JP3918253B2 - 蓄圧式燃料噴射装置の安全装置 - Google Patents

蓄圧式燃料噴射装置の安全装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄圧室又はコモンレールに貯溜された高圧燃料を、エンジンの各気筒に設けられた燃料噴射ノズルを介して燃焼室内に噴射するようにした蓄圧式燃料噴射装置における安全装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エンジンによって駆動される高圧燃料供給ポンプ又はプランジヤ装置により燃料を加圧してコモンレールと呼ばれている蓄圧室に貯溜し、同蓄圧室又はコモンレール内の高圧燃料をエンジンの各気筒に設けられた燃料噴射ノズルによって燃料室内に噴射するようにした蓄圧式燃料噴射装置は、公知である。
【0003】
この種の蓄圧式燃料噴射装置の概略構成を、便宜的に本発明に係る安全装置を含む車両用ディーゼルエンジンを示した図1を援用して説明すると共に、図3及び図4に示した上記安全装置の断面図を参照して説明する。
【0004】
先ず、蓄圧式燃料噴射装置を含む車両用ディーゼルエンジンの概略構成を示す図1において、符号10はエンジンを総括的に示し、12は同エンジンの各気筒に設けられた電磁作動式の燃料噴射ノズルである。上記燃料噴射ノズル12は、例えば前記特開平4−241767号公開公報及び特開平4−252860号公開公報に開示されているような構造のものを、任意に採用することができる。各燃料噴射ノズル12は、コントロールユニット又は制御手段14の駆動出力を受けて作動し、エンジン10の運転状態に応じ適切な噴射タイミング及び噴射量をもって各気筒の燃焼室に燃料を噴射する。上記コントロールユニット又は制御手段14には、エンジンの運転状態を示す回転数センサ16の信号出力N、アクセルペダルの踏込み量を検知する負荷センサ18の信号出力L、エンジン10の冷却水温を示す温度センサ20の信号出力T,車速を検知する車速センサ22の信号出力Vその他必要な信号を受けて、上記燃料噴射量及び噴射タイミングを設定する。
【0005】
上記燃料噴射ノズル12は、夫々燃料通路の一部を形成する燃料噴射管24及びその詳細な構造については後述する安全装置26を介して蓄圧室又はコモンレール28に接続されている。同蓄圧室28は、その内部に可変容量の高圧燃料供給ポンプ又はプランジヤ装置30により加圧された高圧の燃料を貯溜する。同蓄圧室28には、圧力センサ32が設けられ、同圧力センサ32の燃料圧力信号Pが上記コントロールユニット又は制御手段14に供給され、同コントロールユニット又は制御手段14は上記燃料圧力信号Pを受けて上記燃料供給ポンプ又はプランジヤ装置30に駆動出力を提供し、この結果、蓄圧室28内に設定圧力の高圧燃料が貯溜される。上記可変容量の燃料供給ポンプ又はプランジヤ装置30に代え、定容量ポンプ又はプランジヤ装置を用い、その吐出側に設けられた還流量制御弁の開度を制御して燃料タンク34への燃料還流量を制御することによって、蓄圧室28の燃料圧力を制御することもできる。なお、上記燃料タンク34内に貯溜された燃料は、低圧のフィードポンプ36によって上記高圧燃料供給ポンプ又はプランジヤ装置30に供給される。
【0006】
上記安全装置26の従来の構造は、図3に示されているように、上記蓄圧室28の外壁に螺合された中空筒状の弁ハウジング38を具えている。同弁ハウジング38の内部に、大径孔40とそれより僅かに小さい直径を有する小径孔42とが同軸的に設けられ、大径孔40と小径孔42とは円錐部44により接続されている。同小径孔42の開口端に上記燃料噴射管24の上流端が袋ナット46により緊締され、同燃料噴射管24の下流端は、エンジンの各気筒に夫々設けられている上記電磁作動の燃料噴射ノズル12の燃料入口に接続されている。
【0007】
上記大径孔40内に、摺動自在の遊動ピストン48と、同大径孔40よりは小径であるが上記小径孔42より大径のボール50からなるカットオフバルブとが収容されている。また小径孔42内にスプリング52が挿入され、同スプリング52はリテーナ54を介して上記ボール50を蓄圧室28側、即ち上流側の遊動ピストン48に向い弾性的に押圧している。
