JP3948879B2 - 冷凍装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒を圧縮する能力を変更することのできる圧縮機を備えた冷凍装置に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の冷凍装置として、圧縮機の能力を吸入側の冷媒圧力に基づいて制御するようにした容量制御の装置が周知である。
【0003】
そして、容量制御されるようにした圧縮機は、吸入側の冷媒圧力が予め設定した下限値を切ったときには、吸入側冷媒圧力が上昇しても所定時間だけは停止させ、消費エネルギーの削減を図ると共に、圧縮機が起動/停止を頻繁に繰り返して装置寿命を縮めることがないようにしている。
【0004】
また、圧縮機を所定時間停止すると、被冷凍部の温度が上昇し冷凍負荷は増大するので、圧縮機がインバータ制御される電動機により駆動される冷凍装置においては、再起動時の圧縮機は最大周波数近辺まで周波数を上げて運転されることが多い。
【0005】
また、複数台の圧縮機を備えて冷媒の圧縮能力を高めるようにした冷凍装置においては、冷凍負荷の大きさに基づいて必要最小限度の能力を備えた圧縮機だけを運転する台数制御が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
吸入側の冷媒圧力が予め設定した下限値を切ったときに、圧縮機を所定時間停止させるようにした冷凍装置においては、例えば冬季に最適な運転が行われるように停止時間を設定すると、気温が上がり負荷が大きくなる夏季には能力不足に陥り、十分な冷却ができなくなると云った問題点がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来技術の課題を解決するための具体的手段として、吸入側圧力に基づいて冷媒を圧縮する能力が変更されると共に、吸入側圧力が所定の下限値で圧縮機の運転を所定停止時間停止する機能を備えた冷凍装置において、外気温度、圧縮機の吐出側冷媒圧力、店内温度に基づいて停止時間を求め、当該停止時間の内の最も短い時間を前記所定停止時間として自動的に変更する制御手段を備えたことを特徴とする冷凍装置を提供することにより、前記した従来技術の課題を解決するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
【0009】
例示した冷凍装置は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機1と、圧縮機1から供給された冷媒が図示しない送風機によって供給される外気などに放熱して凝縮する凝縮器2と、凝縮器2から供給される冷媒液が減圧弁3を介して供給され、蒸発する際に庫内などの空気から熱を奪ってそれを冷却する蒸発器4とが、冷媒管により順次配管接続されて冷凍サイクルを構成したものである。
【0010】
そして、圧縮機1は、電動モータ5によって冷媒の圧縮能力が可変制御される。すなわち、この冷凍装置においては、周波数変換機6により商用電力7が所望の周波数に変換され、その周波数変換された商用電力7が電動モータ5に与えられて電動モータ5が所望の回転数に制御され、それにより圧縮機1の回転数が制御されるように構成されている。
【0011】
制御器8は、この冷凍装置の制御器であり、図示しないマイコンや記憶手段などを備えて構成され、圧力センサ9および温度センサ10が検出したデータに基づいて、例えば図2に示したようにして圧縮機1の冷媒を圧縮する能力が制御されるようになっている。
【0012】
すなわち、制御器8は、図示しない記憶手段に図3に示した圧縮機1の運転中に行う判定の基準データと、圧縮機1の運転停止中に行う判定の基準データとを記憶しておき、圧縮機1の運転中は圧力センサ9が検出した圧縮機1の吸入側の冷媒圧力Pに基づいて圧縮機1の冷媒圧縮能力を変更するのか、維持するのかを判定し、圧縮機1の運転停止中は運転停止を継続するのか、再起動するのかを判定する。
【0013】
なお、以下の説明は、圧縮機1を駆動する電動モータ5が、20〜80Hzの周波数で運転するように設計されているとして説明する。
【0014】
