JP3930181B2 - Cvd装置および製膜方法ならびに磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CVD装置および製膜方法ならびに磁気記録媒体の製造方法に関し、詳しくは、炭素が主成分である膜を製膜する際に好適な熱フィラメント−プラズマCVD(プラズマ促進化学蒸着)装置および製膜方法ならびに当該製膜方法を利用した磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱フィラメント−プラズマCVD(F−pCVD)装置は、製膜室内で真空条件下に加熱されたフィラメント状のカソードとアノードとの間の放電により製膜原料ガスをプラズマ状態とし、そして、マイナス電位により上記のプラズマを基板表面に加速衝突させて製膜する装置である。カソード及びアノードは、共に金属で構成されるが、特にフィラメント状のカソードには、通常、タングステンやタンタル等の金属が使用される。本装置によれば、製膜原料ガスの種類に応じ、炭素(C)膜、ケイ素(Si)膜、窒素(N)化膜などの製膜が可能である。
【0003】
炭素が主成分である膜を製膜する場合、F−pCVD装置による製膜方法は、炭素含有モノマー(液体)を使用することが出来るため、取扱いが容易である等の利点を有する。従って、この製膜方法は、特に磁気記録媒体の保護層の形成手段として注目され、また、この製膜方法で得られた上記の膜から成る保護層は、スパッタ膜に比し、薄膜領域で高い耐久性を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、F−pCVD装置を使用し、製膜室への基板の搬入、製膜、基板の搬出の操作を順次に繰り返して連続的に製膜する方法において、製膜原料ガスとして炭素含有モノマーガスを使用し、炭素が主成分である膜を製膜する場合、経時的に製膜速度が変動して安定生産上支障を来すという問題がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、炭素が主成分である膜を連続的に製膜するに際して製膜速度が経時的に変動しない様に改良された熱フィラメント−プラズマCVD装置および製膜方法ならびに当該製膜方法を利用した磁気記録媒体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく種々検討を重ねた結果、経時的に製膜速度が変動する主たる原因は、炭素含有モノマーガスによる熱フィラメント(カソード)のカーバイド化にあるとの知見を得た。すなわち、熱フィラメントが経時的にカーバイド化することにより、単位面積当たりの熱電子量の放出量、すなわち、熱フィラメントのいわゆる仕事関数(熱電子の放出係数)が変動する。
【0007】
本発明は、上記の知見に基づき更に検討を進めた結果として完成されたものであり、その第1の要旨は、製膜室内で真空条件下に加熱されたフィラメント状のカソードとアノードとの間の放電により製膜原料ガスをプラズマ状態とし、そして、マイナス電位により上記のプラズマを基板表面に加速衝突させて製膜する、熱フィラメント−プラズマCVD装置において、前記製膜室内の基板に対向する少なくとも一方の位置にロート状の形状を有するアノードを配置して成り、当該アノードは、その内周面の中央部付近でカソードを包囲し且つその最大内径側を基板に向けており、前記のカソードが金属カーバイドにて構成されていることを特徴とする熱フィラメント−プラズマCVD装置に存する。
【0008】
そして、本発明の第2の要旨は、製膜室内で真空条件下に加熱されたフィラメント状のカソードとアノードとの間の放電により製膜原料ガスをプラズマ状態とし、そして、マイナス電位により上記のプラズマを基板表面に加速衝突させて製膜する、熱フィラメント−プラズマCVD装置であって、前記製膜室内の基板に対向する少なくとも一方の位置にロート状の形状を有するアノードを配置し、当該アノードは、その内周面の中央部付近でカソードを包囲し且つその最大内径側を基板に向けられた熱フィラメント−プラズマCVD装置を使用し、製膜原料ガスとして炭素含有モノマーガスを使用し、炭素が主成分である膜を製膜するに当たり、製膜前において、一旦、カソードの温度を製膜時の温度より高くすると共に炭素含有モノマーガスの濃度を製膜時の濃度より高くすることにより、カソードをカーバイド化することを特徴とする製膜方法に存する。
【0009】
