JP3945311B2 - プレス成形品寸法精度評価方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス成形品の寸法精度を正確に評価できるようにするための、プレス成形品寸法精度評価方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プレス成形品に発生する代表的な不具合に寸法精度不良がある。製品の中には、複数のプレス成形品を組み合わせて作るものがある。一般的に、このような製品の部品として使用されるプレス成形品は、他部品との合わせがスムースに行えるように、その合わせ部分の寸法に公差が設けてある。
【0003】
一般的に、鉄やアルミのプレス成形においては、弾性回復が生じるため、プレス成形品のプレス後の形状は金型の形状と同一にはならない。このため、プレス成形品の合わせ部分の寸法は、弾性回復が生じたとしても公差内に収まるようにしなければならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
現状では、たとえば、特開2000−312933号公報に開示されているような、スプリングバック量の予測精度を向上させる技術はあるものの、会わせ部分の寸法を、弾性回復を見込んで正確に予測することは難しい。
【0005】
このため、プレス成形品のプレス後の形状が所望の形状になるように、金型自体の形状をトライアンドエラーで少しずつ修正している。金型の修正には多大の工数がかかるため、金型作成期間の長期化、商品開発期間の長期化を招き、開発コストの上昇をも引き起こす。
【0006】
本発明は、以上のような従来の技術の問題点を軽減するためになされたものであり、プレス成形品の寸法誤差の発生原因となっている部分の特定を支援できるプレス成形品寸法精度評価方法およびその装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に記載の発明にかかるプレス成形品寸法精度評価方法は、金型の形状データを読み込む工程と、前記金型によってプレスされたプレス成形品の形状データを読み込む工程と、読み込んだ金型の形状データに基づいて前記金型の曲面部の最小曲率半径を求める工程と、求めた最小曲率半径から寸法精度を評価するための評価範囲を求める工程と、前記プレス成形品の形状データから前記評価範囲に存在する形状データを抽出する工程と、抽出した前記プレス成形品の形状データで形成される曲面の曲率を求める工程と、抽出した前記プレス成形品の形状データに対応する前記金型の形状データを抽出する工程と、抽出した前記金型の形状データで形成される曲面の曲率を求める工程と、求めた両曲面の曲率の差分を表示する工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、請求項5に記載の発明にかかるプレス成形品寸法精度評価装置は、金型の形状データを記憶する金型形状データ記憶手段と、前記金型によってプレスされたプレス成形品の形状データを記憶するプレス成形品形状データ記憶手段と、前記金型の形状データに基づいて前記金型の曲面部の最小曲率半径を演算する最小曲率半径演算手段と、求めた最小曲率半径から寸法精度を評価するための評価範囲を演算する評価範囲演算手段と、プレス成形品の形状データから前記評価範囲に存在する形状データを抽出し、当該形状データで形成される曲面の曲率を演算するプレス面曲率演算手段と、前記プレス成形品の前記評価範囲に存在する形状データに対応する前記金型の形状データを抽出する形状データ抽出手段と、抽出した金型の形状データで形成される曲面の曲率を演算する金型面曲率演算手段と、前記プレス成形品の評価範囲における曲率と前記金型の評価範囲における曲率との差分を演算する曲率差分演算手段と、求めた曲率の差分を格納する曲率差分格納手段と、格納した曲率の差分を表示する表示手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるプレス成形品寸法精度評価方法およびプレス成形品寸法精度評価装置によれば、表示された曲率の差分を検討することによって、プレス成形品の寸法誤差の発生原因を効率的に突き止めることができ、金型の形状を修正するにあたって、効率的な手直しが可能となる。
【0010】
効率的な手直しによって、金型作成期間の短縮化、商品開発期間の短縮化、および開発コストの低減を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかるプレス成形品寸法精度評価方法およびプレス成形品寸法精度評価装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明にかかるプレス成形品寸法精度評価装置の概略構成を示すブロック図である。
