JP3948593B2 - 膜の洗浄方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川水、湖沼水、伏流水等の上水、工業用水原水、下水、下水二次処理水、工業排水、家庭排水、屎尿、海水などの膜濾過方法を利用した水処理における膜の洗浄方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記の様な原水を膜で濾過すると、該原水中に含まれる、使用する膜の孔径以上の大きさの懸濁物質や有機物は膜で阻止され、いわゆる濃度分極やケーク層を形成すると同時に、該原水中の有機物は膜を目詰まりさせたり、あるいは膜内部の網状組織に吸着する。その結果、原水を濾過した際の膜の濾過流束は、清澄水を濾過した際のそれに比べて数分の1から数十分の1にまで低下してしまい又、濾過の継続に従って濾過流束は徐々に低下していく。
【0003】
また、中空糸膜モジュールを用いたろ過方法のうち、中空糸膜の外表面側から内表面側へろ過する、いわゆる外圧式ろ過方法は、中空糸膜の内表面側から外表面側へろ過する内圧式ろ過方法に比べて、単位容積当たりのろ過に寄与する膜面積が大きく確保可能であるため、造水コストのミニマム化が要求される分野、例えば、上水道を作るための除濁の様な水処理分野に使用されている例があり、その際に、ろ過水をより、安定に採水可能となるように、定期的に物理洗浄を実施するろ過方法が開示されている。
【0004】
具体的には、一定時間濾過後に、濾過水の一部を使用して、膜の濾過水側から原水側へと、濾過とは逆方向に水を流す、逆流洗浄(以後、逆洗と略す)、水で満たされた状態の中空糸膜モジュールの下方から上方へと圧縮空気を供給する事により、糸を揺り動かし、中空糸膜間に蓄積した懸濁物質を系外へ排出する、エアスクラビングがある。
また、特開昭60−19002号公報には、逆洗と共に、中空糸膜収納容器内の中空糸膜の側方または下方に気泡発生ノズルを配置しこのノズルから気体を噴出させる方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記、逆洗やエアスクラビングはいずれも、膜表面及び膜間に蓄積する懸濁物質の排除には、有効な手法であり、ろ過運転をより安定なものとするものであるが、特開昭60−19002号公報に開示されたようなモジュール内に配置された気泡発生ノズルから気体を噴出させる方法では、発生する気泡が小さく、膜表面に蓄積する懸濁物質の量が多い場合、満足な洗浄効果が得られない。そこで、本願の様な原水をモジュールに送る配管の途中に気体を導入し、モジュールに設置された原水導入口を介してモジュールに気体を導入するエアスクラビングを行うと、モジュール内に大きな気体のかたまりを導入することができ、膜が激しく揺れ、洗浄が効率よく行われるが、該懸濁物質を介して膜の外表面同士が擦れ、膜表面が潰れることにより、表面開孔が閉塞し、ろ過運転の安定性が損なわれてしまう場合がある。特に、蓄積する懸濁物質の粒径が大きく、膜表面に蓄積する量が多い時に、上記のような激しいエアスクラビングを行うと、膜表面が傷つく現象が顕著に起こる。さらに、上記現象が継続されると、膜の破損にいたる可能性もある。
【0006】
本発明者らは、膜の洗浄方法について鋭意検討した結果、以下の発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(1)原水を中空糸膜モジュールに送る配管に気体を導入し、中空糸膜モジュールの膜端部接着固定部の片方に設けられた原水導入口を介して中空糸膜モジュール内に気体を導入すると同時に、中空糸膜の濾水側に、気体または液体を導入して、中空糸膜の濾水側から原水側に気体または液体を透過させる事を特徴とする外圧式濾過中空糸膜の洗浄方法、(2)濁質成分が0.1〜500μmの粒子を含む原水を、(原水の濁度(度))×(洗浄と洗浄の間に膜を透過する水の量(m))/(膜表面積(m))の値が0.001以上である濾過と、上記(1)記載の洗浄を交互に行う外圧式濾過中空糸膜の洗浄方法、に関する。