JP3922873B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡レンズ等に好適に使用されるフォトクロミック性硬化体、及び該硬化体を与える硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトクロミズムとは、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり、光の照射をやめて暗所におくと元の色に戻る可逆作用のことであり、様々な用途に応用されている。
【0003】
例えば、眼鏡レンズの分野においてもフォトクロミズムが応用されており、上記のような性質を有する各種フォトクロミック化合物を添加した重合性単量体を硬化させることによりフォトクロミック性を有するプラスチックレンズが得られている。そして、フォトクロミック化合物としてもこのような用途に好適に使用できるフルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物等が見い出されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらフォトクロミック化合物を高分子中に分散させた場合には、溶媒にこれら化合物を溶解させた溶液の場合と比べて発色濃度が低くなったり発・退色速度(特に退色速度)が遅くなったりしてしまい、フォトクロミック化合物が本来有する特性をそのまま生かしたフォトクロミック性硬化体は得られていない。
【0005】
本発明者等は、上記のような現象は分子のサイズが大きいフォトクロミック化合物において特に顕著であることから、このような現象が発現するのは溶液中に比べて高分子などのマトリックス中ではフォトクロミック化合物分子が自由に運動できる自由空間が圧倒的に小さいためと考え、このような問題のない硬化性組成物として、硬化体マトリックス中の自由空間が広い硬化性組成物を提案している(特願平11−205165号)。該硬化性組成物においては、ラジカル重合性単量体として、通常使用される重合性単量体と、少なくとも3つの重合基を有する多官能重合性単量体とを組み合わせることにより所期の効果を得ることに成功している。
【0006】
しかしながら上記硬化性組成物においては、その硬化体表面に、現在プラスチックレンズで一般的に使用されている“縮合法によって硬化させるハードコート”を施した場合、ハードコートの密着性が低下するという問題が生じることが判明した。
【0007】
そこで、本発明の目的は、発色濃度が高く、退色速度が速いといった優れたフォトクロミック特性を示し、しかも基材と前述のハードコートとの密着性に優れたフォトクロミック性硬化体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行なった。その結果、多官能ラジカル重合性単量体と特定のシリル基を有する単官能メタクリレート化合物と他のラジカル重合性単量体とを組み合わせてフォトクロミック化合物と混合して得られた硬化性組成物を硬化させて得た硬化体は、発色濃度が高く、退色速度が速いといった優れたフォトクロミック特性を示し、しかも前述のハードコートとの密着性に優れ、さらに重合後にガラスモールド等の鋳型から該硬化体を取り出す際の離型性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、
(A) 少なくとも3つの重合性基を有する多官能ラジカル重合性単量体(以下、A成分ともいう)、
(B) アルコキシシリル基を有するラジカル重合性単量体、(以下、B成分ともいう)、及び
(C) 上記(A)、(B)以外のラジカル重合性単量体(以下、C成分ともいう)
からなり、A成分の含有率が1〜50重量%であり、B成分の含有率が0.5〜20重量%であり、残余がC成分であるラジカル重合性単量体100重量部、並びに
(D) フォトクロミック化合物0.0001〜10重量部を含有してなることを特徴とする硬化性組成物である。
【0010】
上記本発明の硬化性組成物の中でも、B成分として下記一般式(1)
【0011】
【化3】
Figure 0003922873
【0012】
(式中、R1はアルキレン基であり、R2はアルキル基又はアルコキシ基であり、R3はアルコキシ基であり、aは1〜5の整数であり、bは0〜の整数であり、cは1〜3の整数であり、b+c=3である。)
で示されるシリル基含有単官能メタクリレート化合物を使用したものは、他の物性を低下させることなくハードコート密着性を向上させる効果が高い。
【0013】
また、他の本発明は、上記本発明の硬化性組成物を硬化させてなるフォトクロミック性硬化体である。
【0014】
本発明は、理論に拘束されるものではないが、前記特願平11−205165号で提案したような硬化性組成物においては多官能重合性単量体を使用しているためにその硬化体の表面の疎水性が強くなってしまい前記ハードコートとの密着性が低下するのに対し、本発明の効果性組成物においては、ハードコート成分と反応性を有するモノマー成分が適量含まれているため、成形時に硬化体を鋳型からはずすときの離型性を低下させることなくハードコートとの密着性が改善されるものと思われる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の硬化性組成物は、前記A成分、B成分、及びC成分からなるラジカル重合性単量体、並びに前記D成分であるフォトクロミック化合物を含有してなる。
【0016】
本発明の硬化性組成物においては、ラジカル重合性単量体のA成分として、少なくとも3つの重合基を有する多官能ラジカル重合性単量体を使用する。この様な多官能ラジカル重合性単量体を使用することにより、本発明の硬化性組成物を硬化して得られるフォトクロミック性硬化体は、発色濃度が極めて高く、退色速度が著しく速いものになる。
【0017】
該多官能ラジカル重合性単量体としては、その分子内に重合性基を3個以上有する化合物であれば特に限定されず、公知の化合物が何ら制限なく使用できるが、工業的な入手のしやすさから分子中に重合性基を3〜6個有するものを使用するのが好ましい。なお、重合性基とは、ラジカル重合性を有する基を意味する。
【0018】
本発明の硬化性組成物においては、硬化体の硬度を高くし且つフォトクロミック性の退色速度を速くするという観点から、A成分である多官能重合性単量体としては、単独重合したときに得られる重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上、特に65〜130である多官能ラジカル重合性単量体を使用するのが好ましい。ここで、Lスケールロックウエル硬度とは、JIS−B7726に従って測定される硬度を意味し、各重合性単量体(モノマー)の単独重合体について該測定を行うことにより上記硬度の条件を満足するかどうかを簡単に判断することができる。具体的には、後述する実施例に示すように、モノマーを重合させて厚さ2mmの硬化体を得、これを25℃の室内で1日保持した後にロックウェル硬度計を用いて、Lスケールロックウェル硬度を測定することにより容易に確認することが出来る。なお、上記測定試料となる硬化体においては、該硬化体を得るために仕込んだモノマーの90%以上が重合していればよい。重合率が90%以上であれば、硬化体のLスケールロックウェル硬度はほぼ一定の値として測定される。
【0019】
