JP3909752B2 - 描画装置および描画方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、描画方法に関し、より具体的には、表示装置で表示される地図を表す表示画像データを作成する描画装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような描画装置は、従来からナビゲーション装置に実装されることが多く、例えば、特開2000−221876号公報、特開2000−276609号公報、および特開平9−152354号公報に開示されている。ここで、本従来の技術の欄では、特開2000−221876号公報に開示されているものを第1のナビゲーション装置と、また、特開2000−276609号公報に開示されたものを第2のナビゲーション装置と、さらに、特開平9−152354号公報に開示されているもの第3のナビゲーション装置と称する。以下には、まず、第1のナビゲーション装置における描画処理を説明し、その後に、第2および第3のナビゲーション装置の順に、それらにおける描画処理について説明する。
【0003】
第1のナビゲーション装置では、車両の現在位置と、当該現在位置の周辺に存在する描画対象のオブジェクトとの間の距離が算出される。ここで、特開2000−221876号公報において、オブジェクトは、建造物のように、表示地図を構成する要素である。算出された距離が予め定められているしきい値以下である場合、描画対象のオブジェクトは3次元図形として描画される。一方、距離がしきい値を超える場合には、描画対象のオブジェクトは、3次元描画と比較して視認性が低い2次元図形として描画される。
【0004】
また、第2のナビゲーション装置では、車両の現在位置と、当該現在位置の周辺に存在する描画対象のオブジェクトとの間の距離が算出される。ここで、特開2000−276609号公報において、オブジェクトは、表示地図において道路を構成するポリゴンである。算出された距離に応じて、描画対象のオブジェクトの濃度が決定される。その後、描画対象のオブジェクトは、決定された濃度で描画される。
【0005】
また、第3のナビゲーション装置では、まず、車両を案内するための経路が探索される。さらに、探索経路上の各交差点の所定距離手前に車両が到着している場合には、交差点への進入経路に面しているオブジェクト(典型的にはランドマーク)が地図上に描画される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、第1および第2のナビゲーション装置では、オブジェクトをどのように描画するかは、現在位置から当該オブジェクトまでの距離に基づいて決定されている。しかしながら、距離に基づいてオブジェクトの描画方法を決定するだけでは、ユーザが欲しい地図を表示できない場合があるという問題点があった。
【0007】
以上の問題点を、図22(a)〜(c)を参照してより具体的に説明する。図22(a)には、交差点C1 が図示されている。交差点C1 には、第1〜第3の道路W1 〜W3 がつながっている。ここで、車両は、第1の道路W1 から交差点C1 を通過して第2の道路W2 に進むことが可能であると仮定する。しかし、交通規制により、車両は、第2の道路W2 から交差点C1 を通過して第1の道路W1 に進むことが禁止されていると仮定する。以上の仮定下では、交差点C1 の近傍には、進入禁止を示す道路標識TS1 が立てられてる。道路標識TS1 は、図22(b)に示すように、第2の道路W2 に対向する領域TS11に、進入禁止を示すメッセージが描かれる。逆に、図22(c)に示すように、道路標識TS1 において、第1の道路W1 に対向する、つまり第2の道路W2 に対向しない領域TS12には、進入禁止を示すメッセージは描かれない。
【0008】
以上の交差点C1 に車両が第2の道路W2 の方向から近づいた時、第1および第2のナビゲーション装置の表示装置には、図22(b)に示すような地図が表示される。この場合、車内のユーザは、オブジェクトとしての領域TS11を視認できる。
【0009】
逆に、交差点C1 に車両が第1の道路W1 の方向から近づいた時には、第1および第2のナビゲーション装置には、図22(c)に示すような地図が表示される。このような表示地図において、オブジェクトとしての領域TS12には進入禁止を示すメッセージが描かれないので、第1の道路W1 側から見た場合、道路標識TS1 は無用である。このような状況では、ユーザは、領域TS12を視認するよりも、当該道路標識TS1 の後景がどのようになっているのかを視認したいと思うであろう。しかしながら、第1および第2のナビゲーション装置は、道路標識TS1 の領域TS12をオブジェクトとして明確に描画する。その結果、道路標識TS1 の後景は、道路標識TS1 により遮られ、ユーザは、第1および第2のナビゲーション装置の表示地図上で、当該道路標識TS1 の後景を視認できない。以上の観点から、第1および第2のナビゲーション装置のように距離に基づいてオブジェクトの描画方法を決定するだけでは、ユーザが欲しい地図を提供できない場合が起こり得る。
【0010】
また、第3のナビゲーション装置でも、進入経路上のオブジェクトが明確に表示されてしまうため、図22(a)〜(c)を参照して説明した問題点が生じる。
【0011】
それ故に、本発明は、ユーザが欲しい地図を表す表示画像データを作成することができる描画装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明は、表示装置で表示される地図を表す表示画像データを作成する描画装置であって、指向性オブジェクトデータを外部から取得する第1の取得部を備える。ここで、指向性オブジェクトデータは、地図を構成する要素である指向性オブジェクトを表し、当該指向性オブジェクトは、異なる方向を向いている複数の領域を有する。指向性オブジェクトデータは、各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報を含んでおり、描画装置はさらに、ユーザの現在位置と、各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報との関係に基づいて、当該指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる形式で描画して、表示画像データを作成する描画部を備える。
【0013】
第1の発明によれば、指向性オブジェクトの描画形式を、ユーザの現在位置に応じて変えることができるので、ユーザが欲しい地図を表す表示画像データを作成することができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明に従属しており、描画部は、第1の取得部で取得された指向性オブジェクトデータが表す指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる透明度で描画する。これにより、指向性オブジェクトを透明または半透明に描画することが可能となるので、ユーザが指向性オブジェクトの後景を視認できる地図を表す表示画像データを作成することができる。
【0015】
第3の発明は、第1の発明に従属しており、指向性オブジェクトデータは、指向性オブジェクトが存在する代表位置を示す代表位置情報を含む。そして、描画部は、第1の取得部で取得された指向性オブジェクトデータから、代表位置情報を取得する第2の取得部と、予め算出されているユーザの現在位置と、第2の取得部で取得された代表位置情報に基づいて、当該ユーザの現在位置を基準として、指向性オブジェクトの方向を規定する基準ベクトルを算出する第2の算出部と、第1の取得部で取得された指向性オブジェクトデータから方向情報を取得する第3の取得部と、第2の算出部で算出された基準ベクトルと、第3の取得部で取得された方向情報の内積を算出する第3の算出部とを含む。さらに、描画部は、第3の算出部で算出された内積の極性に応じて、指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる形式で描画して、表示画像データを作成する。
【0016】
第3の発明によれば、基準ベクトルと方向情報とから、ユーザの現在位置に対する指向性オブジェクトの位置を、描画部は知ることができる。これによって、描画部は、指向性オブジェクトの各領域の描画形式を簡単に判断することができる。
【0017】
第4の発明は、第1の発明に従属しており、描画部は、指向性オブジェクトが有する1つの領域を不透明に描画し、他の領域をワイヤーフレームで描画する。これにより、指向性オブジェクトの外形を表す線だけを描画することが可能となるので、ユーザが指向性オブジェクトの後景を視認できる地図を表す表示画像データを作成することができる。
【0018】
第5の発明は、第1の発明に従属しており、描画部は、指向性オブジェクトの複数の領域を異なる大きさで描画する。これにより、その大きさを変更して指向性オブジェクトを描画することが可能となるので、ユーザが指向性オブジェクトの後景を視認しやすい地図を表す表示画像データを作成することができる。
【0019】
第6の発明は、表示装置で表示される地図を表す表示画像データを作成する描画方法であって、指向性オブジェクトデータを外部から取得する第1の取得ステップを備える。指向性オブジェクトデータは、地図を構成する要素である指向性オブジェクトを表し、当該指向性オブジェクトは、異なる方向を向いている複数の領域を有す。指向性オブジェクトデータは、各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報を含んでおり、描画方法はさらに、ユーザの現在位置と、各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報との関係に基づいて、当該指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる形式で描画して、表示画像データを作成する描画ステップをさらに備える。
【0020】
第7の発明は、表示装置で表示される地図を表す表示画像データを作成するためのコンピュータプログラムであって、指向性オブジェクトデータを外部から取得する第1の取得ステップを備える。ここで、指向性オブジェクトデータは、地図を構成する要素である指向性オブジェクトを表し、当該指向性オブジェクトは、異なる方向を向いている複数の領域を有する。指向性オブジェクトデータは、各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報を含んでおり、コンピュータプログラムはさらに、ユーザの現在位置と、各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報との関係に基づいて、当該指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる形式で描画して、表示画像データを作成する描画ステップをさらに備える。
