JP3923699B2 - 有機化合物の脱水方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の技術分野】
本発明は、有機化合物を脱水する方法に関し、詳しくは、吸着剤を用いた圧力スイング吸着法により、水を含有する有機化合物を連続的に脱水する方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、アミン類、ハロゲン化炭化水素類などの有機化合物が水分を含有している場合、有機化合物からごく低濃度まで水分を除去するのは一般に困難である。すなわち、これらの有機化合物と水との混合液は、最低沸点を有する共沸混合物となる場合が多く、一般に通常の精留では単一成分に分離できない。
【0003】
このため、従来、工業的に行われている含水有機化合物の脱水方法としては、共沸蒸留法、膜分離法、吸着法、抽出法等が知られており、なかでも、共沸剤として第三成分を加えて、共沸蒸留を行う方法が最も一般的に採用されている。
たとえば、炭素数が1のメタノールや炭素数が3のアセトンなどは、水と共沸を形成しないので、メタノールやアセトンの脱水を大規模に実施する場合、一般的に精留法が採用されている。
【0004】
共沸剤を用いる共沸蒸留法あるいは精留法は、原料である有機化合物の含水量にもよるが、原料含水有機化合物の供給量に対して、3〜15倍量程度の還流量を必要とするために、その分多くの蒸発エネルギーを必要とする。このため熱交換器などを組み合わせて、省エネルギー化を図っているが、依然としてエネルギー多消費プロセスである。また、小規模処理では設備費が高価となり経済性が悪いという問題がある。
【0005】
一方最近、水選択性分離膜を用いた膜分離法の一種であるパーベーパレーション法が省エネルギーの観点から注目されてきている。しかしながら、膜分離法は小容量の処理には効果的であるが、スケールメリットがないので大規模の処理には経済的でない他、水分離の駆動力が膜を介した分圧差であるため、有機化合物の含水率を0.05重量%以下とするような、高度の脱水は困難であるという問題がある。また、エステル類やアミン類などの脱水には、膜の耐久性が不充分であるという問題もある。
【0006】
有機化合物中の水分を高度に脱水する蒸留法以外の一般的方法としては、固体吸着剤、例えばシリカゲル、活性アルミナ、モレキュラーシーブ(合成および天然産ゼオライト、カーボンモレキュラーシーブ等)、イオン交換樹脂、硫酸塩無水物、炭酸塩無水物あるいは活性炭などを用いて液相あるいは気相で水分を選択的に吸着させて脱水する方法が知られている。
【0007】
液相で、吸着剤を用いて有機化合物中の水分を脱水する方法は早くから知られていたが、水分をより効率的かつ選択的に吸着する吸着剤として、モレキュラーシーブがきわめて効果的であることが知られるようになった(清水 博:吸着技術ハンドブック、NTS,686〜690頁(1993)、特開昭57−117304号公報および特開昭60−233023号公報)。
【0008】
しかしながら、液相吸着法の場合、吸着時においては一般に常温で吸着を行うが、通常吸着熱が発生するため、処理する有機化合物が吸着熱によって沸騰しないように制御する必要がある。また、吸着剤の再生脱着操作は、再生脱着の前に液抜きをし、200〜300℃の高温の不活性ガスを多量に用いて再生脱着し、さらに再生終了後に次の吸着工程操作温度である常温まで冷却する必要があった。このように液相吸着法は、多量の不活性ガスを使用する必要があり、操作が煩雑であって、さらに吸着剤の再生に係る多大なエネルギーと設備を必要とするという問題があった。
【0009】
この液相吸着法の省エネルギー化を図る方法として、4塔の吸着塔からなる設備で、加熱脱着工程と冷却工程とを常に同時に行うことによって、冷却および加熱のエネルギーを有効利用する方法が提案されている(特公平3-50561号公報)。この方法によれば、従来の液相吸着法と比較していくぶん省エネルギー化が図られているが、4塔の吸着塔が必要であり、さらに煩雑な操作に対応した多くの自動弁も必要であって、設備費が多大となり経済的でないという問題があった。
【0010】
省エネルギー化および操作の簡便化を目指した気相法による熱スイング吸着法(TSA)も開示されている(米国特許第4373935号)。この方法は2塔の吸着塔からなり、有機化合物を蒸発気化させて水を選択的に吸着させると同時に、吸着熱が吸着塔内の吸着剤に保持された状態で次の脱着工程での熱を回収することで、吸着プロセスの省エネルギー化を図ったものである。この方法は、従来の液相吸着法と比較してエネルギー効率のよいものではあるが、脱着工程では、等圧脱着のためのパージガスとしてヘリウム、窒素あるいは炭酸ガスなどの高温に加熱した不活性ガスを多量に必要とする他、パージガスを循環させるためのコンプレッサーや該ガスを加熱冷却するための加熱器や熱交換器を必要とするなど、多くの補助原料や設備を要するものであり、依然として経済性に問題があった。
【0011】
このように有機化合物中の水を吸着法で脱水する従来の方法は、吸着剤の再生操作が煩雑であるだけでなく、エネルギー効率面、設備および周辺機材に関わる費用面などにおいて、依然として満足できるものは得られていなかった。