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の対象となる原水は、河川水、湖沼水、地下水、貯水、下水二次処理水、工場排水、下水などである。本発明は、濾過中に膜表面に蓄積した懸濁物質の粒径が大きく、中空糸膜表面に蓄積する量が多いときに有効な中空糸(以下中空糸膜を単に膜というときもある)の洗浄方法である。気泡発生ノズルから出た細かいエアーでは洗浄力が劣る場合、原水を中空糸膜モジュール(以下、中空糸膜モジュールを単に膜モジュールあるいはモジュールということもある)に送る配管に気体を導入し、中空糸膜モジュールの膜端部接着固定部の片方に設置された原水導入口を介して中空糸膜モジュールに気体を導入すると、大きな気体のかたまりで激しいエアラビングを行うことができる。この方法は、膜が激しく揺れ、洗浄効果は高いが、一方、懸濁物質を介して膜の該表面が激しく擦れ、膜表面が潰れることにより表面開孔が閉塞し、ろ過運転の安定性が損なわれるおそれがある。これを防ぐために、本発明ではエアスクラビングを行うときに同時に、膜の濾過水側に、気体または液体を導入して、膜の濾水側から原水側に気体または液体を透過させる。この方法によれば、膜面同士が擦れにくくなり、膜表面が潰れることがない。以下各々詳細に述べる。
【0008】
[多孔膜]
多孔膜としては、膜の素材として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン;テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド等のスーパーエンジニアリングプラスチック;酢酸セルロース、エチルセルロース等のセルロース類;ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコールの単独及びこれらの混合物、また、セラミック等の無機膜が挙げられる。特に、フッ素系樹脂性膜、無機膜が、耐酸化性に優れるため好ましいが、特に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜を使用すれば好ましい。
【0009】
このような多孔膜のうち、その孔径領域が逆浸透膜、ナノフィルター、限外濾過(UF)膜、精密濾過(MF)膜であるものが使用し得るが、基本的に高い濾過流量を有する、限外濾過(UF)膜、精密濾過(MF)膜を使用するのが好ましく、特に、精密濾過(MF)膜を使用するのが好ましい。例えば、平均孔径が0.001〜1μmの膜が好ましく、平均孔径0.05〜1μmの膜がさらに好ましい。
【0010】
多孔膜の形状としては、中空糸状、平膜状など任意の形状を用いることができるが、単位体積当たりの膜面積が大きくとれる中空糸状が好ましい。中空糸状膜の形状としては、ストレート中空糸膜、ウェーブをつけた中空糸膜などがあるが、ウェーブをつけた中空糸膜の方が、濁質の排出性など理由から、好ましい。
一般に、濾過は膜を収納したモジュールを用いて行われる。
【0011】
[膜モジュール]
この発明で使用される膜モジュールは、配管等を介して接続される中空糸膜モジュールに加え、管板のあるタンクや外郭ハウジングに挿入・配置する事によって使用される、カートリッジ型膜モジュールも含まれる。
また、膜モジュールの両側端部接着固定に使用される熱硬化性樹脂の例を挙げると、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーンゴム等である。また、これらの樹脂にシリカ、カーボンブラック、フッ化カーボン等のフィラーを混入させる事により、樹脂隔壁部の強度向上及び硬化収縮の低減をはかっても良い。