更に、本発明の第3の要旨は、非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成した後に炭素が主成分である保護層を形成する磁気記録媒体の製造方法において、請求項2に記載の成膜方法により保護層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明のF−pCVD装置の一例の概念説明図である。図1に示されたF−pCVD装置は、基板の両面に同時に製膜可能な装置であり、左右対称の構成を備えているが、便宜上、右側の構成の一部は図示を省略している。
【0011】
先ず、本発明のF−pCVD装置について説明する。本発明のF−pCVD装置は、基本的には、前述の通り、製膜室内で真空条件下に加熱されたフィラメント状のカソードとアノードとの間の放電により製膜原料ガスをプラズマ状態とし、そして、マイナス電位により上記のプラズマを基板の表面に加速衝突させて製膜する装置である。図1に示したF−pCVD装置は次の様な構成を備えている。
【0012】
円筒状の製膜室(1)は、導電体で形成された真空チャンバー壁(5)によって気密可能に構成され、真空チャンバー壁(5)は、その下側中央部に配置された接続管(6)を介し、トランスファーケース用真空排気ユニットを備えたトランスファーケース及び製膜室用真空排気ユニットを備えたダクト(何れも図示せず)に接続されている。そして、接続管(6)の内部には、昇降アーム(15)が配置され、昇降アーム(15)は、トランスファーケース(図示せず)の内部に配置されたハンドリングロボット(図示せず)によって操作される。なお、トランスファーケース用真空排気ユニット及び製膜室用真空排気ユニットは、製膜運転中、常時稼働している。
【0013】
カソード(2)は、真空チャンバー壁(5)の側部から製膜室(1)内に貫通した2個のソケット(7)の先端部に形成され、交流のカソード電源(8)に接続されている。アノード(3)は、特別にロート状の形状を有し且つその内周面の中央部付近でカソード(2)を包囲する位置に配置される。そして、アノード(3)は、ソケット(7)と同様に配置されたソケット(9)を介しアノード電源(10)(アノード(3)側でプラス電位の電流)に接続されている。また、ソケット(7)の表面は、付着した炭素膜の剥離を防止するため、金属溶射などで表面を粗面化するのが好ましい。
【0014】
ソケット(7)及びソケット(9)は、真空チャンバー壁(5)に対し、電気絶縁性の気密体として構成されている。また、アノード(3)は、真空チャンバー壁(5)の内周面に対して電気絶縁性の固定手段(図示せず)により固定されている。斯かる固定手段としては、例えば、真空チャンバー壁(5)の内周面およびアノード(3)の外周面から突出する各取付片を絶縁材を介して接続する手段などが挙げられる。
【0015】
製膜室(1)の内部には、好ましい態様として、円筒状の防着部材(遮蔽部材)(11)が配置されている。防着部材(11)は、真空チャンバー壁(5)の内周面に対して電気絶縁性の固定手段(図示せず)により固定されている。また、防着部材(11)のアノード(3)側の周端部には、内側に傾斜し且つアノード(3)の最大内径(先端部内径)より小さい外径の整流部(12)が設けられ、アノード(3)の先端部と整流部(12)との間にはガス流路(13)が形成されている。
【0016】
必要に応じ不活性ガスにより適宜の濃度に希釈された製膜原料ガスは、真空チャンバー壁(5)の上部からガス流路(13)の近傍に貫通した製膜原料ガス供給管(14)から供給される。
【0017】
円盤状の基板(4)は、昇降アーム(15)の先端に固定された支持爪(16)によって垂直に支持される。すなわち、基板(4)は、カソード(2)とアノード(3)に対向した位置に保持される。そして、昇降アーム(15)により、製膜室(1)内に基板(4)が搬入された場合、接続管(6)と前記トランスファーケースの接続部に配置されたソフトシール(図示せず)が昇降アーム(15)と接することにより、製膜室(1)と上記トランスファーケースとが実質的に遮断される。なお、製膜室(1)内の真空状態は、引き続き、製膜室用真空排気ユニットにより維持される。
【0018】
基板(4)の支持位置の両サイドには、好ましい態様として、膜厚補正板(17)が配置される。基板(4)が円盤状の場合、その外周部と中心部は、薄膜が厚く形成される傾向があり、また、基板(4)の両面に同時に製膜する際に左右のプラズマが互いに影響し合う領域となる。膜厚補正板(17)は、円盤状の基板(4)の中心部と外周部を覆う様なドーナツ形状を有し、基板(4)の全体に亘り、形成される薄膜の厚さを均一にする機能を有する。
