JP3911425B2 - 飲料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水槽内の冷却水で飲料を冷却して供給する飲料供給装置に関し、特に、冷却水を撹拌する撹拌羽根と撹拌モータとの間に冷却水の流れの流速を低下させる抵抗部材を設けること等によって、撹拌モータによる撹拌時に発生する回転軸回りの渦の発生を防止し、水流による水跳ねや、エアーの巻き込み音を防止することができる飲料供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ビール等の飲料を冷却して供給する飲料供給装置について種々提案されている。
例えば、特開平11−264644号公報に記載された飲料供給装置では、水槽内に形成された氷によって前記水槽内に貯留される冷却水を冷却し、冷却された冷却水によって飲料の原料等を冷却して供給する飲料供給装置において、前記水槽内の底部略中央部に向かう垂直状の冷却水の流れを発生させる攪拌手段と、前記水槽内の底部に形成され、前記垂直状の冷却水の流れを前記水槽の側壁方向に導く水流規制手段を有するように構成されている。
これにより、冷却水槽の水面近傍から底部にかけての冷却水の循環性が向上するので、飲料の販売が連続する状況においても冷却水の熱交換性が低下することなく、長時間にわたって安定した冷却能力を付与することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特開平11−264644号公報に記載された飲料供給装置においては、アジテータモータ4の回転軸4Aに取り付けられたプロペラ4Bが所定の方向に回転することによって、冷却水槽1内の冷却水Wが水面から底部に向かう水流が発生する。このため、冷却水槽1内の冷却水Wの給水量が少ないと、アジテータモータ4の回転により回転軸4A回りに渦が発生して、冷却水Wの水面の周囲の水位が上がって上部開口部の周囲から溢れる水跳ねや、エアーの巻き込み音が発生するという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、冷却水を撹拌する撹拌羽根と撹拌モータとの間に冷却水の流れの流速を低下させる抵抗部材を設けること等によって、撹拌モータによる撹拌時に発生する回転軸回りの渦の発生を防止し、水流による水跳ねや、エアーの巻き込み音を防止することができる飲料供給装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に係る飲料供給装置は、冷却手段によって冷却される冷却水を収容する水槽と、前記水槽内の底部に対して垂直状の冷却水の流れを発生させる撹拌手段とを備え、この冷却水によって飲料を冷却して供給する飲料供給装置において、前記撹拌手段は、撹拌モータと、前記撹拌モータの回転軸に取り付けられて、冷却水の流れを発生させる撹拌羽根と、前記攪拌モータの回転軸及び前記攪拌羽根を覆う網状の網部材と、前記撹拌羽根に対して前記垂直状の冷却水の流れの上流側に設けられて、該冷却水の流速を低下させる抵抗部材とを有することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る飲料供給装置は、請求項1に記載の飲料供給装置において、前記抵抗部材は、略平板状の板部材を有し、前記板部材は、前記回転軸の軸方向に対して略垂直になるように設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る飲料供給装置は、請求項1又は請求項2に記載の飲料供給装置において、前記抵抗部材は、複数の貫通孔が穿設されていることを特徴とする。
【0008】
