JP3950591B2 - ゴムローラおよびその製造方法 - Google Patents

ゴムローラおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3950591B2
JP3950591B2 JP24585099A JP24585099A JP3950591B2 JP 3950591 B2 JP3950591 B2 JP 3950591B2 JP 24585099 A JP24585099 A JP 24585099A JP 24585099 A JP24585099 A JP 24585099A JP 3950591 B2 JP3950591 B2 JP 3950591B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
material composition
rubber layer
foamed
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP24585099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001062849A (ja
Inventor
之則 永田
昌明 原田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP24585099A priority Critical patent/JP3950591B2/ja
Publication of JP2001062849A publication Critical patent/JP2001062849A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3950591B2 publication Critical patent/JP3950591B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Heating, Cooling, Or Curing Plastics Or The Like In General (AREA)
  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Dry Development In Electrophotography (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芯金の外周面上に発泡ゴム層と非発泡ゴム層の二層からなる弾性体を形成したゴムローラとその製造方法に関する。より具体的には、例えば、電子写真プロセスを利用した画像形成装置に用いられる種々のゴムローラ、すなわち、帯電・転写ローラ、現像ローラ、あるいは、搬送ローラ、画像定着ローラ、中間転写体などに好適に利用できるゴムローラ、ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真プロセスにおいて、帯電・転写プロセスでは、感光体表面の帯電には、従来、非接触型のコロナ放電が利用されたいた。このコロナ放電時には、オゾンなどが発生すること、また、発生したオゾンなどは、感光体表面の劣化を進行させる要因となることが判明している。更に、コロナ放電に利用されるワイヤーに汚れが付着すると、感光体表面の帯電に不均一を生じさせ、例えば、画像白抜けや黒すじを引き起こすなど、画像品質に影響を与えるという問題点を有している。
【0003】
従来から、このコロナ放電に代わる感光体表面の帯電の手法として、接触帯電・転写の手法が、多くの研究者により研究されてきている。図1に、これらの研究により提案されている、接触帯電・転写部材を用いる電子写真装置構成の一例を模式的に示す断面図を示す。この装置構成において、被帯電体は、像担持体であり、具体的には、アルミニウムなどを用いる導電性の基体層とその外周表面上にアモルファスシリコンなどで形成される光導電層の二層からなるドラム型の感光体1である。この感光体1と接するように、ローラ形状の帯電部材2が設置され、感光体1表面を所定の電位に一様に帯電させる。
【0004】
このローラ形状の帯電部材2、つまり帯電ローラは、中心部の芯金と、その外周に形成される導電性弾性体の層からなっている。この帯電ローラ2は、バネなどを利用する圧着手段により、感光体1に所定の圧接力でもって圧接され、それに伴い、感光体1の回転に従動回転する。一方、帯電ローラ2の芯金部に、直流または直流+交流バイアスを印加し、感光体1を所定の電位に接触帯電させる。この際、良好なコピー画像を得るためには、感光体1の表面が均一な電位に帯電される必要があり、つまり、帯電ローラ2の均一な接触状態と、導電性の均一性が必要である。帯電された感光体1の表面は、レーザー、LEDなどを光源とする露光手段3を用い、画像情報を露光することにより、目的の画像情報に対応する静電潜像を形成する。
【0005】
次いで、前記静電潜像上に、現像手段4によるトナーの塗布を施し、トナー画像として可視像化する。感光体1の表面に形成されているトナー画像は、転写材5(コピー用紙など)の裏面から、転写部材6(転写ローラ)による前記トナーと逆極性の帯電を行うことで、転写材5の表面に転写する。トナー画像の転写後、転写材5は感光体1表面と分離され、先に設置される定着部材7(定着ローラ)において、熱、圧着により画像の固着がなされる。他方、像転写の後、感光体1の表面は、クリーニング手段8により、一連の転写工程で、表面に残留している残留トナーなどの付着物を除去され、再び清浄な面に復される。この繰り返しにより、連続的に電子写真プロセスが行える。
【0006】
この種の装置においては、図1に示すように、例えば、帯電部材2、転写部材6、定着部材7などにローラが用いられる。例えば、帯電ローラなどは、両端において回転可能に支持される芯金と、その芯金の外周に円柱状に設けられる導電性の弾性体層から構成される。このように、例えば、帯電ローラに利用される導電性弾性体は、上述するように交流成分を印加する際、その交流成分に起因する帯電音を抑制するため、さらには、常に圧接している感光体表面を傷つけることがないようにするため、表面の硬度を低くし、また、抵抗を調整したものが利用される。具体的には、硬度が低い発泡体に、導電粒子を分散させるなどして、所望の導電性と硬度を達成することが多い。
【0007】
発泡体自体の表面は、一般に表面粗さが粗くなる傾向を持ち、それに伴い、感光体との接触が不均一になると、放電が不均一となり易い。接触を密にするため、圧接力を増すと、繰り返し使用していく間に、感光体表面が不均一に摩耗したり、削れたりすることが起こり易くなり、寿命を短くするといった弊害もある。この発泡体自体の性質に由来する不具合を除くため、発泡体を用いた導電性の弾性体表面に、導電性の塗料を塗工したり、あるいは、表面の滑らかな導電性チューブで被覆するなど、被覆層を形成する方法も適用されている。この被覆層により、表面粗さを改善する、また、ローラ抵抗の調整を行っている。
【0008】
導電性弾性体に発泡体を利用したローラを製造する方法には、発泡体のポリマー原料と発泡剤、ならびに各種添加剤を配合し、混練した原料組成物を円筒状に押し出したものを、加硫・発泡させた後、前記の円筒状の中心に芯金を圧入し、所望の外径となるように外周を研磨し、整える方法や、予め芯金が中心に位置するように配置した成形金型を用い、前記金型の内部に芯金とともに前記原料組成物を入れ、成形金型を加熱して、加硫・発泡させることにより、所定の外径を持つ円筒状の発泡弾性体を芯金の周囲に形成する方法が知られている。
【0009】
これらの方法で作製した発泡体ローラは、上で述べたように表面の欠陥などをなくし、表面粗さを改善する目的で、例えば、被覆層の塗工がなされるが、表面のあれたものでは、被覆層の層厚を厚くする必要があり、その結果、ローラ硬度が高くなってしまうなどの問題が生じることもある。
【0010】
適度な層厚の被覆層を形成する手法として、発泡体の表面粗さが十分に小さくない場合に、発泡体となる発泡材料と被覆層となる非発泡材料とを、別々の押し出し機を用いて、同時一体的に同心円筒状に形成した後、加硫することで、内部の発泡層を覆う非発泡層を設ける構造のローラを作製する方法も知られている。
【0011】
仮に、外部の非発泡層がない場合には、発泡体の原料組成物、つまり、発泡材料は発泡反応の開始とともに、発泡構造を形成するセルとその隣接するセルとの隙間には窪みが生じ、この微少な凹凸を表面に残したまま膨張し、金型内壁に押し付けられる。この押し付けによるローラ表面形成時に、大半の表面凹凸は、押しつぶされるが、局部的な押し付け不足で若干の凹凸が残る、しわが残ることも少なくない。また、たまたま、表面にセルが露出してしまい、セルの跡がピンホールを形成することもある。一方、外部に非発泡層があると、例え、隣接するセルに隙間があっても、外側の非発泡層に支えられ、金型内壁に押し付けられた際、微少な凹凸やしわの残留・発生が抑えられ、従って、表面粗さの少ないローラが得られ、有用な方法である。
【0012】
しかしながら、内側の発泡層と外側の非発泡層の間で、層の厚さ、ムーニー粘度、ならびに加硫速度のバランスを失すると、内側の発泡層となる発泡材料が十分に発泡ができないという事態が起こり、外径精度が低下する、あるいは、軸の振れが増大するなど、形状精度が低下する。また、十分に発泡倍率が高まらないと、硬度が高くなってしまう、逆に、非発泡層による支えが不十分であると、発泡によるガスは、非発泡層を突き抜け、表面にピンホールを生じさせ、却って、表面を荒らす結果となってしますなど、なお、問題を内在するものである。
【0013】
