JP3903871B2 - 表面プラズモン素子及びこれを用いた検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面プラズモン素子及びこれを用いた検査装置に関する。より詳細には、表面プラズモンと回廊波を利用した表面プラズモン素子、及び表面プラズモン素子に付着した被検体を検査する検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、表面プラズモンを利用した表面プラズモン素子が盛んに使用されている。表面プラズモン素子は、しばしば化学物質を検査する検査装置に用いられている。特開平10−267930には、平坦な金属膜を有する表面プラズモン素子と、これを用いて免疫反応を検査する検査装置が開示されている。図10は表面プラズモン素子の概略的な断面図である。平坦な透明基板540上には金属膜520が設けられている。金属膜520の上には有機珪素膜560を介して抗体530が固定されている。
【0003】
透明基板540に光を入射すると、光は透明基板540の金属膜520側で反射する。金属膜520の表面近傍にはこの表面に沿ってエバネッセント波が形成される。このとき、金属膜520の表面には表面プラズモンが発生する。発生し得る表面プラズモンの位相速度は金属膜520の表面の状態により変化する。エバネッセント波の金属膜表面方向の位相速度と発生し得る表面プラズモンの位相速度が一致すると、いわゆる表面プラズモン共鳴が起こり、光のエネルギーの多くが表面プラズモンの発生に使われる。この結果、光の反射強度が低下する。
【0004】
光の入射角を変化させると、エバネッセント波の金属膜膜表面方向の位相速度が変化するので、表面プラズモンの発生に用いられるときにのみ光のエネルギーが変化する。即ち、反射強度が変化する。図11は入射角に対する反射強度のグラフである。グラフは谷をもつ。反射強度が谷の底である、即ち反射強度が極小であるとき、表面プラズモン共鳴が起こっている。
【0005】
このような表面プラズモン素子は検査装置に取り付けられる。検査装置は、入射角を変えながらこの素子に光を照射する光源と、素子で反射した光の強度を検出する光検出器とを備えている。抗体530の付着した面は抗原を含んだ液体に浸される。抗体530に抗原が結合すると、金属膜520の表面の状態が変化する。この結果、発生し得る表面プラズモンの位相速度が変化するので、表面プラズモン共鳴が起こる入射角が変化する。即ち、反射強度の谷の底がずれる。この谷の底のずれを検出すれば、液体中の抗原の濃度が分かる。
【0006】
また、光ファイバを用いた表面プラズモン素子が知られている。光ファイバの表面には金属膜が形成されている。光ファイバ内を伝搬する光は金属膜にて反射する。光ファイバ内を伝搬する光の波長を変えながら、金属膜にて反射した光の強度が検出される。波長に対する検出された光の強度のグラフは、図10の表面プラズモン素子と同様に、谷をもつ。谷の底に対応する波長をもった光が表面プラズモン共鳴に携わっている。谷の底の位置から金属膜の表面の状態を検知することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の検査装置では、測定対象の数と同じ数の表面プラズモン素子(プリズム)が必要か、或いは検査の度に素子表面の洗浄が求められる。特に、多数のプリズムを用意してそれぞれに異なる処理を施すには、プリズムは一般に小型化が困難で実用上問題が多い。
【0008】
光ファイバを用いた表面プラズモン素子では、光ファイバ内を伝搬し、金属膜にて反射する光の入射角は比較的大きい幅をもつ。入射角の幅が大きいと、波長に対する金属膜にて反射する光の強度のグラフの谷の幅は大きくなる。従って、図10の表面プラズモン素子と同様に、金属膜の表面の状態を鋭敏に検知することができない。
【0009】
図10の表面プラズモン素子を検査装置に取り付ける際には、光源と光検出器に対して表面プラズモン素子を位置決めする必要がある。一般に、検査される抗体の数は極めて多数であることが多い。多数の抗体を検査する場合には表面プラズモン素子の位置決めを行う回数が極めて多くなる。
【0010】
本発明は上記問題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、表面の状態を鋭敏に検知でき、かつ小型で扱いの容易な表面プラズモン素子を提供することである。本発明のもう1つの目的は、化学物質などの被検体を感度良く検査する検査装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係わる表面プラズモン素子は、
光を透過する光透過部材と、
この光透過部材に対向している、光を透過する光透過基材と、
この光透過基材の表面を周回する周回表面と、
この周回表面の上に形成されていて、表面プラズモンが発生する材料で形成されている表面プラズモン媒体膜と、
前記光透過部材の表面に含まれていて、この表面プラズモン媒体膜に対向する対向表面と、
を備えており、
入力光が前記光透過部材を透過して前記対向表面に導かれると、前記周回表面に沿って周回表面の内側を周回する回廊波が発生し、
この回廊波は前記表面プラズモン媒体膜にて表面プラズモンを発生させ、
表面プラズモンを発生させたこの回廊波は前記対向表面を介して前記光透過部材に伝達されて、前記光透過部材を透過する出力光になる。
【0012】
本発明の請求項2に係わる表面プラズモン素子では、前記光透過基材の表面の少なくとも一部は球面であり、前記周回表面はこの球面に含まれている。
【0013】
本発明の請求項3に係わる表面プラズモン素子では、前記対向表面と前記表面プラズモン媒体膜との間隔は、前記入力光の波長以下である。
【0014】
本発明の請求項4に係わる表面プラズモン素子では、前記光透過部材は、光ファイバを含んでいる。
【0015】
本発明の請求項5に係わる表面プラズモン素子では、前記光透過部材は、光導波路を含んでいる。
