JP3937921B2 - 複合材料振動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、音響インピーダンスが異なる複数の材料部分が結合された複合材料振動装置に関し、例えば、圧電素子などの振動部材に、音響インピーダンスが異なる複数の材料層が連結されている複合材料振動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧電共振子や圧電フィルタを構成する圧電共振部品として、圧電振動素子の上下にケース基板を積層した構造のものが広く用いられている。この場合、圧電素子の圧電振動部の振動を妨げないための空間を積層体内に形成しなければならない。従って、積層されるケース基板の圧電素子側の面に空洞を形成するための凹部を形成する方法、あるいは圧電素子にケース基板を積層するにあたり、空洞を形成するために接着剤塗布エリアに空洞を除いた領域とする方法などが用いられていた。
【0003】
上記のように、従来の積層型の圧電共振部品では、圧電振動部の振動を妨げないための空洞を形成しなければならず、そのため小型化が困難であった。また、コストを削減することが困難であった。
【0004】
他方、特開平10−270979号公報には、空洞を有しない積層構造のバルク型音波フィルタが開示されている。図13に示すように、バルク型音波フィルタ211では、基板212上に多数の膜を積層することにより圧電フィルタが構成されている。
【0005】
すなわち、この積層構造中には、圧電層213が形成されており、圧電層213の上面及び下面に電極214,215が積層されて、圧電共振子が構成されている。
【0006】
上記圧電共振子の下面には、シリコンやポリシリコンなどの膜を積層することにより、上層216、中層217及び下層218からなる積層構造の音響ミラー219が構成されている。また、圧電共振子の上面にも、同様の積層構造を有する音響ミラー220が積層されており、該音響ミラー220上に保護膜としてのパッシベーション膜221が形成されている。
【0007】
上記音響ミラー219では、中層217の音響インピーダンスが、上層216及び下層218の音響インピーダンスよりも高くされている。音響ミラー220においても、同様に中層の音響インピーダンスが、上層及び下層の音響インピーダンスよりも高くされている。
【0008】
上記バルク型音波フィルタ211では、音響ミラー219,220を圧電共振子部分に積層することにより、圧電共振子から伝播してきた振動が圧電共振子側に反射される。従って、圧電共振子部分の共振特性に影響を与えることなく、基板212を用いて機械的に保持することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図13に示したバルク型音波フィルタ211では、音響ミラー219,220は、圧電共振子側から伝播してきた振動を反射させるように構成されているが、各音響ミラー219,220は、それぞれ、中層の上下に上層及び下層を積層してなり、中層の音響インピーダンスが上層及び下層の音響インピーダンスより高くされている。従って、音響ミラー219,220として多数の材料層を積層しなければならず、空洞の形成は省略し得るものの、バルク型音波フィルタ211では、多数の材料層を積層しなければならないため、小型化、特に低背化が困難であった。また、製造工程も煩雑であった。
【0010】
さらに、上記バルク型音波フィルタ211では、圧電共振子の側方振動が伝播するが、交互に伝播してきた振動が、圧電共振子の側方部分においてダンピングされ、従って圧電共振子部分の側方が固定されていることにより圧電共振子の共振特性が保持構造により劣化するという問題もあった。