このため、省エネルギーかつ省資源プロセスとして経済的にも優れている、有機化合物を蒸気相として使用する圧力スイング吸着法(PSA)により、さらに効率的に含水有機化合物を脱水する方法の開発が望まれていた。
【0012】
【発明の目的】
本発明は、水を含有する有機化合物(含水有機化合物ともいう)を、吸着剤を用いた圧力スイング吸着法により、エネルギー効率よく経済的に脱水し、連続的に高度に脱水された無水有機化合物を得る方法を提供することを目的とする。
【0013】
【発明の概要】
本発明の有機化合物の脱水方法は、含水有機化合物中の水分を選択的に吸着する吸着剤を充填した少なくとも2つの吸着剤充填塔(吸着塔)を備えた装置を用いて、有機化合物を脱水する方法であって、
(I)含水有機化合物を蒸気として80〜200℃で一方の吸着塔に供給し、含水有機化合物中の水分を吸着剤に吸着させ、無水有機化合物蒸気を得る吸着工程と、
(II)充填された吸着剤が水分を吸着している他方の吸着塔において、圧力を上記吸着工程の吸着塔より減圧した状態で、上記吸着工程(I)で得られた無水有機化合物蒸気の一部をパージガスとして供給して、吸着剤に吸着している水分を脱着し、続いて吸着塔内を吸着工程圧力まで上記パージガスで昇圧する、脱着/昇圧工程と、
を行うとともに、
上記(I)吸着工程と(II)脱着/昇圧工程とを切り替える切り替え操作を行い、
かつ、上記吸着工程(I)および脱着/昇圧工程(II)において、下式(a)で定義されるパージ係数を1〜10の範囲で運転する圧力スイング吸着法で、含水有機化合物を脱水することを特徴としている。
【0014】
【数3】
Figure 0003923699
【0015】
このような本発明の有機化合物の脱水方法は、吸着圧力が100〜300kPaであって、脱着圧力が1〜50kPaであることも好ましい。また、吸着剤が粒状モレキュラーシーブであることも好ましく、特に、粒状モレキュラーシーブの平均細孔直径が0.2〜0.5nmであることも好ましい。さらに、前記パージ係数の範囲が、1〜3.8であることも好ましく、有機化合物の沸点が30〜200℃であることも好ましく、無水有機化合物が、含水率が0.05重量%以下であることも好ましい。
【0016】
またさらに、本発明の有機化合物の脱水方法では、パージガスとして、上記吸着工程(I)で得られた無水有機化合物蒸気の一部を供給する代わりに、不活性ガスを供給してもよい。このような本発明の有機化合物の脱水方法においては、不活性ガスが、窒素、二酸化炭素、水素、メタン、アルゴン、およびヘリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることも好ましく、パージガスが、不活性ガスと、前記吸着工程(I)で得られた無水有機化合物蒸気の一部とからなることも好ましい。
【0017】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の有機化合物の脱水方法は、原料である含水有機化合物の加熱冷却部と、圧力スイング吸着部と、有機化合物回収部からなる装置で行うが、本発明では圧力スイング吸着部の操作方法に特徴があるため、以下、とくに圧力スイング吸着部の操作方法について説明する。
【0018】
本発明では、圧力スイング吸着部における吸着塔は、少なくとも2基必要であるが、以下、吸着塔が2基である場合について説明する。
本発明の有機化合物の脱水方法に係る態様の一例を、第1図に示した二塔式圧力スイング吸着法の概略工程図を参照して説明する。本発明で好ましく用いることができる二塔式圧力スイング吸着塔は、加熱冷却部(図中破線内A)と、圧力スイング吸着部(図中破線内B)と、回収部(図中破線内C)とから構成される。
【0019】
本発明において、原料である含水有機化合物を構成する有機化合物としては、沸点30〜200℃の有機化合物をいずれも用いることができ、具体的には、炭素数1〜8のアルコール類、炭素数3〜7のケトン類、炭素数4〜8のエーテル類、炭素数2〜8のエステル類、炭素数4〜8のアミン類などの水との親和性の高い有機化合物;炭素数5〜10の炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などの、水との親和性が比較的低い有機化合物;などが挙げられる。
【0020】
これらの有機化合物のうち、特に好ましく適用される有機化合物としては、上述したような、水との親和性の高い、沸点30〜200℃の有機化合物が挙げられる。
本発明において、原料である含水有機化合物としては、水を含有する上記有機化合物をいずれも用いることができるが、含水有機化合物中の含水率が、30重量%以下、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下であるのが望ましい。
【0021】
含水有機化合物原料が液体で供給される場合、加熱冷却部(A)では、原料である含水有機化合物をライン(20)から供給し、熱交換器(1)でライン(25)から留出してくる無水有機化合物製品蒸気との熱交換により加熱され、ライン(21)を通じて蒸発器(2)で所定温度まで加熱されて気化され、蒸気となって圧力スイング吸着部に供給される。含水有機化合物原料が蒸気の形態で供給される場合には、熱交換器(1)は使用しなくてもよい。
【0022】
