JP3943422B2 - プロピレンブロック共重合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレン重合体とエチレン−プロピレン共重合体とからなるブロック共重合体に関し、特に、ゴム成分であるエチレン−プロピレン共重合体の比率が高くてもプロピレン重合体中に高分散しており、表面上のゴム成分が少ないため重合体粒子の問題がなく、かつ耐衝撃性の良好なプロピレンブロック共重合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アイソタクティックポリプロピレンは、剛性および耐熱性に優れた特性を有する反面、耐衝撃性に劣るという問題があった。このポリプロピレンの剛性を保持しながら耐衝撃性を改良するため、結晶性ポリプロピレンにエチレン−プロピレンゴムをポリマーブレンドにより配合し、樹脂組成物とする技術が種々開発されている。しかしながらこのポリマーブレンド技術では異種のポリマーをミクロレベルで高度に分散させることは困難であり、結果として剛性と耐衝撃性を高度に保持したバランスのよい特性を持つ樹脂組成物を調製することは困難であった。また、ポリマーブレンドでは異種の重合体を配合して混練する工程が必要であり、コストが非常に高く、製造コストが通常のプロピレンポリマーの倍以上になるものもある。
【0003】
一方、このようなポリマーブレンドの問題点を改良する方法として、プロピレンとエチレンまたはその他のオレフィンとを段階的に重合させてブロック共重合体を生成させるケミカルブレンドによる方法が古くから検討されている。一般にケミカルブレンドによるブロック共重合体は、二段あるいは多段による重合で製造され、通常最初にプロピレンを重合させ、次いでエチレンとプロピレンあるいは他のオレフィンと共重合させることによって製造される。このとき耐衝撃性を向上させるため、エチレンとプロピレンの共重合により生成するゴム状重合体の割合を増加させることが行なわれているが、生成したゴム成分が重合体粒子の表面上に析出し、それにともなって重合体粒子間の付着や重合体の装置内壁への付着が生じる。このため、長期的に安定したブロック共重合体を製造することが困難となる。
【0004】
また、プロピレンブロック共重合体は、プロピレン重合体セクション(あるいはマトリックス)中にエチレン−プロピレン共重合体が分散したものであるが、従来のものはエチレン−プロピレン共重合体粒子(あるいはセクション)が非常に大きく、そのため上述したように重合体粒子表面に析出したり、特に共重合体を結晶化した後さらにエチレン−プロピレン共重合体ブロック粒子が成長して大きくなり、ミクロに高分散したブロック共重合体にすることが難しく、結果としてゴム成分の含有比率を増加したにも拘わらず、耐衝撃性が向上しないという問題があった。このように従来のプロピレンブロック共重合体では、耐衝撃性を大幅に改善するまでには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、プロピレン重合体中、ゴム成分であるエチレン−プロピレン共重合体が、非常に高いゴム成分比率であっても高分散した新規な構造のプロピレンブロック共重合体を提供するものであり、更には、重合体粒子の付着性が極めて少なく、かつ耐衝撃性の極めて良好なプロピレンブロック共重合体を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定の固体触媒成分を使用し、プロピレンを重合し、次いでエチレン及びプロピレンを共重合すれば、プロピレン重合体中にゴム成分であるエチレン−プロピレン共重合体を高比率で、且つ高分散に配合でき、耐衝撃性に優れた新規な構造を有するプロピレンブロック共重合体が得られること、更に、このプロピレンブロック共重合体は、粒子表面上のゴム比率が少なく、重合体粒子間の付着や装置内壁への付着等が生じることなく、安定した高品質のブロック共重合体の製造が可能であること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、プロピレン重合体20〜80重量%と、エチレン−プロピレン共重合体20〜80重量%とからなるプロピレンブロック共重合体であって、該プロピレン重合体中に不定形状のエチレン−プロピレン共重合体セクションが微分散したものであって、該不定形状のエチレン−プロピレン共重合体セクションを同一面積の円に換算した場合、該エチレン−プロピレン共重合体セクションの平均直径(Dr)が下記(1)式;
Dr(μm)≦0.005×A (1)
(式中、Aは、プロピレンブロック重合体中におけるエチレン−プロピレン共重合体の含有率(重量%)を示し、20≦A(重量%)≦80である)を満足することを特徴とするプロピレンブロック共重合体を提供するものである。
【0008】
また、プロピレン重合体20〜80重量%と、エチレン−プロピレン共重合体20〜80重量%とからなるプロピレンブロック共重合体であり、該プロピレン重合体と該エチレン−プロピレン共重合体は、互いに錯綜して混じり合い、共に不定形状のプロピレン重合体セクションとエチレン−プロピレン共重合体セクションを形成したものであって、該エチレン−プロピレン共重合体セクションを同一面積の円に換算した場合、該エチレン−プロピレン共重合体セクションの平均直径が(Dr)が下記(1)式;
Dr(μm)≦0.005×A (1)
(式中、Aは、前記と同義)を満足することを特徴とするプロピレンブロック共重合体を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、プロピレン重合体20〜80重量%と、エチレン−プロピレン共重合体20〜80重量%とからなる平均粒径100〜5000μm の粒子状物のプロピレンブロック共重合体であって、その粒子表面上のエチレン−プロピレン共重合体の割合が、全体のエチレン−プロピレンブロック共重合体の0.3面積%以下であることを特徴とするプロピレンブロック共重合体を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、プロピレンを重合し、次いでエチレン及びプロピレンを共重合することにより得られるか、又は、マグネシウム、チタン及びハロゲン原子を含有し、平均粒径が1〜100μm 、比表面積が100〜500m2/g、細孔容積が0.2ml/g未満、かつ細孔直径100Å以下からなる細孔の累積細孔容積が50%以上である細孔分布を有する固体触媒成分を含む重合用触媒により、プロピレンを重合し、次いでエチレン及びプロピレンを共重合して得られる前記プロピレンブロック共重合体を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のプロピレンブロック共重合体は、プロピレン重合体(以下、「PP部」ともいう。)20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%と、エチレン−プロピレン共重合体(以下、「ゴム部」ともいう。)20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%とからなるブロック共重合体であって、該プロピレン重合体中に不定形状のエチレン−プロピレン共重合体セクション(以下、「ゴム部セクション」ともいう。)が微分散したものであるか、換言すれば、プロピレン重合体とエチレン−プロピレン共重合体が、互いに錯綜して混じり合い、共に不定形状のプロピレン重合体セクションとエチレン−プロピレン共重合体セクション(以下、「PP部セクション」ともいう。)を形成したものであり、該ゴム部セクションを同一面積の円に換算した場合、該ゴム部セクションの平均直径(Dr)が上記(1)式を満足し、好ましくは下記(4)式;
0.02≦Dr(μm)≦0.0045×A (4)
(式中、Aは、前記と同義。)を満足し、さらに好ましくは下記(5)式;