更に、請求項4に係る飲料供給装置は、冷却手段によって冷却される冷却水を収容する水槽と、前記水槽内の深さ方向に螺旋状に巻回されて配置されて供給される飲料を冷却する飲料冷却管と、前記飲料冷却管の内側に配置されて前記水槽内の底部に対して垂直状の冷却水の流れを発生させる撹拌手段とを備え、この冷却水によって飲料を冷却して供給する飲料供給装置において、前記撹拌手段は、冷却水の流れを発生させる撹拌羽根を有し、前記飲料冷却管は、前記撹拌羽根付近の上流側に対向する部分に、深さ方向の隙間を形成するように巻回される粗巻き部を有し、該飲料冷却管の外周部を流れる冷却水の一部が、前記粗巻き部を介して飲料冷却管の内側に流入することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の飲料供給装置において、前記冷却手段は、前記水槽内の深さ方向に螺旋状に巻回されて前記飲料冷却管の外側に配置される蒸発管と、前記蒸発管に冷媒を流して該蒸発管の周囲に氷を形成する冷凍装置とを有し、前記蒸発管は、水槽底部付近の巻径が、他の部分の巻径よりも小さく形成されている。これにより、水槽の底部付近の蒸発管と水槽内壁部との隙間を、該蒸発管の他の部分と水槽内壁部との隙間よりも大きくして、水槽底部付近の蓄氷量を増大させることができるため、水槽底部付近の冷却水の流速を速くしても、該水流によって水槽底部付近の氷が溶かされることなく、十分な冷却能力を維持することができる。また、撹拌手段による水槽底部への冷却水の流速を速くすることができるため、冷却能力を向上させることができて、水槽容量の小型化を図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る飲料供給装置について具体化した第1実施形態及び第2実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
先ず、第1実施形態に係る飲料供給装置の概略構成について図1に基づいて説明する。図1は第1実施形態に係る飲料供給装置の概略構成を示す側面図である。尚、飲料供給装置には、ビール等を貯留する図示しない飲料タンクが飲料パイプ2を介して接続されており、また、この飲料タンクは図示しない炭酸ガスボンベにより常時加圧されている。
図1に示すように、ビール等を冷却して供給する飲料供給装置1の外装を構成する外装ケース3内には、冷却水を貯留した水槽4と、この水槽4の下方にはコンプレッサ5、凝縮器6、及び凝縮器6を冷却する冷却ファン7等から構成される冷凍ユニットが設けられている。そして、この外装ケース3の上側は、蓋部材8によって覆われると共に、冷凍ユニットが収納される冷凍ユニット収納部の下面の4箇所(図1中では2箇所が示されている。)において脚部材9が固設されており、飲料供給装置1はこれらの脚部材9を介してテーブル等の上に配置されている。また、飲料供給装置1の前面上部には、コック10が取り付けられており、後述の飲料冷却パイプ12(図2参照)の抽出側端部に接続されている。また、飲料供給装置1の側面上部には飲料タンクに接続される飲料パイプ2が取り付けられ、後述の飲料冷却パイプ12の供給側端部に接続されている。更に、コック10の下方前面部には、上側にスノコが載置されるドレン皿11が取り付けられている。また、冷却水が貯留される水槽4は、上面が開放される略直方体の槽であり、後述のように上面部に冷却水を撹拌するための撹拌モータ13が取り付けられている(図2参照)。
【0011】
次に、水槽4の概略構成について図2に基づいて説明する。図2は第1実施形態に係る飲料供給装置1の水槽4の概略構成を示す縦断側面図である。
図2に示すように、水槽4は、上方に開口するステンレス鋼板製の内箱15と、この内箱15の外側周囲に設けられる断熱壁16とから構成されて、内箱15内に貯留される冷却水17は断熱されている。
【0012】
また、コンプレッサ5、凝縮器6、及び冷却ファン7と共に冷凍ユニットの冷凍サイクルを構成する冷却器としての銅パイプ製の蒸発管18は、螺旋状に巻回されて内箱15の内周面のやや内側に、ステンレス鋼板製又は樹脂製の取付具19を介して該内箱15の内壁に固定されている。また、この蒸発管18は、冷却水17内に没して該冷却水17を冷却するように構成され、該蒸発管18の周囲には氷20が成長される。
また、この蒸発管18の内側には、ステンレスパイプ製の飲料冷却パイプ12が、2重の螺旋状に巻回されて同心状に配置され、ステンレス鋼板製の取付具22により冷却水17内に没するように内箱15の内壁に固定されている。また、この飲料冷却パイプ12の供給側端部は水槽4の横側上部側壁より外側に延出され、上記飲料パイプ2に接続される。更に、該飲料冷却パイプ12の抽出側端部は水槽4の前側上部側壁より外側に延出され、コック10に接続されている。