【0019】
膜厚補正板(17)の外周部は、防着部材(11)の端部に固定され、内周部(17a)は、外周部に設けられた支持アーム(18)に支持される。その結果、膜厚補正板(17)は、防着部材(11)と同様、真空チャンバー壁(5)の内周面に対して電気絶縁性の状態である。すなわち、膜厚補正板(17)は、防着部材(11)と共に、電気的に浮いて独立した状態(フロート電位)に維持されている。
【0020】
真空チャンバー壁(5)のアノード(3)側近傍の内部には、真空チャンバー壁(5)の異常加熱防止のため、冷却水循環路(19)が設けられ、冷却水供給管(20)から冷却水が供給される。
【0021】
カソード電源(8)の一端はアース(21)に接続され、また、真空チャンバー壁(5)はアース(22)に接続されている。そして、カソード電源(8)のアース側と基板(4)との間は、基板(4)側でマイナス電位となる直流のイオン加速用電源(23)で接続されている。
【0022】
通常、カソード電源(8)には0〜20v(0〜50A)、アノード電源(10)には0〜200v(0〜5000mA)、イオン加速用電源(23)には0〜1500v(0〜200mA)が適用される。なお、製膜運転中、カソード(2)は、常時、通電加熱されている。
【0023】
本発明のF−pCVD装置の特徴は、前記のカソード(2)が金属カーバイドにて構成されている点にある。すなわち、前述の通り、カソード(2)は、従来のF−pCVD装置の場合、通常、タングステンやタンタル等の金属にて構成されているが、本発明の場合は、金属カーバイド、すなわち、タングステンカーバイドやタンタルカーバイドで構成する。ここに、金属カーバイドで構成するとは、カソード(2)の全体が金属カーバイドである必要はなく、金属(例えばタングステン)の表面全体に金属カーバイド(例えばタングステンカーバイド)の被膜が形成されている場合を包含する。
【0024】
上記の様に構成された本発明のF−pCVD装置は、炭素が主成分である膜を連続的に製膜するに際して製膜速度が経時的に変動しないため、炭素が主成分である膜を製膜する際に好適に使用される。なお、本発明のF−pCVD装置の使用方法は、次の本発明の製膜方法において説明する。
【0025】
次に、本発明の製膜方法について説明する。本発明の製膜方法においては、カソード(2)がタングステンやタンタル等の金属にて構成されている従来公知の熱フィラメント−プラズマCVD装置を使用する。
【0026】
F−pCVD装置による連続的な製膜方法は、次の様に、主として、製膜室(1)への基板(4)の搬入、製膜、基板(4)の搬出から成る操作を順次に繰り返して行われる。
【0027】
先ず、ハンドリングロボット(図示せず)の昇降アーム(15)を上昇して基板(4)を製膜室(1)内に搬入する。
【0028】
次いで、製膜原料ガス供給管(14)から製膜原料ガスを供給する。これにより、製膜原料ガスはガス流路(13)を通して製膜室(1)に流れ込む。以上の操作はガス安定化と呼ばれる。なお、この際の製膜室(1)内の圧力は、前述の製膜室用真空排気ユニットの能力によって決定される。
【0029】
次いで、アノード(3)及び基板(4)に対し、夫々アノード電源(10)及びイオン加速用電源(23)から所定の電位を印加する。これにより、常に高温に加熱されたカソード(2)からアノード(3)に向かって多量の熱電子が放出され、両電極の間でグロー放電が開始される。そして、放電によって生じた熱電子は、製膜原料ガスをイオン化してプラズマ状態にする。プラズマ状態の製膜原料イオンは、基板(4)のマイナス電位によって加速され、基板(4)に衝突して付着し、炭素が主成分である膜が製膜される。なお、例えばトルエンを使用した場合、プラズマ領域においては次の(I)の反応が起こり、基板(4)の表面では次の(II)の反応が起こっていると考えられる。
【0030】
【化1】
78 + e- → C78 + + 2e- ・・・(I)
78 + + e- → C72 + 3H2↑ ・・・(II)
【0031】
次いで、製膜原料ガスの供給を停止して製膜を終了する。その後、前述の製膜室用真空排気ユニットにて製膜室(1)内に残留する原料ガスが排気されて製膜室(1)内の圧力が原料ガスの供給前のレベルに復帰するのを待った後、昇降アーム(15)を降下させることにより、製膜室(1)から前述のトランスファーケースに基板(4)を搬出する。
【0032】
