしくは組み合わせて使用してもよい。
【0049】
またI成分の液晶性ポリエステルの分子量は、重合時間をコントロールすること等により通常の縮合反応同様容易に調整しうる。
【0050】
ここで本発明の液晶性ポリエステルの分子量は、フエノール/テトラクロロエタン混合溶媒(60/40重量比)中、30℃で測定したηinh の値で、通常0.05〜1.0、好ましくは0.07〜0.5、より好ましくは0.1〜0.3である。ηinh の値が0.05より低い場合には、強度が弱くなる恐れがあり、実用上問題となることがある。また1.0より高い場合には、液晶状態における流動性が低下することがあり、均一な配向を得ることが困難となる恐れがある。さらに溶液重合法によりI成分;液晶性ポリエステルを製造する場合は、例えば所定量の4’−ヒドロキシ−3’−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸(構造単位(A)形成モノマー)、4,4’−スチルベンジカルボン酸(構造単位(B)形成モノマー)、カテコール(構造単位(C)形成モノマー)を溶媒に溶解し加熱する。またはピリジン等に溶解し塩化アリールスルホニル/ジメチルホルムアミドもしくはクロロリン酸ジフェニル/ジメチルホルムアミドの存在下に加熱することにより、容易に目的のポリエステルを得ることができる。
【0051】
また溶液重合法により当該液晶性ポリエステルを合成する際における、構造単位(A),(B),(C)並びに必要に応じ(D)および/または(E)を構成するモノマー成分の仕込み比(モル比)は、上記溶融重合法と同様であり、具体的にはA/(B+C)、A/(B+C+D)、(A+E)/(B+C)、または(A+E)/(B+C+D)の値として通常20/80〜80/20、好ましくは25/75〜75/25、さらに好ましくは30/70〜70/30の範囲である。またA/Eの値としては、1/19〜79/1、好ましくは10/20〜69/1の範囲である。またB/CまたはB/(C+D)の値としては概略1であり、通常45/55〜55/45、好ましくは48/52〜52/48の範囲である。さらにC/Dの値としては、1/9〜39/1、好ましくは5/10〜34/1の範囲である。
【0052】
溶液重合する際に用いる溶媒は特に限定されないが、例えばo−ジクロロベンゼン、ジクロロエタン、テトラクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ピリジンなどの極性溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル系溶媒などが挙げられる。溶液重合の際の反応条件は特に限定されないが、通常温度50〜200℃、好ましくは60〜150℃、反応時間は通常1時間以上、好ましくは2時間〜10時間程度である。
【0053】
次いでII成分の光学活性な液晶性ポリエステルについて説明する。該ポリエステルは、構造単位(F)および(G)とから構成される光学活性な液晶性ポリエステルである。
【0054】
構造単位(F)は、液晶性を発現するためのメソーゲンとして必須成分であり、具体的には4,4’−スチルベンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸またはそれぞれの機能性誘導体(例えばジメチルエステル等のジアルキルエステルやジクロリドのような酸クロリド)から形成される単位である。構造単位(F)は、光学活性な液晶性ポリエステル中、通常30〜60モル%、好ましくは30〜50モル%、さらに好ましくは35〜50モル%の割合で含まれる。なお構造単位(F)は、2種以上の異なるものを当該ポリエステル中に含んでもよい。具体的には構造単位(F)形成モノマーとして、例えば4,4’−スチルベンジカルボン酸と4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、またはテレフタル酸とを後述する当該ポリエステルの合成の際に供することにより、構造単位(F)を2種以上含む光学活性な液晶性ポリエステルを得ることができる。
【0055】
また構造単位(G)は、コレステリック液晶相を発現するための必須成分であり、2価の脂肪族基としてはアルキレン基もしくはハロゲン置換アルキレン基が好ましく、具体的には光学活性な2−メチル−1,4−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−クロロ−1,4−ブタンジオール、2−フルオロ−1,4−ブタンジオール、2−ブロモ−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−プロピル−1,4−ブタンジオールまたはそれぞれの機能性誘導体(例えばジアセトキシ化合物などの誘導体)から形成される単位である。上記ジオール類はR体、S体のいずれでもよく、またR体およびS体の混合物であってもよい。ここでR体およびS体の混合物である場合、両者の差が少なくとも1%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上であるべきである。R体、S体の差が1%未満の場合には、コレステリック液晶相を呈しない恐れがあり望ましくない。また構造単位(G)は、光学活性な液晶性ポリエステル中に通常40〜70モル%、好ましくは50〜70モル%、さらに好ましくは50〜65モル%の割合で含む。したがって当該液晶性ポリエステルは、構造単位(G)を構造単位(F)より過剰に含むために該ポリエステルの分子鎖構造としては、両末端に水酸基が残った分子鎖構造を通常形成している。
上記の如き光学活性な液晶性ポリエステルとして具体的には、
【0056】
【化36】
Figure 0003950931
a:30〜60mol%、好ましくは30〜50mol%
b:40〜70mol%、好ましくは50〜70mol%
【0057】