表面のピンホール発生を防ぐ手段には、発泡時に気泡が外部に抜ける現象に対処するために、特開平10−156917号公報に記載するように、非発泡層のスコーチタイムを発泡層のスコーチタイムより短く設定する方法もあるが、その条件では、非発泡層の厚さが厚すぎると、十分発泡倍率が高まらないという事態を引き起こす可能性もある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来より、適度なローラ硬度を保ちつつ、表面粗さを改善し、かつ形状精度も向上させる試みはなされているが、なお、改善の余地を残すものである。例えば、再現性よく、適度なローラ硬度を保ちつつ、表面粗さの改善も図れる弾性体ローラの製造方法の提案は、なお望まれている。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するもので、本発明の目的は、成形金型を用いて、再現性よく作製が可能であり、表面粗さが小さく、また、形状精度も高い発泡体ゴムローラ、ならびにその製造方法を提供することにある。より具体的には、本発明の目的は、例えば、電子写真装置などに用いるゴムローラに適するローラ硬度を保ちつつ、表面粗さが小さく、また、形状精度も高い発泡体ゴムローラ、ならびに、前記発泡体ゴムローラを成形金型を用いて、再現性よく作製することを可能とする製造方法を提供することにある。さらに、本発明は、電子写真装置などに用いるゴムローラ、特に、電子写真用感光体の帯電に用いられる帯電部材用のゴムローラにおいて、上記の特性を満たす発泡体ゴムローラ、ならびにその製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、発泡体ゴムローラの作製に用いる原料組成物の性状、加硫と発泡条件を種々に変え、得られるゴムローラの特性を比較・検討する研究を進めた。その結果、成形金型を用いて、芯金の外周に、内側に発泡層を、外側に非発泡層を有する二層構造の円筒状弾性体層を形成する際、発泡層の原料である未加硫未発泡原料組成物と非発泡層の原料である未加硫非発泡原料組成物を、未加硫非発泡原料組成物の加硫速度を未加硫未発泡原料組成物の加硫速度より遅くし、さらに、未加硫非発泡原料組成物のムーニー粘度を未加硫未発泡原料組成物のムーニー粘度より低くすると、成形されたローラの表面粗さは十分に小さくなり、同時に、外径精度や振れなどの形状精度も高く、適度なローラ硬度が再現性よく得られることを見出し、係る知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち、本発明のゴムローラは、芯金の外周に、内側に発泡ゴム層を、その外側に非発泡ゴム層を持つ同心円筒状の弾性体が形成されてなるゴムローラであって、
前記発泡ゴム層は、発泡体のポリマー原料と発泡剤を配合し、混練してなる未加硫未発泡原料組成物を加硫ならびに発泡させて得られる発泡ゴムを材質とし、
前記非発泡ゴム層は、ポリマー原料を配合し、混練してなる未加硫非発泡原料組成物を加硫して得られる非発泡ゴムを材質とし、
前記未加硫非発泡原料組成物の加硫速度を、前記未加硫未発泡原料組成物の加硫速度より遅くし、ならびに、前記未加硫非発泡原料組成物のムーニー粘度を、前記未加硫未発泡原料組成物のムーニー粘度より小さくし、
前記未加硫非発泡原料組成物を、前記未加硫未発泡原料組成物の外周上に一体的に同時に押し出し形成される同心円筒状の積層体となし、前記同心円筒状の積層体の内に前記芯金は、軸中心を一致させて配置され、
前記同心円筒状の積層体の外周より大きい、所定の円筒状内周面を有し、かつ前記芯金を前記円筒状内周面の同心軸上に保持するための蓋体を両端に有する円筒状の成形金型を用い、
前記芯金と一体に配置してなる前記積層体を、前記成形金型内に配置し、加硫ならびに発泡の処理を施し、
前記発泡に伴い、前記積層体の外周面を前記成形金型の内周面に押し付け、成形してなる内側に発泡ゴム層を、その外側に非発泡ゴム層を持つ同心円筒状の弾性体ゴム層を有することを特徴とするゴムローラである(但し、前記加硫速度は、JIS K 6300に基づき、A法の加硫試験を、160℃、振れ角1度の条件で行った測定結果から算定したt 30 の値とし、かつ、前記ムーニー粘度は、JIS K 6300に基づき、ムーニー粘度試験を行って求めたML (1+4) 100℃の値とする)。
【0018】
また、本発明のゴムローラの製造方法は、芯金の外周に、内側に発泡ゴム層を、その外側に非発泡ゴム層を持つ同心円筒状の弾性体が形成されてなるゴムローラの製造方法であって、
(i)前記発泡ゴム層の原料としての、発泡体のポリマー原料と発泡剤を配合し混練してなる未加硫未発泡原料組成物を、前記非発泡ゴム層の原料としての、ポリマー原料を配合してなる未加硫非発泡原料組成物の外周上に一体的に同時に押し出し同心円筒状の積層体となし、前記同心円筒状の積層体の内に前記芯金を、軸中心を一致させて配置する工程;及び
ii )前記同心円筒状の積層体の外周より大きい、所定の円筒状内周面を有し、かつ前記芯金を前記円筒状内周面の同心軸上に保持するための蓋体を両端に有する円筒状の成形金型を用い、前記工程(i)で調製した、前記芯金と一体に配置した前記積層体を、前記成形金型内に配置し、加硫ならびに発泡の処理を施す工程;及び
iii )前記発泡に伴い、前記積層体の外周面を前記成形金型の内周面に押し付け、成形してなる内側に発泡ゴム層を、その外側に非発泡ゴム層を持つ同心円筒状の弾性体ゴム層を形成する工程、を有するゴムローラの製造方法において、
前記未加硫非発泡原料組成物の加硫速度を、前記未加硫未発泡原料組成物の加硫速度より遅くし、ならびに、前記未加硫非発泡原料組成物のムーニー粘度を、前記未加硫未発泡原料組成物のムーニー粘度より小さくしていることを特徴とするゴムローラの製造方法である(但し、前記加硫速度は、JIS K 6300に基づき、A法の加硫試験を、160℃、振れ角1度の条件で行った測定結果から算定したt 30 の値とし、かつ、前記ムーニー粘度は、JIS K 6300に基づき、ムーニー粘度試験を行って求めたML (1+4) 100℃の値とする)。
【0019】
なお、本発明のゴムローラにおいては、前記発泡ゴム層中の発泡セル径に対して、前記非発泡ゴム層の厚さを、前記セル径の50%以上とするのが好ましい。また、本発明のゴムローラにおいては、前記発泡ゴム層および前記非発泡ゴム層がともに導電性を有する構成とすることもできる。加えて、本発明のゴムローラは、前記弾性体ゴム層の外周面上に、一層又は二層以上の導電性の被覆薄膜層を塗工して設ける構造とすることもできる。
【0020】
上記の本発明のゴムローラにおいて、前記芯金の外周に形成される円筒状の弾性体を、導電性を有するものとすると、例えば、電子写真用感光体表面に接触配置し、前記感光体の帯電に用いる帯電ローラに好適に利用できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のゴムローラは、そのロール部の主要な構成要素である弾性体層を、主に弾性を与える発泡ゴム層と、その外側に一体に形成され、ロール部の表面形状を支配する非発泡ゴム層が、同心円筒状の二層構造をとる構成としたものである。その外面形状は、前記未加硫未発泡原料組成物を発泡ゴム層とすべく、発泡処理を行う際、所定の形状寸法、ならびに、平滑な内表面に形成されている成形金型を用いて、発泡に伴う押し付けにより形成されるものである。すなわち、本発明のゴムローラにおける外形形状は、本来、前記成形金型の内面形状により、その概略は規定されるものである。
【0022】
従って、本発明のゴムローラは、そのロール部における断面を模式的に示すと、図2に、一例を示す構成をとっている。前記金型を用いて成形された弾性体層の表面に、さらに、一層または二層以上の被覆薄膜層を塗工して設けると、その断面は、例えば、図3に模式的に示す形状となる。図2ならびに図3において、芯金10には、金属を用いることが多いが、例えば、導電性樹脂など、導電性を持つ材料を用いることもできる。この芯金10の外周に、二層構造をとる弾性体層として、発泡ゴム層11と非発泡ゴム層12が同心円筒状に形成されている。図3では、弾性体層の外周面上に、さらに一層または二層以上の被覆薄膜層13が設けられている。通常、非発泡ゴム層12の厚さは、発泡ゴム層11の厚さより有意に薄くなるように形成され、被覆薄膜層13の総膜厚も、発泡ゴム層11の厚さより十分に薄くなるように選択する。
【0023】
つまり、前記被覆薄膜層13は、例えば、電子写真用感光体表面に接触配置し、前記感光体の帯電に用いる帯電ローラでは、導電性塗料を塗工した被覆膜、あるいは、導電性薄膜で形成される導電性チューブによる被覆などで形成する。帯電ローラでは、ローラ表面における電位を均一にするため、前記の導電性材料からなる被覆薄膜層を設け、ローラ表面内の導電率をより高める構成とされる。また、電子写真装置において、転写部材として利用する際にも、前記帯電ローラと同様に、ローラ表面における電位を均一にするため、前記の導電性材料からなる被覆薄膜層を設け、ローラ表面内の導電率をより高める構成とされる。あるいは、熱、圧力を加え、転写されたトナー画像の定着を行う、定着部材に利用されるローラでは、熱等に対する耐久性を増す被膜などを、前記被覆薄膜層13として設けるとよい。このように、前記被覆薄膜層13は、使用目的に応じて、適宜所望の特性を持つ薄膜層を選択するとよい。
【0024】
図3に示す構成をとると、ローラの最表面には、被覆薄膜層13が設けられ、表面形状、表面粗さなどは、被覆薄膜層13を形成する前の非発泡ゴム層12の表面形状、表面粗さより、若干の改善が見られる。しかしながら、被覆薄膜層13の膜厚は、ローラ表面内で均一となるように形成され、また、多くの場合、非発泡ゴム層12の表面形状、表面粗さが、ローラの最表面の形状、表面粗さに反映される程度に薄いものである。
【0025】
本発明のゴムローラは、例えば、以下に述べる手順により製造することができる。
【0026】
先ず、非発泡ゴム層用の未加硫非発泡原料組成物を、発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物の外周上に一体的に同時に押し出し形成される同心円筒状の積層体となし、前記同心円筒状の積層体の内に芯金を、軸中心を一致させて配置したものを作製する。前記同心円筒状の積層体の形成は、図4に示すような二種の原料組成物を同時に、単一の押し出しヘッドから押し出すことが可能な装置を用いて行う。図4に示す装置は、発泡ゴム層用の押し出し機14と非発泡ゴム層用の押し出し機15、その中心に配置される押し出しヘッド16から構成される。押し出しヘッド16内は、例えば、図5に示す構成を採っている。同心状に、未加硫未発泡原料組成物の流路20と、その周囲に未加硫非発泡原料組成物の流路19が設けられ、それぞれ、発泡ゴム層用の押し出し機14と非発泡ゴム層用の押し出し機15から、原料組成物が所望の供給量で押し出される。押し出しヘッド16の中心には、円筒状積層体の穴径に相当するニップル17、円筒状積層体の外径を規定するダイス18がセットされる。ダイス18の直前で、未加硫未発泡原料組成物の流路20と、その周囲に未加硫非発泡原料組成物の流路19とから供給される原料組成物は、所定の膜厚比に積層される。すなわち、発泡ゴム層用の押し出し機14と非発泡ゴム層用の押し出し機15からの吐出速度(回転数)を調整して、所定の膜厚比とする。
