JP3931589B2 - 電磁誘導加熱装置、定着装置及び画像記録装置 - Google Patents

電磁誘導加熱装置、定着装置及び画像記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、交番磁界の作用で渦電流が生じ、発熱する電磁誘導発熱体、 交番磁界を発生する励磁コイルと面状の導電性層とが対向配置され、渦電流による導電性層の発熱を利用する電磁誘導加熱装置、 記録媒体上のトナー像を電磁誘導加熱装置で加熱・溶融するとともに、該トナー像を記録媒体に押圧して定着画像とする定着装置、 及びトナー像を電磁誘導による発熱で加熱溶融し、記録媒体上に圧着して転写と定着とを同時に行う画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
交番磁界を面状の導電性層に作用させたときに渦電流が生じ、発熱する。この原理を利用する電磁誘導加熱は、熱効率がよく短時間で高温の加熱を行うことができることが知られており、様々な装置への利用が提案されている。電子写真方式、静電記録方式等の、熱可塑性樹脂バインダーを用いるトナーによって画像を形成する画像記録装置では、トナー像を加熱溶融し、記録媒体に融着させるのに電磁誘導加熱を用いることが提案されている。
【0003】
特開平9-44014号公報、特開平9-96974号公報に記載の装置は、形成されたトナー像を記録媒体上に転写し、記録媒体とともに加熱加圧して定着画像を得るものであり、金属発熱層を有する無端ベルト状の定着フィルムと加圧ローラとの間に、トナー像を担持する記録媒体を挟み込み、定着フィルムの背面側に励磁コイルを配設して、加熱と加圧とを行う。
【0004】
特開平11-352804号公報に記載の装置は、静電電位の差による潜像にトナーを転写することによって形成されたトナー像を一旦中間転写体上に転写し、加熱溶融した状態で記録媒体に圧着して、2次転写と定着とを同時に行うものである。上記中間転写体は無端ベルト状の部材であり、導電性の発熱層を有し、対向配置された励磁コイルの作用によって発熱するものとなっている。
【0005】
上記のような電磁誘導加熱によってトナーを加熱溶融し、定着する装置では、従来から広く知られているハロゲンヒータやセラミックヒータを用いた装置に比べて次のような長所を備えている。
a)電磁誘導加熱では、フィルム状の熱容量が小さい部材を発熱させることができるので、急速加熱が可能となる。このため、装置の電源をON状態としたときからの予備加熱時間(ウオーミングアップタイム)をほとんど不要とすることができる。
b)ハロゲンヒータを用いたときのように、輻射によって熱が伝えられるのではなく、被加熱体に極めて近い位置にある導電性層を発熱させる。したがって、熱が伝達するときの損失を低減でき、熱効率の良い加熱が可能となる。
c)電磁誘導加熱では、被加熱体に極めて近い位置にある導電性層を発熱させるので、熱伝達の抵抗が少なく、高速で多数枚の画像を連続して定着する場合にも熱の供給が不足することなく、良好な定着を行うことができる。
【0006】
上記のような、電磁誘導加熱を行うときの発熱層は、多くの場合、特開平9-44014号公報に開示されるように磁束の吸収が良好な磁性金属が用いられ、ニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバルト−ニッケル合金、鉄−ニッケル合金等が望ましいとされている。
【0007】
また、発熱層の層厚は、次式で示される表皮深さδより厚くするのが望ましいとされている。
【数4】
Figure 0003931589
【0008】
一方、特開2000-268952号公報には、発熱層として、一般的な磁性金属より導電性の良好な銅、銀、アルミニウム等の非磁性金属を用い、層厚を表皮深さδより小さく0.1μm〜20μm程度として有効な発熱層が得られることが記載されている。そして、このように薄い金属層は、それだけでは充分な強度を有していないので、ポリイミド等の耐熱性樹脂フィルムに積層して発熱層を保持し、発熱体としている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような技術には、さらに改良すべき課題として次のような事項がある。
電磁誘導加熱のための発熱層として、磁性金属の表皮深さδより厚い層を用いると、発熱範囲は、発熱層を形成する金属の固有の性質と交番磁界の周波数によって決定され、発熱体の設計における自由度が小さい。このため、発熱体の層構成や層厚、剛性等を自由に設定できない場合が生じる。
【0010】
一方、発熱層として、非磁性金属の表皮深さδより薄い層を用いると、上記の問題点は解消されるが、次のような課題が生じる。
図6に示すように、非磁性金属の薄い発熱層51bを、ポリイミド等の耐熱性樹脂からなる基層51a上に積層すると、耐熱性樹脂と発熱層51bである非磁性金属との間に十分な接着強度を得るために、加工費用が多く必要となってしまう。また、発熱体を無端ベルト状に成形しようとすると、加工上の問題から耐熱樹脂と非磁性金属との間に十分な接着強度を得ることが難しい。さらに、発熱体51を短時間で高温にするためには熱容量を小さくしなければならず、耐熱性樹脂からなる基層51aの厚さを小さくすると、発熱層51bが急激に加熱されることによる熱膨張で、ベルト状の発熱体51に波うつような変形が生じる。これは、基層51aの耐熱性樹脂と発熱層51bの金属との熱膨張係数の差が大きいことや耐熱性樹脂の剛性が充分でないことによって起る現象である。