【化37】
Figure 0003950931
a:30〜60mol%、好ましくは30〜50mol%
b:40〜70mol%、好ましくは50〜70mol%
【0058】
【化38】
Figure 0003950931
a:30〜60mol%、好ましくは30〜50mol%
b:40〜70mol%、好ましくは50〜70mol%
【0059】
【化39】
Figure 0003950931
a:30〜60mol%、好ましくは30〜50mol%
b:40〜70mol%、好ましくは50〜70mol%
【0060】
【化40】
Figure 0003950931
a+b:30〜60mol%、好ましくは30〜50mol%
ただしa/b(モル比)は、1/29〜59/1、好ましくは5/25〜49/1
c:40〜70mol%、好ましくは50〜70mol%
【0061】
【化41】
Figure 0003950931
a+b:30〜60mol%、好ましくは30〜50mol%
ただしa/b(モル比)は、1/29〜59/1、好ましくは5/25〜49/1
c:40〜70mol%、好ましくは50〜70mol%
【0062】
【化42】
Figure 0003950931
a+b:30〜60mol%、好ましくは30〜50mol%
ただしa/b(モル比)は、1/29〜59/1、好ましくは5/25〜49/1
c:40〜70mol%、好ましくは50〜70mol%
などを例示することができる。
【0063】
本発明に用いられるII成分の光学活性な液晶性ポリエステルは、上記の構造単位に対応するモノマー成分を共重合して得ることができる。重合方法は特に制限されるものではなく、公知の溶融重合法または溶液重合法を適用することにより製造することができる。
【0064】
溶融重合法により光学活性な液晶性ポリエステルを合成する場合、例えば所定量の4,4’−スチルベンジカルボン酸ジメチル(構造単位(F)形成モノマー)、光学活性な2−メチル−1,4−ブタンジオール(構造単位(G)形成モノマー)を高温、減圧下または高真空下で重合させることによって、容易に目的のポリエステルを得ることができる。ここで構造単位(F)、(G)の仕込み比(モル比)としては、F/Gの値として通常30/70〜60/40、好ましくは30/70〜50/50、さらに好ましくは35/65〜50/50の範囲である。
【0065】
重合条件は特に限定されないが、通常、温度150〜350℃、好ましくは200〜300℃、反応時間は30分以上、好ましくは1時間〜20時間程度である。また減圧下において重合反応を行うことが望ましい。なお重合反応を促進させるために、1−メチルイミダゾール、4−ジメチルアミノピリジン等のアミン、アルカリ金属塩、Fe、Mn、Cd、Mg、Ba、Ti、Zn、Pb、Co、Sb、Snなどの金属塩を単独もしくは組み合わせて使用してもよい。また分解抑制剤としてリン化合物などを添加してもよい。
また光学活性な液晶性ポリエステルの分子量は、重合時間をコントロールすること等により通常の縮合反応同様容易に調整しうる。
【0066】
ここで当該液晶性ポリエステルの分子量は、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(60/40重量比)中、30℃で測定したηinhの値で、通常0.05〜1.0、好ましくは0.07〜0.5、より好ましくは0.1〜0.3である。ηinhの値が0.05より低い場合、前述したI成分の液晶性ポリエステルとの組成物の強度が低くなる恐れがあり、実用上問題である。またηinhの値が1.0より高い場合には、I成分の液晶性ポリエステルとの組成物とした際、該組成物の液晶状態での流動性が低くなる可能性があり、均一な配向を得ることが困難となる恐れがある。
【0067】
さらに溶液重合法により光学活性な液晶性ポリエステルを製造する場合は、例えば所定量の4,4’−スチルベンジカルボン酸ジハライド(構造単位(F)形成モノマー)、光学活性な2−メチル−1,4−ブタンジオール(構造単位(G)形成モノマー)を溶媒に溶解し、ピリジンなどの酸受容体の存在下に加熱することにより、容易に目的のポリエステルを得ることができる。
【0068】
ここで4,4’−スチルベンジカルボン酸ジハライドとしては、4,4’−スチルベンジカルボン酸ジクロリド、4,4’−スチルベンジカルボン酸ジブロミドなどが挙げられる。
【0069】
また溶液重合法により当該液晶性ポリエステルを合成する際における、構造単位(F)および(G)を構成するモノマー成分の仕込み比(モル比)は、上記溶融重合法と同様であり、具体的にはF/Gの値として通常30/70〜60/40、好ましくは30/70〜50/50、さらに好ましくは35/65〜50/50の範囲である。
【0070】
溶液重合する際に用いる溶媒は特に限定されないが、例えばo−ジクロロベンゼン、ジクロロエタン、テトラクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)などの極性溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル系溶媒などが挙げられる。また酸受容体としては、特に限定されないが、例えばピリジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンなどが挙げられる。溶液重合の際の反応条件は特に限定されないが、通常温度50〜200℃、好ましくは60〜150℃、反応時間は通常1時間以上、好ましくは2時間〜10時間程度である。
【0071】