【0021】
第8の発明は、第7の発明に従属しており、コンピュータプログラムは記録媒体に記録される。
【0022】
以上の第5〜第8の発明によれば、指向性オブジェクトの描画形式を、ユーザの現在位置に応じて変えることができるので、ユーザが欲しい地図を表す表示画像データを作成することができる。
【0023】
第9の発明は、ユーザを誘導および案内するためのナビゲーション装置であって、ユーザの現在位置を算出する算出部と、指向性オブジェクトデータを外部から取得する取得部とを備える。ここで、指向性オブジェクトデータは、地図を構成する要素である指向性オブジェクトを表し、当該指向性オブジェクトは、異なる方向を向いている複数の領域を有する。指向性オブジェクトデータは、各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報を含んでおり、ナビゲーション装置はさらに、算出部で算出されたユーザの現在位置と、各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報との関係に基づいて、当該指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる形式で描画して、今回表示すべき地図を表す表示画像データを作成する描画部と、描画部で作成された表示画像データに従って、地図を表示する表示部とを備える。
【0024】
第10の発明は、表示装置が地図を表示して、ユーザを誘導および案内するためのナビゲーション方法であって、ユーザの現在位置を算出する算出ステップと
指向性オブジェクトデータを外部から取得する取得ステップとを備える。ここで、指向性オブジェクトデータは、地図を構成する要素である指向性オブジェクトを表し、当該指向性オブジェクトは、異なる方向を向いている複数の領域を有する。指向性オブジェクトデータは、各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報を含んでおり、ナビゲーション装置はさらに、算出部で算出されたユーザの現在位置と、各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報との関係に基づいて、当該指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる形式で描画して、今回表示すべき地図を表す表示画像データを作成する描画ステップと、描画ステップで作成された表示画像データを、表示装置に転送する転送ステップとをさらに備える。表示装置は、転送ステップで転送された表示画像データに表示処理を行って、地図を表示する。
【0025】
第11の発明は、表示装置が地図を表示して、ユーザを誘導および案内するためのナビゲーション用のコンピュータプログラムであって、ユーザの現在位置を算出する算出ステップと、指向性オブジェクトデータを外部から取得する取得ステップとを備える。ここで、指向性オブジェクトデータは、地図を構成する要素である指向性オブジェクトを表し、当該指向性オブジェクトは、異なる方向を向いている複数の領域を有する。指向性オブジェクトデータは、各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報を含んでおり、コンピュータプログラムはさらに、算出部で算出されたユーザの現在位置と、各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報との関係に基づいて、当該指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる形式で描画して、今回表示すべき地図を表す表示画像データを作成する描画ステップと、描画ステップで作成された表示画像データを、表示装置に転送する転送ステップとを備える。表示装置は、転送ステップで転送された表示画像データに表示処理を行って、地図を表示する。
【0026】
第12の発明は、第11の発明に従属しており、コンピュータプログラムは記録媒体に記録される。
【0027】
以上の第8〜第12の発明によれば、指向性オブジェクトの描画形式を、ユーザの現在位置に応じて変えることができるので、ユーザが欲しい地図を表す表示画像データを作成することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る描画装置Urnd1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1において、描画装置Urnd1は、表示装置8で表示される地図の基礎となる表示画像データDdpおよび誘導用の表示画像データDgdを作成する装置であって、プロセッサ1、プログラムメモリ2およびワーキングエリア3から構成される。プロセッサ1は、典型的には、CPU(Central Processing Unit) またはMPU(Micro Processing Unit) である。プログラムメモリ2は、典型的には、ROM(Read Only Memory)であり、レンダリング用のコンピュータプログラム(以下、レンダリングプログラムと称する)21を格納している。また、本実施形態では描画装置Urnd1がナビゲーション装置Unvに組み込まれる例を説明する。そのため、プログラムメモリ2には、ナビゲーション用のコンピュータプログラム(以下、ナビゲーションプログラムと称する)22も格納され、プロセッサ1は、ナビゲーションプログラム22に従ってナビゲーションに必要となる処理も実行する。ワーキングエリア3は、典型的には、RAM(Random Access Memory)であり、プロセッサ1がレンダリングプログラム21およびナビゲーションプログラム22を実行する際に使用される。また、図1において、ナビゲーション装置Unvを実現するための構成として、記憶装置4、GPS受信機5、自律航法センサ群6、入力装置7および表示装置8が、描画装置Urnd1のプロセッサ1と通信可能に接続される。
【0029】
記憶装置4は、図2に示すように、地図データベースDBctを格納している。また、ナビゲーション装置Unvで経路探索が行われるので、記憶装置4には、当該経路探索に必要となる道路ネットワークデータDntも格納される。
地図データベースDBctは、例えば日本全国のように、それぞれが予め定められた広範囲の地図の要素を表す指向性オブジェクトデータDdrおよび無指向性オブジェクトデータDndr からなる。ここで、地図の要素とは、建造物、道路標識、看板、道路、街区および緑地帯が代表的である。指向性オブジェクトデータDdrおよび無指向性オブジェクトデータDndr は、描画装置Urnd1が作成する表示画像データDdpおよび誘導用の表示画像データDgdの双方の基礎となる。
【0030】
指向性オブジェクトデータDdrは、1つの指向性オブジェクトOdrを表す。指向性オブジェクトOdrは、図3(a)に示すように、ユーザ、つまり表示装置8で表示される地図を見る者に向けたメッセージが描かれているメッセージ領域Amsを有する。指向性オブジェクトOdrは、メッセージ領域Ams以外にも、図3(b)に示すように、ユーザに向けたメッセージがないプレーン領域Aplを有する。本実施形態において、指向性とは、ユーザの現在位置に応じて、メッセージ領域Amsおよびプレーン領域Aplのいずれか一方が、当該ユーザにより視認されるという性質を意味する。
【0031】
以上の指向性オブジェクトOdrの具体例として、図3(a)および(b)には、車両の進入禁止を示す道路標識が図示されている。特に、図3(a)に示されるメッセージ領域Amsには、ユーザへのメッセージとして、車両の進入を禁止する旨が描かれる。また、図3(b)に示されるプレーン領域Aplは、メッセージ領域Amsの裏側に相当しており、そこには、車両の進入を禁止することを示すメッセージがない。また、以上の図3(a)および(b)が実際の光景を表すと仮定すると、指向性オブジェクトOdrの後景は、当該指向性オブジェクトOdrにより遮られるので視認されない。
【0032】
以上の指向性オブジェクトOdrを表す指向性オブジェクトデータDdrは、図4に示すようなデータ構造を有する。図4において、指向性オブジェクトデータDdrは、代表位置情報Ipsd と、指向性フラグFdrと、メッセージ情報Imsと、プレーン情報Iplとを有する。
代表位置情報Ipsd は、指向性オブジェクトOdrの代表位置を特定する。代表位置は、典型的には、緯度座標Xbjd および経度座標Ybjd の組み合わせで特定される。
指向性フラグFdrは、指向性オブジェクトデータDdrを特定するための情報である。本実施形態では、指向性フラグFdrには、「0」という値が予め割り当てられ、この値によって、プロセッサ1は、指向性オブジェクトデータDdrを、無指向性オブジェクトデータDndr と区別する。
【0033】
メッセージ情報Imsは、指向性オブジェクトOdrのメッセージ領域Ams側の形状および色を特定する。より具体的には、メッセージ情報Imsは、透明度情報Itlm 、方向情報Idrm 、ならびに、いくつかの座標列情報Icsm および色情報Iccm の組み合わせを含む。透明度情報Itlm は、メッセージ領域Amsを描画する際の透明度を規定する。メッセージ領域Amsは、ユーザに向けたメッセージを持つので明確に視認される必要性がある。この必要性から、透明度情報Itlm には、好ましくは「0」という透明度が選ばれる。透明度としての「0」は本実施形態では不透明を意味する。
方向情報Idrm は、メッセージ領域Amsが向いている方向を示す2次元ベクトル(Xdrm ,Ydrm )である。ここで、Xdrm およびYdrm は、表示用の地図における緯度方向および経度方向の成分である。
【0034】