【0016】
本発明の請求項6に係わる表面プラズモン素子は、
光を透過する第1の光透過部材と、
光を透過する第2の光透過部材と、
第1及び第2の光透過部材に対向している、光を透過する光透過基材と、
この光透過基材の表面を周回する周回表面と、
この周回表面の上に形成されていて、表面プラズモンが発生する材料で形成されている表面プラズモン媒体膜と、
前記第1の光透過部材の表面に含まれていて、この表面プラズモン媒体膜に対向する第1の対向表面と、
前記第2の光透過部材の表面に含まれていて、この表面プラズモン媒体膜に対向する第2の対向表面と、
を備えており、
入力光が前記第1の光透過部材を透過して前記第1の対向表面に導かれると、前記周回表面に沿って周回表面の内側を周回する回廊波が発生し、
この回廊波は前記表面プラズモン媒体膜にて表面プラズモンを発生させ、
表面プラズモンを発生させたこの回廊波は前記第2の対向表面を介して前記第2の光透過部材に伝達されて、第2の光透過部材を透過する出力光になる。
【0017】
本発明の請求項7に係わる表面プラズモン素子では、前記光透過基材の表面の少なくとも一部は球面であり、前記周回表面はこの球面に含まれている。
【0018】
本発明の請求項8に係わる表面プラズモン素子では、前記第1の対向表面と前記表面プラズモン媒体膜との間隔は前記入力光の波長以下であり、前記第2の対向表面と前記表面プラズモン媒体膜との間隔は、前記出力光の波長以下である。
【0019】
本発明の請求項9に係わる表面プラズモン素子では、前記第1の光透過部材と前記第2の光透過部材との少なくとも一方は、光ファイバを含んでいる。
【0020】
本発明の請求項10に係わる表面プラズモン素子では、前記光透過基材の形状は筒状であり、前記周回表面は光透過基材の長さ方向に垂直な面内で延びている。
【0021】
本発明の請求項11に係わる検査装置は、
請求項1乃至3いずれか1項に記載の表面プラズモン素子であって、前記表面プラズモン媒体膜に被検体が付着させられる表面プラズモン素子と、
前記光透過部材に入力光を入射してこの入力光を前記対向表面に導く入力光導入手段と、
前記出力光を検出する出力光検出手段と、
を備えている。
【0022】
本発明の請求項12に係わる検査装置では、前記光透過部材は、光ファイバを含んでいる。
【0023】
本発明の請求項13に係わる検査装置では、前記対向表面は前記光ファイバの一端と他端の間に位置しており、前記入力光導入手段は光ファイバの一端側から入力光を対向表面に導き、前記出力光検出手段は対向表面から光ファイバの他端に向かう出力光を検出する。
【0024】
本発明の請求項14に係わる検査装置は、前記光ファイバの一端側に設けられていて、この光ファイバを透過しこの一端側に向かう光を反射して、この光を光ファイバの他端側に向かわせる反射体をさらに備えており、
前記対向表面は前記光ファイバの一端と他端の間に位置しており、
前記入力光導入手段は前記光ファイバの他端側から入力光を前記対向表面に導き、
前記出力光検出手段は、前記対向表面から前記光ファイバの一端側に向かい、前記反射体にて反射し、この光ファイバの他端側に向かう出力光を検出する。
【0025】
本発明の請求項15に係わる検査装置は、
光を透過し、所定の経路に沿って光を導く光透過部材と、
光を透過する1以上の光透過基材であって、この所定の経路上に配置されていて、前記光透過部材に対向している光透過基材と、
前記それぞれの光透過基材の表面を周回する周回表面と、
前記それぞれの周回表面の上に形成されていて、表面プラズモンが発生する材料で形成されている表面プラズモン媒体膜であって、に被検体が付着させられる表面プラズモン媒体膜と、
前記光透過部材の表面に含まれていて、前記表面プラズモン媒体膜にそれぞれ対向する対向表面と、
前記光透過部材に入力光を入射してこの入力光を前記対向表面の少なくとも1つに導く入力光導入手段であって、対向表面に入射光が導かれると、前記周回表面に沿って周回表面の内側を周回する回廊波が発生し、
前記回廊波は前記表面プラズモン媒体膜にて表面プラズモンを発生させ、
表面プラズモンを発生させた前記回廊波は対向表面を介して光透過部材に伝達されて、光透過部材を透過する出力光になる入力光導入手段と、
前記出力光を検出する出力光検出手段と、
を備えている。
【0026】
本発明の請求項16に係わる検査装置では、前記光透過基材の表面の少なくとも一部は球面であり、前記周回表面はこの球面に含まれている。
【0027】
本発明の請求項17に係わる検査装置では、前記対向表面と前記表面プラズモン媒体膜との間隔は、前記入力光の波長以下である。
【0028】
本発明の請求項18に係わる検査装置では、前記光透過部材は、前記所定の経路に沿って延びている光導波路を含んでいる。
【0029】
本発明の請求項19に係わる検査装置は、光導波路に設けられた光スイッチをさらに備えている。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1〜図9を参照して、本発明の実施の形態に係わる表面プラズモン素子及び検査装置を説明する。先ず、図1を参照して本発明の第1の実施の形態の表面プラズモン素子とこの表面プラズモン素子を有する検査装置とを説明する。図1は、表面プラズモン素子の概略的な側面図である。
【0031】
光を透過する球状の光透過基材110の表面には表面プラズモンが発生する材料で形成されている表面プラズモン媒体膜120が設けられている。図1では媒体膜120はこれの一部が切りかかれるようにして示されている。本実施の形態では媒体膜120には金属膜120が用いられている。金属膜120は好ましくは500Åの金の膜で形成される。光透過基材110はガラスで形成されている。球状である光透過基材110の直径は数十μm〜数mである。光透過基材110をその他の材料で形成しても良い。光透過基材110と金属膜120とは伝搬部材100を形成している。