膜モジュールのモジュールケースに使用される材質を例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PFA、FEP、EPE、ETFE、PCTFE、ECTFE、PVDF等のフッ素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素樹脂;ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、PMMAなどのアクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の単独及びこれらの混合物、及び、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属が挙げられる。
【0012】
膜モジュールの膜端部接着固定部の片方には、原水及びエアスクラビング用気体導入のための孔がもうけられる。孔の大きさは、3mm以上10cm以下が好ましい。孔の大きさが、3mmより小さいと、モジュールに導入された気泡の大きさが小さく、エアスクラビング時に膜の揺れが激しく無く、孔の大きさが10cmより大きいと、モジュール内の膜充填本数を下げるので、好ましくない。
【0013】
[多孔膜の濾過方法]
濾過方式としては、全量濾過方式でもクロスフロー濾過方式でもよい。
また、加圧濾過方式でも陰圧濾過方式でもよいが、加圧濾過方式がより高い濾過流束が得られるため好ましい。
【0014】
[多孔膜の洗浄方法]
本発明の、原水導入配管に気体を導入し、モジュールに設置された原水導入口を介してモジュールに気体を導入するエアスクラビングとは、気体発生ノズルを用いず、原水導入配管に直接気体を注入する単純な装置を用い、モジュールに設置された原水導入口の大きさを制御して、モジュール内の気体の大きさを変え、濾過と濾過の間の洗浄時に、気体を混入させた原水または気体のみを膜モジュール内に供給する事により、モジュール内の膜表面及び膜間に蓄積した懸濁物質を脱離、排出する操作を指す。
【0015】
本発明の、膜の濾水側に、気体または液体を導入して、膜の濾水側から原水側に気体または液体を透過させる逆流洗浄とは、懸濁水をろ過した、ろ水の一部を使用し、膜のろ水側(外圧式ろ過の場合では、内表面側)から原水側(外圧式ろ過の場合では、外表面側)へと、定常状態のろ過とは逆方向に気体または液体の流れを発生させる操作を指す。この場合、気体と液体の混合物を用いることも含まれる。
【0016】
原水導入配管に気体を導入し、モジュールに設置された原水導入口を介してモジュールに気体を導入する事により、モジュール内に配置された気泡発生ノズルから小さい気体を噴出させる方法に比べて、気泡を大きくする事ができるので、膜をより大きく揺らす事ができ、膜の洗浄効果も大きいが、このエアスクラビングを単独で行う場合、該懸濁物質を介して膜の外表面同士がより激しく擦れ、膜表面が潰れることにより、表面開孔が閉塞し、ろ過運転の安定性が損なわれてしまう場合がある。特に、原水の中の粒子の粒径が大きく、従って、濾過中に膜表面に蓄積した懸濁物質の粒径が大きく、膜表面に蓄積する量が多い時に、本願の様な激しいエアスクラビングを行うと、その現象が顕著に起こる。そこで、本発明では、上記エアバブリングを行うときに、同時に、膜の濾水側に、気体または液体を導入して、膜の濾水側から原水側に気体または液体を透過させる逆流洗浄を行うことが必須である。
【0017】
濾過とエアスクラビング、逆流洗浄のそれぞれの時間は、適宜選択出来、濾過流量の回復性と、濾過水の回収率を勘案して、適宜決めればよい。
通常、洗浄と洗浄の間の濾過時間の1/10000〜1/5の時間をエアバブリング、逆流洗浄の時間にあてる事が好ましい。1/10000より頻度が少ないと、洗浄効果が少なく、1/5より頻度が多いと、濾水の回収率が悪いので、好ましくない。
【0018】
エアスクラビングの供給エアーの単位時間あたりの流量は標準状態において、単位時間あたりの濾過流量の0.1〜20倍の流量を供給するのが好ましく、0.5〜10倍の流量であることがより好ましい。これらの流量以下では、洗浄効果が低く、これら流量以上では、膜の乾燥等が起こる可能性がある。