座標列情報Icsm および色情報Iccm の組み合わせの数は、図5(a)に示すような、メッセージ領域Amsを構成する部分オブジェクトPOdrm の個数に相当する。つまり、1つの部分オブジェクトPOdrm につき、1組みの座標列情報Icsm および色情報Iccm が作成される。ここで、部分オブジェクトPOdrm は、指向性オブジェクトOdrのメッセージ領域Amsを基本的な形状に分解することにより得られる。つまり、全ての部分オブジェクトPOdrm が描画されることにより、メッセージ領域Amsが完成する。図4に示す座標列情報Icsm は、上述の1つの部分オブジェクトPOdrm の外形を規定するための複数の3次元座標値(Xpm,Ypm,Zpm)を含む。ここで、Xpmは緯度方向の位置を示し、Ypmは経度方向の位置を示し、Zpmは高さ方向の位置を示す。さらに、座標列情報Icsm は、複数の3次元座標値がどのように接続されるかを特定するための接続情報を含む。一般的には、座標列情報Icsm において、複数の3次元座標値は、対象となる部分オブジェクトPOdrm を一筆書きできるように並べられる。かかる場合、接続情報は、複数の3次元座標値が並ぶ順番になる。色情報Iccm は、対象となる部分オブジェクトPOdrm を塗るための色を特定する。つまり、色情報Iccm で特定される色で座標列情報Icsm で規定される外形の内部が塗られる。
【0035】
ここで、座標列情報Icsm および色情報Iccm の具体例を挙げる。図3(a)のメッセージ領域Amsは、図5(a)に示すように、3つの部分オブジェクトPOdrm1〜POdrm3に分解されると仮定する。部分オブジェクトPOdrm1は、道路標識本体を支えるためのポール部分である。部分オブジェクトPOdrm2は、円形状の板の部分、つまり道路標識本体である。さらに、部分オブジェクトPOdrm3は、道路標識本体上に描かれている「−」形状のライン部分である。以上の仮定下では、図4に示すように、3セットの座標列情報Icsm1および色情報Iccm1〜座標列情報Icsm3および色情報Iccm3が、メッセージ情報Imsに含まれる。座標列情報Icsm1および色情報Iccm1の組みは、ポール部分である部分オブジェクトPOdrm1用である。座標列情報Icsm1は、ポール部分の外周を規定する複数の3次元座標値からなる。色情報Iccm1はポール部分を塗るための色を特定する。座標列情報Icsm2および色情報Iccm2の組みは、道路標識本体である部分オブジェクトPOdrm2用であり、当該道路標識本体の外周および色を特定する。座標列情報Icsm3および色情報Iccm3の組みは、ライン部分である部分オブジェクトPOdrm3用であり、当該ラインの外周および色を特定する。
【0036】
また、図4のプレーン情報Iplは、指向性オブジェクトOdrのプレーン領域Aplの形状および色を特定する。より具体的には、プレーン情報Iplは、透明度情報Itlp 、方向情報Idrp 、ならびに、座標列情報Icsp および色情報Iccp の組み合わせを含む。透明度情報Itlp は、プレーン領域Aplを描画する際の透明度を規定する。従来技術の欄でも述べたように、ユーザは、メッセージのないプレーン領域Aplよりも、その後景を視認できることを好む場合が多い。ゆえに、透明度情報Itlp は「0」以外の透明度、つまりプレーン領域Aplが透明または半透明に描かれるように選ばれる。
【0037】
方向情報Idrp は、プレーン領域Aplが向いている方向を示す2次元ベクトル(Xdrp ,Ydrp )である。ここで、Xdrp は、表示用の地図における緯度方向の成分であり、−Xdrm に等しい。また、Ydrp は、表示用の地図における経度方向の成分であり、−Ydrm に等しい。つまり、プレーン領域Aplは、メッセージ領域Amsの正反対の方向を向いている。
【0038】
座標列情報Icsp および色情報Iccp の組み合わせの数は、図5(b)に示すような、プレーン領域Aplを構成する部分オブジェクトPOdrp の個数に相当する。ここで、部分オブジェクトPOdrp もまた、部分オブジェクトPOdrm と同様に、プレーン領域Aplを基本的な形状に分解して得られる。ただし、たとえ、同一の指向性オブジェクトOdrを構成するメッセージ領域Amsおよびプレーン領域Aplであっても、両者は必ずしも同じ基本形状に分解できるとは限らない。従って、部分オブジェクトPOdrp は、部分オブジェクトPOdrm と同じ構成になるとは限らない。図4に示す座標列情報Icsp は、座標列情報Icsm と同様に、複数の3次元座標値(Xpp,Ypp,Zpp)、および1つの接続情報を少なくとも含む。これによって、部分オブジェクトPOdrp の外周を規定する。色情報Iccp は、部分オブジェクトPOdrp を塗るための色を特定する。
【0039】
ここで、座標列情報Icsp および色情報Iccp の具体例を挙げる。図3(b)のプレーン領域Aplは、図5(b)に示すように、道路標識の裏側全体である1つの部分オブジェクトPOdrp1で描画可能であると仮定する。以上の仮定下では、図4に示すように、1セットの座標列情報Icsp1および色情報Iccp1が、座標列情報Icsp および色情報Iccp としてプレーン情報Iplに含まれる。座標列情報Icsp1は、部分オブジェクトPOdrp1、つまり道路標識の裏側全体の外周を規定する複数の3次元座標値からなる。色情報Iccp1は、部分オブジェクトPOdrp1を塗るための色を特定する。
【0040】
なお、上述では、メッセージ情報Imsおよびプレーン情報Iplは透明度情報Itlm および透明度情報Itlp を含むとして説明した。しかし、メッセージ情報Imsおよびプレーン情報Iplは、透明度情報Itlm および透明度情報Itlp の代わりに透明度フラグを含んでいても良い。ここで、透明度フラグは、メッセージ情報Imsに設定される場合には、メッセージ領域Amsが不透明に描画されることを規定する値(例えば、「1」)を有する。逆に、プレーン情報Iplに設定される場合には、透明度フラグは、プレーン領域Aplが半透明または透明に描画されることを規定する値(例えば、「0」)を有する。
【0041】
また、上述では、メッセージ情報Imsおよびプレーン情報Iplは、色情報Iccm および色情報Iccp を含むとして説明した。しかし、メッセージ情報Imsおよびプレーン情報Iplは、色情報Iccm および色情報Iccp の代わりに、座標列情報Icsm および座標列情報Icsp で特定される外形内に貼り付けられるテクスチャを含んでいても良い。
また、上述では、道路標識を表す指向性オブジェクトデータDdrについて説明した。しかし、道路標識以外にも、指向性オブジェクトデータDdrは、看板を表すこともできる。看板の場合も、道路標識の場合と同様に、メッセージ領域側にユーザへのメッセージに相当する広告が描かれ、プレーン領域側には何も描かれない。
【0042】
また、図2において、無指向性オブジェクトデータDndr は、1つの無指向性オブジェクトOndr を表す。無指向性オブジェクトOndr は、図6(a)に示すように、上述の指向性オブジェクトOdrのようなメッセージ領域Amsおよびプレーン領域Aplを有さない。つまり、無指向性オブジェクトOndr は、指向性を持っておらず、ユーザの現在位置に関わらず、予め定められた領域がユーザにより視認されるという性質(無指向性)を有する。以上の無指向性オブジェクトOndr の具体例として、図6(a)および(b)には、街区が図示されている。また、図6(a)および(b)の双方には、無指向性オブジェクトOndr を明確にする観点から、指向性オブジェクトOdrの例である道路標識(図3(a)および(b)参照)が描かれている。図6(a)および(b)を参照すれば分かるように、指向性オブジェクトOdrに関しては、ユーザの現在位置に応じて、メッセージ領域Amsおよびプレーン領域Aplの一方が視認される。それに対して、無指向性オブジェクトOndr に関しては、ユーザの現在位置に関わらず、予め定められた領域が視認される。具体的には、図6(b)の無指向性オブジェクトOndr は、図6(a)のそれと比較すると、異なる位置に異なる大きさでユーザにより視認されるが、予め定められた領域が視認されるという点では共通している。
【0043】
以上のような無指向性オブジェクトOndr を表す無指向性オブジェクトデータDndr は、図7に示すようなデータ構造を有する。図7において、無指向性オブジェクトデータDndr は、代表位置情報Ipsn と、無指向性フラグFndr と、いくつかの座標列情報Icsn および色情報Iccn の組み合わせとを有する。
代表位置情報Ipsn は、無指向性オブジェクトOndr の代表位置を特定し、典型的には、緯度座標Xbjn および経度座標Ybjn の組み合わせである。
無指向性フラグFndr は、無指向性オブジェクトデータDndr を特定するための情報である。本実施形態では、無指向性フラグFndr には、「1」という値が予め割り当てられ、この値によって、プロセッサ1は、無指向性オブジェクトデータDndr を、指向性オブジェクトデータDdrと区別する。
【0044】
座標列情報Icsn および色情報Iccn の組み合わせは、指向性オブジェクトデータDdrのそれぞれと同様に、無指向性オブジェクトOndr の形状および色を特定する。座標列情報Icsn は、無指向性オブジェクトOndr を構成する1つの部分オブジェクトの外周を規定する複数の3次元座標値(Xndr ,Yndr ,Zndr )を含む。さらに、座標列情報Icsn は、複数の3次元座標値の接続の仕方を特定する接続情報を含む。色情報Iccn は、無指向性オブジェクトOndr を構成する1つの部分オブジェクトを塗るための色を特定する。
【0045】
なお、無指向性オブジェクトデータDndr は、指向性オブジェクトデータDdrと異なり、透明度情報Itlm および透明度情報Itlp と、方向情報Idrm および方向情報Idrp とに類する情報を有さなくとも良い。なぜなら、無指向性オブジェクトOndr に関しては後景を視認する必要性がなく、描画装置Urnd1は、無指向性オブジェクトOndr を一定の透明度で描画すれば良いからである。以上の観点から、本実施形態では、無指向性オブジェクトOndr の透明度(好ましくは「0」)はレンダリングプログラム21に予め記述される。これにより、無指向性オブジェクトデータDndr は不要な情報を持たなくてよくなるので、相対的に小さな記憶容量の記憶装置4をナビゲーション装置Unvに使用することができる。
【0046】
なお、上述では、無指向性オブジェクトデータDndr は、色情報Iccn を含むとして説明した。しかし、色情報Iccn の代わりに、無指向性オブジェクトデータDndr は、座標列情報Icsn で特定される外形内に貼り付けられるテクスチャを含んでいても良い。また、上述では、街区を表す無指向性オブジェクトデータDndr について説明した。しかし、街区の他にも、無指向性オブジェクトデータDndr は道路や緑地帯を表してもよい。
【0047】