【0032】
光透過基材110は光を透過する平板状の光透過部材140に対向している。図1では光透過部材140は厚さ方向に切断されている。光透過部材140の一面が光透過基材110に向けられている。
【0033】
光透過部材140の表面には金属膜120に対向する対向表面142が含まれている。ここで、「対向する」とは、「接する」ことと、「間隔をおいている」こととを含む。本実施の形態では、光透過基材110は光透過部材140に接しており、対向表面142は金属膜120に接している。
【0034】
対向表面142に対向する光透過基材110の部分と光透過基材110の中心とを含む平面を考える。図1ではこの平面が紙面に平行にされている。この平面と光透過基材110の表面との交線に沿って光透過基材110の表面を周回する部分を周回表面111として用いる。周回表面111の上には上述した金属膜120が形成されている。
【0035】
光透過基材110とは反対側の光透過部材140の面に、矢印Iの方向に沿って入力光が入射すると、入力光は光透過部材140を透過して対向表面142に導かれ、ここに入射する。入力光が入射する光透過部材140の部分は入射部143として用いられている。図1に示された光の光路は紙面に平行である。
【0036】
対向表面142に導かれた入力光は、周回表面111に沿って周回表面111の内側を周回する回廊波を発生する。回廊波はWGM共鳴(whispering−gallery mode resonance)が起こるときに発生する光である。WGM共鳴については、M.Cai,G.Hunziker,andK.Vahala,IEEE Photon.Technol.Lett.11,686(1999)に詳細に説明されている。回廊波は金属膜120にて表面プラズモンを発生させる。金属膜120にて発生し得る表面プラズモンの位相速度が回廊波の位相速度と等しいとき、金属膜120に表面プラズモンが発生する。光透過基材110の屈折率は、回廊波の位相速度が金属膜120にて発生する表面プラズモンの位相速度と等しくなるよう設定されている。回廊波は周回表面111に沿って矢印Wの向きに伝搬する。表面プラズモンは金属膜120の表面の状態に応じて変化する。表面プラズモンを発生させた回廊波は対向表面142を介して光透過部材140に伝達されて、光透過部材140を透過する出力光になる。
【0037】
出力光は光透過部材140を透過して光透過基材110とは反対側の光透過部材140の面から矢印Oの方向に出射する。光が出射する光透過部材140の部分は出射部144として用いられている。平坦な金属膜520に表面プラズモンを発生させる従来の表面プラズモン素子(図10参照)のように、出射部144から出射した光の状態、例えば強度又は位相は入射角に依存する。この従来の表面プラズモン素子と同様に、金属膜120の表面の状態に応じて光の強度又は位相の谷の底がずれる。即ち、金属膜120の表面の状態に応じて光の状態が変化する。
【0038】
周回表面111を周回する回廊波の位相速度の広がりは小さい。このために、それによって励起される表面プラズモンの位相速度の広がりも比較的小さい。
【0039】
上述したように出射部144から出射した出力光の状態は対向表面142に導かれた入力光の入射角に依存するが、出力光の状態は入力光の波長にも依存する。波長に対する出力光の強度又は位相のグラフも谷をもつ。金属膜120の表面の状態に応じてこの谷の底はずれる。
【0040】
本実施の形態では金属膜120は対向表面142に接しているが、間隔をおいていても良い。この場合、対向表面142と金属膜120との間隔は、入力光の波長以下である。好ましくは、この間隔は光の波長の数分の1以下である。また、入射部143と出射部144の少なくとも一方にはレンズやプリズムなどの光学素子が設けられていても良い。また、金属膜120は光透過基材110の表面の全体に設けられずに、周回表面111の少なくとも一部に設けられていても良い。特に、対向表面142に接する、金属膜120の部分121が切り欠かれていて、周回表面111が露出していても良い。この場合、回廊波が発生しやすくなる。また、本実施の形態では光透過基材110は球状であるが、光透過基材110は、これの表面の少なくとも一部が球面であるよう成形されていても良い。例えば、光透過基材110の形状は、一部が切り欠かれた球の形状であっても良い。球面を有するリング状であっても良い。光透過基材110の形状は筒状であっても良い。光透過基材の表面を周回する周回表面は、光透過基材の長さ方向に垂直な面内で延びる。光透過基材110の内部には空洞があっても良い。この場合、この空洞は、回廊波が周回表面111の内側を安定して伝搬できるよう、周回表面111から離れていても良い。
【0041】
次に、図1を参照して第1の実施の形態の検査装置を説明する。検査装置は第1の実施の形態の表面プラズモン素子を用いている。検査装置は、光透過部材140に入力光を入射して入力光を対向表面142に導く入力光導入手段と、出射部144から出射する出力光を検出する出力光検出手段とを備えている。入力光導入手段は光源150を有している。出力光検出手段は光検出器160を有している。光源150は対向表面142に導かれた入力光の入射角と波長を変えることができる。光源150は対向表面142に全反射角よりも大きい入射角で入力光を入射させる。
【0042】
光透過部材140から取り外された伝搬部材100の金属膜120には化学物質などの被検体が付着させられる。この後、伝搬部材100は光透過部材140に取り付けられる。付着させられた被検体の種類や状態に応じて金属膜120の表面状態が変化すると、金属膜120にて発生した表面プラズモンの状態が変化する。この結果、出射部144から出射した出力光の状態が変化する。尚、出射部144からは出力光以外の光、例えば入射部143から対向表面142に入射した入力光の内、対向表面142にて直接反射した光なども出射する。出力光の状態の変化は、入力光の内、表面プラズモンを発生させた、特定の波長をもつ光の強度が低下することなどに起因する。出力光の状態の変化は光検出器160に接続された処理部161に渡される。処理部161は、出力光の状態に基づいて被検体の種類や状態を決定する。