本発明でA成分として好適に使用できる多官能ラジカル重合性単量体としては、トリメタクリレート誘導体、トリアクリレート誘導体、テトラメタクリレート誘導体、テトラアクリレート誘導体、トリイソシアネート誘導体、テトライソシアネート誘導体、トリオール誘導体、トリチオール誘導体、テトラチオール誘導体、トリエポキシ誘導体、トリウレタンメタアクリレート誘導体、テトラウレタンメタアクリレート誘導体、ヘキサウレタンメタアクリレート誘導体、トリビニル誘導体、テトラビニル誘導体、トリアリル誘導体等を挙げることができ、中でもメタクリロイル基又はアクリロイル基を有するものとしてトリメタクリレート誘導体、トリアクリレート誘導体、テトラメタクリレート誘導体、テトラアクリレート誘導体、トリウレタンメタアクリレート誘導体、テトラウレタンメタアクリレート誘導体、ヘキサウレタンメタアクリレート誘導体等を挙げることが出来る。
【0020】
さらにこれらの中でも、原料入手のし易さおよび硬化体硬度の調整のし易さの観点から、下記一般式(2)
【0021】
【化4】
Figure 0003922873
【0022】
(式中、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基であり、R6は3〜6価の有機残基であり、dは0〜3の整数であり、eは3〜6の整数である。)
で示される多官能ラジカル重合性単量体を使用するのが特に好ましい。
【0023】
好適に使用できる前記一般式(2)で示される多官能ラジカル重合性単量体を具体的に例示すると、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリウレタンオリゴマーテトラアクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサメタクリレート等を挙げることができる。これら多官能ラジカル重合性単量体は2種以上混合して使用してもよい。
【0024】
本発明の硬化性組成物の全重合性単量体(即ち、A、B、及びC成分の合計)に占めるにA成分の割合は、1〜50重量%である必要がある。該割合が1重量%未満のときには、フォトクロミック特性の退色速度が十分に速くならず、また、50重量%を越えるときは、硬化体の強度が脆くなり、好ましくない。硬化体のフォトクロミック特性及び強度の観点から、全重合性単量体中のA成分の量は2〜40重量%、特に2〜30重量%であるのが好ましい。
【0025】
本発明の硬化性組成物で使用する重合性単量体は、B成分としてアルコキシシリル基(即ちアルコキシ基を有するシリル基)を有するラジカル重合性単量体(以下、シリルモノマーともいう。)を含有する必要がある。該シリルモノマーを含有することにより、本発明の硬化性組成物を硬化して得られるフォトクロミック性硬化体と、縮合法によって硬化させるハードコートとの密着性が著しく向上する。シリルモノマーの中でも前記一般式(1)で示されるシリル基を含有する単官能メタクリレート化合物は、その入手が容易であるばかりでなく硬化体の物性を低下させずにハードコート密着性を向上させる効果が高いので、B成分としては該化合物を用いるのが好適である。
【0026】
なお、前記一般式(1)において、R1は、アルキレン基であり、R2はアルキル基又はアルコキシ基であり、R3はアルコキシ基であり、aは1〜5の整数であり、bは0〜の整数であり、cは1〜3の整数であり、b+c=3である。
【0027】
ハードコートとの密着性の点から、上記R1で示されるアルキレン基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素数1〜4のアルキレン基であるのが好ましく、中でもメチレン基が最も好ましい。
【0028】
また、同じ理由から、R2におけるアルキル基、及びアルコキシ基としては、それぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、及びメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基であるのが好ましい。また、R3におけるアルコキシ基としては、上記R2におけるアルコキシ基と同じものが挙げられ、同様に炭素数1〜4のアルコキシ基であるのが好ましい。
【0029】
また、式中のR1の個数を表すaは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。また、R2の個数を表すbは0〜の整数であり、好ましくは0〜1の整数である。また、R3の個数を表cは1〜3の整数であり、好ましくは2〜3の整数である。なお、bとcの合計は3である。
【0030】
好適に使用できる前記一般式(1)で示されるシリルモノマーを具体的に例示すると、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。
【0031】
本発明の硬化性組成物で使用する全重合性単量体中に占めるシリルモノマーの配合割合は、0.5〜20重量%である必要がある。該配合割合が0.5重量%未満のときには、得られる硬化体とハードコートとの密着性が悪くなり、また、該配合割合が20重量%を越えるときは、重合時にガラスモールド等の鋳型を使用した場合における鋳型と硬化体との密着性が向上し、鋳型から硬化体を外すときの離型性が悪化したり他の物性が低下したりする。ハードコート密着性及び離型性等のバランスの観点から、B成分の全重合性単量体中に対する配合割合は、1〜10重量%、特に2〜10重量%であるのが好ましい。
【0032】
本発明の硬化性組成物におけるラジカル重合性単量体は、前記A成分及びB成分以外のラジカル重合性単量体であるC成分を含む。該C成分としてのラジカル重合性単量体は、前記A成分及びB成分以外のラジカル重合性単量体であれば特に限定されず、公知のものが何ら制限なく使用できるが、得られる硬化体の硬度や耐熱性等の基本特性、及びフォトクロミック特性が優れたものになるという観点から、(i)単独重合したときに得られる重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上、特に65〜130である2官能重合性単量体(以下、単に「高硬度2官能モノマー」ともいう)、(ii)分子中に1個のラジカル重合性基と少なくとも1個のエポキシ基を有する重合性単量体(以下、単に「エポキシ系モノマー」ともいう)、(iii)単独重合したときに得られる重合体のLスケールロックウエル硬度が40以下である重合性単量体(以下、単に「低硬度モノマー」ともいう)、(iv)特定のアリルエーテル化合物またはアリルチオエーテル化合物からなる重合性単量体(以下、単に「アリルエーテル系モノマー」ともいう)、及び(v)上記(i)〜(iv)以外の重合性単量体(以下、単に「他モノマー」ともいう)からなる群より選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性単量体を使用するのが好適である。
【0033】
以下、これら各ラジカル重合性単量体について説明する。
【0034】
前記(i)の高硬度2官能モノマーは、得られる硬化体の硬度や耐熱性等の基本特性を良好にするという作用をする。該高硬度2官能モノマーとしては、上記条件を満足するものであれば特に限定されず、ジメタクリレート誘導体、ジアクリレート誘導体、ジビニル誘導体、ジアリル誘導体、ジシアノ誘導体、ジオール誘導体、ジチオール誘導体、ウレタンジメタクリレート誘導体、ウレタンジアクリレート誘導体、ジエポキシ誘導体等が使用できる。これらの中でも、成形性の容易さという理由から、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有するものとしてジメタクリレート誘導体、ジアクリレート誘導体、ジビニル誘導体、ウレタンジメタクリレート誘導体、ウレタンジアクリレート誘導体等を使用するのが特に好ましい。
【0035】
さらにこれらの中でも原料入手及び硬度調節の容易さの観点から、下記一般式(3)又は下記一般式(4)で示される2官能重合性単量体が特に好適である。
【0036】