本発明のコレステリック液晶性ポリエステル組成物は、以上説明したI成分の液晶性ポリエステルを50〜99.5重量%、好ましくは60〜90重量%、さらに好ましくは70〜80重量%およびII成分の光学活性な液晶性ポリエステルを0.5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは20〜30重量%とから成る。I成分の液晶性ポリエステルが50重量%未満であると、ガラス転移温度の低下を招く恐れがあり、耐熱性の上で望ましくない。また99.5重量%より多く含む場合、螺旋ピッチが広くなりすぎる恐れがあり、実用的な選択反射を示さない可能性がある。なお本発明のコレステリック液晶性ポリエステル組成物の組成を決定する上で、各ポリエステルの組成によっても変わり得るが、I成分の液晶性ポリエステルが約85重量%以上の場合には、選択反射は赤外領域に移動する。また約65重量%以下の場合には、紫外領域に移動する。これらのことを勘案し、本発明のコレステリック液晶性ポリエステル組成物の組成を決定する。
【0072】
またI成分の液晶性ポリエステルとII成分の光学活性な液晶性ポリエステルとの混合方法は特に制限されるものではない。例えば両者を融点以上に加熱し混合、または適当な溶媒に溶解したのち混合する方法を採用することができる。本発明では、200〜270℃の高温で混合する加熱混合を好ましい混合方法として推奨する。
【0073】
以上のようにして得られるコレステリック液晶性ポリエステル組成物は、液晶状態にある当該コレステリック液晶性ポリエステル組成物を任意の冷却速度にて冷却した際、結晶相への相転移が実質的に発生しない。当該ポリエステル組成物は、液晶状態においてはモノドメインなコレステリック配向性を示し、かつその配向状態を容易に固定化できる。コレステリック配向の安定した固定化を行うためには、液晶の相系列で見た場合、コレステリック相より低温部に結晶相を持たないことが重要である。コレステリック相より低温部に結晶相が存在する場合、固定化のために冷却するときに必然的に結晶相を通過することになり、結果的に一度得られたコレステリック配向が破壊されてしまう。本発明のコレステリック液晶性ポリエステル組成物は、基本的に液晶状態においてモノドメインなコレステリック配向を形成し、液晶転移温度以下ではガラス状態を呈する。したがって当該ポリエステル組成物は、液晶転移温度(ガラス転移温度)以下においては、液晶状態における分子配向状態、具体的にはコレステリック配向状態をそのまま保持しうる特徴を有する。該特徴を利用することにより新たな光学フィルムを製造することができる。
【0074】
当該光学フィルムは、以下に説明する配向基板および各工程を踏むことが本発明においては好ましい。
配向基板としては、具体的にはポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂などのプラスチックフィルム基板、表面にラビング処理が施された上記プラスチックフィルム基板および表面をスリット状にエッチング加工したアルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなどのガラス基板などの面内の異方性を有しているものが好ましく用いられる。
【0075】
本発明の光学フィルムは、上記の如き配向基板上に均一にコレステリック液晶性ポリエステル組成物を塗布し、次いで均一配向過程、配向形態の固定化過程を経て得られる。該ポリエステル組成物の配向基板への塗布は、通常、該組成物を各種溶媒に溶解した溶液状態または該組成物を溶融した溶融状態で行うことができる。製造プロセス上、コレステリック液晶性ポリエステル組成物を溶媒に溶解した溶液を用いて塗布する、溶液塗布が望ましい。
【0076】
溶液塗布について説明する。
本発明のコレステリック液晶性ポリエステル組成物を溶媒に溶かし、所定濃度の溶液を調製する。フィルムの膜厚(コレステリック液晶性ポリエステル組成物より形成される層の膜厚)は、該組成物を基板に塗布する段階で決まるため、精密に濃度、塗布膜の膜厚などの制御をする必要がある。
【0077】
上記溶媒としては、本発明のコレステリック液晶性ポリエステル組成物の組成比などによって異なるため一概には言えないが、通常はクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素など、およびこれらの混合溶媒、例えばハロゲン化炭化水素類とフェノール類との混合溶媒などが用いられる。
【0078】
溶液の濃度は、用いるコレステリック液晶性ポリエステル組成物の溶解性や最終的に目的とする光学フィルムの膜厚に依存するため一概には言えないが、通常3〜50重量%の範囲で使用され、好ましくは7〜30重量%の範囲である。上記の濃度に調節することにより、通常0.1μm以上20μm以下、好ましくは0.2μm以上10μm以下、さらに好ましくは0.3μ以上5μm以下の膜厚を有する光学フィルムを得ることができる。
【0079】
上記の溶媒を用いて所望の濃度に調整したコレステリック液晶性ポリエステル組成物の溶液を、次に上述にて説明した配向基板上に塗布する。塗布の方法としては、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法などを採用できる。
【0080】
塗布後、溶媒を除去し、配向基板上に膜厚の均一な該組成物の層を形成させる。溶媒除去条件は、特に限定されず、溶媒がおおむね除去でき、該組成物の層が流動したり、流れ落ちたりさえしなければ良い。通常、室温での乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどを利用して溶媒を除去する。
【0081】
乾燥した後、通常50℃から300℃、好ましくは100℃から260℃の範囲において熱処理を行い、コレステリック配向を形成させる。また熱処理時間は、ポリエステル組成物の組成比などによって異なるため一概にはいえないが、通常10秒から120分、好ましくは30秒から60分の範囲である。10秒より短い場合はコレステリック配向が不十分となる恐れがある。また120分より長い場合は、生産性が低下する恐れがあり望ましくない。
【0082】