【0043】
表面プラズモン素子から出射した出力光の状態は金属膜120の表面の状態を鋭敏に反映するので、被検体が感度良く検査される。
【0044】
特定の場所にて被検体を伝搬部材100に付着させた後、別の場所で伝搬部材100を光透過部材140に取り付けて検査を行っても良い。生体物質、例えば動物の消化液を検査するときには、伝搬部材100を動物に飲み込ませ、これを***させる。配設された伝搬部材100は光透過部材140に取り付けられる。
【0045】
次に、図2及び図3を参照して本発明の第2の実施の形態の表面プラズモン素子を説明する。図2は表面プラズモン素子の概略的な側面図である。本実施の形態の表面プラズモン素子は、第1の実施の形態の表面プラズモン素子の伝搬部材100と基本的に同じものを有している。特に、本実施の形態の表面プラズモン素子の光透過基材の屈折率は、第1の実施の形態の表面プラズモン素子のものと同じである。第1の実施の形態の伝搬部材100の構成部材と実質的に同一の構成部材は、第1の実施の形態の対応する構成部材を指示していた参照符号と同じ参照符号を付して詳細な説明を省略する。伝搬部材100には光透過部材として用いられている光ファイバ240が接している。光ファイバ240の表面には金属膜120に対向する対向表面241が含まれている。本実施の形態では対向表面241は金属膜120に接している。対向表面241近傍において、光ファイバ240は周回表面111に囲まれている平面と平行に延びている。
【0046】
入力光が光ファイバ240を矢印Lの方向に透過して、対向表面241に導かれると、矢印Wの方向に周回表面111に沿って周回する回廊波が発生する。回廊波は金属膜120にて表面プラズモンを発生させる。表面プラズモンを発生させた回廊波は対向表面241を介して光ファイバ240に伝達されて、光ファイバ240を透過する出力光になる。出力光は矢印Lの方向に向かう。第1の実施の形態の表面プラズモン素子と同様に、出力光の状態、例えば強度又は位相は金属膜120の表面の状態に応じて変化する。
【0047】
光ファイバ240は、光ファイバ240を透過する光の波数ベクトルの方向が光ファイバ240にほぼ沿うよう比較的細くされている。これにより、光ファイバ240を透過する光の波数ベクトルの方向は、周回表面111の接線方向とほぼ一致する。このため、入力光が対向表面241に導かれると、周回表面111の内側を周回する回廊波が発生する。回廊波の周回中に回廊波が金属膜120に表面プラズモンを発生させると、回廊波は減衰する。
【0048】
伝搬部材100と光ファイバ240は保持部材270にて保持されている。図3は図2の3C−3C断面線にて切断された表面プラズモン素子の断面図である。図2では保持部材270は省略されている。保持部材270は、下を向いた伝搬部材100の部分、即ち光ファイバ240に対向する部分と、側方に向いた伝搬部材100の部分を囲んでいる。下を向いた伝搬部材100の部分を囲む保持部材270の部分には溝271が形成されている。溝271には光ファイバ240入れられている。
【0049】
光透過基材110の内部には光吸収部材280が入れられている。光吸収部材280は周回表面111から離れている。光吸収部材280は周回表面111を周回する回廊波以外の光を吸収する。光吸収部材280の形状は、回廊波以外の光が効率よく吸収されるよう、適切に設定されている。本実施の形態では光吸収部材280の形状は球状であり、光吸収部材280は球状である光透過基材110のほぼ中心に位置しているが、本発明はこれに限定されない。
【0050】
本実施の形態では対向表面241は金属膜120に接しているが、対向表面241は金属膜120と間隔をおいていても良い。この場合、対向表面241と金属膜120との間隔は好ましくは入力光の波長以下、より好ましくは入力光の波長の数分の1以下である。
【0051】
次に、図4を参照して第2の実施の形態の検査装置を説明する。図4は検査装置の構成を示す概略図である。検査装置は第2の実施の形態の表面プラズモン素子を用いている。光ファイバ240の一端には比較的太い光ファイバ242が接続されている。光ファイバ240の他端には比較的太い光ファイバ243が接続されている。光ファイバ240の対向表面241(図2参照)は光ファイバ240の一端と他端の間に位置している。光ファイバ242,243の光ファイバ240と接続されている部分にはテーパが設けられている。比較的太い光ファイバ242,243は光を挿入しやすく減衰も少ない。一方、上述のように光ファイバ240は細くされている。従って、光ファイバ240は折れやすいので保持部材270(図示せず)にて保持されている。
【0052】
光ファイバ240とは反対側にある光ファイバ242の端には、光源250が接続されている。光源250は波長を変えながら入力光を光ファイバ242に入射する。光源250には白色光を出射できるものを用いても良いし、複数の波長の光を出射できるものを用いても良い。光源250は光ファイバ240の一端側から光を対向表面241(図2参照)に導く入力光導入手段として用いられている。光ファイバ240とは反対側にある光ファイバ243の端には、光検出器260が接続されている。光検出器260は、対向表面241から光ファイバ240の他端に向かう出力光を検出する出力光検出手段として用いられている。光検出器260に検出された光の状態は、光検出器260に接続された処理部261に渡される。処理部161は、光の状態に基づいて被検体の種類や状態を決定する。
【0053】