ここで、一般式(3)で示される2官能重合性単量体とは、下記一般式(3)
【0037】
【化5】
Figure 0003922873
【0038】
{式中、R7及びR8は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R9及びR10は、それぞれ独立に水素原子、メチル基、又はエチル基であり、Aは直鎖状或いは分岐状のアルキレン基、置換もしくは非置換のフェニレン基、或いは下記式
【0039】
【化6】
Figure 0003922873
【0040】
で示される基、又は下記式
【0041】
【化7】
Figure 0003922873
【0042】
(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基(即ち、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、塩素原子、又は臭素原子であり、pおよびqは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、下記式
【0043】
【化8】
Figure 0003922873
【0044】
で示される環は、ベンゼン環又はシクロヘキサン環であり、当該環がベンゼン環であるときには、Xは、下記
【0045】
【化9】
Figure 0003922873
【0046】
に示される何れかの基、又は下記式
【0047】
【化10】
Figure 0003922873
【0048】
で示される基であり、前記環がシクロヘキサン環であるときには、Xは、下記
【0049】
【化11】
Figure 0003922873
【0050】
に示される何れかの基である。)
で示される基であり、mおよびnはそれぞれ0〜6の整数であり、m+nの平均はR7およびR8がメチル基の時は、1〜6、好ましくは2〜6であり、R7およびR8が水素原子であるときは、1〜3である。}
示される2官能重合性単量体である。
【0051】
なお、上記一般式(3)にける各種記号で示される基は括弧書きで説明した通りであるが、Aで示される直鎖状或いは分岐状のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、ヘキシレン基、ノニリレン基等の炭素数2〜9のものが好ましい。また、Aで示されるフェニレン基の置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基(即ち、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、塩素原子、又は臭素原子等が好ましい。
【0052】
また、前記一般式(3)で示される2官能重合性単量体は、通常、m及びnが異なる分子の混合物の形で得られるため、前記式においてm及びnは、m+nの平均値で記載した。
【0053】
また、一般式(4)で示される2官能重合性単量体とは、下記一般式(4)
【0054】
【化12】
Figure 0003922873
【0055】
(式中、R13及びR14は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R15は水素原子、メチル基、又はエチル基であり、rは1〜10の整数であり、該rはR13及びR14がメチル基であるときは、1〜10、好ましくは2〜9の整数であり、R13及びR14が水素原子であるときは、1〜3である。)
で示される2官能重合性単量体である。
【0056】
上記一般式式(3)又は一般式(4)で示される2官能重合性単量体を具体的に例示すれば、一般式(3)で示されるものとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモー4ーメタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン等が、一般式(4)で示されるものとして、1,4ブチレングリコールジメタクリレート、1,9ノニレングリコールジメタクリレート、ネオペンチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これら2官能重合性単量体は2種以上混合して使用してもよい。
【0057】
これら高硬度2官能モノマーの配合割合は、全ラジカル重合性単量体全体の重量を基準として30〜90重量%、特に40〜80重量%であるのが好適である。
【0058】
前記(ii)のエポキシ系モノマーは、これを添加することによりフォトクロミック性の耐久性を向上させるという作用を有する。該エポキシ系モノマーとしては、下記一般式(5)
【0059】
【化13】
Figure 0003922873
【0060】
(式中、R16及びR17は、それぞれ水素原子又はメチル基であり、R18及びR19は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキレン基、又は
【0061】
【化14】
Figure 0003922873
【0062】
で示される基であり、s及びtは、それぞれ0〜20の整数である。)
で示される化合物を使用するのが好適である。
【0063】
ここで、R18及びR19で示されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
【0064】
上記式(5)で示される化合物のうち好適なものを例示すれば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−モノグリシジルエーテル−メタクリレート、4−グリシジルオキシメタクリレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、平均分子量540のグリシジルオキシポリエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。これらの中でもグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートおよび平均分子量540のグリシジルオキシポリエチレングリコールメタクリレートが特に好ましい。
【0065】
これらエポキシ系モノマーの配合割合は、全ラジカル重合性単量体全体の重量を基準として0.01〜30重量%、特に0.1〜20重量%であるのが好適である。
【0066】
前記(iii)の低硬度モノマーは、硬化体の強度及びフォトクロミック性の退色速度を向上させる作用を有する。該低硬度モノマーは、前記した(i)の高硬度2官能モノマーと併用するのが特に好ましい。
【0067】
上記低硬度モノマーとしては、下記一般式(6)又は下記一般式(7)で示される化合物を使用するのが好適である。
【0068】
【化15】
Figure 0003922873
【0069】
(式中、R20、R21、及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基であり、R23は、水素原子、炭素数1〜25のアルキル基、アルコキシアルキル基、アリール基、アシル基、末端にエポキシ基を有するアルキルオキシ基、メタクリロイル基、アクリロイル基、ハロアルキル基、又はオレイル基であり、Zは酸素原子又は硫黄原子であり、R20がメチル基またはエチル基であり且つR23がメタクリロイル基およびアクリロイル基以外の基である場合は、v及びv'はそれぞれ4〜70及び0〜70の整数であり、R20がメチル基またはエチル基であり且つR23がメタクリロイル基またはアクリロイル基である場合は、vおよびv'はそれぞれ7〜70および0〜70の整数であり、R20が水素原子である場合は、vおよびv'はそれぞれ4〜70および0〜70の整数である。)
【0070】
【化16】