また、図2において、道路ネットワークデータDntは、周知のものでよく、上述の地図データベースDBctによりカバーされる地図上に存在する道路網を、ノードおよびリンクを使って表す。ノードは、道路網における交差点および道路の屈曲点に代表される特徴点を、2次元座標値、つまり経度座標値および緯度座標値の組み合わせで特定する。また、リンクは、どのノードとどのノードとが接続されているかを特定し、さらに、2つの特徴点間の距離、その他必要な情報を持っている。
【0048】
また、図1において、GPS受信機5は、GPS(Global Positioning System) に収容される人工衛星からの情報を受信する。さらに、GPS受信機5は、受信情報を基礎としてナビゲーション装置Unv、つまりユーザの現在位置を算出し、算出した現在位置を示す現在位置情報Icpを生成する。生成された現在位置情報Icpはプロセッサ1に送信される。自律航法センサ群6は、ジャイロコンパスおよび速度センサを含み、ナビゲーション装置Unvが現在進んでいる方向および速度を検出し、検出した進行方向および速度を含む自律航法情報Ianを生成する。生成された自律航法情報Ianはプロセッサ1に送信される。入力装置7は、典型的には、リモートコントローラおよびボタンを含む。表示装置8は、典型的には、液晶ディスプレイからなる。
【0049】
次に、以上の構成を有するナビゲーション装置Unvの動作を説明する。ナビゲーション装置Unvの電源投入後、プロセッサ1は、プログラムメモリ2に記録されているナビゲーション用のナビゲーションプログラム22の実行を開始する。ここで、図8は、ナビゲーションプログラム22に記述されたプロセッサ1の処理手順を示すメインフローチャートである。図8において、プロセッサ1は、GPS受信機5から現在位置情報Icpを受け取り、さらに、自律航法センサ群6からの自律航法情報Ianを受け取る。その後、プロセッサ1は、請求項8における算出部に相当する動作を行って、受信した現在位置情報Icpおよび自律航法情報Ianを使って、ナビゲーション装置Unv、つまりユーザの詳細な現在位置Pdtl を算出する(ステップS11)。ここで、現在位置Pdtl は、(Xdtl ,Ydtl )で表されるとする。Xdtl は、ナビゲーション装置Unvの緯度座標であり、Ydtl はその経度座標であるとする。以上の現在位置Pdtl はワーキングエリア3に格納される。
【0050】
次に、プロセッサ1は、請求項1における第1の取得部および請求項8における取得部に相当する動作を行う。つまり、プロセッサ1は、地図データベースDBctにアクセスして、所定の条件を満たす指向性オブジェクトデータDdrおよび無指向性オブジェクトデータDndr を取り出して(ステップS12)、ワーキングエリア3上に格納する。より具体的には、プロセッサ1は、まず、上述の現在位置Pdtl を基準として範囲α1 を算出する。範囲α1 は、現在位置Pdtl を含む矩形領域、より具体的には、当該現在位置Pdtl の周辺である。また、説明の便宜のため、範囲α1 は、表示装置8で表示される地図の範囲であると仮定する。ステップS12では、以上の範囲α1 にそれぞれの代表位置情報Ipsd が含まれるすべての指向性オブジェクトデータDdrが取り出される。同様に、それぞれの代表位置情報Ipsn が範囲α1 内にあるすべての無指向性オブジェクトデータDndr もステップS12で取り出される。
【0051】
なお、上述のように、ステップS12では、範囲α1 に属する指向性オブジェクトデータDdrおよび無指向性オブジェクトデータDndr がワーキングエリア3に読み出される。しかし、表示画像データDdpを高速に作成する観点から、ステップS12において、それぞれの代表位置情報Ipsd および代表位置情報Ipsn が範囲α1 よりも広い範囲に属する指向性オブジェクトデータDdrおよび無指向性オブジェクトデータDndr が読み出されても良い。これにより、プロセッサ1は、高速にアクセス可能なワーキングエリア3から指向性オブジェクトデータDdrおよび無指向性オブジェクトデータDndr を得ることができる。その結果、プロセッサ1の記憶装置4へのアクセス回数を減らすことができる。
【0052】
次に、プロセッサ1は、プログラムメモリ2に格納されているレンダリングプログラム21を実行して、地図の描画を行う(ステップS13)。より具体的には、プロセッサ1は、表示装置8で今回表示される表示画像データDdpを、ワーキングエリア3に予め準備されているフレームメモリ(図示せず)上に作成する。ここで、図9および図10は、ステップS13におけるプロセッサ1の詳細な処理手順を示すフローチャートである。まず、図9において、プロセッサ1は、ワーキングエリア3上の指向性オブジェクトデータDdrおよび無指向性オブジェクトデータDndr の総個数Nbjを数えて(ステップS21)、ワーキングエリア3に格納する。
次に、プロセッサ1は、図示しないカウンタの値Cbjを初期値である「0」に設定する(ステップS22)。後で説明するステップS24では、ワーキングエリア3内の指向性オブジェクトデータDdrおよび無指向性オブジェクトデータDndr の中から、1つが選択される。値Cbjは、後で説明するステップS24で選択された指向性オブジェクトデータDdrおよび無指向性オブジェクトデータDndr の個数を示す。
【0053】
次に、プロセッサ1は、カウンタの現在の値Cbjが総個数Nbj以下であるか否かを判断する(ステップS23)。プロセッサ1は、Cbj≦Nbjでなければ、ワーキングエリア3内のすべての指向性オブジェクトデータDdrおよび無指向性オブジェクトデータDndr が選択されたとみなして、後述する図10のステップS29を実行する。一方、Cbj≦Nbjであれば、ワーキングエリア3内に未選択の指向性オブジェクトデータDdrまたは無指向性オブジェクトデータDndr が残っているとみなして、ステップS24を実行する。
【0054】
プロセッサ1は、ワーキングエリア3内の指向性オブジェクトデータDdrおよび無指向性オブジェクトデータDndr の中から、いずれか1つを選択する(ステップS24)。
次に、プロセッサ1は、今回選択したものが、指向性オブジェクトデータDdrであるか、無指向性オブジェクトデータDndr であるかを判断する(ステップS25)。より具体的には、ステップS25において、プロセッサ1は、今回選択した指向性オブジェクトデータDdrまたは無指向性オブジェクトデータDndr から、指向性フラグFdrまたは無指向性フラグFndr (図4,図7参照)を取り出す。プロセッサ1は、取り出した値が「0」であれば、今回、指向性オブジェクトデータDdrを選択したと判断する。逆に、「1」であれば、プロセッサ1は、今回、無指向性オブジェクトデータDndr を選択したと判断する。
【0055】
図9のステップS25において指向性オブジェクトデータDdrが選択されたと判断した場合、プロセッサ1は、ステップS26およびS27をスキップして、後述するステップS28を実行する。
一方、無指向性オブジェクトデータDndr を選択したと判断した場合、プロセッサ1は、無指向性オブジェクトOndr の描画処理を行う(ステップS26)。ステップS26は従来からの3次元描画と同様であるが、簡単に説明すると、プロセッサ1は、まず、今回選択した無指向性オブジェクトデータDndr から座標列情報Icsn および色情報Iccn の組み合わせを1つ取り出す。次に、プロセッサ1は、フレームメモリにおいて、取り出した座標列情報Icsn を構成する全ての3次元座標値(Xndr ,Yndr ,Zndr )で囲まれる描画領域を特定する。さらに、プロセッサ1は、フレームメモリにおける今回の描画領域に、取り出した色情報Iccn で特定される色を割り当てる。以上の処理を、プロセッサ1は、座標列情報Icsn および色情報Iccn の全ての組み合わせに対して行う。以上のようにして、プロセッサ1は、フレームメモリに無指向性オブジェクトOndr を1つ描画し、これによって、図12(a)に示すような、無指向性オブジェクトOndr を表す中間画像データを作成する。
【0056】
次に、プロセッサ1は、今回選択した無指向性オブジェクトデータDndr を、ワーキングエリア3上から消去し(図9;ステップS27)、さらに、カウンタの値Cbjを「1」だけインクリメントする(ステップS28)。ステップS28の後、プロセッサ1は、ステップS23に戻る。
【0057】
以上のステップS23〜S28を繰り返すことで、プロセッサ1は、ワーキングエリア3上にある無指向性オブジェクトデータDndr のみに対して描画処理を行って、表示装置8に表示すべき無指向性オブジェクトOndr のみを表す中間画像データを作成していく(ステップS26)。したがって、ステップS23で値Cbj≦総個数Nbjを満足しないと判断された時点で、プロセッサ1は、ワーキングエリア3上のすべての無指向性オブジェクトデータDndr に対して描画処理を行ったことになる。その時の中間画像データは、範囲α1 に属するすべての無指向性オブジェクトOndr を表す。さらに、値Cbj≦総個数Nbjを満足しない判断された時点で、ワーキングエリア3上からすべての無指向性オブジェクトデータDndr が消去され、当該ワーキングエリア3上には指向性オブジェクトデータDdrだけが残っている。
【0058】
さて、ステップS23において値Cbj≦総個数Nbjを満足しないと判断された場合、プロセッサ1は、ワーキングエリア3内の指向性オブジェクトデータDdrの総個数Ndrを計数し(図10;ステップS29)、当該ワーキングエリア3に格納する。さらに、プロセッサ1は、カウンタ(図示せず)の値Cdrを初期値0に設定する(ステップS210)。ここで、値Cdrは、後で説明するステップS212で選択された指向性オブジェクトデータDdrの数を示す。
【0059】
次に、プロセッサ1は、カウンタの値Cdrが総個数Ndr以下であるか否かを判断する(ステップS211)。プロセッサ1は、値Cdr≦総個数Ndrでなければ、ワーキングエリア3内のすべての指向性オブジェクトデータDdrがステップS212で選択されたとみなして、後で説明するステップS216を実行する。一方、値Cdr≦総個数Ndrであれば、ワーキングエリア3内に未選択の指向性オブジェクトデータDdrが残っているとみなして、ステップS212を実行する。
【0060】
プロセッサ1は、ワーキングエリア3の中から、指向性オブジェクトデータDdrを1つ選択し(ステップS212)、これによって、今回描画すべき指向性オブジェクトOdrを決定する。次に、プロセッサ1は、選択した指向性オブジェクトOdrに対して描画処理を行う(ステップS213)。
