JP3908017B2 - 現像剤およびカラー画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばカラープリンタなどのカラー画像形成装置であって、タンデム方式と呼ばれるカラー画像形成装置において用いられる現像剤およびカラー画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラー画像情報や多色画像情報に基づいて、複数の成分色からなる画像を用紙に対して順次積層転写することによって、カラー画像や多色画像を合成再現した画像形成物を出力するカラー画像形成装置が普及している。カラー画像の形成の方式としては、種々の方式が採用されているが、以降では特に電子写真プロセスを用いたカラー画像形成装置について説明する。昨今では、カラー電子写真プロセスにおいて、印字速度の高速化を実現するために、各トナー色に対応した複数の感光体ドラムを並べてカラー画像を得る、タンデム方式のカラー画像形成装置が用いられるようになってきている。
【0003】
このようなカラー画像形成装置の一例として、従来のデジタルカラー複写機について以下に説明する。該デジタルカラー複写機は、原稿の画像データを読み取るための画像読み取り部、原稿を順次、画像読み取り部に供給する原稿送り装置、および、画像読み取り部において読み取られた画像情報に基づいて、用紙上にカラー画像を形成する画像形成部などを備えた構成となっている。
【0004】
画像読み取り部は、原稿台に搬送された原稿に対して光を照射し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)などによって読み取ることによってデジタル画像データを取得するブロックである。原稿送り装置は、原稿を順次原稿台上に搬送させるブロックであり、例えばRADF(Reversing Automatic Document Feeder)などによって構成されるものである。
【0005】
画像形成部は、用紙を搬送するための搬送ベルト、および、この搬送ベルトによって搬送される用紙に対して各色成分の画像を形成する複数の画像ステーションなどによって構成されている。各画像ステーションでは、次のようにして用紙上に画像を形成している。まず、帯電器によって、感光体ドラムを一様に帯電させる。そして、一様に帯電された感光体ドラムに対して、レーザユニットから画像データに応じて変調されたレーザ光を照射し、静電潜像を形成する。この静電潜像に対して、現像装置によってトナーを付着させることによってトナー像を形成する。その後、感光体ドラム上のトナー像が転写用放電器によって用紙へ転写される。
【0006】
このような構成の画像ステーションが、各トナー色、すなわち黒K、シアンC、マゼンタM、およびイエローYに対応して複数設けられている。そして、これらの画像ステーションは、搬送ベルトによる用紙の搬送経路における上流側から順に並んで配置されている。これにより、各画像ステーションにおいて、各色のトナー像が互いに重なるように形成され、カラー画像が用紙上に形成されることになる。
【0007】
以上のようなデジタルカラー複写機では、実際には、カラー画像の出力だけでなく、モノクロ画像の出力も頻繁に行われる。モノクロ画像の出力がユーザによって選択された場合には、黒色用の感光体以外の感光体の作動を停止させるとともに、これらの感光体を搬送ベルトから離間させるように移動させる動作が行われる。これにより、モノクロ画像出力時において、動作が不要な黒色用の感光体以外の感光体に対するクリーニングブレードなどによる膜削れや、用紙や搬送ベルトなどによる磨耗を抑制することが可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、モノクロ画像の出力の方が、カラー画像の出力と比べて使用頻度が多い場合もあり、黒用の感光体は他の色用の感光体に比較して相対的に摩耗が速いという欠点があった。また、通常、Y,M,C,Kの4色のトナーごとに4本の感光体の磨耗特性が異なり、トナーの色により感光体の劣化が異なる事態が生じる。このように、トナーの色に対応する感光体がそれぞれ不均一に磨耗劣化すると、複写枚数とともにカラー画質の色むらが生じることになる。
【0009】
ここで、上記のように、各色ごとに感光体ドラムの摩耗劣化速度が異なることによって、ある特定の感光体ドラムのみが劣化を起こした場合、その感光体ドラムのみを交換するという対応を行うことはできない。これは、全てのドラムを交換しないと、交換したドラムとしなかったドラムとの間のカラーバランスが狂ってしまい、良好な画質の出力画像を得ることができないからである。すなわち、感光体ドラムの交換を行うインターバルは、4本の感光体ドラムのうちで最も劣化が激しい色に対応する感光体ドラム、すなわち黒用の感光体ドラムの磨耗劣化状態に応じて決定されることになる。したがって、他の色の感光体ドラムは、磨耗劣化の程度が比較的少ない状態でも交換されることになり、むだが大きくなるという問題がある。
【0010】
この問題に対する対応策としては、特開平10−333393号公報、特開平11−24358号公報、および特開平11−52599号などに開示されている技術がある。これらの公報では、黒用の感光体を、α−Siあるいはα−SiCからなる感光体によって構成することによって寿命を長くし、黒を除く他の色用の感光体にはOPC(有機感光体)を用いることが提案されている。しかしながら、α−Siあるいはα−SiCからなる感光体は帯電性が低いという問題がある。
【0011】
この欠点を解決する方法として、特開平10−333393号公報では、感光体の厚みを30μm以上にし、有機感光体との帯電差を200V以下にすることが提案されている。また、特開平11−24358号公報では、α−Si感光体に対する印加電圧を有機感光体の1.05〜2.50倍にすることが提案されている。更に、特開平11−52599号公報では、α−SiCの表面層を付与することにより帯電性を上げている。このように、黒用の感光体を長く使い、かつ、α−Siあるいはα−SiC感光体の帯電性の低さを補うためには、黒用のみ複雑な帯電の制御を必要とし、結果として余計なコストが必要になるという新たな問題が生じることになる。
【0012】
さらに、α−Siあるいはα−SiC感光体と有機感光体とは、光感度や、温度/湿度の影響の受け方が異なるものである。よって、黒用のα−Siあるいはα−SiC感光体と黒用以外で用いる有機感光体とでは、露光量、転写条件等も異ならせる必要がある。したがって、黒用の感光体と黒用以外の感光体とでは、別の制御方法を採用しなければならないため、やはり結果として余計なコストが必要になるという問題がある。
【0013】
また、特開平10−333393号公報、特開平11−24358号公報、および特開平11−52599号公報などに記載されているα−Siあるいはα−SiC感光体は、生産コストが有機感光体に比較して明らかに高いという問題もある。
【0014】
一方、別の問題として、上記したように、黒用の感光体における消耗が多いという問題がある。この解決方法としては、特開2000−242056号公報、および特開2000−242057号公報などにおいて、黒用の感光体のドラム径を大きくしたり、膜厚を厚くしたりすることが提案されている。また特開2001−51467号公報では、黒用の感光体のみ非接触の帯電手段を用いる、黒用の感光体の膜厚を厚くする、黒用の感光体の電荷輸送層に粘度平均分子量の大きい樹脂を用いることなどが提案されている。さらに特開2000−330303号公報では、タンデム感光体用の樹脂として共重合ポリカーボネート樹脂を用いることが述べられている。また黒用の感光体のみ保護層を設ける方法も検討されている。
【0015】
これらのように黒色のみ別の感光体を使用することは、管理上の手間を増やすことになる。さらに、電荷輸送層に粘度平均分子量の大きい樹脂を用いると塗布しにくいという問題があり、感光体の膜厚を厚くすると感光体の帯電量下がる、解像力が低下するなどの問題がある。またドラム径を大きくすると機械が大きくなってしまうという問題がある。また現在使用されている感光体の殆どには保護層が設けられていない。これは、いまだに有効な保護層が開発されていないことを表している。さらに、感光体ドラムの摩耗の原因は転写紙、クリーニングブレード、帯電、現像部などの擦過によるものであるが、その主要因はクリーニングブレードによる擦過であると考えられている。従って、主要因ではない帯電手段を、黒のみ非接触の帯電手段を用いたとしても、若干の効果を上げることはできるものの主たる解決にはならない。
【0016】
また一方、特開平5−53414号公報、特開平11−249452号公報には、タンデム画像形成装置にクリーナーレス方式を採用することが開示されている。しかしながら、これらは機械のコンパクト化のみを目的として行われており、感光体の寿命を長くしようと言う思想は全くない。