【0011】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、比較的簡単な構造で振動部材の振動特性に影響をほとんど与えることなく支持することができ、小型であり、特に低背化に適してた安価な複合材料振動装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明に係る複合材料振動装置は、第1の音響インピーダンス値Z1を有する材料を用いて構成されており、振動発生源となる振動部材と、前記第1の音響インピーダンス値Z1よりも低い第2の音響インピーダンス値Z2を有する材料からなり、かつ前記振動部材の少なくとも3方向の外側の面にそれぞれ連結された少なくとも3つの反射層と、前記第2の音響インピーダンス値Z2よりも大きな第3の音響インピーダンス値Z3を有する材料からなり、前記各反射層の振動部材が連結されている側とは反対側に連結された保持部材とを備え、前記第2の音響インピーダンス値Z 2 の第1の音響インピーダンス値Z 1 に対する比Z 2 /Z 1 が0.2以下であり、かつ前記第2の音響インピーダンス値Z 2 の第3の音響インピーダンス値Z 3 に対する比Z 2 /Z 3 が0.2以下であり、前記反射層と前記保持部材との界面において前記振動部材から反射層に伝播してきた振動が反射されるように構成されている、複合材料振動装置である。
【0013】
本発明では、振動部材から反射層に伝播してきた振動が、反射層と保持部材との界面において反射される。従って、比較的簡単な構造で、振動部材の振動を妨げなることなく、保持部材により保持することができる。しかも、上記反射層及び保持部材が、振動部材の外側の少なくとも3方向に配置されているため、少なくとも3方向のいずれかの方向に位置する複合材料振動装置の外表面を利用して保持することができる。
【0016】
本発明に係る複合材料振動装置のさらに他の特定の局面では、振動部材から反射層内を保持部材に向けて進行し、前述した界面で反射される反射層内を伝播する伝播振動の振幅方向が、伝播方向と垂直の関係となるため、平行の関係になる場合に比べ、反射層を薄くできる。
【0017】
本発明において、上記振動部材は特に限定されないが、本発明のある特定の局面では、電気機械結合変換素子が用いられ、このような電気機械結合変換素子としては、圧電素子あるいは電歪硬化素子などが挙げられる。
【0018】
本発明に係る複合材料振動装置のさらに他の特定の局面では、反射層は、音響インピーダンスが異なる複数の材料層を積層してなることにより構成されている。この場合には、複数の材料層の音響インピーダンスを選択することにより、反射層の音響インピーダンスを容易に調整することができる。
【0019】
本発明に係る複合材料振動装置のさらに別の特定の局面では、前記振動部材からの振動を受け、反射層内を前記保持部材に向かって伝播する伝播振動の波長をλとした場合、反射層と振動部材との界面から、反射層と保持部材との界面までの距離が、n・λ/4±λ/8(nは奇数)の範囲とされ、それによって上記界面において伝播振動をより効果的に反射させることができ、保持による振動部材への影響をより一層低減することができる。
【0020】
本発明に係る複合材料振動装置のさらに別の特定の局面で、上記保持部材において、コンデンサを構成するための複数の容量電極が形成されており、それによって保持部材を利用してコンデンサが構成される。従って、振動部材とコンデンサとを組み合わせて、たとえば小型の発振子等を容易に提供することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施例に係る複合材料振動装置の分解斜視図であり、図2はその外観を示す斜視図、図3は縦断面図である。
図1に示されているように、本実施例の複合材料振動装置1では、振動部材としての圧電共振子2が用いられている。圧電共振子2は、矩形板状の形状を有するチタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミックスからなるセラミック板を用いて構成されている。該セラミック板は、厚み方向に分極処理されている。また、セラミック板の上面及び下面には、励振電極11,12が形成されている。励振電極11,12間に交流電圧を印加することにより、圧電共振子2は厚み縦振動モードで励振される。なお、上記セラミック板の音響インピーダンス値Z1は、18.8×106N・s・m-3である。
【0023】
他方、圧電共振子2の側方には、第1,第2の反射層3,4が連結されており、反射層3,4の外側に、第1,第2の保持部材5,6が連結されている。本実施例では、圧電共振子2、反射層3,4及び保持部材5,6により、細長いストリップ状の構造体7が構成されている。
【0024】
反射層3,4を構成する材料は、特に限定されるわけではないが、本実施例では、エポキシ系樹脂により構成されており、その音響インピーダンス値Z2は、1.2×106N・s・m-3とされている。他方、保持部材5,6は、本実施例では、セラミックスにより構成されており、その音響インピーダンスZ3値は、18.8×106N・s・m-3である。