Figure 0003922873
【0071】
(式中、R24は水素原子又はメチル基であり、R25は、R24が水素原子であるときは、炭素数1〜20のアルキル基であり、R24がメチル基であるときは、炭素数8〜40のアルキル基である。)
上記式(6)で示される化合物のうち好適なものを例示すれば、平均分子量526のポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量360のポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量475のメチルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量1000のメチルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量375のポリプロピレングリコールメタクリレート、平均分子量430のポリプロピレングリコールメタクリレート、平均分子量622のポリプロピレングリコールメタクリレート、平均分子量620のメチルエーテルポリプロピレングリコールメタクリレート、平均分子量566のポリテトラメチレングリコールメタクリレート、平均分子量2034のオクチルフェニルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量610のノニルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量640のメチルエーテルポリエチレンチオグリコールメタクリレート、平均分子量498のパーフルオロヘプチルエチレングリコールメタクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、トリアルキレングリコールジアクリレート、テトラアルキレングリコールジアクリレート、ノニルアルキレングリコールジアクリレート等のポリアルキレングリコールジアクリレート、ノニルアルキレングリコールジメタクリレート、テトラデカンアルキレングリコールジメタクリレート等のポリアルキレングリコールジメタクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、平均分子量475のメチルエーテルポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量1000のメチルエーテルポリエチレングリコールメタアクリレート、テトラアルキレングリコールジアクリレート、ノニルアルキレングリコールジアクリレートが特に好ましい。
【0072】
上記式(7)で示される化合物のうち好適なものを例示すれば、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレートが特に好ましい。
【0073】
これら低硬度モノマーの配合割合は、全ラジカル重合性単量体全体の重量を基準として0.1〜20重量%、特に0.5〜10重量%であるのが好適である。
【0074】
前記(iv)のアリルエーテル系モノマーは、フォトクロミックの退色速度を向上させる作用を有する。なお、該アリルエーテル系モノマーとは、下記一般式(8)、
【0075】
【化17】
Figure 0003922873
【0076】
(式中、R26及びR27は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基であり、R28はアルキル基、アシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基またはスチリル基であり、Zは酸素原子又は硫黄原子であり、a'及びb'はそれぞれ独立に0〜20の整数であり、a'+b'の平均は3〜20である。)
で示されるアリルエーテル化合物またはアリルチオエーテル化合物を意味する。
【0077】
上記式中のR26及びR27おけるアルキル基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜2のものが好ましい。また、R28にけるアルキル基としては、上記R26及びR27で示したものと同様のものが好ましい。さらにR28にけるアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等の炭素数2〜15のものが好ましい。
【0078】
なお、上記一般式で示されるモノマーは通常分子量の異なる分子の混合物の形で得られる。このため、前記式(8)中、アルキレンオキサイドユニットの数を表すa'及びb'は混合物全体の平均のユニット数で表し、この様な表し方をした場合、該a'及びb'はそれぞれ独立に0〜20であり、a'+b'の平均は3〜20である。a'及びb'の一方が0のときはアルキレンオキサイドユニットは単独種を表し、a'及びb'が共に0以外の時は、異種のアルキレンオキサイドユニットがブロック単位で繰り返すアルキレンオキサイドユニットを表すことになる。
【0079】
本発明において、発色濃度及び退色速度に関し優れたフォトクロミック特性を得る観点からは、前記一般式(8)におけるR26及びR27は、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基が特に好ましく、R28は、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数2〜10のアシル基が特に好ましく、a'及びb'はそれぞれ独立に0〜10であり、a'+b'の平均は4〜12であるのが特に好ましい。
【0080】
本発明で好適に使用されるアリルエーテル系モノマーを具体的に例示すると、平均分子量550のメトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、平均分子量350のメトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、平均分子量1500のメトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、平均分子量450のポリエチレングリコールアリルエーテル、平均分子量750のメトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル、平均分子量1600のブトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル、平均分子量560のメタクリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル、平均分子量600のフェノキシポリエチレングリコールアリルエーテル、平均分子量430のメタクリロキシポリエチレングリコールアリルエーテル、平均分子量420のアクリロキシポリエチレングリコールアリルエーテル、平均分子量560のビニロキシポリエチレングリコールアリルエーテル、平均分子量650のスチリロキシポリエチレングリコールアリルエーテル平均分子量730のメトキシポリエチレンチオグリコールアリルチオエーテル等を挙げることができる。なお、これらの化合物は単独で又は数種組み合わせて使用してもよい。
【0081】
これらアリルエーテル系モノマーの配合割合は、全ラジカル重合性単量体全体の重量を基準として0.01〜30重量%、特に0.1〜20重量%であるのが好適である。
【0082】