【0017】
また特開平8−106197号公報においては、多重転写方式の画像形成装置に用いるトナーの帯電量または体積固有抵抗値を前段の現像・転写から後段の現像・転写に移るにつれて徐々に変化させる手段が開示されている。しかしながら、ここでは、特にOHP(Overhead Projector)シートでの転写性の向上を目的としており、本発明の課題とする感光体の研磨性および同一時期メンテナンスの実現に関しては示唆されていない。
【0018】
また特開平9−319179号公報においては、カラー画像形成装置において、前段の転写工程と、後段の転写工程でのトナー付着量を制御することが開示されている。しかしながら、その目的はトナーの逆転写現象対策による画質向上であり、本発明の課題とする感光体の研磨性および同一時期メンテナンスの実現に関しては示唆されていない。
【0019】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、装置コストの増大やメンテナンス性の悪化を招くことなく、黒用および黒以外の色用の感光体における磨耗をすべて均一化させることが可能なカラー画像形成装置において用いられる現像剤、およびカラー画像形成装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係る現像剤は、感光体に対して、画像情報に応じた露光を行うことによって静電潜像を形成し、該静電潜像に対してトナーを付着させることによってトナー像を形成し、該トナー像を用紙に転写する画像形成ステーションを、黒色、および黒色以外の色にそれぞれ対応させて複数備えたカラー画像形成装置において用いられる現像剤であって、黒色の現像剤による上記感光体に対する研磨性が、黒色以外の色の現像剤における上記感光体に対する研磨性よりも小さいことを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、黒色の現像剤による感光体に対する研磨性を、黒色以外の現像剤による感光体に対する研磨性よりも小さくしているので、黒色に対応した感光体の磨耗劣化速度を、黒色以外の色に対応する感光体の磨耗劣化速度とほぼ等しくすることが可能となる。これにより、感光体の交換を行うインターバルを、黒色および黒色以外の色に対応する感光体で全て同じにすることが可能となり、磨耗の程度が少ないにも拘らず交換を行うというような無駄をなくすことができる。
【0022】
また、黒色に対応した感光体と、黒色以外の色に対応した感光体との磨耗性に差をつける手段として、現像剤の研磨性そのものを異ならせる方法を採用していることになる。したがって、例えば従来のように、感光体自身を黒色用と黒色以外の色用とで異なる構成とする必要がないので、感光体を黒色用と黒色以外の色用とで共通のものを使用することが可能となる。よって、メンテナンス性の向上、ならびに装置コストの低減を図ることができる。
【0023】
また、本発明に係る現像剤は、上記の構成において、現像剤中に含まれるトナーの2次元形状における外周の長さをLとし、トナーの2次元形状における面積をSとし、形状係数SF2を、SF2=(L2 /S)×(100/4π)と定義した場合、黒色のトナーにおける形状係数SF2の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF2の代表値よりも小さい構成としてもよい。
【0024】
上記のSF2は、トナー粒子の形状が円に近い程100に近い値となり、周囲の形状が複雑なもの程大きな値となる。すなわち、SF2は、トナー表面積(凹凸性)を示す指標となる。上記の構成によれば、黒色のトナーの方が、黒色以外の色のトナーよりも、表面の凹凸性が全体的に小さくなることになる。すなわち、上記の構成によれば、黒色の現像剤による感光体に対する研磨性を、黒色以外の現像剤による感光体に対する研磨性よりも小さくすることが可能となる。
【0025】
また、本発明に係る現像剤は、上記の構成において、黒色のトナーにおける形状係数SF2の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF2の代表値よりも10以上小さい構成としてもよい。
【0026】
このように設定した場合、後述する実験結果より、黒色に対応した感光体の磨耗劣化速度を、黒色以外の色に対応する感光体の磨耗劣化速度とほぼ等しくすることが可能となる。したがって、感光体を黒色用と黒色以外の色用とで共通のものを使用することが可能となり、メンテナンス性の向上、ならびに装置コストの低減を図ることができる。
【0027】
また、本発明に係る現像剤は、上記の構成において、トナーの2次元形状における最大の径をDとし、トナーの2次元形状における面積をSとし、形状係数SF1を、SF1=(D2 /S)×(100π/4)と定義した場合、黒色のトナーにおける形状係数SF1の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF1の代表値よりも小さい構成としてもよい。
【0028】
上記のSF1は、トナー粒子の形状が円に近い程100に近い値となり、逆に細長い程大きな値となるものである。すなわち、SF1は、トナーの長径/短径の差(歪み性)を示す指標となる。ここで、トナー粒子の歪み性が小さい、すなわち、球形状に近いほど、トナーの流動性が向上し、クリーニングされやすくなるので、感光体の磨耗も小さくなる。よって、上記の構成のよれば、黒色の現像剤による感光体に対する研磨性を、黒色以外の現像剤による感光体に対する研磨性よりもさらに小さくすることが可能となる。したがって、黒色に対応した感光体の磨耗劣化速度と、黒色以外の色に対応する感光体の磨耗劣化速度との差をさらに小さくすることが可能となる。
【0029】
また、本発明に係る現像剤は、上記の構成において、黒色のトナーにおける形状係数SF1の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF1の代表値よりも10以上小さい構成としてもよい。
【0030】
このように設定した場合、後述する実験結果より、黒色に対応した感光体の磨耗劣化速度と、黒色以外の色に対応する感光体の磨耗劣化速度との差をさらに小さくすることが可能となる。
【0031】
また、本発明に係る現像剤は、上記の構成において、黒色のトナーが、機械的な衝撃力によって球形化処理されている構成としてもよい。
【0032】
トナーに対して機械的な衝撃力を加えると、その形状が球形により近いものとなる特性がある。したがって、上記の構成のように、黒色のトナーに対して機械的な衝撃力を加えると、黒色のトナーの形状を球形に近づけることができるので、上記の形状係数SF2やSF1に関する数値限定を実現することが可能となる。
【0033】
また、本発明に係る現像剤は、上記の構成において、黒色のトナーが、熱処理によって球形化処理されている構成としてもよい。
【0034】
トナーに対して熱処理を加えると、その形状が球形により近いものとなる特性がある。したがって、上記の構成のように、黒色のトナーに対して熱処理を加えると、黒色のトナーの形状を球形に近づけることができるので、上記の形状係数SF2やSF1に関する数値限定を実現することが可能となる。
【0035】
また、本発明に係る現像剤は、上記の構成において、黒色のトナーが、重合によって形成されたものである構成としてもよい。
【0036】
一般的に、重合によってトナーを形成すれば、その形状を球形に近いものとすることが可能となる。したがって、上記の構成のように、黒色のトナーを重合によって形成すれば、上記の形状係数SF2やSF1に関する数値限定を実現することが可能となる。
【0037】
また、本発明に係るカラー画像形成装置は、感光体と、該感光体に対して画像情報に応じた露光を行うことによって静電潜像を形成する露光装置と、感光体に形成された静電潜像に対してトナーを付着させることによってトナー像を形成する複数の現像装置とを備え、該トナー像を用紙に転写することによって画像を形成する画像形成ステーションを、黒色、および黒色以外の色にそれぞれ対応させて複数備えたカラー画像形成装置であって、上記各現像装置が、上記の本発明に係る現像剤を用いてトナー像を形成することを特徴としている。
【0038】
上記の構成では、黒色の現像剤による感光体に対する研磨性を、黒色以外の現像剤による感光体に対する研磨性よりも小さくすることが可能となる現像剤を用いて画像の形成を行っている。よって、黒色に対応した感光体の磨耗劣化速度を、黒色以外の色に対応する感光体の磨耗劣化速度とほぼ等しくすることが可能となる。これにより、感光体の交換を行うインターバルを、黒色および黒色以外の色に対応する感光体で全て同じにすることが可能となり、磨耗の程度が少ないにも拘らず交換を行うというような無駄をなくすことができる。