このようにして、まず液晶状態で配向基板上全面にわたって均一なコレステリック配向を得ることができる。
なお、本発明においては上記の熱処理工程において、コレステリック液晶性ポリエステル組成物をコレステリック配向させるために磁場や電場を利用しても特に構わない。
【0083】
熱処理によって形成したコレステリック配向を、次に該ポリエステル組成物の液晶転移点以下の温度に冷却することにより、該配向の均一性を全く損なわずに固定化することができる。
【0084】
上記冷却温度は、液晶転移点以下の温度であれば特に制限はない。たとえば液晶転移点より10℃低い温度において冷却することにより、均一なコレステリック配向を固定化することができる。冷却の手段は、特に制限はなく、熱処理工程における加熱雰囲気中から液晶転移点以下の雰囲気中、例えば室温中に出すだけで固定化される。また、生産の効率を高めるために、空冷、水冷などの強制冷却、除冷を行ってもよい。
以上の工程によって、本発明の光学フィルムを得ることができる。
【0085】
該光学フィルムの使用形態としては、
▲1▼上述の配向基板を該フィルムから剥離して、光学フィルム単体で用いる、
▲2▼配向基板上に形成したそのままの状態で用いる、
▲3▼配向基板とは異なる別の基板に光学フィルムを積層して用いる、
ということが挙げられる。
【0086】
フィルム単体として用いる場合には、配向基板を光学フィルムとの界面で、ロールなどを用いて機械的に剥離する方法、構造材料すべてに対する貧溶媒に浸漬した後機械的に剥離する方法、貧溶媒中で超音波をあてて剥離する方法、配向基板と該フィルムとの熱膨張係数の差を利用して温度変化を与えて剥離する方法、配向基板そのもの、または配向基板上の配向膜を溶解除去する方法などによって、フィルム単体を得る。剥離性は、用いるコレステリック液晶性ポリエステル組成物の組成比などと配向基板との密着性によって異なるため、その系に最も適した方法を採用すべきである。なお光学フィルム単体で光学素子として用いる場合、膜厚によっては自己支持性のないことがあるが、その際には光学性質上好ましい基板、例えはポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、アモルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロースなどのプラスチック基板上に接着剤または粘着剤を介して固定して用いるほうが、光学フィルムの強度、信頼性などのために望ましい。
【0087】
次に、配向基板上に形成した状態で光学フィルムを用いる場合について説明する。配向基板が透明で光学的に等方であるか、あるいは光学素子として用いる際に該配向基板が該素子にとって必要な部材である場合には、そのまま目的とする光学素子として使用することができる。
【0088】
さらに配向基板上でコレステリック液晶性ポリエステル組成物を配向固定化して得られた本発明の光学フィルムは、該基板から剥離して、光学用途により適した別の基板上に積層して使用することもできる。すなわち、該フィルムと配向基板とは異なる別の基板とから少なくとも構成される積層体を例えば光学素子としてTN−LCDなどに組み込むことができる。具体的には次のような方法を採ることができる。
【0089】
目的とする光学素子に適した基板(以下、第2の基板という)と配向基板上の光学フィルムとを、例えば接着剤または粘着剤を用いて貼りつける。次いで、配向基板を本発明の光学フィルムとの界面で剥離し、該フィルムを光学素子に適した第2の基板側に転写して光学素子を得ることができる。
【0090】
転写に用いられる第2の基板としては、適度な平面性を有するものであれば特に限定されないが、ガラス基板や透明で光学的等方性を有するプラスチックフィルムが好ましく用いられる。かかるプラスチックフィルムの例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロースあるいはエポキシ樹脂などをあげることができる。なかでもポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、トリアセチルセルロースなどが好ましく用いられる。また光学的に異方性であっても、光学素子にとって必要な部材である場合には、光学的異方性フィルムも用いることができる。このような例としては、ポリカーボネートやポリスチレンなどのプラスチックフィルムを延伸して得られる位相差フィルム、偏光フィルムなどがある。
【0091】
転写に用いられる第2の基板と、本発明の光学フィルムとを貼り付ける接着剤または粘着剤としては、光学グレードのものが好ましく、アクリル系、エポキシ系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系、ウレタン系、およびこれらの混合系などを使用することができる。また接着剤としては、熱硬化型、光硬化型、電子線硬化型などのいずれの接着剤でも光学的等方性を有していれば問題なく使用することができる。
【0092】
本発明の光学フィルムを光学素子に適した第2の基板への転写は、第2の基板を光学フィルムに接着した後、配向基板を該フィルムとの界面で剥離することにより行える。剥離方法は、上述でも説明したが、ロールなどを用いて機械的に剥離する方法、貧溶媒中で超音波をあてて剥離する方法、配向基板と該フィルムとの熱膨張係数の差を利用して温度変化を与えて剥離する方法、配向基板そのもの、または配向基板上の配向膜を溶解除去する方法などを例示することができる。剥離性は、用いるコレステリック液晶性ポリエステル組成物の組成比などと配向基板との密着性によって異なるため、その系にもっとも適した方法を採用すべきである。
また本発明の光学フィルムは、表面保護、強度増加、環境信頼性向上などの目的のために透明プラスチックフィルムなどの保護層を設けることもできる。
【0093】
