JP3929263B2 - 多気孔耐火物及びそれを用いたセラミックスの焼成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば1300℃以下の焼成が行われる焼成炉等で棚板として使用される多気孔耐火物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種溶融金属容器や、セラミック製品、ビトリファイド砥石等の焼成品は一般に、粘結剤によって粒状材料が結合された成型品を焼成炉等において焼成することにより得られる。このような成型品を焼成炉等において焼成する際に、耐火物により構成された棚板が下敷きに用いられる。この耐火物製の棚板は一般にセッターとも呼ばれ、焼成炉等において焼成される成型品を保護及び支持するものであり、耐衝撃性が高く且つ高温にて使用可能なものが要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、精度の高い焼成製品を短い納期で納めることに対する需要が高まってきているが、従来の耐火物を用いた棚板ではこれ等の要求に応える為の短時間焼成に用いるには様々な問題があった。例えば、比較的大型の焼成製品を短時間に且つ均一に焼成する為には、多数の連通気孔を有する棚板を用いることによって、成型品に含まれる粘結剤等の燃え抜けを短時間で十分に行うようにする必要があるが、従来の耐火物では通気性が十分でなく、短時間で焼成すると粘結剤が変性した有機物(炭素)が焼成品に残留するといった問題があった。
【0004】
また、精度の高い焼成物を短時間で製造するには、焼成された焼成物に歪みが生じないようにして、焼成物の形状修正を簡単にする為に、焼成に用いられることによる棚板の平坦度の変化が焼成前の平坦度と比較して0.2mm以下の範囲内となることが求められる。また、短時間で比較的大型の焼成物を焼成するには、均一に早く焼成する必要がある為、焼成物の棚板と接している部分を効率良く焼けるように、棚板の熱伝導率が2.5W/m℃以上であること、及び、棚板が28体積%以上の連通気孔を有するものであることが必要である。しかし、十分な通気性を満たす目的で棚板を過剰に多気孔とすると、様々な衝撃に対する耐衝撃性や、焼成物の重量に耐え得るだけの強度を有しないものとなってしまうので、実用的な多気孔耐火物による棚板は未だ開発されていないのが実情である。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、焼成物を焼成する際に棚板として使用される多気孔耐火物であって、焼成物を短時間で且つ均一に焼成する為に通気性が良く、耐熱衝撃性に優れ且つ焼成物の重量に耐え得る強度を持つ多気孔耐火物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成する為に、本発明の要旨とするところは、焼成用棚板として使用される多気孔耐火物であって、アルミナ及び/又は炭化ケイ素からなる40〜55体積%の粒状の無機骨材が9〜13体積%のガラス質結合剤によって相互に結合されて成形されており、且つ、ペタライト、コージライト、カオリナイト、炭酸リチウム、タルクの少なくとも一つからなる熱膨張率の小さい耐熱衝撃添加剤を25体積%以下の割合で含むとともに、更に、溶融シリカ及び/又はムライトを含み、前記多気孔耐火物は、28体積%以上の連通気孔を有するものであることを特徴とするものである。
【0007】
このようにすれば、耐火物を構成する40〜55体積%の粒状の無機骨材が、多数の連通気孔を有する形で9〜13体積%のガラス質結合剤によって相互に結合されている為に通気性に優れ、焼成時に棚板として用いることにより焼成物を短時間で且つ均一に焼成することができ、また、ペタライト、コージライト、カオリナイト、炭酸リチウム、タルクの少なくとも一つからなる熱膨張率の小さい耐熱衝撃添加剤が25体積%以下の割合で含まれている為、耐熱衝撃性に優れ且つ焼成物の重量に耐え得る強度を持つ多気孔耐火物を提供することができる。また、溶融シリカ、ムライトは耐火性に優れ、熱膨張及び熱収縮に対する緩衝剤としてはたらくため、一層耐久性に優れた多気孔耐火物が得られる。
【0011】