【0027】
ダイス18から押し出し成形された円筒状積層体は、その中心穴に芯金を軸を一致させて配置し、一体化する。長さ寸法は、最終的なロール長に応じて、所定の長さに揃えて、切断する。次いで、芯金と一体化された円筒状積層体は、例えば、図6に示す成形金型内において、発泡・加硫処理を行い、弾性体とされ、同時に、その外形の成形がなされる。
【0028】
図6に示す成形金型の一例では、同心円筒状の金型本体21と両端の蓋体22から構成されている。蓋体22には、芯金を保持する孔が穿ってあり、同心円筒状の金型本体21の中心軸上に、芯金を配置する芯金保持部材の機能を持つ。また、蓋体22には、発泡・加硫処理に伴う体積膨張により金型内から追い出されるガスを逃すため、ガス抜き孔23が設けられている。成形金型の内面は、滑らかな表面とされ、また、その内径は、作製すべきゴムローラの外径に対応させて設定する。
【0029】
発泡・加硫処理の際、円筒状の積層体は、均一な温度となるように、成形金型の加熱を行う。例えば、加熱は、図7にその形状を模式的に示す加熱盤中に、成形金型を装着して行うなどする。図7に示す加熱盤は、二分割された蓄熱ブロック(熱盤)26から構成され、中央に、成形金型を挿入する空孔部25が形成されている。予め、加熱盤を所定温度に予熱しておき、芯金と一体化した積層体を保持した成形金型を挿入し、加熱を行う。
【0030】
加熱により、発泡ならびに加硫が進み、発泡により内層の発泡ゴム層が所望の発泡倍率に達すると、上層の非発泡ゴム層は、成形金型の内面へ押し付けがなされ、規定される形状に成形される。非発泡ゴム層の加硫が進んだ時点で、加熱を終了し、冷却後金型から外し、一連のゴムローラ作製工程が終了する。なお、得られた弾性体層の表面に、さらに被覆薄膜層を設ける際には、後工程として、被覆材料の塗工などを行い、ゴムローラ完成品とされる。
【0031】
本発明の製造方法においては、非発泡ゴム層の原料に用いる未加硫非発泡原料組成物の加硫速度は、発泡ゴム層の原料に用いる未加硫未発泡原料組成物の加硫速度より遅くされ、また、非発泡ゴム層の原料に用いる未加硫非発泡原料組成物のムーニー粘度は、発泡ゴム層の原料に用いる未加硫未発泡原料組成物のムーニー粘度より小さくされている。このため、加熱を始めると、先ず、未加硫未発泡原料組成物の発泡が進み始めし、また、加硫も開始する。この時、未加硫非発泡原料組成物の加硫速度は、より遅くされているので、架橋形成に伴う粘性の上昇、硬化はより緩やかに進行する。また、未加硫非発泡原料組成物のムーニー粘度は、より小さくされているので、内側の未加硫未発泡原料組成物が発泡して、占有体積が膨張する際、全くその妨げにはならない。つまり、未加硫非発泡原料組成物の流動性は、この段階では、未加硫未発泡原料組成物の流動性より高いので、内側の未加硫未発泡原料組成物の発泡に起因する膨張に従って、より速やかに変形できるので、上層に未加硫非発泡原料組成物が存在してない場合と、遜色のない程度に発泡が進行する。
【0032】
仮に、上層に未加硫非発泡原料組成物が存在してない場合には、未加硫未発泡原料組成物の極く表層で形成されたセルは、時に、その表面を突き破り、気泡が外部に抜ける現象がある。本発明においては、その粘度はより小さなものではあるが、上層に未加硫非発泡原料組成物の層が存在しているので、極く表層で形成されたセルが、その表面を突き破る現象を抑制する作用を持つ。また、仮に、気泡が未加硫未発泡原料組成物の表面から抜けた際にも、上層にある未加硫非発泡原料組成物の層はより高い流動性を持つので、気泡が放出された後に残る穴跡をより速やかにまた容易に満たし、ピンホール状の跡を残すこともない。
【0033】
上記の気泡が外部に抜ける際には、セル内圧により、表面にドーム状盛り上がり、この部分では、粘性のみでセルの表層が維持されている。セルの径の半ば以上に、ドーム状盛り上がりが成長すると、セルの底部分において、それまでセル内圧に抗するように加わっている外力により、押し出されるため、急速に気泡が外部に抜けていく。従って、上層として、未加硫非発泡原料組成物層が、平均セル径の50%以上の厚さを有すると、未加硫未発泡原料組成物の表面(界面)が、セルの径の半ば以上に、ドーム状に盛り上がるまでは、気泡が外部に抜けるのを抑制する働きをする。一方、セルの径の半ば以上に、ドーム状に盛り上がり、未加硫未発泡原料組成物の表層に穴が生ずると、未加硫非発泡原料組成物層はより粘度が小さいので、速やかに、気泡は、未加硫未発泡原料組成物の表面(界面)を脱し、未加硫非発泡原料組成物層内を通過し、外部に抜ける可能性がある。この時、未加硫非発泡原料組成物層内には、気泡が占めていた空孔が残るが、より流動性が高いので、その空孔は速やかに埋められ、解消することになる。従って、未加硫非発泡原料組成物層の厚さ、つまり、非発泡ゴム層の膜厚は、発泡ゴム層内のセル平均径の50%以上とすると、より好ましい。非発泡ゴム層の膜厚が、セル平均径の50%未満であっても、上記の効果は相当の範囲では保持されるが、膜厚がより薄くなるにつれ、効果は減少していく。
【0034】
未加硫未発泡原料組成物の発泡が進み、成形金型の内面に押し付けられると、それ以上の径方向の膨張は抑えられる。なお、未加硫未発泡原料組成物自体は、含まれる発泡剤は、均一に分散されるように混練されているものの、発泡反応自体は多分に偶発的な契機で開始する反応であり、若干の疎密が伴う。発泡が密な部分は、先に成形金型の内面に達し、径方向の膨張は抑えられ、疎な部分は、遅れて成形金型の内面に達する。その間、密な部分では、軸方向の膨張はなお進行しており、時に、未加硫未発泡原料組成物の表面(界面)では、この密な部分と疎な部分の境に微細なしわが形成されることがある。また、上述するように、未加硫未発泡原料組成物の表面(界面)に達したセルによるドーム状の盛り上がりに伴い、極めて微細な凹凸も存在する。未加硫非発泡原料組成物は、より流動性に富むので、これら未加硫未発泡原料組成物の表面(界面)に生成している微細な凹みやしわを満たし、平坦化が容易になされる。なお、これら微細な凹みやしわは、通常、高々発泡ゴム層内のセル平均径の50%程度でしかなく、未加硫非発泡原料組成物層の厚さ、つまり、非発泡ゴム層の膜厚は、発泡ゴム層内のセル平均径の50%以上とすると、平坦化はより確実なものとなる。また、多くの場合、押し付けにより、なお流動性を残す未加硫未発泡原料組成物自体による埋め込み効果もあり、上記の微細な凹凸やしわは、発泡ゴム層内のセル平均径の50%に満たない変異でしかないので、未加硫非発泡原料組成物層の厚さ、つまり、非発泡ゴム層の膜厚が、発泡ゴム層内のセル平均径の50%に満たない場合にも、相当な範囲で平坦化が達成される。この表面平坦化が達成された時点で、より加硫速度が遅い未加硫非発泡原料組成物においても、加硫が進行して、流動性を失い、弾性体層の表面形状は、滑らかな金型の内面と一致したものとなる。
【0035】
以上に説明するとおり、本発明においては、より加硫速度が遅く、また、ムーニー粘度がより小さい未加硫非発泡原料組成物を上層に有するので、成形金型への押し付けにより成形される弾性体層表面は、気泡の抜けた跡に当たるピンホール様の表面欠陥がなく、さらには、表面粗さが極めて小さく、外径のバラツキがないゴムローラとなる。このより加硫速度が遅く、また、ムーニー粘度がより小さい未加硫非発泡原料組成物を上層に利用することによる作用は、未加硫非発泡原料組成物層の厚さ、つまり、非発泡ゴム層の膜厚がより厚くなっても、本質的に損なわれるものではない。しかしながら、非発泡ゴム層は、内部にセル構造がないので、通常、発泡ゴム層程の弾性を示さず、樹脂の硬度は比較的に高いものとなる。樹脂の硬度が高いと、非発泡ゴム層の膜厚が増すにつれ、全体として、ローラの硬度は増していく。この点を考慮すると、特別の理由がない限り、非発泡ゴム層の膜厚は、発泡ゴム層内のセル平均径の50%の値に対して、桁違いに厚くならない範囲とするとより好ましい。従って、非発泡ゴム層の膜厚は、発泡ゴム層内のセル平均径の10数倍以下、あるいは、数倍程度、例えば、2〜3倍を超えない範囲に選択すると一般により好ましいものとなる。
【0036】
本発明のゴムローラは、上層に用いる非発泡ゴム層の膜厚を薄くすることができ、低硬度なローラを得ることが可能であり、また、表面に欠陥がなく、形状の均一性も高いものであるので、例えば、弾性体層を導電性材質とするとき、周内での抵抗ムラなども小さくできるので、電子写真装置において、感光体表面と接触させて、その帯電に利用する帯電部材(帯電ローラ)やコピー用紙上へのトナー画像転写に利用する転写部材(転写ローラ)に、より適するものである。
【0037】
上記発泡ゴム層の原料に用いる未加硫未発泡原料組成物、ならびに非発泡ゴム層の原料に用いる未加硫非発泡原料組成物に用いられる原料ポリマーは、目的とするローラの用途に応じて選択するが、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、エチレン-プロピレンゴム(EPDM:エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体)、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロロヒドリンゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、塩素ゴムなど、汎用される各種のポリマーから選択するとよい。具体的には、未加硫未発泡原料組成物、ならびに未加硫非発泡原料組成物が、それぞれその加硫速度とムーニー粘度が上記の条件を満たすように、上記の各種ポリマーから選択する、あるいは、組み合わせるとよい。
【0038】
発泡ゴム層の原料に用いる未加硫未発泡原料組成物には、発泡剤が添加されるが、原料ポリマーの種類、加硫条件、その架橋温度などに応じて、所望の発泡倍率が得られる添加量、発泡剤種類を選択する。例えば、有機発泡剤として、ADCA(アゾジカルボンアミド)系、DPT(ジニトロソペンタメチレンテトラアミン)系、TSH(p-トルエンスルホニルヒドラジド)系、OBSH(オキシビスベンゼンスルフェニルヒドラジド)系などが挙げられる。前記の有機発泡剤を用いる際には、通常、上記の原料ポリマー100重量部に対して、発泡剤の添加量を2〜30重量部の範囲に選択する。また、場合に応じて、無機発泡剤を用いることも可能であり、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。また、前記発泡剤に加えて、適宜発泡助剤を添加することもできる。
