JP3908177B2 - 養殖用海水循環装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚介類を養殖するための装置に関し、詳しくは、陸上において魚介類を養殖するために用いられる養殖用海水循環装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
海水(ここで、「海水」とは、天然海水のみではなく人工海水をも含む概念である。以下、同様。)を利用した魚介類の陸上養殖に関する装置としては、従来から、微生物等を用いて海水の浄化を行う装置が知られている。この従来技術にかかる装置は、通常、魚介類を有する水槽内の海水を循環すべく構成されており、この海水を循環する過程において、微生物等を用いて海水中の***物・残餌の除去等が行われている。
【0003】
この従来技術にかかる装置は、具体的には、飼育水槽内の海水を循環させる際の循環経路に、沈殿槽、泡沫分離槽、硝化槽、および脱窒槽等を設けて構成されている。そして、沈殿槽においては、海水中における魚介類の***物・残餌等の除去、泡沫分離装置においては、タンパク質および浮遊物の除去、硝化槽においては、微生物を用いて海水中に溶けているアンモニア等の分解除去、脱窒槽においては、海水中からの硝酸性窒素の除去が行われている。
【0004】
以上のように、従来技術にかかる装置は、飼育水槽内の海水を魚介類の養殖を行うのに適した状態に保つべく、海水を循環させて微生物を用いた浄化処理等を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、アンモニア等の分解を行うために、微生物を用いている。このように微生物を用いる方法は、し尿処理や下水処理には有効であるが、海水中(いわゆる食塩濃度が高い場合)での処理には適していない。つまり、上記従来技術においては、海水(塩水)中にて微生物を用いた処理を行うように構成されているが、海水中における微生物のアンモニア等の分解処理能力は低いため、アンモニア等に対して高い浄化能力を期待できないという問題があった。また、処理水量の増加等に対して、即座に微生物を増殖等させるのは困難である。したがって、従来技術にかかる装置においては、処理水量の変動に容易に対応できないという問題があった。
さらに、従来技術においては、微生物等を用いているため、海水の濃度等に応じた装置の自動制御を行うことが困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術にかかる問題を解決するためになされたものであって、海水中のアンモニア等を効率よく分解し、処理水量の増加に容易に対応可能であると共に、装置の自動制御を実現することができる、養殖用海水循環装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたもので、魚介類を養殖している養殖槽内の海水を循環させる循環経路中に、前記海水に対して電解処理を施す電解手段を設け、前記電解手段が、一対の電極を用い、前記一対の電極間を略平行に前記海水が流通するように構成されている養殖用海水循環装置であって、前記一対の電極間に、前記海水を流通させ得るスペーサが設けられており、前記スペーサが、前記海水に電解処理を施し、流通する海水の乱流化を促進することが可能な海水流通領域を有し、前記海水流通領域には、ディフューザ部およびノズル部の少なくとも一方が設けられていることを特徴としている。
【0008】
このように構成された養殖用海水循環装置であれば、従来技術のごとく海水中のアンモニアの分解処理等に微生物を用いず、循環使用される海水に対して前記電解手段による電気分解を行っているため、海水中にて強い酸化還元反応が起こり、アンモニアを完全に分解することができる。また、このように強い酸化還元反応によってアンモニアを分解すれば、魚介類にとって有害な亜硝酸が生じないので、養殖に適した海水を得ることができる。さらに、前記電解手段を用いているため、海水濃度あるいは処理水量等に増減が生じたとしても、前記電解手段に供給される電流量を制御することによって、その増減に対して容易に対応可能である。また、このように前記電解手段は電流を可変するだけで、前記電解手段におけるアンモニアの分解能力を調整可能であるため、濃度センサあるいは流量計等と組み合わせて、容易に自動化を実現することができる。
