JP3903577B2 - 電子放出素子用ダイヤモンド部材、その製造方法及び電子デバイス - Google Patents

電子放出素子用ダイヤモンド部材、その製造方法及び電子デバイス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子放出素子用ダイヤモンド部材、その製造方法及びフィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)や電界放射顕微鏡(FEM)等の電子放出素子用ダイヤモンド部材を用いた電子デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の半導体技術の微細加工の進展と共に、真空マイクロエレクトロニクスの分野が急速に発達している。この結果、表示等の機能を有する次世代の電子デバイスの一つとして、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)が期待されるようになった。これは、FEDが従来のCRTディスプレイと異なり、電界放出型の電子放出素子として機能する微小電極が2次元状に配列されているので、電子の偏向・収束が原則不要となって薄型化・平板化等が容易に図れるからである。
【0003】
このような微小電極に用いられる材料としてはダイヤモンドが近年注目されている。これは、ダイヤモンドには電子親和力が負という電子放出素子として非常に有利な性質があるからである。したがって、ダイヤモンドを尖鋭化して微小電極に適用すれば、低電圧でもって電子の放出が可能となる。
【0004】
尖鋭化したダイヤモンドの製造方法としては、以下の方法が報告されている。例えば、特開平7−94077号公報では、部分的にマスクされているダイヤモンド基板をエッチングすることにより、基板表面から突出した尖鋭化ダイヤモンドが得られることが報告されている。また、NEW DIAMOND,39,vol11,No.4,p.24〜p.25(1995)によれば、Cu基板上に結晶粒界のない尖鋭化した形状を有する孤立粒子ダイヤモンドが(111)面に配向して得られることが報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電子放出素子においては、十分な電子放出を行うことができなかった。本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、十分な電子放出を行うことが可能な電子放出素子、その製造方法及び電子デバイスを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために、結晶粒界のない単結晶ダイヤモンドにまず着目した。単結晶ダイヤモンドには様々な結晶形態が存在する。図1(a)〜図1(e)は、ダイヤモンド単結晶の様々形態のうち代表的なものを示した斜視図である。図1(a)〜図1(e)に明示されるように、ダイヤモンド単結晶1〜5は結晶面で囲まれたところで尖鋭化している。また、この場所では炭素原子が1つしかなく、電子顕微鏡等による微視的な原子レベルで、尖鋭化が極限に達している。特に、ダイヤモンド1,3,5では、尖鋭化したところの曲率半径が非常に小さくなっている。
【0007】
ところで、ダイヤモンドは立方晶系に属し、図1(a),図1(c)及び図1(e) の尖鋭化したところは、それぞれ結晶方位<111>方向、<110>方向及び<100>方向上に位置している。しかも、これらの方向はそれぞれ面指数{111}面、{110}面及び{100}面に垂直である。ここで、結晶方位とは、単位格子の共通点を通る3つの稜の座標軸である結晶軸を基準にして面指数で表す結晶固有の方向をいい、面指数とは、共通点から面が結晶軸と交わる点までの距離を結晶軸の単位長さで割った値の逆数をいう。
【0008】
したがって、このような単結晶ダイヤモンド1,3,5が、このような面指数を有する基材上の所望の位置に、ホモエピタキシャル成長等により一体的に形成されれば、基材に対して垂直上方に原子レベルで尖鋭化して、上記問題が解決されることになる。そこで、本発明者等はこの点を考慮して以下に述べる発明に至ったのである。
【0009】