【0011】
さらに、表皮深さδより発熱層51bが薄いと、励磁コイル52によって生成される磁束Hは発熱層51bを貫通する。このため、磁束が広い範囲に拡がることになり、効率の良い加熱を行うためには磁束を誘導する手段53が必要となる。
【0012】
本願発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電磁誘導により効率よく発熱し、層構成や層厚の設計における自由度の大きい電磁誘導発熱体を提供すること、 この発熱体を用いて熱効率の良い加熱を行う電磁誘導加熱装置を提供すること、 電磁誘導による加熱を行い良好な熱効率でトナー像を定着するとともに、耐久性にすぐれた定着装置を提供すること、 並びに記録媒体へのトナー像の転写と定着とを同時に行う画像記録装置であって、熱の利用効率が良く、耐久性に優れた画像記録装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 交番磁界を発生させる励磁コイルと、 周回移動する無端状の周面を備え、該周面の一部が前記励磁コイルと対向するように支持された電磁誘導発熱体とを有し、 該電磁誘導発熱体は、 磁性金属からなる基層と、 非磁性の導電性金属からなり、前記基層の、前記励磁コイルと対向する面に積層された発熱層とを備え、 該発熱層は、表皮深さδより薄く形成されている電磁誘導加熱装置を提供する。
なお、表皮深さδは、先に記載した(1)式で示されるものである。
【0014】
電磁誘導による発熱の原理は次のとおりである。図4に示すように、導線性の発熱層31と対向するように励磁コイル32を配置し、励磁回路33から交流電流を供給して交番磁界を発生させる。上記励磁コイル32は、磁性体からなるコア32aと、このコア32aを支持する台座32bと、コアに巻き回された巻き線32cと、磁束を誘導する磁性板32dとを有するものであるが、コアの形状は上記形状に限定されることはなく、コアを用いないものでもよい。交番電流の供給によって生成消滅を繰り返す磁束Hは、発熱層31に貫入される。このとき、発熱層31中にはその磁界の変化を妨げる磁界を生じるように、矢印Bで示される渦電流が発生する。この渦電流は表皮効果のためにほとんど発熱層の励磁コイル32側の面に集中して流れ、発熱層の表皮抵抗RSに比例した電力で発熱を生じる。
【0015】
ここで、角周波数をω、透磁率をμ、固有抵抗をρとすると、表皮深さδは次式で示される。
【数5】
Figure 0003931589
【0016】
さらに、表皮抵抗RSは次式で示される。
【数6】
Figure 0003931589
【0017】
電磁誘導発熱体の発熱層31に発生する電力Pは、電磁誘導発熱体中を流れる電流をIfとすると、次式で表せる。
【数7】
Figure 0003931589
【0018】
したがって、表皮抵抗RSを大きくするか、あるいは発熱層を流れる電流Ifを大きくすれば、電力Pを増すことができ、発熱量を増すことが可能となる。表皮抵抗RSを大きくするには、周波数ωを高くするか、透磁率μの高い材料又は固有抵抗ρの高いものを用いればよい。
【0019】
上記のような加熱原理からすると、本請求項に係る発明のように、非磁性金属を発熱層に用いると、加熱しづらいことが憶測されるが、発熱層の厚さtが表皮深さδより薄い場合には、次式のようになる。
【数8】
Figure 0003931589
【0020】
つまり、本発明に係る電磁誘導加熱装置では、図5に示すように、発熱層41bの厚さtが表皮深さδより薄くなっていることにより、表皮抵抗RSが増大し、発熱層41bに充分な発熱が生じる。このとき、磁束Hは発熱層41bを貫通し、基層41aに及んでおり、磁性金属からなる基層41aを通って励磁コイル42側に向かい、閉じた磁路を形成する。したがって、磁束が広範囲に拡がらず、効率の良い発熱が生じる。
【0021】
また、磁束Hは発熱層41bを貫通しており、渦電流Bは発熱層41bに集中して生じ、発熱層41bを効率よく発熱させる。一方、磁束Hは基層41aに及んでいるので、基層41aにも多少の発熱は生じるが、基層41aは磁性金属からなり、磁束は深い位置まで吸収されないので、発熱は発熱層41bに極近い位置のみで生じ、発熱量もわずかとなる。
【0022】
したがって、このような電磁誘導加熱装置では、周回駆動される電磁誘導発熱体が励磁コイルとの対向位置を通過するときに電磁誘導によって瞬時に加熱される。例えば、電磁誘導発熱体の表面に担持されているトナー像を加熱溶融したり、加熱された電磁誘導発熱体を被加熱体に圧接することによって、予備加熱時間(ウォームアップタイム)なしで効率の良い加熱が可能となる。
また、電磁誘導発熱体が、非磁性金属からなる薄い発熱層と磁性金属からなる基層とを備えているので、励磁コイルに供給される交流の周波数に対応して、適切に発熱層の層厚を設定し、この発熱層に集中して効率よく発熱を生じさせることができる。