圧力スイング吸着部(B)は吸着剤を充填した固定床の吸着塔(7)、(8)と、原料の供給と脱着ガスの流出を切替えるための切替え弁(3)、(4)、(5)、(6)と、無水製品の流出とパージガスの導入とを切替えるための切替え弁(9)、(10)、(11)、(12)および流量調整弁(13)とから構成されている。
この構成では、切替え弁の開閉を操作するのみで、吸着塔(7)および(8)を吸着工程(I)と脱着/昇圧工程(II)とに交互に供することができる。
【0023】
すなわち、切替え弁(3)、(6)、(10)、(11)を開とし、(4)、(5)、(9)、(12)を閉とすることで、ライン(22)から供給された原料有機化合物蒸気は、切替え弁(3)、ライン(23)を通り吸着塔(7)に供給される。吸着工程側の吸着塔(7)では、水が選択的に吸着され、無水有機化合物蒸気がライン(24)、切替え弁(11)、ライン(25)をとおり、加熱冷却部(A)で凝縮した後、冷却器(14)で冷却され、製品無水有機化合物が得られる。
【0024】
一方、この間切替え弁(11)からでる無水有機化合物蒸気の一部は、パージガスとして、回収部(C)の真空ポンプ(17)および圧力調整弁(16)で、吸着塔(7)よりも減圧に維持されている脱着/昇圧工程側の吸着塔(8)に、ライン(28)、流量調整弁(13)、ライン(29)および切替え弁(10)を通じて供給され、これにより吸着塔(8)中の吸着剤に吸着されている水が脱着され、吸着剤が再生される。このとき、流量調整弁(13)では、パージガスとして供給される無水有機化合物蒸気の流量が調節され、本発明の特定範囲のパージ係数に維持される。
【0025】
吸着工程側では、水分が吸着剤に吸着する際に吸着熱が発生する。このため本発明では、無水有機化合物蒸気の一部をパージガスとして脱着/昇圧工程に用いることにより、パージガスを加熱する手段を設けて加熱することなく、パージガスをそのまま脱着/昇圧工程側に供給することができ、脱着/昇圧工程による吸着剤再生を効率よく経済的に行うことができる。パージガス温度は特に限定されるものではないが、通常40〜200℃である。
【0026】
吸着塔(8)からの、脱着した水を含んだ蒸気流出物は、ライン(31)、切替え弁(6)、ライン(32)を通じて回収部(C)へ抜き出される。これに引き続き、切替え弁(6)を閉じることにより吸着塔(8)を無水有機化合物蒸気の一部で昇圧し、吸着塔(7)と同圧に近い圧力とする昇圧を行う。この脱着/昇圧工程(II)は吸着工程(I)と並行して実施される。
【0027】
このように、吸着塔(7)を吸着工程側、吸着塔(8)を脱着/昇圧工程側として、吸着工程(I)と脱着/昇圧工程(II)とを一定時間同時に行ったあと、切替え弁(4)、(5)、(9)、(12)を開とし、切替え弁(3)、(10)、(11)を閉(切替え弁(6)は昇圧時にすでに閉となっている。)とすることで、吸着塔(7)は減圧されて脱着/昇圧工程側に、吸着塔(8)は吸着工程側に切り替わる。
【0028】
続いて、吸着塔(8)において吸着工程を行うとともに、吸着塔(7)において一定時間脱着を行ったあと切替え弁(5)を閉として無水有機化合物の蒸気の一部で吸着塔(7)を昇圧する脱着/昇圧工程を行う。
このように切替え弁の開閉操作により、吸着塔(7)および(8)を、吸着工程と脱着/昇圧工程とに交互に供することによって、含水有機化合物を連続的に脱水処理し、無水有機化合物製品を得ることができる。この方法によれば、吸着剤を選択することによって、含水率が0.05重量%以下の、実質的に水を含まない無水有機化合物を得ることができる。
【0029】
吸着工程側においては、水分の吸着剤への吸着が蒸気で行われる必要があるため、吸着塔に導入する原料含水有機化合物蒸気が液化しないように、保温施工あるいはスチームトレース施工などを行うのが効果的である。
回収部(C)は、吸着剤から脱着されてくる水蒸気とパージガスとして用いられた無水有機化合物蒸気との混合蒸気を冷却・液化させて回収するコンデンサー(15)と、圧力調整弁(16)、吸着剤の脱着時に脱着/昇圧工程側の吸着塔内を減圧に維持するための真空ポンプ(17)、回収液ドラム(18)および、系外に抜き出すためのポンプ(19)とから構成されている。
【0030】
圧力スイング吸着部(B)のライン(32)から流出してくる、脱着された水および有機化合物からなる混合蒸気は、全量コンデンサー(15)で冷却・液化され、ライン(33)をとおり、回収有機化合物水溶液として回収ドラム(18)に集められる。
このライン(32)から流出してくる蒸気には、原料有機化合物中に溶解している微量の空気など、不活性なガスがわずかに存在するだけであるため、通常運転中は圧力調整弁が開くことで真空ポンプから大気中に気体を排出することはほとんどない。このため真空ポンプの排気容量は小さいものでよく、設備費を少なくすることができる。
【0031】
また、本発明では、前記で説明したパージガスとして、上記吸着工程(I)で得られた無水有機化合物蒸気の一部を用いる代わりに、不活性ガスを用いることもできる。
本発明で用いられる不活性ガスとしては、水分を実質的に含まない乾燥不活性ガスとしての窒素、二酸化炭素、水素、メタン、アルゴンおよびヘリウムから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0032】