つまり、本発明によれば、前記電解手段を用いることにより、アンモニアの分解等を効率よく行い、処理水量の増加等に容易に対応でき、装置の自動制御を実現できる養殖用海水循環装置を得ることができる。
さらに、このように構成された養殖用海水循環装置によれば、前記一対の電極間を前記海水が流通するように構成されているため、前記海水中に含まれたゴミあるいは魚介類の***物等の前記一対の電極(陰極および陽極)に対する付着を、効果的に防止することができる。
【0009】
また、上述のように、本発明にかかる養殖用海水循環装置においては、前記一対の電極間に、前記海水を流通させ得るスペーサが設けられており、前記スペーサが、前記海水に電解処理を施し、流通する前記海水の乱流化を促進することが可能な海水流通領域を有するものである。
【0010】
ここで、前記電解手段を用いて前記海水に電解処理を施すと、陰極界面にて前記海水中のマグネシウムやカルシウムが、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムとなり、電極に付着したり電解手段内に沈澱等する場合がある。このように、水酸化マグネシウム等の付着、沈澱等が発生すると、電解効率の低下をまねき、種々の不具合を生ずるおそれがある。
しかしながら、上記構成によれば、前記海水流通領域においては、電解処理に加えて前記海水に対する乱流促進が行われるため、水酸化マグネシウム等の付着、沈澱等が起こりにくくなり、電解効率の低下等を効果的に防止することができる。加えて、前記海水の乱流化が促進されれば、海水中のゴミ、浮遊物等の電極に対する付着、堆積も防止することができる。
【0011】
また、本発明にかかる養殖用海水循環装置においては、前記スペーサの海水流入部近傍に前記海水流通領域を成すディフューザ部が設けられ、前記スペーサの海水流出部近傍に前記海水流通領域を成すノズル部が設けられている構成が好ましい。
【0012】
また、本発明は、魚介類を養殖している養殖槽内の海水を循環させる循環経路中に、前記海水に対して電解処理を施す電解手段を設け、前記電解手段が、一対の電極を用い、前記一対の電極間を略平行に前記海水が流通するように構成されている養殖用海水循環装置であって、前記一対の電極間に、流通する海水の乱流化を促進することが可能な海水流通領域を有するスペーサが設けられており、前記スペーサの海水流入部近傍に前記海水流通領域を成すディフューザ部が設けられ、前記スペーサの海水流出部近傍に前記海水流通領域を成すノズル部が設けられていることを特徴としている。
【0013】
また、本発明にかかる養殖用海水循環装置においては、前記一対の電極を成す陰極として、水素過電圧の高いチタン電極が用いられる構成が好ましい。
【0014】
また、本発明にかかる養殖用海水循環装置においては、前記電解処理時において、前記一対の電極を成す陰極の電流密度が、0.5A/dm2〜5A/dm2である構成が好ましい。
【0015】
また、本発明にかかる養殖用海水循環装置においては、前記電解処理時において、前記一対の電極を成す陽極の電流密度が、10A/dm2〜20A/dm2である構成が好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる養殖用海水循環装置の概略構成図を示したものである。
【0017】
図1に示すように、本実施形態にかかる養殖用海水循環装置は、養殖槽1内の海水1aを循環して浄化処理を行うべく構成されている。
具体的には、養殖槽1内の海水1aを、養殖槽1から取り出した後に、種々の処理を行って再び養殖槽1に注入すべく循環させる循環経路L1中に、循環ポンプ2、濾過装置3、泡沫分離槽4、電解槽5(本発明の「電解手段」に相当)、および滞留槽6を設けて、養殖用海水循環装置が構成されている。養殖槽1内の海水1aは、循環ポンプ2を用いて養殖槽1の外部に取り出され、この循環ポンプ2の吐出圧力によって、濾過装置3、泡沫分離槽4、電解槽5、滞留槽6の順番に各装置等に送られ、各装置等において後述する種々の処理が行われた後に、養殖槽1に再度注入される。