【0023】
また、請求項2に係る発明の電磁誘導加熱装置では、基層41aより発熱層41bの固有抵抗値が小さくなっているので、渦電流Bは発熱層41bにより集中して流れ、基層41aはほとんど発熱しないものとなる。これにより、発熱層の厚さ等を適切に設定し、所定の範囲で効率良く発熱させることが可能となる。
【0024】
請求項3に係る発明は、 請求項1又は請求項2に係る電磁誘導加熱装置において、前記発熱層は、固有抵抗値が2.7×10-8Ωm以下で、比透磁率が2以下の材料で形成されていることを特徴とする。
【0025】
この電磁誘導加熱装置では、発熱層の比透磁率が2以下と小さくなっているので、表皮深さは大きくなる。そして、発熱層は表皮深さより充分薄い層となり、磁束はこの発熱層を貫通する。このとき、発熱層は固有抵抗値が2.7×10-8Ωm以下と小さくなっているが、薄い層とすることによって表皮抵抗が大きくなり充分な発熱量を得ることができる。したがって、発熱層の層厚を適切に選択することによって薄い発熱層に集中して発熱させることができる。
【0026】
請求項4に係る発明は、 請求項1又は請求項2に記載の電磁誘導加熱装置において、前記基層は、固有抵抗値が2.7×10-8Ωm以上で、比透磁率が2以上の材料で形成されていることを特徴とする。
【0027】
この電磁誘導加熱装置では、基層の比誘電率が2以上となっているので、発熱層を貫通した磁束は基層に深く貫入することなく、基層に沿って誘導され、励磁コイルへの磁路を形成する。また、磁束は基層へも貫入するが、基層の固有抵抗値が2.7×10-8Ωm以上と大きくなっているので、基層には渦電流が流れにくく、発熱層に集中して渦電流が生じる。このため、発熱層で集中して発熱が生じ、効率の良い発熱が得られる。
【0028】
請求項5に係る発明は、 請求項1又は請求項2に記載の電磁誘導加熱装置において、前記発熱層は、銅、銀又はアルミニウムで形成され、前記基層は、ニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバルト−ニッケル合金又は鉄−ニッケル合金で形成されていることを特徴とする。
【0029】
上記のように発熱層と基層との材料を選択することにより、発熱層の層厚を適切に設定し、薄い発熱層に集中して効率の良い発熱を生じさせることができる。
【0030】
請求項6に係る発明は、 請求項1又は請求項2に記載の電磁誘導加熱装置において、前記発熱層の上に、耐熱性を有する合成樹脂又は合成樹脂に導電性材料の粉体を混入した材料からなる離型層が積層されていることを特徴とする。
【0031】
この電磁誘導加熱装置では、発熱層が離型性の良好な層で被覆されているので、トナー等の熱可塑性樹脂と直接に接触させ、加熱溶融した場合にも、熱可塑性樹脂が電磁誘導発熱体に付着してしまうのを有効に防止することができる。また、離型性の良好な合成樹脂は、一般に絶縁体であるが導電性材料の粉体を混入することによって抵抗値を調整することができ、表面の離型層が帯電するのを防止することが可能となる。
【0032】
請求項7に係る発明は、 交番磁界を発生させる励磁コイルと、 周回移動する無端状の周面を備え、該周面の一部が前記励磁コイルと対向するように支持されて電磁誘導により発熱する加熱部材と、 未定着のトナー像を担持した記録媒体を前記加熱部材に押圧する加圧部材とを有し、 前記加熱部材は、 磁性金属からなる基層と、 非磁性の導電性金属からなり、前記基層の、前記励磁コイルと対向する面に積層された発熱層とを備え、 該発熱層は、表皮深さδより薄く形成されていることを特徴とする定着装置を提供する。
【0033】
また、請求項8に係る発明は、 請求項7に記載の定着装置において、前記発熱層は、前記基層を構成する金属より固有抵抗値の小さい金属で形成されていることを特徴とする。
【0034】
上記加熱部材は、円筒状の剛性を有する部材であってもよいし、無端ベルト状の部材であってもよい。また、加圧部材は、ロール状の部材であっても良いし、パッド状の部材であってもよい。そして、上記加熱部材は、それ自身が回転駆動されるものでもよいし、押圧されるロール状の加圧部材に従動するものでもよい。また、加熱部材がベルト状の部材であって、周方向に張力を発生させることなく支持する場合は、例えば加圧部材と対向する位置に保持部材を配置し、加圧部材との間に挟持する構造を採用することができる。そして、保持部材又は加圧部材の少なくともいずれか一方をロール状の部材とし、回転駆動することによって加熱部材を周回させることができる。
一方、励磁コイルは、加熱部材に加圧部材が押圧される位置又はこれより上流側で加熱部材に対向させるのが望ましい。
【0035】
このような定着装置では、加熱部材が電磁誘導によって加熱され、この加熱部材がトナー像を担持した記録媒体に圧接され、記録媒体上のトナーに熱を供給する。これにより、トナーは溶融して記録媒体に圧着される。
【0036】
上記電磁誘導による加熱は、加熱部材の熱容量が小さく瞬時に高温まで加熱されるので、ウォーミングアップタイムをほとんど必要とせず、トナー像を短時間で定着することができる。また、加熱部材の表面近くのみを効率よく加熱することができ、高速で連続してトナー像を定着する場合にも、良好な画像定着を行うことができる。