【0039】
未加硫未発泡原料組成物、ならびに未加硫非発泡原料組成物には、用いる原料ポリマーの種類に応じて、加硫剤として、硫黄、あるいは、非硫黄加硫剤である、金属酸化物、有機過酸化物などから、所望の加硫速度を得る上で、適するものを添加する。また、加硫剤の添加量に応じて、公知の加硫促進剤から適するものを選択し、所望の架橋密度が得られるように適宜添加量を選び、添加する。さらに、各種の加硫促進助剤を添加することもなされる。
【0040】
発泡ゴム層ならびに非発泡ゴム層を導電性とする際には、原料組成物中の原料ポリマー中に、導電性粉末を分散させる。例えば、多用される導電粉としては、カーボンブラック、導電性カーボンなどのカーボン類、グラファイト、TiO2、SnO2、ZnOなどの導電性金属酸化物、SnO2とSb23の固溶体、ZnOとAl23の固溶体などの前記金属酸化物との複合酸化物、Cu、Agなどの金属粉、導電性の繊維などを挙げることができる。所望の導電率に応じ、また、用いる導電粉材料の比重に応じて、原料ポリマー100重量部に対して、導電粉の添加量を5〜200重量部の範囲で選択して、適宜添加する。
【0041】
その他、原料組成物には、無機充填剤、例えば、カーボンブラック、タルク、クレーなどを添加することもあり、また、原料組成物の混練や、その後の押し出しによる円筒形状の形成などに利する、プロセスオイル、軟化剤などを必要に応じて、適宜添加する。
【0042】
本発明の製造方法においては、上記の各成分を添加し、混練した未加硫非発泡原料組成物ならびに未加硫未発泡原料組成物は、未加硫非発泡原料組成物の加硫速度を、未加硫未発泡原料組成物の加硫速度より遅くし、ならびに、未加硫非発泡原料組成物のムーニー粘度を、未加硫未発泡原料組成物のムーニー粘度より小さくする。前記の条件を満たすように、原料ポリマーの種類、その他の添加成分を選択し、また、含有量を調整する。加硫速度は、実際に加硫を行う条件、温度において、予め測定し、その値を比較すべきものではあるが、一般に、JIS等において規定される加硫試験に準拠して、代表値を求め、その代表値が前記条件を満たすものであってよい。僅かな条件の差異があっても、加硫速度の大小関係は概ね保存されるので、加硫速度の大小関係に有意な差異がある限り、問題を生ずることはない。同じく、ムーニー粘度に関しても、JIS等において規定されるムーニー粘度試験に準拠して、代表値を求め、その代表値が前記条件を満たすものであってよい。
【0043】
例えば、加硫速度の代表値として、JIS K 6300に基づき、A法の加硫試験を、160℃、振れ角1度(JSRキュラストメータIII型)の条件で行い、測定結果から算定したt30の値を用いることができる。また、例えば、ムーニー粘度の代表値として、同じくJIS K 6300に基づき、ムーニー粘度試験を行い、ML(1+4)100℃の値を求め、このML(1+4)100℃の値を用いることができる。
【0044】
本発明においては、例えば、未加硫未発泡原料組成物の加硫速度を、前記t30の値において、1.5〜8の範囲に選択するとき、未加硫非発泡原料組成物の加硫速度を、前記t30の値において、2〜12の範囲に選択して、その際、未加硫非発泡原料組成物の加硫速度が、未加硫未発泡原料組成物の加硫速度のおよそ1.2〜3倍となるように選択すると、より好ましい結果が得られる。同時に、例えば、未加硫未発泡原料組成物のムーニー粘度を、前記ML(1+4)100℃の値において、28〜36の範囲に選択するとき、未加硫非発泡原料組成物の前記ML(1+4)100℃の値において、15〜40の範囲に選択して、その際、未加硫非発泡原料組成物のムーニー粘度が、未加硫未発泡原料組成物のムーニー粘度の0.8〜0.3倍となるように選択すると、より好ましい結果が得られる。
【0045】
本発明のゴムローラは、上記の弾性体層の外周面上に被覆薄膜層を設けることができる。例えば、前記被覆薄膜層として、導電性被膜を形成する際には、被膜の材質として、例えば、N−メチルメトキシ化ナイロン、ポリビニルブチラール、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、シリコン樹脂など、さらには、エピクロロヒドリン、ウレタン、クロロプレン、アクリロニトリル-ブタジエン系のゴムなどを利用することができる。これらから選択した被膜材料に、導電率を所望の値に調節するため、導電性顔料、例えば、カーボンブラックやカーボングラファイト、酸化チタン、酸化亜鉛などを適量添加するとよい。例えば、上記導電性被膜材料を塗工により、被膜形成する際には、これらの被膜成分物質を溶剤などに溶解または分散して、塗料状にし、被膜厚さに応じて、デッピング、スプレーコート、ロールコートなどの手段から適する手段を選択し、ローラの外周に均一に塗工するとよい。
【0046】
被覆薄膜層の膜厚は、その被覆目的に応じて、適宜選択すべきものであるが、本発明においては、目的とする機能が維持される限り、より薄い膜厚を選択するのが一般に好ましい。すなわち、一般に、被覆薄膜層を設けると、その膜厚が増すに従って、ローラ硬度の上昇を引き起こす傾向があり、不要な高硬度化を防ぐためには、被覆の目的を損なわない範囲で、より薄い膜厚を選択するのが一般に好ましい。
【0047】
【実施例】
以下、具体例を挙げて、本発明のゴムローラ、その製造方法について、より詳しく説明する。なお、下記する具体例では、主に電子写真感光体に接触配置させて、この感光体表面の帯電に用いる帯電ローラに適する、導電性のローラ部をゆうするゴムローラに適用した事例を述べるが、本発明は、これら具体例によりなんら限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
本実施例は、感光体表面の帯電に用いる帯電ローラの作製例であり、また、作製された帯電ローラが、成形されたローラの表面粗さは十分に小さくなり、同時に、外径精度や振れなどの形状精度も高く、適度なローラ硬度が再現性よく得られていることを検証した例である。
【0049】
本実施例においては、非発泡ゴム層用の未加硫非発泡原料組成物は、原料ポリマーとして、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(商品型番:EPT4045 三井石油化学(株)製)を、導電剤(導電粉)として、ケッチェンブラック(商品型番:ケッチェンブラックEC 三菱化学(株)製))あるいはSRFカーボンブラック(商品型番:旭#35 旭カーボン社製)を、軟化剤として、パラフィンオイルを、架橋剤(加硫剤)として、硫黄を、加硫促進剤として、メルカプトベンゾチアゾール(M)ならびにシクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)を、加硫促進助剤として、酸化鉛とステアリン酸を、それぞれ用い、各成分の含量(重量部)を、表1に示す値とした。混練には、オープンロールを用い、均一な組成物とした。
【0050】
また、発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物は、原料ポリマーとして、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(商品型番:EPT8075E 三井石油化学(株)製)を、導電剤(導電粉)として、ケッチェンブラック(商品型番:ケッチェンブラックEC 三菱化学(株)製))あるいはSRFカーボンブラック(商品型番:旭#35 旭カーボン社製)を、軟化剤として、パラフィンオイルを、架橋剤(加硫剤)として、硫黄を、加硫促進剤として、メルカプトベンゾチアゾール(M)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnBDC)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、ならびにシクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)を、加硫促進助剤として、酸化鉛とステアリン酸を、発泡剤として、ADCAおよびOBSHを、それぞれ用いて、各成分の含量(重量部)を、表1に示す値とした。混練には、オープンロールを用い、均一な組成物とした。
【0051】
この非発泡ゴム層用の未加硫非発泡原料組成物、ならびに発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物について、その加硫速度の指標値として、JIS K 6300に基づき、A法の加硫試験を、160℃、振れ角1度(JSRキュラストメータIII型)の条件で行い、測定結果から算定したt30の値を用いて、代表値とした。また、ムーニー粘度の指標値として、同じくJIS K 6300に基づき、ムーニー粘度試験を行い、ML(1+4)100℃の値を用い、代表値とした。前記加硫速度およびムーニー粘度の代表値を、表1に併せて示す。この代表値の比較からも判るとおり、本実施例において用いた、未加硫非発泡原料組成物の加硫速度は、未加硫未発泡原料組成物の加硫速度より有意に遅く、ならびに未加硫非発泡原料組成物のムーニー粘度は、未加硫未発泡原料組成物のムーニー粘度より有意に低いことが確認される。
【0052】
上記の非発泡ゴム層用の未加硫非発泡原料組成物、ならびに発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物を用い、図4に示す押し出し機と図5に示す押し出しヘッドを利用し、内径がφ7.75mmのダイと外径がφ5.0mmのニップルをヘッドにセットして、同時一体的に押し出しを行い、円筒状の積層体を形成した。成形金型の空孔部の長さ224mmに合わせて、その内部に収まるように、円筒状の積層体の長さをおよそ同じ長さでカットした。
【0053】