処理部261では、入力光の波長に対する出力光の状態、例えば強度又は位相のグラフが作成される。処理部261はこのグラフの谷の底のずれに基づいて被検体の種類や状態を決定する。上述したように、伝搬部材100には周回する回廊波以外の光を吸収する光吸収部材280が設けられている。回廊波以外の光が伝搬部材100から光ファイバ240に伝達されて、この光が出力光に混じると、出力光の強度又は位相のグラフはより複雑になる。グラフが複雑になると、グラフの谷の底のずれに基づいて被検体の種類や状態を決定することが難しくなる。検査装置には光吸収部材280が用いられているので、被検体は感度良く検査される。
【0054】
次に、図5を参照して本発明の第3の実施の形態の検査装置を説明する。検査装置は第2の実施の形態の表面プラズモン素子を用いている。図5は検査装置の構成を示す概略図である。本実施の形態の検査装置の構成は、基本的に第2の実施の形態の検査装置のものと同じである。本実施の形態において、図4を参照して説明した第2の実施の形態の検査装置の構成部材と実質的に同一の構成部材は、第2の実施の形態の検査装置の対応する構成部材を指示していた参照符号と同じ参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
本実施の形態の検査装置では、光検出器260の代わりに、光ファイバ243の端に反射体246が接続されている。即ち、反射体246は、光源250とは反対側にある光ファイバ240の一端側に設けられている。反射体246は、光ファイバ240を透過しこの一端側に向かう光を反射して、この光を光ファイバ240の他端側に向かわせる。対向表面241は光ファイバ240の一端と他端の間に位置している。光源250と光ファイバ242の間には光ファイバ244とともに光を分岐する光分岐素子245が配置されている。光分岐素子245は光ファイバ247を介して光検出器260が接続されている。
【0056】
光源250は光ファイバ240の他端側から入力光を対向表面241(図2参照)に導く。即ち、光源250により光ファイバ244に入射された入力光は、光分岐素子245、光ファイバ242を通過して光ファイバ240の対向表面241に導かれる。出力光は対向表面241から光ファイバ240の一端側に向かい、反射体246にて反射し、光ファイバ240の他端側に向かう。この出力光は光分岐素子245により、光源250に向かう光と光検出器260に向かう光とに分岐される。光検出器260により検出された出力光の状態は処理部261に渡される。
【0057】
第2及び第3の実施の形態の検査装置は、光ファイバを有する第2の実施の形態の表面プラズモン素子を用いた検査装置の一例である。その他、多様な光学系設計が許される。
【0058】
次に、図6を参照して本発明の第3の実施の形態の表面プラズモン素子を説明する。図6は表面プラズモン素子の概略的な側面図である。本実施の形態の表面プラズモン素子の構成は、基本的に第2の実施の形態の表面プラズモン素子のものと同じである。本実施の形態において、図2及び図3を参照して説明した第2の実施の形態の表面プラズモン素子の構成部材と実質的に同一の構成部材は、第2の実施の形態の表面プラズモン素子の対応する構成部材を指示していた参照符号と同じ参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
本実施の形態の表面プラズモン素子はさらに光ファイバ290を有している。第2の実施の形態の表面プラズモン素子に用いられていた光ファイバ240、対向表面241はそれぞれ本実施の形態では第1の光透過部材、第1の対向表面として用いられている。光ファイバ290は第2の光透過部材として用いられている。光ファイバ290は伝搬部材100に接している。光ファイバ290の表面には金属膜120に対向する第2の対向表面291が含まれている。本実施の形態では第2の対向表面291は金属膜120に接している。周回表面111、第1の対向表面241の近傍にある光ファイバ240の部分、及び第2の対向表面291の近傍にある光ファイバ290の部分は同一平面内で延びている。
【0060】
入力光が矢印L1の方向に光ファイバ240を透過して第1の対向表面241に導かれると、矢印Wの方向に周回表面111の内側を周回する回廊波が発生する。回廊波は金属膜120にて表面プラズモンを発生させる。表面プラズモンを発生させた回廊波は前記第2の対向表面291を介して光ファイバ290に伝達されて、光ファイバ290を矢印L2の方向に透過する出力光になる。
【0061】
第2の実施の形態の表面プラズモン素子では、入力光と出力光がともに1つの光ファイバ240を透過するが、本実施の形態の表面プラズモン素子では入力光と出力光がそれぞれ個別の光ファイバ240,290を透過する。
【0062】
本実施の形態では第2の対向表面291は金属膜120に接しているが、第2の対向表面291は金属膜120と間隔をおいていても良い。この場合、第2の対向表面291と金属膜120との間隔は好ましくは出力光の波長以下、より好ましくは出力光の波長の数分の1以下である。
【0063】
次に、図7を参照して本発明の第4の実施の形態の検査装置を説明する。図7は検査装置の概略的な側面図である。本実施の形態の検査装置の構成は、基本的に第1の実施の形態の検査装置のものと同じである。本実施の形態において、図1を参照して説明した第1の実施の形態の検査装置の構成部材と実質的に同一の構成部材は、第1の実施の形態の検査装置の対応する構成部材を指示していた参照符号と同じ参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0064】
本実施の形態の検査装置はさらに光ファイバ290を有している。第1の実施の形態の検査装置に用いられていた光透過部材140、対向表面142はそれぞれ本実施の形態では第1の光透過部材、第1の対向表面として用いられている。光ファイバ290は第2の光透過部材として用いられている。光ファイバ290は伝搬部材100に接している。光ファイバ290の表面には金属膜120に対向する第2の対向表面291が含まれている。本実施の形態では第2の対向表面291は金属膜120に接している。周回表面111、第2の対向表面291の近傍にある光ファイバ290の部分は同一平面内で延びている。