すなわち、本発明の電子放出素子は、ダイヤモンド基板と、電子放出可能な形状の先端部を有するようにダイヤモンド基板の表面上に成長させたダイヤモンド突起とを有し、ダイヤモンド突起は内部に核となる***部分を有することを特徴とする。成長によって形成されたダイヤモンド突起は非常に尖鋭な先端部を有するため、十分な電子放出が可能である。
【0010】
また、ダイヤモンド基板の表面は{100}面であり、ダイヤモンド突起は{111}面によって囲まれていることが望ましい。ダイヤモンド基板の表面は{110}面であり、ダイヤモンド突起は{111}面及び{100}面によって囲まれていてもよい。ダイヤモンド基板の前記表面は{111}面であり、ダイヤモンド突起は{100}面によって囲まれていてもよい。
【0011】
このようなダイヤモンド部材のダイヤモンド突起、すなわち突起部分はいずれも、ダイヤモンドの結晶構造の対称性に支配された固有の結晶面で囲まれて、いわゆる自形が現れている。この場合、突起部分の電気的及び機械的特性等は単結晶ダイヤモンド本来のものになっている。また、突起部分は原子レベルで尖鋭化されるようになり、基材表面の面指数によって決まる形状を有している。さらに、突起部分の表面はエネルギ的にも非常に安定している。かくして、品質の揃ったダイヤモンド部材が容易に得られるようになる。
【0012】
しかしながら、前述したように、ダイヤモンドは負の電子親和力を有し、電子放出の特性が優れた材質であるため、その突起先端が完全には尖っていない状態、すなわち、先端に微小面積の平面や稜線を残した状態にすることで、放出電子の電流を増やす効果も期待できる。すなわち、十分な電子放出可能なダイヤモンド突起の形状としては以下のものが列挙される。
【0013】
まず、ダイヤモンド突起は、先端部が露出した四角錘部を有することが望ましい。特に、{100}ダイヤモンド基板を用いた場合には、四角錘部の裾側に四角錘台部が広がっている。詳説すれば、このダイヤモンド突起は、その上面が四角錘部の底面に、その底面が前記ダイヤモンド基板の表面に連続した四角錘台部を有し、四角錘台部の側稜線とダイヤモンド基板の表面のなす角度は、四角錘部の側稜線とダイヤモンド基板の表面のなす角度よりも小さい。
【0014】
また、ダイヤモンド突起は上面が露出した四角錘台部を有することとしてもよい。
【0015】
さらに、ダイヤモンド突起は、基板表面と平行な第1稜線と、第1稜線の一端から表面に向かって広がるように延びた第2及び第3稜線と、第1稜線の他端から表面に向かって広がるように延びた第4及び第5稜線と、によって囲まれる形状を有することとしてもよい。
【0016】
ダイヤモンド基板がダイヤモンド突起と格子整合するように、ダイヤモンド基板は単結晶ダイヤモンドであることが望ましい。これにより、突起に結晶欠陥が導入されにくくなり、品質の低下が抑制されるからである。なお、ダイヤモンド基板としては多結晶ダイヤモンドを用いることもできる。
【0017】
また、本発明の電子放出素子の製造方法は、(a)ダイヤモンド基板を用意する工程と、(b)ダイヤモンドの表面上に前記ダイヤモンド基板の一部をエッチングすることによってダイヤモンドの***部分を形成する工程と、(c)***部分を核にして、***部分にダイヤモンドを気相合成によりエピタキシャル成長させてダイヤモンド突起を形成する工程と、を備える。
【0018】
このように、結晶成長の核を***部分として意図的に基材上に設けた結果、突起部分を基材の表面に一体的に形成する位置を一意的に決めることができるので、かかるダイヤモンド部材からなる電子放出素子を容易に製造することができる。
【0019】
突起部分のダイヤモンドを表面上で好適にエピタキシャル成長させるため、表面を{100}面、{110}面及び{111}面からなる群から選ばれたものとするのがよい。
【0020】
また、***部分のダイヤモンドを基材と格子整合させて、結晶欠陥の導入を抑制するために、基材を単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドとするのがより好適である。これにより、***部分に形成される突起部分に結晶欠陥を伝搬させることなく、ダイヤモンド部材の品質低下を防止することができる。
【0021】
また、表面が{100}面である場合は、成長速度の比を√3以上とするのが望ましい。表面が{111}面である場合には、成長速度の比を1/√3以下とするのが望ましい。さらに、表面が{110}面である場合には、成長速度の比を(√3)/2とするのが望ましい。
