JP3921732B2 - 筒内噴射型火花点火式エンジン - Google Patents

筒内噴射型火花点火式エンジン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼室の周縁部にインジェクタを配置するとともに上記ピストンの頂部にキャビティを設けた筒内噴射型火花点火式エンジンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、特開平7−286520号公報に示されるように、燃焼室中央部に点火プラグを配置するとともに、燃焼室の周縁部にインジェクタを配置し、上記インジェクタから燃焼室に直接燃料を噴射するようにした筒内噴射型火花点火式エンジンは知られている。
【0003】
この種のエンジンでは、上記インジェクタが燃焼室の周縁部から斜め下方(ピストン側)に向けて燃料を噴射するように配置されていて、このインジェクタから圧縮行程で燃料が噴射されると、ピストン頂部で反射された燃料が点火プラグ周りに送られることで成層燃焼が行なわれ、また、吸気行程で燃料が噴射されると、混合気が燃焼室全体に拡散されて均一燃焼が行なわれる。
【0004】
そこで、運転状態に応じて燃料噴射形態を変更し、例えば低負荷低回転領域では圧縮行程噴射により成層燃焼状態とする一方、高負荷領域や高回転領域では吸気行程噴射により均一燃焼状態とするというような制御が行なわれている。また、上記公報にも示されるように吸気行程と圧縮行程とにそれぞれ燃料を噴射する分割噴射が行なわれる場合もある。
【0005】
なお、このようなエンジンにおいて、成層化を促進するため、ピストンの頂部に部分的にキャビティを設け、圧縮行程噴射時にインジェクタから噴射された燃料が上記キャビティを経て点火プラグ付近に送られるようにした構造も考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような筒内噴射型火花点火式エンジンでは、燃焼室の周縁部においてインジェクタが設置される箇所の近傍には吸気ポート等が配設されていて、インジェクタの設置場所が制約されているので、水平方向(シリンダ軸芯と直交する方向)に対するインジェクタの設置角度を大きく取ることは困難である。
【0007】
また、上記公報の図面に示されているものでは、インジェクタの設置方向に対して燃料噴射方向が下向きに折れ曲がることにより、ピストンが比較的下方にあるときにも噴霧がピストン頂面に向かうようにしているが、このように設置方向に対して燃料噴射方向を曲げようとすると、噴射口等の形状が複雑になるとともに、噴霧形状が悪化したり微粒化が阻害されたりする。従って、良好な噴霧を得るためにはインジェクタの設置方向と同方向に燃料を噴射させる必要があるので、インジェクタの設置角度に対応してインジェクタの噴射角度が制約され、通常、水平方向に対して下方45°以内に設定せざるを得ない。
【0008】
このような制約のもとで、特に冷間時に上記インジェクタから吸気行程で燃料が噴射される場合、噴射中にピストンが上死点から比較的大きく遠ざかると、インジェクタからの噴霧の方向がピストンの頂面から外れてしまって、噴射された燃料の多くがシリンダ壁に付着する。そして、冷間時にはシリンダ壁に付着した燃料が蒸発せずにピストンで掻き落されて潤滑用のオイルに混入することにより、オイルが希釈されるといった問題がある。
【0009】
一方、このような事態を避けるためピストンが上死点に極めて近い位置にある時期から噴射を開始すると、燃料が充分に微粒化される前にピストン頂部に付着するとともにピストンから跳ね返った燃料が燃焼室の天井部分に多く付着して、これらの燃料が充分燃焼されずに排出されるため排気中のHC、COが増加し、エミッションや燃費の悪化を招くという問題を生じる。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑み、冷間時にインジェクタから吸気行程で燃料が噴射される場合にも、シリンダ壁への燃料付着を抑制してオイルの希釈を防止するとともに、ピストン頂面や燃焼室天井部分への燃料付着も抑制し、エミッションや燃費を改善することができる筒内噴射型火花点火式エンジンを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、シリンダボア内のピストンの上方に形成された燃焼室の略中央部に点火プラグを設け、上記燃焼室の周縁部にインジェクタを、斜め下方に向けて燃料を噴射するように配置するとともに、上記ピストンの頂部にキャビティをインジェクタ側にオフセットした配置で設け、上記インジェクタから圧縮行程で燃料を噴射して上記キャビティを介して点火プラグ周りに混合気を偏在させる成層化状態と、上記インジェクタから少なくとも燃料の一部を吸気行程で噴射して混合気を燃焼室全体に拡散させる均一化状態とに変更可能とした筒内噴射型火花点火式エンジンにおいて、上記インジェクタをシリンダ軸線と直交する方向に対して斜め下方45°以内に指向させ、少なくともエンジンの冷間時に上記均一化状態とするように上記インジェクタからの燃料噴射を制御する制御手段を設けるとともに、少なくともエンジンの冷間時において吸気行程での燃料噴射の開始時期をクランク角で上死点後30°から40°までの範囲内とし、かつ燃料噴射の終了時期をインジェクタからの噴霧の中心線が上記キャビティ内に位置する範囲内のクランク角に設定したものである。
