JP3908851B2 - ポリエステル太細マルチフィラメント - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は防透け性、紫外線遮蔽性に加えて白色(増白)染色での柄出性とドレープ性に優れたポリエステル太細マルチフィラメント、編織物及びその製造法に係り、詳しくは、中近東などの地域のトーブやターバン等の衣料に使用するのに好適な編織物並びに及びこのような編織物の製造に適したポリエステル太細マルチフィラメント及びその効率的な製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アラブ諸国では、トーブやターバンなどの民族衣装が古くから多くの人々に着用されている。近年これらの国々においても、衣装の高機能化や高級感化が強く要求されいる。例えば、裏地をつけなくても下着のラインが見えない防透け性や、強い日光や紫外線を遮蔽する紫外線遮蔽性などの機能が要求されるようになってきている。そして、これらの衣装は、そのほとんどが白色で使用されているが、白色染色されていながらもプレーンなものでなく絣調の模様に柄出しされたものが好まれている。更には、布帛の風合いも、かさかさしたドライ調のものではなく、しなやかさと心地よい滑らかさとを合わせもつた「まったり調」のドレープな風合いが好まれている。
【0003】
ところが、これらの要求に対して、機能と高級感を共に満足する布帛やそれを提供するポリエステルマルチフィラメントは未だ得られていないのが現状である。
従来から、衣料の透けを防止する防透け糸や紫外線遮蔽性などの機能の改良を目的としたポリエステルマルチフィラメントとして、無機金属酸化物微粒子を高濃度に含有させたマルチフィラメントを用いることが知られている。
【0004】
また、これらのマルチフィラメントが編織されるに際してのガイド類の摩耗性を改良する目的で、構成フィラメントを鞘芯型複合フィラメントとして芯成分にのみに無機金属酸化物微粒子を高濃度に含有させたマルチフィラメントが、例えば特開昭55−158331号公報、特許第2678110号公報などに開示されている。しかし、この公知鞘芯型複合マルチフィラメントから得られる布帛は防透け性や紫外線遮蔽性は優れているものの、単独で布帛にしてもドレープ性などの高級感が欠けている。このために、この種の鞘芯型複合マルチフィラメントは他の繊維と複合するなどによって使用されているのが現状である。
【0005】
布帛に霜降り調の模様の高級感を与えることを目的として、フィラメントの長さ方向に太細を有するいわゆるシックアンドシン(太細)マルチフィラメントが例えば特公平6−94609、特開昭57−117610号公報、特開昭和57−199813号公報などに開示されている。
シックアンドシンマルチフィラメントは、フィラメントの長さ方向に存在するシック部未延伸部の染料吸着性がシン部延伸部のそれよりも大きいために、布帛にすると染色の濃淡差が霜降り調の模様となって、いわゆる「パターン」が表現されるので、これが高級感を与えているといわれている。このパターンは、フィラメント一本一本についてのシック部の長さと、フィラメントが集合してマルチフィラメントになった際のシック部の集合状態によって、異なったパタ─ンの模様となる。例えば特公平6−94609号公報などで開示されている構成単糸フィランメントにおいてシック部が短くかつマルチフィラメントにおいてもシック部がランダムに分散している場合は、フィラメント分散型と称されるが、得られる布帛はパターンが見えにくく無地調のものになる(例えば、特公平6−94609号公報など)。他方、例えば特開昭57−117610号公報、同57−199813号公報なとで開示されるシックアンドシックヤ─ンのように、フィラメントにおいてシック部が長く、かつマルチフィラメントにおいて分散が不均一でシック部が集合している場合は、集中型と称され、布帛はパターンが絣調のものとなる。
【0006】
シックアンドシンヤーンの布帛を有彩色で染色して使用する場合は、前者の無地調でも高級感が得られるが、白色に増白して使用する場合は、後者のパターンでなければ布帛に絣調の高級感のある模様を発現させることができない。