図4に示す押し出し機において、非発泡ゴム層用の未加硫非発泡原料組成物の押し出しは、スクリュー径φ50mmの押し出し機を、発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物の押し出しは、スクリュー径φ75mmの押し出し機を、それぞれ用い、二つの押し出し機の回転比をφ50:φ75=1:3に設定することで、発泡ゴム層と非発泡ゴム層の原料組成物厚さを調整した。
【0054】
芯金は、予めその表面に導電性の接着剤を塗布しておき、得られた円筒状の積層体の中心穴内に挿入して、芯金と円筒状の積層体の組み上げを行った。その後、図6に模式的に示すように、成形金型の両端に設けられる蓋体に、前記芯金末端を軸心を一致させて固定し、金型内部に積層体を配置した。この成形金型を、予め180℃に予熱してある図7の加熱盤に挿入し、15分間加熱して、加硫・発泡処理を施した。その結果、直径φ6mmの芯金の表面に、外形寸法が、長さ224mm、直径φ12mmであり、用いた金型の内面寸法、直径φ12.3mmに一致する弾性体層が形成された。表面の非発泡ゴム層の平均厚さは100μmであり、内部の発泡ゴム層の平均セル径は、153μmであった。従って、非発泡ゴム層の膜厚は、発泡ゴム層のセル径の、およそ65%に当たる。
【0055】
なお、前記の平均セル径は、発泡ゴム層の断面を顕微鏡などで観察し、視野内にある種々の大きさに見えるセル断面のうち、最大径のものから、10個程度の形が整っているものを選び、そのセル径の測定値を平均した値である。セル断面形状が、真円から大きく歪み、楕円状となっているものは、長径と短径の単純平均をセル径の測定値とした。
【0056】
なお、本実施例で利用した成形金型の形状・構成を、図6に模式的に示す。金型本体21は、外径φ26mm、その内面は、内径φ12.3mmの円筒状であり、両端には、ローラの芯金を挿入保持する穴を穿った蓋体(芯金保持部材)22が装着される。この蓋体22が装着した状態で、内面の長さは、上記のとおり224mmよりやや長くなる。蓋体22には、内部のガスの抜け道となるガス抜き孔23が設けられている。ローラの弾性体層となる、円筒状の積層体24は、中心の芯金を蓋体22により保持することで、金型内面と軸心を一致させて、配置される。一方、加熱盤は、図7にその形状を模式的に示すとおり、二分割される蓄熱ブロックからなり、分割面には、前記成形金型の外形寸法に合わせた空孔部25が形成されている。成形金型を挿入すると、その外周から均一な加熱がなされる。
【0057】
以上の手順で作製されるゴムローラの外径精度、表面粗さを評価した。押し出し機で作製される円筒状の積層体自体のばらつきをも考慮し、N=10本について平均値を求めた。外径については、ゴムローラの両端5mmの部分を除いた範囲について、非接触型のレーザー測長機を用いて、外径を測定し、最大値と最小値の差を、外径精度とした。なお、本実施例程度の外径を持つ、帯電ローラにおいては、外径精度が0.1mm以下であれば、良好とされる。
【0058】
さらに、上記の手順で作製されたゴムローラの表面に、導電性被膜層を塗工して、電子写真装置で用いる帯電ローラに調製した。導電性被膜層の被覆には、ポリウレタンを水中に分散させたポリウレタン液に対して、pH5〜6に調整して、粉末状の酸化錫をその界面の電気的反発力で分散させた導電性酸化錫スラリーとして、酸化錫を固体分比で30%相当分散させてなる導電性酸化錫添加ポリウレタン塗料を用いた。表面をシランカップリング剤で処理したローラ表面上は、前記塗料を塗工し、熱風炉内で120℃で、30分間の加熱・乾燥処理を行って、厚さ40μmの導電性薄膜の被覆を行った。最終的に、ローラ自体の抵抗が、10×106Ωの帯電ローラとした。
【0059】
また、作製した帯電ローラについて、上記の導電性薄膜を被覆した後、表面粗さを測定したところ、表面粗さは、Rz=0.89μmであり、被覆前の弾性体層の表面粗さを反映するものであった。
【0060】
加えて、作製した帯電ローラの抵抗について、周内の均一性を検討するため、図8に模式的に示す評価装置を用いて、周方向に関し、ローラの抵抗分布を測定した。図8に示す評価装置では、アルミニウム製のドラム29に帯電ローラ27が圧接するように、芯金28端部に加圧力f=500gを加えてある。この圧接した状態で、帯電ローラ27はドラム29に従動して、回転させる。芯金28を介して、電源30から、ドラム29との間に電圧DC 100Vを印加し、帯電ローラ27を回転させつつ、ローラの抵抗を測定した。周方向について、ローラの抵抗の測定値に基づき、周方向について、その最大値Rmaxと最小値Rminの比を求めた。比Rmax/Rminは、1.3であった。
【0061】
本実施例で作製された、上記導電性薄膜被覆付きの帯電ローラを、電子写真装置(型式:LBP-320 Canon製)に組み込み、15℃、10RHの環境下で実際の画像を出力したところ、帯電ローラの外径の不均一(外径精度不足)や表面の欠陥に由来すると報告されている画像不良の発生は見出されなかった。
【0062】
後に述べる従来方法で作製した、比較例1〜3、ならびに、比較例4において作製した帯電ローラと比較した。まず、導電性薄膜被覆前における弾性体層の外径精度については、表2に併せて示す。本実施例と同じく、弾性体層が発泡ゴム層と非発泡ゴム層の二層構造である、比較例1〜3において調製したローラと比較して、本実施例のローラは、外径精度が有意に向上し、0.1mm以下の良好な水準となっている。
【0063】
【表1】
Figure 0003950591
【0064】
【表2】
Figure 0003950591
(実施例2)
本実施例では、上記の実施例1と異なり、発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物において、原料ポリマーとして、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(商品型番:EPT8075E 三井石油化学(株)製)に代えて、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(商品型番:EPT4045 三井石油化学(株)製)を用い、それに伴い、軟化剤として添加する、パラフィンオイルの含有量を調整した。一方、非発泡ゴム層用の未加硫非発泡原料組成物は、実施例1に用いたものと同じ組成とした。用いた発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物、ならびに非発泡ゴム層用の未加硫非発泡原料組成物について、その成分組成(重量部)を表1に併せて示す。
【0065】
また、実施例1に記載する方法に従い、各原料組成物の加硫速度、ムーニー粘度を評価し、その結果も、表1に併せて示す。この代表値の比較からも判るとおり、本実施例においても、用いた未加硫非発泡原料組成物の加硫速度は、未加硫未発泡原料組成物の加硫速度より有意に遅く、ならびに未加硫非発泡原料組成物のムーニー粘度は、未加硫未発泡原料組成物のムーニー粘度より有意に低いことが確認される。ただし、実施例1と比べると、ムーニー粘度の差異は、より小さくなっている。
【0066】
実施例1の手順に準じて、円筒状の積層体を図4に示す押し出し機を用いて作製した。非発泡ゴム層用の未加硫非発泡原料組成物の押し出しは、スクリュー径φ50 mmの押し出し機を、発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物の押し出しは、スクリュー径φ75mmの押し出し機を、それぞれ用い、二つの押し出し機の回転比をφ50:φ75=1:3に設定することで、発泡ゴム層と非発泡ゴム層の原料組成物厚さを調整した。その後、実施例1の手順に従い、円筒状の積層体と芯金の一体化、加硫・発泡処理を施し、弾性体層の形成を行った。なお、円筒状積層体の寸法、用いた成形金型は、実施例1と同じ設計寸法とした。得られた弾性体層の外形寸法は、実施例1と本質的に同じであり、また、実施例1に記載する方法で、発泡ゴム層中の平均セル径、ならびに、非発泡ゴム層の平均膜厚を測定した。本実施例では、表面の非発泡ゴム層の平均厚さは100μmであり、内部の発泡ゴム層の平均セル径は、151μmであった。従って、非発泡ゴム層の膜厚は、発泡ゴム層のセル径の、およそ66%に当たる。
【0067】
また、作製した弾性体層の外径精度に関しても、実施例1の評価法により測定した。評価された弾性体層の外径精度は、表2に併せて示す。本実施例のローラは、その外径精度は、上記実施例1のローラにおける外径精度よりは僅かに劣る結果ではあった。この僅かな差異はあるものの、弾性体層が発泡ゴム層と非発泡ゴム層の二層構造である、比較例1〜3において調製したローラと比較して、本実施例のローラは、実施例1のローラと同じく、外径精度が有意に向上し、0.1mm以下の良好な水準となっている。
【0068】
さらに、実施例1と同じ手順・条件で、導電性薄膜の被覆を行い、最終的に、ローラ自体の抵抗が、およそ10×106Ωの帯電ローラとした。実施例1に記載される評価方法に準じて、本実施例で作製した帯電ローラの抵抗についても、周内の均一性を評価したところ、比Rmax/Rminは、1.3であった。それに対応して、本実施例で作製された、上記導電性薄膜被覆付きの帯電ローラを、電子写真装置(型式:LBP-320 Canon製)に組み込み、15℃、10RHの環境下で実際の画像を出力したところ、実施例1の帯電ローラと同じく、帯電ローラの外径の不均一(外径精度不足)や表面の欠陥に起因する画像不良の発生は見出されなかった。
【0069】
(実施例3)
本実施例では、発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物、ならびに、非発泡ゴム層用の未加硫非発泡原料組成物は、実施例1で用いたものと同じ組成とした。
【0070】
実施例1の手順に準じて、円筒状の積層体を図4に示す押し出し機を用いて作製した。非発泡ゴム層用の未加硫非発泡原料組成物の押し出しは、スクリュー径φ50mmの押し出し機を、発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物の押し出しは、スクリュー径φ75mmの押し出し機を、それぞれ用い、但し、二つの押し出し機の回転比をφ50:φ75=1:4に設定することで、非発泡ゴム層の原料組成物厚さを実施例1より薄くなるように調整した。その後、実施例1の手順に従い、円筒状の積層体と芯金の一体化、加硫・発泡処理を施し、弾性体層の形成を行った。なお、円筒状積層体の寸法、用いた成形金型は、実施例1と同じ設計寸法とした。得られた弾性体層の外形寸法は、実施例1と本質的に同じであり、また、実施例1に記載する方法で、発泡ゴム層中の平均セル径、ならびに、非発泡ゴム層の平均膜厚を測定した。本実施例では、設計したとおり、表面の非発泡ゴム層の平均厚さは60μmとなっており、内部の発泡ゴム層の平均セル径は、159μmであった。従って、非発泡ゴム層の膜厚は、発泡ゴム層のセル径の、およそ38%に当たる。
