JP3927846B2 - 導光板用アクリル樹脂板状物およびその製造方法、並びに導光板、それを含む面発光装置および表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置のフロントライトや、各種のディスプレイ用面光源装置、面照明装置などに導光板として用いられるアクリル樹脂板状物およびその製造方法に関する。特に、特定の可塑剤を添加してセルキャスト製板法により得られ、光入射による樹脂内部の白濁現象(チンダル現象)が抑えられた導光板用アクリル樹脂板状物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄型の看板や表示装置、液晶表示装置の背面光源(バックライト)および前面光源(フロントライト)等に用いられる光源装置として、導光体に光を入射して発光させる面発光装置が知られている。近年ではサイドライト方式と呼ばれる、導光体の側面に冷陰極管や熱陰極管などの光源を配置し、任意の形状またはパターンで発光させる面発光装置が主流となっている。
【0003】
この種の光源装置としては、より輝度が高く、よりコンパクト(軽量化および薄肉化)であることが求められており、また導光体中における光の吸収、散乱、反射などによる透過損失ができるだけ少ないものが望ましく、高い光線透過率を有するアクリル樹脂が用いられている。
【0004】
しかし、アクリル樹脂を用いた場合であっても従来のものでは、例えば、液晶セルの前面にサイドライト型の導光板が配置されるフロントライトタイプの表示装置においては、導光板内部に曇り等の透過損失因子が存在すると、液晶表示の色再現性およびコントラスト等の画像特性の低下が生じやすい。
【0005】
導光体に用いられる透過損失を改良したアクリル樹脂として、特開平7−331018号公報、特開平9−12822号公報、特開平9−25386号公報には、アクリル樹脂中にホスファイト化合物を特定濃度で含有させることにより射出成型時の加熱着色による光の吸収を改良したアクリル系樹脂組成物が開示されている。また、特開平8−334626号公報においては、可視光の透過損失の少ない導光板用アクリル樹脂として、紫外線吸収剤などの光を吸収する添加剤を含まないアクリル系樹脂製導光体について開示されている。
【0006】
導光板の素板材料であるアクリル樹脂板状物の成形方法としては、例えばキャスト製法、押出製法、射出成形法、加熱プレス成形法などの公知の種々の方法が挙げられるが、何れの製法においても、サブミクロンからミクロンオーダーの異物が混入していることが多い。
【0007】
導光板材料と異なる屈折率の異物は、導光板に光を入光させたときに輝度ムラあるいは輝点不良の原因となるため、異物を極力減少させる必要がある。
【0008】
そこで、特開平8−227004号公報、特開平10−265530号公報、特開平8−248416号公報では、アクリル樹脂中の異物のサイズおよび量と揮発性成分の種類および残存量を特定した導光板用アクリル樹脂組成物が提案されている。また、特開平8−334626号公報においては、導光体への入光波長より大きく屈折率を異にする物質を含まないアクリル製導光体が開示されている。
【0009】
しかしながら、上記の公報に開示された導光板用アクリル樹脂組成物は、導光板と屈折率が異なる物質に起因する透過損失を、添加剤の有無や物理的な方法によって低減しているもので、根本的な問題の解決には至っていない。
【0010】
特に、フロントライトタイプの液晶表示装置においては、用いられる導光板を通して画像を見るため、より透過損失の影響を受け易く、画像のコントラストのムラ等が発生し易い。
【0011】
また、押出法および射出成形法、加熱プレス成形法により製造された導光板は、冷却時に生じる板内部と板表面部の温度差が原因で熱歪みが生じ、これが光学歪みとなり透過損失を生じさせる要因となり得る。このような光学歪みは、特にフロントライト用導光板において、像がゆがんで見える不具合を引き起こす。
【0012】
