JP3922463B2 - 赤外光放射装置および赤外光検出装置ならびに時系列変換パルス分光計測装置 - Google Patents

赤外光放射装置および赤外光検出装置ならびに時系列変換パルス分光計測装置 Download PDF

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Description

本発明は、赤外光放射装置および赤外光検出装置ならびに時系列変換パルス分光計測装置に関するものである。
近年、極短幅パルスレーザ技術の実用化により、パルス状のコヒーレントな赤外領域(0.01〜130THz)の電磁波の放射技術及び検出技術が飛躍的に進歩した。それによって、このパルス状の赤外領域の電磁波を用いた時系列変換パルス分光が可能となり、時系列変換パルス分光計測装置の実用化に向けて開発が先駆的に進められた。
時系列変換パルス分光とは、パルス状の電磁波の時間に依存した電場強度を測定し、その時間に依存したデータ(時系列データ)をフーリエ変換することにより、そのパルスを形成する各周波数成分の電場強度と位相とを得る分光法である。この分光法の特徴の一つは、測定波長領域が従来では困難であった光と電波の境界領域であることが挙げられる。そのため、この分光法により新規材料の性質や新しい現象の解明が期待されている。また、従来の分光法では電磁波の電場強度しか得られなかったが、この時系列変換パルス分光計測法では、電磁波の電場強度の時間変化を直接測定することから、電磁波の電場強度(振幅)だけでなく、その位相をも得ることができるというユニークな特徴を持っている。従って、試料がない場合と比較することによって、位相シフトスペクトルを得ることができる。位相シフトは波数ベクトルに比例することから、この分光法を用いて試料中の分散関係を決定することができ、この分散関係から誘電体材料の誘電率を知得することも可能となる(特許文献1参照)。
図5に、従来の時系列変換パルス分光計測装置の一例を示す。
光源1としてフェムト秒レーザが用いられる。光源1としては、例えば、モード同期、エルビウム(Er)ドーピングのファイバレーザが用いられる。このモード同期ファイバレーザ1は、例えば平均パワー10mW、フェムト秒レーザパルスL1を、波長780nm、時間幅120フェムト秒、繰り返し周波数48.5MHzで伝送する。
光源1から放射されたフェムト秒レーザパルスL1は、ビームスプリッタ2で分割される。一方のフェムト秒レーザパルスは、励起用パルスレーザ光L2としてパルス光放射手段(赤外光放射装置)5に照射される。このとき、励起用パルスレーザ光L2は光チョッパ3により変調された後、対物レンズ4によって集光される。このパルス光放射手段5は例えば光伝導素子であり、励起用パルスレーザ光L2が照射されたときに瞬間的に電流が流れ、遠赤外光パルスL3を放射する。この遠赤外光パルス(THz(テラヘルツ)光パルス)L3は、放物面鏡6,7により導光され測定試料8に照射される。その試料8の反射又は透過パルス光(同図では透過パルス光)L3’は、放物面鏡9,10を経て検出手段(赤外光検出装置)12へと導光される。
ビームスプリッタ2で分割されたもう一方のレーザ光は、検出用パルスレーザ光L4として検出手段12へ導光される。この検出手段12も光伝導素子であり、検出用パルスレーザ光L4が照射されて、その瞬間だけ導電性となるので、その瞬間に到達した試料8からの反射又は透過パルス光の電場強度を電流として検出することができる。試料8からの反射又は透過パルス光の電場強度の時系列信号は、光学的遅延手段13(又は14)を用いて、励起用パルスレーザ光L2に対して検出用パルスレーザ光L4に所定の時間間隔ずつ遅延時間差を付与することにより得ることができる。同図では、時系列信号測定用の光学的遅延手段13(又は14)の他に、時間原点調整用の光学的遅延手段14(又は13)も備えている。
試料8の反射又は透過パルス光の電場強度の各時間分解データは、信号処理手段によって処理される。すなわち、ロックインアンプ16を介してコンピュータ17に伝送され、順次、時系列データとして記憶され、一連の時系列データを、該コンピュータ17でフーリエ変換処理して振動数(周波数)空間に変換することにより、試料8の反射又は透過パルス電磁波の電場強度の振幅及び位相の分光スペクトルが得られる。