【0037】
請求項9に係る発明は、 無端状の周面を有し、該周面上にトナー像を担持して搬送するトナー像担持搬送部材と、 該トナー像担持搬送部材の周面と対向するように配置され、交番磁界を発生させて、該トナー像担持搬送部材を電磁誘導加熱する励磁コイルと、 前記トナー像担持搬送部材の周面に記録媒体を押圧し、該トナー像担持搬送部材上で加熱溶融されたトナー像を記録媒体に転写すると同時に定着する加圧部材とを有し、 前記トナー像担持搬送部材は、 磁性金属からなる基層と、 非磁性の導電性金属からなり、前記基層の前記励磁コイルと対向する面に積層された発熱層とを備え、 該発熱層は、表皮深さδより薄く形成されていることを特徴とする画像記録装置を提供するものである。
【0038】
また、請求項10に係る発明は、 請求項9に記載の画像記録装置において、前記発熱層は、前記基層を構成する金属より固有抵抗値の小さい金属で形成されていることを特徴とする。
【0039】
上記構成に含まれるトナー像担持搬送部材は、無端状の周面上に静電電位の差による潜像が形成され、これにトナーが転移するものであってもよいし、形成されたトナー像が一旦転写される、いわゆる中間転写体であってもよい。
【0040】
このような画像記録装置では、トナー像担持搬送部材が励磁コイルと対向する位置を通過するときに、電磁誘導による渦電流で加熱され、トナー像担持搬送部材上のトナーが溶融される。そして、このトナー像は、トナー像担持搬送部材と加圧部材との間に送り込まれた記録部材に圧着され、転写と定着とが同時に行われる。
【0041】
上記電磁誘導による加熱は、熱容量の大きい部材を加熱する必要がなく、薄いベルト状のトナー像担持搬送部材を短い時間で急速に高温まで加熱することができるので、ウォーミングアップタイムがほとんど不要となり、電源投入時にも直ちに画像を形成することができる。
また、トナー像担持搬送部材は、磁性金属からなる基層とこの上に積層された非磁性金属の薄い発熱層とを有しているので、発熱層が集中して効率よく発熱する。これにより、高速での画像形成にも対応して、良好な定着画像を得ることができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下に、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、請求項1から請求項6に係る発明の一実施形態である電磁誘導加熱装置を用いた画像記録装置であって、請求項9又は請求項10に係る発明の実施形態を示す概略構成図である。
この画像記録装置は、周面が周回可能に支持された無端ベルト状の中間転写体6(トナー像担持搬送体)を備えており、この中間転写体6と対向する位置に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する4つの画像形成ユニット1a、1b、1c、1dが配設されている。
【0043】
各画像形成ユニット1a、1b、1c、1dは、表面に静電潜像が形成される感光体ドラム2a、2b、2c、2dを有しており、各感光体ドラムの周囲に、この感光体ドラムの表面をそれぞれほぼ一様に帯電する帯電装置3a、3b、3c、3dと、感光体ドラム1に像光を照射して表面に潜像を形成する露光装置4a、4b、4c、4dと、感光体ドラム上に形成された各潜像にイエロー、マゼンタ、シアン又はブラックのトナーを転移させてトナー像を形成する現像装置5a、5b、5c、5dと、中間転写体6と感光体ドラム1との間に適切なニップ幅を形成する押さえロール7a、7b、7c、7dと、トナー像の転写後に感光体ドラム1に残留するトナーを除去するクリーニング装置8a、8b、8c、8dと、感光体ドラム1の表面を除電する除電露光装置9a、9b、9c、9dとを備えている。
【0044】
中間転写体6の内側には、駆動ロール10と、テンションロール11と、二次転写を行うための転写ロール12とが配置されており、これらによって中間転写体6が周回可能に張架されている。そして、転写ロール12と対向する位置には中間転写体6を挟んで加圧ロール13が設けられている。また、中間転写体6に沿った位置には、中間転写体6及びこの上に担持されたトナー像を加熱する交番磁界発生装置14と、中間転写体6と感光体ドラム1との間にバイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム上のトナー像を中間転写体6に転写するバイアス印加器15と、二次転写後、中間転写体上に残留するトナーを除去するクリーニング装置16とが設けられている。
【0045】
以下に、本実施形態の画像記録装置を構成している各要素について、より詳しい説明を加える。
上記感光体ドラム2a、2b、2c、2dは、ドラム表面にSe、a-Si、a-SiC 、CdS 等の各種無機感光体層を有するもの、又は各種有機感光体層を有するものを用いることができる。
【0046】
上記帯電装置3a、3b、3c、3dは、グリッドと電極ワイヤとを備えるコロナ放電器であり、電極ワイヤに高電圧を印加するとともにグリッドに所定の電圧を印加し、上記各感光体ドラムとの間でコロナ放電を発生させて各感光体ドラムの表面を一様に帯電するものである。