逆流洗浄の気体、液体、気体及び液体の単位時間あたりの逆洗流量は、濾水回収率と膜擦れ合い防止とのかね合いから、単位時間あたりの濾過流量の0.01〜10倍の流量が好ましく、0.1〜3倍の流量が特に好ましい。これら逆洗流量より低いと、膜の擦れ合いを防止する効果が低く、洗浄の効果も低くなり、これら単位時間あたりの逆洗流量より、流量が高いと、濾水の回収率低くなり、好ましくない。
【0019】
本発明によれば、エアスクラビングにより気体を導入する際は常に逆流洗浄と同時に行うと良いが、気体の導入(同時に逆流洗浄)に先立ち逆流洗浄のみを行っても良い。あるいは気体の導入(同時に逆流洗浄)を行った後逆流洗浄のみを行っても良い。
さらに、同時に原水を導入しながら気体を導入し同時に逆流洗浄しても良いし、原水を導入せずに行っても良い。あるいは、これらを交互に組み合わせても良い。
気体の導入(同時に逆流洗浄)に先立ち原水のみ導入を行っても良い。あるいは気体の導入(同時に逆流洗浄)を行った後原水のみ導入を行っても良い。
【0020】
[原水水質]
本発明の原水に含まれる濁質成分とは、鉄、マンガン、アルミニウム、シリコン等の金属及びその酸化物の単独及び混合物、及び/又は、それらが、有機物、例えば、フミン酸、フルボ酸等により凝集したものを指し、該微粒子の大きさは、0.1〜500μmの範囲内のものを含むものである。河川水等には、それ以上の粒径の粒子も含まれているが、通常、膜モジュールに導入される原水は、スクリーンメッシュ等による前処理が行われるので500μmを超える様な微粒子がろ過膜モジュールへ供給される可能性は、極めて少ない。本発明のろ過方法でいう、微粒子の粒径は、レーザー回折/散乱式の粒度分布測定装置により、測定した値である。
【0021】
また、本発明の濁度とは、日間平均濁度であり、JIS K0101 9.2に準拠して複数日、測定し、平均した値である。
本願の様な、原水をモジュールに送る配管の途中に気体を導入し、モジュールに設置された原水導入口を介してモジュールに気体を導入するエアスクラビングを逆流洗浄と別に行う場合、そのエアスクラビングを行う時点で単位膜面積あたりに蓄積している濁質の量が多いと、膜表面がより傷つく。単位膜面積(m2 )を洗浄と洗浄の間に透過する総濾過水量(m3 )とその原水の濁度(度)を乗じた値が0.01以上の場合、上記の様な、激しいエアスクラビングを単独で行うと、膜表面が傷つくが、本発明によれば、高い膜濾過流束で、高品質の処理水が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に用いられる膜及び、膜モジュールの製法例と、懸濁水のろ過方法の例を説明する。
なお、例3〜6の濁度、粒度の測定は、
濁度:測定装置は、島津製作所製のUV−160A、50mmセルを使用し、測定方法は、JIS K0101 9.2に準拠して実施した。
微粒子の粒径:測定装置は、堀場製作所製のLA−910粒度分布計を使用して測定した。
【0023】
【例1】
(膜の製造例)
PVDFパウダー(呉羽化学社製、KF#1000)、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、R−972[平均1次粒子径0.016μm、比表面積110m2 /g、Mw値=50%])、DOP(チッソ社製、CSサイザー)、DBP(チッソ社製)をそれぞれ40.0/23.0/30.8/6.2重量部取り分け、ヘンシェルミキサーにより混合した後、2軸押し出し機により、ペレットを作成した。
【0024】
上記ペレットを、バレル温度260℃、ヘッド温度235℃、紡口温度230℃の温度条件の2軸押し出し機から、寸法:1.70mmφ/0.90mmφ/0.50mmφの2重紡口を経て、紡口から30cm下方の温度40℃の冷却・固化浴(水温40℃の温水)中に溶融押し出しした。
この中空糸膜をワインダーに巻き取り、該中空糸膜束をジクロロメタンを使用し、以下の抽出条件で中空糸膜中のDOPとDBPを抽出した。
【0025】