【0008】
エンジンの運転中、各気筒の燃焼噴射ノズル12が、エンジンの運転状態に応じて設定された時間開かれると、上記安全装置26内のボール50より下流側に充満していた燃料が上記燃料噴射ノズル12から各気筒の燃料室内に噴射されると共に、蓄圧室28内の高圧燃料が燃料入口通路56から大径孔40内に流入する。このとき遊動ピストン48及びボール50が一緒に下流側に変位する。
上記ボール50の中心と、上記円錐部44のボール50が当接する円周面との間の距離Xとの間の大径孔40の容積は、燃料噴射ノズル12の最大噴射量より大きく形成され、従って同噴射ノズル12が最大噴射量の噴射を行なっても、上記ボール50が円錐部44に当接して大径孔40と小径孔42との連通を遮断しないように、一応計画されている。
【0009】
燃料噴射ノズル12の噴射が終了すると、スプリング52によってボール50及び遊動ピストン48が図示の休止位置に復帰し、このとき大径孔40内の燃料が遊動ピストン48の油孔58及びボール50の外周を通って同ボールの下流側に流れる。(なお、上記燃料噴射管24を含む高圧燃料通路内に、燃料噴射の終了時に発生する反射波が、蓄圧室28内に伝播されて、各気筒の噴射タイミング、噴射量にばらつきが発生することを防止するための逆止弁が介装されることがある。)
【0010】
上記安全装置26を具えた燃料噴射装置において、任意の気筒の燃料噴射管24が破損したり、管接手部分例えば袋ナット46が破損し、或いは燃料噴射ノズルが誤作動して、多量の燃料が一時に流れると、ボール50が上記距離X以上下流側に移動して円錐部44に噛みこみ係合して燃料通路を閉塞するので、蓄圧室28からの高圧燃料の流出が防止されるように構成されている。
【0011】
上記従来の安全装置26は、燃料噴射管24の破裂や折損等により急激に多量の燃料が流出する場合には、一応有効に作動するが、上記燃料噴射ノズル12の最大燃料噴射量又はそれに近い大噴射量の噴射時に、上記ボール50の上下流側の圧力差によって、同ボール50が誤作動して円錐部44に噛み込み、エンジン10の出力増大が妨げられるだけでなく、場合によりエンジン10が停止してしまうことがある。
【0012】
さらに、例えば管接手部分の僅かな隙間等から滲み出すような僅少量の連続的な燃料流出はとめることができない不具合がある。これは、微量の連続的な燃料流出によって生起されるボール50の上流側と下流側との間の圧力差が極めて小さく、スプリング52を克服してボール50が円錐部44に当接する閉弁位置まで変位することができないためである。
たとえ単位時間内の燃料漏洩量が微量であっても、時間の累積と共に総流出量は勿論増大し、単に燃料量の損失を招くだけでなく、エンジン及びその周辺部分を汚損し、最悪の場合火災を起す恐れがあった。
なお、図中符号60は安全装置26のハウジング38において、蓄圧室28側の開口端に圧入され又はかしめて固着されたプラグであり、上記遊動ピストン48、従ってボール50の休止位置を設定するものである。
【0013】
次に、図4に示されている従来の安全装置26は、大径孔40と小径孔42との接続部分に、図3に示されているような円錐部44が設けられず、従ってボール又はカットオフバルブ50が円錐部44に不可逆的に喰い込んで燃料通路を遮断するのではなく、ボール50が小径孔42の大径孔40への開口端に単に当接することによって、燃料通路を遮断するように構成されているので、下流側燃料通路の故障が修復されると反覆使用が可能となる点のみが、上記図3に示した安全装置26とは異り、その他の構成は実質的に同一である。また、この安全装置26においても、図3の安全装置26と全く同様に、燃料噴射量が多いときに誤作動を起してエンジンの出力が制限され又は停止する不具合があり、さらに、ボール又はカットオフバルブ50より下流側燃料通路の微量な漏洩等に基づく連続流を検知することができず、漏洩を防止し得ない欠点があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み創案されたもので、高圧燃料を貯溜している蓄圧室又はコモンレールと各気筒に設けられている燃料噴射ノズルとを接続する燃料通路を構成する燃料噴射管等の破損に起因する大量の燃料流出は勿論、