【0039】
また、黒色に対応した感光体と、黒色以外の色に対応した感光体との磨耗性に差をつける手段として、現像剤の研磨性そのものを異ならせる方法を採用していることになる。したがって、例えば従来のように、感光体自身を黒色用と黒色以外の色用とで異なる構成とする必要がないので、感光体を黒色用と黒色以外の色用とで共通のものを使用することが可能となる。よって、メンテナンス性の向上、ならびに装置コストの低減を図ることができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1および図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0041】
図1は、本実施形態に係るカラー画像形成装置としてのデジタルカラー複写機(以降、単に複写機と称する)1の構成を示す断面構成図である。この複写機1は、両面自動原稿送り装置(RADF;Reversing Automatic Document Feeder)112、画像読み取り部110、および画像形成部210を備えた構成となっている。
【0042】
複写機1本体の上面には、原稿台111及び後述する操作パネルが設けられている。また、両面自動原稿送り装置112は、原稿台111の上面側に、該原稿台111に対して開閉可能な状態で支持されている。
【0043】
両面自動原稿送り装置112は、まず、原稿の一方の面が原稿台111の所定位置において画像読み取り部110に対向するように原稿を搬送する。そして、この一方の面についての画像読み取りが終了した後に、他方の面が原稿台111の所定位置において画像読み取り部110に対向するように、原稿が裏返されて原稿台111に向かって搬送されるようになっている。そして、両面自動原稿送り装置112は、1枚の原稿について両面の画像読み取りが終了した後にこの原稿を排出し、次の原稿についての両面搬送動作を実行する。以上のような原稿の搬送および表裏反転の動作は、複写機1全体の動作に関連して制御される。
【0044】
画像読み取り部110は、両面自動原稿送り装置112によって原稿台111上に搬送されてきた原稿の画像を読み取るために、原稿台111の下方に配置されている。この画像読み取り部110は、該原稿台111の下面に沿って平行に往復移動する原稿走査体113・114と、光学レンズ115と、光電変換素子であるCCDラインセンサ116とを有している。
【0045】
原稿走査体113・114は、第1の走査ユニット113と第2の走査ユニット114とから構成されている。第1の走査ユニット113は、原稿画像表面を露光する露光ランプと、原稿からの反射光像を所定の方向に反射される第1ミラーとを有している。そして、この第1の走査ユニット113は、原稿台111の下面に対して一定の距離を保ちながら、所定の走査速度で平行に往復移動するように制御される。
【0046】
第2の走査ユニット114は、第1の走査ユニット113の第1ミラーによって反射された原稿からの反射光像を、さらに所定の方向に向かって反射させる第2および第3ミラーとを有している。この第2の走査ユニット114は、第1の走査ユニット113と一定の速度関係を保って平行に往復移動するように制御される。
【0047】
光学レンズ115は、第2の走査ユニット114における第3ミラーによって反射された原稿からの反射光像を縮小し、縮小された光像をCCDラインセンサ116上の所定位置に結像させるものである。この光学レンズ115は、たとえば複数のレンズ群によって構成される。
【0048】
CCDラインセンサ116は、結像された光像を順次光電変換して電気信号として出力するものである。このCCDラインセンサ116は、例えば、白黒画像あるいはカラー画像を読み取り、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に色分解したラインデータを出力することのできる3ラインのカラーCCDによって構成される。このCCDラインセンサ116によって電気信号に変換された原稿画像情報は、さらに、画像処理部(図示さず)に転送されて所定の画像データ処理が施される。
【0049】
次に、画像形成部210の構成、および画像形成部210に係わる各部の構成について説明する。画像形成部210の下方には、用紙トレイ内に積載収容されている用紙(記録媒体)Pを1枚ずつ分離して画像形成部210に向かって供給する給紙機構211が設けられている。そして1枚ずつ分離供給された用紙Pは、画像形成部210の手前に配置された一対のレジストローラ212によりタイミングが制御されて画像形成部210に搬送される。さらに、片面に画像が形成された用紙Pは、画像形成部210の画像形成にタイミングを合わせて画像形成部210に再供給搬送される。
【0050】
画像形成部210の下方には、転写搬送ベルト機構213が配置されている。転写搬送ベルト機構213は、駆動ローラ214と従動ローラ215との間に略平行に伸びるように張架された転写搬送ベルト216に用紙Pを静電吸着させて搬送する構成となっている。そして、転写搬送ベルト216の下側に近接して、パターン画像検出ユニットが設けられている。
【0051】
さらに、用紙搬送路における転写搬送ベルト機構213の下流側には、用紙P上に転写形成されたトナー像を用紙P上に定着させるための定着装置217が配置されている。この定着装置217における一対の定着ローラ間のニップを通過した用紙Pは、搬送方向の切り替えを行う切り換えゲート218を経て、排出ローラ219によって複写機1本体の外壁に取り付けられている排紙トレイ220上に排出される。
【0052】
切り換えゲート218は、定着後の用紙Pの搬送経路を、複写機本体1へ用紙Pを排出する経路と、画像形成部210に向かって用紙Pを再供給する経路との間で選択的に切り換えるものである。切り換えゲート218によって再び画像形成部210に向かって搬送方向が切り換えられた用紙Pは、スイッチバック搬送経路221を介して表裏反転された後、画像形成部210へと再度供給される。
【0053】
また、画像形成部210における転写搬送ベルト216の上方には、転写搬送ベルト216に近接して、第1の画像形成ステーションPa、第2の画像形成ステーションPb、第3の画像形成ステーションPc、および第4の画像形成ステーションPdが、用紙搬送経路上流側から順に並設されている。転写搬送ベルト216は駆動ローラ214によって、図1において矢印Zで示す方向に摩擦駆動され、前述したように給紙機構211を通じて給送される用紙Pを担持し、用紙Pを画像形成ステーションPa〜Pdへと順次搬送する。
【0054】
各画像形成ステーションPa〜Pdは、実質的に同一の構成を有している。各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、図1に示す矢印F方向に回転駆動される感光体ドラム(感光体)222a、222b、222c、および222dをそれぞれ含んでいる。
【0055】
各感光体ドラム222a〜222dの周辺には、感光体ドラム222a〜222dをそれぞれ一様に帯電する帯電器223a、223b、223c、および223dと、感光体ドラム222a〜222d上に形成された静電潜像をそれぞれ現像する現像装置224a、224b、224c、および224dと、現像された感光体ドラム222a〜222d上のトナー像を用紙Pへ転写する転写用放電器225a、225b、225c、および225dと、感光体ドラム222a〜222d上に残留するトナーを除去するクリーニング装置226a、226b、226c、および226dとが感光体ドラム222a〜222dの回転方向に沿って順次配置されている。
【0056】
上記のクリーニング装置226a、226b、226c、および226dにおいて用いられているクリーニング方式は、ブレードクリーニング方式である。このような感光体上の残留トナーを回収する方式としては他に、ファーブラシ方式を用いることが可能である。またファーブラシ方式およびブレードクリーニング方式を併用してもよい。
【0057】
また、各感光体ドラム222a〜222dの上方には、レーザービームスキャナユニット227a、227b、227c、および227dがそれぞれ設けられている。レーザービームスキャナユニット(露光装置)227a〜227dは、画像データに応じて変調されたドット光を発する半導体レーザ素子(図示せず)、半導体レーザ素子からのレーザービームを主走査方向に偏向させるためのポリゴンミラー(偏向装置)240a〜240dと、ポリゴンミラー240a〜240dにより偏向されたレーザービームを感光体ドラム222a〜222d表面に結像させるためのfθレンズ241a〜241dやミラー242a〜242d、243a〜243dなどから構成されている。