前記(v)の他モノマーとしては、例えば平均分子量650のポリテトラメチレングリコールジメタアクリレート、平均分子量1400のポリテトラメチレングリコールジメタアクリレート等の2官能(メタ)アクリレート;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、酒石酸ジアリル、エポキシこはく酸ジアリル、ジアリルフマレート、クロレンド酸ジアリル、ヘキサフタル酸ジアリル、アリルジグリコールカーボネート等の多価アリル化合物;1,2−ビス(メタクリロイルチオ)エタン、ビス(2−アクリロイルチオエチル)エーテル、1,4−ビス(メタクリロイルチオメチル)ベンゼン等の多価チオアクリル酸及び多価チオメタクリル酸エステル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸ビフェニル等のアクリル酸及びメタクリル酸エステル化合物;フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;メチルチオアクリレート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート等のチオアクリル酸及びチオメタクリル酸エステル化合物;スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレンダイマー、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン等のビニル化合物;オレイルメタクリレート、ネロールメタクリレート、ゲラニオールメタクリレート、リナロールメタクリレート、ファルネソールメタクリレート等の分子中に不飽和結合を有する炭化水素鎖の炭素数が6〜25の(メタ)アクリレート;ビズ(2−メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィドなどのチオエーテルメタクリレートなどの重合性単官能単量体等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組合わせて用いたり、更には前記2官能重合性単量体、低硬度モノマー、エポキシ系モノマー等と併用したりして、制限無く使用することができる。
【0083】
本発明の硬化性組成物でD成分として使用されるフォトクロミック化合物としては、公知のフォトクロミック化合物を何ら制限なく使用することができる。例えば、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物等のフォトクロミック化合物がよく知られており、本発明においては、これらのフォトクロミック化合物をそれぞれ単独で又は組合わせて使用することができる。
【0084】
上記のフルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、およびクロメン化合物としては、例えば特開平2−28154号公報、特開昭62−288830公報、PCT国際特許出願94/22850号明細書、PCT国際特許出願96/14596号明細書など記載されている化合物が好適に使用できる。
【0085】
また、優れたフォトクロミック性を有する化合物として本発明者等が新たに見出し、特許出願中の化合物(特願平9−207871号、特願平11−23110号、特願平11−27959号、特願平11−27961号、特願平11−27960号、特願平11−140836号、特願平11−144072号、特願平11−150690号、特願平11−144074号、特願平11−156270号、特願平11−154272号、特願平11−188146号、特願平11−188902号等)も好適に使用することができる。
【0086】
これらフォトクロミック化合物の中でも、クロメン化合物は、フォトクロミック特性の耐久性が他のフォトクロミック化合物に比べ高く、さらに本発明によるフォトクロミック特性の発色濃度および退色速度の向上が他のフォトクロミック化合物に比べて特に大きいため特に好適に使用することができる。特に、これらクロメン化合物中でもその分子量が540以上の化合物は、フォトクロミック特性の発色濃度および退色速度の向上が他のクロメン化合物に比べて特に大きいため好適に使用することができる。
【0087】
本発明において好適に使用できるクロメン化合物の構造を示せば、例えば下記一般式(9)で示される化合物が挙げられる。
【0088】
【化18】
Figure 0003922873
【0089】
{式中、下記式(10)
【0090】
【化19】
Figure 0003922873
【0091】
で示される基は、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは非置換の不飽和複素環基であり、
31、R32およびR33は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは非置換のアリール基、ハロゲン原子、アラルキル基、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のアルキニル基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とピラン環もしくは前記式(10)で示される基の環とが結合する置換もしくは非置換の複素環基、又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基であり、uは0〜6の整数であり、R29およびR30は、それぞれ独立に、下記式(11)
【0092】
【化20】
Figure 0003922873
【0093】
(式中、R34は、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、R35は、水素原子、アルキル基、またはハロゲン原子であり、wは1〜3の整数である。)で示される基、下記式(12)
【0094】
【化21】
Figure 0003922873
【0095】
(式中、R36は、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、w'は1〜3の整数である。)で示される基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、又はアルキル基であるか、又はR29とR30とが一緒になって、脂肪族炭化水素環もしくは芳香族炭化水素環を構成していてもよい。}
なお、上記式(11)、上記式(12)、R29、およびR30において説明した「置換アリール基または置換ヘテロアリール基」における「置換基」としては、R31〜R33と同義の置換基が適用される。
【0096】
さらに好適なクロメン化合物を示せば、次の一般式(13)〜(19)で示される化合物が挙げられる。
【0097】
【化22】
Figure 0003922873
【0098】
{但し、式中のR37、R38はそれぞれ前記式(9)で述べたR29およびR30と同義であり、R39、R40は前記式(9)で述べたR31、R32およびR33と同義であり、xおよびx’はそれぞれ0〜3の整数である。}
【0099】
【化23】
Figure 0003922873
【0100】
{但し、式中のR41、R42は前記式(9)で述べたR29およびR30と同義であり、R43、R44は前記式(9)で述べたR31、R32およびR33と同義であり、−G−は、下記式
【0101】
【化24】
Figure 0003922873
【0102】
(式中、Jは、酸素原子または硫黄原子であり、R45は、炭素数1〜6のアルキレン基であり、e、f、gおよびhは、いずれも1〜4の整数である。)で示されるいずれかの基であり、yおよびy’はそれぞれ0〜3の整数である。}
【0103】
【化25】
Figure 0003922873
【0104】
{但し、式中のR46、R47は前記式(9)で述べたR29およびR30と同義であり、R48、R49、R50およびR51は前記式(9)で述べたR31、R32およびR33と同義であり、下記式