0.02≦Dr(μm)≦0.004×A (5)
(式中、Aは、前記と同義。)を満足するものである。
【0012】
また本発明のプロピレンブロック共重合体は、エチレン−プロピレン共重合体セクションの直径の累積粒度分布の90%における粒子の直径(Dr90)が下記(3)式;
Dr90(μm)≦0.01×A (3)
(式中、Aは前記と同義。)を満足し、好ましくは下記(6)式;
0.05≦Dr90(μm)≦0.01×A (6)(式中、Aは、前記と同義。)を満足するものである。
【0013】
図1及び図2は、本発明のプロピレンブロック共重合体の断面TEM(透過型電子顕微鏡)写真であり、図1はPP部72.1重量%およびゴム部27.9重量%、図2はPP部36.5重量%およびゴム部63.5重量%のものである。このように、本発明のプロピレンブロック共重合体は、PP部(白色部分)中に非常にサイズの小さい不定形状のゴム部セクション(黒色部分)が微分散あるいは高分散したものであるか、あるいは、PP部とゴム部とが互いに錯綜して混じりあったものであり、PP部の配合が多い場合、マトリックス相となるPP部の細かく入ったひび割れ状や島状部分にゴム部が入り込んでゴム部セクションが分散した状態に観察され、ゴム部の配合が多い場合、あたかもゴム部がマトリックス相となって、当該部分の細かく入ったひび割れ状や島状部分にPP部が入り込んでPP部セクションが分散した状態に観察される。また、PP部とゴム部の配合割合が30〜70重量%:70〜30重量%のように両者の配合割合が近い場合、どちらがマトリックス相とも分散相とも区別できず、互いに不定形状の微細物が混在したものとなる(図1及び図2参照)。
【0014】
本発明において、ゴム部セクションとは、PP部中に微分散した、粒子状あるいは糸状などの不定形状のゴム部の1単位であり、独立したものはこれを1単位とし、また複数のセクションが連続している場合、その最小幅が0.01μm未満の部分はPP部と見做し1単位としたものである。また、その平均直径は、共重合体断面のTEM写真を画像解析し、各ゴム部セクションの面積を求め、その面積に等しい円の直径に換算して算出した。
【0015】
また、ゴム部には結晶性のエチレン重合体が含まれていてもよい。ゴム部が結晶性エチレン重合体とエチレン−プロピレン共重合体ゴムからなる場合、該ゴム部中、結晶性エチレン重合体が1〜80重量%、好ましくは10〜50重量%、エチレン−プロピレン共重合体ゴムがその残部である。
【0016】
更に、本発明のプロピレンブロック共重合体は、プロピレン重合体セクション(以下、PP部セクションとも述べる)の平均直径(Dpp)が下記(2)式;
5.0≧Dpp≧e-0.02×A (2)
(式中、Aは前記と同義。)を満足する。本発明において、PP部セクションとは、その周辺に粒子状あるいは糸状等の不定形状のゴム部が存在している粒子1単位であり、独立したものはこれを1単位とし、また複数のセクションが連続している場合、その最小幅が0.2μm 未満の部分はゴム部と見做し1単位とする。また、その平均直径は、重合体断面のTEM写真を画像解析し、各PP部セクションの面積を求め、その面積に等しい円の直径に換算して算出した。
【0017】
このように本発明では、PP部粒子であるPP部セクションの平均直径が、ゴム部の割合(ブロック率)が増加するにつれて小さくなり、基本的にその構造を異にするものである。つまり、従来のプロピレンブロック共重合体のPP部はPP部セクションとして捉えられないものであり、基本的に連続したマトリックス状態であり、このPP部内部の細孔にゴム部が存在するという構造であった。しかしながら、本発明のプロピレンブロック共重合体は、特にゴム部割合が50重量%を超えると一単位の平均直径(あるいは容積)が非常に小さいPP部セクションを形成し、その周囲あるいは内部に直径の非常に小さい粒子状あるいは糸状等の不定形状のゴム部が存在する構造をなすものである。
【0018】
本発明のプロピレンブロック共重合体において、PP部セクションの平均直径は、ゴム部セクションの平均直径の0.5〜20倍、好ましくは1.0〜15倍、特に好ましくは3.0〜12倍である。上記PP部セクションの平均直径はプロピレンブロック共重合体中のゴム部の割合により変化し、ゴム部の割合が高くなるほど、PP部セクションの平均直径は小さくなり、逆にゴム部セクションの平均直径は大きくなる。つまりゴム部の割合が多くなるにつれて、PP部粒子が細分化される。このように、PP部にゴム部を微分散できるため、共重合体中、ゴム部の割合を50%以上にすることが可能となり、またそのような場合であっても、後述するように重合体粒子表面上のゴム部が析出せず、重合体粒子の付着性がなく、流動性が保持される。
【0019】
本発明のプロピレンブロック共重合体の好ましい特徴を表2にそれぞれ示す。表1中、「MFR」はメルトフローレート値を、「(η)」は極限粘度をそれぞれ示す。
【0020】
【表1】
【0021】
また、本発明のプロピレンブロック共重合体は、平均粒径100〜5000μm の粒子状物であって、その粒子表面上に析出しているエチレン−プロピレン共重合体が、全体のエチレン−プロピレン共重合体の0.3容量%以下、好ましくは0.2容量%以下、特に好ましくは0.1容量%以下であり、共重合体粒子の表面上に存在するゴム部が非常に少ないという特徴を有する。従来のプロピレンブロック共重合体あるいはその製造方法では、ゴム部の割合が低い場合、重合体粒子の内部、あるいはPP部のマトリックス内部にゴム部が生成し、重合体粒子の表面には析出してこないが、ゴム部の割合が高い場合、PP部に割れが生じてゴム部が重合体表面に析出してしまう。そのため重合体粒子は付着性を示し、結果として重合体粒子同士が付着し凝集したり、反応槽内壁あるいは移送配管内壁などに付着しトラブルの原因となっていた。本発明のプロピレンブロック共重合体では、ゴム部の割合が50重量%以上と高い場合であっても、ゴム部がほとんど重合体粒子表面上になく、付着性がほとんど見られない。粒子表面に析出しているゴム部の割合は、TEM(透過型電子顕微鏡)による重合体の断面写真の画像解析により求められ、粒子表面に析出しているゴム部の面積及び全体のゴム部の面積から容量に換算して算出する。
【0022】
次に、本発明のプロピレンブロック共重合体の製造方法について説明する。本発明のプロピレンブロック共重合体は、2段階以上の多段重合により行い、通常第1段目で重合用触媒の存在下にプロピレンを重合し、第2段目でエチレン及びプロピレンを共重合することにより得られる。第2段目あるいはこれ以降の重合時にプロピレン以外のα−オレフィンを共存あるいは単独で重合させることも可能である。α−オレフィンの例としては、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。具体的には、第1段目でPP部割合が20〜80重量%になるように重合温度および時間を調整して重合し、次いで、第2段目においてエチレンおよびプロピレンあるいは他のα−オレフィンを導入して、ゴム部割合が20〜80重量%になるように重合する。第1段目及び第2段目における重合温度は共に、200℃以下、好ましくは100℃以下であり、重合圧力は10MPa以下、好ましくは5MPa以下である。また、各重合段階での重合時間あるいは連続重合の場合、滞留時間は通常1分〜5時間である。重合方法としては、シクロヘキサン、ヘプタン等の不活性炭化水素の溶媒を試用するスラリー重合法、液化プロピレン等の溶媒を使用するバルク重合法、及び実質的に溶媒を使用しない気相重合法が挙げられる。好ましい重合方法としては、バルク重合法、気相重合法である。
【0023】
本発明のプロピレンブロック共重合体の製造に用いられる重合用触媒としては、マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与性化合物を含む固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物、また、必要に応じて外部電子供与性化合物を組合せた触媒が用いられる。