【0058】
レーザービームスキャナ227aにはカラー原稿画像の黒色成分像に対応する画素信号が、レーザービームスキャナ227bにはカラー原稿画像のシアン色成分像に対応する画素信号が、レーザービームスキャナ227cにはカラー原稿画像のマゼンタ色成分像に対応する画素信号が、そして、レーザービームスキャナ227dにはカラー原稿画像のイエロー色成分像に対応する画素信号がそれぞれ入力される。これにより色変換された原稿画像情報に対応する静電潜像が各感光体ドラム222a〜222d上に形成される。そして、現像装置227aには黒色のトナーが、現像装置227bにはシアン色のトナーが、現像装置227cにはマゼンタ色のトナーが、現像装置227dにはイエロー色のトナーがそれぞれ収容されており、感光体ドラム222a〜222d上の静電潜像は、これら各色のトナーにより現像される。これにより、画像形成部210にて色変換された原稿画像情報が各色のトナー像として再現される。
【0059】
また、第1の画像形成ステーションPaと給紙機構211との間には用紙吸着用帯電器228が設けられている。この吸着用帯電器228は、転写搬送ベルト216の表面を帯電させるものである。この吸着用帯電器228による帯電によって、給紙機構211から供給された用紙Pは、転写搬送ベルト216上に確実に吸着された状態で第1の画像形成ステーションPaから第4の画像形成ステーションPdの間をずれることなく搬送されることになる。
【0060】
一方、第4の画像ステーションPdと定着装置217との間の領域で、駆動ローラ214のほぼ真上にあたる領域には、除電器229が設けられている。この除電器229には、搬送ベルト216に静電吸着されている用紙Pを転写搬送ベルト216から分離するための交流電流が印加されている。
【0061】
上記構成のデジタルカラー複写機においては、用紙Pとしてカットシート状の紙が使用される。この用紙Pは、給紙カセットから送り出されて給紙機構211の給紙搬送経路のガイド内に供給されると、その用紙Pの先端部分がセンサー(図示せず)にて検知され、このセンサーから出力される検知信号に基づいて一対のレジストローラ212により一旦停止される。そして、用紙Pは各画像ステーションPa〜Pdとタイミングをとって図1の矢印Z方向に回転している転写搬送ベルト216上に送られる。このとき転写搬送ベルト216には、前述したように吸着用帯電器228により所定の帯電が施されているので、用紙Pは、各画像ステーションPa〜Pdを通過する間、静電吸着力によって安定して搬送される。
【0062】
各画像ステーションPa〜Pdにおいては、各色のトナー像がそれぞれ形成され、転写搬送ベルト216により静電吸着されて搬送される用紙Pの支持面上で、各色のトナー像が互いに重ね合わされるように転写される。第4の画像ステーションPdによる画像の転写が完了すると、用紙Pは、その先端部分から順次、除電用放電器により転写搬送ベルト216上から剥離され、定着装置217へと導かれる。最後に、トナー画像が定着された用紙Pは、用紙排出口(図示せず)から排紙トレイ220上へと排出される。
【0063】
なお、以上で示した構成では、レーザービームスキャナユニット227a〜227dによって、レーザービームを走査して露光することにより、感光体ドラム222a〜222dへの光書き込みが行われるようになっている。これに対して、レーザービームスキャナユニットの代わりに、発光ダイオードアレイと結像レンズアレイからなる書き込み光学系(LEDヘッド)を用いた構成としてもよい。LEDヘッドはレーザービームスキャナユニットに比べ、サイズも小さく、また可動部分がないので静粛性に優れている。よって、複数個の光書き込みユニットを必要とするタンデム方式のデジタルカラー複写機などの画像形成装置では、LEDヘッドを好適に用いることができる。
【0064】
次に、上記のような構成の複写機1における処理の流れについて説明する。上記の複写機1のようなカラー画像形成装置では、実際には、カラー印字だけでなく、モノクロ(黒色)での印字も頻繁に行われている。そこで、以下では、ユーザのモード指定に応じて実行される動作制御について図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0065】
まず、ステップ1(以降、S1のように称する)において、ユーザによって指定されたモードが、カラー画像を出力するカラーモードであるか否かが判定される。S1においてYES、すなわち、カラーモードがユーザによって指定された場合には、まず、S2において、ブラックK,シアンC,マゼンタM,イエローYの各色に対応する各感光体222a、222b、222c、および222dを、転写搬送ベルト216に接する通常位置に配置させる。そして、S3において、各々の感光体222a、222b、222c、および222dを回転駆動させる。その後、電子写真プロセスに従って、各々の感光体222a、222b、222c、および222dに対して、対応する帯電・現像動作等を実行させる(S4)。以上の動作により、用紙P上にカラー画像が形成される。
【0066】
一方、S1においてNO、すなわち、白黒画像を出力するモノクロモードが指定された場合には、まず、S5において、接離機構を駆動させることによって、C、M、Yの各色に対応する各感光体222b、222c、および222dを転写搬送ベルト216から離間させる。さらに、これらの各感光体222b、222c、222dの回転駆動をオフさせ、停止状態とする(S6)。併せて、これらの各感光体222b、222c、222dに対する帯電・現像動作等もオフさせる(S7)。このような状態で、黒色用の感光体222aを回転駆動させ(S8)、電子写真プロセスに従って、この黒色用の感光体222aに対して帯電・現像動作等を実行させる(S9)。以上の動作により、用紙P上に黒色によるモノクロ画像が形成される。
【0067】
このように、モノクロモード指定時には、黒色用の感光体222a以外の感光体222b、222c、222dを、その回転動作を停止させる等、非作動状態とし、かつ、転写搬送ベルト216から離間させるように制御している。これにより、モノクロモード時において、動作が不要な感光体222b、222c、222dに対するクリーニングブレード等による膜削れや、転写紙や転写搬送ベルト216等による磨耗を極力なくすことができる。
【0068】
次に、本実施形態において用いるトナーについて説明する。本実施形態では、黒色のトナーの形状と、黒色以外の色、すなわちY,M,C用のトナーの形状とが異なるトナーを使用している。これにより、黒色のトナーによる感光体ドラムに対する研磨性を、その他の現像色用トナーによる感光体ドラムに対する研磨性よりも少なくし、黒用の感光体ドラムの寿命を長くさせることが可能となる。
【0069】
本実施形態では、トナーの形状を分析する装置として、イメージアナライザー(日本レギュレータ社製、機種名ルーゼツクス5000)を用いる。このイメージアナライザーは、光学顕微鏡などがとらえた画像の面積、長さ、形状などを、画像解析という統計的な手法に基づいて、高精度に定量解析することが可能な装置である。
【0070】
そして、本実施形態では、このイメージアナライザーによって測定した場合の黒色のトナーにおける形状係数SF2の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF2の代表値よりも10以上小さくなるように、トナーの形状を設定するものとする。また、さらに、黒色のトナーにおける代表値の形状係数SF1が、黒色以外の色のトナーにおける代表値の形状係数SF1よりも10以上小さくなるように、トナーの形状を設定することが好ましい。ここで、代表値としては、例えば平均値を採用することになる。
【0071】
SF1とは、トナー粒子の2次元形状における径の最大値Dを2乗したものを当該トナー粒子の2次元形状における面積Sで割った値にπ/4を乗じ、さらに100倍した値を示している。式で表すと、次のようになる。
SF1=(D2 /S)×(100π/4) (1)
このSF1は、トナー粒子の形状が円に近い程100に近い値となり、逆に細長い程大きな値となる。すなわち、SF1は、トナーの長径/短径の差(歪み性)を示す指標となる。
【0072】
また、SF2とは、トナー粒子の2次元形状における外周の長さLを2乗したものを当該トナー粒子の2次元形状における面積Sで割った値に1/4πを乗じ、さらに100倍した値を示している。式で表すと、次のようになる。
SF2=(L2 /S)×(100/4π) (2)
このSF2は、トナー粒子の形状が円に近い程100に近い値となり、周囲の形状が複雑なもの程大きな値となる。すなわち、SF2は、トナー表面積(凹凸性)を示す指標となる。もし、トナーの形状が完全球形であれば、SF1=SF2=100となる。