【0012】
プレス成形品寸法精度評価装置は、金型形状データ記憶部10、プレス成形品形状データ記憶部12、最小曲率半径演算部20、評価範囲演算部22、形状データ抽出部24、プレス面曲率演算部26、金型面曲率演算部28、曲率差分演算部30、曲率差分格納部40、ディスプレイ42を有する。
【0013】
金型形状データ記憶部10は、CADによって作成された金型の形状データを記憶している。プレス成形品形状データ記憶部12は、三次元測定装置などの精密測定装置を用いてプレス成形品を実際に測定した結果をプレス成形品の形状データとして記憶している。プレス成形品の形状データとしては、金型形状データによって作成されるであろうプレス成形品のスプリングバック勘案後の形状データを用いることもできる。
【0014】
最小曲率半径演算部20は、金型形状データ記憶部10に記憶されている金型の形状データに基づいて、この金型が有している曲面部の最小曲率半径を演算する。なお、金型に複数の曲面部が存在するときには、そのすべての曲面部の最小曲率半径が演算される。
【0015】
評価範囲演算部22は、最小曲率半径演算部20で求めた曲面部の最小曲率半径から、プレス成形品の寸法精度を評価するために用いられる評価範囲(曲面部に設定される)を演算する。
【0016】
形状データ抽出部24は、プレス成形品形状データ記憶部12に記憶されているプレス成形品の形状データの内の、評価範囲に存在する形状データに対応する金型の形状データを抽出する。
【0017】
プレス面曲率演算部26は、評価範囲演算部22で求めた評価範囲に存在するプレス成形品の形状データを抽出し、抽出された形状データで形成される曲面の曲率を演算する。
【0018】
金型面曲率演算部28は、形状データ抽出部24で抽出した、評価範囲に存在し、かつプレス成形品の形状データに対応する金型の形状データに基づいて、抽出された形状データで形成される曲面の曲率を演算する。
【0019】
曲率差分演算部30は、プレス面曲率演算部26で求めたプレス成形品の評価範囲での曲率と、金型面局率演算部28で求めた金型の評価範囲での曲率との差分を演算する。
【0020】
曲率差分格納部40は、曲率差分演算部30で求めた曲率の差分を格納する。
【0021】
ディスプレイ42は、曲率差分格納部40に格納されている曲率の差分を表示する。
【0022】
図2は、本発明にかかるプレス成形品寸法精度評価方法の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示されている手順は、図1のプレス成形品寸法精度評価装置によって実行される。以下に、この手順を図3、図4を参照しながら説明する。
【0023】
まず、最小曲率半径演算部20は、金型形状データ記憶部20に記憶されている金型の形状データを読み込む(S1)。ここでの金型の形状データは、曲面の半径などが記述されている面データであり、CADによって作成される。
【0024】
次に、評価範囲演算部22は、プレス成形品形状データ記憶部12に記憶されているプレス成形品の形状データを読み込む(S2)。ここでのプレス成形品の形状データは、実際の測定によって得られた点群データである。
【0025】
最小曲率半径演算部20は、S1の工程で読み出した金型の形状データに基づいて、この金型が有している曲面部の最小曲率半径を求める。金型に複数の曲面部が存在するときには、そのすべての曲面部の最小曲率半径を求める(S3)。なお、最小曲率半径の演算アルゴリズムとしては、一般的に用いられている公知の演算アルゴリズムを使用する。
【0026】
評価範囲演算部22は、最小曲率半径演算部20で求めた曲面部の最小曲率半径から、プレス成形品の寸法精度を評価するために用いられる評価範囲(曲面部に設定される)を求める。評価範囲は、すべての曲面部に対して求められる(S4)。
【0027】
評価範囲は、具体的には次のようにして求める。図3の実線は、実際の金型の外形形状線を示している。外形形状線に沿うように点在している丸印は、CADで設定された金型の形状データ(点群データ)である。
【0028】
ここで、評価範囲をL、求められた金型の曲面部の最小曲率半径をr、円周に対する円弧の割合cを1/4、2πrc(1/4円弧長)の円弧内に存在する形状データの数nを9点とすると、
【0029】