図6には、パルス光放射手段5が示されている。パルス光放射手段5は、低温成長ガリウム砒素(LT(Low Temperature)一GaAs)とされた光伝導膜上に形成されたダイポールアンテナ構造の光伝導スイッチ素子(アンテナ電極膜)が用いられる。そして、テラヘルツ放射光L3の発生には、このようなパルス光放射手段5に、励起用パルスレーザ光L2を照射し、電子・正孔の自由キャリアを誘起させ、超高速電流変調することによって、そのテラヘルツ放射光L3を得ている。すなわち、バイアス電流印加のパルス光放射手段5に、励起用パルスレーザ光L2が照射されると、電場が揺り動かされる。電場が揺り動かされると、電流が揺り動かされることにより、パルス電磁波放射素子5に照射された励起用パルスレーザ光L2の時間幅△tにより規定される振動数(周波数)範囲に渡り、連続スベクトル分布を持ったテラヘルツ放射光L3が得られる。
検出手段12は、図6に示したパルス光放射手段5と同様の構成を備えている。この検出手段12に、試料透過テラヘルツ光L3’と検出用パルスレーザ光L4を同時に照射すると、検出用パルスレーザ光L4が照射されている間における試料透過テラヘルツ光L3’の強度を測定できる。
図7には、LT−GaAsとされた光伝導膜22上に形成されたアンテナ電極膜21が示されている。アンテナ電極膜21としては、金(Au)が用いられる。同図の右方にアンテナ周辺部21cが拡大されて示されているように、一対のアンテナ電極膜21の間には約5μm程度の間隙が形成されている。また、アンテナ電極膜の幅は約10μm程度とされている。
図8には、図7に示されたアンテナ周辺部21cのA−A’における断面図が示されている。同図からわかるように、光伝導膜22は、半絶縁性ガリウム砒素(SI(Semi Insulated)−GaAs)とされた基板23上に形成されている。
パルス光放射手段5として用いる場合、励起用パルスレーザ光L2は、光伝導膜22からみてアンテナ電極膜21側(一側面側)に(図において上方から)照射される。テラヘルツ放射光L3は、光伝導膜22からみて基板23側(他側面側)に(図において下方に)放射される。
検出手段12として用いる場合、検出用パルスレーザ光L4は、光伝導膜22からみてアンテナ電極膜21側(一側)に(図において上方から)照射される。試料透過テラヘルツ光L3’は、光伝導膜22からみて基板23側(他側)から(図において下方から)照射される。
特開2002−277394号公報
上記構成のパルス光放射手段5および検出手段12を用いると、次のような問題が生じる。
基板23に用いるSI−GaAsは、図9に示すように、100〜400cm−1にかけてフォノンによる吸収帯が存在する。すなわち、100cm−1を超えると透過率が急激に低下し、240cm−1以上では300cm−1を超えてもほとんど光を透過しないという性質を有している。
また、SI−GaAsは、励起用レーザパルス光を吸収するため、基板23とは反対側のアンテナ電極膜21側(一側)から励起用パルスレーザ光L2を照射させる構成を採用する必要がある。したがって、パルス光放射手段5として用いる場合、アンテナ電極膜21によって放射されるテラヘルツ光は、基板23を透過したものを利用せざるを得ない。すると、SI−GaAsは上述のように100〜400cm−1にかけて吸収帯が存在するので、広帯域のテラヘルツ光を十分に取り出すことができないという問題がある。
検出手段12として用いる場合にも、基板23側から試料透過パルスレーザ光L3’を透過させて検出することになるので、SI−GaAsのフォノンによる吸収が問題となっていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板の吸収による影響を受けずに広帯域の計測が可能な赤外光放射装置および赤外光検出装置ならびに時系列変換パルス分光計測装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の赤外光放射装置および赤外光検出装置ならびに時系列変換パルス分光計測装置は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる赤外光放射装置は、パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、該光伝導膜の一側面上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を放射する一対のアンテナ電極膜と、前記光伝導膜の他側面側でかつ少なくとも前記間隙に対応する領域に形成され、前記赤外光を透過する赤外光透過部材と、を備えていることを特徴とする。
赤外光を透過する赤外光透過部材を用いることとしたので、赤外光を光伝導膜の他側面側から損失なく放射させることができる。
また、赤外光透過部材は、少なくとも一対のアンテナ電極膜間に形成される間隙に対応する領域に形成されていれば良く、この間隙に対応する領域のみに配置されている場合だけでなく、間隙に対応する領域を含む全体に配置されていてもよい。例えば、光伝導膜の他側面側に設けられた基板を、遠赤外光を透過するダイヤモンド・ライク・カーボンとしても良い。