【0073】
一般に、トナーの表面が滑らかなものよりも、トナーの表面の凸凹性が大きいものの方が、トナーによる感光体の塗膜に対する研磨性が大きくなる。したがって、黒色のトナーと、黒色以外の色のトナーとで十分に研磨性に差を持たせるためには、上記のように、黒色のトナーの形状係数SF2が、黒色以外の色のトナーの形状係数SF2よりも10以上小さいことが必要である。さらにトナーの歪み性が大きいものより小さいものの方がトナーの流動性が向上し、クリーニングされやすくなるので、感光体の塗膜に対する研磨性が小さくなる。したがって、上記のように、黒色のトナーの形状係数SF1が、黒色以外の色のトナーの形状係数SF1よりも10以上小さくなるように、トナーの形状を設定することが好ましいことになる。
【0074】
なお、上記では、SF1およびSF2に関して最適な範囲を示したが、これに限定されるものではない。基本的には、黒色のトナーにおける形状係数SF2の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF2の代表値よりも小さければ、黒色のトナーと、黒色以外の色のトナーとで研磨性に差を持たせることが可能である。また、黒色のトナーにおける形状係数SF1の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF1の代表値よりも小さくても、黒色のトナーと、黒色以外の色のトナーとで研磨性に差を持たせることが可能である。
【0075】
トナーの形状は、材料や製造方法によって大きく変化するものである。一般的には、重合によって得られたトナーの方が、粉砕法によって得られたトナーより球形である。また、粉砕法によって得られたトナーを機械的な衝撃力や熱処理によって球形化処理する方法も知られている。球形化処理する方法は公知の方法、例えば、サフュージョンシステムやスプレードライ装置を用いて高温気流中で加熱処理する方法や、ハイブリダイザーやオングミルなどのメカノフュージョン装置を用いる方法がある。
【0076】
本発明で使用されるトナーとしては、具体的には以下の構成材料からなるものとする。結着樹脂としては、トナーに一般に用いられている公知の樹脂を採用することができる。すなわち、該結着樹脂としては、具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリクロロスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロロアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂;塩化ビニル樹脂;ロジン変性マレイン酸樹脂;フェノール樹脂;エポキシ樹脂;飽和ポリエステル樹脂;不飽和ポリエステル樹脂;ポリエチレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン樹脂;アイオノマー樹脂;ポリウレタン樹脂;シリコーン樹脂;ケトン樹脂;キシレン樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;ポリカーボネート樹脂;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0077】
上記のスチレン系樹脂は、スチレンまたはその誘導体の単独重合体、または、共重合体である。スチレン−アクリル酸エステル共重合体としては、具体的には、例えば、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等が挙げられる。スチレン−メタクリル酸エステル共重合体としては、具体的には、例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等が挙げられる。
【0078】
これら結着樹脂は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示の結着樹脂のうち、スチレン系樹脂、飽和ポリエステル樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂がより好ましい。なお、結着樹脂の製造方法は、特に限定されるものではない。
【0079】
着色剤としては、トナーに一般に用いられている公知の顔料並びに染料を採用することができる。すなわち、該着色剤としては、具体的には、例えば、カーボンブラック、鉄黒、紺青、黄鉛(クロムイエロー)、酸化チタン、亜鉛華、アルミナホワイト、炭酸カルシウム等の無機顔料;フタロシアニンブルー、ビクトリアブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーン、ハンザイエローG、ベンジジンイエロー、レーキレッドC、キナクリドンマゼンタ等の有機顔料;ローダミン系染料、トリアリルメタン系染料、アントラキノン系染料、モノアゾ系染料、ジアゾ系染料等の有機染料;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0080】
これら着色剤は、一種類のみを用いてもよく、また、トナーに着色すべき色に応じて適宜組み合わせて用いてもよい。なお、着色剤には、いわゆるマスターバッチ法等の公知の方法により前処理が施されていてもよい。着色剤の使用量は、特に限定されるものではないが、結着樹脂100重量部に対して、下限としては、1重量部以上、さらに好ましくは、3重量部以上であり、上限としては、25重量部以下、さらに好ましくは20重量部以下であれば好適である。
【0081】
帯電制御剤としては、負帯電性のものとしてはモノアゾ金属化合物、有機金属化合物、キレート化合物、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体等が挙げられる。中でもカラートナーの色調に影響をあたえない無色または淡色の荷電性制御剤が特に好ましい。負荷電制御剤としては、例えばアルキル置換サリチル酸の金属錯体(例えば、ジーターシャリーブチルサリチル酸のクロム錯体または亜鉛錯体)のような有機金属錯体が挙げられる。
【0082】
また正帯電性のものとしては、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、イミダゾール化合物、高級脂肪酸の金属塩等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの帯電制御剤は1種類または複数の種類を同時に含有して使用してもよい。また、帯電制御材の使用量は、特に限定されるものではないが、結着樹脂100重量部に対して、下限としては、0.1重量部以上、さらに好ましくは、0.5重量部以上であり、上限としては、20重量部以下、さらに好ましくは、10重量部以下であれば好適である。
【0083】
また、トナーにおける定着ローラまたは定着ベルトからの離型性・剥離性を十分に得るために、分散剤・離型剤を含有していてもよい。この分散剤・離型剤としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成ワックスやパラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体等の石油系ワックスおよびその変成ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系ワックス等が用いられる。このような分散剤・離型剤による十分な離型性の保持により、高温・低温オフセットを防止することができる。
【0084】
トナー粒子は、上記のような結着樹脂中に、着色剤、および所望により使用されるその他の材料を分散させてトナー粒子を形成する工程よって製造される。具体的には、結着樹脂、着色剤、およびその他の材料からなるトナー材料を粉体化する公知の方法が用いられる。すなわち、トナー粒子を形成するには、混練粉砕法、水系媒体において結着樹脂の単量体、着色剤、およびその他の材料を分散させた粒子を重合する懸濁重合法、結着樹脂の乳化粒子を、着色剤、およびその他の材料とともに凝集固着する乳化凝集法であってもよい。
【0085】
乳化凝集法の場合、乳化粒子は、乳化重合法で作製したものであってもよいし、結着樹脂を溶剤に溶解し、水系媒体中で細かく分散させたものであってもよい。
【0086】
また、結着樹脂、着色剤、その他の材料を溶剤中に溶解分散させておき、水系媒体中で懸濁分散し、その後溶剤を除去する方法を採用してもよい。また、結着樹脂、着色剤、およびその他の材料を溶剤に溶解分散させておき、スプレードライヤー等で気体中に分散し、同時に溶剤を除去する方法を採用してもよい。さらに、溶剤中に溶解している結着樹脂を、温度を下げたりまたは貧溶媒を加えることにより析出させたりする方法を採用してもよい。