なお、評価範囲を求める式の中に、3/nを規定しているのは、たとえばプレス成形品の微細な形状には稜線を形成するフィレット形状があるが、このフィレット形状の寸法精度を評価するためには、円弧上に少なくとも3点の形状データが存在していれば、この曲率を再現することができるからである。上記の場合、図3のように、1/4円弧上に9点の形状データが存在しているが、そのうちの3点の形状データがあれば、ノイズの影響が最も少ない状態で形状の寸法精度を評価することができるから、評価範囲は、1/4円弧の1/3だけとればよいのである。このように評価範囲を最低限の寸法とすれば、計算量を少なくできる。
【0030】
さらに評価範囲Lの設定誤差を考慮して、設定の下限値と上限値を次のように設定する。ここで、Lpを形状データが存在する平均間隔とすると、評価範囲Lは、
4Lp≦L≦2πrc・3/n
の範囲で選択するようにしても良い。評価範囲Lがこの範囲内にあれば、精度の良い評価が可能だからである。
【0031】
下限値4Lpは次のようにして求める。図4に示すように、金型の形状データが存在する平均間隔をLpとし、この平均間隔が粗いと、評価対称点を含む3点の形状データからでは図の点線で示すような実際の曲率値とは異なる曲率値が算出されてしまう。このように、平均間隔が粗い場合には、3点の形状データでは不十分なため、図のように5点の形状データを用いるようにする。つまり、評価対称点を中心とする4Lpの範囲を評価範囲Lとする。このような評価範囲の求め方は、特に形状データの平均間隔が粗い場合に有効である。
【0032】
一般的に、曲率による形状評価は、座標系に依存しない形状指標であるために評価の一般性が得やすく、形状の変化に敏感であるという長所がある反面、ノイズを含む測定データで形状評価を行うと、局部的なうねりを評価してしまうため、信頼性の高い評価ができないという短所がある。
【0033】
曲率による形状評価の長所と短所を勘案すると、形状評価を実施する際は、どのように曲率を定義しまた算出するかが非常に重要であることがわかる。つまり、形状評価が可能な最大の評価範囲で曲率を算出することが望ましい。本実施の形態では、金型の中で最も微細な形状の評価もできるように、評価範囲を設定している。
【0034】
次に、プレス面曲率演算部26は、プレス成形品形状データ記憶部12に記憶されているプレス成形品の形状データを取り出して、その形状データの中から、上記のようにして求めた評価範囲に存在する形状データ(評価点)を抽出する(S5)。
【0035】
プレス面曲率演算部26は、形状データ抽出部24によって抽出された、評価範囲に存在するプレス成形品の形状データによって形成される曲面の主曲率KCATを求める(S6)。
【0036】
そして、形状データ抽出部24は、プレス成形品の評価範囲に存在する形状データに対応する金型の形状データを金型形状データ記憶部10から抽出し、金型面曲率演算部28は、抽出した金型の形状データで形成される曲面の主曲率KCADを求める(S7)。
【0037】
曲率差分演算部30は、プレス面曲率演算部26によって演算されたプレス成形品の曲面の主曲率KCATと金型面曲率演算部28によって演算された金型のkと曲面の主曲率KCADを取得して、両曲面の主局率の差分、KCAT−KCADの絶対値を求める(S8)。
【0038】
曲率差分演算部30は、求めた主局率の差分を曲率差分格納部40に格納する(S9)。曲率差分格納部40に格納されている曲率差は、ディスプレイ42に表示される(S10)。
【0039】
金型の設計者は、ディスプレイ42に表示されている、曲面ごとの曲率差に基づいて、プレス後の形状にひずみが現れる原因を想定することができる。例えば、金型にいくつかある曲面のうち、最も曲率差の大きかった曲面は、その曲率差が他の部分に与える影響は大きいので、その曲面の形状修正を行えばよいことがわかるのである。このような想定に基づいて金型の修正作業をすれば、現状で行われている修正作業の工数よりも少ない工数で金型の修正作業を完了させることができる。
【0040】
以上の実施の形態によれば、寸法誤差が発生している原因となる部位の特定が容易にできるため、効率的かつ精度の良い対策が可能となる。このため、金型の形状を修正するにあたって、効率的な手直しが可能となる。
【0041】
