JP3914095B2 - 合成繊維用処理剤及び合成繊維の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は合成繊維用処理剤及び合成繊維の処理方法に関する。近年、合成繊維の紡糸工程や加工工程においては、高速化及び高温度化が更に一段と進み、これに応じて静電気がより発生し易くなっている。静電気が発生すると、走行糸条の軌道が不安定になり、毛羽や糸切れ等が発生して、糸品質や作業性が著しく低下する。このような静電気の発生を抑制するため、合成繊維に付着させる合成繊維用処理剤として静電気の発生を抑制するための機能性向上剤の含有割合を増加させたものを使用したり、合成繊維に対する合成繊維用処理剤の付着量を上げることが行われているが、このようにすると、静電気の発生を相応に抑制できるものの、紡糸工程の加熱ローラーや加工工程の加熱ヒータープレート上へのタール状物質の付着が増加し、これにより毛羽や糸切れ等が発生して、糸品質や作業性が著しく低下する。本発明は、合成繊維の紡糸工程や加工工程における近年の高速化及び高温度化にも対応して、静電気の発生及び加熱体上へのタール状物質の付着を充分に抑制できる合成繊維用処理剤及び合成繊維の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成繊維用処理剤として一般に、潤滑剤及び機能性向上剤を含有するものが使用されている。かかる合成繊維用処理剤には、静電気の発生を抑制するための機能性向上剤として、1)長鎖モノオレフィン付加ジカルボン酸塩を含有するもの(特公昭57−25666号公報)、2)第四級アンモニウム塩を含有するもの(特許第2852890号、特開昭61−252370)、3)アミンオキサイド化合物を含有するもの(特開昭61−266675)等、各種が知られている。ところが、これら従来の合成繊維用処理剤には、近年の高速化及び高温度化された紡糸工程や加工工程における静電気の発生及び加熱体上へのタール状物質の付着を充分に抑制できないという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、近年における合成繊維の紡糸工程や加工工程での高速化及び高温度化にも対応して、静電気の発生及び加熱体上へのタール状物質の付着を充分に抑制できる合成繊維用処理剤及び合成繊維の処理方法を提供する処にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、潤滑剤としてポリエーテル化合物又はポリエーテル化合物と(ポリ)エーテルエステル化合物との混合物を含有し、また機能性向上剤の少なくとも一部としてルビジウム化合物及び/又はセシウム化合物をルビジウム及び/又はセシウムとして所定量含有して成る合成繊維用処理剤が正しく好適であり、またかかる合成繊維用処理剤を合成繊維に対し所定量付着させることが正しく好適であることを見出した。
【0005】
すなわち本発明は、潤滑剤及び機能性向上剤を含有する合成繊維用処理剤において、潤滑剤としてポリエーテル化合物又はポリエーテル化合物と(ポリ)エーテルエステル化合物との混合物を含有し、また機能性向上剤の少なくとも一部としてルビジウム化合物及び/又はセシウム化合物をルビジウム及び/又はセシウムとして合計0.005〜5重量%含有して成ることを特徴とする合成繊維用処理剤に係る。また本発明は、前記の本発明に係る該合成繊維用処理剤を合成繊維に対し0.1〜3重量%となるよう付着させることを特徴とする合成繊維の処理方法に係る。
【0006】
先ず、本発明に係る合成繊維用処理剤について説明する。本発明に係る合成繊維用処理剤は、潤滑剤と機能性向上剤とを含有していて、潤滑剤としてポリエーテル化合物又はポリエーテル化合物と(ポリ)エーテルエステル化合物との混合物を含有し、また機能性向上剤の少なくとも一部としてルビジウム化合物及び/又はセシウム化合物を含有して成るものであり、更に要すれば乳化剤を含有して成るものである。ルビジウム化合物やセシウム化合物以外の他の機能性向上剤及び乳化剤それ自体としては、合成繊維用処理剤に使用される公知のものを使用できる。
【0007】
潤滑剤としては、ポリエーテル化合物又はポリエーテル化合物と(ポリ)エーテルエステル化合物との混合物を用いるが、かかるポリエーテル化合物としては平均分子量500〜20000のものを用いるのがより好ましい。
【0008】
前記のポリエーテル化合物としては、いずれも分子中にポリオキシアルキレン基を有する、ポリエーテルモノオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルトリオール等が挙げられるが、なかでも炭素数1〜18の1〜3価のヒドロキシ化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドをブロック状又はランダム状に付加したポリエーテル化合物が好ましい。
【0009】