【0018】
養殖槽1は、その内部が魚介類が健康に育つ環境を維持すべく構成されているが、コストの面等から、養殖槽1内には、できるだけ多くの魚介類を投入しなければならない場合がある。このように、養殖槽1内に多くの魚介類が投入されると、魚同士の接触は避けられず、これによって、魚の鱗の表面を覆い保護膜としての役目を成す「ぬめり物質」が剥離して、浮遊物(SS)、スライム等が養殖槽1内に生成され、養殖槽1内の汚染の要因となる。また、養殖槽1内においては、残餌や***物等の腐敗によって、魚介類にとっては非常に毒性の高いアンモニア(NH3)が発生し、養殖槽1内の魚介類に大きなダメージを与える場合がある。
【0019】
本実施形態にかかる養殖用海水循環装置は、養殖槽1内の海水1aを循環させ、その循環過程において、上記浮遊物等を除去すると共にアンモニア等を分解除去等することにより、養殖槽1内の海水を魚介類の養殖を行うのに適した状態に保持すべく構成されたものである。
以下、各構成要素について具体的に説明する。
【0020】
循環ポンプ2は、養殖槽1内の海水1aを吸い出して、この吸い出した海水1aを循環ポンプ2の下流側に吐出すべく構成されたものである。本実施形態にかかる養殖用海水循環装置においては、この循環ポンプ2の駆動状態に応じて海水1aの循環量が定められ、循環ポンプ2の吐出圧によって装置を構成する循環経路L1中を海水1aが循環する。
【0021】
濾過装置3は、養殖槽1から取り出された海水1aの濾過処理を行う装置である。養殖槽1の海水1a中には、浮遊物、残餌、および***物等の腐敗によって、多くの汚泥が生成される。これらの汚泥を有したままの海水1aに対して種々の処理を施すと、各装置等が適切な処理を行うことができない。特に、後述する電解槽5においては、このような汚泥を有したままでは、適切にアンモニア等の分解処理を行うことが困難となる。
そこで、本実施形態においては、海水1aに対して種々の処理を行う際の第一の工程として、濾過装置3を用いた濾過処理を行っている。
【0022】
また、本実施形態にかかる養殖用海水循環装置を構成する濾過装置3は、連続運転が行われるため、わずかな時間(2〜3分)を利用して逆洗を行って濾過装置3の再生処理を行い、耐久性を向上させるべく構成されている(図示省略)。しかし、この濾過装置3にて濾過されるのは、ぬめり物質等のスライム状の物質であるため、逆洗を行うだけでは、濾過装置3の濾過性能を復帰させることができない場合がある。つまり、この濾過装置3を用いた濾過の際には、海水1a中のスライム状の物質等が、濾過装置3を構成する濾過助剤の表面を覆い、延いては濾過助剤間の隙間に付着することとなるため、濾過作用面積を増大させるために用いられる濾過助剤(砂、珪藻土等)そのものが機能しなくなり、このような状態になったものを、逆洗のみで再生することは困難である。
【0023】
そこで、本実施形態においては、上記問題を解決するために、電解槽5にて電解処理された海水の一部を、一部循環経路L2を用いて、濾過装置3の上流側から濾過装置3に注入すべく構成されている。
【0024】
通常、上記スライム状の物質等は有機物質であり、しかもその表面は表面積が大きく、遊離塩素を含む溶液と接触させると簡単にスライム状態が壊れる。このようにスライム状態が壊れると、スライム状の物質は、微量の沈殿物を残すだけの溶液状態となり、濾過助剤の目詰まりには至らないこととなる。つまり、本実施形態の構成によれば、上記一部循環経路L2を介して注入された海水の一部によって、濾過装置3内のスライム状物質のスライム状態が壊され、濾過助剤に目詰まりが生じないこととなるため、濾過装置3の能力を最大限に生かすことが可能となり、濾過装置3の再生回数を大幅に削減すると共に、濾過装置3の耐久性を向上させることができる。
【0025】
