JP3920459B2 - 押出合成樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一定の断面形状を有する棒状又は帯状などの小断面合成樹脂成形部に局部的に大断面合成樹脂成形部を形成してなる押出合成樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、押出成形機によって例えば物干し竿や造園芸用支持棒、或いは被覆材などに使用される合成樹脂成形品を得るには、成形品の断面形状に応じた形状を有する押出成形機のノズルから未硬化の合成樹脂材を押し出して長尺の成形品を製造し、必要に応じてこの成形品を一定の寸法毎に切断することによって形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の押出成形方法では断面形状が全長に亘って同大の押出合成樹脂成形品しか製造することができず、ノズルから押し出される未硬化の合成樹脂材の引取速度を変化させたり、押出成形機のモータの回転数を変化させることによって部分的に断面形状が異なった押出合成樹脂成形品を製造することも考えられるが、短時間で急速に引取速度やモータの回転数を変化させることが不可能であるため、徐々に断面形状が変化した成形品しか得られず、両端部が大径に形成された例えば、物干し竿等の長尺物を製造するには、金属製パイプを押出成形機のノズルに挿通しながらその外周面に未硬化の合成樹脂材を被覆させ、この状態でパイプの引出速度を変化させることによってパイプの外周面に局部的に節状の大径合成樹脂被覆部を形成する方法が採用されているのが現状である。
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、一定の断面形状を有する小断面合成樹脂成形部に局部的に大断面合成樹脂成形部を有する全体が合成樹脂材よりなる押出合成樹脂成形品を能率よく確実に製造し得る方法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決るための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る押出合成樹脂成形品の製造方法は、押出成形機のノズルから未硬化の合成樹脂材を一定の圧力でもって押し出すことによりノズルの断面形状に等しい断面形状を有する小断面合成樹脂成形部を形成すると共に、この小断面合成樹脂成形部の押出成形中に、上記ノズルの先端部に連通させているシリンダ部内のピストン体を一定の速度でもって徐々に後退させて該シリンダ部に上記ノズル内を通過する合成樹脂材の一部を滞留させ、ノズルから所定長さの上記小断面合成樹脂成形部が押し出されたのち、上記シリンダ部内のピストン体を上記後退速度よりも速い速度でもって前進させて該シリンダ部に滞留させた上記合成樹脂材をノズル側に送り出すことにより、ノズルから押し出される合成樹脂材を拡大させて大断面合成樹脂成形部を形成することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2、請求項3に係る発明は、上記請求項1に記載の押出合成樹脂成形品の製造方法において、製造される押出合成樹脂成形品は局部的に大断面合成樹脂成形部を有する一定断面形状の線状材又は棒状材或いは管材、若しくは局部的に大断面合成樹脂成形部を有する一定幅と厚みを有する帯状材又は板状材であることを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
合成樹脂材の押出成形機としては、樹脂通路の先端部にノズルを形成している金型に、上記ノズルの先端部に連通したシリンダ部を設けてなる押出成形機が使用される。この押出成形機の樹脂通路に半溶融状、即ち、未硬化の合成樹脂材を一定圧でもって供給してノズルから外部に押し出すと、ノズルの断面形状に等しい形状の小断面合成樹脂成形部が連続的に製造される。この際、未硬化の合成樹脂材を一定圧でもってノズルから押し出し成形中に、シリンダ部内のピストン体を一定の速度でもって徐々に後退させると、ノズル内を通過する未硬化の合成樹脂材の一部がシリンダ部内に充填、滞留する。