【0061】
ここで、図11は、指向性オブジェクトデータDdrの描画処理におけるプロセッサ1の詳細な手順を示すフローチャートである。なお、ステップS36の開始時点で、現在、ワーキングエリア3上には、ステップS11で算出された現在位置Pdtl (Xdtl ,Ydtl )が保持されている。図11において、プロセッサ1は、今回描画すべき指向性オブジェクトOdrと、ユーザとの位置関係を解析する。そのために、まず、プロセッサ1は、請求項3における第2の取得部に相当する動作を行う。具体的には、プロセッサ1は、ステップS212で選択した指向性オブジェクトデータDdrから、代表位置情報Ipsd を取り出す(ステップS31)。代表位置情報Ipsd は、図4に示すように、(Xbjd ,Ybjd )で表される。
【0062】
次に、プロセッサ1は、請求項3における第2の算出部に相当する動作を行う。具体的には、プロセッサ1は、ナビゲーション装置Unvの現在位置Pdtl に対する今回描画すべきオブジェクトOdrの方向を規定する基準ベクトルVref (Xref ,Yref )を算出する(図11;ステップS32)。ここで、Xref =Xbjd −Xdtl であり、Yref =Ybjd −Ydtl である。以上の基準ベクトルVref はワーキングエリア3上に格納される。
【0063】
次に、プロセッサ1は、請求項3における第3の取得部に相当する動作を行う。具体的には、プロセッサ1は、選択した指向性オブジェクトデータDdrから、方向情報Idrm および方向情報Idrp を取り出す(ステップS33)。方向情報Idrm は、図4を参照して説明したように、メッセージ領域Amsの方向を示すベクトル(Xdrm ,Ydrm )である。また、方向情報Idrp は、プレーン領域Aplの方向を示すベクトル(Xdrp ,Ydrp )である。
【0064】
次に、プロセッサ1は、請求項3における第3の算出部に相当する動作を行う。具体的には、プロセッサ1は、基準ベクトルVref および方向情報Idrm の内積Cdrm を演算し、さらに、基準ベクトルVref および方向情報Idrp の内積Cdrp を演算する(図11;ステップS34)。ここで、図4を参照して説明したように、Xdrp =−Xdrm であり、Ydrp =−Ydrm であるから、内積Cdrp が正の値であれば、内積Cdrm は負の値を有する。逆に、内積Cdrp が負の値であれば、内積Cdrm は負の値を有する。ステップS34の次に、プロセッサ1は、算出した内積Cdrm が正であるか否かを判定する(ステップS35)。ここで、図12(b)は、図6(a)に示す光景を真上から見たときのものである。ステップS35において内積Cdrm が正と判断された場合には、図12(b)に示すように、方向情報Idrm (白抜きの矢印参照)と基準ベクトルVref (黒塗りの矢印参照)が対向するような関係にある。したがって、ユーザの現在位置Pdtl は、図中の△印で示すように、指向性オブジェクトデータDdrのメッセージ領域Amsを視認できる位置であるとみなせる。かかる場合、プロセッサ1は、請求項1および請求項8における描画部に相当する動作の1つを行う。具体的には、プロセッサ1は、指向性オブジェクトOdrのメッセージ領域Amsを描画する(ステップS36)。
【0065】
ステップS36において、プロセッサ1は、まず、今回選択した指向性オブジェクトデータDdrにおけるメッセージ情報Imsから、透明度情報Itlm を取り出す。さらに、プロセッサ1は、座標列情報Icsm および色情報Iccm の組み合わせを1つ取り出す。次に、プロセッサ1は、フレームメモリにおいて、取り出した座標列情報Icsm を構成する全ての3次元座標値(Xpm,Ypm,Zpm)で囲まれる描画領域を特定する。さらに、プロセッサ1は、今回の描画領域を、取り出した色情報Iccm で特定される色を割り当てる。ここで、本実施形態では、透明度情報Itlm が示す透明度は「0」である。かかる透明度情報Itlm に従って、プロセッサ1は、色情報Iccm をそのまま描画領域に割り当て、これによって、メッセージ領域Amsを構成する1つの部分オブジェクトPOdrm は不透明に描画される。以上の処理を、プロセッサ1は、座標列情報Icsm および色情報Iccm の全ての組み合わせに対して行う。以上のようにして、プロセッサ1は、フレームメモリ上に、指向性オブジェクトOdrのメッセージ領域Amsを描画する。その結果、図13(a)に示すように、図12(a)に示す無指向性オブジェクトOndr 上に、指向性オブジェクトOdrが不透明に描かれた画像を表す中間画像データが作成される。ここで注意を要するのは、メッセージ情報Imsには、透明度が「0」の透明度情報Itlm が設定されるので、図13(a)において、メッセージ領域Amsの後景がユーザにより視認されない中間画像データが作成される。
【0066】
ここで、図13(b)は、図6に示す光景を真上から見たときの他の例である。ステップS35において内積Cdrm が負、つまり内積Cdrp が正であると判断された場合には、方向情報Idrp (白抜きの矢印参照)と基準ベクトルVref (黒塗りの矢印参照)とが対向するような関係にある。したがって、ユーザの現在位置Pdtl は、図中の△印で示すように、指向性オブジェクトデータDdrのプレーン領域Aplを視認できる位置であるとみなせる。かかる場合、プロセッサ1は、請求項1および請求項8における描画部に相当する動作を行う。具体的には、プロセッサ1は、指向性オブジェクトOdrのプレーン領域Aplを描画する(ステップS37)。
【0067】
ステップS37において、プロセッサ1は、まず、今回選択した指向性オブジェクトデータDdrにおけるプレーン情報Iplから、透明度情報Itlp を取り出す。さらに、プロセッサ1は、座標列情報Icsp および色情報Iccp の組み合わせを1つ取り出す。次に、プロセッサ1は、フレームメモリにおいて、取り出した座標列情報Icsp を構成する全ての3次元座標値(Xdrp ,Ydrp ,Zdrp )で囲まれる描画領域を特定する。ところで、フレームメモリにおける今回の描画領域には、既に、無指向性オブジェクトOndr や他の指向性オブジェクトOdrが描かれている場合がある。さらに、透明度情報Itlp は「0」ではないので、プレーン領域Aplは透明または半透明に描かれる必要がある。そのため、プロセッサ1は、今回の描画領域に既に割り当てられている色と、今回取り出した色情報Iccp が示す色とを、透明度情報Itlp に従ってブレンディングする。以上のブレンディングにより、プロセッサ1は、今回の描画領域用の新しい色を得ることができ、当該新しい色を今回の描画領域に割り当てる。これによって、プレーン領域Aplを構成する1つの部分オブジェクトPOdrp が透明に描画される。
【0068】
以上の処理を、プロセッサ1は、座標列情報Icsp および色情報Iccp の全ての組み合わせに行って、フレームメモリ上に、指向性オブジェクトOdrのプレーン領域Aplを描画する。その結果、図14(a)に示すように、図12(a)に示す無指向性オブジェクトOndr 上に、指向性オブジェクトOdrのプレーン領域Aplが透明または半透明に描かれた画像を表す中間画像データが作成される。ここで注意を要するのは、プレーン情報Iplには、「0」以外の透明度を示す透明度情報Itlp が設定されるので、図14(a)に示すように、プレーン領域Aplの後景をユーザが視認できる中間画像データが作成される。
【0069】
以上のステップS36およびS37の一方が終了すると、プロセッサ1は、図11の処理から抜けて、図10のステップS214に進む。そして、プロセッサ1は、今回選択した指向性オブジェクトデータDdrを、ワーキングエリア3上から消去し(ステップS214)、さらに、カウンタの値Cdrを「1」だけインクリメントする(ステップS215)。ステップS215が終了すると、プロセッサ1は、ステップS211に戻る。
【0070】
以上のステップS211〜S215を繰り返すことで、プロセッサ1は、ワーキングエリア3上に取り出された指向性オブジェクトデータDdrに対して描画処理を行って、無指向性オブジェクトOndr 上に、メッセージ領域Amsまたはプレーン領域Aplが合成された中間画像データを作成する(図11;ステップS36またはS37)。したがって、ステップS211において値Cdr ≦総個数Ndr を満足しないと判断された時、フレームメモリ上には、範囲α1 に属するすべての指向性オブジェクトデータDdrが描画されたことになる。その時点で、フレームメモリ上には、範囲α1 に属するすべての無指向性オブジェクトOndr および指向性オブジェクトOdrを表す中間画像データが完成している。中間画像データは、上述から明らかなように、今回表示装置8上で表示すべき地図を表す。さらに、値Cdr≦総個数Ndrを満足しないと判断された時点で、ワーキングエリア3上からすべての指向性オブジェクトデータDdrが消去されている。
【0071】
ステップS211において値Cdr≦総個数Ndrを満足しないと判断された場合、プロセッサ1は、図14(b)または同図(c)に示すように、中間画像データが表す地図上に、現在位置Pdtl を示すインジケータOndを描画する(図10;ステップS216)。ここで、インジケータOndは予め記憶装置4に格納されている。以上のステップS216が終了した時点で、フレームメモリ上には、インジケータOndが合成された3次元地図を表す表示画像データDdpが完成している。ステップS216の後、プロセッサ1は、図9および図10の処理から抜けて、図8のステップS14に進む。そして、プロセッサ1は、フレームメモリ上の表示画像データDdpを表示装置8に転送する(ステップS14)。表示装置8は、受信した表示画像データDdpに従って表示処理を行って、図14(b)または同図(c)に示すような、インジケータOndが合成された3次元地図を、自身の画面上に表示する。
【0072】
以上のステップS14が終了すると、プロセッサ1は、経路探索を行うか否かを判断する(ステップS15)。ステップS15の処理としては、下記が典型的である。つまり、入力装置7(図1参照)の予め定められた部分には、経路探索を開始させるための機能が割り当てられている。かかる部分を、ユーザが操作すると、入力装置7は、経路探索の実行を指示するための指示信号Sstを生成して、プロセッサ1に送信する。
【0073】