【0025】
なお、励振電極11は、圧電共振子2の上面に形成されているが、上記構造体7の上面において長さ方向一端に至るように形成されており、かつ複合材料振動装置1の端面に形成された外部電極13に電気的に接続されている。
【0026】
下面の励振電極12についても、同様に、構造体7の下面において長さ方向端部まで延ばされており、後述の外部電極14に電気的に接続されている。
上記構造体7の下面には、第3の反射層8が積層されている。反射層8は、反射層3,4と同じエポキシ樹脂からなり、その音響インピーダンス値Z2は、1.2×106N・s・m-3とされている。もっとも、反射層8の音響インピーダンス値は、反射層3,4の音響インピーダンス値と必ずしも等しくなくともよい。
【0027】
反射層8の下面には、第3の保持部材9が積層されている。保持部材9は、本実施例では、セラミックスからなり、その音響インピーダンス値Z3は、18.8×106N・s・m-3とされている。
【0028】
保持部材9は、矩形板状の形状を有し、その上面には、容量電極15,16が形成されている。容量電極15,16と保持部材9を介して対向するように、保持部材9の下面中央に容量電極17が形成されている。容量電極15,16,17により、保持部材9にコンデンサが構成されている。
【0029】
前述した構造体7の上面には、絶縁性樹脂からなる保護膜18が積層されている。保護膜18は、励振電極11を被覆し、耐湿性等を高めるために設けられている。保護膜18を構成する絶縁性樹脂は特に限定されず、もっとも、圧電共振子2の振動を妨げないためには、シリコーン樹脂などの柔軟性に優れた材料を用いることが望ましい。
【0030】
図3に示されているように、上記複合材料振動装置1の側面には、外部電極13,14が形成されている。なお、外部電極13,14は、複合材料振動装置1の側面だけでなく、下面に至るように形成されている。従って、複合材料振動装置1は、下面側からプリント回路基板などに容易に表面実装され得ることができる。この場合、外部電極13,14と容量電極17とが外部に接続され、3端子型の容量内蔵型圧電発振子として動作させることができる。
【0031】
本実施例の複合材料振動装置1では、振動部材としての圧電共振子2の一対の側面に第1,第2の反射層3,4が連結されており、下面に第3の反射層8が連結されている。各反射層3,4,8の圧電共振子2に連結されている側とは反対側の面に、保持部材5,6,9が連結されている。言い換えれば、圧電共振子2の振動を妨げないための空洞は形成されていない。従って、空洞を形成する必要がないため、複合材料振動装置1では、小型化及びコストの低減を果たすことができる。
【0032】
空洞を省略し得るのは、反射層3,4,8の音響インピーダンス値Z2が圧電共振子2及び保持部材5,6,9を構成する材料の音響インピーダンス値Z1,Z3よりも小さいためである。これを具体的な実験例に基づき説明する。
【0033】
以下の条件で、複合材料振動装置1を作製した。圧電共振子2は、上記チタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミック板を用いて構成し、その構造体7の長さ方向に沿う寸法は、0.65mm×幅方向寸法0.5mm×厚み0.15mmとした。この圧電共振子2の単体の共振周波数は8MHzである。上記反射層3,4の厚み、すなわち圧電共振子2と反射層3,4との界面と、反射層3,4と保持部材5,6との間の界面との間の距離を0.040mmとした。また、保持部材5,6の構造体7の長さ方向に沿う寸法は0.635mmとした。従って、構造体7の長さは2.0mm、幅は0.5mm、厚みは0.15mmである。
【0034】
反射層8の厚み、すなわち圧電共振子2と反射層8との界面と、反射層8と保持部材9との間の界面の距離を0.040mmとした。保持部材9の厚みは0.1mmとした。なお、反射層8及び保持部材9の平面形状は構造体7と同一とされている。保護膜18については、シリコーン系樹脂を20μmの厚みに成膜することにより形成した。
【0035】
このようにして得られた複合材料振動装置1の共振周波数を測定したところ、比帯域幅の減少率は約5%であり、圧電共振子2の単体の比帯域幅と殆ど変わらなかった。