また、赤外光透過部材は、光伝導膜の他側面上に直接接触した状態で設けていてもよいし、周囲の基板厚さよりも薄くされた基板部分を介して間接的に設置することとしてもよい。このようにしても、基板部分が薄くなっているので、赤外光の吸収を可及的に抑えることができる。
なお、「赤外光を透過する」とは、赤外光の波長における透過率が例えば50%以上を意味する。赤外光透過部材としては、具体的には、ダイヤモンド・ライク・カーボン、シリコン、シリコン系セラミックス、ホワイトポリエチレン等の高分子材料が挙げられる。
また、本発明にかかる赤外光放射装置は、パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、該光伝導膜の一側面上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を放射する一対のアンテナ電極膜と、前記光伝導膜の他側面側でかつ少なくとも前記間隙に対応する領域に形成され、前記パルス励起光を透過するパルス励起光透過部材と、を備えていることを特徴とする。
パルス励起光を透過するパルス励起光透過部材を用いることとしたので、パルス励起光を光伝導膜の他側面側から損失なく照射させることができる。また、アンテナ電極膜によって放射される赤外光は、光伝導膜の一側面側に放射されるので、他側面側にフォノンによる吸収を引き起こす基板が配置されていた場合には、この基板を通過させずに損失なく放射させられる。
また、パルス励起光透過部材は、少なくとも一対のアンテナ電極膜間に形成される間隙に対応する領域に形成されていれば良く、この間隙に対応する領域のみに配置されている場合だけでなく、間隙に対応する領域を含む全体に配置されていてもよい。例えば、光伝導膜の他側面側に設けられた基板を、パルス励起光を透過するダイヤモンド・ライク・カーボンとしても良い。
また、パルス励起光透過部材は、光伝導膜の他側面上に直接接触した状態で設けていてもよいし、周囲の基板厚さよりも薄くされた基板部分を介して間接的に設置することとしてもよい。このようにしても、基板部分が薄くなっているので、パルス励起光の吸収を可及的に抑えることができる。
なお、「パルス励起光を透過する」とは、パルス励起光の波長における透過率が例えば50%以上を意味する。パルス励起光透過部材としては、具体的には、ダイヤモンド・ライク・カーボンの他に石英などのガラス材料が挙げられる。
また、本発明の赤外光放射装置は、パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、該光伝導膜の一側面上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を放射する一対のアンテナ電極膜と、を備え、前記光伝導膜の他側面側でかつ前記間隙に対応する領域には、空隙が形成されていることを特徴とする。
光伝導膜の他側面に空隙を形成することとしたので、この空隙を通過するようにパルス励起光を照射すれば、損失なく光伝導膜にパルス励起光を導くことができる。
具体的には、光伝導膜の他側面に基板を設け、一対のアンテナ電極膜間の間隙に対応する領域のみに空隙を形成した基板を用いると良い。
また、本発明の赤外光検出装置は、パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、該光伝導膜の一側面上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を検出する一対のアンテナ電極膜と、前記光伝導膜の他側面側でかつ少なくとも前記間隙に対応する領域に形成され、前記赤外光を透過する赤外光透過部材と、を備えていることを特徴とする。
赤外光を透過する赤外光透過部材を用いることとしたので、赤外光を他側面側から導いて、損失なく赤外光を検出することができる。
また、赤外光透過部材は、一対のアンテナ電極膜間に形成される間隙に対応する領域に形成されていれば良く、この間隙に対応する領域のみに配置されている場合だけでなく、間隙に対応する領域を含む全体に配置されていてもよい。
なお、赤外光透過部材としては、具体的には、ダイヤモンド・ライク・カーボン、シリコン、シリコン系セラミックス、ホワイトポリエチレン等の高分子材料が挙げられる。
また、本発明の赤外光検出装置は、パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、該光伝導膜の一側面上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を検出する一対のアンテナ電極膜と、前記光伝導膜の他側面側でかつ少なくとも前記間隙に対応する領域に形成され、前記パルス励起光を透過するパルス励起光透過部材と、を備えていることを特徴とする。
