JP3933511B2 - 皮膚化粧料及び美容用飲食品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保湿作用、活性酸素消去作用、ラジカル消去作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用又はコラゲナーゼ阻害作用を有し、肌荒れの予防・改善又は皮膚の老化の予防・改善に有用な植物抽出物を含有する各種薬剤、並びに、当該植物抽出物を配合して肌荒れの予防・改善作用又は皮膚の老化の予防・改善作用を付与した皮膚化粧料及び美容用飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
肌荒れや皮膚の老化の原因や発症機構は多種多様であるが、主な発症機構とその対策には次のようなものがある。
【0003】
(1)保湿機能の低下
皮膚の保湿機能は、加齢や様々な環境要因によって低下する。保湿機能が低下した皮膚は乾燥してかさかさした状態となり、弾力性が失われる。こうした乾燥肌は、アトピー性皮膚炎を始めとした様々な皮膚疾患を招くおそれがあり、さらにはシミやシワ等の皮膚の老化を招くおそれがある。
皮膚の乾燥を防ぐために、従来よりグリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールその他の多価アルコールをはじめ、油脂成分、アミノ酸、タンパク質、多糖類等が利用されてきたが、従来の保湿成分には、使用感、保湿効果の持続性、安全性等の点で問題がある。
【0004】
(2)活性酸素・生体内ラジカルの影響
近年、生体成分を酸化させる要因として、活性酸素が注目されており、その生体への悪影響が問題となっている。活性酸素は、生体細胞内のエネルギー代謝過程で生じるものであり、スーパーオキサイド(即ち酸素分子の一電子還元で生じるスーパーオキシドアニオン(・O2-)、過酸化水素(H2O2)、一重項酸素(1O2)、ヒドロキシラジカル(・OH)等がある。これら活性酸素は食細胞の殺菌機構にとって必須でありウイルスや癌細胞の除去に重要な働きを果たしているが、活性酸素の過剰な生成は生体内の膜や組織を構成する生体内分子を攻撃し、各種疾患を誘発する。例えば、活性酸素は、コラーゲン等の生体組織を分解、変性あるいは架橋したり、油脂類を酸化して細胞に障害を与える過酸化脂質を生成したりすると考えられており、活性酸素によって引き起こされるこれらの障害が、シワ形成や弾力性低下等の皮膚老化の原因になるものと考えられている。
【0005】
生体内において、酸素を基に最初に生成されるラジカルはスーパーオキサイドであり、ヒドロキシラジカル等の他のラジカルはスーパーオキサイドを経て生成される。細胞内のスーパーオキサイドは、細胞内で産生されたスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)によって過酸化水素に変換されるが、SOD量は加齢に伴って減少し、SOD量の減少によってスーパーオキサイドの細胞内濃度が上昇し、スーパーオキサイドが生体に対して障害を及ぼすようになる。このため、SOD量の減少を補うために、SOD様作用剤としてSODそのものやトコフェロール類、オウゴン抽出物等が使用されているが、これらのSOD様作用剤は安全性等の点で問題がある。
【0006】
(3)細胞外マトリックス構成成分の減少・変性
皮膚の真皮・表皮は、表皮細胞、線維芽細胞およびこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するエラスチン、コラーゲン、ヒアルロン酸等の細胞外マトリックスによって構成されており、若い皮膚においてはこれらの皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。ところが、紫外線の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり加齢が進んだりすることによって、細胞外マトリックスの主要構成成分であるエラスチン、コラーゲン、ヒアルロン酸等の産生量が減少するとともに、変性や分解を引き起こす。その結果、角質は異常剥離を始め、肌は張りや艶を失い、肌荒れやシワ等の老化症状を呈するようになる。このように、皮膚の老化に伴う変化、即ち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、エラスチン、コラーゲン、ヒアルロン酸等の真皮細胞外マトリックス成分の減少、変性が関与している。
【0007】
近年、この変化を誘導する因子として、特にマトリックス系プロテアーゼの関与が指摘されている。マトリックス系プロテアーゼの中でも、コラゲナーゼ、即ちMMP−1(マトリックスメタロプロテアーゼ−1)は、皮膚の真皮細胞外マトリックスの主な構成成分であるタイプI,IIIコラーゲンを分解する酵素として知られるが、その発現は紫外線の照射により大きく増加し、紫外線によるコラーゲンの減少・変性の一因となり、皮膚のシワの形成等の大きな要因となることが考えられる。従って、コラゲナーゼ活性の阻害は、皮膚の老化を予防・改善する上で重要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、第一に、保湿作用を通じて、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防・改善し得る物質を見出し、それを有効成分として含有する保湿剤を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、第二に、活性酸素消去作用又はラジカル消去作用を通じて、活性酸素や生体内ラジカルを消去し得る物質を見出し、それを有効成分として含有する抗酸化剤を提供することを目的とする。
【0010】