【0012】
この構成によると、レイアウト上の制約等から、上記インジェクタの噴射方向がシリンダ軸線と直交する方向に対して斜め下方45°以内となっているという条件下において、吸気行程での燃料噴射の開始時期をクランク角で上死点後30°以降としていることによりピストン頂面や燃焼室天井部分への燃料付着が抑制されてHC排出量が低減されるとともに、上記燃料噴射の開始時期を上死点後40°までの範囲内とし、燃料噴射の終了時期をインジェクタからの噴霧の中心線が上記キャビティ内に位置する範囲内のクランク角に設定していることにより、シリンダ壁への燃料付着が抑制され、潤滑用のオイル希釈が抑制される。
【0013】
この発明において、インジェクタとしては吸気行程での噴射時の噴霧角が40°以上となる広角インジェクタを用いたことが好ましく、このようにすることで燃料の微粒化等に有利となる。
【0014】
また、所定の冷間時に、燃焼室全体の空燃比を略理論空燃比としつつ上記インジェクタから吸気行程と圧縮行程とにそれぞれ燃料を噴射する分割噴射を行なわせるようにしておけば、暖機促進作用が高められるとともに、吸気行程噴射の期間が短縮されて、シリンダ壁への燃料付着の防止等に有利となる。
【0015】
圧縮行程で燃料を噴射する場合、筒内圧力が高くて噴霧がコンパクトになることにより吸気行程噴射と比べてシリンダ壁への燃料付着が生じ難いことから、所定の冷間時において、圧縮行程での燃料噴射の開始時期と圧縮上死点との間のクランク角を、吸気上死点と吸気行程での燃料噴射の開始時期との間のクランク角よりも大きく設定しておいてもよい。
【0016】
さらに、所定の冷間時において、圧縮行程での燃料噴射期間の中心と圧縮上死点との間のクランク角を、吸気上死点と吸気行程での燃料噴射期間の中心との間のクランク角よりも大きく設定しておいてもよい。
【0017】
また、燃焼室内にスワール成分とタンブル成分とを含む斜めスワールを生成することが可能となるように吸気系を構成するとともに、少なくとも吸気行程での燃料噴射が行なわれる冷間時に上記斜めスワールを生成させるようにしておくことが好ましい。このようにすると、吸気行程噴射時に上記斜めスワールによって噴霧を下方に向ける作用が得られるとともに燃料の微粒化が促進されるため、シリンダ壁への燃料付着が抑制される。
【0018】
本発明のエンジンにおいて、一対の吸気ポートのその一方の吸気ポートに対する吸気の流通を制御する制御弁とを設けて、この制御弁が閉じられるに応じてスワール比が大きくなるように吸気系を構成するとともに、エンジンの低負荷低回転領域ではエンジンの冷間時にも上記制御弁を閉じるように構成しておけば、エンジンの冷間時にスワールによりシリンダ壁への燃料付着抑制する作用が良好に得られる。
【0019】
また、温間時に特定運転領域おいてインジェクタからの燃料噴射を吸気行程でのみ行なうように制御するとともに、この温間時における吸気行程噴射の開始時期を冷間時における吸気行程噴射の開始時期と比べて遅角させるようにしておいてもよく、温間時にはシリンダ壁に燃料が付着してもすぐに蒸発するので、上記のように噴射開始時期を遅らせてもオイルの希釈を招くことはない。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は筒内噴射型火花点火式エンジンの構造の一例を示している。これらの図において、1はエンジン本体であって、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3等からなり、複数のシリンダを備えており、その各シリンダにはピストン4が嵌挿され、このピストン4の頂面とシリンダヘッド3の下面との間に燃焼室5が形成されている。上記ピストン4の頂部にはキャビティ6が設けられている。
【0021】
上記シリンダヘッド3には、燃焼室5に開口する2つの吸気ポート7A,7Bと、2つの排気ポート8A,8Bとが形成されるとともに、上記両吸気ポート7A,7Bをそれぞれ開閉する2つの吸気弁9と、上記両排気ポート8A,8Bをそれぞれ開閉する2つの排気弁10と、点火プラグ11と、インジェクタ12とが取付けられている。上記インジェクタ12は、燃焼室5内に直接燃料を噴射するものであって、燃焼室5の周縁部に、斜め下方に向けて燃料を噴射するように配置されている。また、上記点火プラグ11は燃焼室5の中央部に配置されている。
【0022】