【0047】
上記露光装置4a、4b、4c、4dは、画像信号に基づいてレーザー光を発生し、これをポリゴンミラーによって感光体ドラムの主走査方向にスキャンする。これにより一様に帯電された各感光体ドラムの露光部で電位が減衰し、静電電位の差による潜像が形成されるようになっている。
【0048】
上記現像装置5a、5b、5c、5dは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのそれぞれのトナーを収容した現像器が、各感光体ドラムと順次、近接・対向するようになっており、各色に対応した潜像にトナーを転移して可視像を形成するものである。
【0049】
上記中間転写体6は、図2に示すように、ベルトに十分な強度を有する基層6aと、その上に積層された発熱層6bと、最も上層となる表面離型層6cとの3層で構成されている。
基層6aは、固有抵抗値及び比透磁率が高く、磁性を有する金属が用いられる。コストや強度を考慮すると鋼、ニッケル、ステンレス等が用いられ、特に、固有抵抗値と比透磁率とがいずれも高い磁性ステンレスが望ましい。これらの材料は、固有抵抗値が2.7×10-8Ωm以上で、比透磁率が2以上のものである。また、発熱層6bは、厚さ1μm〜15μmの銅、銀又はアルミニウムが用いられる。これらの材料は、固有抵抗値が2.7×10-8Ωm以下で、比透磁率が2以下のものである。銅は比較的安価で容易に基層に接着可能であるため好適である。中間転写体の可撓性を損なわないために、基層と発熱層とからなる金属層は、30μm〜60μmとするのが望ましい。本実施例では、基層は厚さ30μm〜50μmの磁性ステンレス、発熱層6bは厚さ5μm〜10μmの銅が選択されている。
【0050】
表面離型層6cは、厚さ0.1μm〜30μmの離型性の高いシート又はコート層であることが好ましく、例えばPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)などが用いられる。この表面離型層には、一次転写時のトナー像の静電転写性も考慮して、カーボンブラックなどの導電材料を分散し、抵抗調整を行ったシートを用いてもよい。
【0051】
上記交番磁界発生装置14は、転写ロール12と、加圧ロール13とが対向して設けられた位置の上流側に中間転写体6の外周面に沿って配置され、該中間転写体6の発熱層を発熱させて、この中間転写体上に担持されるトナー像を加熱溶融するものである。
この交番磁界発生装置14は、図2に示すように、励磁コイル14aと励磁回路14bとを備えており、励磁コイル14aは、台座14cに支持されたフェライト等からなる強磁性体コア14dと、この強磁性体コアに巻き回された巻き線14eと、発熱層を通過した磁束を集める強磁性体14fとで構成されている。
台座14cは、非磁性で耐熱性を有するものであり、ポリカーボネイト等の耐熱性樹脂や耐熱ガラス等が用いられる。強磁性体コア14dは、単一のコアブロック、あるいは複数のコアブロックを連続で配設する。強磁性体14fは、鉄、コバルト、ニッケル、フェライト等の磁性材料が用いられる。
【0052】
上記巻き線14eに印加する交流電流の周波数は20kHz〜100kHzが望ましい。20kHz以上となると発熱層への吸収率が良くなり、100kHz以上となると電磁波の放射ノイズ等が無視できなくなり、また、電源のコストが高くなる。
【0053】
上記転写ロール12と加圧ロール13とは、中間転写体6を挟んで圧接されるものであり、記録紙を中間転写体6と加圧ロール13との間に挟み込み、押圧するものである。これにより、中間転写体上で溶融したトナー像を記録紙に圧着し、二次転写と定着とを同時に行うようになっている。
【0054】
上記バイアス印加器15は、中間転写体6の裏面に導電性ロールを接触させ、転写バイアス電源から電圧を印加する。これにより、感光体ドラム1と中間転写体6との間に電界が形成され、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写体6に一次転写するようになっている。
【0055】
次に、上記画像記録装置の動作について説明する。
ベルト状の中間転写体6の周辺に配置された各画像形成ユニット1a、1b、1c、1d内で、感光体ドラム2a、2b、2c、2dがそれぞれ帯電装置3a、3b、3c、3dによりほぼ一様に帯電される。その後、画像信号に応じてオンオフされる露光装置4によって露光され、静電潜像が形成される。
【0056】
各感光体ドラム2a、2b、2c、2d上の静電潜像は、それぞれ、黒、イエロー、マゼンタ、シアン色のトナーが入った現像装置5a、5b、5c、5dにより現像され、面積変調により濃度を表現する、いわゆるディジタル画像が各感光体ドラム2a、2b、2c、2d上にトナー像として形成される。
【0057】
この各色トナー像は、感光体ドラム1の周回移動により中間転写体6との対向位置に搬送される。該中間転写体6は、バイアス印加器15が有する導電性ロールを介して電圧が印加されており、感光体ドラム1との間に電界が形成されている。これにより、各色トナー像は、中間転写体6上へ重ね合わせて転写され、中間転写体6上にフルカラーのトナー像が形成される。