【0065】
光源150からの入力光が第1の対向表面142に導かれると、矢印Wの方向に周回表面111の内側を周回する回廊波が発生する。回廊波は金属膜120にて表面プラズモンを発生させる。対向表面142に導かれた入力光の一部は対向表面142で直接反射して出射部144から出射する。表面プラズモンを発生させた回廊波は前記第2の対向表面291を介して光ファイバ290に伝達されて、光ファイバ290を矢印L2の方向に透過する出力光になる。出力光は光ファイバ290に接続された光検出器260により検出される。
【0066】
第1の実施の形態の検査装置では、光検出器160には出力光だけでなく、対向表面142で直接反射した入力光も入射する。本実施の形態では出力光に入力光が混じらないので、検出された出力光の強度(及び/又は位相)のS/Nが向上する。
【0067】
本実施の形態では光ファイバ290は伝搬部材100に接しているが、光ファイバ290は伝搬部材100と間隔をおいていても良い。この場合、第2の対向表面291と金属膜120との間隔は好ましくは出力光の波長以下、より好ましくは出力光の波長の数分の1である。この間隔が出力光の波長の数分の1であると、回廊波は、表面プラズモンの影響を受けながら多数回、周回表面111を周回した後、光ファイバ290に伝達されて出力光になる。これにより、出力光は金属膜120の表面の状態をより良く反映する。
【0068】
次に、図8を参照して本発明の第5の実施の形態の検査装置を説明する。図8は検査装置の斜視図である。基板370上には、所定の経路に沿って延びている光導波路340が形成されている。光導波路340は光を透過し、所定の経路に沿って光を導く光透過部材として用いられている。光透過部材として光導波路340の代わりに光ファイバを用いても良い。光導波路340の経路の形状ははしご形である。光導波路340は互いに並列している主光導波路341,342を有している。主光導波路341,342の間には、1以上の副光導波路343がわたっている。光導波路340には光スイッチ344が設けられている。光スイッチ344は主光導波路341,342と副光導波路343との交点に配置されている。光導波路340は光を透過し、所定の経路に沿って光を導く光透過部材として用いられている。光スイッチ344は配線371を介して図示しない駆動回路に接続されている。本実施の形態では光導波路340の経路の形状ははしご形であるが、経路の形状はこれに限定されない。
【0069】
光導波路340の経路上には、第1の実施の形態の表面プラズモン素子に用いられている伝搬部材100と同じものが1以上配置されている。伝搬部材100には、第2の実施の形態の表面プラズモン素子のように光吸収部材が設けられていても良い。伝搬部材100はそれぞれの副光導波路343に1つずつ接している。それぞれの副光導波路343の表面には伝搬部材100の金属膜120(図1参照)に対向する対向表面343aが含まれている。本実施の形態では対向表面343aは金属膜120に接している。
【0070】
主光導波路341には光源350が接続されている。光源350は、光導波路340に光を入射して光を対向表面343aの少なくとも1つに導く入力光導入手段として用いられている。主光導波路342には光検出器360が接続されている。光検出器360はそれぞれの対向表面343aから出力される出力光を検出する出力光検出手段として用いられている。
【0071】
この検査装置を用いれば、複数の種類の被検体を一度に検査することができる。被検体を検査する検査方法を説明する。先ず、基板370から取り外されたそれぞれの伝搬部材100の金属膜120に被検体を付着させる。この後、伝搬部材100は基板370に取り付けられる。これらの被検体の種類は全て異なっていても良い。また、同じ種類の被検体が複数の伝搬部材100の金属膜120にそれぞれ付着させられても良い。第1の実施の形態の表面プラズモン素子のように、特定の場所にてそれぞれの被検体をこれらの伝搬部材100に付着させた後、別の場所で伝搬部材100を一括して基板370に取り付けて検査を行っても良い。
【0072】
基板370には伝搬部材100が嵌合する窪みが形成されていても良い。この場合、伝搬部材100がこの窪みに嵌合したときに対向表面343aが金属表面120に接するよう、副光導波路343は窪みの表面に沿って延びる。基板370上に伝搬部材100をまき散らせば、容易に伝搬部材100を窪みに嵌合させることができる。
【0073】
次に、入力光を所望の対向表面343aに導く。このとき、光源350を用いて主光導波路341に入力光を入射し、光スイッチ344を駆動して所望の対向表面343aを有する副光導波路343に入力光を導く。所望の対向表面343aに入力光が導かれると、第1の実施の形態の表面プラズモン素子と同様に対向表面343aから出力光が出力される。出力光は光スイッチ344及び主光導波路342を介して光スイッチ344に至る。
【0074】
光スイッチとは、電気的に光の伝搬を入切したり、或いは伝搬経路を変えたりすることができる素子や部品を総称しており、一般に良く知られた多くの素子や部品があるので、ここでは説明を行わない。
【0075】
光スイッチ344を用いて出力光を検出する。この後、出力光の状態に基づいて所望の対向表面343aに接した伝搬部材100の被検体の種類や状態を決定する。決定は、光検出器360に接続された処理部361により行われる。
【0076】
別の対向表面343aに入力光が導かれるよう光スイッチ344を駆動して光導波路340の光路を変更した後、出力光を検出すれば、この別の対向表面343aに接した伝搬部材100の被検体の種類や状態を決定できる。光路の変更と出力光の検出を順次行えば、それぞれの被検体の種類や状態を順次決定できる。