さらに、本発明は、第三に、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用又はコラゲナーゼ阻害作用を通じて、細胞外マトリックス構成成分の減少・変性を抑制し、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防・改善し得る物質を見出し、それを有効成分として含有する抗老化剤を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、第四に、活性酸素消去作用を通じて、生体内の活性酸素を消去し得る物質を見出し、それを有効成分として含有する活性酸素消去剤を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、第五に、ラジカル消去作用を通じて、生体内のラジカルを消去し得る物質を見出し、それを有効成分として含有するラジカル消去剤を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、第六に、ヒアルロン酸産生促進作用を通じて、細胞外マトリックスを構成するヒアルロン酸の減少・変性を抑制し得る物質を見出し、それを有効成分として含有するヒアルロン酸産生促進剤を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、第七に、エラスターゼ阻害作用を通じて、細胞外マトリックスを構成するエラスチンの減少・変性を抑制し得る物質を見出し、それを有効成分として含有するエラスターゼ阻害剤を提供することを目的とする。
【0015】
さらに、本発明は、第八に、コラゲナーゼ阻害作用を通じて、細胞外マトリックスを構成するコラーゲンの減少・変性を抑制し得る物質を見出し、それを有効成分として含有するコラゲナーゼ阻害剤を提供することを目的とする。
【0016】
さらに、本発明は、第九に、保湿作用、活性酸素消去作用、ラジカル消去作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用又はコラゲナーゼ阻害作用を有し、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患の予防・改善に有用な皮膚化粧料を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の保湿剤、抗酸化剤、抗老化剤、活性酸素消去剤、ラジカル消去剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤及びコラゲナーゼ阻害剤は、スターフルーツ(Averrhoa carambola L.)の果実からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とし、本発明の皮膚化粧料及び美容用飲食品は、スターフルーツ(Averrhoa carambola L.)の果実からの抽出物を配合したことを特徴とする。本発明の抗酸化剤において、前記抽出物が活性酸素消去作用及び/又はラジカル消去作用を有することが好ましい。また、本発明の抗老化剤において、前記抽出物がヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用及びコラゲナーゼ阻害作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、「スターフルーツの果実からの抽出物」には、抽出処理によってスターフルーツの果実から得られる抽出液、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
【0020】
抽出処理の際に抽出原料として使用するものは、スターフルーツ(学名:Averrhoa carambola L.)の果実である。スターフルーツはカタバミ科に属し、五斂子、陽桃(生薬名)とも呼ばれ、その果実は食用されている。スターフルーツは、中国では紀元前から文献に記載され、その果実は断面が星形のことからスターフルーツと呼ばれている。スターフルーツは沖縄、中国東南部や雲南その他熱帯各地で栽培されており、これらの地域から容易に入手することができる。
【0021】
抽出原料として使用するスターフルーツの果実は、採取後ただちに乾燥し粉砕したものが適当である。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥器を用いて行ってもよい。スターフルーツの果実は、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、スターフルーツの果実の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0022】
抽出処理の際には、抽出溶媒として極性溶媒を使用するのが好ましい。スターフルーツの果実に含まれる保湿作用、活性酸素消去作用、ラジカル消去作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用又はコラゲナーゼ阻害作用を示す成分は、極性溶媒を抽出溶媒とする抽出処理によって容易に抽出することができる。
【0023】
好適な抽出溶媒の具体例としては、水、低級脂肪族アルコール、含水の低級脂肪族アルコール等が挙げられ、これらを単独で、又はこれら2種以上の混合物として使用することができる。好適な低級脂肪族アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、イソプレングリコール等が挙げられる。
【0024】
抽出溶媒として使用し得る水には、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0025】
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水と低級脂肪族アルコールとの混合比を7:3〜2:8(重量比)とすることができる。
【0026】
抽出処理は、スターフルーツの果実に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定されず、常法に従って行うことができる。抽出処理の際には、特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。