【0022】
このように、基材表面の有する面指数に応じて、***部分にエピタキシャル成長させるダイヤモンドの<111>方向の成長速度に対する<100>方向の成長速度の比を変えることにより、突起部分の尖鋭化を好適に行うことができるようになる。なお、この値の根拠は、ダイヤモンドの結晶構造が立方晶系に属し、{100}面の面間隔に対する{111}面の面間隔の比が√3であることに基づいている。
【0023】
また、上記工程(b)は、ダイヤモンド基板の表面の前記***部分を形成すべき部分上にマスクを形成する工程と、ダイヤモンド基板の表面の前記マスクを形成しない部分をエッチングする工程と、エッチング後に前記マスクを取り除く工程とを有することが好ましい。これにより、***部分を基材表面の所望の位置に形成することができる。
【0024】
また、上記工程(b)は、ダイヤモンド基板の表面の***部分を形成すべきところのみを露出させるようにマスクを形成する工程と、ダイヤモンド基板の表面の***部分を形成すべきところに、気相合成によりダイヤモンドをエピタキシャル成長させる工程と、エピタキシャル成長後にマスクを取り除く工程と、を有することとしてもよい。
【0025】
***部分の高さについては高すぎると、側面から異常成長が生じるおそれがある。また、***部分の直径が大きすぎると、突起部分の先鋭化に非常に長い時間が必要とされる。このため、例えば表面が{110}の場合は、突起部分に{110}面の自形が現れないので、基材表面が荒れるいう問題が生じる。そこで、***部分を、1〜100μmの高さと0.5〜10μmの直径とを有する略円柱の形状とするのが望ましい。***部分をこのような大きさにすることにより、異常成長が発生じることなく、突起部分の先鋭化のための時間の低減を図ることができるので、突起部分を好適に尖鋭化することができる。特に、***部分を2〜10μmの高さと0.5〜10μmの直径とを有する略円柱の形状にすれば、突起部分の尖鋭化をより顕著にすることができ、後述する電子デバイスにも有効に適用できる。
【0026】
換言すれば、前記マスクは***部分を内部に形成すべき開口を有し、開口の直径は前記***部分の直径が0.5〜10μmとなるように設定されることが好ましい。そして、上記エッチング又は上記エピタキシャル成長は***部分の高さが好ましくは1〜100μm、更に好ましくは2〜10μmになるまで行うことが好ましい。
【0027】
また、本発明の電子デバイスは、上記電子放出素子が内部に配置される真空容器と、前記真空容器内に配置され前記電子放出素子との間に電圧が印加される電子引き出し用電極と、を備えることを特徴とする電子デバイス。
【0028】
ダイヤモンド部材からなる電子放出素子のダイヤモンド突起には、上述したように、自形が現れて原子レベルで尖鋭化がされている。このような突起部分は、電界放出に非常に有利な形状を有している。また、突起部分は基材と一体的に形成されて、両者の間には接触抵抗等発生の原因となる界面が存在しない。したがって、突起部分から電子を引き出すために制御電極に印加される電圧が低減されるようになる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0030】
図2は、ダイヤモンド部材10の一部(基本単位部分)の斜視図である。図示のダイヤモンド部材10は、表面が結晶性の高いIb型の単結晶ダイヤモンドの{100}面になっている基材又は基板11と、基材11表面に結晶粒界のないダイヤモンドによって一体的に形成された突起部分、すなわちダイヤモンド突起12とを備えている。
【0031】
ダイヤモンドは立方晶系に属している。このため、表面がダイヤモンドの{100}面である基材11に一体的に形成された突起部分12は、ダイヤモンドの{111}面によって囲まれた結晶形態を有することになる。この場合、突起部分12は、結晶方位<100>方向上で尖鋭化している。この<100>方向は、ダイヤモンド{100}面に対して垂直である。したがって、この突起部分12は基材11表面に対して垂直に尖鋭化して、一体的に形成されるようになる。
【0032】
突起部分12の最先端部では理想的には炭素原子が1つしかない。このため、電子顕微鏡等による微視的な原子レベルでは尖鋭化が極限に達していると共に、曲率半径も小さい。
【0033】