無機金属酸化物微粒子を高濃度に含有させたフィラメントで構成した太細ポリエステルマルチフィラメントとする提案も特開昭59−94617号、特開昭62−85021号、特開平6−81212号、特許第2,589,226号公報などに開示されている。しかし、よく知られているように、無機金属酸化物微粒子を高濃度に含有させたフィラメントは、シック部の長いパターンを得ることが難しい。例えば、特許第2,589,226号公報には無機金属酸化物微粒子を高濃度に含有させたフィラメントを延伸して、太細ポリエステルマルチフィラメントを得ることが開示されている。しかし、この既知特許の開示によればシック部が極めて短く、且つマルチフィラメント間で均一に分散しすぎているため、白色染色ではパターンが見えにくく、無地調になるという問題がある。前述したように、無機金属酸化物微粒子を高濃度に含有させたフィラメントを延伸した太細ポリエステルマルチフィラメントからなる布帛の風合いは、かさかさしたいわゆるドライタッチであり、ドレープ性に欠けるものであった。
【0007】
特開昭61−108735号公報には、芯成分に無機金属酸化物微粒子を高濃度に含有させた鞘芯型複合フィラメントからなり、溶融紡糸時の紡糸ドラフト(紡糸引取速度/紡糸口金孔内線速度)を通常紡糸時より2倍以上大きくすることと、紡糸口金下で冷却液体の粒子を糸条に接触させるなどといった特殊な紡糸方法で繊維軸方向に太さ斑を有する未延伸糸を製造して、その後仮撚加工にかけてフィラメントの未延伸糸の有する太さ斑を利用して、単糸切れや太さ斑を有する木綿または麻に似た外観と風合を有する仮より加工糸であって、シックアンドシン糸の独特の絣調のパターンや、ドレープ性などの風合いの編織物を可能とする延伸時に不規則に形成される未延伸こぶ部を形成したフィラメントで構成されるシックアンドシンフィラメントではない。
【0008】
従来、ポリエステル太細マルチフィラメントの製造には専ら低速紡糸一延伸の2段階工程により製造されてきた。ポリエステル太細マルチフィラメントの製造は、従来より低速紡糸一延伸の2段階工程を経て製造されてきた。この2段階工程は、巻形態がパーン状であり高々2〜3Kgの巻重量であることと、製造に人手を要することから経済的に不利である。近年の「円高」や「価格破壊」の時代にあって、これらの高級感素材とはいえ、高度のコスト競争力が要求されるようになった。
【0009】
コスト削減には、従来の2段階工程を連続化した直接紡糸延伸法が一般には知られており、汎用糸の製造には既に工業化されている。
また後加工の経済性から要請されるのは、糸のパッケージのラージ化(巻重量増)である。巻重量が小さいほどクリールすなわち糸準備の回数が多くなって人手を多くとり、不経済であるからである。
【0010】
したがって、近年のポリエステル太細マルチフィラメントのような高級感衣料用繊維素材といえども、高度のコスト競争力が要求されており、汎用のポリエステルフィラメントと同様に紡糸直接延伸巻き取り法による製造とラージパッケージ化(巻重量増)によって、原糸製造並びに後加工の経済性を高めることが要請されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、芯成分に無機金属酸化物微粒子を高濃度に含有させた鞘芯型複合フィラメントの問題を解決して、防透け性、紫外線遮蔽性に加えて白色染色での柄出し性とドレープ性に優れた布帛を提供しうるポリエステル太細ポリエステルマルチフィラメントならびに編織物を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、ポリエステル太細マルチフィラメントを大型パッケージで製造できる改良された直接紡糸延伸法によるポリエステル太細マルチフィラメントの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、芯成分に無機金属酸化物微粒子を高濃度に含有させた鞘芯型複合フィラメントから構成され、防透け性、紫外線遮蔽性に加えて白色染色での柄出し性とドレープ性に優れたポリエステル太細ポリエステルマルチフィラメントおよびその編織物が独特の直接紡糸延伸法により得られることを見いだし本発明の課題を解決した。
【0014】