そして、圧縮機1の運転中に行うゾーン判定の結果、圧力センサ9が検出した冷媒圧力Pが能力増強ゾーンにあるときには、周波数変換機6が商用電力7を定格最大周波数の80Hzに周波数変更していない限り、周波数変換機6により商用電力7の周波数を所定数、例えば2Hz/秒だけ増やしてゾーン判定に戻り、周波数変換機6が既に商用電力7を定格最大周波数の80Hzに周波数変更しているときにはそのままゾーン判定に戻り、冷媒圧力Pが能力維持ゾーンにあるときにはそのままゾーン判定に戻り、冷媒圧力Pが能力削減ゾーンにあるときには、周波数変換機6が商用電力7を定格最小周波数の20Hzに周波数変更していない限り、周波数変換機6により商用電力7の周波数を所定数、例えば2Hz/秒だけ減らしてゾーン判定に戻り、周波数変換機6が既に商用電力7を定格最小周波数の20Hzに周波数変更しているときには電動モータ5、すなわち圧縮機1の運転を停止する。
【0015】
また、圧力センサ9が検出した冷媒圧力Pが運転停止ゾーンにあるときにも、電動モータ5を停止して圧縮機1の運転を停止し、その停止している時間が予め設定した所定時間を越したか否かを判定し、所定時間が経過していないときはその判定を繰り返し、所定時間が経過するのを待って冷媒圧力Pが再起動ゾーンにあるか否かを改めて判定し、冷媒圧力Pが再起動ゾーンにないときにはその判定を繰り返し、冷媒圧力Pが再起動ゾーンに入るのを待って電動モータ5を再起動して圧縮機1を再起動させ、ゾーン判定に戻る。
【0016】
圧縮機1を停止させておく時間は、温度センサ10が検出する外気温度に基づいて、例えば図4のように制御器8により自動的に変更される。すなわち、外気温度が20℃以下のときは3分間停止し、30℃以上のときは1分間停止し、20℃と30℃の間にあるときは温度が上昇するほど短くなるように自動的に選択される。
【0017】
すなわち、外気の温度が高く、圧縮機1の運転を停止すると被冷凍部の温度が直ぐに上がり始める夏季などでは圧縮機1の停止時間は短く選定され、外気の温度が低く、圧縮機1の運転を停止しても被冷凍部の温度が上がり難く、運転を再開すると被冷凍部の温度が直ぐに下がる冬季などでは圧縮機1の停止時間は長く選定されるので、このような制御が行われる冷凍装置においては、夏季に冷却不足になることがないし、冬季に電動機5および圧縮機1が起動/停止を頻繁に繰り返してエネルギー消費を増大させたり、装置寿命を縮めると云ったこともない。
【0018】
なお、温度センサ10が検出する外気温度に代えて、図4の横軸下部分に記載したように、圧力センサ11が検出する圧縮機1吐出側の冷媒圧力(図4では高圧圧力と表示)を選定し、その冷媒圧力が例えば2.0MPa以下のときは圧縮機1を3分間停止し、2.2MPa以上のときは1分間停止し、2.0MPaと2.2MPaの間にあるときは圧力が高いほど圧縮機1の停止時間を短縮するように制御器8を構成しても良い。
【0019】
また、冷凍装置が空調可能な店内に設置されるショーケースなどである場合は、その店内温度が例えば20℃以下のときは圧縮機1を3分間停止し、25℃以上のときは1分間停止し、20℃と25℃の間にあるときは温度が高いほど圧縮機1の停止時間を短縮するように制御器8を構成することもできる。
【0020】
さらに、外気温度、圧縮機1吐出側冷媒圧力、店内温度それぞれに基づいて、圧縮機1を停止させる時間を図4の関係式などから求め、その内の最も短い時間をそのときの圧縮機1の停止時間として自動的に変更し、負荷が増大したときにも能力不足に陥ることがないように制御器8を構成することもできる。
【0021】
また、図2の制御フローに基づく運転制御により運転が停止された圧縮機1を再起動するときには、圧縮機1を制御器8により例えば図5に示したように制御する。
【0022】
すなわち、20〜80Hzの周波数で運転するように設計された電動モータ5により駆動される圧縮機1の成績係数は、図6に示したように定格最大周波数80Hzの60%程度の50Hz付近が最も高いので、再起動から所定時間、例えば3分間は周波数変換機6による商用電力7の周波数変換は、上限周波数を例えば50Hzに制限して圧縮機1の運転を行う。
【0023】