【0036】
上記のように、圧電共振子2の振動を妨げないための空洞を設けなかった場合であっても、本実施例では、圧電共振子2単体の共振特性と同等の共振特性を実現することができる。これは、圧電共振子2から反射層3,4,8に伝播した振動が、反射層3,4,8と、保持部材5,6,9との間の界面で反射されるためである。
【0037】
従って、本実施例によれば、複合材料振動装置1全体の小型化を図ることができ、かつコストの低減を果たすことができる。特に、圧電共振子2の外側の3方向、すなわち一対の側面及び下面方向に反射層3,4,8が形成されているので、圧電共振子2の共振特性を損なうことなく、複合材料振動装置1の小型化を効果的に進めることができる。
【0038】
本願発明者は、上記複合材料振動装置1の実験結果を考慮し、複合材料振動装置1における圧電共振子2、反射層3,4,8及び保持部材5,6,9を構成する材料及び寸法などを種々変更し、実験を繰り返した。その結果、反射層3,4,8の音響インピーダンス値Z2を、圧電共振子2の音響インピーダンス値Z1及び保持部材5,6,9の音響インピーダンス値Z3よりも小さくすれば、上記実験例と同様に、圧電共振子2から保持部材5,6,9への振動の伝播をほぼ抑制し得ることを見出した。
【0039】
これを、図4及び図5を参照して説明する。
まず、上記実施例の複合材料振動装置1において、反射層を構成する材料を種々変更し、その他は上記実施例と同様にして、音響インピーダンス比Z2/Z1が種々異なる複合材料振動装置を作製した。これらの複合材料振動装置において、共振周波数を測定し、音響インピーダンス比Z2/Z1が変化した場合の共振周波数変化率を求めた。結果を図4に示す。
【0040】
なお、共振周波数変化率とは、圧電共振子2単体の共振周波数をF0、上記のようにして作製された複合材料振動装置の共振周波数をFとしたときに、〔(F−F0)/F0〕×100(%)で表される値である。
【0041】
図4から明らかなように、音響インピーダンス比Z2/Z1が1未満の場合には共振周波数変化率が小さく、0.2以下の場合、共振周波数の変化率が0.4%以下と非常に小さく、Z2/Z1が0.1以下では、0.1%以下とさらに低いことがわかる。
【0042】
次に、上記実施例の複合材料振動装置において、反射層を上記実施例と同様にして構成し、保持部材を構成する材料を種々変更し、インピーダンス比Z2/Z3が異なる種々の複合材料振動装置を作製し、上記と同様にして共振周波数変化率を求めた。結果を図5に示す。
【0043】
図5から明らかなように、音響インピーダンス比Z2/Z3が1未満の場合に共振周波数変化率が小さいことがわかる。また、Z 2/Z3を0.2以下とすることにより、共振周波数変化率が0.215%以下、より好ましくはZ2/Z3を0.1以下とすることにより共振周波数変化率が0.1%以下となることがわかる。
【0044】
よって、図4及び図5の結果から明らかなように、音響インピーダンス比Z1,Z2及びZ2/Z3は、0.2以下とされており、より好ましくは0.1以下である。
【0045】
なお、反射層3,4,8及び保持部材5,6,9の音響インピーダンス値Z2,Z3の制御は、これらを構成する材料自体の変更あるいは組成を変更することにより容易に行うことができる。例えば、反射層3,4,8については、上記実施例ではエポキシ樹脂が用いられていたが、エポキシ樹脂に、エポキシ樹脂とは異なる音響インピーダンス値を有する有機もしくは無機粉末などを配合することにより、反射層3,4,8の音響インピーダンス値Z2を調整することができる。
【0046】
また、保持部材5,6,9についても、保持部材5,6,9を構成するセラミックスに、該セラミックスとは異なる音響インピーダンス値を有する有機もしくは無機粉末などを配合することにより、その音響インピーダンス値Z3を容易に調整することができる。
【0047】
なお、反射層3,4,8及び保持部材5,6,9を構成する材料は、エポキシ樹脂やセラミックスに限定されるものではない。様々な有機材料あるいは無機材料が、目的とする音響インピーダンス値Z2,Z3を得るように用いられ得る。
【0048】
次に、本願発明者は、上記実施例の複合材料振動装置1における反射層3,4の厚みを種々変更した場合の帯域幅及び共振周波数の変化を調べた。結果を図6及び図7に示す。