【0027】
例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、ときどき攪拌しながら可溶性成分を溶出させる。この際、抽出条件は抽出原料等に応じて適宜調整し得るが、抽出溶媒量は通常、抽出原料の5〜15倍量(重量比)であり、抽出時間は通常1〜3時間であり、抽出温度は通常、常温〜95℃である。
【0028】
抽出処理により可溶性成分を溶出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって、抽出液を得ることができる。得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
【0029】
得られた抽出液はそのままでも保湿剤、抗酸化剤、抗老化剤、活性酸素消去剤、ラジカル消去剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤及びコラゲナーゼ阻害剤として使用することができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。抽出液の乾燥物を得るにあたっては、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。また、スターフルーツの果実からの抽出物は、常法に従って製剤化することもできる。製剤化する場合、保存や取扱いを容易にするために、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容され得るキャリアーその他任意の助剤を添加して粉末状、顆粒状、錠剤状等、任意の剤形に製剤化することができる。
【0030】
また、スターフルーツの果実は特有の匂いと味を有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、化粧料や飲食品に添加する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。精製は、具体的には活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0031】
以上のようにして得られるスターフルーツの果実からの抽出物は、保湿作用、活性酸素消去作用、ラジカル消去作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用又はコラゲナーゼ阻害作用を有するので、当該抽出物を、保湿剤、抗酸化剤、抗老化剤、活性酸素消去剤、ラジカル消去剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤及びコラゲナーゼ阻害剤の有効成分として利用することができる。
【0032】
本発明の保湿剤は、皮膚に対する保湿作用を通じて肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防及び/又は改善することができる。
【0033】
本発明の抗酸化剤は、活性酸素消去作用及び/又はラジカル消去作用を通じて活性酸素や生体内ラジカルを消去し、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防及び/又は改善することができる。ここで、本発明において、「活性酸素」には、スーパーオキサイド、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素等が含まれる。また、「ラジカル」とは、不対電子を1つ又はそれ以上有する分子又は原子を意味し、スーパーオキサイド、ヒドロキシラジカル、DPPH等が含まれる。
【0034】
本発明の抗老化剤は、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用及びコラゲナーゼ阻害作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を通じて細胞外マトリックス構成成分の減少・変性を抑制し、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防及び/又は改善することができる。
【0035】
本発明の活性酸素消去剤は、活性酸素消去作用を通じて生体内の活性酸素を消去し、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防及び/又は改善することができる。
【0036】
本発明のラジカル消去剤は、ラジカル消去作用を通じて生体内のラジカルを消去し、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防及び/又は改善することができる。
【0037】
本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、線維芽細胞によるヒアルロン酸の産生を活発化させてヒアルロン酸の減少、変性等を抑制し、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防及び/又は改善することができる。
【0038】
本発明のエラスターゼ阻害剤は、エラスターゼ阻害作用を通じてエラスターゼによるエラスチンの減少、変性等を抑制し、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防及び/又は改善することができる。
【0039】
本発明のコラゲナーゼ阻害剤は、コラゲナーゼ阻害作用を通じてコラゲナーゼによるコラーゲンの減少、変性等を抑制し、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防及び/又は改善することができる。
【0040】
〔皮膚化粧料〕