このような制御にすることにより、周波数変換機6で商用電力7を周波数変換して電動モータ5に与える最大周波数を抑えることができ、しかも圧縮機1の運転時間はそれほど増加しないので、電動モータ5に与える商用電力7の周波数をただ単に圧縮機1の吸入側冷媒圧力に基づいて周波数制御する従来の冷凍装置(周波数変換機6で周波数変換して電動モータ5に与える商用電力7の周波数の変化例を図5に破線で示した)に比べて、電力消費を約30%も削減することができるようになった。
【0024】
また、電動モータ5に与える最大周波数に制限を加えて電動モータ5、圧縮機1の回転数を抑えるようにしたので、騒音および振動も従来の冷凍装置に比較して顕著に小さくなった。
【0025】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態を、主に図7と図8に基づいて説明する。
前記図2に示した制御フローに基づく運転制御により運転が停止された圧縮機1を再起動するときには、再起動時の圧縮機1を制御器8により図7に示したように停止時間を1〜3分に可変にして制御することもできる。
【0026】
すなわち、圧縮機1の再起動時に商用電力7の周波数を周波数変換機6が周波数変換して電動モータ5に与える周波数の上限を制限する時間は、例えば図8に示したように、温度センサ10が検出する外気温度が20℃以下のときは起動から3分間とし、30℃以上のときは起動から1分間とし、20℃と30℃の間にあるときは温度が高いほどその時間が短くなるように自動的に変更する。
【0027】
このような制御が行われる冷凍装置においては、夏季の過負荷時にも冷却不足に一層ならないようにする対応が可能になり、年間を通じて常に最適の運転を行うことができる。
【0028】
なお、圧縮機1の再起動時に前記周波数の上限を制限する時間は、前記図4のときと同様に、圧力センサ11が検出する圧縮機1の吐出側冷媒圧力または店内温度に基づいて、図8のように自動的に変更されるようにしても良いし、さらに外気温度、圧縮機1吐出側冷媒圧力、店内温度それぞれに基づいて前記制限時間を図8の関係式などから求め、その内の最も短い時間をそのときの制限時間として自動的に変更し、負荷が増大したときにも能力不足に陥ることがないように制御器8を構成することもできる。
【0029】
〔参考例〕
本発明と関連する発明の参考例を、主に図9に基づいて説明する。
図9に例示した冷凍装置が、前記図1に示した冷凍装置と機器構成上相違する点は、能力の異なる3台の圧縮機、例えば7.5kWの圧縮機1Aと、10kWの圧縮機1Bと、15kWの圧縮機1Cとが並列に設置され、それに伴って電動モータ5がそれぞれの圧縮機に1台づつ設置されている点にある。なお、周波数変換機は設置されていない。
【0030】
そして、図9に示した冷凍装置の制御器8は、圧力センサ9が検出する圧縮機1A、1B、1Cの吸入側の冷媒圧力Pに基づいて、必要最小限度の能力が確保される台数の圧縮機を起動させると共に、その冷媒圧縮能力を冷媒圧力Pに基づいて制御する、台数制御機能を備えている。
【0031】
3台の圧縮機1A、1B、1Cは、圧力センサ9が検出する吸入側の冷媒圧力Pに基づいて、前記第1の実施形態、第2の実施形態などのように制御される。
【0032】
すなわち、図9に示した冷凍装置においても、その制御器8の図示しない記憶手段に、圧力センサ9が検出する圧縮機1A、1B、1Cの吸入側の冷媒圧力Pをその大きさで、前記図3の場合と同様に、運転中に行う判定基準としての能力増強ゾーン、能力維持ゾーン、能力削減ゾーン、運転停止ゾーンと、運転停止中に行う判定基準としての停止継続ゾーン、再起動ゾーンとに区分けして記憶しておき、
【0033】
圧縮機1A、1B、1Cが運転中であれば、圧力センサ9が検出した冷媒圧力Pに基づいて、先ず圧縮機1A、1B、1Cの能力を維持するのか、どのように変更するのかを判定し、前記図2のようにゾーン判定の結果、圧力センサ9が検出した冷媒の圧力Pが能力増強ゾーンにあるときには、全圧縮機運転までステップアップしていない限り、例えば1分で1ステップ容量アップするだけ圧縮機の運転台数を増やしてゾーン判定に戻り、全圧縮機運転までステップアップしているときにはそのままゾーン判定に戻り、能力維持ゾーンにあるときにはそのままゾーン判定に戻り、能力削減ゾーンにあるときには、全圧縮機停止までステップダウンしていない限り、例えば1分で1ステップ容量ダウンするだけ圧縮機の運転台数を減らしてゾーン判定に戻り、全圧縮機停止までステップダウンしているときには各電動モータ5、すなわち3台の圧縮機1A、1B、1Cの運転を停止する。