前記の(ポリ)エーテルエステル化合物としては、炭素数4〜26の1〜3価の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と、炭素数4〜26の脂肪族カルボン酸とをエステル化した(ポリ)エーテルエステル化合物、2)1〜3価の芳香族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と、炭素数4〜26の脂肪族カルボン酸とをエステル化した(ポリ)エーテルエステル化合物、3)炭素数4〜26の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と、芳香族カルボン酸とをエステル化した(ポリ)エーテルエステル化合物等が挙げられる。
【0010】
ルビジウム化合物やセシウム化合物以外の他の機能性向上剤としては、1)有機スルホン酸塩、有機脂肪酸塩等のアニオン性界面活性剤、ラウリルトリメチルアンモニウムエトサルフェート等のカチオン性界面活性剤、オクチルジメチルアンモニオアセタート等の両性界面活性剤等の帯電防止剤、2)有機リン酸塩、脂肪酸等の油性向上剤、3)主鎖として平均分子量1500〜3000のポリジメチルシロキサン鎖を有し且つ側鎖として平均分子量700〜5000のポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル変性シリコーン、ペルフルオロアルキル基を有する界面活性剤等の浸透性向上剤、4)ポリエーテルポリエステル等の集束性向上剤、5)有機チタン系化合物、有機リン系化合物等の極圧添加剤、6)フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系、アミン系等の抗酸化剤、7)防錆剤等が挙げられる。
【0011】
乳化剤としては、1)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル等の、分子中にポリオキシアルキレン基を有する非イオン性界面活性剤、2)ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンジラウレート等の、多価アルコール部分エステル型の非イオン性界面活性剤、3)3〜6価のアルコールと脂肪酸との部分エステルにアルキレンオキサイドを付加したもの、アルキレンオキサイドを付加した3〜6価のアルコールと脂肪酸との部分エステル又は完全エステル、3〜6価のアルコールとヒドロキシ脂肪酸とのエステルにアルキレンオキサイドを付加したもの等の、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル型の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。これらのなかでも、分子中にオキシエチレン基の繰り返し数3〜15のポリオキシアルキレン基及び炭素数8〜18のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0012】
本発明に係る合成繊維用処理剤は、前記したように、潤滑剤としてポリエーテル化合物又はポリエーテル化合物と(ポリ)エーテルエステル化合物との混合物を含有し、また機能性向上剤の少なくとも一部としてルビジウム化合物及び/又はセシウム化合物を含有して成るものである。ルビジウム化合物やセシウム化合物としては各種が挙げられるが、なかでもルビジウム化合物としては有機酸ルビジウムが好ましく、またセシウム化合物としては有機酸セシウムが好ましい。
【0013】
有機酸ルビジウムや有機酸セシウムを形成することとなる有機酸としては、1)カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及び硫酸基から選ばれる一つ以上の同種の酸基を有する有機酸、2)カルボン酸基、スルホン酸基及び硫酸基から選ばれる二つ以上の異種の酸基を有する有機酸が挙げられる。
【0014】
酸基としてカルボン酸基のみを一つ以上有する有機酸としては、1)蟻酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルシン酸、リノール酸、アクリル酸、メタクリル酸等の脂肪族モノカルボン酸、2)シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、マレイン酸、クエン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸、3)シクロヘキサンカルボン酸等の脂環族モノカルボン酸、4)シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジ酢酸等の脂環族ポリカルボン酸、5)安息香酸、トルイル酸等の芳香族モノカルボン酸、6)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸、7)アルキルチオプロピオン酸、アルキルチオジプロピオン酸等の含イオウ脂肪族モノカルボン酸、8)N−アルキルアミノ酸、N−アシルアミノ酸等の含窒素脂肪族カルボン酸等が挙げられる。
【0015】
酸基としてスルホン酸基のみを一つ以上有する有機酸としては、1)デシルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、テトラデシルスルホン酸、ヘキサデシルスルホン酸等のアルキルスルホン酸、2)ブチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸等のアルキルアリールスルホン酸、3)ジブチルスルホコハク酸、ジオクチルスルホコハク酸、ドデシルスルホ酢酸、ノニルフェノキシポリエチレングリコールスルホ酢酸等のエステルスルホン酸等が挙げられる。