本発明の目的は、芯成分が無機酸化物微粒子を5〜20重量%含有する鞘芯型複合フィラメントから構成されるポリエステル太細マルチフィラメントであって、該マルチフィラメントの乾熱収縮応力の極値温度が80℃〜120℃で、且つ繊度変動値U%が2%〜8%であることを特徴とするポリエステル太細マルチフィラメントによって達成される。
【0015】
本発明は、上記で特定されるポリエステル太細マルチフィラメントを一部または全部に用いることによって防透け性、紫外線遮蔽性に加えて白色染色での柄出し性とドレープ性に優れたポリエステル繊維編織物の製造を可能にした。
本発明によれば、前記のポリエステル太細マルチフィラメントは、芯成分が無機酸化物微粒子を5〜20重量%含有する鞘芯型複合フィラメントから構成されるマルチフィラメントを溶融紡糸した後、未延伸糸を一旦巻取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法において、マルチフィラメントの延伸領域を2段とし、1段目を加熱第1ゴデットロールと加熱第2ゴデットロール間で延伸して、該マルチフィラメントの繊度変動値U%を8%以上となし、次いで2段目を加熱第2ゴデットロールと非加熱第3ゴデットロール間で延伸して、該マルチフィラメントの繊度変動値U%を2%〜8%とすることを特徴とする方法によって製造することができる。
【0016】
以下に、本発明のポリエステル太細ポリエステルマルチフィラメントおよびその編織物及び直接紡糸延伸法の実施態様について詳述する。
本発明のポリエステル太細マルチフィラメントを構成する鞘芯型複合フィラメントは、芯成分が無機酸化物微粒子を5〜20重量%含有していることが必要である。
【0017】
鞘芯型複合フィラメントは、鞘成分と芯成分からなり公知の複合紡糸法によって得られる鞘芯型のフィラメントである。鞘成分に包まれた芯成分は、鞘成分と同心であってもよく、また偏心していてもよいが、一般的には同心のものが用いられる。鞘成分と芯成分の組成は、同一のポリエステルでもよいし、いずれか一方に共重合ポリエステルを用いることもできる。
【0018】
鞘成分、芯成分に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート単位を85モル%以上含むものである。共重合成分としては、例えば、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタリンカルボン酸などのジカルボン酸、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコールなどのグリコール類、5ーナトリュウムスルホイソフタル酸などを例示的に挙げることができる。これらのポリエステルには、本発明の目的を損なわない範囲で熱や光に対する安定剤、帯電防止剤などの添加成分を含有していてもよい。
【0019】
鞘成分と芯成分の重量比は1対4〜4対1の範囲が好ましい。鞘成分の比率が1対4を下回ると、紡糸時に芯成分がフィラメントの表面に露出し、安定した鞘芯形状が得難くなる。好ましい鞘芯比は、1対2〜2対1である。より好ましくは、1対1である。
本発明の鞘芯型複合フィラメントは、芯成分に無機酸化物微粒子を5〜20重量%含有することが必要である。本発明の鞘芯型複合フィラメントに含有する無機酸化物微粒子の平均含有率は、3〜15重量%であること好ましい。この平均含有率が高い程、防透け性や紫外線遮蔽性が優れたものとなる。しかし、含有率の増加に伴い、鞘芯型複合フィラメントの強度などの力学的物性が低下する。好ましい平均含有率は、3〜10重量%である。
【0020】
本発明において使用される無機酸化物微粒子としては、防透け性や紫外線遮蔽性を示す微粒子で、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシュウム、硫酸バリュウム、タルク、カオリンなどを例示的に挙げることができる。もっとも好ましくは、酸化チタンである。これらの無機酸化物粒子は、単独もしくは2種以上を併用して用いることができる。使用される無機酸化物微粒子の平均粒径は、一般に、約1ミクロン以下であることが好ましい。約2ミクロン以上の粗大粒子になると、紡糸時の糸切れにつながり好ましくない。より好ましくは、約0.5ミクロン以下である。