パルス励起光を透過するパルス励起光透過部材を用いることとしたので、パルス励起光を他側面側から導き、赤外光を一側面側から入射させることにより、基板材料のフォノンの吸収などによる損失なく赤外光を検出することができる。
また、パルス励起光透過部材は、一対のアンテナ電極膜間に形成される間隙に対応する領域に形成されていれば良く、この間隙に対応する領域のみに配置されている場合だけでなく、間隙に対応する領域を含む全体に配置されていてもよい。
なお、パルス励起光透過部材としては、具体的には、ダイヤモンド・ライク・カーボン、石英などのガラス材料が挙げられる。
また、本発明の赤外光検出装置は、パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、該光伝導膜の一側面上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を検出する一対のアンテナ電極膜と、を備え、前記光伝導膜の他側面側でかつ前記間隙に対応する領域には、空隙が形成されていることを特徴とする。
光伝導膜の他側面に空隙を形成することとしたので、この空隙を通過するように赤外光を導くこととすれば、損失なく赤外光を検出することができる。
具体的には、光伝導膜の他側面に基板を設け、一対のアンテナ電極膜間の間隙に対応する領域のみに空隙を形成した基板を用いると良い。
また、本発明の時系列変換パルス分光計測装置は、パルス励起光を発振する光源と、上記の赤外光放射装置および/または上記の赤外光検出装置と、を備えていることを特徴とする。
励起光の吸収を抑えた赤外光放射装置、および/または、放射光の吸収を抑えた赤外光検出装置を備えているので、広帯域の計測が可能な時系列変換パルス分光計測装置を提供することができる。
本発明によれば、一対のアンテナ電極膜間の間隙に対応する部分に、励起光透過部材または赤外光透過部材を配置し、若しくは空隙を形成することとしたので、基板の吸収による影響を受けずに広帯域の計測が可能な赤外光放射装置および赤外光検出装置ならびに時系列変換パルス分光計測装置を提供することができる。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜3を用いて説明する。
図1には、本発明の一実施形態にかかるテラヘルツ光放射装置(赤外光放射装置)およびテラヘルツ光検出装置(赤外光検出装置)の要部が示されている。テラヘルツ光放射装置とテラヘルツ光検出装置は同一の構成が用いられ、テラヘルツ光L3を出射するものなのか、それとも試料透過テラヘルツ光L3’が入射するものなのかという使用方法の点で異なる。
図1は、上述の図8に対応し、テラヘルツ光放射装置およびテラヘルツ光検出装置のアンテナ周辺部の断面が示されている。なお、本実施形態のテラヘルツ光放射装置およびテラヘルツ光検出装置は、図5を用いて説明した時系列変換パルス分光計測装置に適用されるものである。
テラヘルツ光放射装置およびテラヘルツ光検出装置は、SI−GaAsの基板23と、この基板23上に低温成長させて形成されたLT−GaAsからなる光伝導膜22と、光伝導膜22上に蒸着された金(Au)からなる一対のアンテナ電極膜21とを備えている。
一対のアンテナ電極膜21の各先端は対向しており、これら先端間には間隙21aが形成されている。
光伝導膜22からみて基板23側(他側面側)には、間隙21aに対応する領域に空隙25が形成されている。この空隙25には、ダイヤモンド・ライク・カーボン(以下「DLC」という。)からなる赤外光透過部材24が配置されている。なお、DLCに代えて、シリコン、シリコン系セラミックスやホワイトポリエチレン等の高分子材料といった赤外光を透過する材料を採用することとしても良い。赤外光透過部材24の透過率としては、赤外光波長において50%以上が好ましい。
赤外光透過部材24は光伝導膜22に直接接触させた状態で設けられている。ただし、赤外光透過部材24を光伝導膜22に直接接触させた状態とせずに、赤外光透過部材24と光伝導膜22との間に、周囲の基板23厚さよりも薄い基板部分を介して間接的に赤外光透過部材24を設けることとしてもよい。このような構成であっても、基板23の吸収を可及的に抑えることができる。
図2には、DLCの透過率(縦軸)が波数(横軸)に対して示されている。同図からわかるように、DLCは、基板23に用いられているSI−GaAs(図9参照)と異なり、100〜400cm−1にかけて吸収帯が存在しない。したがって、アンテナ電極膜21によって放射されるテラヘルツ光およびアンテナ電極膜21によって検出されるテラヘルツ光が基板23のフォノンの影響を受けることなく放射および集光させることができ、広い帯域の測定が可能となる。