【0105】
【化26】
Figure 0003922873
【0106】
は、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは非置換の不飽和複素環基であり、z、z’、z’’、およびz’’’は、それぞれ0〜3の整数である。}
【0107】
【化27】
Figure 0003922873
【0108】
{但し、式中のR52、R53は前記式(9)で述べたR29およびR30と同義であり、R54、R55、およびR56は前記式(9)で述べたR31、R32、およびR32と同義であり、j、j’、およびj’’は、それぞれ0〜3の整数である。}
【0109】
【化28】
Figure 0003922873
【0110】
{但し、式中のR57、R58は前記式(9)で述べたR29およびR30と同義であり、R59及びR60は前記式(9)で述べたR31、R32およびR33と同義であり、kおよびk’は、それぞれ0〜3の整数である。}
【0111】
【化29】
Figure 0003922873
【0112】
{但し、式中のR61、R62は前記式(9)で述べたR29およびR30と同義であり、R63、R64、R65およびR66は、前記式(9)で述べたR31、R32およびR33と同義であり、lおよびl’は、それぞれ0〜3の整数である。}
【0113】
【化30】
Figure 0003922873
【0114】
{但し、式中のR67、R68は前記式(9)で述べたR29およびR30と同義であり、R69、R70およびR71は、前記式(9)で述べたR31、R32およびR33と同義であり、
【0115】
【化31】
Figure 0003922873
【0116】
は、少なくとも1つの置換基を有してもよい脂肪族炭化水素環であり、o、o’、およびo’’は、それぞれ0〜3の整数である。}
さらに好ましい本発明のクロメン化合物を具体的に例示すると下記構造のクロメン化合物を挙げることができる。
【0117】
【化32】
Figure 0003922873
【0118】
【化33】
Figure 0003922873
【0119】
【化34】
Figure 0003922873
【0120】
【化35】
Figure 0003922873
【0121】
【化36】
Figure 0003922873
【0122】
【化37】
Figure 0003922873
【0123】
【化38】
Figure 0003922873
【0124】
本発明の硬化性組成物において、フォトクロミック化合物の配合量は、全ラジカル重合性単量体100部に対して、0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、さらに好ましくは0.001〜1重量部の範囲である。フォトクロミック化合物の配合量が0.0001重量部以下では発色濃度が低くなることがあり、10重量部以上では重合性単量体に十分に溶解しないため不均一となり、発色濃度のむらが生じることがある。
【0125】
本発明の硬化性組成物には、フォトクロミック化合物の耐久性の向上、発色速度の向上、退色速度の向上や成形性の向上のために、さらに界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤等の添加剤を添加してもよい。添加するこれら添加剤としては、公知の化合物が何ら制限なく使用される。
【0126】
例えば、界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の何れも使用できるが、重合性単量体への溶解性からノニオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。好適に使用できるノニオン正解面活性剤を具体的に挙げると、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール・ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール・フィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、単一鎖ポリオキシエチレンアルキルエーテル等を挙げることができる。界面活性剤の使用に当たっては、2種以上を混合して使用しても良い。界面活性剤の添加量は、全重合性単量体100重量部に対し、0.1〜20重量部の範囲が好ましい。
【0127】
また、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤、フェノール系ラジカル補足剤、イオウ系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等を好適に使用できる。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤は、2種以上を混合して使用しても良い。さらにこれらの非重合性化合物の使用に当たっては、界面活性剤と酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤を併用して使用しても良い。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤の添加量は、全重合性単量体100重量部に対し、0.001〜1重量部の範囲が好ましい。
【0128】
本発明の硬化性組成物の調製方法は特に限定されず、所定量の各成分を秤取り混合することにより行うことができる。なお、各成分の添加順序は特に限定されず全ての成分を同時に添加しても良いし、モノマー成分のみを予め混合し、後で、例えば後述の如く重合させる直前にフォトクロミック化合物や他の添加剤を添加混合しても良い。なお、後述するように重合に際しては、必要に応じて重合開始剤をさらに添加することもある。
【0129】
上記のようにして調製された本発明の硬化性組成物は、重合硬化させることにより、眼鏡レンズ等として好適に使用できる本発明のフォトクロミック性硬化体を与える。
【0130】
本発明の硬化性組成物を硬化させて本発明のフォトクロミック性硬化体を得る方法は特に限定的でなく、用いるモノマーの種類に応じた公知の重合方法を採用することができる。重合開始手段は、種々の過酸化物やアゾ化合物などのラジカル重合開始剤の使用、または紫外線、α線、β線、γ線等の照射あるいは両者の併用によって行うことができる。
【0131】
重合方法も特に限定されないが、フォトクロミックレンズ等の光学材料としての用途を考える場合には、注型重合を行うのが好適である。以下、代表的な注型重合方法について更に詳しく説明する。
【0132】
該方法では、エラストマーガスケットまたはスペーサーで保持されているモールド間に、ラジカル重合開始剤を添加した本発明の硬化性組成物を注入し、空気炉中で加熱して重合硬化させた後、取り出すことによって行われる。
【0133】
ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものが使用できるが、代表的なものを例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルオキシカーボネート等のパーカーボネート類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0134】
該ラジカル重合開始剤の使用量は、重合条件や開始剤の種類、前記本発明の硬化性組成物の種類や組成によって異なり、一概に限定できないが、一般には、全重合性単量体100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲で用いるのが好適である。