このようにして得られる本発明の光学フィルムは、波長590nmにおける複屈折率が0.3以上、また組成比によっては波長590nmにおけるコレステリック選択反射スペクトルの帯域幅が100nm以上という物性値を有する。上記複屈折率、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅は当該公知の手法によって測定することができる。
【0094】
以上、本発明のコレステリック液晶性ポリエステル組成物は、液晶状態において均一モノドメインなコレステリック配向性を示すと共に、該コレステリック液配向の固定化が可能である。また均一なフィルム形成能を有していることから光学材料として好適である。
【0095】
さらに当該組成物より形成される光学フィルムは、従来の自己配向型高分子液晶からなるフィルムでは得ることが困難であった高複屈折率、広選択反射帯域幅を有し、新たな光学用途への展開が期待できる。さらに複屈折率、選択反射帯域幅は、該液晶性ポリエステル組成物の組成比、ポリエステルの種類を変えることにより、所望の値に調整することが可能である。
【0096】
このように本発明のコレステリック液晶性ポリエステル組成物および該組成物よりなる光学フィルムは、光学・光エレクトロニクス分野への用途が大いに期待できるものであり工業的価値が極めて高い。
【0097】
また本発明の光学フィルムにおいて、ピッチが可視光領域にある際には非常に美しい色を呈し、装飾品、ファッション品としても有用であり、種々の分野への応用が期待される。
【0098】
【実施例】
以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、実施例で用いた各分析法は以下のとおりである。
【0099】
1.対数粘度
ウベローデ型粘度計を用いフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40(重量比)を溶媒としてポリマー濃度0.5g/dl、30℃において測定した。
2.ガラス転移温度
Dupont 990 Thermal Analizerを用い20℃/min.の昇温速度にて測定した
3.光学組織観察
メトラー社製ホットステージFP80/82及びオリンパス光学社製BH−2偏光顕微鏡を用いて観察した。
4.組成の決定
得られたポリエステルを重水素化ジメチルスルホキシドまたは重水素化トリフルオロ酢酸に溶解し、 1H−NMR(日本電子製JNM−EX400及びEX−270)で測定し決定した。
【0100】
合成例 1
攪拌装置、窒素導入管、液体トラップを備えた重合反応器に、4’−アセトキシ−3’−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸14.06g(45mmol)、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸3.45g(15mmol)、カテコールジアセテート6.12g(31.5mmol)、及びテレフタル酸4.98g(30mmol)を仕込み反応器内を窒素置換した。窒素雰囲気下、発生する酢酸を留去しながら240℃で2時間、260℃で2時間、さらに270℃で12時間反応させた後、窒素導入管より10ml/min.の窒素を導入しながら270℃でさらに1時間反応を実施した。得られたポリエステルの対数粘度は0.19、ガラス転移温度は110℃であった。また偏光顕微鏡観察の結果、このポリエステルはガラス転移温度以上でネマチック液晶相を示し、かつガラス転移温度以下に冷却しても結晶相への転移は認められずネマチック液晶状態を固定化可能であった。複屈折率測定の結果、本ポリエステルの液晶固定化状態における複屈折率(Δn)は0.393(ne:1.973、no:1.580)であった。
【0101】
【化43】
Figure 0003950931
【0102】
合成例 2〜6
モノマー仕込み比を変えた以外は、合成例1と同様の手法を用いて反応を実施した。結果を表1に示す。また、これらのポリエステルは全て偏光顕微鏡観察の結果、ガラス転移温度以上でネマチック液晶相を示し、かつガラス転移温度以下に冷却しても結晶相への転移は認められずネマチック液晶状態を固定化可能であった。
【0103】
【表1】
Figure 0003950931
【0104】
合成例 7
攪拌装置、窒素導入管、液体トラップを備えた重合反応器に、(s)−2−メチル−1,4−ブタンジオール(enantiotropic exess,e,e=93%)8.10g(77.8mmol)、4,4’−スチルベンジカルボン酸ジメチル14.82g(50mmol)、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチル1.50g(5.56mmol)、及びテトラブトキシチタン1滴を仕込み反応器内を窒素置換した。窒素雰囲気下、発生するメタノールを留去しながら210℃で2時間反応させた。得られたポリエステルの対数粘度は0.12、ガラス転移温度は100℃、アイソトロピック転移温度は194℃であった。
【0105】
【化44】
Figure 0003950931
【0106】
合成例 8
(s)−2−メチル−1,4−ブタンジオール(e,e=93%)6.15g(59.06mmol)、4,4’−スチルベンジカルボン酸ジメチル10.0g(33.75mmol)、テレフタル酸ジメチル1.64g(8.44mmol)、及びテトラブトキシチタン1滴を用いた以外は、合成例13と同様の手法により反応を実施した。得られたポリエステルの対数粘度は0.12、ガラス転移温度は97℃、アイソトロピック転移温度は178℃であった。
【0107】
【化45】
Figure 0003950931
【0108】
合成例 9