テラヘルツ光放射装置として使用する場合、赤外光透過部材24の厚さを適宜調整することによって、赤外光を多重反射させて特定の周波数成分を相対的に増強することもできる。例えば、赤外光の波長領域で表面反射と裏面反射の光路差が60μmとなるように設定すれば、約5THzの電磁波成分を形成することができる。
次に、図3を用いて、上記構成のテラヘルツ光放射装置およびテラヘルツ光検出装置の製造方法について説明する。
先ず、加工前の基板23を用意する(a)。次に、薄肉部23aを残した状態で、空隙25を形成するようにエッチングする(b)。
そして、薄肉部23a側から埋めるように、空隙25内にDLCを積層して赤外光透過部材24を形成する(c)。この工程で赤外光透過部材24の厚さを所望値に設定する。
そして、基板23の薄肉部23aを取り除くように基板23の上面を除去した後(d)、LT−GaAsを成長させて光伝導膜22を形成する(e)。ここで、DLCはLT−GaAsを成長させやすいという性質を利用している。
最後に、アンテナ電極膜21を光伝導膜22上に蒸着する(f)。
次に、赤外光透過部材24に代えて、励起光透過部材30を用いる場合について説明する。この場合、基本的構成は図1に示したテラヘルツ光放射装置およびテラヘルツ光検出装置と同様であり、励起光およびテラヘルツ光を入射または放射する方向が異なる。励起光透過部材としては、DLC、または石英ガラスが好適である。
図1において、放射されたテラヘルツ光L3または試料透過テラヘルツ光L3‘(図5参照)は、アンテナ電極膜21側から照射され、励起用パルスレーザ光L2または検出用パルスレーザ光L4(図5参照)は、基板22側に設けた励起光透過部材30を透過してアンテナ電極膜21へと照射される。
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
アンテナ電極膜21の間隙21aに対応する領域に、赤外光透過部材24を設けることとしたので、テラヘルツ光放射装置として用いる場合には、励起用パルスレーザ光L2(図5参照)をアンテナ電極膜21側から入射させ、赤外光透過部材24を通過するようにテラヘルツ放射光L3(図5参照)を放射させることができる。これにより、損失なく入出射を実現することができ、広帯域の測定が可能となる。
また、テラヘルツ光検出装置として用いる場合には、赤外光透過部材24を通過するように試料透過テラヘルツ光L3’(図5参照)を入射させ、検出用パルスレーザ光L4(図5参照)をアンテナ電極膜21側から入射させることができる。これにより、損失なく入出射を実現することができ、広帯域の測定が可能となる。
一方、アンテナ電極膜21の間隙21aに対応する領域に、励起光透過部材30を設けることとしたので、テラヘルツ光放射装置として用いる場合には、励起光透過部材30を通過するように励起用パルスレーザ光L2(図5参照)を入射させ、テラヘルツ放射光L3(図5参照)が基板を通過しないようにアンテナ電極膜21側から放射させることができる。これにより、損失なく入出射を実現することができ、広帯域の測定が可能となる。
また、テラヘルツ光検出装置として用いる場合には、励起光透過部材30を通過するように検出用パルスレーザ光L4(図5参照)を入射させ、試料透過テラヘルツ光L3’(図5参照)をアンテナ電極膜21側から入射させることができる。これにより、損失なく入出射を実現することができ、広帯域の測定が可能となる。
なお、本実施形態では、赤外光透過部材24または励起光透過部材30をアンテナ電極膜21の間隙21aに対応する領域のみに配置したが、本発明はこれに限定されず、基板23全体をDLCとして、励起光を基板23側から入射させるようにしてもよい。
また、本実施形態では、赤外光透過部材24または励起光透過部材30の厚さを周囲の基板23よりも薄いものとしたが、この厚さは本実施形態に限定されるものではなく、例えば、周囲の基板23と同程度の厚さとしても良い。これにより、基板23側に配置される光学部材と透過部材24,30とを直接接触させた状態とすることができ、損失のない接続を実現することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施形態は、第1実施形態に比べて、励起光透過部材を用いずに、単に空隙25を形成した点が異なる。その他については第1実施形態と同様である。
アンテナ電極膜21の間隙21aに対応する領域に、基板23を貫通するように空隙25が形成されている。このような空隙25を設けることにより、テラヘルツ光放射装置として用いる場合には、空隙25を通過するように励起用パルスレーザ光L2(図5参照)を入射させ、テラヘルツ放射光L3(図5参照)が基板23を通過しないようにアンテナ電極膜21側から放射させる。これにより、損失なく入出射を実現することができ、広帯域の測定が可能となる。