ここで、好適には、前記多気孔耐火物は、28体積%以上の連通気孔を有するものであり、通気度が50Nl(ノルマルリットル)/min以上、熱伝導率が2.5W/m℃以上のものである。このような通気性及び熱伝導性に優れた多気孔耐火物による棚板を用いれば、焼成物を短時間で且つ均一に焼成することができる。
【0012】
また、好適には、前記多気孔耐火物は、1000℃の24時間焼成に棚板として用いられることによる平坦度の変化が加熱前の平坦度と比較して0.2mm以下の範囲内となるものである。このような多気孔耐火物による棚板を用いれば、焼成される焼成物に歪みが生じず、焼成後の形状修正が簡単となる為、精度の高い焼成物を短時間で製造することができる。
【0013】
また、成型品に熱処理を施して焼成品とするセラミックス例えばビトリファイド砥石の焼成において、前記多気孔耐火物を棚板として用いれば、前記成型品とその棚板とが密着した状態で熱処理を施す場合であっても棚板である多気孔耐火物が通気性に優れている為に成型品に含まれる粘結剤等の燃え抜けを短時間で十分に行うことができ、棚板と密着した状態で熱処理を施すことが可能である為に焼成物に歪みが生じず、精度の高いセラミックス例えばビトリファイド砥石を短時間で製造することができるという利点がある。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例である多気孔耐火物10の構成を拡大して示す模式図である。図1において、多気孔耐火物10は、例えば、粒度の番数が#60〜80(平均粒径300〜400μmφ)であるアルミナ及び/又は炭化ケイ素から成る無機骨材12が、焼成時に溶融したガラス質結合剤14によって相互に結合されることにより、多数の連通気孔16を備えて構成されている。また、無機骨材12の粒子相互間には、例えば、粒度の番数が#1500(平均粒径10μmφ)程度であるペタライト、コージライト、カオリナイト、炭酸リチウム、タルクの少なくとも一つからなる耐熱衝撃添加剤18が含まれている。この耐熱衝撃添加剤18は、多気孔耐火物10内において、その表層がガラス質結合剤14に溶融しガラス質結合剤14との境界が曖昧になった状態で、或いは、ガラス質結合剤14に完全に溶融した状態で含まれていると考えられるが、図1では、多気孔耐火物10内において、耐熱衝撃添加剤18の表層がガラス質結合剤14に溶融し、耐熱衝撃添加剤18とガラス質結合剤14との境界が曖昧になった状態で含まれていることを前提として構成を示している。
【0016】
従来、焼成用棚板としては、炭化ケイ素等の材料を溶融させた後に所定形状に成型させたものが一般に用いられている。これ等は耐熱性及び耐衝撃性には優れるが、連通気孔をほとんど有しない構造である為、比較的大型の焼成製品を短時間に且つ均一に焼成する際に、成型品に含まれる粘結剤等の燃え抜けが十分に行われず、粘結剤が変性した有機物(炭素)が焼成品に残留するといった問題があった。しかし、上記のように構成された本実施例の多気孔耐火物10は、アルミナ及び/又は炭化ケイ素からなる無機骨材12が、多数の連通気孔16を有する形でガラス質結合剤14によって結合され通気性に優れている為、焼成用棚板として用いる際に成型品に含まれる粘結剤等の燃え抜けを短時間で十分に行うことができ、焼成物を短時間で且つ均一に焼成することができる。
【0017】
また、従来の材料組成による焼成用棚板を、十分な通気性を持たせる目的で過剰に多気孔とすると、様々な衝撃に対する耐衝撃性や、焼成物の自重に耐え得るだけの強度を有しないものとなってしまい実用的な焼成用棚板と成り得なかった。しかし、上記のように構成された本実施例の多気孔耐火物10には耐熱衝撃添加剤18としてペタライト、コージライト、カオリナイト、炭化リチウムの少なくとも一つが含まれており、これ等の材料は熱膨張率が例えばペタライトで0.5×10-6/℃、コージライトで2.0×10-6/℃と比較的小さい為、これ等の耐熱衝撃添加剤18を含有させることによって多気孔耐火物10に高い耐熱衝撃性及び焼成物の重量に耐え得る強度が付与される。
【0018】