【0087】
また、溶融している材料を媒体中で分散冷却する方法を採用してもよい。また、分散重合やシード重合の技法を用いてもよい。特に黒色のトナーは重合法、他の現像色のトナーは混練粉砕法で形成されるのが好ましい。または黒色のトナーも混練粉砕法で、さらに機械的な衝撃力や熱処理にて球形化処理されるのが好ましい。
【0088】
上記のような方法によって、コールター社製のコールターカウンターTA−II(商品名)あるいはコールター社製のコールターマルチサイザー(商品名)による粒度測定により体積平均粒度(D50v)で3〜10μmであるトナー粒子を作成する。
【0089】
次に、得られたトナー粒子に流動性や研磨性等の機能を付加するために、無色または白色系の有機および無機微粒子をトナー表面に分散・添加してもよい。添加量としては、トナー100重量部に対して有機または無機微粉体0.3〜5重量部使用するのが好ましい。
【0090】
有機微粉体としては、例えばアクリル樹脂・ポリエステル樹脂・フッ素系樹脂・スチレン系樹脂・メラミン樹脂等が挙げられる。無機微粉体としては、例えばシリカ微粉体、酸化チタン微粉体、アルミナ微粉体等が挙げられる。特に、BET法で測定した窒素吸着により比表面積が90〜150m2 /g)の範囲内の無機微粉体が良好な結果を与える。また、無機微粉体は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロールの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物のような処理剤で処理されていることも好ましい。処理剤は2種類以上使用しても良い。特に、シリコーンオイル等で表面処理されたシリカ微粉体が好ましい。
【0091】
他の添加剤としては、例えばテフロン(登録商標)、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン、シリコーンオイル粒子(約40%のシリカ含有)のような滑剤が好適に用いられる。また、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムのような研磨剤が好ましく用いられる。また、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズのような導電性付与剤をトナー粒子と逆極性の白色微粒子を現像性向上剤として少量用いても良い。
【0092】
以上のように、本実施形態においては、形状係数SF1およびSF2に基づいてトナーの形状を制御することによって、黒色のトナーと、黒色以外の色のトナーとの研磨性を変えているが、これに限定されるものではない。例えば、トナーに含有させる研磨剤の量や種類を制御することによって研磨性を変える方法、トナーを構成する樹脂の種類を変えることによって研磨性を変える方法、キャリアの粒径を変えることによって研磨性を変える方法などが考えられる。
【0093】
【実施例】
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
【0094】
(黒トナーの調製例1)
結着樹脂としてスチレン−アクリル酸ブチル共重合体100重量部と、帯電制御剤としてアルキルサリチル酸の金属塩2重量部と、カーボンブラックを6重量部と、離型材としてカルナバワックスAを3重量部と、ヘンシェルミキサーで混合した後、二軸混練機を用いて溶融混練した。この混練物をジェット式粉砕機によって粉砕した後、分級して平均粒子径が8μmの黒トナー1を作製した。
【0095】
またトナーの表面処理剤として一次粒子径が15nmである疎水性シリカ1重量部および一次粒子径が40nmである疎水性シリカ1重量部を添加後、ヘンシェルミキサーで外添処理を行った。その後、得られた黒トナーとフェライトキャリアとをナウターミキサーにて混合し、それぞれトナー濃度5%の2成分現像剤を得た。
【0096】
(黒トナーの調製例2)
結着樹脂としてポリエステル樹脂100重量部と、帯電制御剤としてアルキルサリチル酸の金属塩2重量部と、カーボンブラックを6重量部と、離型材としてカルナバワックスAを3重量部と、ヘンシェルミキサーで混合した後、二軸混練機を用いて溶融混練した。この混練物をジェット式粉砕機によって粉砕した後、分級して平均粒子径が8μmの黒トナー2を作製した。
【0097】
またトナーの表面処理剤として一次粒子径が15nmである疎水性シリカ1重量部および一次粒子径が40nmである疎水性シリカ1重量部を添加後、ヘンシェルミキサーで外添処理を行った。その後、得られた黒トナーとフェライトキャリアとをナウターミキサーにて混合し、それぞれトナー濃度5%の2成分現像剤を得た。
【0098】
(黒トナーの調製例3)
黒トナーの調製例2で得られた黒トナー2をホソカワミクロン社製のメカノフュージョン(商品名)処理装置に仕込み、気相中において、加熱せずに、当該黒トナー2に衝撃力を主体とする機械的エネルギーを5分間にわたり繰り返して付与することにより球形化処理を行い、黒トナー3を作製した。
【0099】
またトナーの表面処理剤として一次粒子径が15nmである疎水性シリカ1重量部および一次粒子径が40nmである疎水性シリカ1重量部を添加後、ヘンシェルミキサーで外添処理を行った。その後、得られた黒トナーとフェライトキャリアとをナウターミキサーにて混合し、それぞれトナー濃度5%の2成分現像剤を得た。
【0100】
(黒トナーの調製例4)
黒トナーの調製例2で得られた黒トナー2をNPK社製サフュージョン(商品名)システムに1次粒子に分散した状態で吹き込み、トナーと熱風がぶつかる箇所での温度が約180℃になるように調整した熱風に当てることにより球形化処理を行い、黒トナー4を作製した。
【0101】
またトナーの表面処理剤として一次粒子径が15nmである疎水性シリカ1重量部および一次粒子径が40nmである疎水性シリカ1重量部を添加後、ヘンシェルミキサーで外添処理を行った。その後、得られた黒トナーとフェライトキャリアとをナウターミキサーにて混合し、それぞれトナー濃度5%の2成分現像剤を得た。
【0102】
(黒トナーの調製例5)
水と分散安定剤としてメチルセルロースの入った攪拌機を備えたフラスコに、あらかじめ結着樹脂の単量体としてとしてスチレンモノマー80重量部とn−ブチルアクリレートモノマー20重量部と、帯電制御剤としてアルキルサリチル酸の金属塩2重量部と、カーボンブラックを6重量部と、離型材としてカルナバワックスAを3重量部と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2重量部とを混合分散したものを入れ、80℃で5時間攪拌して重合を行った。反応終了後生成したトナー粒子を冷却して5〜6回水洗後、ろ過し乾燥した後、風力分級を行い、平均粒子径が8μmの黒トナー5を作製した。
【0103】
またトナーの表面処理剤として一次粒子径が15nmである疎水性シリカ1重量部および一次粒子径が40nmである疎水性シリカ1重量部を添加後、ヘンシェルミキサーで外添処理を行った。その後、得られた黒トナーとフェライトキャリアとをナウターミキサーにて混合し、それぞれトナー濃度5%の2成分現像剤を得た。
【0104】
(カラートナーの調製例1)
結着樹脂としてポリエステル樹脂100重量部と、帯電制御剤としてアルキルサリチル酸の金属塩2重量部と、下記のシアン、マゼンタ、イエローの着色剤のうちから選ばれるカラー用着色剤4重量部と、離型材としてカルナバワックスAを4重量部と、ヘンシェルミキサーで混合した後、二軸混練機を用いて溶融混練した。この混練物をジェット式粉砕機によって粉砕した後、分級して平均粒子径が8μmの各3色のカラートナー1を作製した。なお、着色剤としては、シアン用トナーには、C.I.Pig.B−15を用い、マゼンタ用トナーには、C.I.Pig.R−122を用い、イエロー用トナーには、C.I.Pig.Y−17を用いた。
【0105】
またトナーの表面処理剤として一次粒子径が15nmである疎水性シリカ1重量部および一次粒子径が40nmである疎水性シリカ1重量部を添加後、ヘンシェルミキサーで外添処理を行った。その後、得られた各色トナーとフェライトキャリアとをナウターミキサーにて混合し、それぞれトナー濃度5%の2成分現像剤を得た。
【0106】
(カラートナーの調製例2)
結着樹脂としてスチレン−アクリル酸ブチル共重合体を用いた以外はカラートナーの調製例1と同じようにして、平均粒子径が8μmの各3色のカラートナー2を作製した。
【0107】
またトナーの表面処理剤として一次粒子径が15nmである疎水性シリカ1重量部および一次粒子径が40nmである疎水性シリカ1重量部を添加後、ヘンシェルミキサーで外添処理を行った。その後、得られた各色トナーとフェライトキャリアとをナウターミキサーにて混合し、それぞれトナー濃度5%の2成分現像剤を得た。