また、テラヘルツ光検出装置として用いる場合には、空隙25を通過するように試料透過テラヘルツ光L3’(図5参照)を入射させ、検出用パルスレーザ光L4(図5参照)をアンテナ電極膜21側から入射させる。これにより、損失なく入出射を実現することができ、広帯域の測定が可能となる。
なお、上記各実施形態では、時系列変換パルス分光計測装置に適用されるテラヘルツ光放射装置およびテラヘルツ光検出装置について説明したが、本発明の赤外光放射装置および赤外光検出装置はこれに限定されるものではなく、他の用途に用いることもできる。
本発明の第1実施形態を示す断面図である。 ダイヤモンド・ライク・カーボンの透過率を示す図である。 第1実施形態のテラヘルツ光放射装置の製造工程を示す図である。 本発明の第2実施形態を示す断面図である。 時系列変換パルス分光計測装置の概略を示した図である。 パルス光放射手段を示した斜視図である。 アンテナ電極膜の構成を示した平面図である。 アンテナ部分の断面図である。 GaAsの透過率を示した図である。
符号の説明
21 アンテナ電極膜
21a 間隙
22 光伝導膜
23 基板
24 赤外光透過部材
25 空隙
30 励起光透過部材

Claims (7)

  1. パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、
    該光伝導膜の一側面上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を放射する一対のアンテナ電極膜と、
    前記光伝導膜の他側面側でかつ少なくとも前記間隙に対応する領域に形成され、前記赤外光を透過する赤外光透過部材と、
    を備えていることを特徴とする赤外光放射装置。
  2. パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、
    該光伝導膜の一側面上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を放射する一対のアンテナ電極膜と、
    前記光伝導膜の他側面側でかつ少なくとも前記間隙に対応する領域に形成され、前記パルス励起光を透過するパルス励起光透過部材と、
    を備えていることを特徴とする赤外光放射装置。
  3. パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、
    該光伝導膜の一側面上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を放射する一対のアンテナ電極膜と、を備え、
    前記光伝導膜の他側面側でかつ前記間隙に対応する領域には、空隙が形成されていることを特徴とする赤外光放射装置。
  4. パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、
    該光伝導膜の一側面上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を検出する一対のアンテナ電極膜と、
    前記光伝導膜の他側面側でかつ少なくとも前記間隙に対応する領域に形成され、前記赤外光を透過する赤外光透過部材と、
    を備えていることを特徴とする赤外光検出装置。
  5. パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、
    該光伝導膜の一側面上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を検出する一対のアンテナ電極膜と、
    前記光伝導膜の他側面側でかつ少なくとも前記間隙に対応する領域に形成され、前記パルス励起光を透過するパルス励起光透過部材と、
    を備えていることを特徴とする赤外光検出装置。
  6. パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、
    該光伝導膜の一側面上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を検出する一対のアンテナ電極膜と、を備え、
    前記光伝導膜の他側面側でかつ前記間隙に対応する領域には、空隙が形成されていることを特徴とする赤外光検出装置。
  7. パルス励起光を発振する光源と、
    請求項1から3のいずれかに記載の赤外光放射装置および/または請求項4から6のいずれかに記載の赤外光検出装置と、
    を備えていることを特徴とする時系列変換パルス分光計測装置。
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