パージガスとして不活性ガスを用いる場合、上述した圧力スイング吸着法において、前記吸着工程(I)で得られた無水有機化合物蒸気の一部に代えて、不活性ガスを脱着/昇圧工程(II)に用いること以外は、すべて同一の条件で行うことができる。
すなわち、脱着/昇圧工程側の吸着塔を、吸着工程の吸着塔より減圧した状態で、上述したパージ係数1〜10、好ましくは1〜5の条件で脱着するとともに、吸着塔内を吸着工程圧力まで昇圧する脱着/昇圧工程を実施するものである。
【0033】
また、本発明では、前記吸着工程(I)で得られた無水有機化合物蒸気の一部をパージガスとして用いるとともに、上記不活性ガスを補助的にパージガスとして用いることもできる。
回収ドラム(18)中に回収された有機化合物水溶液は、必要に応じてポンプ(19)を通じて別途設けた有機化合物回収系(図示せず)に抜き出すことができる。有機化合物回収系は本発明では特に限定されない。
【0034】
上述のように、本発明の方法を二塔式圧力スイング吸着法に基づいて説明したが、本発明の有機化合物の脱水方法では、複数の吸着塔による圧力スイング吸着法を用いればよく、三塔式、四塔式など、吸着塔の数は特に限定されない。
例えば二塔式、三塔式および四塔式圧力スイング吸着装置を用いた場合には、各塔における吸着工程と脱着/昇圧工程との運転パターンは、図4に示す運転例により行うことができる。図4を参照して二塔式圧力スイング吸着装置を用いた場合について述べると、吸着塔Aにおいて吸着工程を行う間に、吸着塔Bにおいて減圧・脱着および昇圧を行う脱着/昇圧工程を行い、両工程を切り替えて、吸着塔Bにおいて吸着工程を行う間に吸着塔Aにおいて脱着/昇圧工程を行うことができる。また、この運転パターンは図4に示す運転例に限定されるものではなく、例えば四塔の吸着塔を有する四塔式圧力スイング吸着装置において、二塔で同時に吸着工程を行い、残る二塔で同時に脱着/昇圧工程を行うことができる。
【0035】
本発明では、このように運転のパターンを適宜選択して複数の吸着塔による圧力スイング吸着法を用いればよいが、吸着塔が三塔以上になると、装置構成および制御が複雑になるため、二塔式圧力スイング吸着法によるのが特に好ましい。本発明で用いる含水有機化合物原料としては、含水率が30重量%以下、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下であることが望ましい。
【0036】
次に本発明で用いられる吸着剤について説明する。
本発明の有機化合物の脱水方法で用いる吸着剤は、圧力スイング吸着条件下で、含水有機化合物原料の蒸気から、水分を選択的に吸着分離することのできる吸着剤であればいずれも好適に使用することができるが、水の吸着容量が比較的高く、40〜200℃の条件で水分を選択的に吸着する性能が高いことが好ましい。
【0037】
また、本発明の有機化合物の脱水方法で用いる吸着剤は、原料である含水有機化合物の蒸気を通気させて、水分を選択的に吸着させるため、粒状で通気がよく、水分の吸着および脱着時にも形状安定性がよいこと、耐久性がよいことなどの条件を兼ね備えているのが好ましい。
またさらに、原料が水分を含有するアルコール類、エステル類、エーテル類、アミン類などの場合は、これらの反応性が比較的高いため、酸化還元反応、脱水反応、分解反応および重合反応などの反応に対する触媒活性を持たない吸着剤を用いるのがよい。
【0038】
本発明の有機化合物の脱水方法で用いる吸着塔に充填される吸着剤としては、具体的には、たとえば、シリカゲル、活性アルミナ、モレキュラーシーブ(合成および天然産ゼオライト、カーボンモレキュラーシーブ等)、イオン交換樹脂、硫酸塩無水物、炭酸塩無水物、活性炭あるいは澱粉質などが挙げられる。
本発明ではこのうちモレキュラーシーブを用いるのが好ましく、天然産ゼオライト、合成ゼオライト、カーボンモレキュラーシーブ等、市販の粒状モレキュラーシーブをいずれも好適に用いることができる。粒状モレキュラーシーブの形状は、球状、円柱状、ペレット状、破砕状、顆粒状などのいずれでもよく、30〜3メッシュの範囲の大きさのものをいずれも用いることができる。このうち特に好ましくは、平均細孔直径が0.2〜0.5nmである粒状のモレキュラーシーブを用いるのが望ましく、特に、粒状のゼオライト3A、ゼオライト4A、ゼオライト5AあるいはNSC−4カーボンモレキュラーシーブなどを用いるのが好ましい。
【0039】
これらの吸着剤は、一種のみで用いても、二種以上を適宜混合して用いてもよい。
次に、本発明で用いる圧力スイング吸着法における吸着と脱着の条件について説明する。
本発明では、以下に示す圧力スイング吸着法のパージ係数が1〜10、より好ましくは1〜5となる運転条件で吸着工程(I)および脱着/昇圧工程(II)を行う。本発明は、このようなパージ係数の範囲内において、効率的に有機化合物を脱水できることを見出したものであって、この範囲を外れると、本発明の充分な効果を達成できない。
【0040】
本発明でいうパージ係数は、吸着工程(I)における吸着時の吸着塔内圧力すなわち吸着圧力(Pa)と、脱着/昇圧工程(II)における脱着時の吸着塔内圧力すなわち脱着圧力(Pa)の比および脱着時の再生パージガス量(Nm3/h)と供給する含水有機化合物原料蒸気量(Nm3/h)の比の積により式(a)で表される。
【0041】
【数4】
Figure 0003923699
【0042】