【0008】
ノズルから一定の断面形状を有する合成樹脂成形部が所定長さ押し出されたのち、シリンダ部内のピストン体を急速に前進させてシリンダ部内の未硬化の合成樹脂材をノズル内に押し出すと、ノズルから押し出される直前の未硬化の合成樹脂材の圧力が急激に増大し、蓄圧される。この状態で未硬化の合成樹脂材がノズルから押し出されると、押し出された直後においてそれまで蓄積されていた圧力が直ちに開放されて合成樹脂材が膨張し、ノズルの断面形状が拡大した大断面合成樹脂成形部が形成される。
【0009】
この大断面合成樹脂成形部は上記小断面合成樹脂成形部の形成途上において局部的に形成され、ピストン体の前進による一定長さの大断面合成樹脂成形部の形成後、再び、ピストン体を一定の速度でもって徐々に後退させることにより、ノズルを通過する未硬化の合成樹脂材の一部をシリンダ内に取り込みながら、一定圧でもってノズルから合成樹脂材を押し出して小断面合成樹脂成形部を連続形成していくものである。なお、合成樹脂材としては、加熱によって溶融状態にしても良好な流動性を発揮するポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂が使用される。
【0010】
【実施例】
本発明の具体的な実施例を図面について説明すると、図1は一定の断面形状を有する小断面合成樹脂成形部6とこの小断面合成樹脂成形部6の形成途中において該小断面合成樹脂成形部6よりも長さが短い大断面合成樹脂成形部7を局部的に連続成形する押出成形機の金型1を示すもので、この金型1内の中央に半溶融状態、即ち、流動性を有するポリエチレン又はポリプロピレン等の未硬化のオレフィン系合成樹脂材3を押し出し成形するノズル2が設けられている。さらに、金型1にこの金型1の外周面からノズル2の先端部に連通するシリンダ部4を一体に設けてあり、該シリンダ部4内にピストン体5を往復摺動自在に挿嵌している。
【0011】
また、上記ノズル2の基端側は徐々に大径に形成して未硬化の合成樹脂材3をノズル2に一定の押圧力でもって供給する通路部2aを形成している。なお、上記シリンダ部4はノズル2の長さ方向に対して直交する方向に連通させているが、ノズル2の先端開口部側に向かって傾斜させておいてもよい。
【0012】
このように構成している押出成形機の金型1のノズル2に通路部2aを通じて未硬化の合成樹脂材3を一定の圧力でもって供給すると、合成樹脂材3がノズル2内を圧密状態で通過してノズル2の先端開口から外部に押し出され、その押出速度に同調した引き出し速度でもって引き取ることによりノズル2の断面形状に等しい形状を有する小断面合成樹脂成形部6を成形していく。
【0013】
この時、ノズル2から小断面合成樹脂成形部6を押出成形しながら、ピストン体5を一定の速度でもって徐々に後退させることにより、図1に示すようにノズル2内を通過する合成樹脂材3の一部をシリンダ部4内に充填、滞留させる。そして、ノズル2から押し出される小断面合成樹脂成形部6の長さが所定長に達すると、図2に示すように通路部2a側からの合成樹脂材3の供給を続行しながらピストン体5を急速に前進させてシリンダ部4内に充填、滞留している未硬化の合成樹脂材3aをノズル2内に送り出す。
【0014】
そうすると、通路部2a側から圧送される合成樹脂材3とシリンダ部4側から圧送される合成樹脂材3aとがノズル2内で合流してノズル2内を流動する樹脂圧が急激に増大し、ノズル2内に蓄圧された状態でノズル2から押し出されて押し出された直後にその樹脂圧が開放されて合成樹脂材3が膨張して拡大し、上記小断面合成樹脂成形部6に引き続いて該小断面合成樹脂成形部6の断面形状を拡大した大断面合成樹脂成形部7が押出成形される。
【0015】