また、突起部分12は、ダイヤモンドの結晶構造の対称性に支配された固有の結晶面によって囲まれ、いわゆる自形が現れている。この場合、突起部分12の電気的及び機械的特性等は、単結晶ダイヤモンド本来のものになっている。しかも、突起部分12の表面はエネルギ的にも非常に安定している。したがって、品質の揃ったダイヤモンド部材10が容易に得られるようになる。
【0034】
特に、本実施形態では、基材がIb型の単結晶ダイヤモンドからなるので、このような基材と突起部分との界面で両者が格子整合し、突起部分に結晶欠陥が導入されにくい。その結果、ダイヤモンド部材は優れた品質を有するようになる。
【0035】
ただし、基材はIb型の単結晶ダイヤモンドからなるものに限定されない。基材が天然型のダイヤモンド単結晶からなるものであっても、高い結晶性を有しているので、Ib型の単結晶ダイヤモンド同様の作用効果が生じるようになる。また、結晶性は劣るものの経済性を考慮して、Cu、c−BN等の基板上にヘテロ エピタキシャル成長して得られた単結晶ダイヤモンド膜や、結晶面の配向性の高い多結晶ダイヤモンド膜を基材としても、有用な突起部分は形成されうる。
【0036】
つぎに、本発明のダイヤモンド部材の製造方法について説明する。図3(a)〜図3(e)は、図2の基本単位部分が2次元状に配列されたダイヤモンド部材20を製造する工程の一部を示す斜視図である。
【0037】
まず、表面が{100}面のIb型の単結晶ダイヤモンドからなる基材21を用意する(図3(a))。つぎに、基材21上にレジスト層22を形成し、その上に所望のパターン、例えばピッチ幅が1〜500μmの2次元状のドット状パターンを形成するためのフォトマスク23を配置する。その後、フォトリソグラフィ技術によりレジスト層22に上述したパターンを形成する(図3(b))。そして、エッチング技術によりレジスト層22のパターンに対応したマスク層24を形成する(図3(c))。
【0038】
つぎに、この基材21を反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)法によりドライエッチングし(図3(d))、円柱状の***部分25を基材21上に一体的に形成する。ダイヤモンド部材20の突起部分26が尖鋭化して形成されるよう、***部分25を1〜100μmの高さと0.5〜10μmの直径とを有する略円柱の形状にするのが好適である。
【0039】
すなわち、マスクに形成された開口の直径は0.5〜10μmよりも若干大きく、***部分25の高さが1〜100μmになるまでエッチングを行う。***部分25の高さについては高すぎると、側面から異常成長が生じるおそれがあり、また、***部分25の直径が大きすぎると、突起部分26の先鋭化に非常に長い時間が必要とされるからである。例えば、表面が{110}の場合は、突起部分26に{110}面の自形が現れないので、側面から異常成長が生じて基材が荒れるいう問題が生じる。***部分25をこのような大きさにすることにより、異常成長が発生じることなく、突起部分26の先鋭化のための時間の低減を図ることができるので、突起部分26を好適に尖鋭化することができる。特に、***部分25を2〜10μmの高さと0.5〜10μmの直径とを有する略円柱の形状にすれば、突起部分26の尖鋭化を顕著にすることができ、後述する電子デバイスにも有効に適用できる。すなわち、マスクに形成された開口の直径は0.5〜10μmよりも若干大きく、***部分25の高さが2〜10μmになるまでエッチングを行う。
【0040】
ここで、RIE法を用いたのは、***部分が容易に形成可能であるだけでなく、***部分以外の部分を平滑にエッチングするためである。これは、マスク層24に対して垂直に掘りやすいという利点があるからである。このため、基材の***部分とそれ以外の部分との差が明確に現れるようにしている。なお、RIE法で用いられる反応性ガスは、O2をのみ、又は、CF4及びO2を少なくとも含む 混合ガスとするのが好適である。また、混合ガスの体積比はエッチング速度と基材表面の平滑度を考慮して決定されるが、O2の体積分率に対するCF4の体積分率の比を0より大きく0.5以下にすれば、比較的所望の基材表面を得ることができる。
【0041】
つぎに、この基材21上の***部分25をダイヤモンドの気相成長の核としてマイクロ波CVD法によりダイヤモンドをエピタキシャル成長させる。