【0024】
上述したような本発明のプロピレンブロック共重合体の新規で特異な構造は、重合に使用する固体触媒成分の構造に主に起因するものであり、表2に示すような粒子特性を有するマグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与性化合物を含む固体触媒成分が用いられる。比表面積及び細孔容積はBET法、細孔分布はt−プロット法を用い、分析中に得られる相対圧と吸着容積データセットを使用してBJH(Barrett, Joyner, Halenda)法で算出した。これら一連のデータはアサップ2405(島津製作所)で測定した。
【0025】
【表2】
【0026】
上記のように本発明のプロピレンブロック共重合体の製造に用いられる固体触媒は、その特徴として細孔容積が小さく、かつ直径100Å以上の比較的大きな細孔が少なく、逆に直径100Å以下の微細な細孔が微分散しているものである。また、その粒子は微細な1次粒子が凝集して2次粒子を形成しており、その1次粒子の平均直径は0.01〜0.1μm である。
【0027】
上記のような固体触媒成分はマグネシウム化合物、ハロゲン化チタン化合物および電子供与性化合物を接触させて調製される。マグネシウム化合物としては、二塩化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウムまたはアルコキシマグネシウムが好ましく用いられる。ジアルコキシマグネシウムとしては、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、エトキシプロポキシマグネシウム及びブトキシエトキシマグネシウム等が挙げられる。これらの中、二塩化マグネシウムおよびジエトキシマグネシウムが好ましい。さらに、上述した粒子特性を有する固体触媒成分を調製するために、担体となるこれらのマグネシウム化合物においても前述の固体触媒成分の粒子特性とほぼ同等の粒子特性を有することが望ましい。このようなマグネシウム化合物担体は、種々の方法で調製されるが、二塩化マグネシウムあるいはジエトキシマグネシウムの場合、先ず振動ミルやホモジナイザーなどの機械的粉砕または解砕によって微細化し、これをスプレードライなどの方法により凝集させ担体粒子を形成させる。
【0028】
上記のマグネシウム化合物のうち、特にジエトキシマグネシウムが好ましい。ジエトキシマグネシウムの嵩比重は、0.20〜0.40g/ml、より好ましくは0.23〜0.37g/ml、特に好ましくは0.25〜0.35g/mlの範囲のものを用いることが望ましい。この嵩比重が0.20g/ml未満であると、嵩比重の高い、高立体規則性のポリオレフィンを高収率で得ることが不可能となる。一方、嵩比重が0.40g/mlを越えると生成ポリオレフィンの粒子性状に好ましくない影響を与える。ここで嵩比重はJIS K6721(1977)に従って測定したものである。
【0029】
また、ジエトキシマグネシウムの細孔容積は、0.01〜0.1ml/gのものが好ましく、より好ましくは0.01〜0.06ml/g、さらに好ましくは0.015〜0.05ml/g、の範囲であることが望ましい。このように比較的小さい特定の範囲の細孔容積を有する多孔質のジエトキシマグネシウムを使用し調製した固体触媒成分をオレフィン類の重合に供した際、高立体規則性と優れた粒子性状を有した重合体が高収率で得られ、しかもブロック共重合においては、ゴム状重合体の生成割合が高い場合であっても、優れた粒子性状の共重合体を高収率で得ることが可能となる。
【0030】
さらに、ジエトキシマグネシウムの細孔容積分布をln(R90/R10) (ここでR90は積算細孔容積で90%のところの細孔半径、R10は積算細孔容積で10%のところの細孔半径を表わす)で示すと、1.5以上であり、好ましくは1.5から3.5の範囲であり、さらに好ましくは2.0から3.0の範囲である。このようにある程度の広い細孔容積分布を有するものが好ましい。ここで、細孔容積分布は窒素ガスの吸着等温線による方法で測定したものである。
【0031】
さらにまた、ジエトキシマグネシウムの窒素吸着比表面積(N2 SA)は、5〜50m2/g、好ましくは10〜40m2/g、より好ましくは15〜30m2/gのものを用いることが望ましく、その形状は球状あるいは楕円球状でさらに狭い粒度分布を有するものを使用することがより好ましい。ここに球状あるいは楕円球状とは、必ずしも顕微鏡観察で表面が平滑な真球あるいは楕円球状である必要はなく、粒子の球形係数として長軸径lと短軸径wの比(l/w)が3以下であり、好ましくは1〜2であり、より好ましくは1〜1.5のものである。したがって、例えば馬鈴薯のような形状、すなわち表面に凹凸のある粒子形状をしたものも用いることができる。このように球状あるいは楕円球状のジエトキシマグネシウムを用いて得られた固体触媒成分も球状あるいは楕円球状であり、さらにその固体触媒成分を用いて製造されるポリオレフィンも同様の球状あるいは楕円球状になり、結果として非常に流動性に優れた重合体が得られ、ポリオレフィン製造プロセスにおけるメリットとなる。
【0032】
さらに、ジエトキシマグネシウムの平均粒径は、1〜100μm 、好ましくは10〜80μm 、さらに好ましくは15〜60μm であり、その粒度分布は微粉および粗粉の少ない、粒度分布幅の狭いものを使用することが望ましい。具体的には、5μm 以下の粒子が20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下であり、同時に100μm 以上の粒子が10重量%以下、好ましくは5重量%以下のものである。さらに粒度分布を(D90−D10)/D50(ここでD90は積算粒度で90重量%のところの粒径、D10は積算粒度で10重量%のところの粒径、D50は積算粒度で50重量%のところの粒径を表わす)で示すと、3以下であり、好ましくは2.5、より好ましくは2以下である。このように微粉の少ないジアルコキシマグネシウムを用いることにより、結果として得られるポリオレフィンの微粉を少なくすることが可能となる。
【0033】
上記のように嵩比重が高く、特定の細孔容積を有する球状あるいは楕円球状で、微粉および粗粉の少ない狭い粒度分布を有するジエトキシマグネシウムは、例えば次に示す方法が好ましく用いられる。すなわち、金属マグネシウムとエタノールを、溶媒の不存在下また触媒の存在下に直接反応させてジエトキシマグネシウムを製造する。この方法において、金属マグネシウムとエタノールの反応系への最終添加割合を金属マグネシウム/エタノール(重量比)=1/9〜15/1とし、前記最終添加割合の金属マグネシウムとエタノールを、エタノール反応系に連続的または断続的に添加し、5〜80分間に亘り反応させ、次いで、エタノールの還流下に1〜30時間保持し、熟成反応を行う。上記の方法で用いられる金属マグネシウムは例えば、数十〜数百メッシュ、より具体的には100メッシュ程度の粉末状の反応性の良好なものが好ましい。
【0034】
また上記触媒としては、例えば、臭化メチル、塩化メチル、臭化エチル、塩化エチルなどのハロゲン化アルキル、塩化マグネシウム、塩化アルミニウムなどの金属ハロゲン化物、ジエトキシマグネシウムなどのジアルコキシマグネシウム、沃素、酢酸エステルなどが使用され、この中でも沃素が好ましく用いられる。
【0035】