スターフルーツの果実からの抽出物は、保湿作用、活性酸素消去作用、ラジカル消去作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用又はコラゲナーゼ阻害作用を有しており、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防及び/又は改善することができると共に、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れているので、皮膚化粧料に配合するのに好適である。本発明の皮膚化粧料には、保湿剤、抗酸化剤、抗老化剤、活性酸素消去剤、ラジカル消去剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤又はコラゲナーゼ阻害剤のいずれか1種又は2種以上を皮膚化粧料に配合してもよい。
【0041】
スターフルーツの果実からの抽出物を配合し得る皮膚化粧料は特に限定されないが、その具体例としては、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、入浴剤等が挙げられる。
【0042】
本発明の皮膚化粧料におけるスターフルーツ果実抽出物の配合量は、皮膚化粧料の種類や抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、標準的な抽出物に換算して約0.001〜10重量%となるように配合することが好ましい。
【0043】
本発明の皮膚化粧料には、スターフルーツの果実からの抽出物が有する保湿作用、活性酸素消去作用、ラジカル消去作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用又はコラゲナーゼ阻害作用の妨げにならない限り、皮膚化粧料の製造に通常使用される各種主剤及び助剤、その他任意の助剤を使用することができる。本発明の皮膚化粧料は、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴う各種皮膚疾患の予防・改善作用に関し、スターフルーツの果実からの抽出物のみが主剤となるものに限られるわけではない。
【0044】
本発明の皮膚化粧料において、スターフルーツの果実からの抽出物と共に皮膚化粧料構成成分として利用可能なものとしては、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素消去剤等が挙げられ、上記構成成分を併用した場合、併用された構成成分との間の相乗作用が、通常期待される以上の優れた使用効果をもたらすことがある。
【0045】
スターフルーツの果実からの抽出物を配合した皮膚化粧料を製造する場合、他の製造原料の選択が制限されることはほとんどなく、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料等の一般的な基材や助剤はいずれも使用可能である。
【0046】
〔美容用飲食品〕
スターフルーツの果実からの抽出物は、保湿作用、活性酸素消去作用、ラジカル消去作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用又はコラゲナーゼ阻害作用を有しており、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防及び/又は改善することができると共に、経口摂取可能であるので、任意の飲食品や栄養補助食品に配合するのに好適である。その場合の配合量は、添加対象飲食品の一般的な摂取量を考慮して成人1日当たりの抽出物摂取量が約1〜1000mg程度になるようにするのが適当である。
【0047】
スターフルーツの果実からの抽出物を配合した飲食品には、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患の予防・改善が付与され、これを美容用飲食品として使用することができる。ここで、「美容用飲食品」とは、美肌を図ることを目的とした飲食物、又は肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防・改善することを目的とした飲食物を意味する。
【0048】
本発明の美容用飲食品は、スターフルーツの果実からの抽出物をその活性を妨げないような任意の飲食品に配合したものであってもよいし、当該抽出物を主成分とする栄養補助食品であってもよい。
【0049】
本発明の美容用飲食品を製造する際には、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等の任意の助剤を添加して任意の剤形に製剤化することができる。
【0050】
スターフルーツの果実からの抽出物を配合し得る飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これら飲料の濃縮液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の氷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、シュウマイの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、天ぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;錠剤状、顆粒状等の種々の形態の健康・栄養補助食品類;その他スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物等が挙げられる。
【0051】
以上説明した本発明の保湿剤、抗酸化剤、抗老化剤、活性酸素消去剤、ラジカル消去剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、皮膚化粧料及び美容用飲食品は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【0052】
【実施例】
以下、製造例、試験例及び配合例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記の各例に何ら限定されるものではない。
【0053】
〔製造例1〕