本発明においては、前記の製膜原料ガスとして炭素含有モノマーガスを使用する。炭素含有モノマーの具体例としては、メタン、エタン、プロパン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素、アルコール類、窒素含有炭化水素、フッ素含有炭化水素などが挙げられる。特に、ベンゼン、トルエン又はピロールが好適に使用される。また、必要に応じ、炭素含有モノマーの濃度調節および膜質調節のために使用される不活性ガスとしては、Ar、He、H2、N2、O2等が挙げられる。
【0033】
本発明の特徴は、上記の様にして、炭素が主成分である膜を連続的に製膜するに当たり、製膜前において、一旦、カソード(2)の温度を製膜時の温度より高くすると共に炭素含有モノマーガスの濃度を製膜時の濃度より高くすることにより、カソード(2)をカーバイド化する点にある。
【0034】
すなわち、本発明においては、炭素含有モノマーガスによる熱フィラメント(カソード)のカーバイド化(カソードの不動化)を予め進めておき、そして、実際の製膜時において、カーバイド化による製膜速度の経時的な変動を防止する。上記のカーバイド化は、製膜条件と同一または緩和な条件によっても進行する。しかしながら、斯かる条件では、カーバイド化に長時間を要して不利である。そこで、本発明においては、短時間にカーバイド化を行うため、カソード(2)の温度を製膜時の温度より高くすると共に炭素含有モノマーガスの濃度を製膜時の濃度より高くする。具体的な条件は、カーバイド化に要する時間を勘案して適宜決定される。
【0035】
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法について説明する。本発明の特徴は、非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成した後に炭素が主成分である保護層を形成する磁気記録媒体の製造方法において、上記の製膜方法により保護層を形成する点にある。
【0036】
非磁性基板としては、通常、無電解メッキ法によりNi−P層を設けたAl合金板が使用されるが、その他、Cu、Ti等の金属基板、ガラス基板、セラミック基板、炭素質基板または樹脂基板なども使用することが出来る。
【0037】
磁性層、すなわち、強磁性金属薄膜層は、無電解メッキ、スパッタリング、蒸着などの方法によって形成される。磁性層の具体例としては、Co−P、Co−Ni−P、Co−Ni−Cr、Co−Cr−Ta、Co−Ni−Pt、Co−Cr−Pt、Co−Cr−Pt−Ta系合金などの強磁性金属薄膜が挙げられる。磁性層の厚さは通常10〜70nm程度とされる。また、必要に応じ、複数層の磁性層を構成することも出来る。
【0038】
非磁性基板上に形成する他の層としては、非磁性基板と磁性層の間に設ける下地層や中間層などが挙げられる。下地層としては、通常、スパッタリングにより形成した5〜200nm厚さのCr層が使用される。下地層の上に設けられる中間層の材料は、公知の材料から適宜選択される。
【0039】
本発明において、保護層は、通常、磁性層の表面に設けられるが、必要に応じて他の層を介して設けてもよい。また、保護層の表面には、通常、パーフルオロポリエーテル、高級脂肪酸またはその金属塩などの潤滑層が形成される。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
なお、以下の例においては、保護層として炭素膜を有する磁気記録媒体を連続的に製造した。保護層の製膜の際には図1に示したF−pCVD装置を使用した。また、基板として、表面平均粗さ1.5nm、直径3.5インチのNi−Pメッキ被覆Al合金ディスク基板を使用した。そして、基板上に表面粗さが1.0nmになる様に機械テキスチャー加工(表面処理)を施した後にCSSゾーンにレーザーテキスチャを施して使用した。
【0042】
実施例1
先ず、スパッタリング法により、基板温度240℃で、Cr下地層(厚さ40nm)、Co合金磁性層(厚さ30nm)を形成した。
【0043】
次いで、図1に示すF−pCVD装置を使用し、製膜原料ガスとしてトルエンガスを使用し、搬入−ガス安定化−製膜−排気−搬出の一連の操作を繰り返し、C保護層(厚さ4nm)を形成した。
【0044】
上記の製膜操作は、基板(4)の温度を200℃、トルエンの供給量を3.5SCCM(標準条件における1分当たりのCC数)、製膜室(1)内の圧力を0.1Pa、アノード(3)の印加電圧を75Vとし、プラズマ電流が1500mAとなる様にカソード電源(8)を調整し、イオン加速用電源(23)には電位差が400Vとなる様にバイアス電圧を印加し、2.5秒間行った。
【0045】