【0042】
図4は、このマイクロ波CVD法を行うためのマイクロ波CVD装置30の概要を示す図である。マイクロ波CVD装置30の反応室31は、マイクロ波を通すために石英管からなっている。また、反応室31と交差するように導波管32が設けられている。導波管32の一端側には、マグネトロンの発振によりマイクロ波を発生させるマイクロ波電源33とマイクロ波を一方向のみに通す図示されないアイソレータとからなるマイクロ波発生部が設けられている。マイクロ波発生部と反応室31との間には3本柱整合器34が設けられ、また、導波管32の他端側には短絡プランジャ整合器35が設けられており、マイクロ波の反射電力が最小になるよう、インピーダンスが調整されている。反応室31と導波管32とが交差する位置には基板ホルダ36が設けられ、基材ホルダ36上に基材11が設置されるようになっている。反応室31の上部には反応ガスを供給するための供給口37が設けられ、反応室31の下部には反応室21内をロータリポンプ等で真空排気するための排気口38が設けられている。
【0043】
このようなマイクロ波CVD装置30を用い、成長核の***部分25が形成された基材21上にダイヤモンドをエピタキシャル成長させるために、まず、基材21を基材ホルダ36に設置する。つぎに、ロータリポンプで反応室31を所定圧力まで真空排気する。その後、供給口37から原料ガスを適当な流速でもって導入し、反応室31内を所要の圧力に保持する。なお、突起部分26の電界放出特性を向上させるために、原料ガスには窒素(N)やリン(P)等のV族元素を含むガスが含まれているのが好適である。
【0044】
つぎに、マイクロ波電源33を投入し反応室31内にマイクロ波を導入して原料ガスを励起し、図4の点線の円で示されるプラズマを発生させる。この際、マイクロ波電源33への投入電力を適宜調整し、基材21の温度を所定の値にする。なお、基材21の温度は反応室31上方からパイロメータ(図示せず)により測定する。このような状態で所要時間結晶成長を行うと、ダイヤモンドの<111>方向の成長速度に対する<100>方向の成長速度の比が√3以上になって、図3(e)に示されるように、ダイヤモンドの{111}面によって囲まれた結晶形態を有する突起部分26を、***部分25の位置に形成することができる。
【0045】
このように、結晶成長の核を***部分25として意図的に基材21上に設けた結果、突起部分26を基材21の表面に一体的に形成する位置を一意的に決めることができるので、かかるダイヤモンド部材20を容易に製造することができる。
【0046】
なお、成長速度の比が√3より小さい場合は、突起部分の尖鋭化が実現されない傾向にある。また、成長速度の比が√3という値は、1つの炭素原子から結晶成長が進む場合を想定したものである。したがって、多数の炭素原子からなる基材表面から結晶成長が進む場合、基材の表面状態によっては、いつまでもダイヤモンドが尖鋭化せず、基板表面の形状が維持されたままダイヤモンドが結晶成長することがある。そこで、成長速度の比を√3以上とした。
【0047】
以上のように、本発明のダイヤモンド部材の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
図5(a)及び図5(b)は、本発明のダイヤモンド部材の他の実施形態を示す斜視図である。図5(a)に明示されるダイヤモンド部材10aは、上記実施形態のダイヤモンド部材10と異なり、表面がダイヤモンドの{110}面になっている基材又は基板11aを備えている。また、表面に自形が現れている突起部分12aも、{111}面によって囲まれた結晶形態を有する突起部分12と異なり、ダイヤモンドの{111}面及び{100}面によって囲まれた結晶形態を有している。この場合、突起部分12aは、結晶方位<110>方向上で尖鋭化している。この<110>方向は、ダイヤモンド{110}面に対して垂直である。したがって、この突起部分12aは、上記実施形態の突起部分12と同様、基材11表面に対して垂直に尖鋭化して、一体的に形成されるようになる。
【0049】