【0021】
芯成分に含有する無機酸化物微粒子の含有率が、5重量%未満では防透け性や紫外線遮蔽性が不足する。20重量%を越えると、微粒子の均一な分散が困難となり、紡糸時の糸切れなどの問題が生じる。好ましい、含有率は7重量%〜15重量%である。
本発明のポリエステル太細マルチフィラメントは、乾熱収縮応力の極値温度が90℃〜120℃であることが必要である。極値温度をこの範囲とすることにより、後加工工程特にリラックス工程で布帛のドレープ性を調整することが可能となる。即ちマルチフィラメントを無撚または撚糸後編織された布帛は、一般に90℃〜130℃の熱水中で無緊張状態で幅入れする、いわゆるリラック工程に於いてその風合い発現の大半が決定される。
【0022】
乾熱収縮応力の極値温度が本発明の範囲であれば、リラックス温度を極値温度よりも高温にすることにより、一旦収縮した布帛を弛緩することが可能である。この弛緩作用により、風合いの硬化を抑制し、ドレープ性を十分に発現することが可能となる。公知のポリエステル太細マルチフィラメントの乾熱収縮応力の極値温度は、約130℃〜170℃であるため130以下の熱水によるリラックス工程では布帛の収縮のみが生じ、本発明のごとき弛緩作用は得られない。乾熱収縮応力の極値温度が90℃未満の場合には、リラックス工程で弛緩が過度になりドレープ性を発現させることができない。乾熱収縮応力の極値温度が120℃を越えると、例え130℃でリラックスしてもドレ─プ性の風合いを発現指せることは難しい。乾熱収縮応力の極値温度の好ましい範囲は、95℃〜120℃である。最も好ましくは、100℃〜115℃である。
【0023】
本発明のポリエステル太細マルチフィラメントは、長さ方向に太細を有することに大きな特徴がある。太細の指標は、後述するイブネステスターで測定される繊度変動値U%で表され、本発明ではこの繊度変動値U%が2%〜8%であることが必要である。繊度変動値U%を本発明の範囲とすることにより、絣調のパターンを発現することが可能となる。繊度変動値U%が2%未満では、無地調となり、また風合いもドレープ性を欠くものとなる。繊度変動値U%が8%を越えると、シック部の頻度が過多となり絣調のパターンを表現することが困難となる。また、シック部がのアルカリ減量加工などの際に脆弱となり「穴あき」などの欠点となる。好ましい繊度変動値U%は、2%〜5%である。
【0024】
本発明の鞘芯型複合フィラメントの断面形状は、円形に限定されるものではなく、Y形、楕円形、三角形、四角形、五角形などの異型断面や、中空断面も採用できる。
本発明のポリエステル太細マルチフィラメントは、上記に特定した、乾熱収縮応力の極値温度と繊度変動値U%の範囲の組み合わせにより、従来得られたことのなかった、防透け性、紫外線遮蔽性に加えて白色染色での柄出し性と、「まったり感」で表現されるドレープ性に優れた編織物を得ることができる。
【0025】
本発明のポリエステル太細マルチフィラメントを以下に述べる製造方法に合理的に調製することができる。
芯成分が無機酸化物微粒子を5〜20重量%含有する鞘芯型複合フィラメントから構成されるマルチフィラメントを溶融紡糸した後、未延伸糸を一旦巻取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法において、マルチフィラメントの延伸領域を2段とし、1段目を加熱第1ゴデットロールと加熱第2ゴデットロール間で延伸して、該マルチフィラメントの繊度変動値U%を8%以上となし、次いで2段目を加熱第2ゴデットロールと非加熱第3ゴデットロール間で延伸して、該マルチフィラメントの繊度変動値U%を2%〜8%とすることが必要である。
【0026】
本発明の製造方法において、前述したポリエステルを鞘成分および芯成分とする2成分系のポリマーを複合紡糸されるが、この複合紡糸には公知の方法、例えば米国特許第3,381,074号公報に記載の方法を用いて鞘芯複合フィラメントを紡糸する。すなわち2本の押出機によって鞘成分および芯成分を形成する各ポリエステルを溶融押出し、両ポリマーが合流することなく送液されるように作られたスピンヘッドおよびパックを経て、紡糸口金内で合流され鞘芯型複合フィラメントとして孔から吐出される。その後冷却風により冷却され、仕上げ剤を付与された後、所定の速度で回転している延伸機の第1ゴデットロールに引取られ、鞘芯型複合フィラメントからなる未延伸マルチフィラメントとなる。