このような多気孔耐火物10は、例えば、図2のP1〜P3に示す工程により作成される。先ず、耐火物調整工程P1において、40〜55体積%の無機骨材12と、9〜13体積%のガラス質結合剤14と、無機骨材12よりも十分に小さい粒径を有する25体積%以下の耐熱衝撃添加剤18と、粘結剤とが所定の混合容器内に投入され、高速攪拌機にて撹拌されることにより分散且つ混合される。ここで、耐火物の材料として更に溶融シリカ及び/又はムライトが投入されてもよい。溶融シリカ、ムライト等の材料は耐火性に優れ、また、熱膨張及び熱収縮に対する緩衝剤としてはたらく為、これ等を添加すれば更に耐久性に優れた多気孔耐火物10を得ることができる。また、前記ガラス質結合剤14には、多気孔耐火物10に耐熱性及び耐熱衝撃性を付与する為に、その熱膨張率が3〜8×10-6/℃であるものが好適に用いられる。耐火物調整工程P1で得られた耐火物原料は、続く耐火物成型工程P2において、所定の成形型内に入れられプレス成型される。その後、成型品が上記成形型から脱型され、耐火物焼成工程P3において上記成型品が約1250℃で120時間程度焼成されることにより、粒状の無機骨材12が、耐熱衝撃添加剤18を含み、多数の連通気孔16を有する形でガラス質結合剤14によって結合された多気孔耐火物10が得られる。このようにして得られた多気孔耐火物10は、28体積%以上の連通気孔16を有し、2.5W/m℃以上の熱伝導率と、50Nl/min以上の通気度を備え、1000℃の24時間焼成に棚板として用いられることよる平坦度の変化が、加熱前の平坦度に比べて0.2mm以下である性能を有している。
【0019】
上記工程P1〜P3によって得られた多気孔耐火物10は、セラミックス例えばビトリファイド砥石を焼成する際に棚板として使用される。図3は、ビトリファイド砥石60の製造工程を示す工程図である。ビトリファイド砥石60の製造では、先ず砥石原料調整工程P10において所定割合の砥粒及びガラス質結合剤が所定の混合容器内に投入された後、高速攪拌機により撹拌されることにより分散且つ混合される。砥石原料調整工程P10において調整された砥石原料はその後、砥石原料成型工程P12において成形型内に入れられプレス成形された後、脱型され成型品とされる。こうして得られた成型品は、続く砥石原料焼成工程P14において、本実施例の多気孔耐火物10を棚板として用いてガラス質結合剤を溶融させる温度すなわち耐火物焼成工程P3よりも低い例えば900℃から1000℃程度の温度で焼成を施されることにより、ビトリファイド砥石60が得られる。このように本実施例の多気孔耐火物10を棚板として用いることにより、成型品と棚板とが密着した状態で熱処理を施す場合であっても棚板である多気孔耐火物10が通気性に優れている為に成型品に含まれる粘結剤等の燃え抜けを短時間で十分に行うことができ、棚板と密着した状態で熱処理を施すことが可能である為に焼成物に歪みが生じず、精度の高いビトリファイド砥石60を短時間で製造することができる。
【0020】
以下、本発明の効果を説明する為に本発明者等が行った実験例すなわち本実施例の多気孔耐火物10を用いた棚板である実験試料20と、比較の為に従来の技術により作成された比較試料30、40、及び50とを用いて行ったビトリファイド砥石60の焼成実験について説明する。
【0021】
先ず、粒度の番数が#60〜80(平均粒径300〜400μmφ)であるアルミナから成る無機骨材12と、軟化点が約1050℃であるガラス質結合剤14と、粒度の番数が#1500(平均粒径10μmφ)程度であるペタライトを主成分とする耐熱衝撃添加剤18と、粘結剤であるデキストリンとを用いて図2に示す耐火物調整工程P1から耐火物焼成工程P3までの工程により実験試料20を作成した。図4(i)はそのようにして作成された多気孔耐火物10から成る実験試料20の形状を表す図である。実験試料20は直径420mmφ、厚さ15mmの円盤状に形成され、厚さ方向から見た円の中央に直径29mmφの貫通穴が設けられている。また、以下に示す比較試料30、40、及び50の形状も実験試料20と同じ形状とされている。このように作成された実験試料20の組成を測定すると、アルミナから成る無機骨材12が40.0体積%、ガラス質結合剤14が10.0体積%、連通気孔16が32.4体積%、ペタライトを主成分とする耐熱衝撃添加剤18が17.3体積%であった。
【0022】