また、図5(a)のダイヤモンド部材10aの製造方法は、上述したダイヤモンド部材20の製造方法と実質的に同じであるが、用意する基材11aの表面がダイヤモンドの{110}面になっている点で、上述の方法と異なっている。さらに、***部分にダイヤモンドをエピタキシャル成長させる際に用いる原料ガスの組成及び基材11aの温度等も、上述したダイヤモンド部材20の製造方法を実施するための原料ガスの組成及び基材21の温度等と異なっている。これは、ダイヤモンド部材10aの突起部分12aを形成するときに、ダイヤモンドの<111>方向の成長速度に対する<100>方向の成長速度の比を(√3)/2として、所望のダイヤモンド部材を得るためである。
【0050】
図5(b)に明示されるダイヤモンド部材10bは、図2又は図5(a)のダイヤモンド部材10,10aと異なり、表面がダイヤモンドの{111}面になっている基材10bを備えている。また、表面に自形が現れている突起部分12bも、{111}面、又は、{111}面及び{100}によって囲まれた結晶形態を有する図2又は図5(a)の突起部分12,12aと異なり、ダイヤモンドの{100}面によって囲まれた結晶形態を有している。この場合、突起部分12bは、結晶方位<111>方向上で尖鋭化している。この<111>方向は、ダイヤモンド{111}面に対して垂直である。したがって、この突起部分12bは、上述した突起部分12,12aと同様、基材11b表面に対して垂直に尖鋭化して、一体的に形成されるようになる。
【0051】
図5(b)のダイヤモンド部材10bの製造方法も、上述したダイヤモンド部材20,10aの製造方法と実質的に同じであるが、用意する基材11bの表面がダイヤモンドの{111}面になっている点で、上述の方法と異なっている。さらに、***部分にダイヤモンドをエピタキシャル成長させる際に用いる原料ガスの組成及び基材11bの温度等も、上述したダイヤモンド部材20,10aの製造方法を実施するための原料ガスの組成及び基材21,11aの温度等と異なっている。これは、ダイヤモンド部材10bの突起部分12bを形成するときに、ダイヤモンドの<111>方向の成長速度に対する<100>方向の成長速度の比を1/√3以下として、所望のダイヤモンド部材を得るためである。
【0052】
なお、成長速度の比が1/√3より大きい場合は、突起部分の尖鋭化が実現されない傾向にある。また、成長速度の比が1/√3という値は、1つの炭素原子から結晶成長が進む場合を想定したものである。したがって、多数の炭素原子からなる基材表面から結晶成長が進む場合、基材の表面状態によっては、いつまでもダイヤモンドが尖鋭化せず、基板表面の形状が維持されたままダイヤモンドが結晶成長することがある。そこで、成長速度の比を1/√3以下とした。
【0053】
図6は、上記図2、図5(a)及び図5(b)に示したダイヤモンド部材の製造を途中で中止することによって得られるダイヤモンド部材の斜視図である。このダイヤモンド部材は、ダイヤモンド基板11,11a,11b上に先端部が露出した四角錘部12,12a,12bを有する。このようなダイヤモンド部材も、良好な電子放出素子として機能することができる。
【0054】
図7は、上記図2及び図5(a)に示したダイヤモンド部材の製造時における***部分25形成時に、***部分25の形状を円柱から多少歪ませた形状、例えば楕円柱とすることによって得られるダイヤモンド部材の斜視図である。このダイヤモンド部材のダイヤモンド突起12,12aは、基板11,11aの表面と平行な第1稜線R1と、第1稜線R1の一端から基板表面に向かって広がるように延びた第2及び第3稜線R2,R3と、第1稜線R1の他端から基板表面に向かって広がるように延びた第4及び第5稜線R4,R5とによって囲まれる形状を有する。このようなダイヤモンド部材も、良好な電子放出素子として機能することができる。
【0055】
なお、(100)ダイヤモンド基板の表面上にダイヤモンド突起を成長させた場合には、その形状は図2に示したように略四角錘であるが、実際には正確な四角錘ではない。
【0056】
図8は、実際のダイヤモンド突起12の形状を示す斜視図である。このダイヤモンド突起12は先端部が露出した四角錘部12Uと、その上面が四角錘部12Uの底面に、その底面がダイヤモンド基板11の表面に連続した四角錘台部12Lとを有する。四角錘台部12Lの側稜線12RLとダイヤモンド基板11の表面のなす角度Aは、四角錘部12Uの側稜線12RUとダイヤモンド基板11の表面のなす角度Bよりも小さい。詳説すれば、四角錘台部12Lの底面を構成する四角形の1つの対角線DLと、対角線DLと交差する四角錘台部12Lの側稜線12RLとのなす角度をAとし、対角線DLと、側稜線12RLに一端が連続する四角錘部12Uの側稜線12RUとのなす角度をBとすれば、角度A及び角度Bは共に鋭角であり、角度Aは角度Bよりも小さい。
