JP3936118B2 - ロッドグリッパー - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば胸椎，腰椎等の骨を接合する骨接合具用のロッドを保持するロッドグリッパーに係り、さらに詳細には、例えば上記ロッドに僅かな径変化があるような場合であっても容易に対応でき、かつロッドの保持を確実に行うことのできるロッドグリッパーに関する。
【０００２】
【従来の技術】
例えば胸椎，腰椎等の離隔した椎体にインプラントを螺入埋設し、この一対のインプラントによって接合具用のロッドの両端部側を支持固定しようとするとき、ロッドグリッパーによって前記ロッドを把持してロッドの両端部が一対のインプラントに係合支持されるように位置せしめセットするものである。
【０００３】
従来のロッドグリッパーとしては、例えば図４に示すように、一対の柄部材１Ａ，１Ｂの適宜中間部はピン３によって枢着し、各柄部材１Ａ，１Ｂの先端部側を開閉自在に構成してあり、上記各先端部には、ロッド５を把持するための係合凹部７が対向してそれぞれ形成してある。そして、上記一方の柄部材１Ａの基部側にはヒンジピン９を介してロック片１１が枢着してある。このロック片１１には、他方の柄部材１Ｂの基端部を係止自在の係止凹部１３が適宜間隔に形成してあり、かつ上記ロック片１１は、他方の柄部材１Ｂの基端部と上記係止凹部１３との係合状態を維持するように、一方の柄部材１Ａに取付けた板バネ１５によって付勢されている。
【０００４】
前記構成のごとき従来のロッドグリッパーにおいては、ロック片１１を矢印Ａ方向へ回動して係止凹部１３と柄部材１Ｂの基端部との係合を解除することにより、一対の柄部材１Ａ，１Ｂの先端部の開閉を行うことができ、先端部の係合凹部７にロッド５を挟み込むことができる。そして、ロッド５を係合凹部７に挟み込んだ後に、ロック片１１を矢印Ａの反対方向に回動して係止凹部１３に柄部材１Ｂの基端部を係止することにより、一対の柄部材１Ａ，１Ｂはロックされた態様となり、ロッド５を保持した状態となるものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上述のごとき従来のロッドグリッパーにおいては、ロック片１１に形成された係止凹部１３が段階的であるために、ロック片１１の係止凹部１３に柄部材１Ｂの基端部を係止した状態のとき、先端部の係合凹部７でもってロッド５を強固に挾持することができないことがある。すなわち、ロッド５の径に多少の変化があると確実に保持することができない場合があるものである。
【０００６】
さらに、従来のロッドグリッパーにおいては、大きな把持力を得るために、ピン３から先端部までの寸法よりも、ピン３から柄部材１Ａ，１Ｂの基端部側までの寸法を大きくする必要があり、全体的構成を細長くコンパクト化することが難しいと共に、一対の柄部材１Ａ，１Ｂ，ロック片１１および板バネ１５等を分解することができず、隅々までの清掃が厄介であるという問題がある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、先端部にロッド係合凹部（２５）を備えたホルダ本体（２７）の基端部に雌ねじ部を備えたナット部（２９）を備えると共に、前記ナット部（２９）に前記ホルダ本体（２７）の長手方向のスリット（３１）を開口して備え、前記ホルダ本体（２７）に対して着脱可能かつ前記ホルダ本体（２７）の長手方向へ移動自在に備えたスライダ（３７）の先端部に、前記ロッド係合凹部（２５）に対向してロッド（２３）を押圧するロッド押圧部（３５）を設け、前記ホルダ本体（２７）における前記ナット部（２９）に螺合する螺子部（４５Ｓ）を備えた螺子杆（４５）における前記螺子部（４５Ｓ）の先端側に、前記ナット部（２９）における前記スリット（３１）の幅寸法より小径で前記ナット部（２９）の長手方向の寸法よりも長い軸部（５７）を備え、この軸部（５７）の先端部に、前記スライダ（３７）の基端部に備えた拡大部（４３）に形成したスリットに係合自在な細径部（５９）を設けると共に、この細径部（５９）の先端部に、前記スライダ（３７）の前記拡大部（４３）に形成した係合孔（４９）に係合自在な球形状の係止部（４７）を備えていることを特徴とするものである。