スターフルーツ(学名:Averrhoa carambola L.)の果実の粗粉砕物100gを抽出溶媒1000mlに投入し、80℃で3時間、穏やかに攪拌しながら抽出を行った。その後ろ過し、ろ液を40℃で減圧下にて濃縮し、さらに減圧乾燥機で乾燥してスターフルーツの果実抽出物を得た。3種類の抽出溶媒を用いて上記抽出処理を行ったところ、抽出物の収率は表1のとおりであった。なお、抽出溶媒が混合物の場合、以下に示す混合比は重量基準によるものである。
【0054】
[表1]
試 料 抽 出 溶 媒 抽出物収率(重量%)
1 水 17.7
2 エタノール/水(1/1) 20.5
3 エタノール 12.8
【0055】
〔試験例1〕保湿作用試験
製造例1で得られた試料1〜3について、その保湿作用を以下の方法により試験した。
試料1〜3の0.01%水溶液(試料溶液1〜3)、1%グリセリン(試料溶液4)および精製水(試料溶液5)を、それぞれ直径8ミリメートルのペーパーディスク(東洋製作所製、重量:約0.017g)に10μlずつ滴下した。これを試験室内に放置し、0〜8分後の重量を1分ごとに測定した。0分の重量を100%として各試料溶液の水分残存率(%)を求めた。なお、試験は室温20℃、湿度65%で行った。
0〜8分後における各試料溶液の水分残存率(%)を表2に示す。
【0056】
Figure 0003933511
【0057】
表2に示すように、スターフルーツの果実抽出物を含有する試料溶液(試料溶液1〜3)は、グリセリン(保湿剤)を含有する試料溶液(試料溶液4)と同様に、精製水(試料溶液5)よりも水分残存率が高かった。このことから、スターフルーツの果実抽出物が保湿作用を有することが確認された。
【0058】
〔試験例2〕スーパーオキサイド消去作用試験(NBT法)
製造例1で得られた試料1〜3について、そのスーパーオキサイド消去作用を以下の方法により試験した。
3mMキサンチン、3mM EDTA、1.5mg/mLBSA溶液および0.75mM ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)各0.1mLと、0.05M Na2CO3緩衝液(pH10.2)2.4mLとを試験管にとり、これに試料溶液0.1mLを添加し、25℃で10分間放置した。次いでキサンチンオキシダーゼ溶液0.1mLを加えて素早く攪拌し、25℃で20分間静置した。その後、6mM塩化銅0.1mLを加えて反応を停止させ、波長560nmにおける吸光度を測定した。以下、この吸光度を「試料溶液添加、酵素溶液添加時の吸光度」という。
【0059】
また、同様の操作と吸光度の測定を、酵素溶液を添加せずに行った。このとき測定した吸光度を「試料溶液添加、酵素溶液無添加時の吸光度」という。
【0060】
また、試料溶液を添加せずに蒸留水を添加した場合についても同様の測定を行った。このとき測定した吸光度を「試料溶液無添加、酵素溶液添加時の吸光度」という。
【0061】
また、酵素溶液を添加せず、さらに試料溶液を添加せずに蒸留水を添加した場合についても同様の測定を行った。このとき測定した吸光度を「試料溶液無添加、酵素溶液無添加時の吸光度」という。
そして、次式によりスーパーオキサイド消去率を求めた。
【0062】
消去率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
【0063】
上記式中、「A」は「試料溶液添加、酵素溶液添加時の吸光度」、「B」は「試料溶液添加、酵素溶液無添加時の吸光度」、「C」は「試料溶液無添加、酵素溶液添加時の吸光度」、「D」は「試料溶液無添加、酵素溶液無添加時の吸光度」を表す。
【0064】
試料濃度を段階的に減少させて上記消去率の測定を行い、スーパーオキサイドの消去率が50%になる試料濃度(ppm;μg/mL)を内挿法により求めた。その結果を表3に示す。
【0065】
[表3]
試料 NO. 抽 出 物 50%消去試料濃度(ppm)
1 水抽出物 19.0
2 50%エタノール抽出物 16.9
3 エタノール抽出物 25.3
【0066】
表3に示す結果から、スターフルーツの果実抽出物がスーパーオキサイド消去作用を有することが確認された。また、このスーパーオキサイド消去作用の程度は、抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
【0067】
〔試験例3〕DPPHに対するラジカル消去作用試験
製造例1で得られた試料1〜3について、そのラジカル消去作用を下記の方法により非常に安定なラジカルであるDPPHを使用して試験した。
1.5×10-4M DPPHエタノール溶液3mLに試料溶液3mLを加え、直ちに容器を密栓して振り混ぜ、30分間静置した。その後、波長520nmの吸光を測定した。コントロールとして、試料溶液の代わりに試料溶液を溶解した溶媒を用いて同様に操作し、波長520nmの吸光度を測定した。また、ブランクとして、エタノールに試料溶液3mLを加えたのち直ちに波長520nmの吸光度を測定した。測定された各吸光度より、次式によりラジカル消去率(%)を算出した。
【0068】
消去率(%)={1−(B−C)/A}×100
【0069】
上記式中、「A」は「コントロールの吸光度」、「B」は「試料溶液を添加した場合の吸光度」、「C」は「ブランクの吸光度」を表す。
【0070】
試料濃度を段階的に減少させて上記消去率の測定を行い、DPPHラジカルの消去率が50%になる試料濃度(ppm;μg/mL)を内挿法により求めた。その結果を表4に示す。
【0071】
[表4]
試料 NO. 抽 出 物 50%消去試料濃度(ppm)
1 水抽出物 25.0
2 50%エタノール抽出物 26.0
3 エタノール抽出物 28.5
【0072】
表4に示す結果から、スターフルーツの果実抽出物がラジカル消去作用を有することが確認された。また、このラジカル消去作用の程度は、抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
【0073】
〔試験例4〕一重項酸素消去作用試験
製造例1で得られた試料1〜3について、その一重項酸素消去作用を以下の方法により試験した。