【0013】
また、水槽4の上端の開口部には、ステンレス鋼板製の略長方形の撹拌モータ取付板21が横に架け渡されてビス止めにより取り付けられ、該撹拌モータ取付板21の上面の略中央部には、後述のように撹拌モータ13がビス止めによって固定されている。そして、この撹拌モータ13の回転軸25は、飲料冷却パイプ12の略中心軸上に配置されると共に、内箱15の深さの約半分の位置まで延出されている。また、この回転軸25の先端部には、プロペラ26が装着されている。このプロペラ26は、撹拌モータ13の回転軸25の回転に伴って回転し、内箱15内の冷却水17を水槽4の下方に向けて矢印A方向に流動させるように構成されている。
また、回転軸25及びプロペラ26と、飲料冷却パイプ12との間には略円筒状に巻回されるステンレス製又は硬質合成樹脂製等の網状の網部材27が、撹拌モータ取付板21の下面からプロペラ26よりも少し深い位置まで覆うように取り付けられている(図3参照)。これにより、蒸発管18の回りに形成される氷20が剥離しても、回転軸25やプロペラ26に当たるの防ぐことができる。
【0014】
また、網部材27の内側で、撹拌モータ13の下面とプロペラ26との間の略中央位置の水中には、この網部材27の断面よりも少し小さい形状の板部材30とステンレス鋼板製の取付具29、29によって構成される抵抗部材28が取り付けられている(図4参照)。また、この板部材30は該回転軸25に対して略垂直になるように固定されている。また、この抵抗部材28の板部材30には後述のように小さな貫通孔30Bが多数穿設されている(図4参照)。
【0015】
これにより、プロペラ26によって水槽4の下方に向けて矢印A方向に流動する冷却水17は、内箱15の底部に沿って氷20方向に流れ、この氷20の内側面と飲料冷却パイプ12との間に沿って矢印B方向に流れて、水面近傍へ流れる。そして、水面近傍の冷却水17は、プロペラ26の撹拌によってプロペラ26に吸い寄せられて矢印C方向に流れて、網部材27の上部を経て回転軸25に沿って下方に流動し、抵抗部材28の板部材30に穿設される貫通孔30Bを介してプロペラ26に至る。従って、内箱15内を矢印A→矢印B→矢印Cの順に循環してプロペラ26に至る冷却水17は、抵抗部材28によって該抵抗部材28が無い場合よりも流量が低下されるため、回転軸25回りの渦の発生が防止されて内箱15の上端部周囲からの水跳ねや、エアーの巻き込み音などを防止することができる。
【0016】
次に、撹拌モータ取付板21への撹拌モータ13、抵抗部材28、網部材27等の取り付けについて図3に基づいて説明する。図3は第1実施形態に係る飲料供給装置1の水槽4内の冷却水を撹拌する撹拌部の概略構成を示す組み立て斜視図である。
図3に示すように、先ず、撹拌モータ取付板21の略中央位置に穿設されるモータ取付孔31に、撹拌モータ13の下端面に突き出して形成される略円柱状の位置決め凸部が嵌入される。そして、この撹拌モータ13は、四隅を撹拌モータ取付板21の上面にビス32によって固定される。続いて、プロペラ26の略中央部に貫通される断面略四角形の貫通孔が、回転軸25の先端部に形成される雄ネジ部25Aに嵌挿され、該プロペラ26がナット33によって回転軸25の先端部に固定される。尚、回転軸25の先端部には、雄ネジ部25Aが形成されると共に、この雄ネジ部25Aの両側面は切削されて、断面略四角形に形成されている。
【0017】
そして、撹拌モータ13の回転軸25の下方から抵抗部材28の板部材30に形成される略U字状の切欠溝部30Aを回転軸25に差し込みつつ、該抵抗部材28の各取付具29、29が撹拌モータ取付板21の下面に当接される。続いて網部材27がプロペラ26の下方から挿入されて、該網部材27の上端面部の外側略直角方向に延出される各取付部27A、27Aが抵抗部材28の各取付具29、29に下側から重ねられると共に、各ビス35、35が各取付部27A、27A及び各取付具29、29に穿設される各貫通孔27B、27B、29A、29Aに挿入されて、撹拌モータ取付板21に形成される各ネジ孔21A、21Aにネジ止めされる。これにより、撹拌モータ取付板21に、撹拌モータ13、プロペラ26、抵抗部材28、及び網部材27等が取り付けられる。