これらの構造を具体的に説明すると、上記シリンダヘッド3の下面により構成される燃焼室5の天井部分はペントルーフ型となっており、上記ピストン4の頂部も上記天井部分に対応して中央部が***したペントルーフ形状とされている。また、上記キャビティ6は、図3及び図4にも示すように、ピストン4の頂部を部分的に凹陥させてなるもので、インジェクタ12側にオフセットした位置に設けられている。つまり、ピストン4の頂部においてインジェクタ12側の周縁付近から中央部付近にわたる範囲内でキャビティ6が形成され、このキャビティ6の周縁部のうちのピストン中央部側の部分と点火プラグ11とが対応するような位置関係になっている。
【0023】
上記吸気ポート7A,7Bは互いに独立に形成されており、その縦断面(軸線に沿った断面)の形状としては図1に示すように、上流側がシリンダヘッド3の一側壁上部に位置し、上流端から所定範囲の部分71が斜め下方に直線状に延び、その斜め方向直線状部分71の下流側に、水平方向(シリンダ軸心と直交する方向)に対する傾斜が最も緩やかになった区間72を有し、この緩傾斜区間72より下流側の部分73(下流端近傍のスロート部から下流端までの部分)は水平方向に対する傾斜角度が次第に大きくなり、その下流端がペントルーフ型の燃焼室天井部分に開口している。
【0024】
上記両吸気ポート7A,7Bの横断面(軸線の直交する断面)の形状は、互いに対称であって、上記斜め方向直線状部分71で図5に示すような異形断面形状となっている。すなわち、図5において、両吸気ポート7A,7Bの横断面形状は、シリンダヘッド下面から遠い側に位置する上辺部74と、吸気ポート間側とは反対側に位置する外側辺部75と、吸気ポート間側である内側から下側にかけての斜辺部76とを有する概略三角形状とされ、より詳細には上記上辺部74、外側辺部75及び斜辺部76に加えて上辺部74と斜辺部76との間の短い内側辺部77及び外側辺部75と斜辺部76との間の短い下辺部78を有する略五角形状とされている。
【0025】
そして、吸気ポート7A,7Bの横方向の最大幅の中心で、かつ、縦方向の最大幅の中心となる位置を軸心Oとし、この軸心Oを通って互いに直交する横方向及び縦方向の2直線をそれぞれの方向の中心線Lx,Lyと呼び、吸気ポート7A,7Bの横方向または縦方向の最大幅に相当する径の円を基準円C(吸気ポートが円形断面の場合の横断面形状に相当)と呼ぶと、ポート断面は上記基準円Cと比べ、横方向中心線Lxより上側及び横方向中心線Lyより外側で断面積が増大している。つまり、上辺部74及び外側辺部75はそれぞれ中心線Lx,Lyの両側の部分が基準円Cよりも径方向外方に拡張されており、このようにすることで吸気ポートの上側及び外側を空気が多く流れ、タンブル成分及びスワール成分を強化に有利となる。また、上記斜辺部76は基準円Cよりも軸心O側に入り込んでいる。
【0026】
ポート形状の説明図である図6にも示すように、上記斜め方向直線状部分71では概略三角形状で一定断面とされ、一方、吸気ポート下流側のスロート部から燃焼室5への開口部にわたる部分73では吸気弁形状に対応する円形断面とされ、その間の上記緩傾斜区間72で異形断面から円形断面へ断面形状が次第に変化するように形成されている。
【0027】
また、上記インジェクタ12は、燃料の微粒化に有利なように、吸気行程での噴射時の噴霧角が40°以上の広角インジェクタにより構成され、とくに望ましくは、螺旋状に燃料を噴射するスワールインジェクタにより構成される。そしてこのインジェクタ12が、燃焼室周縁部から燃焼室5内の斜め下方に向けて燃料を噴射するように傾斜した状態で、上記両吸気ポート7A,7Bの間の下方に設けられたインジェクタ取付孔13に取付けられる。この場合、両吸気ポート7A,7Bは斜め方向直線状部分71において上記のように内側から下側にかけての斜辺部76が基準円Cより軸心側に入り込んだ異形断面形状とされていることにより、この両吸気ポート7A,7Bの間の下方にインジェクタ12の配置スペースが確保されている。
【0028】
もっとも、このようにしてもインジェクタ設置場所は両吸気ポート7A,7Bにより制限されるので、水平方向に対するインジェクタ12の設置角度を45°以上に大きく取ることは困難であり、また、良好な噴霧を得るためにはインジェクタの設置方向と同方向に燃料を噴射させる必要がある。これらの制約から、インジェクタ12からの噴射方向は水平方向に対して下方45°以内に設定されている。
【0029】
また、吸気ポート7A,7Bの緩傾斜区間72の上部壁には、吸気弁9の弁軸を摺動自在に支持するバルブガイド14が設けられている。
【0030】