燃料通路の僅かなシール欠陥等に起因する極く微量の燃料漏洩にも確実に応答して、蓄圧室又はコモンレールからの燃料の無駄な流出を防止することができる蓄圧式燃料噴射装置の安全装置を提供することを主たる目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、高圧燃料を貯溜する蓄圧室と、同蓄圧室内の高圧燃料をエンジンの各気筒に設けられた燃料噴射ノズルに供給する燃料通路と、上記燃料通路に介装され通常時は同燃料通路を開放しているカットオフバルブと、同カットオフバルブに連結されたダンパ装置とを備え、同ダンパ装置は、上記カットオフバルブを流れる燃料流が上記燃料噴射ノズルに供給される間欠流であるか、漏洩等に基づく連続流であるかを判別し、上記連続流のときに上記カットオフバルブを閉弁させて燃料通路を遮断するように作動することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置の安全装置を提案するものである。
【0016】
上記構成によれば、上記蓄圧室又はコモンレールとエンジンの各気筒に設けられた燃料噴射ノズルとを接続する燃料通路を開閉するカットオフバルブにダンパ装置が連結され、同ダンパ装置によって、エンジンの通常運転時に生じる燃料通路内の間欠的な圧力変動と、燃料通路の破損や接手部分からの漏洩等によって生じる連続的な燃料流に基づく圧力変動とが正確に区別して検知され、後者の連続燃料流の場合にのみカットオフバルブが閉止される。この結果、通常運転時エンジンの燃料噴射量が大きい場合に、カットオフバルブが誤って閉じることがなく、また燃料通路の破損や漏洩による燃料の流出が効果的に防止される。
【0017】
本発明において、上記ダンパ装置が、上記カットオフバルブに同軸的に固着されたピストン部材と、上記カットオフバルブにより開閉される燃料通路を備えた弁ハウジング内に形成されてその内部に上記燃料通路内の燃料が供給され、かつ上記ピストン部材を摺動自在に収容するダンパ室とから構成されることが好ましく、また、上記弁ハウジング内に形成された燃料通路と上記ダンパ室との間に、上記燃料通路側からダンパ室側への燃料の流れを許容するワンウエイバルブが設けられることが好ましい。
さらに、上記ピストン部材が、上記カットオフバルブの外周に囲設された中空円筒状部材であり、上記ダンパ室が同ピストン部材を微小遊隙を存して収容する環状室であることが好ましい。
【0018】
上記好ましい構成により、蓄圧室又はコモンレールと燃料噴射ノズルとを接続する燃料通路内に介装するのに適した小型のコンパクトな安全装置を提供することができると共に、上記ダンパ室内に供給されるダンパ流体として燃料自身を使用することができるので、ダンパ装置の構造の簡素化が図られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明の好ましい実施形態を図1の概略構成図、及び図2の拡大断面図を参照して説明する。(なお、従来の技術に関連して図1を援用し既に説明した事項、及び図3及び図4に示した従来の安全装置26と実質的に同一又は対応する部材及び部分には、同一の符号を付し、重複説明は省略する。)
【0020】
特に、図2に良く示されているように、高圧燃料を貯溜した蓄圧室又はコモンレール28の外壁に螺合される安全装置26は弁ハウジング38を備え、同弁ハウジング38の内部には、燃料噴射管24等と共に燃料通路の一部を構成する大径孔40と小径孔42とが同一軸線上に一線をなして穿設されている。上記大径孔40の蓄圧室28側の端部には、流入通路62を備えたプラグ60が圧入又はかしめによって固着され、同流入通路62は蓄圧室又はコモンレール28内の燃料入口通路56に連通する。また、弁ハウジング38の下流側の端部には、上記小径孔42に連通する燃料噴射管24の上流端が袋ナット46により固着され、同燃料噴射管24の下流端は、図1に示されているように、各気筒の燃料噴射ノズル12の燃料入口に接続されている。
【0021】