次に、従来の技術により炭化ケイ素を主成分として作成された連通気孔16をほとんど有しない比較試料30と、同じく従来の技術によりアルミナ及びジルコニアを用いて作成された多数の連通気孔16を有する比較試料40を用意した。比較試料30の組成を測定するとSiCが90体積%であり、また、比較試料40の組成を測定するとアルミナが42体積%、ジルコニアが3体積%、連通気孔が55体積%であった。
【0023】
更に、耐熱衝撃添加剤18を用いない他は上記実験試料20と同様の材料を用い同様の工程によって比較試料50を作成した。すなわち、粒度の番数が#60〜80(平均粒径300〜400μmφ)であるアルミナから成る無機骨材12と、軟化点が約1050℃であるガラス質結合剤14と、粘結剤であるデキストリンとを用いて図2に示す耐火物調整工程P1から耐火物焼成工程P3までの工程により比較試料50を作成した。このようにして作成された比較試料50の組成を測定すると、アルミナから成る無機骨材12が49体積%、ガラス質結合剤14が10体積%、連通気孔16が31体積%であった。
【0024】
これ等の試料を図4(ii)に示すようにビトリファイド砥石60を焼成する際に使用する棚板として用いて、図3に示す砥石原料調整工程P10から砥石原料成型工程P12までの工程によって得られた相互に同じ材質のビトリファイド砥石60の成型品に、焼成温度900℃の24時間焼成を施す焼成実験を行った。更に、実験試料20及び比較試料50には、同様の焼成条件で繰り返し焼成実験を行った。以下にその実験の結果を示す。
【0025】
Figure 0003929263
【0026】
実験結果1は、実験試料20、比較試料30、及び比較試料40の通気度を測定した結果と、それ等を焼成用棚板として用いて前記ビトリファイド砥石60を焼成した後、焼成後のビトリファイド砥石60の品質を判定した結果を示す。測定の結果、連通気孔16を有する実験試料20及び比較試料40では、連通気孔16を有しない比較試料30に比べて通気度が高いことがわかり、また、それ等を焼成用棚板として用いた場合、連通気孔16を有し通気性に優れた実験試料20及び比較試料40では問題なかったが、連通気孔16を有しない通気性に劣る比較試料30では、焼成品に粘結剤が変性したものと思われる有機物(炭素)が残留してしまった。
【0027】
次に、実験結果2は、実験試料20、比較試料30、及び比較試料40の曲げ強度を測定した結果と、それ等を焼成用棚板として用いて前記ビトリファイド砥石60を焼成した後、焼成後のビトリファイド砥石60の平坦度を判定した結果を示す。測定の結果、耐熱衝撃添加剤18を含む実験試料20及び連通気孔16を有しない比較試料30では、連通気孔16を有し耐熱衝撃添加剤18を含まない比較試料30に比べて曲げ強度が高いことがわかり、また、それ等を焼成用棚板として用いた場合、曲げ強度に優れた実験試料20及び比較試料30では焼成後のビトリファイド砥石60の平坦度の変化は焼成前の平坦度と比較して0.2mm以下の範囲内となり問題なかったが、曲げ強度に劣る比較試料40では、焼成後のビトリファイド砥石60が反り返ってしまい、その平坦度の変化は焼成前の平坦度と比較して0.2mm以下の範囲内とはならなかった。
【0028】
また、実験結果3は、実験試料20及び比較試料30の熱伝導率を測定した結果と、それ等の焼成用棚板としての使用可能性を示す。測定の結果、連通気孔16を有する実験試料20の熱伝導率は、連通気孔16を有しない比較試料30の熱伝導率に劣ることがわかったが、実験結果1、2からもわかるように実験試料20を焼成用棚板として用いた場合、例えば24時間といった短時間の焼成であるにもかかわらず十分な品質を備え平坦度にも優れた焼成品を得ることができる為、焼成用棚板としての使用に足るだけの熱伝導率は十分に有していることがわかる。一方、比較試料30を焼成用棚板として用いた場合、例えば48時間以上といった長時間をかけて焼成を施せば十分な品質を備え平坦度にも優れた焼成品を得ることができるが、実験結果1に示すように短時間の焼成では問題がある。
【0029】
更に、実験結果4は、実験試料20及び比較試料50を棚板として用いて前記ビトリファイド砥石60に、焼成温度900℃の24時間焼成を施す焼成実験を繰り返し行った結果を示す。耐熱衝撃添加剤18を含む実験試料20は繰り返しの使用により問題は発生しなかったが、比較試料50では2、3回の連続使用によって比較試料50を用いた棚板それ自体に割れが発生した。この結果、実験試料20は連続使用に足る耐久性を有していることがわかる。