【0018】
次に、抵抗部材28の概略構成について図4に基づいて説明する。図4は第1実施形態に係る飲料供給装置1の撹拌モータ13とプロペラ26との間に取り付けられる抵抗部材28の概略構成を示す図で、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図4に示すように、抵抗部材28は、網部材27の内径よりも少し小さい直径のステンレス鋼板やアルミ板製等の略円板状の板部材30と、ステンレス鋼板製等の各取付具29、29とによって構成されている。
また、板部材30の中心部には、撹拌モータ13の回転軸25の外径よりも大きい直径の貫通孔36が形成されると共に、該貫通孔36の取付具29、29に対して略直角な半径方向には、回転軸25の外径寸法よりも大きい幅寸法の溝部が切り欠かれて略U字状の切欠溝部30Aが形成されている。また、この板部材30には所定径(第1実施形態では、直径約3mm〜5mmである。)の貫通孔30Bが多数穿設され、該貫通孔30Bを介して水が流動するようになっている。
【0019】
また、各取付具29、29の各一端縁部29B、29Bは、この板部材30の中心に対して略対称に板部材30の周縁部に溶接によって固定されている。尚、リベット止めやネジ止め等によって固定してもよい。そして、各取付具29は、この固定される一端縁部29Bから略直角に外側(図4(B)中、上側)に延出される第1延出部29Cと、該第1延出部29Cの端縁部から略直角外側方向(図4(B)中、左右外側方向)に延出される取付部29Dとから形成されている。また、この各取付具29、29の各取付部29D、29Dには、上記のように各ビス35、35が挿通される各貫通孔29A、29Aが穿設されている。
【0020】
以上詳細に説明した通り第1実施形態に係る飲料供給装置1は、撹拌モータ13の下側に取り付けられる網部材27の内側の冷却水17中で、且つ該撹拌モータ13とプロペラ26との間に、回転軸25に沿って流れる冷却水17の流量を低下させる抵抗部材28が設けられている。また、この抵抗部材28は、回転軸25の軸方向に対して略直角に設けられて、多数の小さな貫通孔30Bが穿設される板部材30と各取付具29、29より構成されている。
【0021】
従って、撹拌モータ13によるプロペラ26の回転により発生する冷却水17の流れは、抵抗部材28の板部材30に当たって減速され、回転軸25回りの渦の発生を防止することができるため、水槽4の水面をほぼ水平状態に保つことができ、内箱15の上端部周囲からの水跳ねや、エアーの巻き込み音などを防止することができる。また、抵抗部材28を略平板状の板部材30等で構成することができるため、簡易な構成にすることができ、製造コストの削減化を図ることができる。更に、板部材30に穿設される多数の貫通孔30Bの大きさや個数を変更することによって冷却水17の流速を容易に調整することができるため、簡易な構成で水跳ねやエアーの巻き込み音の発生を確実に防止することができる。
【0022】
次に、第2実施形態に係る飲料供給装置について図5に基づいて説明する。図5は第2実施形態に係る飲料供給装置の水槽4の概略構成を示す縦断側面図である。尚、以下の説明において上記図1乃至図4の第1実施形態に係る飲料供給装置1の構成と同一符号は、該第1実施形態に係る飲料供給装置1等の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
第2実施形態に係る飲料供給装置の概略構成は、第1実施形態に係る飲料供給装置1とほぼ同じ構成である。
但し、第2実施形態に係る飲料供給装置では、後述のように、上記抵抗部材28が設けられておらず、飲料冷却パイプと蒸発管の構成が、第1実施形態に係る飲料供給装置1と異なっている。
【0023】