【0057】
また、本発明のダイヤモンド部材の製造方法も上記実施形態に限定されるものではない。例えば、***部分を基材上に形成する方法は上記に限定されず、図9(a)〜図9(d)に示される方法に従ってもよい。まず、所定の基材21を用意する(図9(a))。つぎに、基材21上に所望のパターンが形成されたマスク27を配置した後、***部分25を作りたい部分以外のところに金属を蒸着してマスク層28を形成する(図9(b))。つぎに、マスク27を取り除いて基材21上にダイヤモンドをエピタキシャル成長させ、***部分25を形成する(図9(c))。ここで、上述の理由から、マスク27に形成された開口の直径は0.5〜10μmよりも若干大きく、エッチングは***部分25の高さが1〜100μm、好ましくは2〜10μmになるまで行う。その後、基材21を酸性溶液で洗浄してマスク層28を除去することにより、基材21上には***部分25だけを形成する(図9(d))。なお、この場合、RIE法によるエッチングを行わないので、基材21表面を予め研磨処理して平滑度を高めるのが望ましい。
【0058】
つぎに、実施の形態に係る電子デバイスについて説明する。
【0059】
図10は、本発明が適用される電子デバイス40の概略断面図である。図示の電子デバイス40は電界放出素子として機能するためのものであって、本発明に従って構成されたダイヤモンド部材10からなる電界放出型電子放出素子41と、制御電極42とからなっている。電界放出型電子放出素子41は真空容器43内下部に設けられた絶縁性の基台44を介して配置されている。真空容器43内上部には、制御電極42が電界放出型電子放出素子41と離隔対向して配置されている。
【0060】
以上のような構成において、制御電極42は電界放出型電子放出素子41に対して所定の正の電圧とされている。これにより、電界放出型電子放出素子41を構成しているダイヤモンド部材10の突起部分12が微小電極として機能し、突起部分12から電子(e-)が引き出されるようになる。各微小電極の電界放出電流 は、Fowler-Nordheimの式に従って電界強度に対しては指数関数的に変化する。 このため、小さい曲率半径を有する突起部分12は電界放出にとても有利な形状である。また、基材11と突起部分12とが一体的となっているので、基材11と突起部分12との間には界面が形成されず、接触抵抗等による電界放出特性に望ましくない影響を与えるおそれがなくなる。
【0061】
したがって、電界放出型電子放出素子41と制御電極42との間に電圧が印加された場合、その値が低くても従来よりも多くの電子が放出され、省電力型の電子デバイスの実現が可能となる。
【0062】
図11は、電子放出素子20を備えたディスプレイを示す。このディスプレイは、電子放出素子20が内部に配置される真空容器VEと、真空容器VE内に配置され電子放出素子20との間に電圧が印加される電子引き出し用電極ELと、を備えている。電子放出素子20の各突起26に対向する位置には電子引き出し用電極ELが配置されており、電極EL上には電子の入射に応じて発光する蛍光体PEが配置されている。個々の蛍光体PEの領域毎に着色樹脂からなる3原色カラーフィルタR、G、Bが設けられており、各カラーフィルタR、G、B間はブラックマスクBMによって隔離されている。突起26の表面領域26’にはAs、B、N、Pなどの不純物がドープされている。電子放出素子の特定のダイヤモンド突起26と、電極ELとの間に電圧を印加すると、この突起26から電子が放出され、蛍光体PE上に照射される。蛍光体PEが電子の入射に応じて発光すると、発光した光は対応するいずれかのカラーフィルタR、G、Bを通過する。電子放出される電極ELを切り替えれば、個々のカラーフィルタR、G、Bからの光を独立に制御することができ、これらのカラーフィルタR、G、Bは画素を構成する。
【0063】
図12は、反射高速電子線回折(RHEED)装置を示す。電子放出素子20と引き出し電極EL’との間には数十kVの電圧が印加されており、放出電子の軌道は電磁石MGで調整されて試料SM上に照射される。試料SMの表面で反射された電子線は蛍光板PL’上に照射され、蛍光板PL’上には回折像が表示される。これらの電子放出素子20、引き出し電極EL’、試料SM及び蛍光板PL’は真空容器VE’である鏡筒内に配置されており、真空容器VE’内はポンプPMによって排気されている。