透明ガラス瓶(10mL容)中で2%赤血球懸濁液5mL、試料を所定濃度で含むpH7.4の等張リン酸緩衝液5mL、および光増感剤(10mMヘマトポルフイリン−20mM水酸化ナトリウム溶液)0.01mLを混合した。得られた溶液をメリーゴーランド上、7.5Wハロゲンランプで35分間均一に照射して一重項酸素(2)を発生させ、赤血球の溶血を生じさせた。この反応溶液1mLを採取し、等張リン酸緩衝液2mLを加えて混合後、4℃、3000rpmで5分間遠心分離を行った。次いで上清を採取し、波長540nmの吸光度を測定した。別に、赤血球を一部溶血させた上記反応溶液1mLをとり、これに蒸留水2mLを加えて完全に溶血させたものをコントロールとし、同様に吸光度測定を行った。測定された吸光度より次式により一重項酸素消去率を求めた。
【0074】
一重項酸素消去率(%)=(1−B/A)×100
【0075】
上記式中、「A」は「コントロールの吸光度」、「B」は「反応溶液上清の吸光度」を表す。
【0076】
試料濃度を段階的に減少させて上記消去率の測定を行い、一重項酸素の消去率が50%になる試料濃度(ppm;μg/mL)を内挿法により求めた。その結果を表5に示す。
【0077】
[表5]
試料 NO. 抽 出 物 50%消去試料濃度(ppm)
1 水抽出物 147.3
2 50%エタノール抽出物 122.5
3 エタノール抽出物 118.4
【0078】
表5に示す結果から、スターフルーツの果実抽出物が一重項酸素消去作用を有することが確認された。また、この一重項酸素消去作用の程度は、抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
【0079】
〔試験例5〕ヒアルロン酸産生促進作用試験
製造例1で得られた試料1〜3について、そのヒアルロン酸産生促進作用を以下の方法により試験した。
ヒト正常新生児線維芽細胞(NB1RGB)1×10個を、75cm2フラスコを用いて10%FBSを含むα−MEM培地(GIBCO)(pH7.2)で37℃、5%CO−95%airの下にて7日間培養した。トリプシン処理により細胞を集め、1%FBSを含むα−MEM培地を用いて2.2×104個/mLに調整し96穴のマイクロプレートに100μLづつ播種し、37℃、5%CO−95%airの下で一晩培養した。翌日、試料(試料濃度:50ppm又は200ppm)(ppm=μg/mL)を溶解した1%FBSを含むα−MEM培地を各wellに100μLずつ添加し、37℃、5%CO−95%airの下で3日間培養した。
【0080】
培養上清10μLを90μLのPBS(−)で10倍希釈し、その50μLを、あらかじめヒアルロン酸でコーティングしておいたELISAプレートに添加して各種抗体を用いてELISAを行った。ヒアルロン酸の定量は検量線を用いて行った。ヒアルロン酸産生促進率は、試料無添加時の値を100%として求めた。その結果を表6に示す。
【0081】
Figure 0003933511
【0082】
表6に示される結果より、スターフルーツの果実抽出物がヒアルロン酸産生促進作用を有することが確認された。また、このヒアルロン酸産生促進作用の程度は、抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
【0083】
〔試験例6〕エラスターゼ阻害作用試験
製造例1で得られた試料1〜3について、そのエラスターゼ阻害作用を以下の方法により試験した。
96ウェルプレートを用意し、1穴に対して試料溶液(溶媒:DMSO+水)50μLおよびエラスターゼ溶液50μLを添加し、さらに基質溶液100μLを添加し混合した。25℃で15分間反応させた後、波長415nmの吸光度を測定した。上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、試料溶液の代わりに試料溶液と等量の溶媒のみを添加して行った。さらに、それぞれの場合について、エラスターゼ溶液の代わりに緩衝液を添加して同じ操作と測定を行った。
【0084】
なお、エラスターゼ溶液はシグマ社・エラスターゼTypeIII 5mgをpH8の0.2mol/L トリス塩酸緩衝液1mLに溶解し使用時に250倍に希釈したものを使用した。基質溶液として、シグマ社のN−SUCCINYL−ALA−ALA−ALA p-NITROANILIDEをDMSOに溶解した濃度45.14mg/mLの溶液を上記トリス塩酸緩衝液で100倍に希釈して使用した。
測定結果より、次式に基づきエラスターゼ阻害率(%)を求めた。
【0085】
エラスターゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
【0086】
上記式中、「A」は試料溶液添加・酵素添加時の吸光度、「B」は試料溶液添加・酵素無添加時の吸光度、「C」は試料無添加・酵素添加時の吸光度、「D」は試料無添加,酵素無添加時の吸光度を表す。
【0087】
試料濃度を段階的に減少させて上記阻害率の測定を行い、エラスターゼの活性を50%阻害する試料溶液濃度(ppm;μg/mL)を内挿法により求めた。
試験の結果を表7に示す。
【0088】
[表7]
試料 NO. 抽 出 物 50%阻害試料濃度(ppm)
1 水抽出物 200
2 50%エタノール抽出物 182
3 エタノール抽出物 175
【0089】
表7に示すように、スターフルーツの果実抽出物がエラスターゼ阻害作用を有することが確認された。また、このエラスターゼ阻害作用程度は、抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
【0090】
〔試験例7〕コラゲナーゼ阻害作用の試験
製造例1で得られた試料1〜3について、そのコラゲナーゼ阻害作用を以下の方法により試験した。