上記エンジン本体1の一側部には吸気マニホールド15が連結され、この吸気マニホールド15には、サージタンク16の下流にシリンダ別の分岐管17が設けられるとともに、その分岐管17に、上記両吸気ポート7A,7Bに通じる一対の吸気通路17A,17Bが形成されている。また、一方の吸気ポート7Aに対する吸気の流通を制御する制御弁18が、この吸気ポート7Aに通じる吸気通路17Aに設けられている。この制御弁18はステップモータ等のアクチュエータ19により作動されるようになっている。
【0031】
上記両吸気ポート7A,7Bと制御弁18とにより、スワール成分とタンブル成分とを有する斜めスワールの生成が可能で、かつ、上記スワール成分及びタンブル成分の調節が可能な吸気系が構成されている。
【0032】
すなわち、上記制御弁18が全閉もしくは部分開(全開と全閉との間の開度)とされることによって一方の吸気ポート7Aの吸気流通が制限された状態では他方の吸気ポート7Bに多く流れる吸気によって燃焼室5内にスワール成分(渦流の水平方向成分)を有する渦流が生成される。また、吸気ポート7A,7Bは斜め方向直線状部分71及び下流端側の部分73が比較的大きな傾斜角を有し、かつ、緩傾斜区間72が比較的短くされることにより、吸気ポート7A,7Bから燃焼室5に流入する吸気流がタンブル成分(渦流の垂直方向成分)を含むように形成されている。従って、制御弁が非全開状態(全閉もしくは部分開の状態)のときは上記スワール成分とタンブル成分とを含む斜めスワールが燃焼室5内に生成される。
【0033】
そして、上記スワール成分は制御弁18が全閉状態のときに最も強く、制御弁18の開度が大きくなるにつれて弱くなり、制御弁18が全開のときにスワール成分が略0となるが、このときにもタンブル成分は残されるようになっている。
【0034】
図7はエンジンの制御系統を示し、この図において、マイクロコンピュータ等からなるECU(コントロールユニット)20には、エンジン回転数を検出する回転数センサ21、アクセル開度を検出するアクセルセンサ22、吸入空気量を検出するエアフローメータ23、エンジン冷却水の水温を検出する水温センサ24等からの信号が入力されている。
【0035】
上記ECU20は、燃料噴射制御手段25、空燃比制御手段26及び吸気流動制御手段27を含んでいる。上記燃料噴射制御手段25は、後述の図8に示すマップに基づき、エンジンの運転状態及びエンジン温度(水温)に応じ、点火プラグ周りに混合気を偏在させる成層化状態とすべく圧縮行程で燃料を噴射する圧縮行程噴射と、燃焼室全体に混合気を拡散させる均一化状態とすべく吸気行程で燃料を噴射する吸気行程噴射と、点火プラグ周りに比較的リッチな混合気が存在するとともにその周囲に比較的リーンな混合気が存在する状態とすべく吸気行程と圧縮行程とにそれぞれ燃料を噴射する分割噴射とに、インジェクタ12からの燃料噴射形態を変更するようになっている。
【0036】
上記空燃比制御手段26は、後述の図8に示すマップに基づき、上記燃料噴射形態と対応して空燃比を設定し、その空燃比が得られるように、燃料噴射制御手段25を介してインジェクタ12からの燃料噴射量を制御するとともに、エレキスロットル(電気的なアクチュエータで作動されるスロットル弁)等の吸入空気量調節手段28を制御するようになっている。
【0037】
また、上記吸気流動制御手段19は、運転状態に応じて後述のように制御弁18の開度を制御するようになっている。
【0038】
図8は、燃料噴射形態及び空燃比につき、温間モードと冷間通常噴射モードと冷間分割噴射モードとの3種類のモードの制御マップを示している。
【0039】
同図(a)は温間モードであり、このモードでは、所定負荷以下かつ所定回転数以下の領域が成層燃焼領域Aとされ、この領域Aで圧縮行程噴射が行なわれるとともに空燃比が例えばA/F=40程度というように理論空燃比より大幅にリーンとされる。一方、所定負荷より高負荷側と所定回転数より高回転側とにわたる領域が均一燃焼領域Bとされ、この領域Bで吸気行程噴射が行なわれる。この均一燃焼領域Bのうちで低負荷低回転側の、成層燃焼領域Aに近い領域B1では、空燃比が理論空燃比よりリーン(λ>1)とされ、例えばA/F=20程度とされる。また、均一燃焼領域Bのうちでもとくに高負荷側及び高回転側の領域B2では、空燃比が理論空燃比もしくはこれよりリッチ(λ≦1)とされ、例えばA/F=13〜14.7とされる。
【0040】
同図(b)は冷間通常噴射モードであり、このモードでは、全開負荷付近を除く大部分の運転領域Cで、空燃比が理論空燃比(λ=1)とされつつ、吸気行程噴射が行なわれる。全開負荷付近の高負荷域Dでは、空燃比がA/F=13〜14.7とされつつ、吸気行程噴射が行なわれる。
【0041】
同図(c)は冷間分割噴射モードであり、このモードでは、高負荷領域と高回転領域とを除く大部分の運転領域Eで、空燃比が理論空燃比(λ=1)とされつつ、分割噴射が行なわれる。高負荷領域を除く高回転領域F1では、空燃比が理論空燃比(λ=1)とされつつ、吸気行程噴射が行なわれる。全開負荷付近の高負荷域F2では、空燃比がA/F=13〜14.7とされつつ、吸気行程噴射が行なわれる。