【0108】
(実施例1)
黒トナーの調製例1で調製された黒トナー1と、カラートナーの調製例1で調製された各Y・M・Cカラートナー1とを用い、図1に示す複写機1と同様の構成からなるシャープ株式会社製のフルカラー複写機AR-C150(商品名)を用いて通常使用モードでの複写動作を行った。
【0109】
(実施例2)
黒トナーの調製例3で調製された黒トナー3と、カラートナーの調製例1で調製された各Y・M・Cカラートナー1とを用い、実施例1と同じ複写機を用いて通常使用モードでの複写動作を行った。
【0110】
(実施例3)
黒トナーの調製例で調製された黒トナー4と、カラートナーの調製例1で調製された各Y・M・Cカラートナー1とを用い、実施例1と同じ複写機を用いて通常使用モードでの複写動作を行った。
【0111】
(実施例4)
黒トナーの調製例5で調製された黒トナー5と、カラートナーの調製例2で調製された各Y・M・Cカラートナー2とを用い、実施例1と同じ複写機を用いて通常使用モードでの複写動作を行った。
【0112】
(比較例1)
黒トナーの調製例2で調製された黒トナー2と、カラートナーの調製例1で調製された各Y・M・Cカラートナー1とを用い、実施例1と同じ複写機を用いて通常使用モードでの複写動作を行った。
【0113】
以上の実施例1〜4および比較例1における実験結果を表1に示す。なお、表1の各欄には、使用したトナー名、SF1およびSF2の値、および、100,000枚の複写動作を行った際の各色用の感光体における感光膜の膜厚を示している。ここで、上記の通常使用モードとはフルカラーモード使用とモノクロモード使用の比を3:1と設定している。また各色用感光体のスタート時の膜厚は25μmである。
【0114】
【表1】
Figure 0003908017
【0115】
実施例1において、黒トナー1およびカラートナー1は、粉砕法によって形成されたものとなっている。そして、表1の結果では、SF1に関しては、カラートナー1と黒トナー1とではほぼ同程度の値となっており、SF2に関しては、カラートナー1よりも黒トナー1の方が10〜13程度小さい、すなわち10以上小さい値となっている。
【0116】
また、カラートナーに対応する感光体の研磨量と、黒トナーに対応する感光体の研磨量との差は0.4〜0.5μm程度となっており、ほぼ同様の研磨量となることがわかる。
【0117】
実施例2において、黒トナー3およびカラートナー1は、粉砕法によって形成されており、さらに黒トナー3は、機械的な衝撃力によって球形化処理が施されているものとなっている。そして、表1の結果では、SF1に関しては、カラートナー1よりも黒トナー3の方が10〜13程度小さい、すなわち10以上小さい値となっており、SF2に関しては、カラートナー1よりも黒トナー3の方が20〜23程度小さい、すなわち20以上小さい値となっている。
【0118】
また、カラートナーに対応する感光体の研磨量と、黒トナーに対応する感光体の研磨量との差は0.1〜0.3μm程度となっており、実施例1よりもさらに研磨量の差が小さくなることがわかる。
【0119】
つまり、実施例1と比較すると、実施例2では、黒トナーの形成時に、機械的な衝撃力を加えることによって球形化処理を施しており、これにより、黒トナーの形状がより球形に近づき、黒トナーによる感光体に対する研磨性が、カラートナーによる感光体に対する研磨性よりさらに小さくなっていることになる。このような理由により、実施例2は、実施例1よりもさらに研磨量の差が小さくなっていることになる。
【0120】
実施例3において、黒トナー4およびカラートナー1は、粉砕法によって形成されており、さらに黒トナー4は、熱処理によって球形化処理が施されているものとなっている。そして、表1の結果では、SF1に関しては、カラートナー1よりも黒トナー4の方が28〜30程度小さい、すなわち25以上小さい値となっており、SF2に関しては、カラートナー1よりも黒トナー4の方が27〜30程度小さい、すなわち25以上小さい値となっている。
【0121】
また、カラートナーに対応する感光体の研磨量と、黒トナーに対応する感光体の研磨量との差は±0.1μm程度となっており、実施例1および2よりもさらに研磨量の差が小さくなることがわかる。
【0122】
つまり、実施例1と比較すると、実施例3では、黒トナーの形成時に、熱処理によって球形化処理を施しており、これにより、黒トナーの形状がより球形に近づき、黒トナーによる感光体に対する研磨性が、カラートナーによる感光体に対する研磨性よりさらに小さくなっていることになる。このような理由により、実施例3は、実施例1よりもさらに研磨量の差が小さくなっていることになる。
【0123】
実施例4において、黒トナー5は、重合によって形成されている一方、カラートナー1は、粉砕法によって形成されているものとなっている。そして、表1の結果では、SF1に関しては、カラートナー2よりも黒トナー5の方が40〜42程度小さい、すなわち40以上小さい値となっており、SF2に関しては、カラートナー2よりも黒トナー5の方が21〜22程度小さい、すなわち20以上小さい値となっている。
【0124】
また、カラートナーに対応する感光体の研磨量と、黒トナーに対応する感光体の研磨量との差は0.1〜0.2μm程度となっており、実施例1よりもさらに研磨量の差が小さくなることがわかる。
【0125】
つまり、実施例1と比較すると、実施例4では、黒トナーを重合によって形成しており、これにより、黒トナーの形状がより球形に近づき、黒トナーによる感光体に対する研磨性が、カラートナーによる感光体に対する研磨性よりさらに小さくなっていることになる。このような理由により、実施例4は、実施例1よりもさらに研磨量の差が小さくなっていることになる。
【0126】
比較例1では、SF1に関しては、カラートナー1と黒トナー2との差が1〜2程度でほぼ同様の値となっており、SF2に関しても、カラートナー1と黒トナー2との差が1〜4程度でほぼ同様の値となっている。
【0127】
また、カラートナーに対応する感光体の研磨量と、黒トナーに対応する感光体の研磨量との差は2.8〜3μm程度となっており、研磨量に大きな差が生じていることがわかる。
【0128】
つまり、比較例1では、SF1およびSF2に関して、カラートナー1と黒トナー2とでほぼ同程度となっていることになる。この場合、黒トナーとカラートナーとの感光体に対する研磨性が同程度となるので、モノクロ出力が多くなると、黒トナーに対応する感光体における研磨量が大きくなってしまうことになる。
【0129】
以上の結果より、上記のようにトナーの形状を最適化することにより、感光体の研磨量の制御が可能になり、黒用感光体とその他の現像色用感光体の塗膜研磨量を差別化することが可能となる。したがって、それぞれの感光体の磨耗劣化速度をほぼ等しくすることが可能となり、例えば、黒用感光体のみが大幅に磨耗劣化した場合に、他の色の感光体は劣化していないのにも拘らず、カラーバランスを整えるために全ての感光体を交換する、というような事態を回避することが可能となる。すなわち、上記のように、それぞれの感光体の磨耗劣化速度をほぼ等しくすることによって、全ての感光体の交換のインターバルを揃えることが可能となり、無駄な交換を行う必要性をなくすことができる。
【0130】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る現像剤は、黒色の現像剤による上記感光体に対する研磨性が、黒色以外の色の現像剤における上記感光体に対する研磨性よりも小さい構成であるので、感光体の交換を行うインターバルを、黒色および黒色以外の色に対応する感光体で全て同じにすることが可能となり、磨耗の程度が少ないにも拘らず交換を行うというような無駄をなくすことができるという効果を奏する。また、感光体を黒色用と黒色以外の色用とで共通のものを使用することが可能となるので、メンテナンス性の向上、ならびに装置コストの低減を図ることができるという効果を奏する。
【0131】
また、本発明に係る現像剤を、黒色のトナーにおける形状係数SF2の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF2の代表値よりも小さい構成とすれば、トナーの形状に関する情報を精度よく検出することが可能となり、トナーの形状の制御を的確に行うことが可能となるという効果を奏する。
【0132】
また、本発明に係る現像剤を、黒色のトナーにおける形状係数SF2の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF2の代表値よりも10以上小さい構成とすれば、前記した実験結果より、黒色に対応した感光体の磨耗劣化速度を、黒色以外の色に対応する感光体の磨耗劣化速度とほぼ等しくすることが可能となるという効果を奏する。