一方、一次転写後に感光体ドラム1上に残留するトナーはクリーニング装置8により除去され、感光体ドラム1の表面は除電露光装置9により電位的に初期化され、再び帯電装置2との対向位置に移動する。
【0058】
中間転写体上に重ね合わされたトナー像は、中間転写体6の周回移動により交番磁界発生装置14と対向する加熱領域を通過する。このとき、励磁コイル14aに交流電流が印加されると、励磁コイル14aの周囲に矢印Hで示される磁束が生成消滅を繰り返す。そして、この磁束Hが中間転写体6の発熱層を横切るとき、その磁界の変化を妨げる磁界を生じるように、発熱層中には矢印Bで示される渦電流が発生する。このとき発熱層は、低抵抗の金属で形成されているが、表皮深さδより層厚が十分に小さく、表皮抵抗が適切な値となるように形成されているので、発熱層全体が効率良く発熱する。
【0059】
一方、発熱層を貫通した磁束は基層に至るが、基層は比透磁率の高い磁性ステンレスで形成されており、この基層内に奥深く侵入することなく強磁性体14fに向かって、閉じた磁路を形成する。このとき基層内にも多少の渦電流を生じることが考えられるが、発熱層より固有抵抗値が著しく大きく、渦電流はわずかしか生じない。したがって、発熱はほとんどが発熱層で生じることになる。
【0060】
上記のような発熱により、発熱層及び表面離型層の温度が上昇し、中間転写体6の周面上に担持されたトナー像は加熱・溶融され、転写ロール12と加圧ロール13との対向位置へ搬送される。この搬送タイミングに合わせて、用紙トレイ(図示しない)からは記録紙Pが搬送され、中間転写体6と加圧ロール13との間に送り込まれ、加圧される。これにより、溶融したトナー像は記録紙Pに圧着され、二次転写と定着とが同時に行われる。
【0061】
以上に説明した画像記録装置は、電磁誘導加熱されるトナー像担持搬送部材が中間転写体であったが、トナー像担持搬送部材上でトナー像を形成する構成とすることもできる。この場合、トナー像担持搬送部材は、電磁誘導加熱によって高温となるため、熱の影響を受け易い感光体は用いるのが難しいが、イオンビームによって静電潜像を形成し、これにトナーを転写してトナー像を形成するものや、画像信号に基づいてトナー粒子を射出し、図面に付着させる、いわゆるトナージェットによってトナー像を形成するものを採用することができる。そして、トナー像担持搬送部材上で形成されたトナー像を加熱溶融し、記録媒体に圧着して転写と定着とを同時に行う。
【0062】
次に、本願発明に係る電磁誘導加熱装置の性能を確認する実験を行った結果を示す。
この実験は、中間転写体が有する基層及び発熱層の構成の違いによる該中間転写体のしわの発生状況や耐久性等の特性について、従来のものと対比して示す。実験は、約2000枚の記録紙を図1に示す画像記録装置を用いて連続で転写同時定着し、評価を行った。この実験結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0003931589
【0063】
この実験に用いられた基層及び発熱層は、信頼性、可撓性及びクイックスタート性を損なわないように、材質及び厚さが選択されたものであり、発熱層の上に表面離型層が積層されている。該表面離型層は、上記実施形態で用いられる中間転写体が有する表面離型層と同様のもので、厚さ30μm〜50μmとなっている。特に、表面離型層として弾性に富んだ材料を用いると、トナー像は包み込まれるように中間転写体に密着する。このため、画像の劣化が少なく、光沢が均一となる。
【0064】
実験(1)、(2)で使用したベルトの構成は、メッキによって製造されたニッケル電鋳ベルトであり、厚い程コストが高くなってしまう。また、実験(3)、(4)で使用した金属層は、ポリイミドの表面に接着層を施し、厚さ5μm又は10μmの銅メッキをしたものである。一方、実験(5)、(6)の基層は電鋳法によって形成されたニッケルベルトであり、発熱層として厚さ5μm又は10μmの銅メッキが施されている。なお、この銅は蒸着やスパッタリングによって基層の上に形成することもできる。また、実験(7)、(8)の基層は塑性加工によって形成された磁性ステンレスである。
【0065】
この実験は、電磁誘導加熱によって600W〜1200Wの熱エネルギーを発生させ、中間転写体上のトナー像を溶融させて、記録紙に圧着した。表1の実験結果より、本願発明の実施形態である中間転写体は、表1に記載されているほとんどの項目において、従来の中間転写体より良好な評価を得ることができた。特に、実験(7)、(8)に用いた中間転写体は、環境への対応にも優れており、良好な結果となった。
【0066】
次に、請求項7又は請求項8に係る発明の一実施形態である定着装置を図3に基づいて説明する。
この定着装置は、無張力状態で支持されている定着ベルト21と、この定着ベルト21の外周面に当接される加圧ロール22と、定着ベルト21の背面側に当接され、定着ベルト21を加圧ロール22に押圧する加圧パッド23と、加圧ロール22の軸方向の温度差を小さくする金属ロール24と、定着ベルト21の外周面に沿って設けられ、該定着ベルト21を加熱する交番磁界発生装置25とで構成されている。そして、未定着トナー像を担持した記録紙が、定着ベルト21と加圧ロール22との間に送り込まれて加熱及び加圧され、トナー像が記録紙に溶融圧着される。