【0049】
図6は、上記実施例において、反射層3,4の厚みを種々変化させた場合の相対比帯域幅の変化を示し、図7は、相対共振周波数の変化を示す。なお、相対比帯域幅とは、反射層3,4,8及び保持部材5,6,9が設けられていない圧電共振子2単独の比帯域幅に対し、作製された複合材料振動装置における比帯域幅の割合を示す。また、相対共振周波数とは、圧電共振子2単体の共振周波数に対する、用意された複合材料振動装置の共振周波数の割合を示す。
【0050】
図6及び図7における横軸の反射層3,4の厚みは、圧電共振子2で励振される表面波の波長λを基準とした値である。
図6及び図7から明らかなように、反射層3,4の厚みを変化させた場合、一定の周期で、相対比帯域幅及び相対共振周波数が変化することがわかる。すなわち、反射層の厚みが、n・λ/4±λ/8(nは奇数)の範囲では、相対比帯域幅及び相対共振周波数が、圧電共振子2単体の場合の特性とほぼ変わらないことがわかる。従って、好ましくは、反射層に沿う厚み、すなわち圧電共振子2から反射層に伝播してきた振動の進行方向に沿う反射層の距離は、圧電共振子2で励振される表面波の波長をλとした場合には、nλ/4±λ/8の範囲とすることが望ましい。
【0051】
図8は、本発明の第2の実施例に係る複合材料振動装置の分解斜視図であり、図9はその外観を示す斜視図である。
本実施例の複合材料振動装置21は、第1の実施例と同様に、3端子型の容量内蔵型圧電共振子として用いられるものである。もっとも、振動部材として、矩形板状の厚み滑りモードを利用した圧電共振子22が用いられている。圧電共振子22では、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスのような圧電セラミックスからなる矩形板状の圧電基板31の上面に励振電極32が形成されている。また、図8では図示されていないが、圧電基板31の下面にも励振電極が形成されており、励振電極32と下面の励振電極とが圧電基板22の長さ方向中央において圧電基板31を介して対向されている。
【0052】
励振電極32は、複合材料振動装置21の一方の端面に至るように形成されいてる。また、下面の励振電極は、複合材料振動装置の反対側の端面に引き出されている。圧電基板31は、複合材料振動装置の両端面を結ぶ方向に分極されている。
【0053】
本実施例では、上記圧電共振子22の上面及び下面に、第1,第2の反射層23a,23bが積層されている。また、反射層23a,23bの上面及び下面に、保持部材24a,24bが積層されている。
【0054】
さらに、上記圧電共振子22、反射層23a,23b及び保持部材24a,24bからなる積層体の一対の側面に第3,第4の反射層23c,23dと、保持部材24c,24dとが積層されている。保持部材24bにおいては、第1の実施例と同様に、上面に一対の容量電極33,34が形成されており、下面には容量33,34と対向するように下面中央に容量電極(図示せず)が形成されている。
【0055】
また、複合材料振動装置21では、図9に示すように、外部電極35が一方の端面に、外部電極36が他方の端面に形成されている。容量電極33,34は、それぞれ、外部電極35,36に電気的に接続されている。従って、外部電極35,36と保持部材24bの下面に形成された容量電極とを外部と電気的に接続することにより、第1の実施例と同様に、複合材料振動装置21は3端子型の容量内蔵型圧電共振子として動作する。
【0056】
本実施例においても、反射層23a,23b,23c,23dの音響インピーダンス値Z2を、圧電共振子22の音響インピーダンス値Z1及び保持部材24a〜24dの音響インピーダンス値Z3よりも小さくすれば、第1の実施例の複合材料振動装置1と同様に、圧電共振子22の共振特性を損なうことなく、圧電共振子22から伝播してきた振動が反射層と保持部材との界面までの領域に効果的に閉じ込められる。従って、複合材料振動装置21は、保持部材24a,24b,24c,24dにおいて機械的に支持されたとしても、共振特性は損なわれ難い。
【0057】
このように、本発明の複合材料振動装置では、振動部材の外側の4方向に位置する外側の面、すなわち上面、下面及び一対の側面に反射層及び保持部材が連結されていてもよい。
【0058】