【0042】
図9(a)(b)は上記温間モードにおける各運転領域でのエンジン負荷、エンジン回転数に応じた吸気流動制御の特性を示している。
【0043】
エンジン負荷に応じた制御特性としては図9(a)のように、成層燃焼領域Aでは、上記制御弁18が部分開とされるとともに、低負荷側で制御弁18の開度が比較的大きくされ、負荷が高くなるにつれ、適度に混合気を拡散させるべく、制御弁18の開度が小さくされることでスワール比SRi及びタンブル比TRiが大きくされる。均一燃焼領域Bのうちでリーン空燃比とされる領域B1では、制御弁18が全閉とされることにより、スワール比SRi及びタンブル比TRiが最も大きくされる。また、均一燃焼領域Bのうちで空燃比がリッチとされる領域B2では、制御弁18が全開とされることにより、スワール比SRiが0とされる。
【0044】
エンジン回転数に応じた制御特性としては図9(b)のように、成層燃焼領域Aでは、上記制御弁18が部分開とされるとともに、エンジン回転数が高くなるにつれ、吸気流速そのものが早くなる傾向に対する調整のため、制御弁18の開度が大きくされることでスワール比SRi及びタンブル比TRiが小さくされる。均一燃焼領域Bのうちの領域B1で制御弁18が全閉、領域B2で制御弁18が全開とされるのは、図9(a)の負荷に応じた制御の場合と同様である。
【0045】
なお、冷間時は概ね温間時よりもスワールを強める方向に制御弁18が制御される。例えば、冷間通常噴射モードにおける領域Cや冷間分割噴射モードにおける領域Eでは、制御弁18が全閉もしくは比較的小さい開度に閉じられる。つまり、エンジンの低負荷低回転領域では、エンジンの冷間時にも上記制御弁18が全閉もしくは比較的小さい開度に閉じられる。
【0046】
図10はインジェクタ12からの燃料噴射のタイミングを、TDC(吸気上死点または圧縮上死点)を基準にして示している。この図において、実線で示す噴射開始時期I11及び噴射終了時期I12は吸気行程噴射の場合、つまり、吸気行程噴射のみを行なう場合や分割噴射おける吸気行程での噴射の場合のものである。この吸気行程噴射は吸気上死点以後に行なわれるが、その噴射開始時期がクランク角で上死点後30°以降とされ、噴射終了時期は、インジェクタ12からの噴霧の中心線Lc(図3)が上記キャビティ6内に位置する範囲内のクランク角に設定される。この噴霧中心線Lcがキャビティ6内に位置する範囲は、燃料噴射方向やキャビティ6の形状、配置等の諸元によって変わってくるが、図1〜図4に示すようなものでは上死点後60°程度までである。
【0047】
また、破線で示す噴射開始時期I21及び噴射終了時期I22は圧縮行程噴射の場合、つまり、圧縮行程噴射のみを行なう場合や分割噴射おける圧縮行程での噴射の場合のものである。図示のように、圧縮行程噴射は圧縮上死点より少し前に行なわれるが、その噴射開始時期I21から圧縮上死点までのクランク角θ21が吸気上死点から吸気行程噴射の噴射開始時期I11までのクランク角θ11よりも大きくなり、かつ、圧縮行程噴射期間の中心I20から圧縮上死点までのクランク角θ20が吸気上死点から吸気行程噴射期間の中心I10までのクランク角θ10よりも大きくなるように設定されている。
【0048】
具体的に噴射タイミングの一例を示すと、吸気行程噴射の噴射開始時期I11がATDC40°CA、同終了時期I12がATDC54°CA、同噴射期間の中心I10がATDC47°CAであり、一方、圧縮行程噴射の噴射開始時期I21がBTDC60°CA、同終了時期I22がBTDC54°CA、同噴射期間の中心I20がBTDC57°CAである。ただし、ATDCは上死点後、BTDCは上死点前、CAはクランク角をそれぞれ表している。
【0049】
図11は上記ECUによる制御の一例を示し、この制御がスタートすると、水温センサ24から入力される冷却水温と第1,第2の設定温度T1 ,T2 とが比較される(ステップS1,S2)。第1の設定温度T1 は例えば30°C程度とされ、第2の設定温度T2 は例えば80°C程度とされている。
【0050】
冷却水温が第2の設定温度T2 以上の温間時には、図8(a)に示した温間モードのマップに基づいて燃料噴射形態及び空燃比が制御されるとともに、図9のように制御弁18が制御される(ステップS3)。冷却水温が第1の設定温度T1 以上で第2の設定温度T2 未満の冷間時には、図8(b)に示した冷間通常噴射モードのマップに基づいて燃料噴射形態及び空燃比が制御されるとともに、前述のように制御弁18が制御される(ステップS4)。
【0051】
また、冷却水温が第1の設定温度T1 未満の冷間時には、図8(c)に示した冷間分割噴射モードのマップに基づいて燃料噴射形態及び空燃比が制御されるとともに、前述のように制御弁18が制御される(ステップS5)。なお、このときに始動、暖機の促進を図るため始動時増量及び暖機増量を行なってもよい。