ここで、図5に示すように、水槽4の内箱15の内周面のやや内側に上記蒸発管18に替えて配置される銅パイプ製の蒸発管51は、螺旋状に巻回されて、ステンレス鋼板製又は樹脂製の取付具52を介して該内箱15の内壁に固定されている。また、この蒸発管51の下端側2巻き分の巻径は、これよりも上側の巻径よりも小さく形成されている。また、この蒸発管51は、上記蒸発管18と同様に冷却水17内に没して該冷却水17を冷却するように構成され、該蒸発管51の周囲には氷20が成長される。従って、水槽4の底部における冷却水17の流速が低速又はほとんど無い場合には、蒸発管51の下端部には、各破線20A、20Aで示される部分まで氷20が成長する。また、この蒸発管51の下端部の2巻き分と内箱15との間には、該蒸発管51の上方部分と内箱15との間よりも大きい隙間に氷20が形成される。
【0024】
また、この蒸発管51の内側には、上記飲料冷却パイプ12に替えて、ステンレスパイプ製の飲料冷却パイプ55が、2重の螺旋状に巻回されて同心状に配置され、ステンレス鋼板製の取付具56により冷却水17内に没するように内箱15の内壁に固定されている。そして、この飲料冷却パイプ55の供給側端部は水槽4の横側上部側壁より外側に延出され、飲料パイプ2に接続される。一方、該飲料冷却パイプ55の抽出側端部は水槽4の前側上部側壁より外側に延出され、コック10に接続されている。
また、この2重の螺旋状に巻回される飲料冷却パイプ55のうち、半径方向外側の飲料冷却パイプ55Aの最外周面と、各破線20A、20Aとの間には所定間隔の隙間が形成され、氷20が各破線20A、20A部分まで成長しても、飲料冷却パイプ55Aと各破線20A、20A部分との間を冷却水17が流れるように構成されている。
【0025】
また、水槽4の上端の開口部には、ステンレス鋼板製の略長方形の撹拌モータ取付板21が横に架け渡されてビス止めにより取り付けられ、該撹拌モータ取付板21の上面の略中央部には、撹拌モータ13がビス止めによって固定されている。そして、この撹拌モータ13の回転軸25は、飲料冷却パイプ55の略中心軸上に配置されると共に、内箱15の深さの約半分の位置まで延出されている。また、この回転軸25の先端部には、プロペラ26が装着されている。このプロペラ26は、撹拌モータ13の回転軸25の回転に伴って回転し、内箱15内の冷却水17を水槽4の下方に向けて矢印60方向に流動させるように構成されている。
また、回転軸25及びプロペラ26と、飲料冷却パイプ55との間には略円筒状に巻回されるステンレス製又は硬質合成樹脂製等の網状の網部材27が、撹拌モータ取付板21の下面からプロペラ26よりも少し深い位置まで覆うように取り付けられている。これにより、蒸発管51の回りに形成される氷20が剥離しても、回転軸25やプロペラ26に当たるの防ぐことができる。
【0026】
また、2重の螺旋状に巻回される飲料冷却パイプ55のうち、半径方向内側の飲料冷却パイプ55Bは、下端部からプロペラ26の下端部付近までは、上下のパイプがほぼ密着するように巻回され、このプロペラ26の下端部に対向する付近から所定高さまでは、上下のパイプの間に隙間を形成するように所定巻回ピッチで巻回されて粗巻き部57が形成されている(第2実施形態の場合は、粗巻き部57の所定巻回ピッチは、パイプ径の約2倍のピッチ寸法である。また、この所定巻回ピッチで約5巻き分の粗巻き部57が形成されている。)。そして、この粗巻き部57の上側終端部から飲料冷却パイプ55Bの上端部までは、上下のパイプがほぼ密着するように巻回されている。
【0027】
また、2重の螺旋状に巻回される飲料冷却パイプ55のうち、半径方向外側の飲料冷却パイプ55Aは、下端部から上記粗巻き部57の下端部より少し上側のプロペラ26に対向する付近までは、上下のパイプがほぼ密着するように巻回され、このプロペラ26に対向する付近から上記粗巻き部57の少し上側の所定高さまでは、上下のパイプの間に隙間を形成するように所定巻回ピッチで巻回されて粗巻き部58が形成されている(第2実施形態の場合は、粗巻き部58の所定巻回ピッチは、パイプ径の約2倍のピッチ寸法である。また、この所定巻回ピッチで約6巻き分の粗巻き部58が形成されている。)。そして、この粗巻き部58の上側終端部から飲料冷却パイプ55Aの上端部までは、上下のパイプがほぼ密着するように巻回されている。
【0028】
これにより、プロペラ26によって水槽4の下方に向けて矢印60方向に流動する冷却水17は、内箱15の底部に沿って氷20方向に流れ、蒸発管51の下端部の各破線20A、20Aの部分まで形成される氷20に衝突しつつ、該破線20Aと飲料冷却パイプ55Aとの間を矢印61方向に流れる。