【0030】
以上の実験結果から、本実施例の実験試料20は通気性、耐熱衝撃性に優れ、焼成品の重量に足るだけの強度、及び焼成用棚板として必要十分な熱伝導率を有する為、焼成用棚板として用いた場合、短時間で精度の高い焼成品を提供することができ、また焼成用棚板として連続使用に足る耐久性も有していることがわかる。
【0031】
このように、本実施例の多気孔耐火物10は、耐火物を構成する粒状の無機骨材12が、多数の連通気孔16を有する形でガラス質結合剤14によって相互に結合されている為に通気性に優れ、焼成時に棚板として用いることにより焼成物を短時間で且つ均一に焼成することができ、また、熱膨張率の小さい耐熱衝撃添加剤18が含まれている為、耐熱衝撃性に優れ且つ焼成物の重量に耐えうる強度を持つものである。
【0032】
また、本実施例の多気孔耐火物10は、アルミナ及び/又は炭化ケイ素からなる無機骨材12が、多数の連通気孔16を有する形でガラス質結合剤14によって結合されている為に通気性に優れ、焼成時に棚板として用いることにより焼成物を短時間で且つ均一に焼成することができ、また、耐熱衝撃添加剤18としてペタライト、コージライト、カオリナイト、炭酸リチウム、タルクの少なくとも一つが含まれている為、耐熱衝撃性に優れ且つ焼成物の重量に耐え得る強度を持つものである。
【0033】
また、本実施例の多気孔耐火物10は、更に、溶融シリカ及び/又はムライトを含むものであり、溶融シリカ、ムライト等の材料は耐火性に優れ、また、熱膨張及び熱収縮に対する緩衝剤としてはたらく為、耐久性に優れているという利点がある。
【0034】
また、本実施例の多気孔耐火物10は、アルミナ及び/又は炭化ケイ素からなる40〜55体積%の前記無機骨材12が、9〜13体積%の前記ガラス質結合剤14によって相互に結合されて成形されており、且つ、ペタライト、コージライト、カオリナイト、炭酸リチウム、タルクの少なくとも一つからなる前記耐熱衝撃添加剤18を25体積%以下の割合で含むものである為、多数の連通気孔16を有し、好適な組成により構成されるものである。
【0035】
また、本実施例の多気孔耐火物10は、28体積%以上の連通気孔16を有するものであり、通気度が50Nl/min以上、熱伝導率が2.5W/m℃以上のものである為、通気性及び熱伝導性に優れ、焼成用棚板として用いることにより、焼成物を短時間で且つ均一に焼成することができるという利点がある。
【0036】
また、本実施例の多気孔耐火物10は、1000℃の24時間焼成に棚板として用いられることによる平坦度の変化が加熱前の平坦度と比較して0.2mm以下の範囲内となるものである為、このような多気孔耐火物10による棚板を用いれば、焼成される焼成物に歪みが生じず、焼成後の形状修正が簡単となる為、精度の高い焼成物を短時間で製造することができるという利点がある。
【0037】
また、ビトリファイド砥石60の焼成において、本実施例の多気孔耐火物10を棚板として用いれば、成型品と棚板とが密着した状態で熱処理を施す場合であっても棚板である多気孔耐火物10が通気性に優れている為に成型品に含まれる粘結剤等の燃え抜けを短時間で十分に行うことができ、棚板と密着した状態で熱処理を施すことが可能である為に焼成物に歪みが生じず、精度の高いビトリファイド砥石60を短時間で製造することができるという利点がある。
【0038】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
【0039】
例えば、前述の実施例では、無機骨材12として、粒度の番数が#60〜80(平均粒径300〜400μmφ)であるアルミナ及び/又は炭化ケイ素が用いられていたが、これは例えばシリカ、マグネシア、ジルコニア、窒化ケイ素等の材料或いはそれ等を組み合わせて用いるものであってもよく、また、焼成用棚板として好適に機能し得る多気孔耐火物を提供できるものであれば粒度の番数は#60〜80でなくともよい。
【0040】