【0135】
重合条件のうち、特に温度は得られる樹脂の性状に影響を与える。この温度条件は、開始剤の種類と量や単量体の種類に影響を受けるので、一概には限定できないが、一般的に比較的低温で重合を開始し、ゆっくりと温度を上げていき、重合終了時に高温下に硬化させるいわゆるテーパ型の2段重合を行うのが好適である。
【0136】
重合時間も温度と同様に各種の要因によって異なるので、予めこれらの条件に応じた最適の時間を決定するのが好適であるが、一般に2〜40時間で重合が完了するように条件を選ぶのが好ましい。
【0137】
また紫外線を用いた公知の光重合によっても同様に注型重合が実施できる。この際には、光重合開始剤としてベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾフェノール、アセトフェノン4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオオキサントン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、全単量体100重量部に対して0.001〜5重量部の範囲で用いるのが一般的である。
【0138】
上記のような方法で得られた本発明の硬化体は、その用途に応じて以下のような処理を施すこともできる。即ち、分散染料などの染料を用いる染色、シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウム等の酸化物のゾルを主成分とするハードコート剤(所謂、縮合法によって硬化させるハードコート剤)や、有機高分子体を主成分とするハードコート剤によるハードコーティング処理や、SiO2、TiO2、ZrO2等の金属酸化物の薄膜の蒸着や有機高分子体の薄膜の塗布等による反射防止処理、帯電防止処理等の加工及び2次処理を施すことも可能である。
【0139】
本発明のフォトクロミック性硬化体は、前記成形において鋳型から取り外す際の離型性がよく、しかも上記の縮合法によって硬化させるハードコート剤を施用したときのコート膜との密着性が良好である。ここで、上記ハードコート剤とは、硬化体の耐傷つき性を向上させるする目的で汎用されているものであり、例えば(株)トクヤマより発売されているTS56(商品名)が挙げられる。
【0140】
本発明における硬化体の表面に前記ハードコートを付与する方法は特に制限されず、一般に公知の方法に準じてゾルを主成分とするコート液を該硬化体の表面に塗布する方法が採用される。例えば硬化体をコート液中に浸漬して塗布する方法、コート液を硬化体の表面にスプレー、ハケ、ローラー等で塗布する方法が一般的に採用され、塗布を行った後、乾燥空気あるいは空気中で風乾して通常加熱処理することによって硬化し皮膜が形成される。加熱温度は硬化体の種類によって異なるが、50℃以上好ましくは60℃以上ないしは該硬化体が熱変形を生じない温度、一般的には150℃いかが好適である。硬化温度は130℃で1〜2時間、70〜80℃で3〜4時間が一応の目安になる。またさらに硬化体との密着性を向上させるため、水酸化ナトリウム水溶液、重クロム酸カリウム/硫酸溶液等による試薬処理、プラズマ等による放電処理等の前処理を行うことが、好適である。
【0141】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0142】
以下の例で使用した化合物は下記の通りである。
(1) 多官能ラジカル重合性単量体(A成分)
以下に使用した化合物の略号と名称を示す。なお、括弧内に「ホモ−HL」として、各化合物(モノマー)を注型重合して単独重合したときに得られる硬化体のLスケールでのロックウエル硬度を示した。測定方法は、硬化体を25℃の室内で1日保持した後、明石ロックウエル硬度計(形式:AR−10)を用いて、硬化体のLスケールロックウエル硬度を測定した。
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート(ホモ−HL=122)
PETMA:ペンタエリスリトールテトラメタクリレート(ホモ−HL=122)
TMM:ペンタエリスリトールトリメタクリレート。
【0143】
(2) シリルモノマー(B成分)
TMSiMA:γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
DMSiMA:γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン。
【0144】
(3) A成分及びB成分以外のラジカル重合性単量体(C成分)
4G:テトラエチレングリコールジメタクリレート(ホモ−HL=90)
9GDA:平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート(ホモ−HL<20)
MePEGMA(475):平均分子量1000のメチルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート(ホモ−HL<20)
ALMePEG(550):平均分子量550のメトキシポリエチレングリコールアリルエーテル
BPE :2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン(ホモ−HL=110)
GMA :グリシジルメタアクリレート(ホモ−HL=80)
αMS :αメチルスチレン(ホモ−HL<40)
MSD :αメチルスチレンダイマー(単独重合せず)。
【0145】
(4)フォトクロミック化合物
クロメン1
【0146】
【化39】
Figure 0003922873
【0147】
クロメン2
【0148】
【化40】
Figure 0003922873
【0149】
クロメン3
【0150】
【化41】
Figure 0003922873
【0151】
クロメン4
【0152】
【化42】
Figure 0003922873
【0153】
クロメン5
【0154】
【化43】
Figure 0003922873
【0155】
クロメン6
【0156】
【化44】
Figure 0003922873
【0157】
クロメン7
【0158】
【化45】
Figure 0003922873
【0159】
(5)重合開始剤
ND:t−ブチルパーオキシネオデカネート(商品名:パーブチルND、日本油脂(株)社製)
オクタO:1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名:パーオクタO、日本油脂(株)社製)。
【0160】
(6)ハードコート液
TS56H((株)トクヤマ製)。
【0161】
実施例1
トリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン25重量部、テトラエチレングリコールジメタクリレート30重量部、、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート3部、グリシジルメタクリレート10部、αメチルスチレン6部およびαメチルスチレンダイマーを1部からなる重合性単量体100重量部に、クロメン1を0.03重量部、重合開始剤としてパーブチルNDを1重量部添加し十分に混合した。この混合液をガラス板とエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型の中に注入し、注型重合を行った。重合は空気炉を用い、30℃〜90℃まで18時間かけ徐々に温度を上げていき、90℃で2時間保持した。重合終了後、重合体を鋳型のガラス型から取り外した。
【0162】
この時の離型性を、重合体が破損することなくしかも容易にきれいに離型されたものに(○)、重合体が何らかの破損を受け離型が難しかったものを(×)として、評価したところ評価は○であった。