(s)−2−メチル−1,4−ブタンジオール(enantiotropicexess,e,e=93%)8.10g(77.8mmol)、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチル13.51g(50mmol)、テレフタル酸ジメチル1.08g(5.56mmol)、及びテトラブトキシチタン1滴を用いた以外は、合成例1と同様の手法により反応を実施した。得られたポリエステルの対数粘度は0.11、ガラス転移温度は60℃、アイソトロピック転移温度は182℃であった。
【0109】
【化46】
Figure 0003950931
【0110】
実施例 1
攪拌装置、液体トラップを備えた重合反応器に、合成例1で得られたポリエステル7.52g、合成例8から得られたポリエステル2.48gを仕込み、反応器内を窒素置換し、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られたポリエステル組成物の偏光顕微鏡観察の結果、該組成物はガラス転移温度以上でコレステリック液晶相を示し、かつガラス転移温度以下に冷却しても結晶相への転移は認められずコレステリック液晶状態を固定化可能であり、均一な膜厚形成能を有していた。
【0111】
得られた組成物の15wtテトラクロロエタン溶液を調整した。得られた溶液をラビングポリイミド配向膜上にスピンコート法により塗布した。次いで溶媒を乾燥除去した後、210℃で10分間熱処理を行った。その結果、ラビングポリイミド配向膜上に当該組成物からなるフィルムを得た。得られたフィルムは、モノドメインなコレステリック配向が固定化されており、かつ均一な膜厚(2.1μm)を有していた。
当該フィルムのコレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は117nm(559nm)であった。また590nmにおける複屈折率Δnを概算して求めたところ、Δnは0.37であった。
【0112】
実施例 2
合成例1で得られたポリエステル7.12g、合成例8から得られたポリエステル2.89gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物の偏光顕微鏡観察の結果、該組成物はガラス転移温度以上でコレステリック液晶相を示し、かつガラス転移温度以下に冷却しても結晶相への転移は認められず均一モノドメインなコレステリック配向を固定化可能であり、均一な膜厚形成能を有していた。
【0113】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にモノドメインなコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚2.1μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は104nm(498nm)であった。また590nmにおける複屈折率Δnを概算して求めたところ、Δnは0.37であった。
【0114】
実施例 3
合成例1で得られたポリエステル7.62g、合成例8から得られたポリエステル2.38gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は、均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0115】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚2.1μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は125nm(599nm)であった。また590nmにおける複屈折率Δnを概算して求めたところ、Δnは0.37であった。
【0116】
実施例 4
合成例1で得られたポリエステル7.59g、合成例8から得られたポリエステル2.41gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0117】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚2.1μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は123nm(590nm)であった。また590nmにおける複屈折率は、0.37であった。
【0118】
実施例 5
合成例5で得られたポリエステル7.12g、合成例7から得られたポリエステル2.89gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は、均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0119】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚1.9μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は112nm(490nm)であった。また590nmにおける複屈折率Δnを概算して求めたところ、Δnは0.41であった。
【0120】
実施例 6
合成例5で得られたポリエステル7.62g、合成例7から得られたポリエステル2.38gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。該組成物は、均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0121】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚1.9μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯幅は135nm(590nm)であった。また複屈折率Δnは0.41(590nm)であった。
【0122】
実施例 7