【００１０】
【発明の実施の形態】
図１を参照するに、本実施の形態に係るロッドグリッパー２１は、例えば胸椎，腰椎等の離隔した椎体に一対のインプラント（図示省略）を螺入埋設し、この一対のインプラントに両端部付近を支持されるロッド２３をセットするときに、上記ロッド２３を把持するためのものである。
【００１１】
上記ロッドグリッパー２１は、ロッド２３を係合保持するための半円形状のロッド係合凹部２５を先端部に備えた細長いホルダ本体２７を備えている。このホルダ本体２７の基端部側には螺子孔部として雌ねじ部を備えたナット部２９が形成してあり、このナット部２９にはホルダ本体２７の長手方向のスリット３１が開口してある。さらに前記ホルダ本体２７の長手方向の中間部の適数箇所には、長手方向のガイドスリット３３Ａ，３３Ｂが形成してある。
【００１２】
前記ホルダ本体２７に備えた前記ロッド係合部２５に対向して前記ロッド２３を押圧するロッド押圧部３５として半円形の凹部を先端部に形成した細長いスライダ３７が前記ホルダ本体２７に長手方向へ移動自在に設けられている。すなわち、上記スライダ３７は、前記ガイドスリット３３Ａ，３３Ｂに移動自在に係合支持された支持片３９，４１を介してホルダ本体２７に移動自在に支持されているものである。
【００１３】
より詳細には、図３に示すように、前記スライダ３７の先端部側には、Ｔ字形状の前記支持片３９が一体的に固定してあり、かつスライダ３７の基端部には拡大部４３が形成してある。そして、この拡大部４３には、スライダ３７を移動するための螺子杆４５（図１参照）の先端部に備えた係止部４７（図２参照）が係合する係合孔４９が形成してあると共に、この係合孔４９よりも端面側には、前記支持片４１を係合する支持片係合孔５１が形成してある。そして、上記係合孔４９と支持片係合孔５１は僅かなスリットを介することによって連結してあり、また支持片係合孔５１も僅かなスリットを介して拡大部４３の端面に連通開口してある。
【００１４】
前記螺子杆４５は、前記ナット部２９に螺合自在の螺子部４５Ｓを備えており、この螺子部４５Ｓの基端部には操作ノブ５３がナットの如き固定具５５を介して着脱可能に取付けてある。そして、上記螺子部４５Ｓの先端側には、前記ナット部２９におけるスリット３１の幅寸法より僅かに小径でナット部２９の長手方向の寸法よりも僅かに長い軸部５７が形成してあり、この軸部５７の先端部に細長く設けた細径部５９の先端部に前記係止部４７が細径部５９より大径の球形状に形成してある。
【００１５】
前記支持片４１は、図３に示すように、前記支持片係合孔５１内に係合自在の円柱形状の本体部４１Ｂを備え、この本体部４１Ｂに、前記ガイドスリット３３Ｂに係合自在のＴ字形状の頂部４１Ｔを備えた構成であって、前記本体部４１Ｂには頂部４１ＴのＴ字形状部と直交する方向のスリット４１Ｓが形成してある。
【００１６】
以上のごとき構成において、各構成部が分解された状態にあるとき、スライダ３７に備えたＴ字形状の支持片３９を、ホルダ本体２７に形成したガイドスリット３３Ａに挿通し、上記ホルダ本体２７とスライダ３７の長手方向を一致せしめて重ね合せることにより、ホルダ本体２７の先端部に形成したロッド係合凹部２５とスライダ３７の先端部に備えたロッド押圧部３５とを対向した状態に組合せる。
【００１７】
次に、スライダ３７の拡大部４３に形成した支持片係合孔５１に支持片４１を係合し、そのＴ字形状の頂部４１Ｔを、上記支持片係合孔５１に連通した長孔５１Ｈから突出せしめ、かつガイドスリット３３Ｂに挿通する。そして、前記スライダ３７の拡大部４３をホルダ本体２７の基端部側のナット部２９に近接せしめた状態に保持し、螺子杆４５の先端の係止部４７を前記拡大部４３の係合孔４９に係合し、かつ螺子杆４５の細径部５９が前記支持片４１のスリット４１Ｓに係合し、また螺子杆４５の軸部５７がナット部２９のスリット３１を通過して雌ねじ部内に位置するようにセットする。
【００１８】