処理条件:室温(25〜27℃)、中空糸膜の単純体積(内/外径、長さより算出)に対する該ジクロロメタンの体積:20倍量、処理時間:5時間。
次に50%エタノール水溶液に上記中空糸膜束を30分浸漬し、次いで、重量パーセント濃度20%の水酸化ナトリウム水溶液を使用し、以下の抽出条件で中空糸膜中のシリカを抽出した。
処理温度:60℃、中空糸膜の単純体積(内/外径、長さより算出)に対する該水溶液の体積:20倍量(疎水性シリカに対する当量比で8倍当量)、処理時間:2時間。
【0026】
その後、該水酸化ナトリウム水溶液と同一体積の60℃温水での温水洗浄を1時間行い、この温水洗浄を合計10回繰り返した。
以上により、内/外径:0.70/1.25mmφ、空孔率70%、平均孔径0.18μmである中空糸多孔質膜を得た。
【0027】
【例2】
(膜モジュールの製造例)
例1で製膜した中空糸多孔質膜を1800本束ねた。
次に、この束の片側端面中空部を目止め処理した後、内径83mmφ、長さ1000mmの、ポリ塩化ビニル製円筒状モジュールケースに収納し、目止め処理を行った端部には、接着冶具のみを、他方端部には、中空糸多孔質膜と平行に、外径 11mmφのポリプロピレン製棒状物を合計5本配置した後に接着冶具を取り付けた。上記、接着冶具が両側に取り付けられたモジュールケースを2液性エポキシ接着剤により、遠心注型を行った。
【0028】
遠心注型終了後、接着冶具、ポリプロピレン製棒状物を取り除き、目止め処理を行った側の接着端部を切断し、中空糸中空部を開口させた。
以上の様にして、中空糸膜モジュールを作成した。
この膜モジュールをエタノールで親水化し、さらに、水への置換処理を行った後、純水透過水量を測定した。
その後、1気圧の圧縮空気により、リーク検査を行ったが、リークの発生は、確認されなかった。
【0029】
【例3】
(実施例)
例2の中空糸膜モジュールを使用して、原水1として、濁度が0.1〜5度、水中の微粒子の粒径が0.9〜30μm(中央値は、9μm)、水温が12℃の河川表流水を用いた。図1に示すように、原水1は循環タンク2を経て原水供給ポンプ3により膜モジュール4へ圧送され、得られた濾過水は濾水タンク5に貯められる。逆洗時に、濾水タンク5中の濾過水は逆洗ポンプ6により膜モジュール4に送られる。また、エアーバブリングは、コンプレッサー7で発生した空気を、膜モジュール4の1次側の原水導入配管に注入して行った。
【0030】
濾過は膜モジュール4へ原水1を一定流量8.4m3 /m2 /日で供給する定流量濾過とし、また、膜濾過水量と循環水量の比を1対1としたクロスフロー方式で行い、濾過水量は、一定水量4.2m3 /m2 /日で運転した。
運転条件は、濾過を20分間行った後、濾水による逆流洗浄を20秒間行うという操作を繰り返し、1時間毎に濾過水による逆流洗浄と毎時2Nm3 の空気によるエアースクラビングを同時に2分間行った。
(原水の濁度(度))×(洗浄と洗浄の間に膜を透過する総濾過水量(m3 ))/(膜表面積(m2 ))の値は0.44であった。
【0031】
上記運転条件で12ヶ月間運転した後の膜間平均差圧は、1.9kg/cm2 、であった。その後、モジュールを装置から取り外し、リーク検査を行ったが、リークは確認されなかった。また、運転後の膜モジュールを解体し、単糸を次亜塩素酸ナトリウムと苛性ソーダの混合液と蓚酸と硝酸の混合液で薬品洗浄した後、純水透水量を測定したところ、未使用の膜の透水量の95%に相当する透水量であり、膜外表面を倍率5,000倍の走査型電子顕微鏡で観察したところ、膜の外表面の傷つきは軽微であった。
【0032】
【例4】
(実施例)
例3で使用したのと同じモジュールを使用し、膜濾過の運転条件を、濾過を60分間行った後、濾過水による逆流洗浄と空気を用いたエアースクラビングを同時に2分間行う運転方式に変更した以外は例3と、同じ実験を行った。
(原水の濁度(度))×(洗浄と洗浄の間に膜を透過する総濾過水量(m3 ))/(膜表面積(m2 ))の値は0.44であった。
【0033】