上記大径孔40内に、総括的に符号64で示したダンパ装置のピストン部材64aが軸線方向に摺動自在に嵌装され、同ピストン部材64aは、円板状をなす基部64bを備え、同基部64bの中央部分には、上記大径孔40及び小径孔42と一線をなして配置された円錐弁からなるカットオフバルブ50が螺合固定されており、同カットオフバルブ50の半径方向外周部分における上記基部64bには、上記流入通路62に連通する複数の油孔66が貫設されている。
【0022】
上記ピストン部材64aの基部64bから下流側、即ち燃料噴射管24側に向って中空円筒状をなすリングピストン64cが同軸的に突設され、同リングピストン64cは弁ハウジング38内に小径孔42を囲んで形成された中空円筒状のダンパ室64d内に摺動自在に嵌装され、上記リングピストン64cとダンパ室64dとの間には、半径方向外方及び内方に夫々適宜の摺動間隙tが設けられている。
【0023】
上記ダンパ室64dの下流側端部付近と、弁ハウジング38内の燃料通路の一部を形成する上記小径孔42とが、半径方向の連通路68によって連通され、同連通路68には、上記小径孔42側からダンパ室64d側への燃料の流れのみを許容するワンウエイバルブ70が介装されている。
【0024】
上記ワンウエイバルブ70は、弁ハウジング38に螺着されたバルブプラグ72内に摺動自在に収容され、同バルブプラグ72内には、上記ワンウエイバルブ70を常時閉方向に付勢しているスプリング74が設けられ、さらにワンウエイバルブ70内には、常時、ダンパ室64dと上記スプリング74を収容しているパルブプラグ72内のスプリング収容室とを連通させるT型油路76が設けられている。
【0025】
さらに、上記小径孔42の上流側開口端には、上記カットオフバルブ50が着座することによって、大径孔40と小径孔42との連通、即ち安全装置26内の燃料通路を遮断する円錐面からなる弁シート部78が形成されると共に、大径孔40内には、上記基部64bに当接してピストン部材64aを常時上流側、即ち蓄圧室28側に弾性的に付勢しているリターンスプリング80が縮設されている。
【0026】
上記安全装置26において、エンジン10の通常運転時は、燃料供給ポンプ又はプランジヤ装置30により加圧された高圧の燃料が蓄圧室又はコモンレール28に供給されている。エンジン10の運転状態に応じて各気筒の燃料噴射ノズル12がコントロールユニット又は制御手段14により設定されたタイミングで設定された時間開かれると、各気筒毎の燃料噴射管24及び安全装置26を含む燃料通路内の高圧燃料が各気筒の燃料室に供給され、エンジン10の運転が行なわれる。
【0027】
上記各気筒毎の燃料噴射により、安全装置26におけるカットオフバルブ50の上下流側に圧力差が発生して、同カットオフバルブ50が下流側に変位するが、同カットオフバルブ50と一体にピストン部材64aが連動し、同ピストン部材64aのリングピストン64cが弁ハウジング38内のダンパ室64d内を下流側に摺動変位する。このときリングピストン64cとダンパ室64dとの間に形成された微小な摺動間隙tから、ダンパ室64d内に収容されている燃料の一部が大径孔40内に流出することによって、所謂ダンパ作用が生起されるので、たとえ、燃料噴射ノズル12の燃料噴射量が最大量の場合でも、カットオフバルブ50が弁シート部78に着座することがない。
【0028】
従って、図3及び図4に示した従来の安全装置26のように、最大燃料量噴射時又はそれに近い大量燃料噴射時に、大径孔40と小径孔42との連通が遮断されて、エンジン10の運転が停止し、又は出力の上昇が抑制される等の不具合が発生せず、エンジン10の出力性能を十分に発揮し得る利点がある。
【0029】
上記燃料噴射ノズル12の燃料噴射が終了すると、リターンスプリング80によりカットオフバルブ50と一体にピストン部材64aが上流側、即ち蓄圧室又はコモンレール28側に変位してプラグ60に当接する休止位置に復帰するが、このときダンパ室64d内に生起する圧力低下によりバルブスプリング74が克服されてワンウエイバルブ70が自動的に開き、小径孔42内の高圧燃料が連通路68からダンパ室64c内に流入して、上記リターンスプリング80のばね力に加え、カットオフバルブ50の休止位置への復帰を促進する。
【0030】