【0052】
以上のような当実施形態のエンジンによると、冷却水温が第2の設定温度T2 以上となる温間時には温間モードのマップに基づく制御が行なわれる。
【0053】
つまり、低負荷低回転側の成層燃焼領域Aでは、燃焼室5の周縁に配置されたインジェクタ12から圧縮行程で燃料が噴射されて、この燃料がキャビティ6にトラップされてからその周縁部壁面に沿って点火プラグ11方向に送られることにより、点火プラグ11周りに混合気が偏在するように成層化され、この成層かによって空燃比が大幅にリーンな状態で着火、燃焼が可能となり、燃費が改善される。また、高負荷側の領域や高回転側の領域は均一燃焼領域Bとされ、この領域Bでは吸気行程で燃料が噴射されて燃焼室全体に混合気が拡散されるが、この均一燃焼領域Bのうちの低負荷側や低回転側の領域B1では空燃比がリーンとされることにより、この領域B1でも燃費改善が図られる。
【0054】
また、冷間時であって冷却水温が第1の設定温度T1 以上のときは、冷間通常噴射モードのマップに基づく制御が行なわれ、大部分の運転領域で、理論空燃比とされつつ、吸気行程噴射が行なわれることにより、冷間時の燃焼性が高められるとともに暖機が促進される。
【0055】
冷間時であって冷却水温が第1の設定温度T1 より低いときは、冷間分割噴射モードのマップに基づく制御が行なわれ、大部分の運転領域で、略理論空燃比とされつつ、吸気行程と圧縮行程でそれぞれインジェクタ12から燃料を噴射する分割噴射が行なわれ、これにより暖機促進作用が高められるととともに、エミッションも改善される。
【0056】
略理論空燃比としつつ分割噴射を行なうことにより暖機促進作用等が得られることは、当出願人が先に出願した特願平9−17196号の明細書の中で説明している。これを簡単に説明すると、上記分割噴射によって点火プラグ周りに比較的リッチな混合気が形成されるとともにその周囲に比較的リーンな混合気が形成され、この状態で着火が行なわれることにより、着火安定性が確保されるとともに点火プラグ付近のリッチな混合気が比較的早い燃焼速度で初期燃焼してから、その周囲の比較的リーンな混合気が燃焼する主燃焼に移行する。そして、主燃焼が緩慢燃焼となることから、点火時期をリタードしたのと同様の作用が得られるとともに、初期燃焼時に点火プラグ付近に生じた余剰燃料が次第にリーン混合気層の酸素を奪って燃焼する後燃えが生じ、これらの作用で排気温度を上昇させ、暖機を促進する機能が得られる。
【0057】
また、この冷間分割噴射モードでの制御時に燃料の始動時増量、暖機増量を行なってもよく、この場合、増量補正によって燃料噴射量は多くなるが、吸気行程噴射と圧縮行程噴射とに分割されるので、吸気行程噴射時間が増大しすぎることはない。
【0058】
第1の設定温度T1 で分割噴射から均一噴射に切替えているのは、理論空燃比とする場合に吸気行程噴射のみによる均一燃焼の方が燃費的には有利だからである。
【0059】
上記のようにエンジンの冷間時の上記冷間通常噴射モードでは吸気行程噴射が行なわれ、冷間分割噴射モードでの分割噴射時には一部の燃料が吸気行程で噴射されるが、これらの場合に、吸気行程噴射の噴射開始時期がクランク角で上死点後30°以降で、かつ噴射終了時期がインジェクタ12からの噴霧の中心線が上記キャビティ6内に位置する範囲内のクランク角となるように設定されていることにより、HC排出量の低減、燃費改善及びトルク向上が図られるとともに、ガソリンによるオイルの希釈が抑制される。
【0060】
このような作用を、図12〜図14を参照しつつ説明する。
【0061】
図12は図1〜図4に示すようなエンジンを用い、エンジンの冷却水温(油温)が50°C程度の冷間時であって比較的燃料噴射量が多い低速高負荷運転状態にあるという条件下で、噴射タイミングとオイル希釈率、HC排出量、燃費及びトルクとの関係を示しており、横軸の噴射タイミングは噴射開始時期であり、噴射終了時期はこれより20°CA程度後である。
【0062】
この図に示すように、噴射タイミングがATDC30°付近よりも早い場合は、HC排出量が多くなり、それに伴って燃費が悪化し、トルクも低くなる傾向がある。これは、ピストン4の頂部がインジェクタ12及び燃焼室天井部に近すぎて、インジェクタ12から噴射されて充分に微粒化される前の燃料がピストン4に多く付着するとともに、ピストン4に衝突して跳ね返った燃料の多くが燃焼室天井面に付着し、これらの燃料が燃焼せずに排出されるためである。そして、噴射タイミングがATDC30°以降になれば、ピストン12や燃焼室天井部への燃料付着が低減されることにより、HC排出量が減少し、燃費が低減され、トルクが高められる。
【0063】