さらに上述した特定の範囲の平均粒径、比表面積、細孔容積及び細孔分布を有する固体触媒成分を調製するためには、上記のようなジエトキシマグネシウムの特性の他、微細な1次粒子がある程度の強さで凝集し2次粒子を形成していることが重要である。1次粒子の大きさとしては0.01〜0.1μmである。このようなジエトキシマグネシウムはその調製条件を調整することによって得ることができ、初期の反応速度を上げることにより1次粒子は小さくなる。具体的手段としては金属マグネシウムとエタノールの反応時に存在させる触媒量を多くし、より具体的には沃素などの触媒量を、反応に供する金属マグネシウム1g当り0.1g以上、好ましくは0.13g以上、特に好ましくは0.15g以上添加する方法、あるいは金属マグネシウムとエタノールを、エタノール反応系に連続的または断続的に添加する際、添加速度を上げる方法などが挙げられる。
【0036】
ハロゲン化チタン化合物としては、具体的には、TiCl4、Ti(OCH3)Cl3、
Ti(OC2H5)Cl3、Ti(OC3H7)Cl3、Ti(O-n-C4H9)Cl3、Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC2H5)2Cl2、Ti(OC3H7)2Cl2、Ti(O-n-C4H9)2Cl2 、Ti(OCH3)3Cl 、Ti(OC2H5)3Cl、Ti(OC3H7)3Cl、Ti(O-n-C4H9)3Cl 等が例示され、この中、TiCl4が好ましく用いられる。これらの四価のハロゲン化チタン化合物は、1種単独又は2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0037】
電子供与性化合物は、酸素原子あるいは窒素原子を含有する有機化合物であり、例えばアルコール類、フェノール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、酸ハライド類、アルデヒド類、アミン類、アミド類、ニトリル類、イソシアネート類、Si−O−C結合を含む有機ケイ素化合物等が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール類、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、ジフェニルエーテル、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3―ジメトキシプロパン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、p−トルイル酸メチル、p−トルイル酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル等のモノカルボン酸エステル類、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、フタル酸ジエステル等のジカルボン酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケトン類、フタル酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド等の酸ハライド類、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、メチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、アニリン、ピリジン等のアミン類、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等のアミド類、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリル等のニトリル類、イソシアン酸メチル、イソシアン酸エチル等のイソシアネート類、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルキルアルコキシシラン等のSi−O−C結合を含む有機ケイ素化合物を挙げることができる。
【0038】
上記の電子供与性化合物のうち、エステル類、とりわけ芳香族ジカルボン酸ジエステルが好ましく用いられ、特に、フタル酸ジエステルが好適である。これらのフタル酸ジエステルの具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジ−iso−プロピル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−iso−ブチル、フタル酸エチルメチル、フタル酸メチル(iso−プロピル)、フタル酸エチル(n−プロピル)、フタル酸エチル(n−ブチル)、フタル酸エチル(iso−ブチル)、フタル酸ジ−n−ペンチル、フタル酸ジ−iso−ペンチル、フタル酸ジ−neo−ペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ビス(2,2−ジメチルヘキシル)、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−n−ノニル、フタル酸ジ−iso−デシル、フタル酸ビス(2,2−ジメチルヘプチル)、フタル酸n−ブチル(iso−ヘキシル)、フタル酸n−ブチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ペンチルヘキシル、フタル酸n−ペンチル(iso−ヘキシル)、フタル酸iso−ペンチル(ヘプチル)、フタル酸n−ペンチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ペンチル(iso−ノニル)、フタル酸iso−ペンチル(n−デシル)、フタル酸n−ペンチルウンデシル、フタル酸iso−ペンチル(iso−ヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(2,2−ジメチルヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(iso−ノニル)、フタル酸n−ヘキシル(n−デシル)、フタル酸n−ヘプチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ヘプチル(iso−ノニル)、フタル酸n−ヘプチル(neo−デシル)、フタル酸2−エチルヘキシル(iso−ノニル)が例示される。これらの1種あるいは2種以上が使用される。なお、上記のエステル類は、2種以上組み合わせて用いることも好ましく、その際用いられるエステルのアルキル基の炭素数合計が他のエステルのそれと比べ、その差が4以上になるように該エステル類を組み合わせることが望ましい。
【0039】
更に、これらのフタル酸ジエステルの芳香環に1または2個の炭素数1〜5のアルキル基または塩素、臭素及びフッ素などのハロゲン原子が置換したものも好ましく用いられる。具体的には、4−メチルフタル酸ジネオペンチル、4−エチルフタル酸ジネオペンチル、4,5−ジメチルフタル酸ジネオペンチル、4,5−ジエチルフタル酸ジネオペンチル、4−クロロフタル酸ジエチル、4−クロロフタル酸ジ−n−ブチル、4−クロロフタル酸ジイソブチル、4−クロロフタル酸ジイソヘキシル、4−クロロフタル酸ジイソオクチル、4−ブロモフタル酸ジエチル、4−ブロモフタル酸ジ−n−ブチル、4−ブロモフタル酸ジイソブチル、4−ブロモフタル酸ジイソヘキシル、4−ブロモフタル酸ジイソオクチル、4−ブロモフタル酸ジイソネオペンチル、4,5−ジクロロフタル酸ジエチル、4,5−ジクロロフタル酸ジ−n−ブチル、4,5−ジクロロフタル酸ジイソヘキシル、4,5−ジクロロフタル酸ジイソオクチルが挙げられる。
【0040】