【0027】
本発明では、直接紡糸延伸法においてマルチフィラメントの延伸を2段とすることが必要である。2段延伸を実現するには、第1、第2、第3のゴデットロールを有する延伸設備が必要である。各ゴデットロールは、第1ゴデットロールおよび第2ゴデットロールが加熱型であり、第3ゴデットロールは非加熱型である。加熱第1ゴデットロールに引取られた未延伸マルチフィラメントは、所定の温度に維持された加熱第1ゴデットロール上で加熱され、加熱第1ゴデットロールと加熱第2ゴデットロールの周速比で1段目の延伸が行われる。次いで、加熱第2ゴデットロールと非加熱の第3ゴデットロールの周速比で2段目の延伸が行われる。
【0028】
1段目の延伸では、未延伸糸は加熱第1ゴデットロールと加熱第2ゴデットロール間で行なわれ、この段階での繊度変動値U%が8%以上に延伸されることが必要である。1段目の延伸で繊度変動値U%が8%未満まで延伸されると、2段目の延伸で繊度変動値U%を2%〜8%に調整することが困難となる。1段目の延伸倍率の好ましい範囲は、繊度変動値U%を8%〜12%とすることである。
【0029】
繊度変動値U%を該範囲にするための延伸倍率は、加熱第1ゴデットロールの速度(紡糸速度と同一)や、紡糸するマルチフィラメントの繊度、断面形状などにより異なるので、これらを考慮して適宜選択される。例えば、紡糸速度が2000m/分であれば、延伸倍率は1.6倍〜2.2倍が選択される。
1段目の延伸に次いで2段目の延伸を、加熱第2ゴデットロールと非加熱の第3ゴデットロール間で行い、マルチフィラメントの繊度変動値U%が2%〜8%となるごとく延伸することが必要である。2段目の延伸倍率は1.01倍〜1.10倍が採用される。好ましくは、1.02倍〜1.09倍、最も好ましくは1.02倍〜1.07倍である。本発明では、加熱第1ゴデットロールの温度は60〜90℃が好ましい。より好ましくは、60℃〜80℃である。加熱第2ゴデットロールの温度は110℃〜140℃が好ましい。
【0030】
もし加熱第2ゴデットロールが110℃未満であれば、得られるマルチフィラメントの乾熱収縮応力の極値温度が80℃未満となり、本発明の効果が得られない。また、加熱第2ゴデットロールの温度が140℃を越えると、乾熱収縮応力の極値温度が120℃以上となり、本発明の効果が得られない。加熱第2ゴデットロールの好ましい温度範囲は120〜140℃である。
【0031】
第3ゴデットロールは非加熱であることが必要である。ここで、非加熱とはゴデットロール内部に加熱装置を有しないものをいう。実際の製造にあっては、設備周辺の雰囲気によって約30℃〜70℃に昇温するが、この範囲であれば本発明の効果を妨げない。非加熱とはいえ、第3ゴデットロールの温度が70℃を越えることは避けるべきである。70℃を越えると、本発明の第一の発明の重要な要件である、乾熱収縮応力の極値温度が120℃を越えることとなり、発明の目的が達成されない。第3ゴデットロールは、約30℃〜60℃の範囲にとどめることが好ましい。
【0032】
本発明においては、非加熱第3ゴデットロールを出たポリエステル太細マルチフィラメントは、インタレーサーによって交絡を付与され、巻取機によってチーズ状パッケージに巻取られる。
本発明の編織物は、ポリエステル太細マルチフィラメントを一部または全部に用いて編織してなる編織物である。
【0033】
本発明の編織物は、上記ポリエステル太細マルチフィラメントを織物であれば経糸、緯糸もしくは経緯にいずれに用いてもよい。織物組織としては、平織、サテン、ガゼル、ツイル、ジョーゼット、ドビージョーゼット、ピケジョーゼット、チェックジョーゼット、シフォンジョーゼットなどのジョーゼットクレープや、格子織り、デシン羽二重織クレープなどが挙げられる。
【0034】
また、編物としてはスムース、ベロア、天竺、パイルなどが採用されるがこれらに限定されるものではない。