また、計算量が少なくて済むので、一般的な解析能力しかないコンピュータであっても、プレス成形品の寸法誤差の発生原因を効率的に突き止めることができ、また、効率的な手直しによって、金型作成期間の短縮化、商品開発期間の短縮化、および開発コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるプレス成形品寸法精度評価装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかるプレス成形品寸法精度評価方法の手順を示すフローチャートである。
【図3】評価範囲を求める工程の説明に供する図である。
【図4】評価範囲を求める工程の説明に供する図である。
【符号の説明】
10…金型形状データ記憶部、
12…プレス成形品形状データ記憶部、
20…最小曲率半径演算部、
22…評価範囲演算部、
24…形状データ対応付け処理部、
26…プレス面曲率演算部、
28…金型面曲率演算部、
30…曲率差分演算部、
40…曲率差分格納部、
42…ディスプレイ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス成形品の寸法精度を正確に評価できるようにするための、プレス成形品寸法精度評価方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プレス成形品に発生する代表的な不具合に寸法精度不良がある。製品の中には、複数のプレス成形品を組み合わせて作るものがある。一般的に、このような製品の部品として使用されるプレス成形品は、他部品との合わせがスムースに行えるように、その合わせ部分の寸法に公差が設けてある。
【0003】
一般的に、鉄やアルミのプレス成形においては、弾性回復が生じるため、プレス成形品のプレス後の形状は金型の形状と同一にはならない。このため、プレス成形品の合わせ部分の寸法は、弾性回復が生じたとしても公差内に収まるようにしなければならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
現状では、たとえば、特開2000−312933号公報に開示されているような、スプリングバック量の予測精度を向上させる技術はあるものの、会わせ部分の寸法を、弾性回復を見込んで正確に予測することは難しい。
【0005】
このため、プレス成形品のプレス後の形状が所望の形状になるように、金型自体の形状をトライアンドエラーで少しずつ修正している。金型の修正には多大の工数がかかるため、金型作成期間の長期化、商品開発期間の長期化を招き、開発コストの上昇をも引き起こす。
【0006】
本発明は、以上のような従来の技術の問題点を軽減するためになされたものであり、プレス成形品の寸法誤差の発生原因となっている部分の特定を支援できるプレス成形品寸法精度評価方法およびその装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に記載の発明にかかるプレス成形品寸法精度評価方法は、金型の形状データを読み込む工程と、前記金型によってプレスされたプレス成形品の形状データを読み込む工程と、読み込んだ金型の形状データに基づいて前記金型の曲面部の最小曲率半径を求める工程と、求めた最小曲率半径から寸法精度を評価するための評価範囲を求める工程と、前記プレス成形品の形状データから前記評価範囲に存在する形状データを抽出する工程と、抽出した前記プレス成形品の形状データで形成される曲面の曲率を求める工程と、抽出した前記プレス成形品の形状データに対応する前記金型の形状データを抽出する工程と、抽出した前記金型の形状データで形成される曲面の曲率を求める工程と、求めた両曲面の曲率の差分を表示する工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、請求項5に記載の発明にかかるプレス成形品寸法精度評価装置は、金型の形状データを記憶する金型形状データ記憶手段と、前記金型によってプレスされたプレス成形品の形状データを記憶するプレス成形品形状データ記憶手段と、前記金型の形状データに基づいて前記金型の曲面部の最小曲率半径を演算する最小曲率半径演算手段と、求めた最小曲率半径から寸法精度を評価するための評価範囲を演算する評価範囲演算手段と、プレス成形品の形状データから前記評価範囲に存在する形状データを抽出し、当該形状データで形成される曲面の曲率を演算するプレス面曲率演算手段と、前記プレス成形品の前記評価範囲に存在する形状データに対応する前記金型の形状データを抽出する形状データ抽出手段と、抽出した金型の形状データで形成される曲面の曲率を演算する金型面曲率演算手段と、前記プレス成形品の評価範囲における曲率と前記金型の評価範囲における曲率との差分を演算する曲率差分演算手段と、求めた曲率の差分を格納する曲率差分格納手段と、格納した曲率の差分を表示する表示手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるプレス成形品寸法精度評価方法およびプレス成形品寸法精度評価装置によれば、表示された曲率の差分を検討することによって、プレス成形品の寸法誤差の発生原因を効率的に突き止めることができ、金型の形状を修正するにあたって、効率的な手直しが可能となる。