プロセッサ1は、ステップS15の実行時に、入力装置7からの指示信号Sstを受信していない場合には、ステップS11に戻って、上述の表示画像データDdpを作成する。一方、プロセッサ1は、ステップS15の実行時に、入力装置7からの指示信号Sstを受信した場合には、経路探索を行う(ステップS16)。経路探索に関しては周知であるが、簡単に説明すると、ユーザの出発地から目的地への最適経路が、ダイクストラ法に代表されるアルゴリズムを基礎としてプロセッサ1により探索される。かかる経路探索時に、図2を参照して説明した道路ネットワークデータDntが使われる。以上の経路探索により、プロセッサ1は、最適経路を表す経路データDrtをワーキングエリア3上で作成する。ここで、経路データDrtは、典型的には、道路ネットワークデータDntを構成するノード列からなる。前述したように、各ノードは、道路網における特徴点を、経度座標値および緯度座標値の組み合わせで特定する。
【0074】
以上のステップS16により経路データDrtを得ると、プロセッサ1は、誘導・案内処理を行って(ステップS17)、ユーザを目的地へと誘導および案内するための誘導用の表示画像データDgdを作成する。
ここで、図15は、誘導・案内におけるプロセッサ1の詳細な処理手順を示すフローチャートである。図15において、プロセッサ1は、請求項8における算出部に相当する動作を行う。具体的には、プロセッサ1は、ステップS11(図8参照)と同様の処理を行って、ユーザの詳細な現在位置Pdtl (Xdtl ,Ydtl )を算出する(ステップS41)。次に、プロセッサ1は、請求項8における取得部に相当する動作を行う。具体的には、プロセッサ1は、ステップS12と同様の処理を行って、地図データベースDBctから、それぞれの代表位置情報Ipsd および代表位置情報Ipsn が範囲α1 に含まれる指向性オブジェクトデータDdrおよび無指向性オブジェクトデータDndr を取り出して(ステップS42)、ワーキングエリア3上に格納する。
【0075】
次に、プロセッサ1は、プログラムメモリ2に格納されているレンダリングプログラム21を実行して、誘導用の地図の描画を行う(ステップS43)。より具体的には、プロセッサ1は、表示装置8で今回表示される誘導用の表示画像データDgdを、ワーキングエリア3に予め準備されているフレームメモリ(図示せず)上に作成する。ここで、図16は、誘導用地図の描画処理におけるプロセッサ1の詳細な手順の後半部分を示すフローチャートである。なお、誘導用地図の描画処理の前半部分に関しては、図9と同様であるため、以下の説明では図9を援用する。図16のフローチャートは、図10のフローチャートと比較して、ステップS216の後にステップS51をさらに含む点で相違する。それ以外に双方のフローチャートの間には相違点はない。それ故、図16において、図10のステップに相当するものには同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
【0076】
図9および図16において、ステップS216が終了した時点で、フレームメモリには、上述の表示画像データDdpと同様の中間画像データが作成されている。また、前述したように、ワーキングエリア3には、経路データDrtが格納されている。ステップS216の終了後、プロセッサ1は、3次元地図上に最適経路Rptを描画する(ステップS51)。ステップS51において、プロセッサ1は、経路データDrtを構成するノード列から、範囲α1 内に存在するノードを取り出す。さらに、プロセッサ1は、フレームメモリ上で、取り出したノードを予め定められた線でつなぎ合わせて、今回の最適経路Rptを描画する。以上のステップS51が終了した時点で、フレームメモリ上には、最適経路RptおよびインジケータOndが合成された地図を表す誘導用の表示画像データDgdが完成している。
【0077】
ステップS51の後、プロセッサ1は、図9および図16の処理から抜けて、図15のステップS44に進む。そして、プロセッサ1は、フレームメモリ上の誘導用の表示画像データDgdを表示装置8に転送する(ステップS44)。表示装置8は、受信した誘導用の表示画像データDgdに従って表示処理を行って、図17(a)または同図(b)に示すような、最適経路RptおよびインジケータOndが合成された地図を、自身の画面上に表示し、これによって、ユーザを目的地まで誘導および案内する。
【0078】
以上のステップS44が終了すると、プロセッサ1は、図15の処理から抜けて、図8のステップS18を実行する。そして、プロセッサ1は、ステップS41で算出した現在位置Pdtl が目的地を特定する緯度座標および経度座標に一致するか否かを判定する(ステップS18)。プロセッサ1は、両者が一致しない場合には、ユーザをまだ目的地まで誘導および案内し終えていないとみなして、ステップS17に戻り、新しい誘導用の表示画像データDgdを作成する。逆に、プロセッサ1は、ステップS18において両者が一致すると判断した場合には、ユーザを目的地まで誘導および案内し終えたとみなして、図8の処理を終了する。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る描画装置Urnd1は、記憶装置4から、指向性オブジェクトデータDdrを取得して、それが表す指向性オブジェクトOdrを描画する。かかる描画時、つまり、ステップS31〜S37(図11参照)において、プロセッサ1は、ユーザの現在位置Pdtl を基礎として、内積Cdrm および内積Cdrp を算出する(ステップS34)。そして、プロセッサ1は、内積Cdrm および内積Cdrp から、現在位置Pdtl と指向性オブジェクトOdrの位置関係を判断し、メッセージ領域Amsを描画するか、プレーン領域Aplを描画するかを決定する。
【0080】
ここで、前述のように、メッセージ領域Amsに描かれるメッセージはユーザにより確実に視認される必要がある。それゆえ、プロセッサ1は、透明度情報Itlm として記述されている透明度「0」に従って、図13(a)に示すようにメッセージ領域Amsを不透明に描画する(ステップS36)。逆に、プロセッサ1は、メッセージを持たないプレーン領域Aplを、透明度情報Itlp として記述されている「0」以外の透明度に従って、図14(a)に示すように、透明または半透明に描画する(ステップS37)。その結果、ユーザが、表示装置8上で地図を見たときに、プレーン領域Aplの後景を視認することができる。以上のように、描画装置Urnd1は、ユーザの現在位置Pdtl に基づいて、指向性オブジェクトDdrの描画形式を変更できるので、より見やすい3次元地図を提供することが可能になる。
【0081】
なお、上述では、描画装置Urnd1は、メッセージ領域Amsおよびプレーン領域Aplを互いに異なる形式で描画するために、当該メッセージ領域Amsを不透明に描画し、当該プレーン領域Aplを透明または半透明に描画していた。以上の描画形式の他にも、描画装置Urnd1は、指向性オブジェクトデータDdrのある領域を不透明に描画し、他の領域をワイヤーフレームで描画するようにしても良い。かかる他の描画形式は、ビルに代表される建造物を表す指向性オブジェクトデータDdrに適用されることが好ましい。
【0082】
ここで、図18は、指向性オブジェクトOdrの他の例としての建造物を示している。図18(a)において、指向性オブジェクトOdrとしての建造物への出入り口は、当該建造物の東側の道路側にある。また、建造物の西側には、特に図示されていないが、他の建造物があり、出入り口がない。ここで、指向性オブジェクトOdrにおいて出入り口がある領域を、本実施形態では、正面領域Aftと称する。また、指向性オブジェクトOdrにおいて出入り口がない領域を背面領域Arrと称する。以上の指向性オブジェクトOdrに関しては、ユーザの現在位置が指向性オブジェクトOdrの正面領域Aftと対向するような位置の場合、つまり当該ユーザの現在位置が図中の△印で示すような位置の場合、描画装置Urnd1は、図18(b)に示すように、指向性オブジェクトOdrとしての建造物を、ステップS36と同様に不透明に描画する。逆に、ユーザの現在位置が指向性オブジェクトOdrの背面領域Arrと対向するような位置の場合、つまり、当該ユーザの現在位置が図18(a)中の▲印で示すような位置の場合、描画装置Urnd1は、指向性オブジェクトOdrとしての建造物を描画する際、ステップS37の代わりに、当該建造物の外形だけを予め定められた線でつなぐ。つまり、描画装置Urnd1は、図18(c)に示すように、指向性オブジェクトOdrをワイヤフレームだけで描画する。
【0083】
次に、本発明の第2の実施形態に係る描画装置Urnd2について説明する。描画装置Urnd2のハードウェア構成は、描画装置Urnd1のそれと同様である。それ故、以下の説明では図1を援用し、描画装置Urnd2において、描画装置Urnd1の構成に相当するものの説明を省略する。ただし、レンダリングプログラム21は、後で説明するように、第1の実施形態のそれらと比較して、一部異なるステップを含む。
【0084】
以上のような描画装置Urnd2は、第1の実施形態で説明したナビゲーション装置Unvに組み込まれる。ただし、描画装置Urnd2の記憶装置4に格納されるのは、描画装置Urnd1のそれと同様である。それ故、以下の説明では、図2を援用し、描画装置Urnd2の記憶装置4において、描画装置Urnd1のそれに格納されているデータに相当するものには同一の参照符号を付けて、それぞれの説明を省略する。
【0085】
以上の記憶装置4において、指向性オブジェクトデータDdrは好ましくは、図19に示すように、第1の実施形態のそれと比較して、透明度情報Itlm を含まない点と、透明度情報Itlp に代えて大きさ情報Iszp を含む点とで相違する。それ以外に、両オブジェクトデータDdrの間には相違点はない。それ故、図19において、図4に示す情報に相当するものには同一の参照符号を付けて、それぞれの説明を省略する。大きさ情報Iszp は、プレーン領域Apl側を描画する際における指向性オブジェクトOdrの大きさを示す。前述したように、メッセージ領域Amsはユーザにより明確に視認される必要があるが、ユーザは、プレーン領域Aplを視認するよりはむしろ、オブジェクトOdrの後景を視認したい場合が多い。以上の観点から、大きさ情報Iszp には、プレーン領域Aplがメッセージ領域Amsよりも小さく描画されるような値が予め設定される。より好ましくは、大きさ情報Iszp には、メッセージ領域Amsの大きさに対するプレーン領域Aplの大きさの比率が設定される。これによって、指向性オブジェクトデータDdrには、メッセージ領域Amsの大きさを示す情報が不要となるので、記憶装置4の記憶容量を有効利用することができる。なお、指向性オブジェクトデータDdrは、図19に示すようなデータ構造に限らず、メッセージ領域Amsの大きさ情報をさらに含んでいても構わない。