この大断面合成樹脂成形部7の長さは、ピストン体5をノズル2側に向かって一定の押圧力で押し進めてシリンダ部4内の未硬化の合成樹脂材3aをノズル2内に圧入する作動時間によって決定されるが、通路部2a側からの合成樹脂材3は連続供給が可能であるのに対してシリンダ部4からの供給量は該シリンダ部4の容量によって決定されるので、小断面合成樹脂成形部6よりも大断面合成樹脂成形部7の長さが短く、小断面合成樹脂成形部6の連続成形中に局部的に成形されることになる。なお、シリンダ部4内に滞留している合成樹脂材3aをピストン体5によって一度に押し出すことなく、ピストン体5を間歇的に押し進めることにより、小断面合成樹脂成形部6の押出成形中に小間隔毎に長さの短い大断面合成樹脂成形部7を形成してもよい。
【0016】
このように小断面合成樹脂成形部6とこの小断面合成樹脂成形部6に局部的に形成された大断面合成樹脂成形部7とを交互に成形して長尺の押出合成樹脂成形品Aを製造するものであるが、この押出合成樹脂成形品Aを所望の長さ毎に切断することによって定尺の合成樹脂成形品を得るものである。
【0017】
押出合成樹脂成形品Aの断面形状はノズル2の開口部の断面形状によって決定されるが、小径ノズル2を有する金型1を用いた場合、長さ方向に適宜間隔毎に大断面合成樹脂成形部からなる大径部を有する線状の合成樹脂成形品を製造することができ、このような線状の合成樹脂成形品は結束材などに用いることができる。
【0018】
また、比較的大径の円形ノズル2を有する金型1によって押出成形した場合には、図3に示すように、小断面合成樹脂成形部からなる小径の棒部6aに局部的に大断面合成樹脂成形部からなる大径の節状部7aを形成してなる長尺合成樹脂成形品を製造することができ、この長尺押出合成樹脂成形品を所望長さ毎に切断することによって節状部7aが滑り止めの機能を奏する造園芸用支持棒などに使用することができ、また、小径棒部6aが長い押出合成樹脂成形品を成形し、その両端部の大径節状部7aにおける長さ方向の中央部を切断することによって両端が大径の係止部を有する物干し竿を製造することができる。
【0019】
さらに、ノズル2内に中子(図示せず)を配設してなる金型を用いることによって、図4に示すように小断面合成樹脂成形部が小径管部6bで、局部的に大断面合成樹脂成形部からなる大径の短筒状部7bを有する押出合成樹脂成形品を製造することができ、また、断面横長長方形状のノズル2を有する金型によって押出成形した場合には、図5に示すように小断面合成樹脂成形部が一定幅を有する薄肉帯状部6cで、局部的に大断面合成樹脂成形部からなる肉厚の補強部7cを成形してなる長尺帯状或いは板状の合成樹脂成形品を製造することができ、このような合成樹脂成形品を適宜長さ毎に切断することにより仕切板や壁面材として用いることができる。
【0020】
更に又、上記帯状の押出合成樹脂成形品において、小幅で且つ大断面合成樹脂成形部からなる肉厚の補強部7dを比較的長く成形しながらノズル2から連続的に押し出し、半溶融状態を維持したまゝ、回転成形軸上に送り込んでこの成形軸に先に巻回した帯状部の一側端縁に次に巻回する帯状部の対向端縁を接合、融着させながら螺旋状に巻き付けていけば、図6に示すように薄肉帯状部6dによって小径管部が形成されると共に肉厚の補強部7dによって内径が小径管部の内径と同径で、外径が大径の短い大径管部が形成された長尺管を製造することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように本発明の押出合成樹脂成形品の製造方法は、押出成形機のノズルから未硬化の合成樹脂材を一定の圧力でもって押し出すことによりノズルの断面形状に等しい小断面合成樹脂成形部を形成すると共にこの小断面合成樹脂成形部の押出成形中に、上記ノズルの先端部に連通させているシリンダ部内の未硬化の合成樹脂材を一定の圧力でもってノズル側に送り出すことによりノズルから押し出される合成樹脂材を拡大させて大断面合成樹脂成形部に形成するものであるから、未硬化の合成樹脂材をノズルから押し出して小断面合成樹脂成形部を連続成形しながらその成形途上の所望部分にシリンダ部内の未硬化の合成樹脂材の送り出しによる大断面合成樹脂成形部を簡単且つ確実に形成することができる。