【0010】
効率的な手直しによって、金型作成期間の短縮化、商品開発期間の短縮化、および開発コストの低減を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかるプレス成形品寸法精度評価方法およびプレス成形品寸法精度評価装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明にかかるプレス成形品寸法精度評価装置の概略構成を示すブロック図である。
【0012】
プレス成形品寸法精度評価装置は、金型形状データ記憶部10、プレス成形品形状データ記憶部12、最小曲率半径演算部20、評価範囲演算部22、形状データ抽出部24、プレス面曲率演算部26、金型面曲率演算部28、曲率差分演算部30、曲率差分格納部40、ディスプレイ42を有する。
【0013】
金型形状データ記憶部10は、CADによって作成された金型の形状データを記憶している。プレス成形品形状データ記憶部12は、三次元測定装置などの精密測定装置を用いてプレス成形品を実際に測定した結果をプレス成形品の形状データとして記憶している。プレス成形品の形状データとしては、金型形状データによって作成されるであろうプレス成形品のスプリングバック勘案後の形状データを用いることもできる。
【0014】
最小曲率半径演算部20は、金型形状データ記憶部10に記憶されている金型の形状データに基づいて、この金型が有している曲面部の最小曲率半径を演算する。なお、金型に複数の曲面部が存在するときには、そのすべての曲面部の最小曲率半径が演算される。
【0015】
評価範囲演算部22は、最小曲率半径演算部20で求めた曲面部の最小曲率半径から、プレス成形品の寸法精度を評価するために用いられる評価範囲(曲面部に設定される)を演算する。
【0016】
形状データ抽出部24は、プレス成形品形状データ記憶部12に記憶されているプレス成形品の形状データの内の、評価範囲に存在する形状データに対応する金型の形状データを抽出する。
【0017】
プレス面曲率演算部26は、評価範囲演算部22で求めた評価範囲に存在するプレス成形品の形状データを抽出し、抽出された形状データで形成される曲面の曲率を演算する。
【0018】
金型面曲率演算部28は、形状データ抽出部24で抽出した、評価範囲に存在し、かつプレス成形品の形状データに対応する金型の形状データに基づいて、抽出された形状データで形成される曲面の曲率を演算する。
【0019】
曲率差分演算部30は、プレス面曲率演算部26で求めたプレス成形品の評価範囲での曲率と、金型面局率演算部28で求めた金型の評価範囲での曲率との差分を演算する。
【0020】
曲率差分格納部40は、曲率差分演算部30で求めた曲率の差分を格納する。
【0021】
ディスプレイ42は、曲率差分格納部40に格納されている曲率の差分を表示する。
【0022】
図2は、本発明にかかるプレス成形品寸法精度評価方法の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示されている手順は、図1のプレス成形品寸法精度評価装置によって実行される。以下に、この手順を図3、図4を参照しながら説明する。
【0023】
まず、最小曲率半径演算部20は、金型形状データ記憶部20に記憶されている金型の形状データを読み込む(S1)。ここでの金型の形状データは、曲面の半径などが記述されている面データであり、CADによって作成される。
【0024】
次に、評価範囲演算部22は、プレス成形品形状データ記憶部12に記憶されているプレス成形品の形状データを読み込む(S2)。ここでのプレス成形品の形状データは、実際の測定によって得られた点群データである。
【0025】
最小曲率半径演算部20は、S1の工程で読み出した金型の形状データに基づいて、この金型が有している曲面部の最小曲率半径を求める。金型に複数の曲面部が存在するときには、そのすべての曲面部の最小曲率半径を求める(S3)。なお、最小曲率半径の演算アルゴリズムとしては、一般的に用いられている公知の演算アルゴリズムを使用する。
【0026】