【0133】
また、本発明に係る現像剤を、黒色のトナーにおける形状係数SF1の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF1の代表値よりも小さい構成とすれば、黒色のトナーによる感光体に対する研磨性を、黒色以外のトナーによる感光体に対する研磨性よりもさらに小さくすることが可能となるという効果を奏する。
【0134】
また、本発明に係る現像剤を、黒色のトナーにおける形状係数SF1の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF1の代表値よりも10以上小さい構成とすれば、前記した実験結果より、黒色に対応した感光体の磨耗劣化速度と、黒色以外の色に対応する感光体の磨耗劣化速度との差をさらに小さくすることが可能となるという効果を奏する。
【0135】
また、黒色のトナーを、機械的な衝撃力によって球形化処理されている構成とすれば、黒色のトナーの形状を球形に近づけることができるので、上記の形状係数SF2やSF1に関する数値限定を実現することが可能となるという効果を奏する。
【0136】
また、黒色のトナーが、熱処理によって球形化処理されていれば、黒色のトナーの形状を球形に近づけることができるので、上記の形状係数SF2やSF1に関する数値限定を実現することが可能となるという効果を奏する。
【0137】
また、黒色のトナーが、重合によって形成されたものであれば、黒色のトナーの形状を球形に近づけることが可能となるので、上記の形状係数SF2やSF1に関する数値限定を実現することが可能となるという効果を奏する。
【0138】
また、本発明に係るカラー画像形成装置は、各現像装置が、上記の本発明に係る現像剤を用いてトナー像を形成する構成であるので、黒色に対応した感光体の磨耗劣化速度を、黒色以外の色に対応する感光体の磨耗劣化速度とほぼ等しくすることが可能となるので、感光体の交換を行うインターバルを、黒色および黒色以外の色に対応する感光体で全て同じにすることが可能となるという効果を奏する。また、感光体を黒色用と黒色以外の色用とで共通のものを使用することが可能となるので、メンテナンス性の向上、ならびに装置コストの低減を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタルカラー複写機の構成を示す断面構成図である。
【図2】上記のデジタルカラー複写機における、ユーザのモード指定に応じて実行される動作制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 複写機(カラー画像形成装置)
110 画像読み取り部
210 画像形成部
222a〜222d 感光体ドラム(感光体)
224a〜224d 現像装置
227a〜227d レーザービームスキャナユニット(露光装置)
Pa〜Pd 画像形成ステーション

Claims (7)

  1. 感光体に対して、画像情報に応じた露光を行うことによって静電潜像を形成し、該静電潜像に対してトナーを付着させることによってトナー像を形成し、該トナー像を用紙に転写する画像形成ステーションを、黒色、および黒色以外の色にそれぞれ対応させて複数備えたカラー画像形成装置において用いられる現像剤であって、
    黒色の現像剤による上記感光体に対する研磨性が、黒色以外の色の現像剤における上記感光体に対する研磨性よりも小さくなることにより、黒色に対応した感光体の磨耗劣化速度を黒色以外の色に対応する感光体の磨耗劣化速度とほぼ等しくできるように、
    現像剤中に含まれるトナーの2次元形状における外周の長さをLとし、トナーの2次元形状における面積をSとし、形状係数SF2を、
    SF2=(L /S)×(100/4π)
    と定義した場合、
    黒色のトナーにおける形状係数SF2の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF2の代表値よりも20〜23小さく、かつ
    現像剤中に含まれるトナーの2次元形状における最大の径をDとし、トナーの2次元形状における面積をSとし、形状係数SF1を、
    SF1=(D /S)×(100π/4)
    と定義した場合、
    黒色のトナーにおける形状係数SF1の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF1の代表値よりも10〜13小さくなっていることを特徴とする現像剤。
  2. 感光体に対して、画像情報に応じた露光を行うことによって静電潜像を形成し、該静電潜像に対してトナーを付着させることによってトナー像を形成し、該トナー像を用紙に転写する画像形成ステーションを、黒色、および黒色以外の色にそれぞれ対応させて複数備えたカラー画像形成装置において用いられる現像剤であって、
    黒色の現像剤による上記感光体に対する研磨性が、黒色以外の色の現像剤における上記感光体に対する研磨性よりも小さくなることにより、黒色に対応した感光体の磨耗劣化速度を黒色以外の色に対応する感光体の磨耗劣化速度とほぼ等しくできるように、
    現像剤中に含まれるトナーの2次元形状における外周の長さをLとし、トナーの2次元形状における面積をSとし、形状係数SF2を、
    SF2=(L /S)×(100/4π)
    と定義した場合、
    黒色のトナーにおける形状係数SF2の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF2の代表値よりも27〜30小さく、かつ
    現像剤中に含まれるトナーの2次元形状における最大の径をDとし、トナーの2次元形状における面積をSとし、形状係数SF1を、
    SF1=(D /S)×(100π/4)
    と定義した場合、
    黒色のトナーにおける形状係数SF1の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF1の代表値よりも28〜30小さくなっていることを特徴とする現像剤。
  3. 感光体に対して、画像情報に応じた露光を行うことによって静電潜像を形成し、該静電潜像に対してトナーを付着させることによってトナー像を形成し、該トナー像を用紙に転写する画像形成ステーションを、黒色、および黒色以外の色にそれぞれ対応させて複数備えたカラー画像形成装置において用いられる現像剤であって、
    黒色の現像剤による上記感光体に対する研磨性が、黒色以外の色の現像剤における上記感光体に対する研磨性よりも小さくなることにより、黒色に対応した感光体の磨耗劣化速度を黒色以外の色に対応する感光体の磨耗劣化速度とほぼ等しくできるように、
    現像剤中に含まれるトナーの2次元形状における外周の長さをLとし、トナーの2次元 形状における面積をSとし、形状係数SF2を、
    SF2=(L /S)×(100/4π)
    と定義した場合、
    黒色のトナーにおける形状係数SF2の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF2の代表値よりも21〜22小さく、かつ
    現像剤中に含まれるトナーの2次元形状における最大の径をDとし、トナーの2次元形状における面積をSとし、形状係数SF1を、
    SF1=(D /S)×(100π/4)
    と定義した場合、
    黒色のトナーにおける形状係数SF1の代表値が、黒色以外の色のトナーにおける形状係数SF1の代表値よりも40〜42小さくなっていることを特徴とする現像剤。
  4. 黒色のトナーが、機械的な衝撃力によって球形化処理されていることを特徴とする請求項1に記載の現像剤。
  5. 黒色のトナーが、熱処理によって球形化処理されていることを特徴とする請求項2に記載の現像剤。
  6. 黒色のトナーが、重合によって形成されたものであることを特徴とする請求項3に記載の現像剤。
  7. 感光体と、該感光体に対して画像情報に応じた露光を行うことによって静電潜像を形成する露光装置と、感光体に形成された静電潜像に対してトナーを付着させることによってトナー像を形成する複数の現像装置とを備え、該トナー像を用紙に転写することによって画像を形成する画像形成ステーションを、黒色、および黒色以外の色にそれぞれ対応させて複数備えたカラー画像形成装置であって、
    上記各現像装置が、請求項1から6のいずれか一項に記載の現像剤を用いてトナー像を形成することを特徴とするカラー画像形成装置。
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