【0077】
この検査装置は、被検体の種類が多い場合に有効である。特にタンパク質の特定に有効である。本実施の形態の検査装置を用いれば、このような検査を短時間で行うことができる。極めて多くの種類の被検体を一度に検査することができる。
【0078】
本実施の形態では対向表面343aは伝搬部材100の金属膜120(図1参照)に接しているが、対向表面343aは金属膜120と間隔をおいていても良い。この場合、対向表面343aと金属膜120との間隔は好ましくは入力光の波長以下、より好ましくは入力光の波長の数分の1以下である。
【0079】
次に、図9を参照して本発明の第6の実施の形態の検査装置を説明する。図9は検査装置の斜視図である。基板470上には、1以上の光導波路440が形成されている。光導波路340は並列している。光導波路340は光透過部材として用いられている。光透過部材として光ファイバを用いても良い。
【0080】
基板470の上には筒状の光透過基材410が配置されている。光透過基材410は光導波路340に接している。筒状の光透過基材410の表面には金属膜420が形成されている。光透過基材410の表面上には光透過基材410の表面を周回する1以上の周回表面411がある。それぞれの周回表面411は、光透過基材410の長さ方向に垂直な面内で延びている。それぞれの周回表面411上の金属膜420には被検体が付着させられる。それぞれの周回表面411上の金属膜420には光導波路340の表面に含まれている対向表面421が対向している。本実施の形態では対向表面421は金属膜420に接している。
【0081】
光導波路440には、対向表面421に入力光を導く光源450が接続されている。入力光が対向表面421に導かれると、周回表面411に沿って周回表面411の内側を周回する回廊波が発生する。回廊波は金属膜420にて表面プラズモンを発生させる。表面プラズモンを発生させた回廊波は対向表面421を介して光導波路440に伝達されて、光導波路440を透過する出力光になる。出力光は光導波路440に接続された光検出器460により検出される。光検出器460に接続された処理部461は、出力光の状態に基づいて被検体の種類や状態を決定する。対向表面421に順次光を導けば、第3の実施の形態の検査装置の検査方法と同様にして極めて多くの種類の被検体を一度に検査できる。
【0082】
本実施の形態では対向表面421は金属膜420に接しているが、対向表面421は金属膜420と間隔をおいていても良い。この場合、対向表面421と金属膜420との間隔は好ましくは出力光の波長以下、より好ましくは出力光の波長の数分の1以下である。
【0083】
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【0084】
【発明の効果】
本発明に従った表面プラズモン素子は、表面プラズモン素子の表面プラズモン媒体膜の表面の状態を鋭敏に検知できるとともに、小型で扱いが容易である。また、本発明に従った検査装置を用いれば、化学物質などの被検体を感度良く検査できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における表面プラズモン素子及びこの表面プラズモン素子を用いた第1の実施の形態における検査装置の概略的な側面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態における表面プラズモン素子の概略的な側面図。
【図3】図2の3C−3C断面線にて切断された表面プラズモン素子の断面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態における検査装置の構成を示す概略図。
【図5】本発明の第3の実施の形態における検査装置の構成を示す概略図。
【図6】本発明の第3の実施の形態における表面プラズモン素子の概略的な側面図。
【図7】本発明の第4の実施の形態における検査装置の概略的な側面図。
【図8】本発明の第5の実施の形態における検査装置の斜視図。
【図9】本発明の第6の実施の形態における検査装置の斜視図。
【図10】従来の表面プラズモン素子の概略的な断面図。
【図11】図10の表面プラズモン素子における入射角に対する反射強度のグラフ。
【符号の説明】
100…伝搬部材
110…光透過基材
111…周回表面
120…金属膜(表面プラズモン媒体膜)
140…光透過部材
142…対向表面,第1の対向表面
150…光源(入力光導入手段)
160…光検出器(出力光検出手段)
240…光ファイバ
241…対向表面,第1の対向表面
246…反射体
250…光源(入力光導入手段)
260…光検出器(出力光検出手段)
280…光吸収部材
290…光ファイバ
291…第2の対向表面
340…光導波路(光透過部材)
343a…対向表面
344…光スイッチ
350…光源
360…光検出器
410…光透過基材
411…周回表面
420…金属膜(表面プラズモン媒体膜)
421…対向表面
440…光導波路(光透過部材)
450…光源(入力光導入手段)
460…光検出器(出力光検出手段)
Claims (19)
- 光を透過する光透過部材と、
この光透過部材に対向している、光を透過する光透過基材と、
この光透過基材の表面を周回する周回表面と、
この周回表面の上に形成されていて、表面プラズモンが発生する材料で形成されている表面プラズモン媒体膜と、
前記光透過部材の表面に含まれていて、この表面プラズモン媒体膜に対向する対向表面と、
を備えており、
入力光が前記光透過部材を透過して前記対向表面に導かれると、前記周回表面に沿って周回表面の内側を周回する回廊波が発生し、
この回廊波は前記表面プラズモン媒体膜にて表面プラズモンを発生させ、