評価範囲演算部22は、最小曲率半径演算部20で求めた曲面部の最小曲率半径から、プレス成形品の寸法精度を評価するために用いられる評価範囲(曲面部に設定される)を求める。評価範囲は、すべての曲面部に対して求められる(S4)。
【0027】
評価範囲は、具体的には次のようにして求める。図3の実線は、実際の金型の外形形状線を示している。外形形状線に沿うように点在している丸印は、CADで設定された金型の形状データ(点群データ)である。
【0028】
ここで、評価範囲をL、求められた金型の曲面部の最小曲率半径をr、円周に対する円弧の割合cを1/4、2πrc(1/4円弧長)の円弧内に存在する形状データの数nを9点とすると、
【0029】
なお、評価範囲を求める式の中に、3/nを規定しているのは、たとえばプレス成形品の微細な形状には稜線を形成するフィレット形状があるが、このフィレット形状の寸法精度を評価するためには、円弧上に少なくとも3点の形状データが存在していれば、この曲率を再現することができるからである。上記の場合、図3のように、1/4円弧上に9点の形状データが存在しているが、そのうちの3点の形状データがあれば、ノイズの影響が最も少ない状態で形状の寸法精度を評価することができるから、評価範囲は、1/4円弧の1/3だけとればよいのである。このように評価範囲を最低限の寸法とすれば、計算量を少なくできる。
【0030】
さらに評価範囲Lの設定誤差を考慮して、設定の下限値と上限値を次のように設定する。ここで、Lpを形状データが存在する平均間隔とすると、評価範囲Lは、
4Lp≦L≦2πrc・3/n
の範囲で選択するようにしても良い。評価範囲Lがこの範囲内にあれば、精度の良い評価が可能だからである。
【0031】
下限値4Lpは次のようにして求める。図4に示すように、金型の形状データが存在する平均間隔をLpとし、この平均間隔が粗いと、評価対称点を含む3点の形状データからでは図の点線で示すような実際の曲率値とは異なる曲率値が算出されてしまう。このように、平均間隔が粗い場合には、3点の形状データでは不十分なため、図のように5点の形状データを用いるようにする。つまり、評価対称点を中心とする4Lpの範囲を評価範囲Lとする。このような評価範囲の求め方は、特に形状データの平均間隔が粗い場合に有効である。
【0032】
一般的に、曲率による形状評価は、座標系に依存しない形状指標であるために評価の一般性が得やすく、形状の変化に敏感であるという長所がある反面、ノイズを含む測定データで形状評価を行うと、局部的なうねりを評価してしまうため、信頼性の高い評価ができないという短所がある。
【0033】
曲率による形状評価の長所と短所を勘案すると、形状評価を実施する際は、どのように曲率を定義しまた算出するかが非常に重要であることがわかる。つまり、形状評価が可能な最大の評価範囲で曲率を算出することが望ましい。本実施の形態では、金型の中で最も微細な形状の評価もできるように、評価範囲を設定している。
【0034】
次に、プレス面曲率演算部26は、プレス成形品形状データ記憶部12に記憶されているプレス成形品の形状データを取り出して、その形状データの中から、上記のようにして求めた評価範囲に存在する形状データ(評価点)を抽出する(S5)。
【0035】
プレス面曲率演算部26は、形状データ抽出部24によって抽出された、評価範囲に存在するプレス成形品の形状データによって形成される曲面の主曲率KCATを求める(S6)。
【0036】
そして、形状データ抽出部24は、プレス成形品の評価範囲に存在する形状データに対応する金型の形状データを金型形状データ記憶部10から抽出し、金型面曲率演算部28は、抽出した金型の形状データで形成される曲面の主曲率KCADを求める(S7)。
【0037】
曲率差分演算部30は、プレス面曲率演算部26によって演算されたプレス成形品の曲面の主曲率KCATと金型面曲率演算部28によって演算された金型のkと曲面の主曲率KCADを取得して、両曲面の主局率の差分、KCAT−KCADの絶対値を求める(S8)。
【0038】
曲率差分演算部30は、求めた主局率の差分を曲率差分格納部40に格納する(S9)。曲率差分格納部40に格納されている曲率差は、ディスプレイ42に表示される(S10)。
【0039】
金型の設計者は、ディスプレイ42に表示されている、曲面ごとの曲率差に基づいて、プレス後の形状にひずみが現れる原因を想定することができる。例えば、金型にいくつかある曲面のうち、最も曲率差の大きかった曲面は、その曲率差が他の部分に与える影響は大きいので、その曲面の形状修正を行えばよいことがわかるのである。このような想定に基づいて金型の修正作業をすれば、現状で行われている修正作業の工数よりも少ない工数で金型の修正作業を完了させることができる。
