JP3932506B2 - ポリイミドフィルム、印刷回路および金属配線板 - Google Patents

ポリイミドフィルム、印刷回路および金属配線板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、その表面に金属配線を施してなる可撓性の印刷回路またはテープ自動化接合(Tape Automated Bonding)テープ(以下TABテープと称する)用の金属配線板基材として使用される場合に、高弾性率、低熱膨張係数、高耐熱性に優れたポリイミドフィルム、及び前記ポリイミドフィルムを基材とする可撓性の印刷回路およびTABテープ用の金属配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
TABテープは、基材である耐熱性フィルムの表面上に極細い金属配線を施し、基材に集積回路チップ(IC)を搭載するための「窓」が開口されており、更にTABテープの両端近傍にはTABテープを精密に送るためのスプロケットが設けられて構成されている。
【0003】
上記TABテープは、ICをTABテープに開口された「窓」に填め込み、TABテープの表面に施された金属配線と接合した後、ICを搭載したTABテープを電子機器配線用の印刷回路に接合することによって、ICを電子回路に実装する工程を自動化し、工程を簡素化するとともに、生産性を向上させ、ICを実装された電子機器の電気特性を改良するために使用されている。
【0004】
そして、TABテープには、耐熱性基材フィルムの表面に、ポリエステルベース、アクリルベース、エポキシベース或いはポリイミドベース等の接着剤を介して導電性の金属箔を積層する三層構造のものと、耐熱性基材フィルムの表面に、接着剤を介することなく、導電性の金属層を直接積層する二層構造のものとが使用されている。
【0005】
したがって、TABテープの基材フィルムには、耐熱性が要求され、特にICとTABテープ上の金属配線との接合や、ICを搭載したTABテープと電子機器配線用の印刷回路との接合の時に基材フィルムにかかるハンダ溶接等の高温に耐えられるように、従来からポリイミドフィルムが使用されてきた。特に蒸着金属層を積層する物は耐熱性が必要とされるため、その用途では耐熱性の優れた芳香族ポリイミドが使用されている。
【0006】
しかるに、ポリイミドフィルムと金属箔または金属層とを積層し、金属箔または金属層をケミカルエッチングして金属配線を形成する際に、受ける熱によるポリイミドフィルムと金属との寸法変化の違いに起因するTABテープの変形が大きい場合には、ICを搭載する時やICを搭載したTABテープを電子機器配線用の印刷回路に接合する時に、作業性を著しく阻害したり、時にはその作業を不能ならしめることになるため、ポリイミドフィルムの熱膨張係数を金属と近似せしめて、TABテープの変形を小さくすることが要求される。
【0007】
さらに、ICを搭載し、電子機器配線用の印刷回路に接合されたTABテープにかかる引張力や圧縮力による寸法変化を小さくすることも、金属配線の細密化、金属配線への歪み負荷軽減および搭載されたICの歪み負荷軽減のためには重要であり、基材であるポリイミドフィルムには更なる高弾性率が要求される。
【0008】
一方、ポリイミドフィルムの主要用途であるFPCにおいて、近年急速に成長しているプリント基板製品に高密度フレキシブル基板がある(http://www2.hitachi-cable.co.jp/H#cable/news/970821/microbga.htm、またはhttp://www.dnp.co.jp/jis/news99/991012.htmlなど)。これは配線幅・配線間距離(以下配線間距離と略)が25〜40μm以下となり、従来の100ミクロンに比べて著しく回路密度(配線間距離の逆数で配線ピッチが小さいほど回路密度が高い)が高まっている。2004年までに高密度フレキシブル基板の市場は50〜60億ドルの規模になる(エレクトロニクス実装技術、2001年10月、Vol.17、No.10)ことが予想されている。この高密度フレキシブル基板に主として展開されている蒸着タイプは、金属を高温で蒸着させるため、被着面であるポリイミドフィルムが熱負けしてしまうことがある。本発明者らは特願2000−253525で44’ODA、34’ODAおよびPMDAから誘導されるポリイミドフィルムが本用途に適していることを明確にしたが、寸法安定性と蒸着時に熱負けしない性質を両立できる組成を明示できていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものであり、その表面に金属配線を施してなる可撓性の印刷回路、CSP、BGAまたはTABテープ用の金属配線板基材に適用した場合に、高弾性率、低熱膨張係数、および高耐熱性に優れたポリイミドフィルム、及びそれを基材としてなる金属配線回路板を提供することを目的とするものである。