次に、蓄圧室又はコモンレール28から燃料噴射ノズル12にいたる燃料通路系の何れかに、接手部の締付け不足、例えば袋ナット46の締付け不足等によって、微量の連続的な燃料の漏洩が発生すると、カットオフバルブ50の上流側と下流側との間の時間的に連続した圧力差によって、ダンパ室64d内の燃料がリングピストン64cとの摺動間隙tを通って流出するために、同カットオフバルブ50が弁シート部78に着座して、大径孔40と小径孔42との連通を遮断するので、カットオフバルブ50より下流側の燃料の漏洩を確実に防止することができる。この結果、長時間の微量漏洩による燃料の損失、エンジンルーム周辺の汚損、或いは最悪の場合、発生する可能性がある火災を、確実に防止することができる。
【0031】
さらに、燃料噴射管24の折損や破裂(バースト)、或いは燃料噴射ノズル12の万一の故障等によって、一時に大量の燃料がカットオフバルブ50の下流側で連続的に流れた場合、同カットオフバルブ50と一体のピストン部材64aの上流側と下流側との間に大きな圧力差が生起する。この大きな圧力差によって、ダンパ室64c内の燃料が上記摺動間隙tから急速に絞り損失を伴ないながら流出するので、カットオフバルブ50が急速に弁シート部78に着座して小径孔42を閉塞するので、カットオフバルブ50より上流側の大径孔40を含む燃料通路及び蓄圧室又はコモンレール28内の高圧燃料の流出が阻止される。
【0032】
従って、上記破損した燃料通路及び蓄圧室又はコモンレール28、さらに高圧燃料供給ポンプ又はプランジヤ装置30から上記蓄圧室又はコモンレール28に供給される多量の高圧燃料がエンジンルーム内に噴出してエンジン10の周辺を汚損し、最悪の場合、可能性がある火災の発生を確実に防止することができる利点がある。
【0033】
さらに、上記図2の構成によれば、カットオフバルブ50と一体的に、かつ同軸的にピストン部材64aを配置し、同ピストン部材64aの中空円筒状をなすリングピストン64cを、弁ハウジング38内に設けられ、小径孔42の外周に同軸的に形成された中空円筒状のダンパ室64d内に摺動自在に嵌装すると共に、同ダンパ室64d内にダンパ流体として燃料それ自体を供給したことにより、安全装置26を小型かつコンパクトに形成することができるので、蓄圧室又はコモンレール28への取付け取外し、換言すれば、エンジンへの搭載性を前記従来の安全装置と略同様に確保することができる。
【0034】
なお、上記図2の安全装置26では、カットオフバルブ50が円錐弁として示されているが、従来装置と同様にボール弁その他任意形状の弁形状を適宜に採用することができる。また、カットオフバルブ50に連結されるダンパ装置64として、同カットオフバルブ50に対し同軸的に配置された中空円筒状のリングピストン64c及び同ピストンを摺動自在に収容するダンパ室64dを形成し、コンパクトな構成を実現することができたが、カットオフバルブ50に対して1個又は複数個のロッド状又はプランジヤ状のダンパピストンを連結し、同ダンパピストンを通常の円筒状シリンダからなるダンパ室内に適宜の摺動間隙を存し嵌装して、上記カットオフバルブ50の軸線に対し平行な方向に同バルブと共に摺動変位し得るように変更することができる。さらに、上記ダンパ室内に収容されるダンパ流体としては、燃料自体を用いることが最も有利であるが、燃料以外の流体、例えばエンジン内のオイルを利用しても良い。さらに、図2では、安全装置26が蓄圧室又はコモンレール28に直接取付けられているが、蓄圧室又はコモンレール28から燃料噴射ノズル12にいたる燃料通路の適所に配置し得ることは、明らかである。
【0035】
【発明の効果】
叙上のように、本発明に係る蓄圧式燃料噴射装置の安全装置は、高圧燃料を貯溜する蓄圧室と、同蓄圧室内の高圧燃料をエンジンの各気筒に設けられた燃料噴射ノズルに供給する燃料通路と、上記燃料通路に介装され通常時は同燃料通路を開放しているカットオフバルブと、同カットオフバルブに連結されたダンパ装置とを備え、同ダンパ装置は、上記カットオフバルブを流れる燃料流が上記燃料噴射ノズルに供給される間欠流であるか、漏洩等に基づく連続流であるかを判別し、上記連続流のときに上記カットオフバルブを閉弁させて燃料通路を遮断するように作動することを特徴とし、上記燃料噴射ノズルの燃料噴射量が最大もしくはそれに近い大噴射量のときに、上記カットオフバルブが誤作動を起してエンジンの出力が制限されたり、停止する不具合がなく、また各気筒の燃料噴射弁と蓄圧室とを接続する燃料通路の接手部分からの漏洩及び同燃料通路の破損等に基づく燃料の大量流出は、通常の間欠的な燃料噴射との差異を明確に区別して検出し上記カットオフバルブを閉止することによって、燃料の漏洩や流出等を確実に防止して、燃料の損失、エンジン周辺の汚損、或いは火災の発生を効果的に防止し得る利点がある。