【0163】
さらに、得られた重合体をアセトンで洗浄して十分に風乾し、清澄な状態とした後、10%NaOH水溶液に10分浸漬し、十分に水洗して再び風乾した。上記処理した重合体をTS56Hハードコート液に浸し、30mm/分で引き上げた後、60℃で15分予備乾燥後130℃で2時間加熱硬化して、ハードコートを該重合体表面に施した。
【0164】
得られた重合体(厚み2mm)を試料とし、これに、浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100をエアロマスフィルター(コーニング社製)を介して20℃±1℃、重合体表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2,245nm=24μW/cm2で120秒間照射して発色させ、前記試料のフォトクロミック特性を測定した。各フォトクロミック特性は次の方法で評価した。
【0165】
▲1▼ 最大吸収波長(λmax): (株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD1000)により求めた発色後の最大吸収波長である。該最大吸収波長は、発色時の色調に関係する。
【0166】
▲2▼ 発色濃度{ε(120)−ε(0)}: 前記最大吸収波長における、120秒間光照射した後の吸光度{ε(120)}と上記ε(0)との差。この値が高いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
【0167】
▲3▼ 退色速度〔t1/2(min.)〕: 120秒間光照射後、光の照射を止めたときに、試料の前記最大波長における吸光度が{ε(120)−ε(0)}の1/2まで低下するのに要する時間。この時間が短いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
【0168】
▲4▼ 耐久性(%)={(A200/A0)×100}: 光照射による発色の耐久性を評価するために次の劣化促進試験を行った。すなわち、得られた重合体(試料)をスガ試験器(株)製キセノンウェザーメーターX25により200時間促進劣化させた。その後、前記発色濃度の評価を試験の前後で行い、試験前の発色濃度(A0)および試験後の発色濃度(A200)を測定し、{(A200/A0)×100}の値を残存率(%)とし、発色の耐久性の指標とした。残存率が高いほど発色の耐久性が高い。
【0169】
さらに、以下の項目のハードコート特性を評価した。
【0170】
▲5▼ 密着性試験: 先端が鋭利なカッターナイフで試料の表面に1mm×1mmのマス目を100個つけた後、市販のセロテープを貼り付けて、次いで素早く剥がした時のコート膜の剥がれ状態により剥がれの全くないものを○、一部剥がれたものを△、全部剥がれたものを×と表示した。
【0171】
▲6▼ 耐擦傷性試験:福田機械工業株式会社製の耐擦傷性試験器に#0000のスチールウールを取り付け、1kgの加重下で試料表面を10往復させた後の表面の傷つき度合いを目視により観察し、全く傷つかなかった状態をA、そしてポリアリルジエチレングリコールカーボネート生地の非常に傷つきやすい状態をEとして、A〜Eの5段階で評価した。
【0172】
その結果、λmax:610nm、発色濃度:0.75、退色速度:1.2分、耐久性:72%、密着性:○、耐擦傷性:Bであった。
【0173】
実施例2〜20
表1に示したようなラジカル重合性単量体組成、クロメン化合物、その他添加剤を使用した以外は、実施例1と同様にしてフォトクロミック硬化体を得、その特性を評価した。
【0174】
【表1】
Figure 0003922873
【0175】
その結果をまとめて表2に示す。
【0176】
【表2】
Figure 0003922873
【0177】
比較例1〜18
さらに、比較のために、表3に示したような重合性単量体組成、クロメン化合物を使用した以外は、実施例1と同様にしてフォトクロミック硬化体を得、その特性を評価した。
【0178】
【表3】
Figure 0003922873
【0179】
結果を表4に示した。
【0180】
【表4】
Figure 0003922873
【0181】
以上説明してきたように、多官能重合性単量体、シリルモノマーを含まない重合性単量体からなる基材では、フォトクロミック特性の退色速度が遅く、ハードコートの密着性も低い。また、シリルモノマーを多く含む系では、離型時の操作性が悪く、生産性が低い。また多官能重合性単量体が多く含む系では、基材の強度が低下している。このようにフォトクロ特性、ハードコートの密着性および離型時の操作性を満足するためには、多官能重合性単量体、シリルモノマーをある適正な添加量範囲でその他ラジカル重合性単量体と組み合わせた本発明の硬化性組成物とすることにより達成される。
【0182】
本発明のフォトクロミック性硬化体である実施例1〜は、比較例1〜に比べて、フォトクロミック特性の発色濃度、退色速度、ハードコートとの密着性および離型時の操作性の点でそのバランスが優れている。
【0183】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物を用いることにより、発色濃度が高く、退色速度が速いといったフォトクロミック特性に極めて優れ、しかもハードコートの密着性にも優れ、かつ離型時の操作性にも優れる本発明のフォトクロミック性硬化体を得ることができる。
【0184】
本発明のフォトクロミック性硬化体は、上記のような優れた特徴を有するため、例えばフォトクロミックレンズ材料等の光学材料として極めて有用である。

Claims (4)

  1. (A) 少なくとも3つの重合性基を有する多官能ラジカル重合性単量体、
    (B) アルコキシシリル基を有するラジカル重合性単量体、及び
    (C) 上記(A)、(B)以外のラジカル重合性単量体
    からなり、(A)の含有率が1〜50重量%であり、(B)の含有率が0.5〜20重量%であり、残余が(C)であるラジカル重合性単量体100重量部、並びに
    (D) フォトクロミック化合物0.0001〜10重量部
    を含有してなることを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記(B)のアルコキシシリル基を有するラジカル重合性単量体として下記一般式(1)
    Figure 0003922873
    (式中、R1はアルキレン基であり、R2はアルキル基又はアルコキシ基であり、R3はアルコキシ基であり、aは1〜5の整数であり、bは0〜の整数であり、cは1〜3の整数であり、b+c=3である。)
    で示されるシリル基含有単官能メタクリレート化合物を用いることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記(A)の少なくとも3つの重合性基を有する多官能ラジカル重合性単量体として下記一般式(2)
    Figure 0003922873
    {式中、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基であり、R6は3〜6価の有機残基であり、dは0〜3の整数であり、eは3〜6の整数である。}
    で示される多官能ラジカル重合性単量体を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の硬化性組成物を硬化させてなることを特徴とするフォトクロミック性硬化体。
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