【0016】
酸基としてリン酸基のみを一つ以上有する有機酸としては、1)ブチルホスフェート、ヘキシルホスフェート、オクチルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、デシルホスフェート、ラウリルホスフェート、トリデシルホスフェート、ステアリルホスフェート、オレイルホスフェート、ベヘニルホスフェート等のアルキルホスフェート、2)(ポリ)オキシアルキレンブチルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンヘキシルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンオクチルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレン2−エチルヘキシルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンデシルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンラウリルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレントリデシルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンステアリルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンオレイルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンベヘニルホスフェート等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルホスフェート等が挙げられる。これらのアルキルホスフェートや(ポリ)オキシアルキレンアルキルホスフェートには、モノエステル体、ジエステル体、多価エステル体のそれぞれ単独物、混合物が含まれる。
【0017】
酸基として硫酸基のみを一つ以上有する有機酸としては、1)デシル硫酸、ドデシル硫酸等のアルキル硫酸、2)ヒマシ油硫酸化油、牛脂硫酸化油等の天然油脂の硫酸化物、3)硫酸ノニルフェニル=(ポリ)オキシアルキレン、硫酸オクチルフェニル=(ポリ)オキシアルキレン、硫酸イソプロピルナフチル=(ポリ)オキシアルキレン、硫酸ノニルナフチル=(ポリ)オキシアルキレン等の硫酸アルキルアリール=(ポリ)オキシアルキレンが挙げられる。
【0018】
酸基としてカルボン酸基、スルホン酸基及び硫酸基から選ばれる二つ以上の異種の酸基を有する有機酸としては、1)2−スルホナトラウリン酸、2−スルホナトミリスチン酸、2−スルホナトパルミチン酸、2−スルホナトステアリン酸、2−スルホナトイソステアリン酸、2−スルホナトベヘニン酸等の、カルボン酸基とスルホン酸基とを有する有機酸、2)スルホコハク酸モノブチルエステル、スルホコハク酸モノヘキシルエステル、スルホコハク酸モノオクチルエステル、スルホコハク酸モノ2−エチルヘキシルエステル、スルホコハク酸モノデシルエステル、スルホコハク酸モノラウリルエステル、スルホコハク酸モノトリデシルエステル、スルホコハク酸モノステアリルエステル、スルホコハク酸モノオレイルエステル、スルホコハク酸モノベヘニルエステル等の、カルボン酸基とスルホン酸基とを有する有機酸、3)グルコール酸の硫酸エステル、乳酸の硫酸エステル、リンゴ酸の硫酸エステル、ヒドロキシ酪酸の硫酸エステル、ヒドロキシステアリン酸の硫酸エステル、酒石酸の硫酸エステル、テトラヒドロキシ琥珀酸の硫酸エステル、グルコン酸の硫酸エステル等の、カルボン酸基と硫酸基とを有する有機酸等が挙げられる。
【0019】
以上例示した有機酸のなかでも、酸基としてカルボン酸基を有するものが好ましく、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸がより好ましく、炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸、炭素数6〜22の脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。
【0020】
有機酸ルビジウムは以上例示したような有機酸と水酸化ルビジウムとの中和反応によって得られ、また有機酸セシウムは以上例示したような有機酸と水酸化セシウムとの中和反応によって得られる。
【0021】
本発明に係る合成繊維用処理剤は、以上説明したようなルビジウム化合物及び/又はセシウム化合物を、ルビジウム及び/又はセシウムとして、合計0.005〜5重量%含有するものであるが、合計0.01〜2重量%含有するものが好ましく、合計0.1〜1.5重量%含有するものがより好ましい。
【0022】
本発明に係る合成繊維用処理剤は、以上説明したように、潤滑剤としてポリエーテル化合物又はポリエーテル化合物と(ポリ)エーテルエステル化合物との混合物を含有し、また機能性向上剤の少なくとも一部としてルビジウム化合物及び/又はセシウム化合物とを含有して成るものであり、更に要すれば、ルビジウム化合物やセシウム化合物以外の他の機能性向上剤、乳化剤を含有して成るものである。これらの含有割合は、ルビジウム化合物やセシウム化合物を除き、特に制限されないが、潤滑剤を50〜99重量%含有して成るものが好ましく、潤滑剤を90〜99重量%含有して成るものがより好ましく、残部として乳化剤、更にはルビジウム化合物やセシウム化合物以外の他の機能性向上剤を含有して成るものが特に好ましい。