図10は、第2の実施例の複合材料振動装置の変形例を説明するための分解斜視図であり、図11はその外観を示す斜視図である。
本変形例の複合材料振動装置41では、図8に示した圧電共振子22に代えて、矩形板状の構造体42が用いられていることを除いては、第2の実施例と同様である。従って、第2の実施例と同一部分については、同一の参照番号を付することによりその説明を省略する。
【0059】
構造体42は、圧電共振子43、反射層44,45及び保持部材46,47を構造体42の長さ方向に連結した構造を有する。すなわち、構造体42は、第1の実施例の構造体7と類似した構造を有する。圧電共振子43は、厚み方向に分極処理された圧電セラミックスにより構成されており、上面に形成された励振電極42aを有する。圧電共振子42の下面にも励振電極が形成されている。従って、励振電極42aと下面の励振電極との間に交流電圧を印加することにより、圧電共振子42は、厚み縦振動モードを利用した圧電共振子として動作され得る。
【0060】
本変形例では、振動部材としての圧電共振子43の上面、下面及び一対の側面だけでなく、残りの一対の側面にも反射層44,45及び保持部材46,47が連結されている。従って、圧電共振子43の上方、下方、4つの側面方向のいずれの方向においても圧電共振子43の振動が反射層23a〜23d,44,45と、保持部材24a〜24d,46,47との界面で反射されるため、これらの界面で囲まれた領域に確実に振動エネルギーが閉じ込めれらる。
【0061】
また、本実施例では、複合材料振動装置41の形状は直方体状であるが、いずれの外表面にも保持部材が存在しているため、複合材料振動装置41の外表面のいずれの面をも機械的支持に利用することができる。従って、回路基板などへの実装に際し、設計の自由度を大幅に高めることができる。
【0062】
図12は、反射層の変形例を説明するための正面断面図である。図12に示す複合材料振動装置51は、反射層を除いては、第2の実施例の複合材料振動装置21と同様に構成されている。すなわち、図12に示す断面は、第2の実施例における圧電共振子22、反射層23a,23b及び保持部材24a,24bが積層されている部分を長さ方向に沿って切断した際に表れる面に相当する。
【0063】
第2の実施例では、反射層23a,23bが、単一の材料層で構成されていたが、図12に示すように、複数の材料層23a1〜23a3及び23b1〜23b3を積層することにより、反射層23a,23bを構成してもよい。このように、複数の材料層23a1〜23a3,23b1〜23b3として音響インピーダンスが異なるものを用いることにより、これらの組み合わせによって、反射層23a,23bの音響インピーダンス値Z2を容易に調整することができる。
【0064】
なお、上述してきた実施例及び変形例から明らかなように、本発明に係る複合材料振動装置では、振動部材に反射層を介して保持部材が連結されており、かつ反射層と保持部材との界面で振動部材から伝播してきた振動が反射されるため、該界面までの領域に振動部材の振動を確実に閉じ込めることができる。従って、振動部材の振動モードは特に限定されず、厚み滑りモードや厚み縦モードだけでなく、長さモードや幅モードなどの様々な振動モードを利用した振動部材を用いることができる。
【0065】
また、圧電共振子に限らず、圧電フィルタなどを振動部材として用いてもよく、さらに電歪素子などの他の電気機械結合変換素子を振動部材として用いてもよい。のみならず、電気機械結合変換素子以外の振動部材を用いてもよい。
【0066】
【発明の効果】
本発明に係る複合材料振動装置では、振動部材の少なくとも3方向の外側の面において、反射層及び保持部材が連結されており、振動部材から反射層に伝播してきた振動が、反射層と保持部材との界面で反射される。従って、該界面までの領域に振動部材の振動が確実に閉じ込められる。よって、保持部材を利用して機械的に支持したとしても、振動部材の振動特性が阻害され難い。
【0067】
従って、振動部材の振動を妨げないための空洞を形成する必要がないため、複合材料振動装置の小型化及びコストの低減を果たすことができる。
また、音響インピーダンス値Z2を音響インピーダンス値Z1,Z3よりも小さくし、上記界面において振動を反射させるものであるため、使用する振動部材の振動モードについても特に限定されない。従って、様々な振動モードを利用した複合材料振動装置を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る複合材料振動装置の分解斜視図。