そして、冷却水17は、この氷20の内側面と外側の飲料冷却パイプ55Aとの間に沿って上側方向(矢印62方向)に流れて、粗巻き部58に達した場合には、該冷却水17の一部は、粗巻き部58及び粗巻き部57を流れて飲料冷却パイプ55の内側方向(矢印63方向)に流れ、網部材27を経て回転軸25に沿って下方に流動し、プロペラ26に至る。他方、粗巻き部58を介して飲料冷却パイプ55の内側に流れず、氷20の内面に沿って上方向(矢印64方向)に流れて水面近傍に達した冷却水17は、プロペラ26の撹拌によってプロペラ26に吸い寄せられて矢印65方向に流れて、網部材27の上部を経て回転軸25に沿って下方に流動し、プロペラ26に至る。
【0029】
以上説明した通り、第2実施形態に係る飲料供給装置では、プロペラ26によって水槽4の底面部に向かって流動する冷却水17の一部は、各粗巻き部58、57から飲料冷却パイプ55の内側に流れてプロペラ26に至る(矢印63)ため、飲料冷却管55と内箱15のと間を流れて水面近傍に至る(矢印64→矢印65)冷却水17の量が減少する。
これにより、プロペラ26の回転による水槽4の底部への冷却水17の流速を速くしても、水面部付近の冷却水17の流れの流速を低下させることができるため、水槽4の水面をほぼ水平状態に保つことができ、冷却水17の水跳ねを無くして冷却水17の減少を防止することができる。また、プロペラ26の回転による水槽4の底部への冷却水17の流速を速くしても、水面部付近の冷却水17の流れの流速を低下させることができるため、プロペラ26の回転により発生する渦を消して、エアーの巻き込み音を防止することができる。また、プロペラ26の回転による水槽4の底部への冷却水17の流速を速くすることができるため、冷却能力の向上を図ることができて、水槽4の容量の小型化を図ることができる。更に、飲料冷却パイプ55の各粗巻き部57、58の隙間を冷却水17が通過するため、飲料冷却パイプ55の熱交換面積を増大させることができ、冷却能力の更なる向上を図ることができる。
また、蒸発管51の下端部の2巻き分と内箱15との間には、該蒸発管51の上方部分と内箱15との間よりも大きい隙間に氷20が形成されるため、水槽4の底部の蓄氷量を増大させることができる。これにより、水槽4の底部付近の冷却水17の流速を速くして、この冷却水17の水流によって氷20の下端部付近の破線20Aの部分が溶かされても、この蒸発管51の下端部の2巻き分付近と内箱15との間の氷20は溶かされることなく、十分な冷却能力を維持することができる。また、プロペラ26の回転による水槽4の底部への冷却水17の流速を速くすることができるため、冷却能力を向上させることができて、水槽4の容量の小型化を図ることができる。
【0030】
尚、本発明は前記第1実施形態及び第2実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
(a)前記第1実施形態では、抵抗部材28の板部材30は、略円板状であるが、図6に示すように、略六角形状の板部材41を有する抵抗部材40にしてもよい。これにより、抵抗部材40の組み立て時に、各取付具29、29の板部材41に対する位置決めを容易に行うことができる。
図6は他の実施形態に係る飲料供給装置1の撹拌モータ13とプロペラ26との間に取り付けられる抵抗部材40の概略構成を示す図で、(A)は平面図、(B)は側面図である。尚、図6において上記図4の抵抗部材28の構成と同一符号は、該抵抗部材28の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
(b)前記第1実施形態では、抵抗部材28の板部材30は一枚であったが、図7に示すように、2枚の板部材30を回転軸25の軸方向に有する抵抗部材42等、板部材30を回転軸25の軸方向に複数枚有する抵抗部材の構成にしてもよい。これにより、回転軸25回りの渦の発生をより強力に防止することができる。