【0022】
その上、シリンダ部内から未硬化の合成樹脂材をノズルの先端部内に送り出すので、小断面合成樹脂成形部を形成するためにノズル内を流動する合成樹脂材とシリンダ部側からの合成樹脂材とが合流してノズル内の樹脂圧を急激に増大させることができると共にその状態でノズルから押し出された合成樹脂材が圧力の開放によって瞬時に膨張してシャープで安定した断面形状の大断面合成樹脂成形部を成形することができる。また、このような小断面合成樹脂成形部と大断面合成樹脂成形部とを有する押出合成樹脂成形品の断面形状は、ノズルの断面形状に応じて変更することができ、大径部を有する線状材や棒状材、或いは、肉厚部を有する帯状材や板材等の所望の押出合成樹脂成形品を製造することができるものである。
【0023】
さらに、ノズルから未硬化の合成樹脂材を一定の圧力でもって押し出して小断面合成樹脂成形部を形成中に、ノズルの先端部に連通させている上記シリンダ部内のピストン体を一定の速度でもって徐々に後退させて該シリンダ部にノズル内を通過する合成樹脂材の一部を滞留させ、大断面合成樹脂成形部の成形時にピストン体を上記後退速度よりも速い速度でもって前進させてシリンダ部に滞留させた上記合成樹脂材をノズル側に押し出すことを特徴とするものであるから、ノズルから押し出される小断面合成樹脂成形部の断面形状を一定に維持しながらノズルを流動する合成樹脂材の一部をシリンダ部内に取り込むことができると共に大断面合成樹脂成形部の形成時にはピストン体を急速に前進させることによって小断面合成樹脂成形部中の所望部分に大断面合成樹脂成形部を能率良く且つ正確に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 小断面合成樹脂成形部を成形中のノズルの簡略縦断側面図、
【図2】 大断面合成樹脂成形部の成形時のノズルの簡略縦断側面図、
【図3】 棒状の押出合成樹脂成形品の一部の簡略斜視図、
【図4】 管状の押出合成樹脂成形品の一部の簡略斜視図、
【図5】 板状の押出合成樹脂成形品の一部の簡略斜視図、
【図6】 帯状の押出合成樹脂成形品を螺旋巻きすることによって得られた管状の押出合成樹脂成形品の一部縦断側面図。
【符号の説明】
1 金型
2 ノズル
3 合成樹脂材
4 シリンダ部
5 ピストン体
6 小断面合成樹脂成形部
7 大断面合成樹脂成形部
Claims (3)
- 押出成形機のノズルから未硬化の合成樹脂材を一定の圧力でもって押し出すことによりノズルの断面形状に等しい断面形状を有する小断面合成樹脂成形部を形成すると共に、この小断面合成樹脂成形部の押出成形中に、上記ノズルの先端部に連通させているシリンダ部内のピストン体を一定の速度でもって徐々に後退させて該シリンダ部に上記ノズル内を通過する合成樹脂材の一部を滞留させ、ノズルから所定長さの上記小断面合成樹脂成形部が押し出されたのち、上記シリンダ部内のピストン体を上記後退速度よりも速い速度でもって前進させて該シリンダ部に滞留させた上記合成樹脂材をノズル側に送り出すことにより、ノズルから押し出される合成樹脂材を拡大させて大断面合成樹脂成形部を形成することを特徴とする押出合成樹脂成形品の製造方法。
- 製造される押出合成樹脂成形品は局部的に大断面合成樹脂成形部を有する一定断面形状の線状材又は棒状材或いは管材であることを特徴とする請求項1に記載の押出合成樹脂成形品の製造方法。
- 製造される押出合成樹脂成形品は局部的に大断面合成樹脂成形部を有する一定幅と厚みを有する帯状材又は板状材であることを特徴とする請求項1に記載の押出合成樹脂成形品の製造方法。
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