ただし、上記の製膜の前に、製膜室(1)内にトルエンを75SCCM(標準条件における1分当たりのCC数)の供給量で流し、圧力を0.2Paとし、放電を行わずに、カソード電源(8)に通常の製膜条件よりも最大100Wまで高くなる様に徐々に電圧を印可し、カソード(2)のカーバイド化を1時間行った。
【0046】
次いで、C保護層の表面にパーフルオロポリエーテル液体潤滑剤を2nmの厚さで塗布し、磁気記録媒体とした。
【0047】
以上の連続操作により、2万枚の磁気記録媒体を連続的に製造した。そして、1千枚毎にC保護層の厚さを測定し、その結果を図2に示した。同図から明らかな様に、C保護層の厚さ変動は±10%以内に抑えられており、生産が安定していることが分かる。
【0048】
比較例1
実施例1において、製膜前におけるカソード(2)のカーバイド化を省略した以外は、実施例1と同様にして2万枚の磁気記録媒体を連続的に製造した。そして、1千枚毎にC保護層の厚さを測定し、その結果を図3に示した。同図から明らかな様に、C保護層の厚さは、2千枚目までは約20%増加し、その後は低下に転じ、1万枚目では当初の30%まで減少し、その後は±10%の変動に落ち着く。この様に、カーバイド化されていないカソード(2)を使用した場合は、連続的な製膜中にカソード(2)のカーバイド化が徐々に進行し、それに応じ、製膜速度が変動する。従って、カソード(2)のカーバイド化が終了するまでは膜厚を制御することが出来ない。
【0049】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、製膜速度が経時的に変動しない様に改良された熱フィラメント−プラズマCVD装置および製膜方法ならびに当該製膜方法を利用した磁気記録媒体の製造方法が提供され、本発明の工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のF−pCVD装置の一例の概念説明図
【図2】実施例1におけるC保護層の厚さ変動を示すグラフ
【図3】比較例1におけるC保護層の厚さ変動を示すグラフ
【符号の説明】
1:製膜室
2:カソード
3:アノード
4:基板
5:真空チャンバー壁
6:接続管
7:ソケット
8:カソード電源
9:ソケット
10:アノード電源
11:防着部材
12:整流部
13:ガス流路
14:製膜原料ガス供給管
15:昇降アーム
16:支持爪
17:膜厚補正板
17a:膜厚補正板の内周部
18:支持アーム
19:冷却水循環路
20:冷却水供給管
21:アース
22:アース
23:イオン加速用電源

Claims (3)

  1. 製膜室内で真空条件下に加熱されたフィラメント状のカソードとアノードとの間の放電により製膜原料ガスをプラズマ状態とし、そして、マイナス電位により上記のプラズマを基板表面に加速衝突させて製膜する、熱フィラメント−プラズマCVD装置において、前記製膜室内の基板に対向する少なくとも一方の位置にロート状の形状を有するアノードを配置して成り、当該アノードは、その内周面の中央部付近でカソードを包囲し且つその最大内径側を基板に向けており、前記のカソードが金属カーバイドにて構成されていることを特徴とする熱フィラメント−プラズマCVD装置。
  2. 製膜室内で真空条件下に加熱されたフィラメント状のカソードとアノードとの間の放電により製膜原料ガスをプラズマ状態とし、そして、マイナス電位により上記のプラズマを基板表面に加速衝突させて製膜する、熱フィラメント−プラズマCVD装置であって、前記製膜室内の基板に対向する少なくとも一方の位置にロート状の形状を有するアノードを配置し、当該アノードは、その内周面の中央部付近でカソードを包囲し且つその最大内径側を基板に向けられた熱フィラメント−プラズマCVD装置を使用し、製膜原料ガスとして炭素含有モノマーを使用し、炭素が主成分である膜を製膜するに当たり、製膜前において、一旦、カソードの温度を製膜時の温度より高くすると共に炭素含有モノマーガスの濃度を製膜時の濃度より高くすることにより、カソードをカーバイド化することを特徴とする製膜方法。
  3. 非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成した後に炭素が主成分である保護層を形成する磁気記録媒体の製造方法において、請求項2に記載の成膜方法により保護層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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