図7は他の実施形態に係る飲料供給装置1の撹拌モータ13とプロペラ26との間に取り付けられる抵抗部材42の概略構成を示す図で、(A)は平面図、(B)は側面図である。尚、図7において上記図4の抵抗部材28の構成と同一符号は、該抵抗部材28の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0031】
【発明の効果】
以上説明した通り請求項1に係る飲料供給装置は、水槽内には冷却手段によって冷却される冷却水が収容され、この冷却水によって飲料が冷却されて供給される。また、この冷却水は、撹拌モータと、この撹拌モータの回転軸に取り付けられる撹拌羽根によって前記水槽内の底部に対して垂直状の冷却水の流れが発生される。そして、前記撹拌羽根に対して垂直状の冷却水の流れの上流側には、該冷却水の流速を低下させる抵抗部材が設けられている。更に、前記攪拌モータの回転軸及び前記攪拌羽根を覆う網状の網部材が配設されている。
これにより、垂直状の冷却水の流れの流速を抵抗部材で低下させることができるため、水槽の水面をほぼ水平状態に保つことができ、冷却水の水跳ねを無くして冷却水の減少を防止することができる飲料供給装置を提供することができる。また、抵抗部材により撹拌モータの回転軸回りに発生する渦を消して、エアーの巻き込み音を防止することができる飲料供給装置を提供することができる。更に、網部材が配設されているので、冷却手段によって形成された氷が剥離しても、回転軸や攪拌羽根に当たるの防ぐことができる。
【0032】
また、請求項2に係る飲料供給装置は、請求項1に記載の飲料供給装置において、前記抵抗部材は、略平板状の板部材を有し、前記板部材は、前記回転軸の軸方向に対して略垂直になるように設けられている。
これにより、垂直状の冷却水の流れは、この板部材に当たって減速され、冷却水の水跳ねを確実に防止することができると共に、回転軸回りの渦を消してエアーの巻き込み音を防止することができる飲料供給装置を提供することができる。また、抵抗部材を略平板状の板部材で構成することができるため、簡易な構成にすることができ、製造コストの削減化を図ることができる飲料供給装置を提供することができる。
【0033】
また、請求項3に係る飲料供給装置は、請求項1又は請求項2に記載の飲料供給装置において、前記抵抗部材は、複数の貫通孔が穿設されている。
これにより、この貫通孔の大きさや個数を変更することによって冷却水の流速を容易に調整することができるため、簡易な構成で水跳ねやエアーの巻き込み音の発生を確実に防止することができる飲料供給装置を提供することができる。
【0034】
更に、請求項4に係る飲料供給装置は、水槽内には冷却手段によって冷却される冷却水が収容されている。また、この水槽内には、深さ方向に螺旋状に巻回される飲料冷却管が配置されて、該飲料冷却管に供給される飲料がこの冷却水によって冷却される。また、この冷却水は、飲料冷却管の内側に配置される撹拌手段の撹拌羽根によって前記水槽内の底部に対して垂直状の冷却水の流れが発生される。また、飲料冷却管の撹拌羽根付近の上流側に対向する部分には、深さ方向に隙間が形成される粗巻き部が設けられ、該飲料冷却管の外周部を流れる冷却水の一部が、この粗巻き部を介して飲料冷却管の内側に流入する。
これにより、水槽の底部から水面部に達する冷却水の水量が減少して、水面部付近の冷却水の流れの流速を低下させることができるため、水槽の水面をほぼ水平状態に保つことができ、冷却水の水跳ねを無くして冷却水の減少を防止することができる飲料供給装置を提供することができる。また、水面部付近の冷却水の流れの流速を低下させることができるため、撹拌羽根の回転により発生する渦を消して、エアーの巻き込み音を防止することができる飲料供給装置を提供することができる。更に、飲料冷却管の粗巻き部の隙間を冷却水が通過するため、飲料冷却管の熱交換面積を増大させることができ、冷却能力の向上を図ることができる飲料供給装置を提供することができる。