本発明の編織物は、ポリエステル太細マルチフィラメントを単独で用いたものでも、また他の繊維と混繊または交織して用いたものであることができる。
本発明の編織物は、ポリエステル太細マルチフィラメントを無撚または有撚のいずれで用いてもよい。有撚の場合は、撚数は特に限定されないが通常200T/m〜3000T/mが採用される。特に防透け性を向上させるには、下記式で表されるカバーファクター(CF)の値を約1000〜3000と高く設計した織物として使用するのが好ましい。
【0035】
CF=(〔経糸密度/2.54cm〕×√経糸総デニール)+(〔緯糸密度/2.54cm〕×√緯糸総デニール)
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施例を用いて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例を含む本発明においては、乾熱収縮応力の極値温度、および繊度変動値U%は以下の方法で測定する。
(1)乾熱収縮応力の極値温度の測定
熱応力測定装置(例えばカネボウエンジニアリング社製、商品名KE−2)を用いて測定する。糸(マルチフィラメント)を20cmの長さに切り取り、これの両端を結んで輪を作り、測定機に装填する。初荷重0.05g/d、昇温速度100℃/分の条件で測定し、熱応力の温度変化をチャートに描かせる。熱応力曲線のピーク値を読み取る。その値が最高となる時の温度が乾熱収縮応力の極値温度である。
(2)繊度変動値U%の測定
USTER TESTER 3(zellweger社製)にて、以下の条件で測定した。
【0037】
ハイパスフィルター 有り
測定速度 50m/分
Measuring Sloot 3
Test time 5分
Tensional force 1.25%
Pressure 2.5 bar
Twist 1500S
(3)強度、伸度の測定
JISーL1015に準じて測定した。
(4)紫外線遮蔽性
紫外線遮蔽性は、分光光度計(島津製作所製 UV−2200)使用し、波長320〜390nm領域の紫外線が布帛を通過する割合を測定した紫外線の透過率で評価した。波長320〜390nmは太陽光のうち皮膚の日焼けを生じさせる波長である。本発明では、この紫外線透過率が低い程紫外線遮蔽性が優れていると評価した。一般には、この値が10%以下であれば紫外線遮蔽性に優れているといえる。
(5)風合いの評価
織物の風合いをベテランの技術者3人で評価した。パターンが絣調でしかも「まったり調」のドレープ性の風合いがあるものを ◎、ややあるものを○、1つでも欠けているものを×とした。
【0038】
【実施例】
〔実施例1〜5、比較例1〜3〕
下記のポリマーを用いて、種々の条件下で直接紡糸延伸巻取法によりポリエステル太細マルチフィラメントを調製した。
鞘成分:[η]=0.65のポリエチレンテレフタレート
(0.5wt%のTiO2 を含有する)
芯成分:[η]=0.65のポリエチレンテレフタレート
(7.5wt%のTiO2 を含有する)
紡糸機としては公知の複合紡糸機と、それに連続する2段ゴデットロール式の延伸機を用い、直接紡糸延伸巻取(スピンドローテイクアップ)を行う。鞘成分と芯成分の配合比率は1対1とした。酸化チタンの平均含有率は4重量%である。紡糸温度295℃で紡糸し、20℃65%相対湿度の冷却風で0.4m/秒の風速で冷却して0.7重量%の油剤を付与した後、鞘芯型複合マルチフィラメントとした。第1ゴデットロールに引き取り、一旦巻き取ることなく連続して2段の延伸を行った。
【0039】
延伸機の第1ゴデットロールと第2ゴデットロールは共に加熱型で、第3ゴデットロールは非加熱型である。延伸、巻取条件は以下の如くして150d/72fのポリエステル太細マルチフィラメントを得た。第3ゴデットロールの周速度は、第2ゴデットロール×2段目延伸倍率であり、ここでは3800〜4250m/分である。
【0040】
Figure 0003908851
実施例において、2段目の延伸、即ち加熱第2ゴデットロールと非加熱第3ゴデットロールの比率を第1表に示すごとく変化させた。いずれの例においても良好な巻フォームを有する大型パッケージを得ることができた。得られた各ポリエステル太細マルチフィラメントを、経糸として300回/mのS撚を加えた。緯糸としてはS撚、Z撚各1800回/mの撚糸を行い、経125本/in、緯68本/inの織物を調製した。