また、噴射タイミングがATDC40°程度(噴射終了時期がATDC60°程度)まではオイル希釈率が低く保たれるが、噴射タイミングがこれより遅くなるとオイル希釈率が増加する傾向が生じる。これは、当実施形態のエンジンではインジェクタ12からの噴霧の中心線Lcがキャビティ6内に位置する範囲の限界がATDC60°程度であって、それ以降まで燃料が噴射されてピストン4の下降により噴霧の中心線Lcがキャビティ6から外れると、噴射燃料の多くが燃焼室5の周辺に跳び散ってシリンダ壁への燃料付着が増加するためである。なお、シリンダ壁への燃料付着が増加すると、ピストンが上昇時にシリンダ壁の燃料付着部分を通過した後、下降時にシリンダ壁に付着した燃料を掻き落とし、この燃料がオイルに混入することでオイルの希釈を招くこととなる。
【0064】
図12に示すデータから、噴射タイミングがATDC30°以降とするとともに、インジェクタ12からの噴霧の中心線Lcがキャビティ6内に位置する範囲内で噴射を終了するようにすれば、エミッション、燃費及びトルクを良好に保つ効果とガソリンによるオイルの希釈を抑制する効果の両方が満足されることとなる。
【0065】
図13は冷却水温度(潤滑油温度)とオイル希釈率との関係を示し、この図のように、冷却水温度が低いときはシリンダ壁に付着した燃料が蒸発し難いためにオイル希釈率が増加し易く、冷却水温度が高くなるとシリンダ壁に燃料が付着してもすぐに蒸発するためオイル希釈率が低く保たれる。
【0066】
つまり、エンジンの温間時には燃料噴射タイミングを遅らせてもオイル希釈の問題はない。そこで、温間モードで制御される場合において、運転状態が均一燃焼領域にあるときの好ましい制御として、吸気行程噴射の噴射タイミングを冷間時と比べて遅らせるようにしてもよい。このようにすると、燃料噴射時の燃焼室5内の吸気流動が強くなることでミキシングを向上し、燃焼性を高めることができる。
【0067】
また、図14(a)は冷間時において噴射開始時期をATDC60°として吸気行程噴射を行なった場合(線35)と、噴射開始時期をATDC40°として吸気行程噴射を行なった場合(線36)と、噴射開始時期が40°の吸気行程噴射と圧縮行程噴射とを、噴射量の割合を2:1として行なった分割噴射の場合とにつき、オイル希釈率の時間的変化を示している。この図のように噴射開始時期がATDC60°と遅い場合はオイル希釈率が増大するのに対し、噴射開始時期をATDC40°として吸気行程噴射を行えばオイル希釈率が小さくなり、さらに分割噴射を行なった場合は、吸気行程噴射の期間が短くなることでシリンダ壁への燃料付着量が減少するためオイル希釈率がより一層小さくなる。従って、エンジン温度が著しく低いときは、図8(c)に示す冷間分割噴射モードを選択することがオイル希釈抑制の面でも有利となる。
【0068】
図14(b)は、冷間時において噴射開始時期をATDC60°とした吸気行程噴射をスワールなしの状態で行なった場合(線31)及びスワール生成状態で行なった場合(線32)と、噴射開始時期をATDC0°とした吸気行程噴射をスワールなしの状態で行なった場合(線33)及びスワール生成状態で行なった場合(線34)とにつき、オイル希釈率の時間的変化を示している。この図のように、スワールを生成すれば、オイル希釈が抑制される。これは、噴射燃料がシリンダ壁に達するまでにスワールでミキシングされて微粒化が促進されることにより、シリンダ壁への燃料付着が抑制されるためであり。特に、前述のようにタンブル成分とスワール成分とを有する斜めスワールを生成すれば、そのタンブル成分により噴霧が下方に向けられるため、シリンダ壁への燃料付着がより一層抑制される。
【0069】
従って、冷間時でも低負荷低回転側の領域では上記制御弁18を閉じて斜めスワールを生成させるようにしておけばよい。
【0070】
ところで、圧縮行程噴射時には筒内圧が高くなることで噴霧がコンパクトになるため、吸気行程噴射と比べてシリンダ壁への燃料付着は生じにくい。従って、前記の図9に示すように、圧縮行程噴射から圧縮上死点までの期間(θ21,θ20)を吸気上死点から吸気行程噴射までの期間(θ11,θ10)より大きくしても差し支えなく、このようにすることで噴射期間の確保等に有利となる。
【0071】
【発明の効果】
以上のように本発明は、燃焼室の周縁部に配置したインジェクタをシリンダ軸線と直交する方向に対して斜め下方45°以内に指向させるとともに、少なくともエンジンの冷間時に吸気行程での燃料噴射を行なうことにより均一化状態とするとともに、冷間時に吸気行程での燃料噴射の開始時期をクランク角で上死点後30°から40°までの範囲内とし、かつ燃料噴射の終了時期をインジェクタからの噴霧の中心線がピストン頂部のキャビティ内に位置する範囲内のクランク角に設定しているため、レイアウト上の制約等から上記インジェクタの噴射方向をあまり下に向けられないという条件下で、エンジンの冷間時に、HC排出量を低減して燃費、トルク等を向上するとともに、シリンダ壁への燃料付着を抑制し、オイルの希釈を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による筒内噴射型火花点火式エンジンの断面図である。