また、上述したように、濾過装置3に海水の一部(遊離塩素を含む溶液)を注入してスライム状物質が分解されて削減されることとなるため、このように一部循環経路L2を設ける構成によれば、比較的小さな濾過装置を用いて養殖用海水循環装置を実現することが可能となる。
【0026】
次に、泡沫分離槽4は、循環処理される海水1aの泡の除去を行うために設けられたものである。本実施形態において処理される、養殖槽1内の海水1a中には、上述したようにぬめり物質を有する有機物が存在しているため、海水1aは発泡が起こりやすい。そこで、この発泡を除去すべく、この泡沫分離槽4が設けられている。
なお、上述した一部循環経路L2を有する構成によれば、この一部循環経路L2を介して戻され、濾過装置3の上流側に注入される海水によって、ぬめりが除去される。このような場合には、海水1aの発泡が抑制されるため、必要に応じて(例えば、海水の戻し量に基づくぬめりの除去状態等に応じて)、この泡沫分離槽4を省略することも可能である。
【0027】
次に、電解槽5について説明する。ここで図2は、本実施形態において用いられる電解槽の概略図を示したものである。また、図3は、図2にて示された電解槽を構成するスペーサの平面図を示したものである。
【0028】
本実施形態にかかる養殖用海水循環装置を構成する電解槽5は、図2に示すように、泡沫分離槽4にて処理された海水を電解槽5内部に導入すべく構成されたスペーサ51と、このスペーサ51内を流通する海水に対して電解処理を施す一対の電極(陰極52、陽極53)と、陽極53を支持する固定板54と、スペーサ51と陰極52との間に設けられた第一パッキン55と、スペーサ51と固定板54との間に設けられた第二パッキン56等とを用いて構成されている。なお、本実施形態においては、必要に応じて、図2に示した電解槽5を包含すべく、ケーシング等を設けてもよい。
【0029】
スペーサ51には、海水を流入出させるべく循環経路L1と接続された、海水流入部511および海水流出部512が設けられている。海水流入部511には、泡沫分離槽4を経由した海水を電解槽5に流入させるべく循環経路L1が接続されており、海水流出部512には、電解槽5にて処理された海水を滞留槽6に搬送すべく循環経路L1が接続されている。
【0030】
また、このスペーサ51には、海水に電解処理を施し、流通する海水の乱流化を促進する海水流通領域513が設けられている。本実施形態においては、図3に示すように、スペーサ51を貫通して略六角形状の海水流通領域513が形成されている。この海水流通領域513は、海水流入部511に接する部分にテーパ状のディフューザ部513aを有し、海水流出部512に接する部分にテーパ状のノズル部513bを有している。
【0031】
本実施形態においては、海水流通領域513を流通している海水に対して電解処理を施すべく、一対の電極(陰極52,陽極53)が設けられている。本実施形態においては、この一対の電極52,53に対して、制御部(図示省略)からの制御信号に応じて、適切な電流が供給されている。つまり、電解槽5内にて処理される海水の流量変化等を制御部にて制御・管理して、この処理海水量の変化に対応すべく、電解槽5中の電極52,53に電流が供給される。
【0032】
陰極52は、第一パッキン55を介してスペーサ51に積層して取り付けられており、この第一パッキン55には、陰極52表面を海水流通領域513内を流通する海水と接触させるべく、海水流通領域513と略同様形状の貫通孔(図3参照)が形成されている。
ここで、陰極52を形成する材料としては、例えば、金属チタンや水素過電圧の高い材料が用いられる。
【0033】