また、前述の実施例では、耐熱衝撃添加剤18として粒度の番数が#1500(平均粒径10μmφ)程度であるペタライト、コージライト、カオリナイト、炭酸リチウム、タルクの少なくとも一つが含まれていたが、多気孔耐火物10に十分な耐熱衝撃性と焼成物の重量に耐え得る強度を付与することができる耐熱衝撃添加剤であれば他の材料であってもよく、また、粒度の番数は#1500程度でなくともよい。
【0041】
また、前述の実施例の多気孔耐火物10は、アルミナ及び/又は炭化ケイ素からなる40〜55体積%の前記無機骨材12が、9〜13体積%の前記ガラス質結合剤14によって相互に結合されて成形されており、且つ、ペタライト、コージライト、カオリナイト、炭酸リチウム、タルクの少なくとも一つからなる前記耐熱衝撃添加剤18を25体積%以下の割合で含むものであったが、焼成用棚板として好適に機能し得る多気孔耐火物10を提供できるものであればそれぞれの材料の比率は実施例と異なるものであってもよい。
【0042】
また、前述の実験例では、多気孔耐火物10による棚板はビトリファイド砥石60の焼成に用いられていたが、本発明の多気孔耐火物による棚板は、例えば、各種溶融金属容器、セラミック製品、コンデンサ、セラミックセンサ、電子材料部品等の焼成にも幅広く用いられ得るものである。とりわけ、各種コンデンサ、セラミックセンサ、電子材料部品等を焼成する場合、従来技術の連通気孔を有しない棚板を用いた焼成では、棚板と焼成物が接着してしまう等の問題が生じる場合があったが、本発明の多気孔耐火物による棚板を用いればそのような問題が生じることなく焼成を施すことができるという利点がある。
【0043】
また、前述の実施例では、多気孔耐火物10による棚板の製造工程P1〜P3により得られた多気孔耐火物10を棚板として用いて、砥石原料焼成工程P14において成型品の焼成が行われているが、これはP1〜P3及びP14の一連の工程が同一工場内で行われることを意味するものではなく、ある工場において製造された多気孔耐火物10が、他の工場において焼成用棚板として用いられることも当然にあり得る。
【0044】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である多気孔耐火物の構成を拡大して示す模式図である。
【図2】本発明の一実施例である多気孔耐火物の製造工程を示す工程図である。
【図3】本発明の一実施例である焼成工程を含むビトリファイド砥石の製造工程を示す工程図である。
【図4】本発明の一実施例である多気孔耐火物を用いた棚板と、その棚板をビトリファイド砥石の焼成に用いるようすを表す図である。
【符号の説明】
10:多気孔耐火物
12:無機骨材
14:ガラス質結合剤
16:連通気孔
18:耐熱衝撃添加剤
20:棚板
60:ビトリファイド砥石
P14:砥石原料焼成工程

Claims (6)

  1. 焼成用棚板として使用される多気孔耐火物であって、
    アルミナ及び/又は炭化ケイ素からなる40〜55体積%の粒状の無機骨材が9〜13体積%のガラス質結合剤によって相互に結合されて成形されており、且つ、ペタライト、コージライト、カオリナイト、炭酸リチウム、タルクの少なくとも一つからなる熱膨張率の小さい耐熱衝撃添加剤を25体積%以下の割合で含むとともに、更に、溶融シリカ及び/又はムライトを含み、
    前記多気孔耐火物は、28体積%以上の連通気孔を有するものであることを特徴とする多気孔耐火物。
  2. 前記多気孔耐火物の熱伝導率は2.5W/m℃以上である請求項の多気孔耐火物。
  3. 前記多気孔耐火物の通気度は50l/min以上である請求項1または2の多気孔耐火物。
  4. 前記多気孔耐火物は、1000℃の24時間焼成に棚板として用いられることによる平坦度の変化が加熱前の平坦度と比較して0.2mm以下の範囲内となるものである請求項1からの何れかの多気孔耐火物。
  5. 成型品に熱処理を施して焼成品とするセラミックスの焼成方法であって、
    請求項1からの何れかの多気孔耐火物を棚板として用いて、前記成型品に該棚板と密着した状態で熱処理を施すことを特徴とするセラミックスの焼成方法。
  6. 前記セラミックスはビトリファイド砥石である請求項のセラミックスの焼成方法。
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