【0034】
また、圧力センサ9が検出した冷媒圧力Pが運転停止ゾーンにあるときにも、各電動モータ5を停止して圧縮機1A、1B、1Cの運転を停止し、その停止している時間が予め設定した所定時間を越したか否かを判定し、所定時間が経過していないときはその判定を繰り返し、所定時間が経過するのを待って冷媒圧力Pが再起動ゾーンにあるか否かを改めて判定し、冷媒圧力Pが再起動ゾーンにないときにはその判定を繰り返し、冷媒圧力Pが再起動ゾーンに入るのを待って所要の電動モータ5を再起動して対応する圧縮機を再起動させ、ゾーン判定に戻る。
【0035】
また、この制御器8には、必要に応じて前記制御を停止し、圧力センサ9が検出した圧縮機1A、1B、1Cの吸入側の冷媒圧力Pに基づいて、3台の圧縮機を同時に起動したり、停止したりすることもできるように構成されている。
【0036】
したがって、この図9に示した参考例の冷凍装置においては、複数の圧縮機を同時に起動させることができるので、冷凍能力を急激に増加させることができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0038】
例えば第1および第2の実施形態の冷凍装置においては、商用電力7の周波数を増やしてゾーン判定に戻るときと、商用電力7の周波数を減らしてゾーン判定に戻るときは、圧力センサ9が検出した冷媒圧力Pが能力維持ゾーンに近いほど周波数の変更速度を小さくし、前記冷媒圧力Pが能力維持ゾーンから離れるほど周波数の変更速度を大きくするように制御しても良い。
【0039】
また、参考例の冷凍装置においては、能力の異なる3台の圧縮機を設けるようにしたが、能力の同じ圧縮機を3台並列に設けても良い。また、複数台設置する圧縮機は、3台より少なくても多くてももちろん構わない。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、外気の温度が高く、圧縮機の運転を停止すると被冷凍部の温度が直ぐに上がり始める夏季などでは圧縮機の停止時間を短くし、外気の温度が低く、圧縮機の運転を停止しても被冷凍部の温度が上がり難く、運転を再開すると被冷凍部の温度が直ぐに下がる冬季などでは圧縮機の停止時間を長くすることで、夏季に冷却不足になることがないようにし、且つ、冬季に圧縮機が起動/停止を頻繁に繰り返してエネルギー消費が増大したり、装置寿命が縮まることがないようにすることができる。
【0041】
また、外気温度、圧縮機の吐出側冷媒圧力、店内温度に基づいて停止時間を求め、当該停止時間の内の最も短い時間を前記所定停止時間として自動的に変更することで、冷凍装置の負荷が増大した時でも能力不足に陥ることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1および第2の実施形態の装置構成を示す説明図である。
【図2】 第1の実施形態における制御例を示す説明図である。
【図3】 吸入側冷媒圧力の大きさと、圧縮機の制御の方向を示す説明図である。
【図4】 圧縮機の停止時間を決める方法を示す説明図である。
【図5】 再起動時における圧縮機の制御例を示す説明図である。
【図6】 圧縮機の成績係数を示す説明図である。
【図7】 第2の実施形態における再起動時の圧縮機の制御例を示す説明図である。
【図8】 第2の実施形態において周波数制限時間を決める方法を示す説明図である。
【図9】 参考例の構成を示す説明図である。
Claims (1)
- 吸入側圧力に基づいて冷媒を圧縮する能力が変更されると共に、吸入側圧力が所定の下限値で圧縮機の運転を所定停止時間停止する機能を備えた冷凍装置において、
外気温度、圧縮機の吐出側冷媒圧力、店内温度に基づいて停止時間を求め、
当該停止時間の内の最も短い時間を前記所定停止時間として自動的に変更する制御手段を備えたことを特徴とする冷凍装置。
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