【0086】
次に、以上の構成を有するナビゲーション装置Unvの動作を説明する。まず、本実施形態に係るナビゲーション装置Unvは、第1の実施形態の処理(図8〜図11,図15,図16)と比較すると、図11のステップS36およびS37の代わりに、図20に示すようにステップS61およびS62を行う点でのみ相違する。それ故、以下の説明では、図8〜図10、図15および図16を援用し、本実施形態に係るナビゲーション装置Unvの処理において、第1の実施形態のものに相当するステップの説明を省略する。図20において、プロセッサ1は、ステップS35において、内積Cdrm が正である場合には、請求項1および請求項8における描画部に相当する動作の1つを行う。具体的には、プロセッサ1は、指向性オブジェクトOdrのメッセージ領域Amsを描画する(ステップS61)。
【0087】
ステップS61において、プロセッサ1は、まず、今回選択した指向性オブジェクトデータDdrにおけるメッセージ情報Imsから、座標列情報Icsm および色情報Iccm の組み合わせを1つ取り出す。次に、プロセッサ1は、フレームメモリにおいて、取り出した座標列情報Icsm を構成する全ての3次元座標値(Xpm,Ypm,Zpm)で囲まれる描画領域を特定する。さらに、プロセッサ1は、今回の描画領域を、取り出した色情報Iccm で特定される色を割り当てる。これによって、メッセージ領域Amsを構成する1つの部分オブジェクトPOdrm は描画される。以上の処理を、プロセッサ1は、座標列情報Icsm および色情報Iccm の全ての組み合わせに対して行う。以上のようにして、プロセッサ1は、フレームメモリ上に、指向性オブジェクトOdrのメッセージ領域Amsを描画する。その結果、図13(a)に示すような指向性オブジェクトOdrを表す中間画像データが作成される。なお、ステップS61において、メッセージ情報Imsに、メッセージ領域Amsの大きさを示す情報が含まれる場合、プロセッサ1は、その情報に従って、メッセージ領域Amsの大きさを調整しても良い。
【0088】
それに対して、ステップS35において内積Cdrm が負であると判断された場合には、プロセッサ1は、請求項1および請求項8における描画部に相当する動作を行う。具体的には、プロセッサ1は、指向性オブジェクトOdrのプレーン領域Aplを描画する(ステップS62)。
【0089】
ステップS62において、プロセッサ1は、まず、今回選択した指向性オブジェクトデータDdrにおけるプレーン情報Iplから、座標列情報Icsp および色情報Iccp の組み合わせを1つ取り出す。次に、プロセッサ1は、フレームメモリにおいて、取り出した座標列情報Icsp を構成する全ての3次元座標値(Xdrp ,Ydrp ,Zdrp )で囲まれる描画領域を特定する。さらに、プロセッサ1は、今回の描画領域を、取り出した色情報Iccp で特定される色を割り当てる。これによって、プレーン領域Aplを構成する1つの部分オブジェクトPOdrp が描画される。以上の処理を、プロセッサ1は、座標列情報Icsp および色情報Iccp の全ての組み合わせに対して行って、フレームメモリ上に、指向性オブジェクトOdrのプレーン領域Aplを描画する。その後、プロセッサ1は、プレーン情報Iplから大きさ情報Iszp を取り出して、大きさ情報Iszp に従って、プレーン領域Aplの大きさを調整する。その結果、図21に示すように、指向性オブジェクトOdrのメッセージ領域Amsよりも小さなプレーン領域Aplを表す中間画像データが作成される。このように、プレーン領域Aplを小さく描画することで、ユーザは、その後景を視認できる中間画像データが作成される。描画装置Urnd2もまた、ユーザの現在位置Pdtl に基づいて、指向性オブジェクトDdrの描画形式を変更できるので、より見やすい3次元地図を提供することが可能になる。
【0090】
なお、上述の第2の実施形態では、メッセージ領域Amsとプレーン領域Aplの大きさを変更するようにしていた。しかし、これに限らず、メッセージ領域Amsとプレーン領域Aplのそれぞれの形状または色を変更するようにしても良い。
【0091】
また、上述の各実施形態では、描画装置Urnd1およびUrnd2は、ユーザの現在位置が指向性オブジェクトOdrに対向しているか否かに基づいて、描画形式を変更していた。具体的には、描画装置Urnd1およびUrnd2は、ユーザが指向性オブジェクトOdrの前方側にいる場合と、後方側にいる場合とで、描画形式を変更していた。しかし、これに限らず、描画装置Urnd1およびUrnd2は、ユーザが指向性オブジェクトOdrに対して予め定められた位置にいる場合と、そうでない場合とで、描画形式を変更しても良い。
【0092】
また、以上の各実施形態では、描画装置Urnd1およびUrnd2がナビゲーション装置Unvに組み込まれる例について説明した。しかし、これに限らず、描画装置Urnd1およびUrnd2は、カーレースのゲームのように3次元地図を表示するゲーム機器に組み込まれても良い。描画装置Urnd1およびUrnd2がゲーム機器に組み込まれた場合、移動体であるユーザの現在位置を算出する必要はない。つまり、ユーザの現在位置を算出するために必要となるGPS受信機5および自律航法センサ群6は、必ずしも、描画装置Urnd1およびUrnd2に必須の構成とはならない。
【0093】
また、以上の各実施形態では、描画装置Urnd1およびUrnd2は、ステップS12およびステップS42において、指向性オブジェクトデータDdrを、ナビゲーション装置Unvが内部に備える記憶装置4から取得するとして説明した。しかし、これに限らず、描画装置Urnd1およびUrnd2は、インターネットに代表されるネットワークを通じて、ナビゲーション装置Unvの外部から指向性オブジェクトデータDdrをワーキングエリア3上に格納し、ステップS12およびステップS42以降の処理を行っても良い。つまり、記憶装置4は、必ずしも、描画装置Urnd1およびUrnd2の必須の構成とはならない。
【0094】
また、以上の各実施形態では、描画装置Urnd1およびUrnd2により作成された表示画像データDdpおよび誘導用の表示画像データDgdは、ナビゲーション装置Unvが内部に有する表示装置8に転送されるとして説明した。しかし、これに限らず、描画装置Urnd1およびUrnd2は、作成した表示画像データDdpおよび誘導用の表示画像データDgdを、上記ネットワークを通じて、遠隔にあるナビゲーション装置に送信し、当該遠隔のナビゲーション装置が表示画像データDdpおよび誘導用の表示画像データDgdに対して表示処理を行うようにしてもよい。つまり、表示装置8は、必ずしも、描画装置Urnd1およびUrnd2の必須の構成とはならない。
【0095】
また、以上の各実施形態で説明したレンダリングプログラム21およびナビゲーションプログラム22は、CD−ROMに代表される記録媒体に記録された状態で配布されても良いし、上記ネットワークを介して配布されても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る描画装置Urnd1、または第2の実施形態に係る描画装置Urnd2のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】図1の記憶装置4に格納される地図データベースDBctおよび道路ネットワークデータDntを示す図である。
【図3】指向性オブジェクトOdrを説明するための図である。
【図4】図3に示す指向性オブジェクトOdrを表す指向性オブジェクトデータDdrのデータ構造を示す図である。
【図5】図3に示すメッセージ領域Amsおよびプレーン領域Aplを詳細に説明するための図である。
【図6】無指向性オブジェクトOndr を説明するための図である。
【図7】図6に示す無指向性オブジェクトOndr を表す無指向性オブジェクトデータDndr のデータ構造を示す図である。
【図8】図1に示すナビゲーションプログラム22に記述されたプロセッサ1の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS13および図15のステップS43の詳細な処理手順の前半部分を示すフローチャートである。
【図10】図8のステップS13の詳細な処理手順の後半部分を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップS213の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図9のステップS26で描画される無指向性オブジェクトOndr 等を示す図である。
【図13】図11のステップS36で描画されるメッセージ領域Ams等を示す図である。
【図14】図11のステップS37で描画されるプレーン領域Apl等を示す図である。
【図15】図8のステップS17の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図16】図15のステップS43の詳細な処理手順の後半部分を示すフローチャートである。
【図17】図16のステップS51で描画される最適経路Rptを示す図である。
【図18】指向性オブジェクトOdrの他の例を示す図である。
【図19】図3に示す指向性オブジェクトOdrを表す指向性オブジェクトデータDdrの他のデータ構造を示す図である。
【図20】図10のステップS213の他の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図21】図20のステップS62で描画されるプレーン領域Aplを示す図である。
【図22】従来のナビゲーション装置における問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
Unv…ナビゲーション装置
Urnd1,Urnd2…描画装置
1…CPU
2…ROM
3…RAM
4…記憶装置
5…GPS受信機
6…自律航法センサ群
7…入力装置
8…表示装置
Claims (11)
- 表示装置で表示される地図を表す表示画像データを作成する描画装置であって、
指向性オブジェクトデータを外部から取得する第1の取得部を備え、
前記指向性オブジェクトデータは、地図を構成する要素である指向性オブジェクトを表し、当該指向性オブジェクトは、異なる方向を向いている複数の領域を有しており、
前記複数の領域は、ユーザに向けたメッセージが描かれているメッセージ領域と、メッセージのないプレーン領域とを含み、