【0036】
また、上記発明において、上記ダンパ装置が、上記カットオフバルブに同軸的に固着されたピストン部材と、上記カットオフバルブにより開閉される燃料通路を備えた弁ハウジング内に形成されてその内部に上記燃料通路内の燃料が供給され、かつ上記ピストン部材を摺動自在に収容するダンパ室とから構成されたことにより、上記安全装置の構造を小型、コンパクトなものとすることができるので、エンジンへの搭載性が優れている利点がある。
さらに、上記弁ハウジング内に形成された燃料通路と上記ダンパ室との間に、上記燃料通路側からダンパ室側への燃料の流れのみを許容するワンウエイバルブが設けられたことにより、ダンパ装置の作動流体を燃料自体として構造の簡単化を図ると共に、エンジンの通常運転時における燃料噴射後のカットオフバルブの原位置又は休止位置への復帰が迅速に行なわれる利点がある。
なおまた、本発明において、上記ピストン部材が、上記カットオフバルブの外周に囲設された中空円筒状部材であり、上記ダンパ室が同ピストン部材を微小遊隙を存して収容する環状室であることにより、カットオフバルブの外周に中空円筒状のダンパ装置を配置するので、安全装置の外形寸度を小さく纒めることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る安全装置を含む蓄圧式燃料噴射装置全体の概略構成図である。
【図2】図1における安全装置の詳細な構造を示した拡大断面図である。
【図3】従来の蓄圧式燃料噴射装置における安全装置の構造を示した断面図である。
【図4】従来の蓄圧式燃料噴射装置における安全装置の他の構造を示した断面図である。
【符号の説明】
10…エンジン、12…燃料噴射ノズル、14…コントロールユニット又は制御手段、24…燃料噴射管、26…安全装置、28…蓄圧室又はコモンレール、30…燃料供給ポンプ又はプランジヤ装置、34…燃料タンク、36…フィードポンプ、38…弁ハウジング、40…大径孔、42…小径孔、50…カットオフバルブ、64…ダンパ装置、64a…ピストン部材、64c…リングピストン、64d…ダンパ室、70…ワンウエイバルブ。

Claims (2)

  1. 高圧燃料を貯溜する蓄圧室と、
    同蓄圧室内の高圧燃料をエンジンの各気筒に設けられた燃料噴射ノズルに供給する燃料通路と、
    上記燃料通路に介装され通常時は同燃料通路を開放しているカットオフバルブと、
    同カットオフバルブに連結されたダンパ装置とを備え、
    上記ダンパ装置を、
    上記カットオフバルブに同軸的で、かつ上記カットオフバルブの外周に囲設されるように中空円筒状に形成されるピストン部材と、
    上記カットオフバルブにより開閉される弁ハウジング内の上記燃料通路の外周に形成されてその内部に上記燃料通路内の燃料が供給され、かつ上記ピストン部材を微小遊隙を在して摺動自在に収容する環状のダンパ室とから構成し、
    上記ダンパ装置は、上記カットオフバルブを流れる燃料流が上記燃料噴射ノズルに供給される間欠流であるか、漏洩等に基づく連続流であるかを判別し、上記連続流のときに上記カットオフバルブの上流側と下流側との間に生じる圧力差によって上記ダンパ室内の燃料を微小遊隙から流出させることにより上記カットオフバルブを閉弁させて燃料通路を遮断するように作動する
    ことを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置の安全装置。
  2. 上記弁ハウジング内に形成された燃料通路と上記ダンパ室との間に、上記燃料通路側からダンパ室側への燃料の流れのみを許容するワンウエイバルブが設けられたことを特徴とする請求項1記載の蓄圧式燃料噴射装置の安全装置。
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