【図2】第1の実施例の複合材料振動装置の外観を示す斜視図。
【図3】第1の実施例の複合材料振動装置の縦断面図。
【図4】音響インピーダンス比Z2/Z1を変化させた場合の実施例の複合材料振動装置における共振周波数変化率を示す図。
【図5】音響インピーダンス比Z2/Z3を変化させた場合の実施例の複合材料振動装置における共振周波数変化率を示す図。
【図6】反射層の厚みを変化させた場合の複合材料振動装置の相対比帯域幅の変化を示す図。
【図7】反射層の厚みを変化させた場合の複合材料振動装置の相対共振周波数の変化を示す図。
【図8】第2の実施例に係る複合材料振動装置の分解斜視図。
【図9】第2の実施例の複合材料振動装置の外観を示す斜視図。
【図10】第2の実施例の変形例の複合材料振動装置を示す分解斜視図。
【図11】第2の実施例の変形例の複合材料振動装置の外観を示す斜視図。
【図12】反射層の変形例を説明するための断面図。
【図13】従来のバルク型音波フィルタを説明するための断面図。
【符号の説明】
1…複合材料振動装置
2…圧電共振子(振動部材)
3,4…第1,第2の反射層
5,6…第1,第2の保持部材
7…構造体
8…第3の反射層
9…第3の保持部材
11…励振電極
12…励振電極
13,14…外部電極
15,16…容量電極
17…容量電極
21…複合材料振動装置
22…圧電共振子(振動部材)
23a〜23d…反射層
23a1〜23a3,23b1〜23b3…材料層
24a〜24d…保持部材
31…圧電基板
32…励振電極
33,34…容量電極
35,36…外部電極
41…複合材料振動装置
42…構造体
42a…励振電極
43…圧電共振子
44,45…反射層
46,47…保持部材
Claims (8)
- 第1の音響インピーダンス値Z1を有する材料を用いて構成されており、振動発生源となる振動部材と、
前記第1の音響インピーダンス値Z1よりも低い第2の音響インピーダンス値Z2を有する材料からなり、かつ前記振動部材の少なくとも3方向の外側の面にそれぞれ連結された少なくとも3つの反射層と、
前記第2の音響インピーダンス値Z2よりも大きな第3の音響インピーダンス値Z3を有する材料からなり、前記各反射層の振動部材が連結されている側とは反対側に連結された保持部材とを備え、
前記第2の音響インピーダンス値Z 2 の第1の音響インピーダンス値Z 1 に対する比Z 2 /Z 1 が0.2以下であり、かつ前記第2の音響インピーダンス値Z 2 の第3の音響インピーダンス値Z 3 に対する比Z 2 /Z 3 が0.2以下であり、
前記反射層と前記保持部材との界面において前記振動部材から反射層に伝播してきた振動が反射されるように構成されている、複合材料振動装置。 - 前記振動部材が直方体もしくは立方体であり、前記反射層が、振動部材の外表面の少なくとも3面に形成されている、請求項1に記載の複合材料振動装置。
- 前記振動部材から反射層内を前記保持部材に向けて進行し、前記反射層と前記保持部材の界面で反射される反射層内を伝播する伝播振動の振幅方向が、伝播方向と垂直の関係にある、請求項1または2に記載の複合材料振動装置。
- 前記振動部材が電気機械結合変換素子である、請求項1〜3のいずれかに記載の複合材料振動装置。
- 前記電気機械結合変換素子が、圧電素子または電歪素子である、請求項4に記載の複合材料振動装置。
- 前記反射層が、音響インピーダンスが異なる複数の材料層を積層することにより構成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の複合材料振動装置。
- 前記振動部材からの振動を受け、反射層内を前記保持部材に向かって伝播する伝播振動の波長λとした場合、反射層と振動部材との界面から、反射層と保持部材との界面までの距離が、n・λ/4±λ/8(nは奇数)の範囲にある、請求項1〜6のいずれかに記載の複合材料振動装置。
- 前記保持部材において、コンデンサを構成するための複数の容量電極が形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の複合材料振動装置。
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