表面プラズモンを発生させたこの回廊波は前記対向表面を介して前記光透過部材に伝達されて、前記光透過部材を透過する出力光になることを特徴とする表面プラズモン素子。 - 前記光透過基材の表面の少なくとも一部は球面であり、前記周回表面はこの球面に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン素子。
- 前記対向表面と前記表面プラズモン媒体膜との間隔は、前記入力光の波長以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面プラズモン素子。
- 前記光透過部材は、光ファイバを含んでいることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の表面プラズモン素子。
- 前記光透過部材は、光導波路を含んでいることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の表面プラズモン素子。
- 光を透過する第1の光透過部材と、
光を透過する第2の光透過部材と、
第1及び第2の光透過部材に対向している、光を透過する光透過基材と、
この光透過基材の表面を周回する周回表面と、
この周回表面の上に形成されていて、表面プラズモンが発生する材料で形成されている表面プラズモン媒体膜と、
前記第1の光透過部材の表面に含まれていて、この表面プラズモン媒体膜に対向する第1の対向表面と、
前記第2の光透過部材の表面に含まれていて、この表面プラズモン媒体膜に対向する第2の対向表面と、
を備えており、
入力光が前記第1の光透過部材を透過して前記第1の対向表面に導かれると、前記周回表面に沿って周回表面の内側を周回する回廊波が発生し、
この回廊波は前記表面プラズモン媒体膜にて表面プラズモンを発生させ、
表面プラズモンを発生させたこの回廊波は前記第2の対向表面を介して前記第2の光透過部材に伝達されて、第2の光透過部材を透過する出力光になることを特徴とする表面プラズモン素子。 - 前記光透過基材の表面の少なくとも一部は球面であり、前記周回表面はこの球面に含まれていることを特徴とする請求項6に記載の表面プラズモン素子。
- 前記第1の対向表面と前記表面プラズモン媒体膜との間隔は前記入力光の波長以下であり、前記第2の対向表面と前記表面プラズモン媒体膜との間隔は、前記出力光の波長以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載の表面プラズモン素子。
- 前記第1の光透過部材と前記第2の光透過部材との少なくとも一方は、光ファイバを含んでいることを特徴とする請求項6乃至8いずれか1項に記載の表面プラズモン素子。
- 前記光透過基材の形状は筒状であり、前記周回表面は光透過基材の長さ方向に垂直な面内で延びていることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項に記載の表面プラズモン素子。
- 請求項1乃至3いずれか1項に記載の表面プラズモン素子であって、前記表面プラズモン媒体膜には被検体が付着させられる表面プラズモン素子と、
前記光透過部材に入力光を入射してこの入力光を前記対向表面に導く入力光導入手段と、
前記出力光を検出する出力光検出手段と、
を備えていることを特徴とする検査装置。 - 前記光透過部材は、光ファイバを含んでいることを特徴とする請求項11に記載の検査装置。
- 前記対向表面は前記光ファイバの一端と他端の間に位置しており、前記入力光導入手段は光ファイバの一端側から入力光を対向表面に導き、前記出力光検出手段は対向表面から光ファイバの他端に向かう出力光を検出することを特徴とする請求項12に記載の検査装置。
- 前記検査装置は、前記光ファイバの一端側に設けられていて、この光ファイバを透過しこの一端側に向かう光を反射して、この光を光ファイバの他端側に向かわせる反射体をさらに備えており、
前記対向表面は前記光ファイバの一端と他端の間に位置しており、
前記入力光導入手段は前記光ファイバの他端側から入力光を前記対向表面に導き、
前記出力光検出手段は、前記対向表面から前記光ファイバの一端側に向かい、前記反射体にて反射し、この光ファイバの他端側に向かう出力光を検出することを特徴とする請求項12に記載の検査装置。 - 光を透過し、所定の経路に沿って光を導く光透過部材と、
光を透過する1以上の光透過基材であって、この所定の経路上に配置されていて、前記光透過部材に対向している光透過基材と、
前記それぞれの光透過基材の表面を周回する周回表面と、
前記それぞれの周回表面の上に形成されていて、表面プラズモンが発生する材料で形成されている表面プラズモン媒体膜であって、に被検体が付着させられる表面プラズモン媒体膜と、
前記光透過部材の表面に含まれていて、前記表面プラズモン媒体膜にそれぞれ対向する対向表面と、
前記光透過部材に入力光を入射してこの入力光を前記対向表面の少なくとも1つに導く入力光導入手段であって、対向表面に入射光が導かれると、前記周回表面に沿って周回表面の内側を周回する回廊波が発生し、
前記回廊波は前記表面プラズモン媒体膜にて表面プラズモンを発生させ、
表面プラズモンを発生させた前記回廊波は対向表面を介して光透過部材に伝達されて、光透過部材を透過する出力光になる入力光導入手段と、
前記出力光を検出する出力光検出手段と、
を備えていることを特徴とする検査装置。 - 前記光透過基材の表面の少なくとも一部は球面であり、前記周回表面はこの球面に含まれていることを特徴とする請求項15に記載の検査装置。
- 前記対向表面と前記表面プラズモン媒体膜との間隔は、前記入力光の波長以下であることを特徴とする請求項15又は16に記載の検査装置。
- 前記光透過部材は、前記所定の経路に沿って延びている光導波路を含んでいることを特徴とする請求項15乃至17いずれか1項に記載の検査装置。
- 前記検査装置は光導波路に設けられた光スイッチをさらに備えていることを特徴とする請求項18に記載の検査装置。
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