【0023】
次に、本発明に係る合成繊維の処理方法について説明する。本発明に係る合成繊維の処理方法は、以上説明したような本発明に係る合成繊維用処理剤を合成繊維に対し0.1〜3重量%、好ましくは0.3〜1重量%となるよう付着させる方法である。合成繊維用処理剤を合成繊維に付着させる工程としては、紡糸工程、紡糸と延伸とを同時に行なう工程等が挙げられる。また合成繊維用処理剤を合成繊維に付着させる方法としては、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、浸漬給油法、スプレー給油法等が挙げられる。更に合成繊維用処理剤を合成繊維に付着させる際の形態としては、ニート、有機溶剤溶液、水性液等が挙げられるが、水性液が好ましい。合成繊維用処理剤の水性液を付着させる場合も、合成繊維に対し合成繊維用処理剤として0.1〜3重量%、好ましくは0.3〜1重量%となるよう付着させる。
【0024】
本発明に係る合成繊維の処理方法の適用対象となる合成繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維等が挙げられるが、ポリエステル系繊維又はポリアミド系繊維に適用する場合に本発明の効果の発現が高い。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の合成繊維用処理剤の実施形態としては、次の1)〜6)が挙げられる。
1)下記の潤滑剤(A−1)を93重量%、下記の有機酸ルビジウム(B−1)を1重量%、下記の乳化剤(C−1)を5重量%及び下記の機能性向上剤(D−1)を1重量%(合計100重量%)含有して成る合成繊維用処理剤(ルビジウムとして0.37重量%含有)。
潤滑剤(A−1):ブチルアルコールにエチレンオキサイド(以下、EOという)とプロピレンオキサイド(以下、POという)とをEO/PO=50/50(重量比)の割合でとをランダム状に付加した数平均分子量2500のポリエーテルモノオール/ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量1000のポリエーテルモノオール/ドデシルアルコールにEOとPOとをEO/PO=35/65(重量比)の割合でブロック状に付加した数平均分子量1400のポリエーテルトリオール=40/20/30(重量比)の混合物
有機酸ルビジウム(B−1):2−エチルヘキサン酸ルビジウム
乳化剤(C−1):ポリオキシエチレン(7モル)ラウリルエーテル
機能向上剤(D−1):主鎖として平均分子量2300のポリジメチルシロキサン鎖を有し且つ側鎖として平均分子量3000のポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル変性シリコーン
【0026】
2)前記の潤滑剤(A−1)を93重量%、下記の有機酸ルビジウム(B−2)を1重量%、前記の乳化剤(C−1)を5重量%及び前記の機能性向上剤(D−1)を1重量%(合計100重量%)含有して成る合成繊維用処理剤(ルビジウムとして0.43重量%含有)。
有機酸ルビジウム(B−2):オクテニルコハク酸ジルビジウム
【0027】
3)下記の潤滑剤(A−2)を93重量%、下記の有機酸ルビジウム(B−3)を1重量%、前記の乳化剤(C−1)を5重量%及び前記の機能性向上剤(D−1)を1重量%(合計100重量%)含有して成る合成繊維用処理剤(ルビジウムとして0.24重量%含有)。
潤滑剤(A−2):ポリオキシエチレン(8モル)ラウリルエーテルとデカン酸とのエステル/エチレングリコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量5000のポリエーテルジオール/ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=40/60(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量1500のポリエーテルモノオール/ラウリルアルコールにEOとPOとをEO/PO=35/65(重量比)の割合でブロック状に付加した数平均分子量1400のポリエーテルモノオール=10/10/50/30(重量比)の混合物
有機酸ルビジウム(B−3):ドデシルチオプロピオン酸ルビジウム
【0028】
4)前記の潤滑剤(A−1)を93重量%、下記の有機酸セシウム(B−9)を1重量%、前記の乳化剤(C−1)を5重量%及び前記の機能性向上剤(D−1)を1重量%(合計100重量%)含有して成る合成繊維用処理剤(セシウムとして0.48重量%含有)。
有機酸セシウム(B−9):2−エチルヘキサン酸セシウム
【0029】
5)前記の潤滑剤(A−1)を93重量%、下記の有機酸セシウム(B−10)を1重量%、前記の乳化剤(C−1)を5重量%及び前記の機能性向上剤(D−1)を1重量%(合計100重量%)含有して成る合成繊維用処理剤(セシウムとして0.54重量%含有)。