試料溶液(溶媒:20mmol/L 塩化カルシウム含有0.1mol/L トリス塩酸緩衝液(pH7.1):以下の緩衝液においても同じ)50μL、コラゲナーゼ溶液50μLおよび基質溶液400μLを混合し、37℃で30分間インキュベーションした。次いで25mmol/L クエン酸溶液1mLで反応を停止し、酢酸エチル5mLで抽出した。得られた抽出液について、波長320nmの吸光度(対照液:酢酸エチル)を測定した。このとき測定した吸光度を「酵素添加, 試料溶液添加時の吸光度」という。なお、コラゲナーゼ溶液はシグマ社のコラゲナーゼTypeIV 5mgを緩衝液1mLに溶解させ、使用時に50倍に希釈したものを使用した。基質溶液には、上記緩衝液にBACHEM Fenichemikalien AG社Pz−ペプチドを濃度が0.5mol/Lになるように溶解して使用した。
【0091】
また、上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、試料溶液の代わりに試料溶液と等量の緩衝液を添加して行った。このとき測定した吸光度を「酵素添加, 試料溶液無添加時の吸光度」という。
【0092】
また、上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、コラゲナーゼ溶液の代わりに緩衝液を添加して行った。このとき測定した吸光度を「酵素無添加, 試料溶液添加時の吸光度」という。
【0093】
また、上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、試料溶液の代わりに試料溶液と等量の緩衝液を添加するとともに、コラゲナーゼ溶液の代わりに緩衝液を添加して行った。このとき測定した吸光度を「酵素無添加, 試料溶液無添加時の吸光度」という。
そして、次式によりコラゲナーゼ阻害率(%)を算出した。
【0094】
コラゲナーゼ阻害率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
【0095】
上記式中、「A」は「酵素添加, 試料溶液添加時の吸光度」、「B」は「酵素無添加, 試料溶液添加時の吸光度」、「C」は「酵素添加, 試料溶液無添加時の吸光度」、「D」は「酵素無添加, 試料溶液無添加時の吸光度」を表す。
【0096】
試料濃度を段階的に減少させて上記阻害率の測定を行い、コラゲナーゼの活性を50%阻害する試料濃度(ppm;μg/mL)を内挿法により求めた。その結果を表8に示す。
【0097】
[表8]
試料 NO. 抽 出 物 50%阻害試料濃度(ppm)
1 水抽出物 68.0
2 50%エタノール抽出物 53.2
3 エタノール抽出物 50.1
【0098】
表8に示す結果から、スターフルーツの果実抽出物がコラゲナーゼ阻害作用を有することが確認された。また、このコラゲナーゼ阻害作用の程度は、抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
【0099】
〔試験例8〕肌荒れ改善作用(皮膚の老化予防・改善作用)の試験
製造例1で得られたスターフルーツの果実からの50%エタノール抽出物(試料2)を配合した乳液(以下「実施例乳液」という。)を常法に従って調製した。実施例乳液の組成を以下に示す。
【0100】
スターフルーツ果実抽出物(製造例1の試料2) 0.1g
セチルアルコール 0.5g
ミツロウ 2.0g
1,3-ブチレングリコール 3.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) 0.5g
ヒアルロン酸 0.1g
クエン酸 0.1g
クエン酸ソーダ 1.0g
パラオキシ安息香酸メチル 0.1g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100mlとする)
【0101】
実施例乳液と、スターフルーツの果実抽出物を含まない他は実施例乳液と同じ組成からなる比較例乳液とについて、下記の評価試験を行った。
20〜40代の女性20名を5群、4名ずつに分け、朝夕1日2回、2週間、洗顔後に右顔面に実施例品を、左顔面に比較例品を塗布した。その際、使用時の感触、使用後のべたつき、保湿の持続性、肌荒れ改善効果の4項目について評価を行った。
【0102】
評価は、1〜5点の5段階評価によって行い、「5点」が「非常によい」(使用時の感触が非常によい、使用後のべたつきが全くない、保湿の持続性が非常に高い、肌荒れ改善効果が非常に高い)、「4点」が「よい」(使用時の感触がよい、使用後のべたつきがほとんどない、保湿の持続性が高い、肌荒れ改善効果が高い)、「3点」が「ふつう」(使用時の感触はふつう、使用後のべたつきはあまりない、保湿の持続性はある程度ある、肌荒れ改善効果はある程度ある)、「2点」が「ややわるい」(使用時の感触はややわるい、使用後のべたつきがややある、保湿の持続性はあまりない、肌荒れ改善効果はあまりない)、「1点」が「わるい」(使用時の感触がわるい、使用後のべたつきがかなりある、保湿の持続性が全くない、肌荒れ改善効果が全くない)とした。
評価点の平均を表9に示す。
Figure 0003933511
【0103】
表9に示される官能評価によって、スターフルーツの果実抽出物が肌荒れ改善効果と優れた使用感とを有することが確認された。すなわち、スターフルーツの果実抽出物を配合した皮膚化粧料が皮膚の老化予防・改善作用(肌荒れ改善作用)を有するとともに、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れていることが確認された。
【0104】
〔配合例1〕
下記の組成の乳液を常法により製造した。
スターフルーツ果実水抽出物 1g
ホホバオイル 4g
オリーブオイル 2g
スクワラン 2g
セタノール 2g
モノステアリン酸グリセリル 2g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.0) 2.5g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) 2g
黄杞エキス 0.1g
イチョウ葉エキス 0.1g
コンキオリン 0.1g
オウバクエキス 0.1g
カミツレエキス 0.1g
1,3−ブチレングリコール 3g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0105】