固体触媒成分は上記マグネシウム化合物、ハロゲン化チタン化合物および電子供与性化合物を接触させることにより調製することができ、この接触は、不活性有機溶媒の不存在下で処理することも可能であるが、操作の容易性を考慮すると、該溶媒の存在下で処理することが好ましい。用いられる不活性有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物、オルトジクロルベンゼン、塩化メチレン、四塩化炭素、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素化合物等が挙げられるが、このうち、沸点が90〜150℃程度の、常温で液状状態の芳香族炭化水素化合物、具体的にはトルエン、キシレン、エチルベンゼンが好ましく用いられる。各成分の接触は、不活性ガス雰囲気下、水分等を除去した状況下で、撹拌機を具備した容器中で、撹拌しながら行われる。接触温度は、単に接触させて撹拌混合する場合や、分散あるいは懸濁させて変性処理する場合には、室温付近の比較的低温域であっても差し支えないが、接触後に反応させて生成物を得る場合には、40〜130℃の温度域が好ましい。反応時の温度が40℃未満の場合は充分に反応が進行せず、結果として調製された固体触媒成分の性能が不充分となり、130℃を超えると使用した溶媒の蒸発が顕著になるなどして、反応の制御が困難になる。なお、反応時間は1分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上である。前記した特有のマグネシウム化合物を担体として用いる場合、その粒子特性を壊さずそのまま維持しながらハロゲン化チタン化合物および電子供与性化合物と接触させ固体触媒成分を調製する必要があり、特にジエトキシマグネシウムを用いる場合、ハロゲン化チタン化合物と接触により急激なハロゲン化反応が進み、粒子が破壊される場合があるので、特に初期段階での接触反応の条件に留意する必要がある。
【0041】
固体触媒成分の好ましい調製方法としては、以下のような方法が挙げられる。例えば、ジアルコキシマグネシウムをトルエンのごとき常温で液体の芳香族炭化水素化合物に懸濁させることによって懸濁液を形成し、次いでこの懸濁液を四塩化チタン中に、反応系の温度を低温に維持しながら添加する。このときの好ましい温度範囲は−15〜5℃、より好ましくは−10〜0℃である。添加終了後さらに低温に保持し熟成反応を行う。このときの好ましい温度範囲も−15〜5℃、より好ましくは−10〜0℃である。その後昇温し70〜120℃で反応させる。この際、上記の懸濁液に四塩化チタンを接触させる前又は接触した後に、フタル酸ジエステルなどの電子供与性化合物を、−20〜130℃で接触させ、固体反応生成物を得る。この固体反応生成物を常温で液体の芳香族炭化水素化合物で洗浄した後、再度四塩化チタンを、芳香族炭化水素化合物の存在下に添加し、70〜120℃で接触反応させ、更に常温で液体の炭化水素化合物で洗浄し固体触媒成分を得る。さらに四塩化チタンを繰り返し接触させることも触媒の活性を向上させる上で好ましい態様である。
【0042】
各化合物の使用量比は、調製法により異なるため一概には規定できないが、例えば、マグネシウム化合物1モル当たり、ハロゲン化チタン化合物が0.5〜100モル、好ましくは0.5〜50モル、より好ましくは1〜10モルであり、電子供与性化合物が0.01〜10モル、好ましくは0.01〜1モル、より好ましくは0.02〜0.6モルである。
【0043】
重合用触媒を形成する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、トリ−iso−ブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムハイドライドが挙げられ、1種あるいは2種以上が使用できる。好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリ−iso−ブチルアルミニウムである。
【0044】
重合用触媒を形成する際に用いられる外部電子供与性化合物としては、前述の固体触媒成分を構成する電子供与性化合物と同じものが用いられるが、その中でも、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3―ジメトキシプロパン等のエーテル類、安息香酸メチルおよび安息香酸エチルなどのエステル類、及び有機ケイ素化合物が好適である。有機ケイ素化合物としては、一般式R1 qSi(OR2)4-q(式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基を示し、同一又は異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基を示し、同一又は異なっていてもよい。q は0≦q ≦3の整数である。)で表される化合物が用いられる。このような有機ケイ素化合物としては、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルキルアルコキシシラン等を挙げることができる。
【0045】
上記の有機ケイ素化合物を具体的に例示すると、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−n−プロピルエトキシシラン、トリ−n−ブチルメトキシシラン、トリ−iso−ブチルメトキシシラン、トリ−t−ブチルメトキシシラン、トリ−n−ブチルエトキシシラン、トリシクロヘキシルメトキシシラン、トリシクロヘキシルエトキシシラン、シクロヘキシルジメチルメトキシシラン、シクロヘキシルジエチルメトキシシラン、シクロヘキシルジエチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−iso−ブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、ビス(2−エチルヘキシル)ジメトキシシラン、ビス(2−エチルヘキシル)ジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ビス(3−メチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ビス(4−メチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ビス(3,5−ジメチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジエトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジプロポキシシラン、3−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、4−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3,5−ジメチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3−メチルシクロヘキシルシクロヘキシルジメトキシシラン、4−メチルシクロヘキシルシクロヘキシルジメトキシシラン、3,5−ジメチルシクロヘキシルシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジエトキシシラン、シクロペンチルエチルジエトキシシラン、シクロペンチル(iso−プロピル)ジメトキシシラン、シクロペンチル(iso−ブチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、シクロヘキシル(n−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(iso−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−プロピル)ジエトキシシラン、シクロヘキシル(iso−ブチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−ブチル)ジエトキシシラン、シクロヘキシル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−ペンチル)ジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルエチルジメトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、2−エチルヘキシルトリメトキシシラン、2−エチルヘキシルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を挙げることができる。