そして、前記冷却手段は、前記水槽内の深さ方向に螺旋状に巻回されて前記飲料冷却管の外側に配置される蒸発管と、前記蒸発管に冷媒を流して該蒸発管の周囲に氷を形成する冷凍装置とを有し、前記蒸発管は、水槽底部付近の巻径が、他の部分の巻径よりも小さく形成されている。これにより、水槽の底部付近の蒸発管と水槽内壁部との隙間を、該蒸発管の他の部分と水槽内壁部との隙間よりも大きくして、水槽底部付近の蓄氷量を増大させることができる。このため、水槽底部付近の冷却水の流速を速くしても、該水流によって水槽底部付近の氷が溶かされることなく、十分な冷却能力を維持することができる。また、撹拌手段による水槽底部への冷却水の流速を速くすることができるため、冷却能力を向上させることができて、水槽容量の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態に係る飲料供給装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】 第1実施形態に係る飲料供給装置の水槽の概略構成を示す縦断側面図である。
【図3】 第1実施形態に係る飲料供給装置の水槽内の冷却水を撹拌する撹拌部の概略構成を示す組み立て斜視図である。
【図4】 第1実施形態に係る飲料供給装置の撹拌モータとプロペラとの間に取り付けられる抵抗部材の概略構成を示す図で、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図5】 第2実施形態に係る飲料供給装置の水槽の概略構成を示す縦断側面図である。
【図6】 他の実施形態に係る飲料供給装置の撹拌モータとプロペラとの間に取り付けられる抵抗部材の概略構成を示す図で、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図7】 他の実施形態に係る飲料供給装置の撹拌モータとプロペラとの間に取り付けられる抵抗部材の概略構成を示す図で、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【符号の説明】
1 飲料供給装置
4 水槽
3 前側上横桟
12、55 飲料冷却パイプ
13 撹拌モータ
15 内箱
16 断熱壁
17 冷却水
18、51 蒸発管
20 氷
20A 破線
25 回転軸
26 プロペラ
27 網部材
28、40、42 抵抗部材
29 取付具
30、41 板部材
57、58 粗巻き部
60〜65、A〜C 矢印
Claims (4)
- 冷却手段によって冷却される冷却水を収容する水槽と、前記水槽内の底部に対して垂直状の冷却水の流れを発生させる撹拌手段とを備え、この冷却水によって飲料を冷却して供給する飲料供給装置において、
前記撹拌手段は、撹拌モータと、
前記撹拌モータの回転軸に取り付けられて、冷却水の流れを発生させる撹拌羽根と、
前記攪拌モータの回転軸及び前記攪拌羽根を覆う網状の網部材と、
前記撹拌羽根に対して前記垂直状の冷却水の流れの上流側に設けられて、該冷却水の流速を低下させる抵抗部材と、
を有することを特徴とする飲料供給装置。 - 前記抵抗部材は、略平板状の板部材を有し、
前記板部材は、前記回転軸の軸方向に対して略垂直になるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。 - 前記抵抗部材は、複数の貫通孔が穿設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲料供給装置。
- 冷却手段によって冷却される冷却水を収容する水槽と、前記水槽内の深さ方向に螺旋状に巻回されて配置されて供給される飲料を冷却する飲料冷却管と、前記飲料冷却管の内側に配置されて前記水槽内の底部に対して垂直状の冷却水の流れを発生させる撹拌手段とを備え、この冷却水によって飲料を冷却して供給する飲料供給装置において、
前記撹拌手段は、冷却水の流れを発生させる撹拌羽根を有し、
前記冷却手段は、前記水槽内の深さ方向に螺旋状に巻回されて前記飲料冷却管の外側に配置されると共に、前記水槽底部付近の巻径が他の部分の巻径よりも小さく形成された蒸発管と、前記蒸発管に冷媒を流して該蒸発管の周囲に氷を形成する冷凍装置とを有し、
前記飲料冷却管は、前記撹拌羽根付近の上流側に対向する部分に、深さ方向の隙間を形成するように巻回される粗巻き部を有し、
該飲料冷却管の外周部を流れる冷却水の一部が、前記粗巻き部を介して飲料冷却管の内側に流入することを特徴とする飲料供給装置。
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