〔配合例2〕
下記の組成の化粧水を常法により製造した。
スターフルーツ果実50%エタノール抽出物 2g
グリセリン 3g
1,3−ブチレングリコール 3g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
クエン酸 0.1g
クエン酸ソーダ 0.1g
油溶性甘草エキス 0.1g
海藻エキス 0.1g
キシロビオースミクスチャー 0.5g
クジンエキス 0.1g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0106】
〔配合例3〕
下記の組成のクリームを常法により製造した。
スターフルーツ果実エタノール抽出物 1g
流動パラフィン 5g
サラシミツロウ 4g
セタノール 3g
スクワラン 10g
ラノリン 2g
ステアリン酸 1g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3g
1,3−ブチレングリコール 6g
酵母抽出液 0.1g
シソ抽出液 0.1g
シナノキ抽出液 0.1g
ジユ抽出液 0.1g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
香料 0.1g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0107】
〔配合例4〕
下記の組成のパックを常法により製造した。
スターフルーツ果実50%エタノール抽出物 5g
ポリビニルアルコール 15g
ポリエチレングリコール 3g
プロピレングリコール 7g
エタノール 10g
セージ抽出液 0.1g
トウキ抽出液 0.1g
ニンジン抽出液 0.1g
パラオキシ安息香酸エチル 0.05g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0108】
〔配合例5〕
下記の混合物を打錠して、錠剤状健康・栄養補助食品を製造した。
スターフルーツ果実水抽出物 50重量部
粉糖(ショ糖) 178重量部
ソルビット 10重量部
グリセリン脂肪酸エステル 12重量部
【0109】
〔配合例6〕
下記の混合物を顆粒状に形成して栄養補助食品を製造した。
スターフルーツ果実エタノール抽出物 34重量部
ビートオリゴ糖 1000重量部
ビタミンC 167重量部
ステビア抽出物 10重量部
【0110】
【発明の効果】
本発明により、保湿剤、抗酸化剤、抗老化剤、活性酸素消去剤、ラジカル消去剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤及びコラゲナーゼ阻害剤が提供される。また、本発明により、保湿作用、活性酸素消去作用、ラジカル消去作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用又はコラゲナーゼ阻害作用を有する皮膚化粧料及び美容用飲食品が提供される。
本発明の保湿剤、抗酸化剤、抗老化剤、活性酸素消去剤、ラジカル消去剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤及びコラゲナーゼ阻害剤、並びに皮膚化粧料及び美容用飲食品は、肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防・改善する上で有用である。

Claims (11)

  1. スターフルーツ(Averrhoa carambola L.)の果実からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする保湿剤。
  2. スターフルーツ(Averrhoa carambola L.)の果実からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化剤。
  3. 前記抽出物が活性酸素消去作用及び/又はラジカル消去作用を有することを特徴とする請求項2記載の抗酸化剤。
  4. スターフルーツ(Averrhoa carambola L.)の果実からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗老化剤。
  5. 前記抽出物がヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用及びコラゲナーゼ阻害作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することを特徴とする請求項4記載の抗老化剤。
  6. スターフルーツ(Averrhoa carambola L.)の果実からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする活性酸素消去剤。
  7. スターフルーツ(Averrhoa carambola L.)の果実からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするラジカル消去剤。
  8. スターフルーツ(Averrhoa carambola L.)の果実からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするヒアルロン酸産生促進剤。
  9. スターフルーツ(Averrhoa carambola L.)の果実からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするエラスターゼ阻害剤。
  10. スターフルーツ(Averrhoa carambola L.)の果実からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするコラゲナーゼ阻害剤。
  11. スターフルーツ(Averrhoa carambola L.)の果実からの抽出物を配合したことを特徴とする皮膚化粧料。
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