有機酸セシウム(B−10):オクテニルコハク酸ジセシウム
【0030】
6)前記の潤滑剤(A−2)を93重量%、下記の有機酸セシウム(B−11)を1重量%、前記の乳化剤(C−1)を5重量%及び前記の機能性向上剤(D−1)を1重量%(合計100重量%)含有して成る合成繊維用処理剤(セシウムとして0.33重量%含有)。
有機酸セシウム(B−11):ドデシルチオプロピオン酸セシウム
【0031】
また本発明に係る合成繊維の処理方法の実施形態としては、次の7)が挙げられる。
7)前記1)〜6)のうちでいずれかの合成繊維用処理剤を水性液となし、この水性液を紡糸したポリエチレンテレフタレート繊維に対し合成繊維用処理剤として0.5重量%となるよう付着させる合成繊維の処理方法。
【0032】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、部は重量部を、また%は重量%を意味する。
【0033】
【実施例】
試験区分1(合成繊維用処理剤の調製)
・実施例1
下記の潤滑剤(A−1)93部、下記の有機酸ルビジウム(B−1)1部、下記の乳化剤(C−1)5部、下記の機能性向上剤(D−1)1部を均一混合して合成繊維用処理剤(実施例1)を調製した。
潤滑剤(A−1):ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量2500のポリエーテルモノオール/ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量1000のポリエーテルモノオール/ドデシルアルコールにEOとPOとをEO/PO=35/65(重量比)の割合でブロック状に付加した数平均分子量1400のポリエーテルモノオール=40/20/30(重量比)の混合物
有機酸ルビジウム(B−1):2−エチルヘキサン酸ルビジウム
乳化剤(C−1):ポリオキシエチレン(7モル)ラウリルエーテル
機能性向上剤(D−1):主鎖として平均分子量2300のポリジメチルシロキサン鎖を有し且つ側鎖として平均分子量3000のポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル変性シリコーン
【0034】
・実施例2〜12及び比較例1〜9
実施例1と同様にして、実施例2〜12及び比較例1〜9の各合成繊維用処理剤を調製した。実施例1も含め、各例で調製した合成繊維用処理剤の内容を表1にまとめて示した。
【0035】
【表1】
【0036】
表1において、
A−1:ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量2500のポリエーテルモノオール/ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量1000のポリエーテルモノオール/ラウリルアルコールにEOとPOとをEO/PO=35/65(重量比)の割合でブロック状に付加した数平均分子量1400のポリエーテルモノオール=40/20/30(重量比)の混合物
A−2:ポリオキシエチレン(8モル)ラウリルエーテルとデカン酸とのエステル/エチレングリコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量5000のポリエーテルジオール/ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=40/60(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量1500のポリエーテルモノオール/ラウリルアルコールにEOとPOとをEO/PO=35/65(重量比)の割合でブロック状に付加した数平均分子量1400のポリエーテルモノオール=10/10/50/30(重量比)の混合物
【0037】
B−1:2−エチルヘキサン酸ルビジウム
B−2:オクテニルコハク酸ジルビジウム
B−3:ドデシルチオプロピオン酸ルビジウム
B−5:ドデシルスルホン酸ルビジウム
B−7:ドデシル硫酸エステルルビジウム
B−8:モノオクチルスルホコハク酸ジルビジウム
B−9:2−エチルヘキサン酸セシウム
B−10:オクテニルコハク酸ジセシウム
B−11:ドデシルチオプロピオン酸セシウム
B−13:ドデシルスルホン酸セシウム
B−15:ドデシル硫酸エステルセシウム
B−16:モノオクチルスルホコハク酸ジセシウム
【0038】
C−1:ポリオキシエチレン(7モル)ラウリルエーテル
【0039】
D−1:主鎖として平均分子量2300のポリジメチルシロキサン鎖を有し且つ側鎖として平均分子量3000のポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル変性シリコーン
D−2:ジ(カルボキシレートエチル)ジハイドロジェンチタネート
D−3:オレイン酸カリウム
D−4:トリデシルスルホン酸ナトリウム塩
D−5:α−ラウリル−ω−ヒドロキシ(トリオキシエチレン)の燐酸エステルカリ塩
D−6:オレイン酸テトラエチルアンモニウム塩
D−7:ラウリルジメチルベタイン
【0040】
試験区分2(合成繊維への合成繊維用処理剤の付着及び評価)
・合成繊維への合成繊維用処理剤の付着