上記の中でも、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−iso−ブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジエトキシシラン、シクロペンチルエチルジエトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジエトキシシラン、3−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、4−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3,5−ジメチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシランが好ましく用いられ、該有機ケイ素化合物は1種単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
固体触媒成分、有機アルミニウム化合物、および外部電子供与性化合物の使用量比は、本発明の効果に影響を及ぼすことのない限り任意であり、特に限定されるものではないが、通常、有機アルミニウム化合物は固体触媒成分中のチタン原子1モル当たり、1〜2000モル、好ましくは50〜1000モルの範囲で用いられる。外部電子供与性化合物は、有機アルミニウム化合物1モル当たり、0.002〜10モル、好ましくは0.01〜2モル、特に好ましくは0.01〜0.5モルの範囲で用いられる。
【0047】
各成分の接触順序は任意であるが、重合系内にまず有機アルミニウム化合物を装入し、次いで、外部電子供与性化合物を接触させ、更に固体触媒成分を接触させることが望ましい。
【0048】
更に、上記触媒を用いて本発明のプロピレンブロック共重合体を製造するにあたり、触媒活性、立体規則性及び生成する重合体の粒子性状等を一層改善させるために、本重合に先立ち予備重合を行うことが望ましい。予備重合の際には、本重合と同様のオレフィン類あるいはスチレン等のモノマーを用いることができる。予備重合を行うに際して、各成分及びモノマーの接触順序は任意であるが、好ましくは、不活性ガス雰囲気あるいはプロピレンなどの重合を行うガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず有機アルミニウム化合物を装入し、次いで固体触媒成分を接触させた後、プロピレン等のオレフィン及び/または1種あるいは2種以上の他のオレフィン類を接触させる。外部電子供与性化合物を組み合わせて予備重合を行う場合は、不活性ガス雰囲気あるいはプロピレンなどの重合を行うガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず有機アルミニウム化合物を装入し、次いで外部電子供与性化合物を接触させ、更に固体触媒成分を接触させた後、プロピレン等のオレフィン及び/または1種あるいはその他の2種以上のオレフィン類を接触させる方法が望ましい。
【0049】
【実施例】
次に、本発明の実施例を比較例と対比しつつ、具体的に説明する。なお、重合体の各特性は以下の方法により評価した。
【0050】
(メルトインデックス(メルトフローレート)の値(MFR))
ASTM D1238の方法に準じて測定した。
【0051】
(曲げ弾性率)
重合体に耐熱安定剤を配合した後、押出機でペレット化し、これを射出成形機により成型して測定試料を作成し、ASTM D790に従って23℃で測定した。
【0052】
(アイゾット衝撃強度)
重合体に耐熱安定剤を配合した後、押出機でペレット化し、これを射出成形機により成型して測定試料を作成し、ASTM D256に従ってノッチ付き射出成形試験片について、23℃で測定した。
【0053】
(プロピレンブロック共重合体の組成)
ゴム部割合(ブロック率)、表面上のゴム部割合、PP部セクションの平均直径、ゴム部セクションの平均直径、ゴム部セクション直径累積分布90%及びDpp/Dr は、透過型電子顕微鏡(H−7100FA型;日立製作所社製)及び画像処理装置(LUZEX F型;ニレコ社製)を使用して解析した。また、MFRはASTM D1238の方法に準じて測定した。また、PP部キシレン不溶分は以下の方法で求めた。4.0g のポリマーを200mlのパラキシレンに装入し、沸点下(138℃)で2時間かけてポリマーを溶解した。その後23℃まで冷却し、溶解成分と不溶解成分とをろ過分別した。その溶解成分を加熱乾燥し、得られたポリマーをキシレン溶解成分(XS)とした(重量%)。
【0054】
(エチレン含有量、EPR含有量)
プロピレンブロック共重合体中のエチレン含有量は、13C−NMRにより定量した。また、プロピレンブロック共重合体中のエチレンプロピレンゴム成分(EPR) の含有量を以下の方法により測定した。攪拌機および冷却管を具備した1リッターのフラスコに、共重合体を約2.5g 、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール8mg、p−キシレン250mlを投入し、沸点下で、共重合体が完全に溶解するまで攪拌した。次に、フラスコを室温まで冷却し、15時間放置し、固形物を析出させた。これを遠心分離機により固形物と液相部分とに分離した。その後分離した固形物をビーカーにとり、アセトン500mlを流入し、室温で15時間攪拌した後、固形物を濾過乾燥させ、重量を測定した(この重量をBとする)。また分離した液相部分も同様の操作を行い、固形物を析出させ重量を測定した(この重量をC とする)。共重合体中のエチレンプロピレンゴム成分(EPR) の含有量(重量%)は、〔C(g)/[B(g)+C(g)]×100 〕式により算出した。
【0055】
(プロピレンブロック共重合体の流動性)
図3に示すように出口位置にダンパー2を介設した漏斗1(上部口径;91mm、ダンパー位置口径;8mm、傾斜角;20°、ダンパー位置までの高さ;114mm )を上部にセットし、前記ダンパー2の下部に38mmの間隔を置いて容器状の受器3(内径;40mm、高さ;81mm)を設置した装置を用い、先ず上部の漏斗1に重合体50g を投入した後、ダンパー2を開口して重合体を受器3に落下させ、全ての重合体が落下する時間を計測した。この操作をプロピレンブロック共重合体およびこのプロピレンブロック共重合体の重合に使用したものと同じ固体触媒成分を使用して重合したプロピレン単独重合体(実施例1の重プロピレンブロック共重合体の製造においてプロピレンの重合反応のみを実施して得られた重合体)について行い、落下時間をそれぞれT1およびT2とし、T1/T2で求めた値を流動性として示した。
【0056】
実施例1
(ジエトキシマグネシウムの調製)
エタノール1000ml中にヨウ素100gを溶解して加熱し沸騰還流させた。この中に金属マグネシウムとエタノールのスラリーを連続的に2時間かけて添加して、金属マグネシウムを合計500g添加し還流下で反応させた。この時、エタノールの量は7.6lであった。その後、3時間熟成反応させ、得られた固形物をエタノールで洗浄し、乾燥してジエトキシマグネシウム粉末を得た。このジエトキシマグネシウムを分析したところ、嵩比重0.31g/ml、比表面積(N2 SA)19.8m2/g、球形度(l/w)1.10、平均粒径25μm 、細孔容積0.02ml/g、細孔分布〔ln(R90/R10)〕2.30、5μm 以下の微粉含有率5%、粒度分布〔(D90−D10)/D50〕 1.05であった。