特に蒸着タイプ高密度フレキシブル基板にも使用可能な組成範囲を見いだした。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のポリイミドフィルムは、ピロメリット酸二無水物、並びにジアミンを基準に40モル%超過〜50モル%以下の4,4’−オキシジアニリン及び50モル%超過〜60モル%以下の3,4’−オキシジアニリンからなるポリアミド酸をイミド転化して得られたポリイミドから製造されたことを特徴とするポリイミドフィルム。
【0011】
また、本発明のポリイミドフィルムはポリイミドの一般的な製造方法を組み合わせることにより得ることが出来る。
【0012】
さらに、本発明の可撓性の印刷回路、およびTAB用の金属配線板は、上記のポリイミドフィルムを基材として、その表面に金属配線を施してなることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成及び効果について詳述する。
【0014】
本発明のフィルムを構成するポリイミドは、ランダムポリマーが好ましい。
【0015】
本発明のポリイミドポリマーにより、可撓性の印刷回路、CSP、BGAまたはTABテープ用の金属配線板基材に適用した場合に、高弾性率、低熱膨張係数、および高耐熱性を均衡して高度に満たすポリイミドフィルムを実現することができる。
【0016】
本発明において使用されるジアミンには、4,4’−オキシジアニリンのような可撓性のジアミンと、3,4’−オキシジアニリンのような擬直線性のジアミンとを使用して得られるポリアミド酸をイミド転化して製造される。本発明の目的を阻害しない添加量の範囲で他のジアミン類を併用できる。
【0017】
本発明に置いて4,4’−オキシジアニリンはフィルムの可とう性を高め、ガラス転移温度(Tg)を高くし、蒸着時の熱負けを起こりにくくする。従って4,4’−オキシジアニリンが少ないと熱収縮率が大きくなり過ぎ耐熱性が悪くなる。 本発明に置いて3,4’−オキシジアニリンはガラス転移温度(Tg)を低くし、フィルムの伸度を大きくし、製膜性を良好にする作用をする。3,4’−オキシジアニリンが多いと熱収縮率が大きくなり過ぎ耐熱性が悪くなる。
【0018】
3,4’−オキシジアニリンが50モル%以下ではフィルムの伸度が小さくなり製膜性が悪くなる場合や剛性が不足する場合がある。逆に3,4’−オキシジアニリンが60モル%を超えると、ガラス転移温度が低くなるためか高温での熱収縮率が大きくなり過ぎる。
【0019】
本発明において使用されるテトラカルボン酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物であるが、本発明の目的を阻害しない添加量の範囲でテトラカルボン酸二無水物他を併用できる。例えばビフェニルテトラカルボン酸二無水物またはベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などを50モル%未満添加することが出来る。
得られたポリアミド酸をイミド転化して製造される。
【0020】
ポリイミドフィルムの弾性率は、ポリアミド酸を製造する際に使用するジアミン成分における3,4’−オキシジアニリン成分の使用比率によって調整できる。3,4’−オキシジアニリン成分を多く使用すると、高弾性率及び寸法安定性が向上する反面、耐熱性が低下するという欠点がある。したがって、それぞれの特性値をバランスするために、各成分のモル比を注意深く調製する必要がある。
【0021】
本発明のポリアミド酸は、175℃以下、好ましくは90℃以下の温度で、上記テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を、モル比を約0.90〜1.10、好ましくは0.95〜1.05、更に好ましくは0.98〜1.02とし、それぞれの成分と非反応性の有機溶剤中で反応させることにより製造される。
【0022】
上記それぞれの成分は、単独で順次有機溶剤中に供給してもよいし、同時に供給してもよく、また混合した成分に有機溶剤を供給してもよいが、均一な反応を行わせるためには、有機溶剤中に各成分を順次添加することが好ましい。
【0023】
それぞれの成分を順次供給する場合の供給順序は、適宜決められる。
【0024】
ポリアミド酸を生成するために必要な時間は、反応温度と原料比率で決定すればよいが、経験的には約1分から約20時間程度が適当である