上記式(a)による、パージ係数は、1以上であって1に近いほど圧力スイング吸着法の運転条件は良好であるといえ、パージ係数が1〜10、より好ましくは1〜5となる運転条件を選択して行うのが望ましい。このパージ係数は使用する吸着剤の種類や充填量、温度条件および圧力条件などにより種々変化する。
吸着剤として粒状のモレキュラーシーブを用いた場合には、効果的に無水有機化合物が得られるほか、パージ係数が1〜10の範囲内での操作が容易であるため好ましい。
【0043】
パージ係数が1より小さい場合には、吸着剤の破過により、含水率の低い高純度の無水有機化合物が得られなくなる場合があるほか、吸着工程で生じる吸着熱が小さくなり、これを脱着に利用する効果が小さくなるため望ましくない。
また、パージ係数が10を超えると、パージガスとして使用する無水有機化合物蒸気や不活性ガスの量が多くなるため、経済的に好ましくない。
【0044】
上記式(a)における吸着圧力、すなわち吸着工程側の吸着塔内の圧力は、大気圧より減圧または加圧した条件で行ってもよく、上記パージ係数を満たすものであれば特に吸着圧力の条件は限定されないが、操作の簡便性、設備の経済性などの面からは大気圧付近となる条件であるのが好ましく、100〜300kPaの範囲であるのが経済性や運転性の面から望ましい。
【0045】
また、上記式(a)における脱着圧力、すなわち脱着工程側の吸着塔内の圧力は、上記吸着圧力よりも減圧であればよく、好ましくは1〜100kPa、より好ましくは1〜50kPaであるのが望ましい。脱着圧力が1kPa以下であると、真空ポンプの負荷が大きくなるだけでなく、コンデンサー(15)を低温で操作しなければならないため、冷媒などを用いた低温冷却設備などを設ける必要があり経済的でない。また、脱着圧力が100kPa以上である場合には、パージ係数を10以下にすることが実質的に難しく、経済性が悪化するため好ましくない。
【0046】
本発明で用いる圧力スイング吸着法では、常温で行う通常の圧力スイング吸着法とは異なり、吸着工程に供給する原料含水有機化合物の温度は、原料含水有機化合物が蒸気となる温度であるのがよく、40〜200℃の範囲であるのが特に好ましい。供給温度が40℃未満であると、原料含水有機化合物が吸着塔内で液化する場合があるため好ましくない。また、供給温度が200℃を超えると脱水効率が低下する他、有機化合物の脱水反応、分解反応、重合反応、酸化反応などが生じる場合があり、種々の不純物が生成し、製品無水有機化合物の品質が劣化することがあるため好ましくない。なお、ここでいう供給温度とは、吸着工程側の吸着塔に原料の含水有機化合物蒸気を導入するときの蒸気温度である。
【0047】
次に、吸着工程側と脱着/昇圧工程側とを交互に切り替える、本発明で用いる圧力スイング吸着法において、吸着工程(I)および脱着/昇圧工程(II)の各工程に要する時間について述べる。
本発明では、各工程に要する時間は特に限定するものではなく、空気分離や水素分離などの一般に行われている圧力スイング吸着法と同様の時間でよいが、以下の条件を満たす時間であるのが望ましい。
【0048】
一方の吸着塔において吸着工程(I)を行う吸着時間は、吸着剤の水分吸着量が飽和に達するまでの間であればよい。吸着時間が飽和に達する時間より長い場合には、吸着工程側の吸着剤が含水有機化合物蒸気中の水分を吸着して飽和した後に、吸着剤の固定床から水分のリーク(破過現象)を生じるため好ましくない。
【0049】
また、脱着/昇圧工程(II)は上記吸着工程(I)と並行して行われるため、他方の吸着塔において脱着/昇圧工程(II)を行う時間は、上記吸着工程(I)を行う時間と同じでよい。この脱着/昇圧工程(II)を行う時間のうち、脱着を行う時間としては、水分を吸着した吸着剤から水分を除去して再生するために充分な時間が必要であり、また、昇圧を行う時間としては、脱着/昇圧工程側を吸着工程側とほぼ同圧とするための時間が必要である。
【0050】
これらの各工程に要する時間は、原料である含水有機化合物の種類や、含水有機化合物蒸気中の水分量、供給原料蒸気量および流速、吸着剤の飽和水分量(吸着能)および吸着剤の量などにより異なり、特に限定されるものではないが、吸着工程(I)を行う時間は5〜60分程度が好ましく、脱着/昇圧工程(II)のうち、脱着を行う脱着段階の時間は2〜55分程度が好ましく、昇圧を行う昇圧段階の時間は1〜15分程度であるのが好ましい。
【0051】
本発明では、パージガスとして、吸着工程(I)で得られる無水有機化合物蒸気の一部または不活性ガスを用い、さらに、上述のパージ係数が1〜10、好ましくは1〜5を満たすように原料供給量、パージガス量、吸着圧力、脱着圧力および各工程の時間を選択することで、含水有機化合物を高度に脱水することができ、含水率0.05重量%以下の無水有機化合物を得ることができる。
【0052】
次に熱エネルギーについて述べる。
脱着/昇圧工程(II)のうち、吸着剤に吸着した水分を脱着する脱着段階では、吸着剤に吸着されている水分が脱着する際に脱着熱が必要となるため、脱着/昇圧工程側には、脱着熱に相当する熱量を与える必要がある。