【0040】
以上の実施の形態によれば、寸法誤差が発生している原因となる部位の特定が容易にできるため、効率的かつ精度の良い対策が可能となる。このため、金型の形状を修正するにあたって、効率的な手直しが可能となる。
【0041】
また、計算量が少なくて済むので、一般的な解析能力しかないコンピュータであっても、プレス成形品の寸法誤差の発生原因を効率的に突き止めることができ、また、効率的な手直しによって、金型作成期間の短縮化、商品開発期間の短縮化、および開発コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるプレス成形品寸法精度評価装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかるプレス成形品寸法精度評価方法の手順を示すフローチャートである。
【図3】評価範囲を求める工程の説明に供する図である。
【図4】評価範囲を求める工程の説明に供する図である。
【符号の説明】
10…金型形状データ記憶部、
12…プレス成形品形状データ記憶部、
20…最小曲率半径演算部、
22…評価範囲演算部、
24…形状データ対応付け処理部、
26…プレス面曲率演算部、
28…金型面曲率演算部、
30…曲率差分演算部、
40…曲率差分格納部、
42…ディスプレイ。
Claims (5)
- 金型の形状データを読み込む工程と、
前記金型によってプレスされたプレス成形品の形状データを読み込む工程と、
読み込んだ金型の形状データに基づいて前記金型の曲面部の最小曲率半径を求める工程と、
求めた最小曲率半径から寸法精度を評価するための評価範囲を求める工程と、
前記プレス成形品の形状データから前記評価範囲に存在する形状データを抽出する工程と、
抽出した前記プレス成形品の形状データで形成される曲面の曲率を求める工程と、
抽出した前記プレス成形品の形状データに対応する前記金型の形状データを抽出する工程と、
抽出した前記金型の形状データで形成される曲面の曲率を求める工程と、
求めた両曲面の曲率の差分を表示する工程と、
を含むことを特徴とするプレス成形品寸法精度評価方法。 - 前記評価範囲は、
L=2πrc・3/n
L:評価範囲
r:金型の曲面部の最小曲率半径
c:円周に対する円弧の割合
n:2πrcの円弧内に存在するデータ数
によって表される式で求めることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形品寸法精度評価方法。 - 前記評価範囲Lは、
4Lp≦L≦2πrc・3/n
Lp:形状データが存在する平均間隔
を満足する範囲が選択されることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形品寸法精度評価方法。 - 前記金型の曲面部の最小曲率半径を求める工程では、
前記金型に存在するすべての曲面部の最小曲率半径を求め、
以降の工程は、すべての曲面部に対する寸法精度の評価が完了するまで繰り返し実行されることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形品寸法精度評価方法。 - 金型の形状データを記憶する金型形状データ記憶手段と、
前記金型によってプレスされたプレス成形品の形状データを記憶するプレス成形品形状データ記憶手段と、
前記金型の形状データに基づいて前記金型の曲面部の最小曲率半径を演算する最小曲率半径演算手段と、
求めた最小曲率半径から寸法精度を評価するための評価範囲を演算する評価範囲演算手段と、
プレス成形品の形状データから前記評価範囲に存在する形状データを抽出し、当該形状データで形成される曲面の曲率を演算するプレス面曲率演算手段と、
前記プレス成形品の前記評価範囲に存在する形状データに対応する前記金型の形状データを抽出する形状データ抽出手段と、
抽出した金型の形状データで形成される曲面の曲率を演算する金型面曲率演算手段と、
前記プレス成形品の評価範囲における曲率と前記金型の評価範囲における曲率との差分を演算する曲率差分演算手段と、
求めた曲率の差分を格納する曲率差分格納手段と、
格納した曲率の差分を表示する表示手段と、
を有することを特徴とするプレス成形品寸法精度評価装置。
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