具体的に、テトラカルボン酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物(PMDA)、ジアミン成分として、4,4’−オキシジアニリン(44’ODA)と3,4’−オキシジアニリン(34’ODA)を使用したポリイミドポリマーの製造例を以下に説明する。
【0025】
まず、有機溶剤としてのジメチルアセトアミド(DMAc)に、34’ODAを溶解し、一部のPMDAを加え反応を完了させる。
【0026】
次いで、溶液に44’ODAを加え溶解した後、溶液に残りのPMDAを加えて反応させることにより、酸無水物とジアミンとが実質的に等モルの3成分ポリアミド酸溶液が得られる。
【0027】
この場合に、最初に供給するPMDAに微量の34’ODAを添加したり、最初に反応させるPDAとPMDAとのモル比を非等量にし、過剰量のジアミン成分と十分に反応させる量の末端封止剤を添加することにより、分子鎖のつながりを制御することも可能であるが、本組成の効果を有効にするためには、34’ODA、44’ODAとPMDAとのモル比を実質的に等量とするランダムポリマーとすることが好ましい。
【0028】
用いる末端封止剤は無水ジカルボン酸、シリル化剤などの末端封止剤を固形分(ポリマー濃度)に対して0.001〜2%の範囲で添加することも好ましく行うことが出来る。この無水ジカルボン酸として無水酢酸または無水フタル酸、シリル化剤として非ハロゲン系であるヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレアが特に好ましく用いられる。
【0029】
ポリアミド酸の製造は、その溶液のポリアミド酸濃度と溶液の粘度とでその終了点を決定される。終了点の溶液の粘度を精度良く決定するためには、最後に供給する成分の一部を、反応に使用する有機溶剤の溶液として添加することは有効であるが、ポリアミド酸濃度をあまり低下させないような調節が必要である。
【0030】
溶液中のポリアミド酸濃度は、5ないし40重量%、好ましくは10ないし30重量%である。
【0031】
上記有機溶剤としては、それぞれの成分および重合生成物であるポリアミド酸と非反応性であり、成分の1つから全てを溶解でき、ポリアミド酸を溶解するものから選択するのが好ましい。
【0032】
望ましい有機溶剤としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、これらは単独でまたは混合使用することができ、場合によってはベンゼン等の貧溶媒と併用することも可能である。
【0033】
本発明のポリイミドフィルムを製造するに際しては、かくして得られたポリアミド酸溶液を押出機やギヤポンプで加圧して、ポリアミド酸フィルムの製造工程に送液する。
【0034】
ポリアミド酸溶液は、原料に混入していたり、重合工程で生成した異物、固形物及び高粘度の不純物等を除去するためにフィルターされ、フィルム成形用の口金やコーチングヘッドを通してフィルム状に成形され、回転または移動する支持体上に押出され、支持体から加熱されて、ポリアミド酸が一部イミド転化したポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムが生成され、このゲルフィルムが自己支持性となり、支持体から剥離可能となった時に支持体から剥離され、乾燥機に導入され、乾燥機で加熱されて、溶剤を乾燥し、イミド転化を完了することにより、ポリイミドフィルムが製造される。
【0035】
このとき、20μmカットの金属繊維焼結フィルター用いることは、途中で生成されたゲル物の除去に効果的である。更に好ましくは10μmカットの金属繊維焼結フィルターであり、最も好ましくは1μmカットの金属繊維焼結フィルターである。
【0036】
ポリアミド酸のイミド転化の方法は、加熱のみによる熱転化法と、イミド転化薬剤を混合したポリアミド酸を加熱処理したり、またはポリアミド酸をイミド転化薬剤の浴に浸漬する化学転化法のいずれも採用することができるが、本発明においては、化学転化法が熱転化法に比べて、可撓性の印刷回路、CSP、BGAまたはTABテープ用の金属配線板基材に適用した場合に、高弾性率、低熱膨張係数、寸法安定性および製膜性を均衡して高度に実現するのに好適である。
【0037】
しかも、化学転化法によってポリアミド酸にイミド転化薬剤を混合し、フィルム状に成形後加熱処理する方法は、イミド転化に要する時間が短く、均一にイミド転化が行える等の利点に加え、支持体からの剥離が容易であり、さらには、臭気が強く、隔離を必要とするイミド転化用薬剤を密閉系で取り扱える等の利点を有することから、ポリアミド酸フィルム成形後に転化用薬剤や脱水剤の浴に浸漬する方法に比べて好ましく採用される。
【0038】