上記運転条件で12ヶ月間運転した後の膜間平均差圧は、2.1kg/cm2 であった。その後、モジュールを装置から取り外し、リーク検査を行ったが、リークは確認されなかった。また、運転後の膜モジュールを解体し、単糸を次亜塩素酸ナトリウムと苛性ソーダの混合液と蓚酸と硝酸の混合液で薬品洗浄した後、純水透水量を測定したところ、未使用の膜の透水量の95%に相当する透水量であり、膜外表面を倍率5,000倍の走査型電子顕微鏡で観察したところ、膜の外表面の傷つきは軽微であった。
【0034】
【例5】
(比較例)
例3において、濾過水による逆流洗浄と空気を用いたエアースクラビングを同時に行うのに換えて、エアーのみのスクラビングを行って、例3と同様の実験を行った。
6ヶ月後の膜間平均差圧は、2.5kg/cm2 であり、これ以上の濾過運転の継続はできなかった。また、運転後の膜モジュールを解体し、単糸を次亜塩素酸ナトリウムと苛性ソーダの混合液と蓚酸と硝酸の混合液で薬品洗浄した後、純水透水量を測定したところ、未使用の膜の透水量の80%に相当する透水量であった。膜外表面を倍率5,000倍の走査型電子顕微鏡で観察したところ、膜表面が荒れ、膜表面の開孔の一部が閉塞しており、透過水量の低下の要因と推定された。
【0035】
【例6】
(比較例)
例5において、原水1を、濁度0.1度の水に変更し、膜濾過の運転条件を、濾過3分間行った後、エアーのみのスクラビングに変更した以外は例5と、同じ実験を行った。
(原水の濁度(度))×(洗浄と洗浄の間に膜を透過する総濾過水量(m3 ))/(膜表面積(m2 ))の値は0.009であった。
上記運転条件で12ヶ月間運転した後の膜間平均差圧は、2.5kg/cm2 であり、これ以上の濾過運転の継続はできなかった。その後、モジュールを装置から取り外し、リーク検査を行ったが、リークは確認されなかった。また、運転後の膜モジュールを解体し、単糸を次亜塩素酸ナトリウムと苛性ソーダの混合液と蓚酸と硝酸の混合液で薬品洗浄した後、純水透水量を測定したところ、未使用の膜の透水量の95%に相当する透水量であり、膜外表面を倍率5,000倍の走査型電子顕微鏡で観察したところ、膜の外表面の傷つきは軽微であった。
【0036】
【例7】
(比較例)
例3で使用したのと同じモジュールを使用し、コンプレッサー7で発生した圧縮空気を、モジュール内の膜下方に設置した、2mmのノズル孔径を持った気泡発生ノズルを通し、エアスクラビングを行った以外は、例3と、同じ実験を行った。上記運転条件で3ヶ月間運転した後の膜間平均差圧は、2.5kg/cm2 であり、これ以上の濾過運転の継続はできなかった。。その後、モジュールを装置から取り外し、リーク検査を行ったが、リークは確認されなかった。また、運転後の膜モジュールを解体し、単糸を次亜塩素酸ナトリウムと苛性ソーダの混合液と蓚酸と硝酸の混合液で薬品洗浄した後、純水透水量を測定したところ、未使用の膜の透水量の95%に相当する透水量であり、膜外表面を倍率5,000倍の走査型電子顕微鏡で観察したところ、膜の外表面の傷つきは軽微であった。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、膜を傷つけずに効果的に洗浄を行う事ができ、この結果、長期間に渡って高い膜濾過流束を維持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の膜の洗浄方法を組み込んだ処理フローの一例を示したものである。

Claims (1)

  1. 原水を中空糸膜モジュールに送る配管に気体を導入し、中空糸膜モジュールの膜端部接着固定部の片方に設けられた原水導入口を介して中空糸膜モジュール内に気体を導入すると同時に、中空糸膜の濾水側に、気体または液体を導入して、中空糸膜の濾水側から原水側に気体または液体を透過させる事を特徴とする外圧式濾過中空糸膜の洗浄方法。
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