試験区分1で調製した各合成繊維用処理剤と希釈水とを均一混合して10%水性液とした。固有粘度0.64、酸化チタン含有量0.2%のポリエチレンテレフタレートチップを常法により乾燥した後、エクストルーダーを用いて295℃で紡糸し、口金から吐出して冷却固化した後の走行糸条に、調製した10%水性液を、計量ポンプを用いたガイド給油法にて、合成繊維用処理剤としての付着量が表2記載の付着量となるよう付着させた後、ガイドで集束させ、機械的な延伸を伴うことなく3000m/分の速度で巻き取り、128デシテックス36フィラメントの部分延伸糸を10kg捲きケークとして得た。
【0041】
・帯電防止性の評価
前記で得たケークから採取した試験糸を、25℃、30%RHの雰囲気下、初期張力20g、糸速度700m/分と1200m/分の2水準で、クロム梨地ピンと擦過させながら走行させ、走行糸条の帯電圧を集電式電位差測定器により測定した。測定した帯電圧を下記の基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
評価基準
AAA:帯電圧の絶対値が0.1kV未満
AA:帯電圧の絶対値が0.1kV以上0.5kV未満
A:帯電圧の絶対値が0.5kV以上1kV未満
B:帯電圧の絶対値が1kV以上5kV未満
C:帯電圧の絶対値が5kV以上
【0042】
・タール発生防止性の評価
前記で得たケークから採取した試験糸を、初期張力20g、糸速度800m/分で、表面温度240℃のホットローラーに巻き付けて走行させ、ホットローラーに発生するタールの量を2時間後と10時間後の2水準で肉眼で観察した。観察したタール量を下記の基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
評価基準
AAA:タールが全く認められない
AA:タールが僅かに認められる
A:タールが多少認められる
B:タールが明らかに認められる
C:タールがかなりの量認められる。
【0043】
【表2】
【0044】
表2において、
付着量:合成繊維に対する合成繊維用処理剤としての付着%
【0045】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、近年における合成繊維の紡糸工程や加工工程での高速化及び高温度化にも対応して、静電気の発生や加熱体上へのタール状物質の付着を充分に抑制できるという効果がある。
Claims (13)
- 潤滑剤及び機能性向上剤を含有する合成繊維用処理剤において、潤滑剤としてポリエーテル化合物又はポリエーテル化合物と(ポリ)エーテルエステル化合物との混合物を含有し、また機能性向上剤の少なくとも一部としてルビジウム化合物及び/又はセシウム化合物をルビジウム及び/又はセシウムとして合計0.005〜5重量%含有して成ることを特徴とする合成繊維用処理剤。
- 更に乳化剤を含有する請求項1記載の合成繊維用処理剤。
- 乳化剤が非イオン性界面活性剤である請求項2記載の合成繊維用処理剤。
- 潤滑剤を50〜99重量%含有する請求項1〜3のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
- ルビジウム化合物及び/又はセシウム化合物をルビジウム及び/又はセシウムとして合計0.1〜1.5重量%含有する請求項1〜4のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
- ルビジウム化合物が有機酸ルビジウムであり、またセシウム化合物が有機酸セシウムである請求項1〜5のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
- 有機酸ルビジウム及び/又は有機酸セシウムを形成することとなる有機酸が酸基としてカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及び硫酸基から選ばれる一つ又は二つ以上を有するものである請求項6記載の合成繊維用処理剤。
- 有機酸ルビジウム及び/又は有機酸セシウムを形成することとなる有機酸が酸基としてカルボン酸基を有するものである請求項6記載の合成繊維用処理剤。
- 有機酸ルビジウム及び/又は有機酸セシウムを形成することとなる有機酸が脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸である請求項6記載の合成繊維用処理剤。
- 有機酸ルビジウム及び/又は有機酸セシウムを形成することとなる有機酸が炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸又は炭素数6〜22の脂肪族ジカルボン酸である請求項6記載の合成繊維用処理剤。
- 請求項1〜10のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤を合成繊維に対し0.1〜3重量%となるよう付着させることを特徴とする合成繊維の処理方法。
- 合成繊維用処理剤を水性液となし、該水性液を合成繊維に対し該合成繊維用処理剤として0.1〜3重量%となるよう付着させる請求項11記載の合成繊維の処理方法。
- 合成繊維がポリエステル系繊維又はポリアミド系繊維である請求項11又は12記載の合成繊維の処理方法。
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