【0071】
また、弾性体層の表面を観察すると、実施例2のローラにおいては、相当の頻度で、微細な表面荒れが見出された。具体的には、非発泡ゴム層の表面には、微少なしわが見られる部分があり、さらには、下層の発泡ゴム層において、セルが潰れた跡に当たるピンホール状の窪みの発生も見られた。これらの微細な表面荒れにより、表面粗さは、実施例1のローラ弾性体層表面と比較し、より大きなものとなっていた。
【0072】
また、作製した弾性体層の外径精度に関しても、実施例1の評価法により測定した。評価された弾性体層の外径精度は、表2に併せて示す。本実施例のローラは、その外径精度は、上記実施例1のローラにおける外径精度よりは僅かであるが、有意に劣る結果ではあった。この外径精度における差異は、前記の微少なしわやピンホール状の窪みに対応して、外径の局所的な変動を反映しているものである。しかしながら、弾性体層が発泡ゴム層と非発泡ゴム層の二層構造である、比較例1〜3において調製したローラと比較して、本実施例のローラでも、外径精度は有意に向上していると判断され、従って、0.1mm以下の良好な水準は維持されている。
【0073】
さらに、実施例1と同じ手順・条件で、導電性薄膜の被覆を行い、最終的に、ローラ自体の抵抗が、およそ10×106Ωの帯電ローラとした。この被覆薄膜層を形成した結果、前記の微少なしわやピンホール状の窪みを被覆材料が埋め込み、平滑化がなされた。この帯電ローラとした段階では、その表面粗さ、外径精度ともに、実施例1で作製した帯電ローラと比較しても、遜色のない程度となっていた。
【0074】
実施例1に記載される評価方法に準じて、本実施例で作製した帯電ローラの抵抗についても、周内の均一性を評価したところ、比Rmax/Rminは、1.4であった。本実施例で作製された、上記導電性薄膜被覆付きの帯電ローラを、電子写真装置(型式:LBP-320 Canon製)に組み込み、15℃、10RHの環境下で実際の画像を出力したところ、実施例1の帯電ローラと同じく、帯電ローラの外径の不均一(外径精度不足)や表面の欠陥に起因する画像不良の発生は見出されなかった。
【0075】
(比較例1〜3)
比較例1〜3において用いた、発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物、ならびに、非発泡ゴム層用の未加硫非発泡原料組成物の組成(重量部)を、表1に対比のため、併せて示した。また、実施例1に記載する方法に従い、各原料組成物の加硫速度、ムーニー粘度を評価し、その結果も、表1に併せて示す。比較例1〜3において、比較例2を除き、用いた未加硫非発泡原料組成物の加硫速度は、未加硫未発泡原料組成物の加硫速度より早く、ならびに、比較例1を除き、未加硫非発泡原料組成物のムーニー粘度は、未加硫未発泡原料組成物のムーニー粘度より高いことが確認される。
【0076】
実施例1の手順に準じて、円筒状の積層体を図4に示す押し出し機を用いて作製した。非発泡ゴム層用の未加硫非発泡原料組成物の押し出しは、スクリュー径φ50mmの押し出し機を、発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物の押し出しは、スクリュー径φ75mmの押し出し機を、それぞれ用い、二つの押し出し機の回転比をφ50:φ75=1:3に設定することで、各原料組成物の厚さを調整した。その後、実施例1の手順に従い、円筒状の積層体と芯金の一体化、加硫・発泡処理を施し、弾性体層の形成を行った。なお、円筒状積層体の寸法、用いた成形金型は、実施例1と同じ設計寸法とした。
【0077】
得られた弾性体層の外形寸法は、実施例1と概ね同じであった。また、実施例1に記載する方法で、発泡ゴム層中の平均セル径、ならびに、非発泡ゴム層の平均膜厚を測定した。本比較例では、設計したとおり、表面の非発泡ゴム層の平均厚さは100μmとなっており、一方、各比較例における未加硫未発泡原料組成物の組成に応じて、内部の発泡ゴム層の平均セル径は、120〜150μmの範囲で分布するものであった。
【0078】
また、作製した弾性体層の外径精度に関しても、実施例1の評価法により測定した。評価された弾性体層の外径精度は、表2に併せて示す。比較例1〜3のローラは、その外径精度は、いずれも、0.1mmを有意に超えており、良好な水準はではないものであった。
【0079】
また、弾性体層の表面を観察すると、比較例1〜3のローラにおいては、高い頻度で、明確な表面荒れが見出された。具体的には、非発泡ゴム層の表面には、微少なしわや凹凸が幾つかの部分で見られた。あるいは、下層の発泡ゴム層から伝播してきて、表面でセルが潰れた跡に当たるピンホール状の窪みの発生も多く見られた。上述した低い外径精度の要因は、表面に生成した凹凸しわやピンホール状の窪みに対応して、外径の局所的な変動を反映しているものであった。
【0080】
すなわち、これらの表面荒れは、発泡ゴム層における局所的な発泡の不均一、異常発泡や発泡不足に由来する凹凸が、上層の非発泡ゴム層にまでその影響を及ぼした結果であった。
【0081】
さらに、実施例1と同じ手順・条件で、導電性薄膜の被覆を行い、最終的に、ローラ自体の抵抗が、およそ10×106Ωの帯電ローラとした。この導電性薄膜被覆付きの帯電ローラを、電子写真装置(型式:LBP-320 Canon製)に組み込み、15℃、10RHの環境下で実際の画像を出力したところ、異常発泡などを反映した表面の欠陥に起因し、画像不良の発生するローラが多数見出された。
【0082】
(比較例4)
上記の実施例2において用いた、発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物と同じものを用いて、上層の非発泡ゴム層を設けない、ゴムローラを作製した。すなわち、実施例2に記載する一連の手順に準じるものの、上層の非発泡ゴム層となる原料組成物は、押し出し機に投入しなかった。
【0083】
作製された弾性体層について、実施例1に記載する方法に従い、その外径精度を評価し、対比のため、結果を表2に示す。
【0084】
また、実施例2と同様に、導電性薄膜の被覆を行い、最終的に、ローラ自体の抵抗が、およそ10×106Ωの帯電ローラとした。被覆層を形成した後であっても、ローラ表面の表面粗さは、Rz=4.1μmであった。作製した帯電ローラの抵抗について、周内の均一性を評価したところ、比Rmax/Rminは、1.8にも達していた。この帯電ローラを、電子写真装置(型式:LBP-320 Canon製)に組み込み、15℃、10RHの環境下で実際の画像を出力したところ、帯電ローラ周内の抵抗ムラに起因すると判断される、画像不良の発生が、10本中、2本の頻度で見られた。
【0085】
【発明の効果】
本発明のゴムローラは、弾性体層を発泡ゴム層とその上層に膜厚が薄い非発泡ゴム層を同心円筒状に形成したものであり、発泡ゴム層用の未加硫未発泡原料組成物と非発泡ゴム層用の未加硫非発泡原料組成物を用い、一体的に同時に押し出し形成する積層体を加熱し、加硫ならびに発泡処理を行い製造するので、発泡ゴム層内での異常発泡や発泡不足が生じ難く、結果として、異常発泡や発泡不足に由来する表面の欠陥ならびに表面粗さが極めて少ないものとできる。従って、表面粗さが十分小さく、また、外径精度も高く、ローラ硬度自体も適正なゴムローラとなる。特に、本発明の製造方法によれば、このように良質な品質を持つゴムローラが、一体的に同時に押し出し形成する積層体を用いて、単一の加熱処理で作製できるので、その生産性は高く、かつ、再現性よく製造することができる利点を持つ。加えて、本発明のゴムローラでは、上記するように弾性体層の表面は、そのままでも、外径精度は高く、また、表面荒れもなく、表面粗さも十分に小さいものであり、表面粗さや表面荒れを改善する目的で被覆膜層を表面に設ける必要がないものである。仮に、例えば、表面の耐摩耗性の改善、あるいは、表面の導電率の更なる均一化などの目的で、被覆薄膜層を表面に設ける際にも、その膜厚を必要最小限に抑えることが可能となる。例えば、帯電ローラに適用すると、被覆薄膜層に起因するローラ硬度の上昇を抑えることができ、硬度を低く保ちつつ、導電性の均一化が図られ、抵抗ムラの少ない帯電ローラを、再現性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゴムローラを接触帯電部材、転写部材などに利用することが可能な、電子写真装置の構成と、各ゴムローラの役割を模式的に示す図である。
【図2】本発明のゴムローラの一例を示す図であり、弾性体層の構成を説明する模式図である。
【図3】表面に被覆薄膜層を設けた本発明のゴムローラの一例における構成を説明する模式図である。
【図4】円筒状の積層体形成に利用する押し出し機の構成を模式的に示す図である。
【図5】円筒状の積層体形成に利用する押し出しヘッドの構成を模式的に示す断面図である。
【図6】ゴムローラの製造に用いる成形金型、円筒状の積層体と一体化した芯金を保持する状態を模式的に示す断面図である。
【図7】成形金型の加熱に利用される加熱盤の一例を模式的に示す図である。
【図8】帯電ローラの抵抗測定器の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 感光体(像担持体)
2 帯電部材(帯電ローラ)
3 露光手段
4 現像部材
5 転写部材(転写ローラ)
6 転写材
7 定着部材
8 クリーニング部材
9 トナー
10 芯金
11 発泡ゴム層
12 非発泡ゴム層
13 被覆薄膜層
14 押し出し機(発泡ゴム層用)
15 押し出し機(非発泡ゴム層用)
16 押し出しヘッド
17 ニップル
18 ダイス
19 未加硫非発泡原料組成物の流路
20 未加硫未発泡原料組成物の流路
21 成形金型本体
22 蓋体(芯金保持部材)
23 ガス抜き孔
24 円筒状の積層体
25 空孔部(成形金型挿入用)
26 熱盤(蓄熱ブロック)
27 帯電ローラ(導電性ゴムローラ)
28 芯金
29 アルミニウムドラム
30 電源