一方、従来のセルキャスト製板法では、厚みが厚くなるに従い、アクリル樹脂内部に不均一な組成分布が生じ易く、また、未反応の残存不飽和単量体、開始剤の副生成物、添加剤の未溶解残渣などの、基材(ポリメタクリル酸メチル)と屈折率が異なる物質が存在し、それらによる光の吸収や散乱、反射が生じる。そのため、得られたアクリル樹脂導光板は、その端部から光を入射すると、光の散乱、反射により樹脂内部に白濁が確認される。特にフロントライトタイプの表示装置に用いられる導光板、あるいは長光路長となる大型の導光板の場合、透過損失が大きい場合があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、アクリル樹脂中の白濁欠陥を低減し、透過損失の少ない導光板用アクリル樹脂板状物を提供することにあり、また、これを用いた透光特性に優れた導光板および面発光装置、並びに画像特性に優れたフロントライト型表示装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、薄型の看板や表示装置、液晶表示装置のフロントライト等に用いられる導光板に好適な透過損失の少ないアクリル樹脂板状物を得るべく鋭意検討を行った結果、特定の可塑剤を含有したアクリル樹脂板状物を導光板として用いた際その内部に発生する白濁を低減できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明は、メタクリル酸メチル単独重合体又はメタクリル酸メチル単位を50モル%以上含む共重合体90〜99質量%と、フタル酸エステル類、芳香族エステル類、脂肪族エステル類、リン酸エステル類、グリコール類、ポリアルキレングリコール類から選ばれる少なくとも1種の可塑剤1〜10質量%とからなり、25℃で測定した還元粘度が0.10(l/g)以上である樹脂からなるアクリル樹脂板状物であって、該板状物の鏡面状の4つの側面のうち1つの側面を光入射面とし、該光入射面を除く3つの側面に反射率96%のリフレクターフィルムを配置した板状物の背面側に、背面から10mm離して明度が2.0である黒色板を設置し、該光入射面へ、光源の光出射面から50mm離れた場所の照度が95000〜105000(lx)のハロゲンランプ線状光を入射させ、板状物正面の輝度を測定するサイドライト式の評価方法によって得られる、前記板状物正面の輝度Y(cd/m2)が、板状物の厚みをX(mm)としたとき、下記式(1)
Y ≦ 0.03X+2.4 (1)
を満たす導光板用アクリル樹脂板状物に関する。
【0016】
また本発明は、上記本発明の導光板用アクリル樹脂板状物の製造方法であって、メタクリル酸メチルを主成分とし、メタクリル酸メチルに可溶な可塑剤を含む重合性原料を、セルキャスト製板法により重合することを特徴とする導光板用アクリル樹脂板状物の製造方法に関する。
【0017】
また本発明は、上記本発明のアクリル樹脂板状物からなる導光板に関する。
【0018】
また本発明は、上記本発明の導光板を用いた面発光装置に関する。
【0019】
さらに本発明は、上記本発明の導光板が画像表示部の前面に配置されたフロントライト型表示装置に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0021】
本発明のアクリル樹脂板状物は、メタクリル酸メチル単独重合体又はメタクリル酸メチル単位を50モル%以上含む共重合体と可塑剤を含む樹脂からなるアクリル樹脂板状物である。共重合体を得るためのメタクリル酸メチル以外の単量体としては種々のビニル系単量体が挙げられるが、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。ここで(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも一種を意味する。
【0022】
本発明における可塑剤は、フタル酸エステル類、芳香族エステル類、脂肪族エステル類、リン酸エステル類、グリコール類、ポリアルキレングリコール類から選ばれる少なくとも1種であり、メタクリル酸メチルに可溶なものであり、共重合体の場合はメタクリル酸メチルを含む単量体混合物に溶解するものであることが好ましく、更には可塑剤溶解後のメタクリル酸メチルおよびその単量体混合物が無色であることが好ましい。このような可塑剤としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸イソデシル、フタル酸ジデシルなどのフタル酸エステル類、安息香酸エステルのような芳香族エステル類、セバチン酸エステル、アジピン酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、クエン酸エステルのような脂肪族エステル類、リン酸エステル類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類などが挙げられる。なかでも、フタル酸エステル類の可塑剤が、耐光性の点で好ましい。これらの可塑剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いても良い。
【0023】
本発明における樹脂中の可塑剤の含有量は1〜10質量%であり、この範囲において、3質量%以上が好ましく、7質量%以下が好ましい。メタクリル酸メチル単位を主成分とする重合体の樹脂中の含有量は90〜99質量%であり、この範囲において、93質量%以上が好ましく、97質量%以下が好ましい。可塑剤の含有量が1質量%以上であると、透過損失の小さい優れた透明性を有する導光板用アクリル樹脂板を得ることが容易となり、可塑剤が少なすぎるとこのような効果が十分に得られなくなる。特に、この効果は、セルキャスト製板法に用いた場合に大きい効果を示す。また、可塑剤が多すぎると、得られた導光板用アクリル樹脂板の耐光性や機械的強度が低下する傾向があり、可塑剤の含有量が10質量%以下であるとこれらの特性が良好となる。
このような可塑剤を用いて得られたアクリル樹脂、特にメタクリル系樹脂を用いることにより、内部に発生する白濁欠陥が減少し、光の散乱、反射による透過損失が抑えられ、高い光透過率を有するアクリル樹脂板状物を得ることができる。
【0024】
本発明の導光板用アクリル樹脂板状物は、前記のサイドライト方式の評価方法によって得られる、板状物としての正面の輝度が前記の式(1)を満たすことが必要である。
【0025】
ここで、この輝度の評価方法について説明する。この評価方法により測定された輝度は、板状物内部の白濁度合いを示すものでもある。
【0026】
アクリル樹脂板状物を平面形状が長方形の300mm×400mm(光路長400mm)に切断し、板状物周辺の4つの側面を電動カンナおよび羽布研磨機にて鏡面研磨を行なう。4つの側面のうち光入射面1面を除く3つの側面には、反射率が96%であるリフレクターフィルム((株)ツジデン製、SU119)を配置する。
【0027】
この板状物の背面側には、明度が2.0である黒色板を板状物から10mm離して設置する。また、100Wハロゲンランプを用いた光ファイバー照明装置の光源(三菱レイヨン(株)製光源装置:ELI 100J、光ファイバーライトガイド 幅1mm×長さ200mm、光源の光出射面から50mm離れた場所の照度:100000Lux)を、光入射面における板厚方向での中央部に平行に設置する。
【0028】
クローズアップレンズ(ミノルタ(株)製 No.122)を装着した輝度測定装置(ミノルタ(株)製 LS−110)を、板状物正面から350mm離した位置に設置し、板状物正面中央部における垂直方向の輝度を測定し、板状物内部の白濁度合いの指標を輝度で評価する。
【0029】
板状物に光を入射した際、光は透過および反射によりアクリル樹脂内を導光する。樹脂内部に異物あるいは不均一な組成分布等が存在すると、光の散乱・反射が起き、白濁が確認される。
【0030】
ここで、測定された輝度Yが、(1)式を満たさない場合、すなわち(1)式の右辺(0.03X+2.4)の値より大きい場合は、アクリル樹脂内部の白濁の度合いが高く、光の散乱、反射による光透過損失が大きく、優れた光透過特性をもつ導光板となる板状物を得ることはできない。特に、対角線長さ457mm以上の液晶表示装置では、導光板となる板状物の透過光路長が長いため、より透過損失の影響を受け易く、導光板として装置に組み込んだ際の輝度ムラ等が発生し易い。また、フロントライト型表示装置に使用する導光板とした場合では、画像の色再現性およびコントラスト低下を引き起こす。
【0031】
板状物としてその内部の白濁による輝度Yが(1)式を満たすアクリル樹脂板状物であれば、アクリル樹脂内部の光の散乱および反射が少なく、透過損失の少ない導光板が得られる。
【0032】
なお、板厚が厚くなるほど、光が導光する長さが増加するため、輝度Yが高くなる傾向にあるが、(1)式を満たすのであれば導光板の性能として十分使用可能なレベルにある。
【0033】
本発明のアクリル樹脂板状物からなる導光板は、対角線長さ457mm以上の大型液晶表示装置の面発光装置用導光板およびフロントライト用導光板として好適である。また、導光板およびこれを構成するアクリル樹脂板状物は、厚み5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。本発明のアクリル樹脂板状物は、このように厚いものであっても、透過損失が小さい導光板を得ることができ、結果、優れた透光特性をもつ面発光装置(面光源)や優れた画像特性をもつ表示装置を提供することができる。
【0034】
また、本発明の導光板用アクリル系樹脂板状物の25℃における還元粘度は0.1(l/g)以上であり、0.2(l/g)以上が好ましい。
【0035】
還元粘度が0.1(l/g)以上であれば、得られたアクリル樹脂板状物が十分な高分子量となり、高い耐熱性が得られ、高熱を発する光源ランプと近接しても導光板の融解や変形などによる欠陥を生じにくくなる。
【0036】
本発明の導光板用アクリル樹脂板状物の製造は、メタクリル酸メチルを主成分とする重合性原料へ、この重合性原料に可溶な可塑剤を添加してセルキャスト製板法により重合することが好ましい。
【0037】
セルキャスト製板法を用いることによって、厚さが5mm以上の厚いアクリル樹脂板状物を製造する場合であっても、押し出し法や射出成形法に比べて冷却時に生じる板内部と板表面部の温度差が生じにくく、その温度差による熱歪みの発生を抑えることができる。導光板における熱歪みが大きいと、その熱歪みが光学歪みとなり、透過損失を生じさせる要因となり得る。特にフロントライト用導光板においては、熱歪みが大きいと、像がゆがんで見える不具合が生じる。このような熱歪みは、導光板の厚さが10mm以上になると一層生じやすくなる。しかし、セルキャスト製板法では、このような熱歪みが生じにくいため、厚さが5mm以上、さらには厚さが10mm以上のアクリル樹脂板状物を製造する場合に好適である。
【0038】
本発明において、メタクリル酸メチルを主成分とする重合性原料は、単量体としてメタクリル酸メチルのみを含む重合性原料であってもよいし、メタクリル酸メチルと共重合可能な他の単量体との単量体混合物を含む重合性原料であってもよい。また、含有される単量体もしくは単量体混合物の一部を重合させた重合体と、単量体または単量体混合物とからなるシロップ状の重合性原料であってもよい。
【0039】
また、透明性が損なわれず、所望の特性を持つ導光板用板状物が得られる範囲内でエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)クリレートなどの多官能(メタ)アクリレート等を添加してもよい。
【0040】
本発明の製造方法に用いられる重合開始剤としては、例えば、上記の重合性原料に可溶なアゾ系化合物および過酸化物系化合物などが挙げられ、特に、メタクリル酸メチル単独や、メタクリル酸メチルを含む単量体混合物に溶解するものであることが好ましい。
【0041】
アゾ系化合物(アゾ系重合開始剤)としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチルニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。
【0042】
過酸化物系化合物(過酸化物系重合開始剤)としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;イソブチリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類;1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類;1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等のアルキルパーエステル類;ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシカーボネート類などが挙げられる。
【0043】
これらの重合開始剤は単独で、あるいは二種以上を混合して用いてもよい。その使用量は、重合温度等の重合条件に応じて適宜設定されるが、通常、重合性原料100質量部に対して0.0001〜1質量部の範囲に設定することができる。
【0044】
本発明においては、必要に応じて重合調節剤を用いることができる。重合調節剤は、重合速度を遅延する作用を有する化合物であればよく、従来より知られる各種のものを使用できる。例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどのメルカプタン化合物、リモネン、ミルセン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、β−ピネン、α−ピネンなどのテルペノイド系化合物、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。特に、テルペノイド系化合物が好ましい。これら重合調節剤は単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。重合調節剤の添加量は、重合性原料100質量部に対して、0.001〜0.05質量部の範囲に設定することができる。
【0045】
本発明におけるセルキャスト製板法は、重合性原料としてメタクリル酸メチル単独や、2種以上の単量体からなる単量体混合物、またはシロップ(単量体とその重合体)を、鋳型としてガラス板セル、鏡面研磨されたステンレス鋼板セル、あるいは連続ステンレス鋼板セル等のセル内で塊状重合するものである。
【0046】
ガラス板セル、鏡面研磨されたステンレス鋼板セル等のセルを用いたバッチ式のセルキャスト製板法としては、2枚のガラス板あるいは鏡面研磨されたステンレス鋼板と、塩化ビニール製の無端ガスケットとからなる鋳型の空間部に、重合開始剤を溶解した重合性原料を注入し、この重合性原料を重合硬化させ、形成された板状重合体を鋳型から剥離して取り出す方法が挙げられる。
【0047】
初期の重合温度は30℃〜90℃、重合時間は0.5〜300時間程度とすることが好ましいが、この範囲に限られるものではなく、また始めに低温で重合を行い、次いで温度を上昇させて重合を継続させる方法なども用いることができる。その後、100℃〜130℃程度の高温条件で0.1時間〜5時間、加熱して重合を完結させる。
【0048】
重合性原料の調製時や、キャストセル組み立て時、セルへの原料注入時において、輝点不良の発生を防止する点から、異物の混入はできるだけ避ける必要がある。また重合性原料は、微細な目の濾過材(メンブレンフィルターや焼結金属フィルター等)で異物を除去した後に重合することが好ましい。
【0049】
本発明のアクリル樹脂板状物には、透明性が損なわれず、所望の特性を持つ導光板が得られる範囲内で、公知の紫外線吸収剤や酸化防止剤等の安定剤、難燃剤、帯電防止剤、あるいは樹脂板の鋳型との剥離を容易にする離型剤を添加してもよい。
【0050】
また、本発明のアクリル樹脂板状物の表面に公知のハードコート塗料を被覆させてもよく、これにより、ハンドリング時のキズ防止、他部材との摩擦による擦り傷等を防止することができる。
【0051】
ここでフロントライト型表示装置とは、画像表示部の前面(観察側)に、導光板を設置した装置をいう。
一般的なフロントライト型表示装置を図1に示す。LCDなどの画像表示部2の前面(観察側)には導光板1が設置され、画像表示部2の後面には反射板5が配置されている。導光板1の側面11側には、冷陰極管あるいは熱陰極管などの蛍光管光源3が配置され、蛍光管光源3からの光を効率的に導光板側面11に入射するためのランプリフレクター4が配置されている。
さらに、フロントライト型表示装置に使用される導光板表面には、公知の方法により、マイクロプリズムレンズの配置、反射防止処理、帯電防止処理、表面硬化処理などが、使用状況により施される。
【0052】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0053】
得られたアクリル樹脂板は、以下の方法に従い評価を行った。
【0054】
▲1▼輝度の測定
前述した評価方法によって、導光板として正面の輝度を測定した。
【0055】
▲2▼還元粘度の測定
得られたアクリル樹脂板0.1gをクロロホルム100mlに溶解して、25℃にてオストワルド粘度計で測定した。
【0056】
▲3▼フロントライト点灯試験
得られたアクリル樹脂板を所定のサイズの長方形に切断加工し、その側面を電動カンナおよび羽布研磨機にて鏡面研磨を行なった。両側の短辺側面にリフレクターフィルム((株)ツジデン製 SU119)を配置して導光板とした。この導光板の両側の長辺側面の中央にそれぞれ光源(合計2本)を設置し、この光源をリフレクターフィルムにて囲い面発光装置とした。面発光装置の裏面側にLCD映像表示画面を設置して、フロントライト型表示装置とし、点灯時における、導光板を通して見た映像のコントラストを1m離れて目視で観察した。
【0057】
実施例1
メタクリル酸メチル95質量部にフタル酸ジブチル5質量部、重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)−パーオキシジカーボネートを0.02質量部を添加して30分間攪拌した。脱気後、縦400mm×横500mm、厚み6mmのガラス板2枚を塩化ビニール製の無端チューブを介して構成されたセルの中に注入し、40℃温水浴にて15時間重合し、続いて130℃の空気浴にて3時間かけて重合を完結させて、サイズ350mm×450mm、厚さ10mmの樹脂板を製造した。得られた樹脂板について、輝度、還元粘度の測定を行い、表1に示す結果を得た。
【0058】
得られた樹脂板を265mm×350mmに切断し、前記のようにして面発光装置を作製し、更にLCD映像表示画面を設置して、フロントライト型表示装置を形成した。光源には、φ2.4mm、長さ370mmの冷陰極管(ハリソン東芝ライティング(株)製 MBSM24JN10WX370NLU)を用い、管電流6.0mAにて点灯した。
【0059】
測定距離1mにて、点灯時における導光板を通して見た映像を目視評価したところ、樹脂板の透明性および透視性は良好で、映像のコントラストも良好であった。
【0060】
実施例2〜4
表1に記載した原料組成に変えた以外は、実施例1と同様にして樹脂板を製造した。ここでアクリル樹脂板原料は、各成分が均一に溶解したものを用いた。
【0061】
得られた樹脂板について、輝度、還元粘度の測定を行い、表1に示す結果を得た。
【0062】
比較例1
表1に記載した原料組成に変えた以外は、実施例1と同様にして樹脂板を製造した。
【0063】
得られた樹脂板について、輝度、還元粘度の測定を行い、表1に示す結果を得た。
【0064】
また、得られた樹脂板を用いて、実施例1と同様のフロントライト表示装置を作製し、点灯試験を行ったところ、実施例1に比較して、樹脂板内部が曇り、映像が薄っすらと白く曇って見え、コントラストが劣っていた。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、アクリル樹脂中の白濁欠陥が低減され、透過損失の少ない導光板用アクリル系樹脂板状物を提供することができ、その結果、透光特性に優れた導光板および面発光装置、並びに画像特性に優れたフロントライト型表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フロントライト型表示装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 導光板
2 液晶表示部
3 蛍光管光源
4 リフレクター
5 反射板
11 導光板側面
Claims (8)
- メタクリル酸メチル単独重合体又はメタクリル酸メチル単位を50モル%以上含む共重合体90〜99質量%と、フタル酸エステル類、芳香族エステル類、脂肪族エステル類、リン酸エステル類、グリコール類、ポリアルキレングリコール類から選ばれる少なくとも1種の可塑剤1〜10質量%とからなり、25℃で測定した還元粘度が0.10(l/g)以上である樹脂からなるアクリル樹脂板状物であって、該板状物の鏡面状の4つの側面のうち1つの側面を光入射面とし、該光入射面を除く3つの側面に反射率96%のリフレクターフィルムを配置した板状物の背面側に、背面から10mm離して明度が2.0である黒色板を設置し、該光入射面へ、光源の光出射面から50mm離れた場所の照度が95000〜105000(lx)のハロゲンランプ線状光を入射させ、板状物正面の輝度を測定するサイドライト式の評価方法によって得られる、前記板状物正面の輝度Y(cd/m2)が、板状物の厚みをX(mm)としたとき、下記式(1)
Y ≦ 0.03X+2.4 (1)
を満たす導光板用アクリル樹脂板状物。 - 前記板状物の厚みが5mm以上である請求項1記載の導光板用アクリル樹脂板状物。
- 前記共重合体は、メタクリル酸メチルとメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体である請求項1又は2記載の導光板用アクリル樹脂板状物。
- 請求項1、2又は3記載の導光板用アクリル樹脂板状物の製造方法であって、メタクリル酸メチルを主成分とし、メタクリル酸メチルに可溶な可塑剤を含む重合性原料を、セルキャスト製板法により重合することを特徴とする導光板用アクリル樹脂板状物の製造方法。
- 請求項1、2又は3記載のアクリル樹脂板状物からなる導光板。
- 請求項5記載の導光板であって、画像表示部の前面に配置されるフロントライト用導光板。
- 請求項5記載の導光板を用いた面発光装置。
- 請求項5記載の導光板が画像表示部の前面に配置されたフロントライト型表示装置。
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