【0041】
織物のカバーファクターは、2364である。染色に先立つリラックス温度は、120℃とした。また、アルカリ減量率は15重量%とした。染色は蛍光分散染料を用いて、5%owf、130℃で60分間の白色染色を行った。得られた織物の、太細パターンと風合い及びその他の評価結果を第1表に示す。
第1表から明らかなように、実施例1〜実施例5に示す繊度変動値U%が2%〜8%のポリエステル太細マルチフィラメントは、優れた防透け性、紫外線遮蔽性と絣調のパターンに加えて「まったり調」のドレープ性に優れた布帛である。
【0042】
比較例1、2は、繊度変動値U%が8%を越えて大きく、シック部がアルカリ処理により過度に減量され「穴あき」状の欠点を有していた。また、比較例3は、繊度変動値U%が2%未満と小さく絣調やドレープ性に欠けるものであった。
【0043】
【表1】
Figure 0003908851
【0044】
〔実施例6〜9、比較例4〜5〕
実施例2において、2段目の延伸倍率、即ち加熱第2ゴデットロールと非加熱第3ゴデットロールの比を1.04倍と一定とし、1段目の延伸倍率を第2表に示すように異ならせるほかは実施例2を繰り返した。得られた織物の風合い等結果を第2表に示す。
【0045】
1段目の延伸倍率を調整して、繊度変動値U%2%〜8%とした実施例6〜実施例9のポリエステル太細マルチフィラメントでは、優れた防透け性、紫外線遮蔽性と絣調のパターンに加えて「まったり調」のドレープ性に優れた布帛が得られた。
比較例4は、繊度変動値U%が8%を越えて大きく、シック部がアルカリ処理により過度に減量され「穴あき」状の欠点を有していた。また、比較例5は、繊度変動値U%が2%未満と小さく絣調やドレープ性に欠けるものであった。
【0046】
【表2】
Figure 0003908851
【0047】
〔実施例10〜12、比較例6〜7〕
実施例2の条件において、加熱第2ゴデットロールの温度を第3表に示すように異ならせて、実施例2を繰り返した。得られた織物の風合い等結果を第3表に示す。
第3表から明らかなように、沸水収縮率及び乾熱収縮応力の極値温度が本発明の範囲の実施例10〜12は、本発明のポリエステル太細マルチフィラメントは、優れた防透け性、紫外線遮蔽性と絣調のパターンに加えて「まったり調」のドレープ性に優れた布帛が得られた。
【0048】
乾熱収縮応力の極値温度が本発明外の比較例5は、リラックス工程での布帛が弛緩が過度となりペーパーライクなものであった。また、比較例6は風合いがドレープ性に欠けるものであった。
【0049】
【表3】
Figure 0003908851
【0050】
【発明の効果】
本発明は防透け性、紫外線遮蔽性に加えて白色染色での柄出し性とドレープ性に優れた布帛を提供しうるポリエステル太細ポリエステルマルチフィラメントならびに編織物を提供することができる。
また、ポリエステル太細マルチフィラメント及びそれの大型パッケージを製造する上で、経済的に有利な、すなわち低コストである直接紡糸延伸法によって、ポリエステル太細マルチフィラメントを製造することが可能になった。

Claims (1)

  1. 芯成分が無機酸化物微粒子を5〜20重量%含有する鞘芯型複合フィラメントからなるマルチフィラメントを溶融紡糸した後、未延伸糸を一旦巻取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法において、マルチフィラメントの延伸領域を2段とし、1段目を加熱第1ゴデットロールと加熱温度が110〜140℃である加熱第2ゴデットロール間で、延伸倍率を1.6〜2.2倍として延伸し、次いで2段目を加熱第2ゴデットロールと非加熱第3ゴデットロール間で、延伸倍率を1.01〜1.10倍として延伸して、該マルチフィラメントの乾熱収縮応力の極値温度を90〜120℃とし、繊度変動値U%を2〜8%とすることを特徴とするポリエステル太細マルチフィラメントの製造方法。
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