また、陰極52の電流密度は、0.5A/dm2〜5A/dm2の範囲内で設定されることが好ましい。これは、前記範囲内であれば、電流密度が比較的低いことによって、陰極面での水酸基の生成も、水酸化マグネシウムや水酸化カルシウムの陰極52への付着生成も防止することが可能だからである。なお、この陰極52の電流密度は、1A/dm2〜4A/dm2の範囲内に設定することがより好ましい。電流密度は、あまり高く設定すると、水酸化マグネシウムや水酸化カルシウムの生成が多くなり、これらの生成物質が陰極52に付着する。また、電流密度をあまり高く設定すると、海水中のpH8〜8.3が段々と低下して酸性サイドに傾いてくるため、循環されている海水の組成変化が起こり、養殖されている魚介類に障害を与えるおそれがある。さらに、電流密度をあまりに低く設定すると、対極(陽極53)との電極面積の大きさの関係(本実施形態においては電極面積は、陰極52>陽極53の関係にある(図2参照))から、部分的な(集中的な)電流分布となり、電解効率が低下する。そこで、本実施形態においては、必要に応じて、上述した範囲内で、電流密度を適切に設定することが好ましい。
【0034】
また、陽極53は、固定板54および第二パッキン56を介してスペーサ51に取り付けられており、これらの固定板54および第二パッキン56には、陽極53の取付部53aを貫通させ得る貫通孔が形成されている。つまり、陽極53は、海水流通領域513内を流通する海水と接触するように、第二パッキン56上にその表面が表出した状態で、スペーサ51に取り付けられる。
ここで、陽極53としては、例えば、金属チタンの表面に白金属類のPt、Ir、Pd、Ru等の酸化物を焼成コートしたものが使用される。
【0035】
陽極53の電流密度は、10A/dm2〜20A/dm2の範囲内で設定されることが好ましい。これは、前記範囲内であれば、限界電流密度まで通電可能だからである。ただし、この設定範囲は、濃度等の条件によって最適電流密度が決定されるものであって、より好ましくは、12A/dm2〜17A/dm2の範囲内で設定されることである。電流密度は、あまりに高く設定すると、電極の寿命が短くガスの発生量も多くなるので、効率が悪くなる。また、あまりに低くすると、適切に分解処理を行うことができない。そこで、必要に応じて、上述した範囲内で適切な設定を行う。
【0036】
さて、以上のように構成された電解槽5内にて海水に対して行われる電解(電気分解)処理は、本実施形態にかかる養殖用海水循環装置にて行われる種々の処理の中でも重要な工程の一つであって、具体的には、この電解槽5内に導入された海水に電気分解を行うことによって、アンモニアの分解処理および脱色等が行われる。そして、この電解槽5においては、アンモニアを分解して窒素ガス(N2)とし、この窒素ガスを気液分離器(図示省略)およびガス排出管(図示省略)等を介して放出することによって、アンモニアを完全に分解させている。以下、アンモニア(NH3)の分解のメカニズムを具体的に説明する。
【0037】
電解槽5内において、アンモニア(NH3)を分解する際の反応式は次式の通りである。
2NH3+3NaClO → 3H2O+3NaCl+N2
【0038】
上記反応式においては、次亜塩素酸ナトリウムとアンモニアとの反応で表記したが、あくまでも電解槽5内でのアンモニアの分解反応は、発生基の酸素(O)あるいは塩素(Cl2)酸化によって強力な反応が進行するものと考えられる。つまり、上記電解槽5を用いれば、強い酸化還元反応によってアンモニアを完全に分解することができる。
【0039】
なお、従来技術にかかる、いわゆる微生物を応用した装置においては、アンモニアが簡単に完全に分解された例はなく、上述した反応とは異なる弱い酸化還元反応を起こさせる場合には、魚介類にとって非常に毒性の高い亜硝酸(NO2)が生成され、魚介類に障害を与えることとなる。因みに亜硝酸の影響は、3mg/Lで魚は餌を食べなくなり、15mg/Lで魚は死亡してしまう。
【0040】
アンモニアが完全に分解され窒素が放出された海水は、電解槽5における処理が終了した後、循環経路L1を介して、滞留槽6に搬送される。本実施形態においては、この循環経路L1から滞留槽6に対して、シャワーリング状態で海水が送られるため、海水中の窒素ガス等のさらなる追い出し、および要存酸素の増加を図ることができる。
【0041】
また、この滞留槽6においては、海水中の残存遊離塩素を還元剤を用いて還元し、遊離塩素の除去が行われる。還元剤(脱塩素剤)としては、亜硫酸ナトリウムや過酸化水素があげられる。この滞留槽6における遊離塩素の除去については、残留塩素計等を用いて、薬品注入コントロールを行うことが可能である。すなわち、この残留塩素計にて得られた測定値に基づいて、適切な還元剤を投入可能なように構成することによって、滞留槽6の遊離塩素の除去についての自動化を実現することができる。