前記指向性オブジェクトデータは、前記メッセージ領域がどの方向を向いているかを示すメッセージ領域の方向情報と、前記プレーン領域がどの方向を向いているかを示すプレーン領域の方向情報とを含み、
ユーザの現在位置と、前記各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報との関係に基づいて、当該指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる透明度で描画して、表示画像データを作成する描画部を備え、
前記描画部は、ユーザの現在位置に対する前記指向性オブジェクトの方向と前記メッセージ領域の方向情報が示す方向とが対向する場合に前記メッセージ領域を描画し、ユーザの現在位置に対する前記指向性オブジェクトの方向と前記プレーン領域の方向情報が示す方向とが対向する場合に前記プレーン領域を透明又は半透明で描画することを特徴とする、描画装置。 - 前記指向性オブジェクトデータは、前記指向性オブジェクトが存在する代表位置を示す代表位置情報を含んでおり、
前記描画部は、
前記第1の取得部で取得された指向性オブジェクトデータから、代表位置情報を取得する第2の取得部と、
予め算出されているユーザの現在位置と、前記第2の取得部で取得された代表位置情報に基づいて、当該ユーザの現在位置を基準として、前記指向性オブジェクトの方向を規定する基準ベクトルを算出する第2の算出部と、
前記第1の取得部で取得された前記指向性オブジェクトデータから前記メッセージ領域の方向情報と前記プレーン領域の方向情報を取得する第3の取得部と、
前記第2の算出部で算出された基準ベクトルと、前記第3の取得部で取得された前記メッセージ領域の方向情報と前記プレーン領域の方向情報の内積をそれぞれ算出する第3の算出部とを含み、
前記第3の算出部で算出された内積の極性に応じて、前記各領域を描画して、表示画像データを作成する、請求項1に記載の描画装置。 - 前記描画部は、前記メッセージ領域を不透明に描画し、前記プレーン領域をワイアーフレーム形式で描画することを特徴とする、請求項1又は2に記載の描画装置。
- 前記描画部は、前記メッセージ領域と前記プレーン領域とを互いに異なる大きさで描画することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の描画装置。
- 表示装置で表示される地図を表す表示画像データを作成する描画方法であって、
指向性オブジェクトデータを外部から取得する第1の取得ステップと、
前記指向性オブジェクトデータは、前記地図を構成する要素である指向性オブジェクトを表し、当該指向性オブジェクトは、異なる方向を向いている複数の領域を有しており、
前記複数の領域は、ユーザに向けたメッセージが描かれているメッセージ領域と、メッセージのないプレーン領域とを含み、
前記指向性オブジェクトデータは、前記メッセージ領域がどの方向を向いているかを示すメッセージ領域の方向情報と、前記プレーン領域がどの方向を向いているかを示すプレーン領域の方向情報とを含み、
ユーザの現在位置と、前記各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報との関係に 基づいて、当該指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる透明度で描画して、前記表示画像データを作成する描画ステップとをさらに備え、
前記描画ステップで、ユーザの現在位置に対する前記指向性オブジェクトの方向と前記メッセージ領域の方向情報が示す方向とが対向する場合に前記メッセージ領域を描画し、ユーザの現在位置に対する前記指向性オブジェクトの方向と前記プレーン領域の方向情報が示す方向とが対向する場合に前記プレーン領域を透明又は半透明で描画することを特徴とする、描画方法。 - 表示装置で表示される地図を表す表示画像データを作成するためのコンピュータプログラムであって、
指向性オブジェクトデータを外部から取得する第1の取得ステップと、
前記指向性オブジェクトデータは、前記地図を構成する要素である指向性オブジェクトを表し、当該指向性オブジェクトは、異なる方向を向いている複数の領域を有しており、
前記複数の領域は、ユーザに向けたメッセージが描かれているメッセージ領域と、メッセージのないプレーン領域とを含み、
前記指向性オブジェクトデータは、前記メッセージ領域がどの方向を向いているかを示すメッセージ領域の方向情報と、前記プレーン領域がどの方向を向いているかを示すプレーン領域の方向情報とを含み、
ユーザの現在位置と、前記各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報との関係に基づいて、当該指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる透明度で描画して、前記表示画像データを作成する描画ステップとをさらに備え、
前記描画ステップで、ユーザの現在位置に対する前記指向性オブジェクトの方向と前記メッセージ領域の方向情報が示す方向とが対向する場合に前記メッセージ領域を描画し、ユーザの現在位置に対する前記指向性オブジェクトの方向と前記プレーン領域の方向情報が示す方向とが対向する場合に前記プレーン領域を透明又は半透明で描画することを特徴とする、コンピュータプログラム。 - 記録媒体に記録される、請求項6に記載のコンピュータプログラム。
- ユーザを誘導および案内するためのナビゲーション装置であって、
ユーザの現在位置を算出する算出部と、
指向性オブジェクトデータを外部から取得する取得部と、
前記指向性オブジェクトデータは、前記地図を構成する要素である指向性オブジェクトを表し、当該指向性オブジェクトは、異なる方向を向いている複数の領域を有しており、
前記複数の領域は、ユーザに向けたメッセージが描かれているメッセージ領域と、メッセージのないプレーン領域とを含み、
前記指向性オブジェクトデータは、前記メッセージ領域がどの方向を向いているかを示すメッセージ領域の方向情報と、前記プレーン領域がどの方向を向いているかを示すプレーン領域の方向情報とを含み、
前記算出部で算出されたユーザの現在位置と、前記各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報との関係に基づいて、当該指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる透明度で描画して、今回表示すべき地図を表す表示画像データを作成する描画部と、
前記描画部で作成された表示画像データに従って、地図を表示する表示部とをさらに備え、
前記描画部は、ユーザの現在位置に対する前記指向性オブジェクトの方向と前記メッセージ領域の方向情報が示す方向とが対向する場合に前記メッセージ領域を描画し、ユーザの現在位置に対する前記指向性オブジェクトの方向と前記プレーン領域の方向情報が示す方向とが対向する場合に前記プレーン領域を透明又は半透明で描画する、ナビゲーション装置。 - 表示装置が地図を表示して、ユーザを誘導および案内するためのナビゲーション方法であって、
ユーザの現在位置を算出する算出ステップと、
指向性オブジェクトデータを外部から取得する取得ステップと、
前記指向性オブジェクトデータは、前記地図を構成する要素である指向性オブジェクトを表し、当該指向性オブジェクトは、異なる方向を向いている複数の領域を有しており、
前記複数の領域は、ユーザに向けたメッセージが描かれているメッセージ領域と、メッセージのないプレーン領域とを含み、
前記指向性オブジェクトデータは、前記メッセージ領域がどの方向を向いているかを示すメッセージ領域の方向情報と、前記プレーン領域がどの方向を向いているかを示すプレーン領域の方向情報とを含み、
前記算出ステップで算出されたユーザの現在位置と、前記各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報との関係に基づいて、当該指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる透明度で描画して、今回表示すべき地図を表す表示画像データを作成する描画ステップと、
前記描画ステップで作成された表示画像データを、前記表示装置に転送する転送ステップとをさらに備え、
前記描画ステップで、ユーザの現在位置に対する前記指向性オブジェクトの方向と前記メッセージ領域の方向情報が示す方向とが対向する場合に前記メッセージ領域を描画し、ユーザの現在位置に対する前記指向性オブジェクトの方向と前記プレーン領域の方向情報が示す方向とが対向する場合に前記プレーン領域を透明又は半透明で描画し、
前記表示装置は、前記転送ステップで転送された表示画像データに表示処理を行って、地図を表示する、ナビゲーション方法。 - 表示装置が地図を表示して、ユーザを誘導および案内するためのナビゲーション用のコンピュータプログラムであって、
ユーザの現在位置を算出する算出ステップと、
指向性オブジェクトデータを外部から取得する取得ステップとを備え、
前記指向性オブジェクトデータは、前記地図を構成する要素である指向性オブジェクトを表し、当該指向性オブジェクトは、異なる方向を向いている複数の領域を有しており、
前記複数の領域は、ユーザに向けたメッセージが描かれているメッセージ領域と、メッセージのないプレーン領域とを含み、
前記指向性オブジェクトデータは、前記メッセージ領域がどの方向を向いているかを示すメッセージ領域の方向情報と、前記プレーン領域がどの方向を向いているかを示すプレーン領域の方向情報とを含み、
前記算出部で算出されたユーザの現在位置と、前記各領域がどの方向を向いているかを示す方向情報との関係に基づいて、当該指向性オブジェクトが有する各領域を、異なる透明度で描画して、今回表示すべき地図を表す表示画像データを作成する描画ステップと、
前記描画ステップで作成された表示画像データを、前記表示装置に転送する転送ステップとをさらに備え、
前記描画ステップで、ユーザの現在位置に対する前記指向性オブジェクトの方向と前記メッセージ領域の方向情報が示す方向とが対向する場合に前記メッセージ領域を描画し、ユーザの現在位置に対する前記指向性オブジェクトの方向と前記プレーン領域の方向情報が示す方向とが対向する場合に前記プレーン領域を透明又は半透明で描画し、
前記表示装置は、前記転送ステップで転送された表示画像データに表示処理を行って、地図を表示する、コンピュータプログラム。 - 記録媒体に記録される、請求項10に記載のコンピュータプログラム。
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