【0067】
上記定着ベルト21は、基層と、その上に積層された発熱層と、最上層に設けられた表面離型層との3層で構成されている。
基層と発熱層とからなる金属層は、自身で円形を維持し、座屈等が生じない程度の剛性が必要とされ、図1に示す画像記録装置が有する中間転写体と同様の材料を用いることができる。金属層の厚さは、発熱効率及び耐久性を考慮して40μm〜60μmとするが、ニップ部で加圧ロール22の周面に倣って移動するよう、できる限り薄くすることが望ましい。表面離型層は、図1に示す中間転写体と同様の材料を用いることができ、耐摩耗性や熱容量を考慮して厚さ1μm〜50μmとする。本実施例では、厚さ10μmのPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)が用いられている。
【0068】
上記定着ベルト21は加圧ロール22に従動して回転し、定着ベルト21の摺動性を良好にするために、該定着ベルト21と加圧パッド23との間に耐摩耗性及び摺動性の高いシート状部材を設け、さらに潤滑材を塗布する。本実施例では、シート状部材としてフッ素樹脂を含浸させたガラス繊維シートが用いられ、潤滑材としてシリコーンオイルが用いられている。これにより、定着ベルト21のウォーミングアップとして加圧ローラ22を回転させたとき、従来の加圧ローラの駆動トルクが約6kg/cmであったのに対し、約3kg/cmに低減された。
【0069】
上記加圧パッド23は、剛性を有する支持部材22a上に、弾性層22bを設けたものであり、定着ベルト21を介して加圧ロール22との間にニップ部を形成する。支持部材22aは、例えば、ステンレス、鉄等の金属や耐熱性の高い樹脂等を用いることができる。また、弾性層22bは、ゴム強度がJIS−A、35°のシリコーンゴムが用いられており、定着ベルト21との当接面は加圧ロール22の周面に沿った形に湾曲している。このため、加圧ロール22と定着ベルト21との間のニップ部に送り込まれた記録紙は、定着ベルト21の形状、すなわち加圧ロール22の周面に沿って進むが、ニップ部の出口で定着ベルト21の形状が急激に変化するため、該記録紙は自身の剛性によって定着ベルト21から剥離される。
【0070】
上記加圧ロール22は、φ26の鉄からなるロール22aの表面に、離型層22bとして、厚さ30μmのPFAを被覆したものである。
【0071】
上記金属ロール24は、熱伝導性の良い金属からなるロールであり、φ10の鉄製ロールが用いられている。この金属ロールは、加圧ロール22に接離可能となっており、小サイズの記録紙を連続して通過させ、定着ベルト21や加圧ロール22が軸方向に温度差を生じると、加圧ロール22に接触し従動回転する。加圧ロール22が有する熱は、金属ロール24を伝達し、加圧ロール22の温度が均一になるように促され、定着ベルト21の軸方向の温度がほぼ均一となる。このため、良好な定着温度を維持することができる。
【0072】
上記交番磁界発生装置25は、図1に示す画像記録装置が有するもの同様のものであり、電磁誘導発熱体である定着ベルト21の外周面から0.5mm〜2mm離れた位置に設置されている。
【0073】
この定着装置は、図示しないセンサに画像形成信号が入力されると同時に、加圧ロール22が駆動を開始し、交番磁界発生装置25が有する励磁コイルに交流電流が印加され、定着ベルト21が有する発熱層が発熱する。本実施例では、700Wの有効電力を投入した場合、定着ベルト21は、室温から約2秒で定着可能な温度に達する。このため、定着装置は、記録紙が送り込まれるまでにウォーミングアップすることができ、画像形成時間が短縮される。
【0074】
本実施例では、加圧ロールは周速が100mm/sで回転し、定着ベルトも該加圧ロールに従動してほぼ同じ速度で回転している。また、定着動作時の定着ベルトのニップ温度は、180℃〜200℃となるよう制御されている。
【0075】
この定着装置においても、実験性能等を確認する実験を行った。この実験では、表1に記載の構成を有する各定着ベルトについて、5000枚の記録紙を連続して定着した。そして、該定着ベルトが受ける影響を評価したところ、本実施形態の定着装置が従来より良好な結果となった。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係る電磁誘導発熱体は、磁性金属からなる基層と、この上に積層された非磁性金属の薄い発熱層とを有しているので、発熱層を集中して発熱させるとともに、発熱層を透過した磁束は基層によって広範囲に広がることなく誘導され、効率の良い加熱が可能となる。また、薄い発熱層は層厚を適宜に設定することができ、励磁コイルに供給される交流の周波数に応じて自由度の高い設計ができる。さらに、上記のような電磁誘導発熱体を応用し、効率の良い加熱が可能な電磁誘導加熱装置、トナー像の良好な定着を熱効率よく行うことができる定着装置又は画像記録装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項9又は請求項10に係る発明の一実施形態である画像記録装置を示す概略構成図である。