【0057】
(固体触媒成分の調製)
攪拌機を具備し窒素ガスで充分に置換された容量2000mlの丸底フラスコに、前記ジエトキシマグネシウム150g 、トルエン750ml及び及びフタル酸ジ−n−ブチル54mlを装入し、懸濁状態とした。次いで、該懸濁溶液を、攪拌機を具備し窒素ガスで充分に置換された容量3000mlの丸底フラスコ中に予め装入されたトルエン450ml及び四塩化チタン300mlの溶液中に1時間かけて連続的に添加した。その際、反応系の温度を−5℃に保持した。上記混合溶液を−5℃に保持したまま1時間攪拌し、その後、100℃まで4時間かけて昇温し、攪拌しながら2時間反応させた。次いで、反応終了後、生成物を80℃の温度を維持して攪拌しながら2時間接触反応させた。次いで、生成物を40℃のヘプタンで7回洗浄し、濾過、乾燥して粉末状の固体触媒成分を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、3.15重量%であった。該固体触媒成分の平均粒径、比表面積、細孔容積及び細孔分布を測定した。結果を表3に示す。
【0058】
(プロピレンブロック共重合体の製造)
窒素ガスで完全に置換された内容積2.0リットルの撹拌機付オートクレーブに、トリエチルアルミニウム(TEAL)、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMS)および前記固体触媒成分をチタン原子として0.0026mmol装入し、重合用触媒を形成した。このとき固体触媒成分中のTi、TEALおよびCMDMSのモル比(Ti/TEAL/CMDMS)は、1/400/67とした。その後、水素ガス2.0リットル、液化プロピレン1.2リットルを装入し、70℃で1時間プロピレン重合反応を行い、PP部割合が約70重量%になるように重合反応を行った。その後、エチレンガスおよびプロピレンガスをエチレン/プロピレンモル比0.7で供給しながら、1.7MPaの圧力で気相で70℃で2時間重合を行い、ゴム部割合が約30重量%になるように、プロピレンブロック共重合体を製造した。得られたプロピレンブロック共重合体のTEM(透過型電子顕微鏡)写真を図1に、ゴム部割合(ブロック率)、表面上のゴム部割合、エチレン含有量、EPR含有量、PP部MFR、PP部キシレン不溶分、PP部セクションの平均直径、ゴム部セクションの平均直径、ゴム部セクション直径累積分布90%、Dpp/Dr 、MI、曲げ弾性率及びアイゾット衝撃強度を表3にそれぞれ示す。なお、PP部のMFR及びPP部のキシレン不溶分は、上記プロピレン重合反応後の、反応生成物を測定したものである。
【0059】
実施例2
(プロピレンブロック共重合体の製造)
ゴム部割合を63.5重量%とするために、70℃で0.5時間プロピレン重合を行い、70℃で2時間エチレンプロピレン共重合を行ってプロピレンブロック共重合体を製造した以外は、実施例1と同様に方法で行った。得られたプロピレンブロック共重合体のTEM(透過型電子顕微鏡)写真を図2に、実施例1と同様の特性値を表3にそれぞれ示す。
【0060】
実施例3
(ジエトキシマグネシウムの調製)
エタノール1000ml中にヨウ素100gを溶解して加熱し沸騰還流させた。この中に金属マグネシウムとエタノールのスラリーを連続的に1時間かけて添加して、金属マグネシウムを合計500g添加し還流下で反応させた。この時、エタノールの量は7.6lであった。その後、3時間熟成反応させ、得られた固形物をエタノールで洗浄し、乾燥してジエトキシマグネシウム粉末を得た。このジエトキシマグネシウムを分析したところ、嵩比重0.30g/ml、比表面積(N2 SA)20.5m2/g、球形度(l/w)1.05、平均粒径24μm 、細孔容積0.018ml/g、細孔分布〔ln(R90/R10)〕2.10、5μm 以下の微粉含有率5%、粒度分布〔(D90−D10)/D50〕 1.05であった。
【0061】
(固体触媒成分の調製及びプロピレンブロック共重合体の製造)
上記で得られたジエトキシマグネシウムを用いた以外は実施例1と同様に固体触媒成分の調製及びプロピレンブロック共重合体の製造を行った。得られた結果を表3に示す。
【0062】
実施例4
(固体触媒成分の調製)
攪拌機を具備し窒素ガスで充分に置換された容量2000mlの丸底フラスコに、実施例1で調製したジエトキシマグネシウム150g 、トルエン750ml及び及びフタル酸ジ−n−ブチル54mlを装入し、懸濁状態とした。次いで、該懸濁溶液を、攪拌機を具備し窒素ガスで充分に置換された容量3000mlの丸底フラスコ中に予め装入されたトルエン450ml及び四塩化チタン300mlの溶液中に1時間かけて連続的に添加した。その際、反応系の温度を−8℃に保持した。上記混合溶液を−8℃に保持したまま1時間攪拌し、その後、100℃まで4時間かけて昇温し、攪拌しながら2時間反応させた。次いで、反応終了後、生成物を80℃の温度を維持して攪拌しながら2時間接触反応させた。次いで、生成物を40℃のヘプタンで7回洗浄し、濾過、乾燥して粉末状の固体触媒成分を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、3.15重量%であった。該固体触媒成分の平均粒径、比表面積、細孔容積及び細孔分布を測定した。結果を表3に示す。
【0063】
(プロピレンブロック共重合体の製造)
上記で得られた固体触媒成分を用いた以外は実施例1と同様にプロピレンブロック共重合体の製造を行った。得られた結果を表3に示す。
【0064】
比較例1
(ジエトキシマグネシウムの調製)
市販のヒュルス社製顆粒状ジエトキシマグネシウム(品名:マグネシウムエチラート、粒径500〜1500μm)1kgを窒素ガスで置換した内容積約10リッターのボールミルに装入して5分間粉砕した。得られたジエトキシマグネシウムの物性を測定した結果、JIS K6721に従って測定した嵩比重が0.41g/ml、比表面積(N2SA)が9.8m2/g、球形度(l/w)が2.0、平均粒径が101.9μm、細孔容積が0.010ml/g、細孔分布[ln(D90/D10)]が2.63、5μm以下の微粉含有率が4.1%、粒度分布[(D90−D10)/D50]が2.44であった。
【0065】
(固体触媒成分の調製)
攪拌機を具備し窒素ガスで充分に置換された容量2000mlの丸底フラスコに、上記の顆粒状のジエトキシマグネシウム150g 、トルエン750ml及びフタル酸ジ−n−ブチル54mlを装入し、懸濁状態とした。次いで、該懸濁溶液を、攪拌機を具備し窒素ガスで充分に置換された容量3000mlの丸底フラスコ中に予め装入されたトルエン450ml及び四塩化チタン300mlの溶液中に1時間かけて連続的に添加した。その際、反応系の温度を5℃に保持した。その後、100℃まで4時間かけて昇温し、攪拌しながら2時間反応させた。次いで、反応終了後、生成物を80℃の温度を維持して攪拌しながら2時間接触反応させた。次いで、生成物を40℃のヘプタンで7回洗浄し、濾過、乾燥して粉末状の固体触媒成分を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、3.15重量%であった。該固体触媒成分の平均粒径、比表面積、細孔容積及び細孔分布を測定した。結果を表3に示す。
【0066】
(プロピレンブロック共重合体の製造)
実施例1と同様に実験を行い、プロピレンブロック共重合体を得た。得られたプロピレンブロック共重合体の特性値を表3に示す。
【0067】
比較例2
(固体触媒成分の調製)