合成例6で得られたポリエステル7.00g、合成例8から得られたポリエステル3.00gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は、均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0123】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚2.1μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は132nm(507nm)であった。また590nmにおける複屈折率Δnを概算して求めたところ、Δnは0.42であった。
【0124】
実施例 8
合成例6で得られたポリエステル7.42g、合成例8から得られたポリエステル2.58gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は、均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0125】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚2.1μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、液晶固定化状態における帯域幅は138nm(590nm)であった。また複屈折率Δnは0.42(590nm)であった。
【0126】
実施例 9
合成例3で得られたポリエステル7.21g、合成例8から得られたポリエステル2.79gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は、均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0127】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚1.9μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は117nm(503nm)であった。また590nmにおける複屈折率Δnを概算して求めたところ、Δnは0.39であった。
【0128】
実施例10
合成例3で得られたポリエステル7.72g、合成例8から得られたポリエステル2.28gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は、均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0129】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚1.9μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は136nm(608nm)であった。また590nmにおける複屈折率Δnは概算して求めたところ、Δnは0.39であった。
【0130】
実施例11
合成例3で得られたポリエステル7.49g、合成例8から得られたポリエステル2.51gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は、均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0131】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(1.9μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は129nm(590nm)であった。また複屈折率Δnは0.39(590nm)であった。
【0132】
実施例12
合成例4で得られたポリエステル7.70g、合成例8から得られたポリエステル2.30gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は、均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0133】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚2.1μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は137nm(605nm)であった。また590nmにおける複屈折率Δnを概算して求めたところ、Δnは0.41であった。
【0134】
実施例13
合成例4で得られたポリエステル7.51g、合成例8から得られたポリエステル2.49gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は、均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0135】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(2.1μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は135nm(590nm)であった。また複屈折率Δnは0.41(590nm)であった。
【0136】
実施例14
合成例2で得られたポリエステル7.50g、合成例8から得られたポリエステル2.50gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は、均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0137】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚1.9μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は129nm(740nm)であった。また590nmにおける複屈折率Δnを概算して求めたところ、Δnは0.30であった。