その後、螺子杆４５に取付けた操作ノブ５３を回転操作して、螺子杆４５の螺子部４５Ｓをナット部２９の雌ねじ部に螺合することにより、図１（Ａ），（Ｂ）に示すように、各構成部が組立てられる。このように組立てた状態において、スライダ３７と螺子杆４５は、スライダ３７に対する螺子杆４５の回転は許容するが、ホルダ本体２７の長手方向への移動は一体的に移動するように連動連結した構成である。既に理解されるように、前述のごとく組立て可能であることにより、本例に係るロッドグリッパー２１は各構成部に分解可能なものであり、隅々までの清掃を容易に行い得るものである。
【００１９】
前述のごとく各構成部を組立てた状態においては、操作ノブ５３を回転操作することによりホルダ本体２７に対してスライダ３７を長手方向へ往復移動することができ、上記ホルダ本体２７の先端部に形成したロッド係合凹部２５とスライダ３７の先端部に形成したロッド押圧部３５との間にロッド２３を強固に把持することができる。
【００２０】
この際、ホルダ本体２７に対するスライダ３７の移動は、ホルダ本体２７のナット部２９に螺子杆４５が螺合したねじ機構によって行われるものであるから、前記ロッド係合凹部２５とロッド押圧部３５との間隔を無段階に調整可能であり、ロッド２３の製造誤差等によってロッド２３の径に多少の変化がある場合であっても容易に対応でき、かつ強固に締付けて把持することができるものである。
【００２１】
さらに、スライダ３７の移動を、前述したごときねじ機構によって行うものであるから、ロッド係合凹部２５に対してロッド２３を押圧した状態に保持することが容易である。よって、前記ねじ機構は押圧状態保持機構と称することができる。
【００２２】
既に理解されるように、ホルダ本体２７及びスライダ３７は共に細長い構成であるから、ロッド２３を保持した状態において占有する面積が小さく、他の物品との干渉を抑制できるものである。また、各構成部を分解可能であることにより、清掃を容易に行い得るものである。
【００２３】
【発明の効果】
以上のごとき説明より理解されるように、本発明によれば、ロッドの径が多少変化したような場合であっても容易に対応して強固に把持することができると共に把持状態の維持が容易であり、かつ分解しての清掃が容易であって、前述したごとき従来の問題を解消し得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態に係るロッドグリッパーの斜視説明図である。
【図２】本発明の実施の形態に係るロッドグリッパーの底面説明図である。
【図３】本発明の実施の形態に係るロッドグリッパーの分解状態の説明図である。
【図４】従来のロッドグリッパーの説明図である。
【符号の説明】
２１ ロッドグリッパー
２３ ロッド
２５ ロッド係合凹部
２７ ホルダ本体
３５ ロッド押圧部
３７ スライダ
３９，４１ 支持片
４５ 螺子杆
４７ 係止部
５３ 操作ノブ

Claims (1)

1. 先端部にロッド係合凹部（２５）を備えたホルダ本体（２７）の基端部に雌ねじ部を備えたナット部（２９）を備えると共に、前記ナット部（２９）に前記ホルダ本体（２７）の長手方向のスリット（３１）を開口して備え、前記ホルダ本体（２７）に対して着脱可能かつ前記ホルダ本体（２７）の長手方向へ移動自在に備えたスライダ（３７）の先端部に、前記ロッド係合凹部（２５）に対向してロッド（２３）を押圧するロッド押圧部（３５）を設け、前記ホルダ本体（２７）における前記ナット部（２９）に螺合する螺子部（４５Ｓ）を備えた螺子杆（４５）における前記螺子部（４５Ｓ）の先端側に、前記ナット部（２９）における前記スリット（３１）の幅寸法より小径で前記ナット部（２９）の長手方向の寸法よりも長い軸部（５７）を備え、この軸部（５７）の先端部に、前記スライダ（３７）の基端部に備えた拡大部（４３）に形成したスリットに係合自在な細径部（５９）を設けると共に、この細径部（５９）の先端部に、前記スライダ（３７）の前記拡大部（４３）に形成した係合孔（４９）に係合自在な球形状の係止部（４７）を備えていることを特徴とするロッドグリッパー。

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