一方吸着工程では、吸着剤が含水有機化合物蒸気中の水分を吸着する際に吸着熱が発生する。このため、吸着工程側の吸着塔内には吸着熱が蓄えられることとなる。吸着熱による吸着剤の温度上昇は、水分の吸着量に比例するため、原料である含水有機化合物蒸気中の水分量、供給原料蒸気量および流速、吸着剤の飽和水分量(吸着能)および吸着剤の量などによっても異なるが、通常5〜50℃の範囲で温度上昇が生じる。
【0053】
本発明の有機化合物の脱水方法では、吸着工程側で脱水された無水有機化合物蒸気の一部または不活性ガスをパージガスとして脱着/昇圧工程側に供給するだけで、脱着/昇圧工程側で要する脱着熱を新たに加えることなく、吸着工程側で発生する吸着熱を利用して脱着/昇圧工程を行うことができる。
さらに本発明の有機化合物の脱水方法では、このような工程の制御を切替え弁の切替えによる減圧操作および昇圧操作のみで行うことができ、含水有機化合物の脱水をきわめて省エネルギーで行うことができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、水を含有する有機化合物を、吸着剤を用いた蒸気相での加温下での圧力スイング吸着法により、エネルギー効率よく経済的に脱水し、高純度の無水有機化合物を製造することができる。
また、本発明の方法によれば、切替え弁の切替だけという極めて簡便な方法で吸着剤の再生操作を行うことができる。さらに、脱着再生の際の加熱が不要なため省エネルギーであり、コンプレッサーなどの周辺設備が不要であるので設備費が安価である。また、パージガスとして製品脱水有機化合物蒸気の一部を用いる場合には、設備が単純で運転も容易であるので、運転コストおよび設備コストの面から有利であり、パージガスの一部または全部として、製品無水有機化合物蒸気に代えて乾燥不活性ガスを用いる場合には、製品無水有機化合物の収率を上げることができる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
【実施例1】
ステンレス製吸着塔(外径:60.5mm、内径:54.9mm、長さ:1m)2本からなる、図1に示す2塔式圧力スイング吸着塔を用い、吸着剤として市販のゼオライト系モレキュラーシーブ吸着剤である、ゼオライト3A(東ソー(株)製、商品名:ゼオラムA−3)を各吸着塔に2000gずつ充填した。この装置を用いて、含水率6.0重量%の含水エタノールを原料とし、原料蒸気供給温度90℃、原料供給速度830.0g/h、吸着塔内の初期設定温度90℃、吸着圧力104.3kPa、脱着圧力13.3kPa、パージガス:製品無水エタノールの一部、パージ係数2.14の条件で原料の脱水を行った。各工程の設定時間は、吸着時間15分、脱着時間10分、昇圧時間5分であって、各吸着塔における1サイクルの所要時間は30分とした。
【0057】
この条件下で連続的にエタノール脱水を行い、原料供給開始から16時間後に、製品および回収エタノールの組成、吸着塔内の温度分布変化が安定状態にあることを確認した。またこのとき、含水率0.01重量%の無水エタノールが532.0g/hで得られた。
この時点より、吸着工程側と脱着/昇圧工程側の各吸着塔内の温度を5分ごとに実測した。この結果得られた、吸着工程側の塔内温度分布変化を図2(吸着工程温度分布変化図)、脱着/昇圧工程側の塔内温度分布変化を図3(脱着/昇圧工程温度分布変化図)に示す。
【0058】
図2において、吸着工程側と脱着/昇圧工程側との切り替え操作が完了した直後の吸着開始時(吸着0分)には、吸着塔内温度は88〜92℃程度の範囲でほぼ一定の緩やかな温度分布を示している。
吸着開始から5分後には、水分の選択的吸着により吸着剤が発熱し、含水エタノール原料入口からの距離15%付近がピークとなる温度分布を示し、このときのピーク温度は99℃であった。
【0059】
吸着開始から10分後には、発熱領域が中央側にまで拡大し、原料入口からの距離30%付近がピークとなる温度分布を示し、このときのピーク温度は107℃であった。
吸着開始から15分後の吸着終了時には、温度分布のピークは原料入口からの距離45%付近となり、このときのピーク温度は110℃まで上昇した。
【0060】
この間、脱水されたエタノール製品出口の温度はあまり変化せず、設定温度の90℃付近で安定している。この事実は、水の選択的吸着により発熱したエネルギーは、ほぼ吸着剤そのものに蓄えられていることを示している。
一方、図3において、脱着/昇圧工程側では、吸着終了時(脱着0分)から脱着を開始し、脱着開始から5分後には、発熱領域の大部分が水分の脱着により急激な温度降下を示しパージガス入口からの距離90%付近では温度88℃、パージガス入口からの距離40%付近では温度97℃であった。
【0061】
脱着開始から10分後の脱着完了時には、温度の降下は緩やかになり、パージガス入口からの距離90%付近では温度85℃、パージガス入口からの距離40%付近では温度92℃であった。
つづいて昇圧を行ったところ、昇圧完了時である昇圧開始から5分後(吸着0分)の切り替え操作時には、原料入口からの距離50%付近にやや温度の高い領域を持つ88〜92℃程度の範囲でのほぼ一定の緩やかな温度分布を示し、上記図2における吸着開始時と一致する温度分布となった。
【0062】
これにより、吸着の際に吸着剤に蓄えられた吸着熱が脱着熱として使用され、パージガスを別途加熱することなく、吸着剤が良好に水分を吸着および脱着したことが示された。
【0063】
【実施例2〜6】