【0042】
そして、滞留槽6にて遊離塩素の除去が行われた海水は、再び養殖槽1内に注入される。つまり、養殖槽1内の海水1aは、本実施形態にかかる養殖用海水循環装置を用いて、海水中の汚泥、アンモニア等の除去が行われた後に、再度養殖槽1内に戻され、魚介類の養殖のために使用される。
【0043】
本実施形態にかかる養殖用海水循環装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
【0044】
まず、本実施形態にかかる養殖用海水循環装置は、アンモニア等の分解を行うために電解槽5を用いているため、海水の汚染状態(例えばアンモニア濃度)あるいは海水流量等に変動があった場合であっても、電解槽5を構成する電極52,53に供給する電流を変更させることによって、その変動に対して容易に対応可能である。
また、電解槽5に供給する電流を可変するだけで簡単に制御を行うことが可能であるため、濃度センサ等と組み合わせて容易に自動制御を行うことができる。さらに、本実施形態にかかる電解槽5を用いた電解処理によれば、非常に酸化力が強いので、アンモニアを完全に窒素に分解することが可能となり、その窒素を放出することによって、海水中のアンモニアを完全に分解除去することができる。また、長期間の使用によって若干の硝酸が発生したとしても、酸化力が強力であるため、魚介類に悪影響を及ぼす亜硝酸が生成されることはない。
【0045】
また、本実施形態にかかる養殖用海水循環装置においては、電解槽5にて処理された海水の一部を濾過装置3の上流側に戻し、濾過装置3に注入すべく構成されているため、先に説明したように、スライム状物質の分解を行うことが可能となり、濾過装置3の目詰まり等を防止することができる。さらに、このような構成によれば、スライム状物質が削減されることとなるため、濾過装置3の小型化を実現することができる。また、この海水の一部を循環させる際のスライム状物質の削減によって海水の発泡が抑制されるので、泡沫分離槽4の小型化、あるいは省略を図ることができる。
【0046】
さらに、本実施形態によれば、電解槽5内の電極52,53間を略平行に(下方から上方に)、海水が流通するように構成されているため、海水中に含まれたゴミあるいは魚介類の***物等の電極52,53に対する付着を、効果的に防止することができる。
【0047】
また、海水等に対して電解処理を施す装置を継続的に使用すると、電解槽内の陰極等の表面に水酸化マグネシウム結晶等が付着する場合がある。
しかしながら、本実施形態においては、電解槽5内に、海水の流通状態を改善すべく(乱流化を促進すべく)、海水流通領域513を設けているため、水酸化マグネシウム結晶等の付着を効果的に防止することができる。
より具体的には、本実施形態においては、海水流通領域513における海水導入部にディフューザ部513aを設けることによって、海水の流通経路内径を極端に拡大することによって、レイノルズ数(Re=v(速度)×d(内径)/ν(動粘性係数))を高めて乱流化を促進することができる。また、海水流通領域513における海水導出部にノズル部513bを設けることによって、海水の流通速度を高めることによって、レイノルズ数(Re)を高めて乱流化を促進することができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態においては、図3に示したように、海水流通領域が、略六角形状を有する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、電解処理および乱流促進化を適切に実施可能であれば、いかなる形状であってもよい。したがって、例えば、海水流通領域は、菱形、矩形、楕円形等の種々の形状とすることができる。
【0050】