二塩化マグネシウム95.2g、デカン442ml及び2−エチルヘキシルアルコール390.6gを130℃で2時間加熱反応を行って均一溶液とした後、この溶液に無水フタル酸21.3gを添加し、更に、130℃で1時間攪拌混合を行い、無水フタル酸を溶解させ均一溶液を得た。室温に冷却した後、四塩化チタン200ml中に、この均一溶液の75mlを滴下し、その後、110℃に昇温し、110℃に達したところでフタル酸ジイソブチル5.22gを添加し、2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、生成物を275mlの四塩化チタンに再懸濁させた後、110℃で2時間処理した。次いで、生成物を40℃のヘプタンで7回洗浄し、濾過、乾燥して粉末状の固体触媒成分を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、2.80重量%であった。該固体触媒成分の平均粒径、比表面積、細孔容積及び細孔分布を測定した。結果を表3に示す。
【0068】
(プロピレンブロック共重合体の製造)
70℃で1時間プロピレン重合を行い、70℃で1時間エチレンプロピレン共重合を行ってプロピレンブロック共重合体を製造した以外は、実施例1と同様に実験を行い、プロピレンブロック共重合体を得た。得られたプロピレンブロック共重合体の特性値を表3にそれぞれ示す。
【0069】
比較例3
(ジエトキシマグネシウムの調製)
エタノール1000ml中にヨウ素10gを溶解して加熱し沸騰還流させた。この中に金属マグネシウムとエタノールのスラリーを連続的に2時間かけて添加して、金属マグネシウムを合計500g添加し還流下で反応させた。この時、エタノールの量は7.6lであった。その後、3時間熟成反応させ、得られた固形物をエタノールで洗浄し、乾燥してジエトキシマグネシウム粉末を得た。このジエトキシマグネシウムを分析したところ、嵩比重0.26g/ml、比表面積(N2 SA)19.8m2/g、球形度(l/w)1.10、平均粒径31μm 、細孔容積0.03ml/g、細孔分布〔ln(R90/R10)〕2.30、5μm 以下の微粉含有率5%、粒度分布〔(D90−D10)/D50〕 1.05であった。
【0070】
(固体触媒成分の調製)
攪拌機を具備し窒素ガスで充分に置換された容量2000mlの丸底フラスコに、前記ジエトキシマグネシウム150g 、トルエン750ml及び及びフタル酸ジ−n−ブチル54mlを装入し、懸濁状態とした。次いで、該懸濁溶液を、攪拌機を具備し窒素ガスで充分に置換された容量3000mlの丸底フラスコ中に予め装入されたトルエン450ml及び四塩化チタン300mlの溶液中に1時間かけて連続的に添加した。その際、反応系の温度を10℃に保持した。上記混合溶液を10℃に保持したまま1時間攪拌し、その後、100℃まで4時間かけて昇温し、攪拌しながら2時間反応させた。次いで、反応終了後、生成物を80℃の温度を維持して攪拌しながら2時間接触反応させた。次いで、生成物を40℃のヘプタンで7回洗浄し、濾過、乾燥して粉末状の固体触媒成分を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、2.70重量%であった。該固体触媒成分の平均粒径、比表面積、細孔容積及び細孔分布を測定した。結果を表3に示す。
【0071】
(プロピレンブロック共重合体の製造)
上記のようにして得られた固体触媒成分を用いた以外は実施例1と同様に共重合体の製造を行った。得られた結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
【発明の効果】
本発明のプロピレンブロック共重合体は、プロピレン重合体中にゴム成分であるエチレン−プロピレン共重合体を高比率で、且つ高分散に配合できる新規な構造を有する。更に、粒子表面上のゴム比率が少なく、重合体粒子間の付着や装置内壁への付着等が生じることがないため、安定した高品質のブロック共重合体の製造を可能にする。また、このような特有な構造を有することから、剛性および耐衝撃性の両方の性能においてバランスがよく、特に、バンパーなどの自動車部品や家電部品などの用途に非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のプロピレンブロック共重合体の断面のTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。
【図2】実施例2のプロピレンブロック共重合体の断面のTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。
【図3】プロピレンブロック共重合体の流動性を測定する装置の図面である。
Claims (8)
- プロピレン重合体20〜80重量%と、エチレン−プロピレン共重合体20〜80重量%とからなるプロピレンブロック共重合体であって、該プロピレン重合体中に不定形状のエチレン−プロピレン共重合体セクションが微分散したものであって、該不定形状のエチレン−プロピレン共重合体セクションを同一面積の円に換算した場合、該エチレン−プロピレン共重合体セクションの平均直径(Dr)が下記(1)式;
Dr(μm)≦0.005×A (1)
(式中、Aは、プロピレンブロック重合体中におけるエチレン−プロピレン共重合体の含有率(重量%)を示し、20≦A(重量%)≦80である)を満足することを特徴とするプロピレンブロック共重合体。 - プロピレン重合体20〜80重量%と、エチレン−プロピレン共重合体20〜80重量%とからなるプロピレンブロック共重合体であり、該プロピレン重合体と該エチレン−プロピレン共重合体は、互いに錯綜して混じり合い、共に不定形状のプロピレン重合体セクションとエチレン−プロピレン共重合体セクションを形成したものであって、該エチレン−プロピレン共重合体セクションを同一面積の円に換算した場合、該エチレン−プロピレン共重合体セクションの平均直径が(Dr)が下記(1)式;
Dr(μm)≦0.005×A (1)
(式中、Aは、プロピレンブロック重合体中におけるエチレン−プロピレン共重合体の含有率(重量%)を示し、20≦A(重量%)≦80である)を満足することを特徴とするプロピレンブロック共重合体。 - 前記プロピレン重合体セクションを同一面積の円に換算した場合、平均直径(Dpp)(μm)が下記(2)式;
5.0≧Dpp(μm)≧ e-0.02×A (2)
(式中Aは、前記と同義。)を満足することを特徴とする請求項2に記載のプロピレンブロック共重合体。 - プロピレン重合体が30〜70重量%、エチレン−プロピレン共重合体が30〜70重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロピレンブロック共重合体。
- 前記エチレン−プロピレン共重合体セクションの直径の累積粒度分布90%における粒子の直径(Dr90)が、下記(3)式;
Dr90(μm)≦0.01×A (3)
(式中Aは、前記と同義。)を満足することを特徴とする請求項1又は2記載のプロピレンブロック共重合体。 - プロピレン重合体20〜80重量%と、エチレン−プロピレン共重合体20〜80重量%とからなる平均粒径100〜5000μm の粒子状物のプロピレンブロック共重合体であって、その粒子表面上のエチレン−プロピレン共重合体の割合が、全体のエチレン−プロピレンブロック共重合体の0.3容量%以下であることを特徴とするプロピレンブロック共重合体。
- プロピレンを重合し、次いでエチレン及びプロピレンを共重合することにより得られることを特徴とする請求項1〜6に記載のプロピレンブロック共重合体。
- マグネシウム、チタン及びハロゲン原子を含有し、平均粒径が1〜100μm 、比表面積が100〜500m2/g、細孔容積が0.2ml/g未満、かつ細孔直径100Å以下からなる細孔の累積細孔容積が50%以上である細孔分布を有する固体触媒成分を含む重合用触媒により、プロピレンを重合し、次いでエチレン及びプロピレンを共重合して得られることを特徴とする請求項1〜6に記載のプロピレンブロック共重合体。
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