ステンレス製吸着塔(外径:60.5mm、内径:54.9mm、長さ:1m)2本からなる、図1に示す2塔式圧力スイング吸着塔を用い、吸着剤として市販のゼオライト3A(東ソー(株)製、商品名:ゼオラムA−3)を各吸着塔に2000gずつ充填し、含水率6.0重量%の含水エタノールを所定温度に加熱蒸発させて吸着塔に供給し、製品無水エタノールの一部をパージガスとして、原料含水エタノールの脱水を行った。原料含水エタノールの脱水操作全体にわたり、原料含水エタノールを所定温度に加熱蒸発させる以外の熱供給は行わなかった。
【0064】
原料含水エタノールの脱水は、表1に示す原料供給量、原料供給温度、吸着圧力、脱着圧力、パージガス量およびパージ係数の条件で行った。
得られた無水エタノールの含水率および流出量を表1に示す。
なお、得られた無水エタノールは、専売アルコール分析法による有機不純物の分析の結果、いずれも新たな有機不純物の生成は認められなかった。
【0065】
【実施例7】
吸着剤として市販のゼオライト4A(東ソー(株)製、商品名:ゼオラムA−4)を各吸着塔に2000gずつ充填し、表1に示す原料供給量、原料供給温度、吸着圧力、脱着圧力、パージガス量およびパージ係数の条件としたことのほかは、実施例2と同様にして原料含水エタノールの脱水を行った。
【0066】
得られた無水エタノールの含水率および流出量を表1に示す。
なお、得られた無水エタノールは、専売アルコール分析法による有機不純物の分析の結果、新たな有機不純物の生成は認められなかった。
【0067】
【比較例1】
実施例2において、原料供給温度90℃、パージ係数を0.92としたこと以外は実施例1と同様にして原料含水エタノールの脱水操作を行った。操作条件および、得られた無水エタノールの含水率および流出量を表1に示す。
得られたエタノールの含水率は1.035重量%と高く、吸着剤の破過により高度な脱水がなされなかったことがわかる。
【0068】
【表1】
Figure 0003923699
【0069】
この結果、パージ係数が1〜10の範囲にある実施例2〜7では、いずれも良好に原料含水エタノールを脱水することができ、高純度の無水エタノール製品を得ることができた。
【0070】
【実施例8】
原料として含水率8.5重量%のイソプロピルアルコールを用い、原料供給量794.6g/h、パージガス:製品無水イソプロピルアルコールの一部、パージ係数を3.1としたことのほかは、実施例2と同様にして、原料含水イソプロピルアルコールの脱水を行った。
【0071】
この結果、含水率0.012重量%の製品無水イソプロピルアルコールが376.7g/hで連続して得られた。
なお、ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、得られた無水イソプロピルアルコールには、原料中に認められた以外の有機不純物の混在は見うけられず、新たな有機化合物の生成は認められなかった。
【0072】
【実施例9】
原料として含水率5.6重量%の1,4−ジオキサンを用い、原料供給量751.2g/h、原料供給温度120℃、パージ係数を1.5としたことの他は、実施例5と同様にして原料含水1,4−ジオキサンの脱水を行った。
この結果、含水率0.007重量%の1,4−ジオキサンが613.5g/hで連続して得られた。
【0073】
なお、ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、得られた無水1,4−ジオキサンには、原料中に認められた以外の有機不純物の混在は見うけられず、新たな有機化合物の生成は認められなかった。
【0074】
【実施例10】
原料として含水率4.4重量%のアセトンを用い、原料供給量927.9g/h、原料供給温度80℃、パージ係数を1.1としたことの他は、実施例2と同様にして原料含水アセトンの脱水を行った。
この結果、含水率0.008重量%のアセトンが748.7g/hで連続して得られた。
【0075】
なお、ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、得られた無水アセトンには、原料中に認められた以外の有機不純物の混在は見うけられず、新たな有機化合物の生成は認められなかった。
【0076】
【実施例11】
実施例1において、パージガスとして、製品無水エタノールを用いる代わりに90℃の窒素ガスを0.08Nm3/hで供給して、パージ係数を1.55としたことの他は、実施例1と同様にして原料含水エタノール(原料供給速度:800g/h)の脱水を行った。
【0077】
この結果、含水率0.01重量%の無水エタノールが730.0g/hで連続して得られた。なお、ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、得られた無水エタノールには、原料中に認められた以外の有機不純物の混在は見うけられず、新たな有機化合物の生成は認められなかった。
【0078】
【比較例2】
実施例1と同じ装置を用い、吸着工程を、吸着圧力120kPa、温度100℃とし、脱着工程を、パージガスとして220℃に加熱した窒素ガスを1.0Nm3/hで供給して、吸着圧力と同圧で、熱スイング吸着方式(TSA)によって、気化した原料含水エタノール(100℃、含水率6.0%、供給速度800g/h)の脱水を行った。
【0079】