【図2】上記エンジンの燃焼室及び吸気系の概略平面図である。
【図3】上記エンジンの燃焼室の断面図である。
【図4】ピストンの頂部の平面図である。
【図5】図1のA−A線部分での吸気ポートの断面形状を示す図である。
【図6】ポート形状についての説明図である。
【図7】制御系のブロック図である。
【図8】(a)〜(c)は温間時、冷間時における燃料噴射形態及び空燃比の制御マップを示す図である。
【図9】(a)(b)はエンジン負荷及びエンジン回転数に応じた吸気流動の制御を示す図である。
【図10】吸気行程噴射及び圧縮行程噴射の噴射タイミングを示す図である。
【図11】制御のフローチャートである。
【図12】噴射タイミングとオイル希釈率、HC排出量、燃費及びトルクとの関係を示す図である。
【図13】冷却水温度とオイル希釈率との関係を示す図である
【図14】(a)(b)は噴射開始時期等を変えた場合のオイル希釈率の時間的変化を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
3 シリンダヘッド
4 ピストン
5 燃焼室
6 キャビティ
7A,7B 吸気ポート
11 点火プラグ
12 インジェクタ
18 制御弁
20 ECU

Claims (8)

  1. シリンダボア内のピストンの上方に形成された燃焼室の略中央部に点火プラグを設け、上記燃焼室の周縁部にインジェクタを、斜め下方に向けて燃料を噴射するように配置するとともに、上記ピストンの頂部にキャビティをインジェクタ側にオフセットした配置で設け、上記インジェクタから圧縮行程で燃料を噴射して上記キャビティを介して点火プラグ周りに混合気を偏在させる成層化状態と、上記インジェクタから少なくとも燃料の一部を吸気行程で噴射して混合気を燃焼室全体に拡散させる均一化状態とに変更可能とした筒内噴射式火花点火式エンジンにおいて、上記インジェクタをシリンダ軸線と直交する方向に対して斜め下方45°以内に指向させ、少なくともエンジンの冷間時に上記均一化状態とするように上記インジェクタからの燃料噴射を制御する制御手段を設けるとともに、少なくともエンジンの冷間時において吸気行程での燃料噴射の開始時期をクランク角で上死点後30°から40°までの範囲内とし、かつ燃料噴射の終了時期をインジェクタからの噴霧の中心線が上記キャビティ内に位置する範囲内のクランク角に設定したことを特徴とする筒内噴射型火花点火式エンジン。
  2. インジェクタとして吸気行程での噴射時の噴霧角が40°以上となる広角インジェクタを用いたことを特徴とする請求項1記載の筒内噴射型火花点火式エンジン。
  3. 所定の冷間時に、燃焼室全体の空燃比を略理論空燃比としつつ上記インジェクタから吸気行程と圧縮行程とにそれぞれ燃料を噴射する分割噴射を行なわせるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の筒内噴射型火花点火式エンジン。
  4. 所定の冷間時において、圧縮行程での燃料噴射の開始時期と圧縮上死点との間のクランク角を、吸気上死点と吸気行程での燃料噴射の開始時期との間のクランク角よりも大きく設定したことを特徴とする請求項3記載の筒内噴射型火花点火式エンジン。
  5. 所定の冷間時において、圧縮行程での燃料噴射期間の中心と圧縮上死点との間のクランク角を、吸気上死点と吸気行程での燃料噴射期間の中心との間のクランク角よりも大きく設定したことを特徴とする請求項4記載の筒内噴射型火花点火式エンジン。
  6. 燃焼室内にスワール成分とタンブル成分とを含む斜めスワールを生成することが可能となるように吸気系を構成するとともに、少なくとも吸気行程での燃料噴射が行なわれる冷間時に上記斜めスワールを生成させるようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の筒内噴射型火花点火式エンジン。
  7. 一対の吸気ポートのその一方の吸気ポートに対する吸気の流通を制御する制御弁とを設けて、この制御弁が閉じられるに応じてスワール比が大きくなるように吸気系を構成するとともに、エンジンの低負荷低回転領域ではエンジンの冷間時にも上記制御弁を閉じるように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の筒内噴射型火花点火式エンジン。
  8. 温間時に特定運転領域おいてインジェクタからの燃料噴射を吸気行程でのみ行なうように制御するとともに、この温間時における吸気行程噴射の開始時期を冷間時における吸気行程噴射の開始時期と比べて遅角させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の筒内噴射型火花点火式エンジン。
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