また、上記実施形態においては、海水が電極52,53間を下方から上方に流通するように電解槽5が構成された場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、海水が電極52,53間を略平行に流通するのであれば、必要に応じて、海水が横方向に流通すべく電解槽を構成してもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、アンモニアの分解等に電解手段(電解槽)を用いているため、海水中のアンモニア等を効率よく分解し、処理水量の増加に容易に対応可能であると共に、装置の自動制御を実現することができる、養殖用海水循環装置を得ることができる。
また、電解手段を用いることによって、上述したように従来技術において必須であった構成要素を削除することも可能であるため、養殖用海水循環装置全体の小型化、省スペース化を実現することができる。さらに、微生物等に左右されずに処理を行うことができるので、運転管理が容易で且つ安定した運転を実現可能な養殖用海水循環装置を得ることができる。
さらに、電解手段(電解槽)内に、乱流化を促進可能な海水流通領域が設けられているため、電解槽を成す電極に対する付着物質(水酸化マグネシウム結晶等)を削減することが可能となって、適切に養殖用海水循環装置を連続運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる養殖用海水循環装置の概略構成図
【図2】本実施形態にかかる養殖用海水循環装置を構成する電解槽の概略図
【図3】図2に示された電解槽を構成するスペーサの概略図
【符号の説明】
1…養殖槽
2…循環ポンプ
3…濾過装置
4…泡沫分離槽
5…電解槽
6……滞留槽
51…スペーサ、52…陰極、53…陽極、54…固定板、55…第一パッキン、56…第二パッキン、511…海水流入部、512…海水流出部、513…海水流通領域、513a…ディフューザ部、513b…ノズル部
L1…循環経路
L2…一部循環経路

Claims (6)

  1. 魚介類を養殖している養殖槽内の海水を循環させる循環経路中に、前記海水に対して電解処理を施す電解手段を設け、前記電解手段が、一対の電極を用い、前記一対の電極間を略平行に前記海水が流通するように構成されている養殖用海水循環装置であって、
    前記一対の電極間に、流通する海水の乱流化を促進することが可能な海水流通領域を有するスペーサが設けられており、
    前記海水流通領域には、ディフューザ部およびノズル部の少なくとも一方が設けられている
    ことを特徴とする養殖用海水循環装置。
  2. 前記スペーサの海水流入部近傍に前記海水流通領域を成すディフューザ部が設けられ、前記スペーサの海水流出部近傍に前記海水流通領域を成すノズル部が設けられている
    請求項に記載の養殖用海水循環装置。
  3. 魚介類を養殖している養殖槽内の海水を循環させる循環経路中に、前記海水に対して電解処理を施す電解手段を設け、前記電解手段が、一対の電極を用い、前記一対の電極間を略平行に前記海水が流通するように構成されている養殖用海水循環装置であって、
    前記一対の電極間に、流通する海水の乱流化を促進することが可能な海水流通領域を有するスペーサが設けられており、
    前記スペーサの海水流入部近傍に前記海水流通領域を成すディフューザ部が設けられ、前記スペーサの海水流出部近傍に前記海水流通領域を成すノズル部が設けられている
    ことを特徴とする養殖用海水循環装置。
  4. 前記一対の電極を成す陰極として、水素過電圧の高いチタン電極が用いられる
    請求項1からのいずれか1項に記載の養殖用海水循環装置。
  5. 前記電解処理時において、前記一対の電極を成す陰極の電流密度が、0.5A/dm2〜5A/dm2である
    請求項1からのいずれか1項に記載の養殖用海水循環装置。
  6. 前記電解処理時において、前記一対の電極を成す陽極の電流密度が、10A/dm2〜20A/dm2である
    請求項1からのいずれか1項に記載の養殖用海水循環装置。
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