この結果、含水率0.01重量%の無水エタノールが729g/hで連続して得られた。なお、ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、得られた無水エタノール中に、36ppmのジエチルエーテルの生成が認められた。
実施例11と比較例2の結果から、本発明によれば、脱着/昇圧工程で不活性ガスを用いた場合にも、効率的に含水有機化合物の脱水がなされることがわかり、エネルギー使用量が少なく、不活性ガス使用量も約1/10程度の少量でよく、しかも不純物の生成がないことから、本発明の有機化合物の脱水方法が、熱スイング吸着法(TSA)と比較して、特に効率的な方法であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の有機化合物の脱水方法の態様の一例を示す概略工程図である。
【図2】 図2は、実施例1における吸着工程側の塔内温度分布変化を表すグラフである。
【図3】 図3は、実施例1における脱着/昇圧工程側の塔内温度分布変化を表すグラフである。
【図4】 図4は、二塔式、三塔式および四塔式の吸着塔を用いた、圧力スイング吸着法の運転パターン例を示す図である。
【符号の説明】
(A)… 加熱冷却部
(B)… 圧力スイング吸着部
(C)… 回収部
(1)… 熱交換器
(2)… 蒸発器
(3)、(4)、(5)、(6)… 原料の供給と脱着ガスの流出を切替える切替え弁
(7)、(8)… 吸着塔
(9)、(10)、(11)、(12)… 無水製品の流出とパージガスの導入とを切替える切替え弁
(13)… 流量調整弁
(14)… 冷却器(クーラー)
(15)… コンデンサー
(16)… 圧力調整弁
(17)… 真空ポンプ
(18)… 回収液ドラム
(19)… ポンプ
(20)〜(38)… ライン

Claims (9)

  1. 含水有機化合物中の水分を選択的に吸着する吸着剤を充填した少なくとも2つの吸着剤充填塔(吸着塔)を備えた装置を用いて、有機化合物を脱水する方法であって、
    (I)含水有機化合物を蒸気として80〜200℃で一方の吸着塔に供給し、含水有機化合物中の水分を吸着剤に吸着させ、無水有機化合物蒸気を得る吸着工程と、
    (II)充填された吸着剤が水分を吸着している他方の吸着塔において、圧力を上記吸着工程の吸着塔より減圧した状態で、上記吸着工程(I)で得られた無水有機化合物蒸気の一部をパージガスとして供給して、吸着剤に吸着している水分を脱着し、続いて吸着塔内を吸着工程圧力まで上記パージガスで昇圧する、脱着/昇圧工程と、
    を行うとともに、
    上記(I)吸着工程と(II)脱着/昇圧工程とを切り替える切り替え操作を行い、
    かつ、上記吸着工程(I)および脱着/昇圧工程(II)において、下式(a)で定義されるパージ係数を1〜10の範囲で運転する圧力スイング吸着法で、含水有機化合物を脱水することを特徴とする有機化合物の脱水方法。
    Figure 0003923699
  2. 吸着圧力が100〜300kPaであって、脱着圧力が1〜50kPaである請求項1に記載の有機化合物の脱水方法。
  3. 吸着剤が粒状モレキュラーシーブである請求項1または2に記載の有機化合物の脱水方法。
  4. 粒状モレキュラーシーブの平均細孔直径が0.2〜0.5nmである請求項3に記載の有機化合物の脱水方法。
  5. 前記パージ係数の範囲が、1〜3.8であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機化合物の脱水方法。
  6. 有機化合物の沸点が30〜200℃である請求項1〜5のいずれかに記載の有機化合物の脱水方法。
  7. 無水有機化合物が、含水率が0.05重量%以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の有機化合物の脱水方法。
  8. 含水有機化合物中の水分を選択的に吸着する吸着剤を充填した少なくとも2つの吸着剤充填塔(吸着塔)を備えた装置を用いて、有機化合物を脱水する方法であって、
    (I)含水有機化合物を蒸気として80〜200℃で一方の吸着塔に供給し、含水有機化合物中の水分を吸着剤に吸着させ、無水有機化合物蒸気を得る吸着工程と、
    (II)充填された吸着剤が水分を吸着している他方の吸着塔において、圧力を上記吸着工程の吸着塔より減圧した状態で、パージガスとして不活性ガスを供給して、吸着剤に吸着している水分を脱着し、続いて吸着塔内を吸着工程圧力まで上記パージガスで昇圧する、脱着/昇圧工程と、
    を行うとともに、
    上記(I)吸着工程と(II)脱着/昇圧工程とを切り替える切り替え操作を行い、
    かつ、上記吸着工程(I)および脱着/昇圧工程(II)において、下式(a)で定義されるパージ係数を1〜10の範囲で運転する圧力スイング吸着法で、含水有機化合物を脱水することを特徴とする有機化合物の脱水方法。
    Figure 0003923699
  9. 不活性ガスが、窒素、二酸化炭素、水素、メタン、アルゴン、およびヘリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項8に記載の有機化合物の脱水方法。
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