Claims (6)

  1. 芯金の外周に、内側に発泡ゴム層を、その外側に非発泡ゴム層を持つ同心円筒状の弾性体が形成されてなるゴムローラであって、
    前記発泡ゴム層は、発泡体のポリマー原料と発泡剤を配合し、混練してなる未加硫未発泡原料組成物を加硫ならびに発泡させて得られる発泡ゴムを材質とし、
    前記非発泡ゴム層は、ポリマー原料を配合し、混練してなる未加硫非発泡原料組成物を加硫して得られる非発泡ゴムを材質とし、
    前記未加硫非発泡原料組成物の加硫速度を、前記未加硫未発泡原料組成物の加硫速度より遅くし、ならびに、前記未加硫非発泡原料組成物のムーニー粘度を、前記未加硫未発泡原料組成物のムーニー粘度より小さくし、
    前記未加硫非発泡原料組成物を、前記未加硫未発泡原料組成物の外周上に一体的に同時に押し出し形成される同心円筒状の積層体となし、前記同心円筒状の積層体の内に前記芯金は、軸中心を一致させて配置され、
    前記同心円筒状の積層体の外周より大きい、所定の円筒状内周面を有し、かつ前記芯金を前記円筒状内周面の同心軸上に保持するための蓋体を両端に有する円筒状の成形金型を用い、
    前記芯金と一体に配置してなる前記積層体を、前記成形金型内に配置し、加硫ならびに発泡の処理を施し、
    前記発泡に伴い、前記積層体の外周面を前記成形金型の内周面に押し付け、成形してなる内側に発泡ゴム層を、その外側に非発泡ゴム層を持つ同心円筒状の弾性体ゴム層を有することを特徴とするゴムローラ(但し、前記加硫速度は、JIS K 6300に基づき、A法の加硫試験を、160℃、振れ角1度の条件で行った測定結果から算定したt 30 の値とし、かつ、前記ムーニー粘度は、JIS K 6300に基づき、ムーニー粘度試験を行って求めたML (1+4) 100℃の値とする)
  2. 前記発泡ゴム層中の発泡セル径に対して、前記非発泡ゴム層の厚さが、前記セル径の50%以上であることを特徴とする請求項1に記載のゴムローラ。
  3. 前記非発泡ゴム層の外周面上に、一層又は二層以上の導電性の被覆薄膜層を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のゴムローラ。
  4. 前記発泡ゴム層および前記非発泡ゴム層は、ともに導電性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴムローラ。
  5. 電子写真プロセスを利用した画像形成装置であって、電子写真用感光体表面に接触配置し、前記感光体の帯電に用いる帯電ローラとして、請求項4に記載のゴムローラを用いていることを特徴とする画像形成装置
  6. 芯金の外周に、内側に発泡ゴム層を、その外側に非発泡ゴム層を持つ同心円筒状の弾性体が形成されてなるゴムローラの製造方法であって、
    (i)前記発泡ゴム層の原料としての、発泡体のポリマー原料と発泡剤を配合し混練してなる未加硫未発泡原料組成物を、前記非発泡ゴム層の原料としての、ポリマー原料を配合してなる未加硫非発泡原料組成物の外周上に一体的に同時に押し出し同心円筒状の積層体となし、前記同心円筒状の積層体の内に前記芯金を、軸中心を一致させて配置する工程;
    ii )前記同心円筒状の積層体の外周より大きい、所定の円筒状内周面を有し、かつ前記芯金を前記円筒状内周面の同心軸上に保持するための蓋体を両端に有する円筒状の成形金型を用い、前記工程(i)で調製した、前記芯金と一体に配置した前記積層体を、前記成形金型内に配置し、加硫ならびに発泡の処理を施す工程;及び
    iii )前記発泡に伴い、前記積層体の外周面を前記成形金型の内周面に押し付け、成形してなる内側に発泡ゴム層を、その外側に非発泡ゴム層を持つ同心円筒状の弾性体ゴム層を形成する工程、を有するゴムローラの製造方法において、
    前記未加硫非発泡原料組成物の加硫速度を、前記未加硫未発泡原料組成物の加硫速度より遅くし、ならびに、前記未加硫非発泡原料組成物のムーニー粘度を、前記未加硫未発泡原料組成物のムーニー粘度より小さくしていることを特徴とするゴムローラの製造方法( 但し、前記加硫速度は、JIS K 6300に基づき、A法の加硫試験を、160℃、振れ角1度の条件で行った測定結果から算定したt 30 の値とし、かつ、前記ムーニー粘度は、JIS K 6300に基づき、ムーニー粘度試験を行って求めたML (1+4) 100℃の値とする)。
JP24585099A 1999-08-31 1999-08-31 ゴムローラおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP3950591B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24585099A JP3950591B2 (ja) 1999-08-31 1999-08-31 ゴムローラおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24585099A JP3950591B2 (ja) 1999-08-31 1999-08-31 ゴムローラおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001062849A JP2001062849A (ja) 2001-03-13
JP3950591B2 true JP3950591B2 (ja) 2007-08-01