【図2】 図1の画像記録装置で用いられる中間転写体(電磁誘導発熱体)及び交番磁界発生装置を示す概略構成図である。
【図3】 請求項7又は請求項8に係る発明の一実施形態である定着装置を示す概略構成図である。
【図4】 従来の電磁誘導発熱体を用いたときの磁束及び電磁誘導による渦電流を示す概略図である。
【図5】 本願に係る発明の電磁誘導発熱体を用いたときの磁束及び電磁誘導による渦電流を示す概略図である。
【図6】 従来の他の電磁誘導発熱体を用いたときの磁束及び電磁誘導による渦電流を示す概略図である。
【符号の説明】
1 画像形成ユニット
2 感光体ドラム
3 帯電装置
4 露光装置
5 現像装置
6 中間転写体
7 押さえロール
8 クリーニング装置
9 除電露光装置
10 駆動ロール
11 テンションロール
12 転写ロール
13 加圧ロール
14 交番磁界発生装置
15 バイアス印加器
16 クリーニング装置
21 定着ベルト
22 加圧ロール
23 加圧パッド
24 金属ロール
25 交番磁界発生装置
31 発熱層
32 励磁コイル
33 励磁回路
41a 基層
41b 発熱層
42 励磁コイル
51 発熱体
52 励磁コイル
53 磁束を誘導する手段

Claims (10)

  1. 交番磁界を発生させる励磁コイルと、
    周回移動する無端状の周面を備え、該周面の一部が前記励磁コイルと対向するように支持された電磁誘導発熱体とを有し、
    該電磁誘導発熱体は、 磁性金属からなる基層と、 非磁性の導電性金属からなり、前記基層の、前記励磁コイルと対向する面に積層された発熱層とを備え、 該発熱層は、下式で示される表皮深さδより薄く形成されていることを特徴とする電磁誘導加熱装置。
    Figure 0003931589
  2. 前記発熱層は、前記基層を構成する金属より固有抵抗値の小さい金属で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導加熱装置。
  3. 前記発熱層は、固有抵抗値が2.7×10-8Ωm以下で、比透磁率が2以下の材料で形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁誘導加熱装置。
  4. 前記基層は、固有抵抗値が2.7×10-8Ωm以上で、比透磁率が2以上の材料で形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁誘導加熱装置。
  5. 前記発熱層は、銅、銀又はアルミニウムで形成され、前記基層は、ニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバルト−ニッケル合金又は鉄−ニッケル合金で形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁誘導加熱装置。
  6. 前記発熱層の上に、耐熱性を有する合成樹脂又は合成樹脂に導電性材料の粉体を混入した材料からなる離型層が積層されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁誘導加熱装置。
  7. 交番磁界を発生させる励磁コイルと、
    周回移動する無端状の周面を備え、該周面の一部が前記励磁コイルと対向するように支持されて電磁誘導により発熱する加熱部材と、
    未定着のトナー像を担持した記録媒体を前記加熱部材に押圧する加圧部材とを有し、
    前記加熱部材は、 磁性金属からなる基層と、 非磁性の導電性金属からなり、前記基層の、前記励磁コイルと対向する面に積層された発熱層とを備え、 該発熱層は、下式で示される表皮深さδより薄く形成されていることを特徴とする定着装置。
    Figure 0003931589
  8. 前記発熱層は、前記基層を構成する金属より固有抵抗値の小さい金属で形成されていることを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
  9. 無端状の周面を有し、該周面上にトナー像を担持して搬送するトナー像担持搬送部材と、
    該トナー像担持搬送部材の周面と対向するように配置され、交番磁界を発生させて、該トナー像担持搬送部材を電磁誘導加熱する励磁コイルと、
    前記トナー像担持搬送部材の周面に記録媒体を押圧し、該トナー像担持搬送部材上で加熱溶融されたトナー像を記録媒体に転写すると同時に定着する加圧部材とを有し、
    前記トナー像担持搬送部材は、 磁性金属からなる基層と、 非磁性の導電性金属からなり、前記基層の前記励磁コイルと対向する面に積層された発熱層とを備え、 該発熱層は、下式で示される表皮深さδより薄く形成されていることを特徴とする画像記録装置。
    Figure 0003931589
  10. 前記発熱層は、前記基層を構成する金属より固有抵抗値の小さい金属で形成されていることを特徴とする請求項9に記載の画像記録装置。
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