【0138】
実施例15
合成例2で得られたポリエステル6.86g、合成例8から得られたポリエステル3.13gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は、均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0139】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚1.9μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は102nm(590nm)であった。また複屈折率Δnは0.30(590nm)であった。
【0140】
実施例16
合成例2で得られたポリエステル8.15g、合成例9から得られたポリエステル1.85gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は、均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0141】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚2.1μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は136nm(740nm)であった。また590nmにおける複屈折率Δnを概算して求めたところ、Δnは0.32であった。
【0142】
実施例17
合成例2で得られたポリエステル7.68g、合成例9から得られたポリエステル2.32gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物は均一モノドメインなコレステリック配向の固定化が可能であり、また均一な膜厚形成能を有していた。
【0143】
次いで該組成物を用いて実施例1と同様にコレステリック配向を固定化したフィルム(膜厚2.1μm)を作成し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、帯域幅は108nm(590nm)であった。また590nmにおける複屈折率Δnは0.32であった。
【0144】
合成例10
メチルヒドロキノンジアセテート7.28g(35mmol)、カテコールジアセテート12.62g(65mmol)、及びテレフタル酸16.61g(100mmol)を用いた他は、合成例1と同様の手法により反応を実施した。得られたポリエステルの対数粘度は0.15、ガラス転移温度は108℃であった。
【0145】
また偏光顕微鏡観察の結果、このポリエステルはガラス転移温度以上でネマチック液晶相を示し、かつガラス転移温度以下に冷却しても結晶相への転移は認められずネマチック液晶状態を固定化可能であった。複屈折率測定の結果、本ポリエステルの液晶固定化状態における複屈折率は0.20であった。
【0146】
【化47】
Figure 0003950931
【0147】
比較例 1
合成例10で得られたポリエステル8.0g、合成例9から得られたポリエステル2.0gを反応器内に仕込み、窒素雰囲気下、250℃で1時間溶融ブレンドを行った。得られた組成物を用いてコレステリック配向を固定化したフィルムを作製し、コレステリック選択反射スペクトルの帯域幅を測定した結果、液晶固定化状態における帯域幅は80nm(585nm)であった。また590nmにおける複屈折率Δnを概算して求めたところ、Δnは0.22であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1の液晶性ポリエステルのNMRスペクトル図を表す。
【図2】合成例2の液晶性ポリエステルのNMRスペクトル図を表す。
【図3】合成例7の光学活性な液晶性ポリエステルのNMRスペクトル図を表す。
【図4】合成例8の光学活性な液晶性ポリエステルのNMRスペクトル図を表す。

Claims (3)

  1. 下記I成分の液晶性ポリエステル 50〜99.5重量%
    、および
    下記II成分の光学活性な液晶性ポリエステル 0.5〜50重量%
    より成ることを特徴とするコレステリック液晶性ポリエステル組成物。
    〔I成分〕
    下記構造単位(A)、(B)、(C)並びに任意に(D)および/または(E)から構成された、フェノール/テトラクロロエタン(重量比60/40)混合溶媒中、濃度0.5g/dl、温度30℃で測定した対数粘度が0.05〜1.0である液晶性ポリエステル
    Figure 0003950931
    Figure 0003950931
    Figure 0003950931
    Figure 0003950931
    Figure 0003950931
    〔II成分〕
    下記構造単位(F)及び(G)より構成され、フェノール/テトラクロロエタン(重量比60/40)混合溶媒中、濃度0.5g/dl、温度30℃で測定した対数粘度が0.05〜1.0である光学活性な液晶性ポリエステル。
    Figure 0003950931
    【化7】
    (G)
    Figure 0003950931
  2. 溶融時に液晶相を呈し、かつ液晶転移温度以下に冷却することにより該液晶相におけるコレステリック配向を固定化することが可能であることを特徴とする請求項1記載のコレステリック液晶性ポリエステル組成物。
  3. 請求項1または2記載のコレステリック液晶性ポリエステル組成物から形成されることを特徴とする光学フィルム。
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