本発明においては、イミド転化用薬剤として、イミド転化を促進する3級アミン類と、イミド転化で生成する水分を吸収する脱水剤とを併用する。3級アミン類は、ポリアミド酸とほぼ等モルないしやや過剰に添加混合され、脱水剤は、ポリアミド酸の約2倍モル量ないしやや過剰に添加されるが、支持体からの剥離点を調整するために適当に調整される。
【0039】
そして、イミド転化用薬剤は、ポリアミド酸を重合完了した時点から、ポリアミド酸溶液がフィルム成形用口金やコーチングヘッドに達するいかなる時点で添加してもよいが、送液途中におけるイミド転化を防止する意味では、フィルム成形用口金またはコーチングヘッドに到達する少し前に添加し、混合機で混合するのが好ましい。
【0040】
3級アミンとしては、ピリジンまたはβ−ピコリンが好適であるが、α−ピコリン、4−メチルピリジン、イソキノリン、トリエチルアミン等も使用することができる。使用量は、それぞれの活性によって調整する。
【0041】
脱水剤としては、無水酢酸が最も一般的に使用されるが、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、安息香酸、蟻酸無水物等も使用することができる。
【0042】
イミド転化薬剤を含有するポリアミド酸フィルムは、支持体上で支持体および反対面空間から受ける熱により、イミド転化が進み、一部イミド転化したポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムとなり、支持体から剥離される。
【0043】
この場合に、支持体および反対面空間から与える熱量は多いほどイミド転化が促進されて、速く剥離するが、熱量が多すぎると支持体とゲルフィルムの間の有機溶剤のガスがゲルフィルムを変形させ、フィルムの欠点となるので、剥離点の位置とフィルム欠点を勘案して、熱量を決定することが望ましい。
【0044】
支持体から剥離されたゲルフィルムは、乾燥機に導入され、溶剤の乾燥およびイミド転化の完了がなされる。
【0045】
このゲルフィルムは、多量の有機溶剤を含有しており、その乾燥過程において体積が大幅に減少する。したがって、この体積減少による寸法収縮を厚さ方向に集中させるために、ゲルフィルムの両端をテンタークリップで把持し、このテンタークリップの移動によりゲルフィルムを乾燥機(テンター)に導入し、テンター内で加熱して、溶剤の乾燥とイミド転化とを一貫して実施するのが一般的である。
【0046】
この乾燥及びイミド転化は、200〜500℃の温度で行われる。乾燥温度とイミド転化温度は同一温度でもよいし、異なる温度でもよいが、溶剤を大量に乾燥する段階では、低めの温度として溶剤の突沸を防ぎ、溶剤の突沸のおそれがなくなったら、高温にしてイミド転化を促進するように、段階的に高温にすることが好ましい。
【0047】
なお、テンター内において、フィルム両端のテンタークリップの距離を拡大または縮小して、延伸またはリラックスをおこなうことができる。延伸倍率として機械軸方向は1.0〜1.3倍である。幅方向の延伸倍率は0.9〜1.3倍である。
【0048】
好ましくは化学転化法によりイミド転化して得られるカットシート状のポリイミドフィルムは、上記のように製造した連続したフィルムから切り取って製造することができるが、少量のフィルムを製造するには、後述の実施例で示しているように、樹脂製やガラス製のフラスコ内で、ランダムポリアミド酸を製造し、このポリアミド酸溶液に化学転化薬剤を混合して得られる混合溶液を、ガラス板等の支持体上にキャストし、加熱して、一部イミド転化した自己支持性のポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムとして、支持体から剥離し、金属製の固定枠等に固定して寸法変化を防止しながら加熱して、溶剤の乾燥およびイミド転化する方法により製造することができる。
【0049】
このようにして、化学転化法によりイミド転化して得られる本発明のポリイミドフィルムは、熱転化法により得られるポリイミドフィルムに比しても、可撓性の印刷回路、CSP、BGAまたはTABテープ用の金属配線板基材に適用した場合に、高弾性率、低熱膨張係数、低吸湿膨張係数を同時に満足するのに好適であり、なおかつ優れた熱寸法安定性を有するものである。
【0050】
したがって、本発明のポリイミドフィルムを基材として、その表面に金属配線を施してなる可撓性の印刷回路、CSP、BGAまたはTAB用の金属配線板は、高弾性率、低熱膨張係数、熱寸法安定性および製膜性を同時に満たすという高性能な特性を発現するものである。
【0051】
なお、本発明のポリイミドフィルムにおいては、弾性率としては3.5〜4.5GPaが好ましい。弾性率が小さいとフィルム走行性が悪く取り扱いにくく、高いと可とう性が乏しくなる。
【0052】
線膨張係数は大きすぎても小さすぎても、金属と張り合わせた場合カールが大きくなりすぎ、熱膨張係数としては16〜24ppm/℃が好ましい。更に好ましくは17.5〜22.5ppm/℃である。蒸着金属が直接積層される場合は応力緩衝層の役割を持つ接着剤層が無いので、接着剤を介して金属積層される場合より、熱膨張係数は厳しく制御される必要がある。
【0053】
吸水率は2%以下、特に好ましくは1%以下である。
【0054】
銅、ニッケル、クロム、珪素などの金属、二酸化珪素、酸化インジウム、酸化錫などの金属酸化物蒸着工程を経る際、いずれも融点が1000℃以上であるため、その被蒸着基材であるポリイミドフィルムは高温に曝されるため、高温での熱収縮率は小さい方がよい。例えば350度での熱収縮率が1%を超えると使用しにくい場合がある。好ましくは0.5%以下で、より好ましくは0.2%以下である。
【0055】
また半田浴工程を経る際300℃近い高温にフィルムが晒されるため、熱収縮率は小さい方がよい。鉛溶出の環境問題が取り上げられるにつれ半田融点は高温側の物が用いられる傾向にあり、350℃の熱収縮率も小さくする要望が大きくなりつつある。熱収縮率が0.5%を超えると平面性が悪化し使用しにくい場合がある。好ましくは0.2%であり、より好ましくは0.1%以下である。
【0056】
熱収縮率は線膨張係数と異なり非可逆変化であるためその絶対値が小さい方が良い。熱収縮率を小さくする好ましい方法としては、多段階の温度で熱処理を行う方法が挙げられる。この場合の最初の熱処理温度は、続いて熱処理される温度より高温とする。具体的手段としては、フィルムを巻いたロールを加熱オーブン中に放置する方法、および無張力下で熱処理する方法が挙げられるが、熱収縮応力を小さくするという観点からは無張力での熱処理が好ましい。熱処理する温度として200℃〜400℃が好ましい。更に好ましくは300℃〜350℃である。熱処理後の冷却速度は毎分1℃〜1000℃が好ましい。更には5℃〜100℃が好ましい。
【0057】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお各フィルム特性値は、下記の方法で測定したものである。
【0058】
また、下記の実施例中で、略号DMAcはジメチルアセトアミドを、PMDAはピロメリット酸二無水物を、44’ODAは4,4’−オキシジアニリンを、また、34’ODAは3,4’−オキシジアニリンを示す略記である。
(1)弾性率および破断伸度
弾性率は、JISK7113に準じて、室温でORIENREC社製のテンシロン型引張試験器により、引張速度300mm/分にて得られる張力−歪み曲線の初期立ち上がり部の勾配から求めた。
【0059】
破断伸度は試料が破断するときの伸度を取った。
(2)熱膨張係数
熱膨張係数は、島津製作所社製のTMAー50型熱機械分析装置を用い、10℃/分の昇温速度、5℃/分の降温速度で、2回目の昇(降)温時の50℃から200℃の間の寸法変化から求めた。
(3)金属積層板の反り量評価
ポリイミドフィルムを350℃10分オーブン中で乾燥し、その後厚さ0.5μm銅をイオン蒸着する。得られた金属積層板を35mm×120mmのサンプルサイズにカットし、25℃、60RH%雰囲気中で24時間放置した後、それぞれのサンプルの反りを測定した。反りはサンプルをガラス平板に置き、四隅の高さを測定平均化した。評価基準は反り量に応じて以下のように判定した。×レベルは金属配線回路板として用いる場合、後工程の搬送時に取り扱いが困難となるレベルである。
【0060】
○ 反り量 1mm未満
△ 反り量 1mm以上3mm未満
× 反り量 3mm以上
(4)製膜性
用意したフィルムを研究用高分子フィルム二軸延伸装置(BIX−703、(株)岩本製作所社製)により、400℃で両軸等速度二軸延伸方式により延伸させフィルム破断面積を求めた。予熱時間60秒、片側延伸速度10cm/min。
【0061】
◎;極めて良好 破断延伸面倍率が1.3倍を超える
○;良好 破断延伸面倍率が1.1倍〜1.2倍
△;実用上問題ない 破断延伸面倍率が1倍〜1.1倍
×;製膜困難 破断延伸面倍率が1倍以下
(5)熱収縮率
A.300℃熱収縮率
JIS−C2318に従って、300℃、1時間後の加熱前後の寸法変化率を測定する。
【0062】
熱収縮率C(%)=100(A−B)/A
但し、A・・・加熱前のフィルム寸法
B・・・加熱後のフィルム寸法
◎;0.1%以下
○;0.1%超過〜0.2%以下
△;0.2%超過〜0.5%以下
×;0.5%を超える。
【0063】
B.350℃熱収縮率
JIS−C2318に従って、350℃、30分後の加熱前後の寸法変化率を測定する。
【0064】
熱収縮率C(%)=100(A−B)/A
但し、A・・・加熱前のフィルム寸法
B・・・加熱後のフィルム寸法
◎;0.2%以下
○;0.2%超過〜0.5%以下
△;0.5%超過〜1%以下
×;1%を超える。
(8)ガラス転移温度(Tg)
レオメトリック社製粘弾性アナライザー(RSA2)にて引張法で測定した動的粘弾性よりtanδおよびE’(貯蔵弾性率)より求める。280℃から380℃において、E’の傾きが3倍以上変化する温度、または最大値を示すtanδピークの上昇する温度をTgとする。
【0065】
[実施例1]
500ccのガラス製フラスコに、DMAc150mlを入れ、34’ODAをDMAc中に供給して溶解させ、続いて44’ODA及びPMDAを順次供給し、室温で、約1時間攪拌する。最終的にテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化学量論で表1に示す組成の成分からなるポリアミド酸濃度20重量%の溶液を調製した。
【0066】
このポリアミド酸溶液30gを、12.7mlのDMAc、3.6mlの無水酢酸及び3.6mlのβ−ピコリンと混合した混合溶液を調製し、この混合溶液をガラス板上にキャストした後、150℃に加熱したホットプレート上で約4分間加熱して、自己支持性のポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを形成し、これをガラス板から剥離した。
【0067】
このゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱後、約1時間掛けて室温まで冷却し取り出した。厚さ約50μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性値評価結果を表1に示した。
【0068】
【表1】
Figure 0003932506
【0069】
【表2】
Figure 0003932506
[比較例1]
500ccのガラス製フラスコに、DMAc150mlを入れ、34’ODAをDMAc中に供給して溶解させ、PMDAを溶解させ、室温で、約1時間攪拌し、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化学量論で表1に示す組成の成分からなるポリアミド酸濃度20重量%の溶液を調製した。
【0070】
このポリアミド酸溶液を、実施例1と同じ方法で処理して、厚さ約50μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性値評価結果を表2に示した。
【0071】
表1〜表2に記載された結果から明らかなように、本願で示される組成範囲のPMDA、44’ODAおよび34’ODAからなる化学転化法で得られた本発明のランダムポリイミドフィルムは、本願範囲外の同種3成分ポリイミドフィルムに比較して、高弾性率、低熱膨張係数、低熱収縮率、および蒸着後の平面性を同時に満足しており、可撓性の印刷回路,CSP,BGAまたはTABテープ用の金属配線板基材としての好適な性能を有するものである。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリイミドフィルムは、本願範囲外の同種3成分組成物により得られるポリイミドフィルムに比して、可撓性の印刷回路,CSP,BGAまたはTABテープ用の金属配線板基材に適用した場合に、高弾性率、低熱膨張係数、低熱収縮率、および蒸着後の平面性を同時に満足しうるものである。
【0073】
したがって、本発明のポリイミドフィルムを基材として、その表面に金属配線を施してなる可撓性の印刷回路,CSP,BGAまたはテープ自動化接合テープ用の金属配線板は、高弾性率、低熱膨張係数、低熱収縮率、および蒸着後の平面性を均衡して高度に満たすという高性能な特性を発現する。

Claims (3)

  1. ピロメリット酸二無水物、並びにジアミンを基準に40モル%超過〜50モル%以下の4,4’−オキシジアニリン及び50モル%超過〜60モル%以下の3,4’−オキシジアニリンから得られるポリアミド酸をイミド転化して得られたポリイミドから製造されたことを特徴とするポリイミドフィルム。
  2. 請求項1に記載のポリイミドフィルムを基材として、その表面に金属配線を施してなることを特徴とする可撓性の印刷回路。
  3. 請求項1に記載のポリイミドフィルムを基材として、その表面に金属配線を施してなることを特徴とするテープ自動化接合テープ用の金属配線板。
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