Family

ID=17139780

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24585099A Expired - Fee Related JP3950591B2 (ja) 1999-08-31 1999-08-31 ゴムローラおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3950591B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5056462B2 (ja) * 2008-02-19 2012-10-24 日立電線株式会社 発泡ゴムの製造装置
KR101381127B1 (ko) 2012-03-20 2014-04-04 김선기 전도성 폴리머 발포 탄성체

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001062849A (ja) 2001-03-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100739695B1 (ko) 튜브형 롤러, 그 제조방법, 및 이를 포함하는 전자사진 화상형성장치
JP3575054B2 (ja) 導電性ロールの製造方法
JP5097195B2 (ja) 帯電ロール及びその製造方法
JP5186337B2 (ja) 発泡弾性体およびその製造方法ならびに電子写真機器用導電性ロール
JP3950591B2 (ja) ゴムローラおよびその製造方法
JP2012155263A (ja) 導電性スポンジゴムローラ及び転写ローラ
JP2008180273A (ja) 導電性ゴムローラ及び現像ローラ
JP4280691B2 (ja) ローラ部材およびその製造方法
JP4262000B2 (ja) 導電性ローラ、導電性ローラの製造方法及び電子写真装置
JP2002347056A (ja) 発泡ローラの製造方法
JP4314111B2 (ja) 導電性ローラの製造方法
JPH08272209A (ja) 導電性ロールおよびその製法
JPH10319678A (ja) 導電性ゴムローラ
JP2005090627A (ja) 発泡ローラ及び該発泡ローラの製造方法
JP2005178027A (ja) ゴムローラの製造方法
JP4208581B2 (ja) 画像形成装置用発泡ローラの製造方法
JP2005300667A (ja) 帯電部材及びその製造方法
JP4109750B2 (ja) 弾性体ローラの製造方法
JP2002326248A (ja) 導電性発泡ローラの製造方法
JP4959410B2 (ja) 帯電ロールおよびその製法
JP2005254667A (ja) ゴムローラの表面処理法
JPH11114978A (ja) 導電性発泡体ローラ製造方法
JP2003131460A (ja) 導電性ローラおよびその製造方法
JP3907592B2 (ja) 帯電部材の製造方法
JP2011164176A (ja) 導電性スポンジゴムローラ及び転写ローラ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061002

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061018

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070411

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070423

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110427

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130427

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130427

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140427

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees