JP3926887B2 - 多分子発現カセット及びその利用 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動物細胞又は動物体内において2つ以上の外来遺伝子を発現させることができる新規な多分子発現カセット又は多分子発現ベクターに関する。本発明はまた、該多分子発現カセット、または該多分子発現ベクターから得られる組換え体ウイルスを用いた動物用多価ワクチンに関する。
【0002】
【従来技術】
近年、養鶏規模の拡大に伴って飼育管理の省力化が進められており、その一環として、ワクチン接種に対する省力化が強く要望されている。これに応えて、数種のワクチンを混合することにより接種回数を減らすことを狙った混合ワクチンが既に開発され、野外で広く用いられている。しかしながらこの方法では、ウイルス種によっては異なる培養、精製を行う必要があり、煩雑な操作を強いられる場合がある。また、既存の混合ワクチンは基本的には不活化ワクチンであり、より自然感染に近い免疫を賦与する生ワクチンに関しては、ウイルス間の干渉や効果の持続等の問題により、省力的なワクチンは実現されていない。このような点を解決する一つの手段として、ウイルスベクターによる多価ワクチンの研究が盛んに行われている。
【0003】
養鶏分野における多価生ワクチンを目的とするウイルスベクターに関しては、鶏痘ウイルスや七面鳥ヘルペスウイルスの応用研究が進んでいる。これらに対して本発明者らは、より効果的なベクターを開発すべく、鶏のヘルペスウイルスの一種であるマレック病ウイルス1型(MDV1)のベクター化について検討を行い、その成果について数多くの報告を行ってきた。例えば、外来遺伝子を安定に保持し、かつマレック病(MD)に対するワクチン効果に大きなダメージを与えない外来遺伝子挿入可能部位として、US10遺伝子を同定している{特願平4−205933(特開平6−22757)フォース・インターナショナルシンポジウム・オンマレックスディジーズ(4th International Symposium on Marek's Disease(1992)、アムステルダム;Vaccine 1994 Vol.12 953-957}。このUS10遺伝子にニューカッスル病ウイルスF蛋白(以下、NDV−Fとも称する)遺伝子を挿入した組換え体ウイルスは、SPF鶏において十分なワクチン効果を示し、その効果は少なくとも接種後24週にわたって持続する(フォース・インターナショナルシンポジウム・オンマレックスディジーズ、1992、アムステルダム)。
【0004】
本発明者らは、更に実用的なウイルスベクターワクチンとすべく、遺伝子発現プロモーターに着目し、MDV1の糖蛋白B(gB)遺伝子プロモーターをNDV−F遺伝子の発現に応用した。その結果、移行抗体を保有する動物(ニワトリ)でのワクチン効果は極めて高く、市販雛に免疫した場合でもMD及びニューカッスル病(ND)の両者に対し安定して90%以上の防御効果を付与した。また、その効果は1年以上にわたって持続することを確認した(特願平7−160106号)。
このような研究成果を踏まえ、さらなる効果的かつ省力的なワクチンを開発するためには、NDに加えて他疾病の感染防御抗原遺伝子をも組み込んだ組換え体ウイルスの構築が必要となる。
【0005】
一方、多価の発現系という観点では、ある種のmRNA上のリボソーム結合部位に存在するインターナル・リボソーム・エントリーサイト(IRESと称する)を利用した発現系が試みられている。コザックらは、遺伝子の転写翻訳機構について研究する中で、鋳型のDNAからRNAポリメラーゼにより転写されたmRNAは、その5’末端にキャップ構造を有しており、このキャップ構造を通してリボソーム複合体と会合し、ペプチドに翻訳されることを明らかにしている(Kozak, M. J.Cell Biol., 108,229-241,1989)。殆どの蛋白質は、このようなキャップ依存的な翻訳機構によって合成される。
【0006】
これに対し、近年、一部のウイルスでは、その複製の際に合成されるウイルス蛋白質は、キャップ非依存的な翻訳機構によるとする例が報告された。すなわち、ある種のウイルスRNAには、その5’末端側にIRESと呼ばれる特殊な高次構造を有する領域が存在し、リボソーム複合体はこの特殊構造を認識してRNAに結合し、キャップ非依存的に蛋白質の翻訳を開始することが明らかにされた。IRESは、これまでに脳心筋炎ウイルス(Jang, S. K. J. Virology, 62, 2636-2643, 1988)、ポリオウイルス(Pelletier, J. Nature, 334, 320-325, 1988)、C型肝炎ウイルス(Tsukiyama-Kohara, K.J. Virology, 66, 1476-1483, 1992)などのRNAをゲノムとするウイルス及び免疫グロブリン重鎖結合蛋白質(Macejak, D. G. Nature, 353, 90-94, 1991)などのいくつかの真核生物の細胞内mRNAに存在することが報告されており、この発現システムをレトロウイルスベクター(細胞工学、第15巻3号、p386−387、1996)やアデノ随伴ウイルスベクター(第43回日本ウイルス学会抄録、p129、1995)に応用する試みも始まっている。
【0007】
一般に、ウイルスゲノムに挿入可能な遺伝子サイズは、およそ当該ウイルスゲノムの数%とされており、挿入できる遺伝子断片のサイズに限りがある(組織培養 14(4) 107−111、1988)。したがって、従来の多価生ワクチンを目的とした発現系では、プロモーターの下流に外来遺伝子を結合した遺伝子断片を1セットとし、これをウイルスベクター等に挿入したものを発現ベクターとするため、挿入する外来遺伝子を増やせば、それだけプロモーターの数も増えることになり、挿入できる外来遺伝子の数は制限される。
これに対し、IRESを用いる多価生ワクチン発現系は、上記の問題点を解決する有用な方法と考えられる。しかしながら、IRESは、ウイルス感染において対象組織あるいは対象宿主への特異性を担っている可能性が示唆されており(細胞工学、第15巻8号、p1106−1113、1996)、種を超えて該IRESを使用すれば発現効率が低下することが予測される。より効果的な多価発現系を構築するには、その対象動物に感染性を有するウイルス等に由来するIRESを用いることが必要と考えられる。例えば、鶏のワクチンを対象とした場合には、鶏細胞で機能するIRESを使用する必要があるが、鶏を始めとする鳥類細胞において効果的にIRES活性を示す核酸配列は未だに報告されていない。
【0008】
そこで、本発明者等は、従来から養鶏産業では重要な病気の一つとして位置づけられいる鶏伝染性ファブリキウス嚢病に着目し、本発明を実施した。本感染症の感染因子である鶏伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(以下、IBDVと称する)は、ニワトリの免疫器官の1つであるファブリキウス嚢(以下、F嚢とも称す)を冒し、重篤な液性免疫不全を起こす(Cheville, Amer J. Pathol. 51, 527-551, 1967)ウイルスで、ビルナ科、ビルナ属に属し、2本鎖のRNAゲノムを有する正二十面体の非エンベロープウイルス(Kibenge, F. S. B. J. Gen. Virol. 69, 1575-1775, 1988)である。IBDVゲノムの塩基配列は、マント等(Mundt E., Virology, 209, 10-18 1995)及びハドソン等(Hudson P.J. et al., Nucleic Acid Research 14, 12,5001-5012, 1986)により報告され、その5’末端非翻訳領域にはパンハンドルと呼ばれる二次構造を取りうる配列が存在し、ウイルスRNA複製に関与する可能性が指摘されており、またリボソーム結合配列の存在が指摘されている(Munt E., Virology, 209, p10-18, 1996)。しかしながら同論文において、そのIRES活性は明らかにされていない。
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来の鶏感染症に対する多価ワクチン発現系では、挿入できる外来遺伝子数の制限、又は発現効率の点で問題があった。
本発明の目的は、IBDVの5’非翻訳領域のIRESを利用することにより、単一のプロモーターで複数の外来遺伝子を鶏又は鶏由来細胞に発現させるための多分子発現カセット又は多分子発現ベクターを提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、上記の多分子発現カセット又は多分子発現ベクターを含有する動物用多価ワクチン及び該ワクチンで家禽類を免役する方法を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、上記の多分子発現カセット、多分子発現ベクター又は該多分子発現ベクターよって得られる組換え体ウイルスを用いたペプチドの製造方法を提供することにある
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、IBDVの5’末端領域にIRES(IRESとしての活性を含むRNA配列に相補的なDNA断片をiresと称する)が存在することを明らかにし、更に、MDV1のgBプロモーターの下流にNDV−F遺伝子、及びiresを有するIBDVcDNAを連結したDNA断片を組み込んだ組換えMDV1を作出したところ、同ウイルス感染細胞中に、NDV−F蛋白質及びIBDV蛋白質の両蛋白質が発現していることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0013】
従って、本発明は、MDV1のgBプロモーターの下流にNDV−F遺伝子及びiresを有するIBDVcDNAを連結したDNA断片並びに該DNA断片を含むプラスミド及びウイルスベクターを包含する。
【0014】
また、本発明は、上記DNA断片、プラスミド、ウイルスベクター又は該ウイルスベクターによって得られる組換え体ウイルスを主成分とするワクチンを包含する。
【0015】
また、本発明は、上記、DNA断片、プラスミド、ウイルスベクター又は該ウイルスベクターによって得られる組換え体ウイルスを用いたペプチドの製造方法を包含する。
以下に、本発明について更に詳述する。
【0016】
本発明のベクター、ワクチン及び方法は、プロモーター−(外来遺伝子)m−(ires−外来遺伝子)nなる式で表されるDNA断片からなる多分子発現カセット及び該発現カセットが組み込まれた多分子発現ベクターにより特徴づけられる。ここで、外来遺伝子は任意の遺伝子、iresはIBDVゲノムの5’非翻訳領域の塩基配列に相補的なDNA断片であり、mは0又は1、nは1以上の整数値で、これらは連結したDNA断片の数を表す。上記多分子発現カセット及び多分子発現ベクターは培養細胞もしくは動物体内で複数の外来遺伝子を発現し得る。
【0017】
本発明を構成する上記の遺伝子断片の作製及びベクターの構築は、サンブルック等が述べている、RNAの抽出、逆転写反応とポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるcDNAの合成と増幅及び遺伝子のクローニング等の一般的な組換え技術により達成される(J.Sambrook, et al., Molecular Cloning. A laboratory manual. Cold Spring Harbor Laboratory, 1989)。また、遺伝子断片のクローニング及び発現には、市販のベクターを使用できる。
【0018】
まず、IBDVの5’非翻訳領域にIRESが存在するかを調べた。IBDVは、通常のウイルス増殖方法に準じて調製される。具体的には、IBDV雛用生ワクチンとして使用されているK株を鶏胚繊維芽細胞(以下、CEFと称す)に接種後、この細胞を一般の動物細胞を培養するための合成培地中、37℃で培養し、充分な細胞変性を呈した時点で培養上清を採取し、遠心分離等の方法によりウイルスを精製、回収する。また、野外分離株の場合は、接種後4日目のF嚢を培地で20%乳剤としたものを出発材料として、同様な手法でウイルスを精製回収した。
【0019】
回収したIBDVからのRNAの抽出は、市販のRNA抽出キット、例えば、Cartrimox−14 RNA Isolation Kit RIK2.11:WA003(宝酒造株式会社)を用いて容易に行うことができる。次いで、IBDVの目的とする領域のcDNA断片の合成と増幅が、合成プライマー及びTaKaRa RNA PCR kit:RR012A(宝酒造株式会社)を用いて行われる。具体的には、配列番号:1及び2に記載のプライマーの組合せでIBDVの5’非翻訳領域の全長とVP2遺伝子を含む約1.5kbのcDNA断片、配列番号:2及び3に記載のプライマーの組合せでIBDVの5’非翻訳領域の一部とVP2遺伝子を含むcDNA断片、配列番号:1及び4に記載のプライマーの組合せで非翻訳領域の全長とVP2/4/3遺伝子を含む約3.2kbのcDNA断片をそれぞれ得ることができる。
【0020】
このようにして得られたcDNA断片に終止コドンが存在しない場合には、その3’側に、終止コドンが付加される。具体的には、まず、DNAブランティングキット(宝酒造株式会社;DNA Blunting Kit)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造株式会社)を用いて、PCRにより得たcDNA断片の末端を平滑化し、リン酸基を付加し、DNAライゲーションキットバージョン2(宝酒造株式会社;DNA Ligation Kit Ver.2)を用いて、適当なベクター、例えば、pUC119(宝酒造株式会社)のマルチクローニングサイトSmaIにクローニングする。次に、該断片が挿入されたpUC119をXhoIで切断し、上記と同様の方法で、その末端を平滑化した後、DNAライゲーションキットバージョン2を用いてリンカーEcoRIストップコドン(ニッポンジーン;Linker EcoRI Stop Codon)を挿入する方法が取られる。
【0021】
IBDVの5’非翻訳領域におけるIRESの存在は、単一プロモーターの下流に、第1シストロンとして、終止コドンを持つNDV−F遺伝子を挿入し、その下流に第2シストロンとして、IBDVの5’非翻訳領域の全長とVP2遺伝子を含む約1.5kbのcDNA断片を挿入したジシストロン性の発現カセットを組み込んだベクターを構築し、これを適当な動物細胞、例えば、COS細胞に導入し、VP2を検出することにより達成される。すなわち、第1シストロンのNDV−Fはキャップ構造に依存した翻訳が行われるが、第2シストロンのVP2については、キャップ構造が形成されないため、IRESが存在しない限り蛋白質への翻訳は行われない。したがって、第2シストロンのVP2の発現を確認することにより、IBDVの5’非翻訳領域に、IRESの存在が支持される。本発明において以下に開示するように、第2シストロンとしてIBDVの5’非翻訳領域の全長(1〜130bp)を有するVP2遺伝子(cDNA断片)を挿入したところ、VP2遺伝子の発現が確認され、IRES活性の存在が同定された。この時、5’非翻訳領域の1〜64bpを欠如した非翻訳領域を有するVP2遺伝子を挿入した発現実験ではVP2の発現が認められなかった。すなわち、配列番号:9に示した配列上ではリボソーム結合部位、CUCCUC(Munt E., Virology, 209,p10-18, 1996)が存在するにもかかわらず、IRES活性の発現にはIBDVの5’非翻訳領域の前半部分の配列が必須であった。
【0022】
プロモーターは、動物細胞内でプロモーター活性を示すものであればどのようなものでもよく、ウイルス由来のSV40初期、SV40後期もしくはgBプロモーター又は動物細胞由来のβアクチンプロモーターなどから選択するすることができる。好ましくは、ニワトリに感染するウイルス由来のプロモーターが使用される。MDVをベクターとする組換え体ウイルスの場合には、MDV1由来の糖蛋白質遺伝子プロモーター、好ましくは、MDV1由来のgBプロモーターが使用される。
【0023】
プロモーター又はIRESの下流に組み込まれる外来遺伝子としては、ウイルス性疾病、細菌性疾病、寄生虫病等各種鶏感染症のワクチン抗原となりうる蛋白質をコードする種々の遺伝子又は抗原決定部分を保持するその遺伝子断片等が挙げられる。例えば鶏を対象とした多価ワクチンの調製においては、その組み込む外来遺伝子として、ニューカッスル病ウイルス(NDV)抗原をコードする遺伝子(例えばNDV−F蛋白又はHN蛋白をコードする遺伝子)、鶏伝染性咽頭気管炎ウイルスの糖蛋白をコードする遺伝子、IBDVのウイルス構造蛋白をコードする遺伝子、鶏伝染性気管支炎ウイルスのスパイク蛋白をコードする遺伝子、鶏貧血ウイルスのカプシド蛋白、特にVP1及びVP2をコードする遺伝子、鶏レオウイルスのカプシド蛋白、七面鳥鼻気管炎ウイルス(TRTV)膜蛋白並びに鶏伝染性コリーザの原因菌であるヘモフィラス・パラガリナルム(Heamophilus paragallinarum)のHA蛋白をはじめとする防御抗原をコードする遺伝子、キャンピロバクター、サルモネラ、大腸菌及びマイコプラズマの防御抗原遺伝子等が挙げられる。更に、鶏コクシジウム症の因子であるアイメリア・マキシマ、アイメリア・テネラ、アイメリア・ブルネッティー、アイメリア・アセルブリーナ、及びロイコチトゾーン症の因子であるロイコチトゾーン・カウレリイー等の原虫の防御抗原遺伝子が挙げられる。また、ウイルス性疾病を予防する抗原としては、インフルエンザでは各蛋白(NP)が血清型を超えて予防効果を示す重要な抗原であることが示されていることから、他のウイルスにおいても核蛋白遺伝子が重要な防御抗原遺伝子である可能性が考えられる。さらには、サイトカインやホルモン等の生理活性物質をコードする遺伝子も含まれる。
【0024】
このようにして得られる発現カセットをウイルスベクターに組み込むことによって、多価ウイルスワクチンを作製することができる。ウイルスベクターにジシストロン性の発現カセットを組み込む場合には、更に、該発現カセットを親ウイルスゲノムに相同組換えによって挿入することによりベクターが構築される。
ウイルスベクターとしては、対象動物に対し、病原性を示さないかあるいは病原性の弱いウイルスが利用され、これらのウイルスゲノム上のウイルス複製に影響しない部位に、上記の発現カセットが挿入される。例えば、ニワトリ感染症に対しては、MDV1のUS10遺伝子の間に上記の発現カセットを挿入したプラスミドが構築される。このプラスミドと親ウイルスであるMDV1ゲノム間で相同組換えを行うことにより、発現カセットが挿入された組換え体ウイルスを得ることができる(特願平7−160106号)。
【0025】
動物細胞に前記ベクターを導入する際には、燐酸カルシウム共沈澱法、DEAEデキストラン法、リポフェクチン法、エレクトロポレーション法など一般的な遺伝導入方法が利用できる。具体的には、CEF細胞にMDV1を感染させ、これに前記ベクターをエレクトロポレーション法で導入し、生じたウイルスプラークに生産された外来遺伝子蛋白質を検出することにより、目的の組換え体ウイルスを作出することができる。外来遺伝子の発現は、通常使用される、蛍光抗体法、ELISA法、RIA法、ウエスタンブロット法等によって確認される。上記方法に使用される抗体は、外来遺伝子がコードする蛋白質を認識する抗体であればどのようなものでも良い。
【0026】
このようにして得られる組換え体ウイルスは、親ウイルス抗原とともに外来遺伝子がコードする蛋白質を発現するため、多価ワクチンの材料とすることができる。また、組換え体ウイルス又は該組換え体ウイルスが感染した細胞から得られるペプチドは、親ウイルス又は外来遺伝子がコードする蛋白質を構成成分の一つとするウイルスの検出並びに該ウイルスが産生する抗体の検出系に利用することができ、診断薬を構築するための材料となる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によると、多価ワクチンの材料となる複数の外来遺伝を発現する多分子発現カセット、多分子発現ベクター及び該ベクターによって得られる組換え体ウイルス、並びに、前記ベクター又は組換え体ウイルスによって構成されるワクチン及び外来遺伝子に由来するペプチドが提供される。
【0028】
例えば、本発明を応用した組換え体ウイルスによれば、ワクチンの中で最も効果的な生ワクチンの形態をとりながら、一回の接種でより多く感染症に対するワクチネーションが可能な多価ワクチンが提供され、従来から養鶏分野において要請されている省力化を達成することが可能となる。また、今後の実用化が期待されるDNAワクチンにおいても、従来技術では複数のプラスミドを混合せざるを得ないようなケースにおいても、本技術を用いることで同一プラスミド上に複数の防御抗原遺伝子をのせることが可能となり、製造コストの低減が可能となる。以下、実施例に従い、本発明を更に詳細に説明する。
【0029】
組換え技術において汎用される制限酵素消化、フェノール/クロロホルム処理及びエタノール沈殿によるDNA断片の回収、DNA断片の末端のリン酸化、脱リン酸化(以下BAP処理とも称す)、大腸菌の形質転換法、大腸菌からのプラスミドの調製法、アガロース電気泳動法(本実施例においては、DNA断片のサイズに応じて0.6〜1.2%アガロースを使用した)並びに電気溶出法は常法に従った。制限酵素は宝酒造株式会社又はNew England Biolab社より購入した。DNA断片の末端の平滑化及びDNA断片の連結は、DNAブランティングキット(宝酒造株式会社:DNA Blunting kit)及びDNAライゲーションキットバージョン2(宝酒造株式会社)をそれぞれ用い、添付のプロトコールに従って行った。
【0030】
【実施例】
実施例1:IBDVcDNA断片の作製
(1)ウイルス株
IBDVとして、極めて高い致死率を示す超強毒株のKa361株(Takase K. et al., J. Vet. Med. Sci. 55(1), 137-139, 1993)及びヒナ用生ワクチンとして使用されている弱毒株のK株(山田ら, 畜産の研究, 41, 494-500, 1987)を用いた。
【0031】
(2)IBDV粒子の調製
IBDV−K株をCEFに接種後、該CEFを牛胎児血清(以下、FBSと称す)を3%に含むイーグルMEM(日水株式会社:以下、E.MEMと称す)培地中、37℃で培養し、細胞変性効果を強く呈した時点で培養上清を採取した。培養上清中に含まれる細胞断片等を微量高速遠心幾(トミーMRX−150)により15Krpm、5分間の遠心分離により除いた後、40%シュクロース液をクッションとする22Krpm、2時間の超遠心(株式会社日立製作所、RPS40T)を行い、IBDV粒子を沈渣として得た。超強毒株については、4週齢鶏にKa361株を経口投与後4日目にF嚢を摘出し、E.MEMを4倍容加えた後破砕し20%乳剤とした。このものを上記と同様に15Krpmで5分間粗遠心後、その上清を超遠心にかけウイルス粒子を沈渣として回収した。
【0032】
(3)IBDV RNAの調製
IBDV粒子中のRNAは、Catrimox−14 RNA Isolation Kit RIK2.11(宝酒造株式会社、WA003)を用い、添付のプロトコールに従って調製した。
【0033】
(4)IBDV RNAに相補的なcDNA断片の増幅
IBDV RNAに相補的な4種のcDNA断片をRT−PCRにより増幅した(図1)。RT−PCRは、TaKaRa RNA LA PCR Kit(AMV)(宝酒造株式会社、RR012A)及びプライマーとして配列表の配列番号:1〜4の塩基配列を有する合成DNA(宝酒造株式会社)を用い、添付のプロトコールに従って実施した。PCRは以下の条件、すなわち、94℃2分の反応の後、94℃1分、60℃1分、72℃2分の反応を35サイクル行い、引き続き、72℃10分の反応条件で行った。反応終了後、フェノール・クロロホルム処理、引き続きエタノール沈殿で増幅産物を回収した。プライマーの塩基配列は、既報の塩基配列(Mundt E., Virology, 209, 10-18 1995及びHudson P.J. et al., Nucleic Acid Research 14, 12,5001-5012, 1986) から求めた。
a)5’非翻訳領域の全長とVP2コード領域を含むcDNAの増幅
IBDVのK株及びKa361株由来のRNAを鋳型にし、配列番号:1及び2のプライマーを用いて、5’非翻訳領域の全長とVP2コード領域 のcDNAを増幅した。IBDVのK株及びKa361株由来のcDNAをそれぞれiK1.5及びiKa1.5と命名した。
b)5’非翻訳領域の後半部とVP2コード領域を含むcDNAの増幅
IBDVのK株のRNAを鋳型とし、配列番号:3及び2のプライマーを用いて5’非翻訳領域の一部を含むVP2領域のcDNAを増幅した。得られたcDNAをK1.5と命名した。
c)5’非翻訳領域の全長を含むVP2/4/3領域cDNAの増幅
IBDVのK株のRNAを鋳型とし、配列番号:1及び4を用いて5’非翻訳領域の全長を含むVP2/4/3領域のcDNA増幅した。得られたcDNAをiKGと命名した。
【0034】
(5)pUC119へのクローニング
上記の各IBDVcDNA断片をプラスミドpUC119(宝酒造株式会社)のマルチクローニングサイトSmaI部位にクローニングした(図1)。まず、IBDVcDNA断片の末端を平滑化し、その5’末端にT4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造株式会社)でリン酸基を付加した。このcDNA断片を、予めSmaIで消化し、アルカリフォスファターゼ(宝酒造株式会社)で5’末端を脱リン酸化したpUC119に、DNAライゲーションキットバージョン2を用いて挿入し、このプラスミドで大腸菌を形質転換した。常法により、形質転換体から目的のプラスミドを保持する菌体をクローニングし、該プラスミドを回収した。iKG断片が挿入されたプラスミドはpiKGと名付けた(図1)。
また、iKa1.5、iK1.5及びK1.5の各cDNA断片が挿入されたプラスミドについては、これらをXhoI消化し、末端平滑処理した後、その部位にリンカーEcoRI終止コドン(ニッポンジーン:Linker EcoRI Stop Codon)を挿入した。終止コドンが挿入されたプラスミドを含む形質転換体から該プラスミドを回収し、それぞれpiKa1.5S、piK1.5S、pK1.5Sと名付けた(図2)。
これらのうち、piK1.5Sに含まれる5’非翻訳領域の塩基配列の決定を宝酒造株式会社遺伝子解析センターに依頼した。オートシークエンサーを用いて決定された塩基配列のうち、IRES活性にとって重要な領域、すなわち、5’非翻訳領域の前半部分を配列表の配列番号:9に示す。
【0035】
実施例2:単一プロモーターにより2種のタンパク質を発現するプラスミドの構築
(1)挿入断片iKa1.5S、iK1.5S及びK1.5Sの作製
piKa1.5S、piK1.5S、pK1.5Sを制限酵素KpnI及びEcoRIで消化し、末端平滑処理することによりiKa1.5、iK1.5及びK1.5の各cDNA断片に終止コドンが付加した断片、iKa1.5S、iK1.5S及びK1.5Sを得た(図3)。
【0036】
(2)発現プラスミドpS(FiKa1.5S)の構築
SV40後期プロモーターの下流にNDV−F遺伝子及びiKa1.5Sを連結した発現プラスミドpS(FiKa1.5S)を構築した。まず、NDV−F遺伝子を含むプラスミドXLIII10H(Sato et al. Virus Research 7, p241-255,1987)を制限酵素XhoIで消化し、アガロース電気泳動、クロロホルム処理及びエタノール沈殿により、NDV−F遺伝子を含むDNA断片を回収した。該NDV−F遺伝子断片をpUC119のSalIサイトにクローニングした。更にこのプラスミドをBsmIとBbeIで部分消化し、上記手順によりNDV−F遺伝子を回収し、平滑末端処理後、pUC118(宝酒造株式会社)のSmaIサイトにクローニングし、pFを構築した(図4)。本プラスミドをKpnIとXbaIで消化後、上記手順によってNDV−F遺伝子を含む断片を回収し、平滑末端処理後、発現ベクターpSVL(ファルマシア社)のSmaIサイトに挿入してpSFを得た(図5)。次いで、これをSacI消化、末端平滑処理及び脱リン酸化した後、iKa1.5S断片を挿入し、NDV−F遺伝子の下流にiKa1.5Sが結合したプラスミドpS(FiKa1.5S)を回収した(図6)。
【0037】
(3)発現プラスミドpCAG(FiK1.5S)、pCAG(FK1.5S)の構築
ニワトリβアクチンプロモーターの下流に、NDV−F遺伝子及びiKa1.5Sを連結した発現プラスミドpCAG(FiK1.5S)並びにNDV−F遺伝子及びK1.5Sを連結した発現プラスミドpCAG(FK1.5S)を構築した(図7、8)。まず、実施例2−(2)で得たpFをXbaIで消化し、末端を平滑化した後、iK1.5S又はK1.5S断片を挿入した。これらをKpnI、SalI及びFspI(FspIによる消化は、目的のDNA断片とベクターとのサイズの差を生じさせるために用いた)で消化して、NDV−F及びiK1.5Sを含む断片FiK1.5S並びにNDV−F及びK1.5Sを含む断片FK1.5Sを得た(図7)。次に、βアクチンプロモーターを有する発現ベクターpCAGn−mcs−polyA(特開平8−271369)をHindIIIで消化し、末端平滑化した後、上記の各断片を挿入した。このようにして得られたFiK1.5Sを含むプラスミドをpCAG(FiK1.5S)、FK1.5Sを含むプラスミドをpCAG(FK1.5S)と名付けた(図8)。
【0038】
(4)pS(FiKa1.5S)、pCAG(FiK1.5S)及びpCAG(FK1.5S)の発現
カバーグラス3枚(MATSUNAMI,No.1,18x18)の入った直径5cmシャーレに約100万個のCOS細胞を播き、FBSを10%含むダルベッコ変法イーグルMEM培地(以下10%FBS−DMEMとも称す)中で37℃4時間培養した。次いで無血清のDMEMで2回洗浄後、無血清DMEMを2mlを添加した。該COS細胞に、pS(FiKa1.5S)、pCAG(FiK1.5S)又はpCAG(FK1.5S)の1μgを含む無血清DMEM100μlとLipofectAMINE Raegent(GIBCO BRL社)10μlを含む無血清DMEM100μlとを混和して15分間室温に放置したものを添加し、37℃16時間培養した。次いで、培地を10%FBS−DMEMに交換してさらに37℃で48時間培養した。
カバーグラスを取り出し、20分間室温でアセトン固定し、間接蛍光抗体法に供した。NDV−F遺伝子の発現確認には、一次抗体としてNDVのF蛋白に対するモノクローナル抗体#313(Y.Umino et al. J.gen.virol. 71,p1199,1990)を、二次抗体としてFITC標識抗マウスIgG(Cappel社)を用いた。また、IBDV遺伝子の発現確認には、一次抗体としてIBDV免疫SPFニワトリ血清を、二次抗体としてFITC標識抗ニワトリIgG(Kirkegaard & Perry Laboratories,Inc.)を用いた。
すなわち、上記アセトン固定した細胞とFBSを5%含むPBS緩衝液で100倍希釈した各一次抗体とを4℃で一晩反応させ、PBS緩衝液で洗浄した。次いで、FBSを5%含むPBS緩衝液で0.05mg/mlに希釈した二次抗体を37℃で2時間反応させ、PBS緩衝液で洗浄した後、蛍光顕微鏡下で細胞を観察した。その結果、pS(FiKa1.5S)又はpCAG(FiK1.5S)を導入したCOS細胞は、NDV−F遺伝子及びIBDVのVP2遺伝子の両方を発現していたのに対し、pCAG(FK1.5S)を導入したCOS細胞では、VP2は発現されていなかった。これは、IBDVの5’非翻訳領域にIRESとしての機能が存在することを示唆する。
【0039】
実施例3:組換え体ウイルスの作出
(1)FiKG断片の作製
まず、実施例1−(5)で作製したpiKGを制限酵素KpnI、Sse83871及びFspIで消化し、上記手順によりiKGを含む断片を回収後、末端平滑化した。次に、実施例2−(3)で得たpFをXbaIで消化し、脱リン酸化した後、上記のiKGを挿入した。得られたプラスミドをKpnI及びSse83871で消化し、末端を平滑化することにより、NDV−F遺伝子とIBDVのiKGcDNA断片が結合したFiKG断片を作製した(図9)。
【0040】
(2)pA4P(FiK1.5S)及びpA4P(FiKG)プラスミドの構築
MDV1のgBプロモーター(特願平7−160106、WO96/38565)の下流に、NDV−F及びiK1.5S又はNDV−F及びiKGを連結し、更に該DNA断片をMDVゲノムの遺伝子断片間に挿入したプラスミドpA4P(FiK1.5S)及びpA4P(FiKG)を構築した。
まず、MDV1のgBプロモーターの下流にNDV−Fを結合させた断片PFを作製した(図10)。実施例2−(2)で構築したpSFをHindIII及びEcoRIにより部分消化して350bpの塩基配列部分を除去し、配列表の配列番号:5及び6に記載の塩基配列から構成されるリンカー、すなわち、EcoRI、FspI及びHindIIIの制限酵素認識配列を含むDNA断片(EFH)を挿入した。得られたプラスミドを更にBsaBI及びSalIで消化して450bp塩基配列部分を除去し、配列表の配列番号:7及び8に記載の塩基配列から構成され、BsaBI、NruI、SnaBI、FspI及びSalI制限酵素認識配列を持つリンカー(BNSF)を挿入した。さらに、該プラスミドをHindIII及びXhoIで消化してSV40後期プロモーターを除いた後、末端平滑化及び脱リン酸化を行い,ここにMDV1のgBプロモーター断片を挿入した。このようにして得られたプラスミドをFspIで消化し、アガロース電気泳動により、gBプロモーターとNDV−Fが結合した約2.5Kbの断片PFを得た。
【0041】
次に、MDV1ゲノムをHindIII消化して得られるHindIII−B断片を、さらにEcoRIで消化することによって得られる2.8KbpのDNA断片A4(図11)をpUC119のEcoRI部位に挿入したしたプラスミド(pA4)をBalIで消化した後、脱リン酸化した。これに上記のPF断片を挿入した(図11)。得られたプラスミド(pA4PF)をXbaI及びSnaBIで消化して、NDV−F及びSV40 polyAシグナルを除いた後、末端平滑化及び脱リン酸化を行った。ここに、実施例2−(3)で作製したFiK1.5S又は実施例3−(1)で作製したFiKGを挿入した。このようにして得られたプラスミドをpA4P(FiK1.5S)及びpA4P(FiKG)とそれぞれ名付けた(図12)。
【0042】
(3)組換え体ウイルスrMDV1−US10P(FiK1.5S)及びrMDV1−US10P(FiKG)の作出
特願平7−160106及び特願平4−205933号に記載の方法に従い、MDV1のUS10遺伝子内にgBプロモーター、NDV−F及びiK1.5S断片を挿入した組換え体ウイルスrMDV1−US10P(FiK1.5S)並びにgBプロモーター、NDV−F及びiKG断片を挿入した組換え体ウイルスrMDV1−US10P(FiKG)を作出した。すなわち、pA4P(FiK1.5S)及びpA4P(FiKG)をそれぞれPmacIで消化して直鎖状とした後、これをエレクトロポレーション法によりMDV1感染CEFに導入し、FBSを1〜5%添加したE.MEM培地中、37℃で数日間培養した。PBSで洗浄した後、FBSを5%含むE.MEM培地で10000倍希釈したモノクローナル抗体#313とを室温で30分間反応させた。洗浄した後、FBSを5%含むE.MEM培地で300倍に希釈したHRP標識抗マウスIgG(バイオラッド社)を、室温で30分間反応させ、ジアミノベンチジン(DAB、同仁化学)で発色し、NDV−F蛋白を発現している組換え体ウイルスをクローニングした。
得られた組換え体ウイルスがIBDV蛋白も発現していることを蛍光抗体法により確認した。すなわち、カバーグラス3枚の入った直径5cmシャーレに、組換え体ウイルス10,000PFUを含むCEF細胞300万個を播き、37℃、48時間培養し、実施例2−(4)に記載の方法に従い、IBDV蛋白を検出した。また、このようにして得た組換え体ウイルスrMDV1−US10P(FiK1.5S)及びrMDV1−US10P(FiKG)は 、MDV1免疫SPFニワトリ血清とも特異的に反応した。
【0043】
【配列表】
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【0044】
【配列表】
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【0045】
【配列表】
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【0046】
【配列表】
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【0047】
【配列表】
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【0048】
【配列表】
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【0049】
【配列表】
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【0050】
【配列表】
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【0051】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】プラスミドpUC119にIBDV cDNA及びその断片を挿入したプラスミド(piKa1.5、piK1.5、pK1.5又はpiKG)を構築する手順を示す図。
【図2】piKa1.5、piK1.5及びpK1.5に終止コドンリンカーを挿入したプラスミド(piKa1.5S、piK1.5S及びpK1.5S)を構築する手順を示す図。
【図3】図2に記載のプラスミドから終止コドンリンカーが付加されたIBDV cDNA断片(iKa1.5S、iK1.5S及びK1.5S)を調製する手順を示す図。
【図4】プラスミドpUC118にプラスミドXLIII10H中のNDV−F遺伝子を挿入したプラスミドpFを構築する手順を示す図。
【図5】SV40プロモーターの下流に、NDV−F遺伝子を挿入したプラスミドpSFを構築する手順を示す図。
【図6】pSFのNDV−F遺伝子の下流に、iKa1.5Sを挿入したプラスミドpS(FiKa1.5S)を構築する手順を示す図。
【図7】pFのNDV−F遺伝子の下流に、iK1.5S又はK1.5Sを挿入したプラスミドを構築し、該プラスミドからNDV−F遺伝子とiK1.5Sが連結したFiK1.5S断片又はNDV−F遺伝子とK1.5S断片が連結したFK1.5S断片を調製する手順を示す図。
【図8】ニワトリβアクチンプロモーターの下流に、FiK1.5Sを挿入したプラスミドpCAG(FiK1.5S)又はFK1.5Sを挿入したプラスミドpCAG(FK1.5S)を構築する手順を示す図。
【図9】pFのNDV−F遺伝子の下流に、piKGのiKG断片を挿入したプラスミドpFiKGを構築し、該プラスミドからNDV−F遺伝子とiKG断片が連結したFiKG断片を調製する手順を示す図。
【図10】pSFのSV40後期プロモーターを除去し、そこにMDV1由来のgBプロモーターを挿入したプラスミドを構築し、該プラスミドからgBプロモーターとNDV−F遺伝子が連結したPF断片を調製する手順を示す図。
【図11】MDV1のUS10領域を含むA4断片がクローニングされたプラスミドpA4に、PF断片を挿入したプラスミドpA4PFを構築する手順を示す図。
【図12】pA4PFのNDV−F遺伝子を除去し、そこにFiK1.5Sを挿入したプラスミドpA4P(FiK1.5S)及びFiKGを挿入したプラスミドpA4P(FiKG)を構築する手順を示す図。

Claims (17)

  1. 複数の外来遺伝子を発現させる多分子発現カセットであって、プロモーター−(外来遺伝子)m−(ires−外来遺伝子)nなる式で表されるDNA断片、ここで、外来遺伝子は任意の遺伝子、iresは鶏伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDVと称する)に由来するインターナル・リボソーム・エントリーサイトを形成するRNAに相補的なDNA断片であり、mは0又は1、nは1以上の整数値を表す、からなることを特徴とする多分子発現カセット。
  2. 前記RNAがIBDVゲノムの5’非翻訳領域からなることを特徴とする請求項1に記載の多分子発現カセット。
  3. 前記5’非翻訳領域がIBDV分節Aであることを特徴とする請求項2に記載の多分子発現カセット。
  4. 前記5’非翻訳領域が配列表の配列番号:9に記載の塩基配列、又は該塩基配列に対し、1もしくは数個の塩基が置換、欠失あるいは付加された塩基配列を有し、該配列から転写されたRNAがインターナル・リボソーム・エントリーサイトを形成することを特徴とする請求項2又は3に記載の多分子発現カセット。
  5. 前記プロモーターが動物細胞由来であることを特徴とする請求項1に記載の多分子発現カセット。
  6. 前記動物細胞由来のプロモーターが鶏のβアクチンプロモーターであることを特徴とする請求項5に記載の多分子発現カセット。
  7. 前記プロモーターがウイルス由来であることを特徴とする請求項1に記載の多分子発現カセット。
  8. 前記ウイルス由来のプロモーターがマレック病1型ウイルス糖蛋白質B(gB)遺伝子のプロモーターであることを特徴とする請求項7に記載の多分子発現カセット。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の多分子発現カセットが組み込まれたことを特徴とする多分子発現ベクター。
  10. 前記多分子発現ベクターがプラスミドであることを特徴とする請求項9に記載の多分子発現ベクター。
  11. 前記多分子発現ベクターがウイルスゲノムであることを特徴とする請求項9に記載の多分子発現ベクター。
  12. 前記ウイルスゲノムがマレック病ウイルス由来であることを特徴とする請求項11に記載の多分子発現ベクター。
  13. 請求項11又は12に記載の多分子発現ベクターをウイルスゲノムとする組換え体ウイルス。
  14. 前記組換え体ウイルスが鳥類又は鳥類細胞に感染性を有することを特徴とする請求項13に記載の組換え体ウイルス。
  15. 前記鳥類がニワトリであることを特徴とする請求項14に記載の組換え体ウイルス。
  16. 請求項1ないし8のいずれかに記載の多分子発現カセット、請求項9ないし12のいずれかに記載の多分子発現ベクター、請求項13ないし15のいずれかに記載の組換え体ウイルスを含有することを特徴とする動物用ワクチン。
  17. 請求項1ないし8のいずれかに記載の多分子発現カセット、請求項9ないし12のいずれかに記載の多分子発現ベクター、請求項13ないし15のいずれかに記載の組換え体ウイルスを用いることを特徴とするペプチドの製造方法。
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