【0064】
【実施例】
(実施例1)
上記電子放出素子を製造した。表面が{100}面であるIb型の単結晶ダイヤモンドからなる基材を高温高圧合成により予め作製して用意した。そして、基材上にレジスト層を形成してその上にフォトマスクを配置した後、フォトリソグラフィ技術によりレジスト層に所定のパターンを形成した。その後、エッチング技術によりレジスト層のパターンに対応したマスク層を形成した。なお、本実施例ではこの方法により、ピッチ幅が28μmの正方格子状で、直径が約8μmの円板状の複数のマスク層を形成した。
【0065】
つぎに、この基材を反応性イオンエッチング法によりドライエッチングした。その際、反応性ガスとしてモル分率が20%のCF4及び80%のO2からなる混合ガスを用い、高さが3〜4μmで直径が3μmの円柱状の***部分を基材上に一体的に形成し、その後マスク層を除去した。図13は1つの***部分の電子顕微鏡写真を示す。
【0066】
つぎに、マイクロ波CVD装置の基材ホルダに基材を設置し、ロータリポンプで反応室を所定圧力まで真空排気した。その後、供給口から原料ガスとして、メタンガスと水素とからなり、モル比[メタン]/[水素]が6〜7%である混合ガスを213sccmでもって導入し、反応室内の圧力を約140Torrに保持した。そして、マイクロ波電源を投入し反応室内にマイクロ波を導入して原料ガスを励起し、プラズマを発生させた。この際、マイクロ波電源への投入電力を適宜調整し、基材温度を940〜960℃となるようにした。このような状態で約1時間結晶成長を行ったところ、{111}面によって囲まれた結晶形態を有する突起部分が基材上に一体的に形成された。したがって、この結果から、かかる実験条件での<111>方向に対する<100>方向の成長速度の比が、√3若しくはそれより大きいと確認され、所望のダイヤモンド部材を得ることができた。
【0067】
(実施例2)
基材として、表面が{110}面であるIb型の単結晶ダイヤモンドを用意した。この単結晶ダイヤモンドは実施例1と同様に高温高圧合成により作製されたものである。そして、実施例1と同様の方法で円柱状の***部分を基材上に形成した後、実施例1と同じマイクロ波CVD装置を用いてダイヤモンドを基材上にエピタキシャル成長させた。このとき、原料ガスとして、メタンと水素からなり、モル比[メタン]/[水素]が0.03である混合ガスを206sccmでもって供給し、反応室内の圧力を約140Torrに保持した。さらに、基材温度を1040〜1060℃となるようにした。この状態で約1時間結晶成長を行ったところ、{111}面及び{100}面によって囲まれた結晶形態を有する突起部分を基材上に一体的に形成した。したがって、この結果から、かかる実験条件での<111>方向に対する<100>方向の成長速度の比が、(√3)/2(=0.87)であると確認され、所望のダイヤモンド部材を得ることができた。
【0068】
(実施例3)
実施例3では、実施例1の結晶成長工程において、原料ガスとして、メタンガスと水素とからなり、モル比[メタン]/[水素]が10%である混合ガスを110sccmでもって導入し、反応室内の圧力を約140Torrとし、基板温度1000℃、結晶成長時間を1時間とし、他の条件は実施例1と同じとした。図14は、形成されたダイヤモンド突起の電子顕微鏡写真を示す。同図には複数のダイヤモンド突起が示されている。図15は、このような方法によって形成されたダイヤモンド突起の先端部の電子顕微鏡写真である。本方法によるダイヤモンド突起の先端部の曲率半径は数nmのオーダであり、エッチングによって形成されたダイヤモンド突起の曲率半径よりも極めて小さい。
【0069】
(実施例4)
実施例4では、実施例3の結晶成長工程において、結晶成長時間を50分間とし、他の条件は実施例3と同じとした。図16は、このような方法によって形成されたダイヤモンド突起の先端部の電子顕微鏡写真であり、先端部が平坦となっている。
【0070】
(実施例5)
実施例5では、実施例3の結晶成長工程において、結晶成長時間を40分間とし、他の条件は実施例3と同じとした。図17は、このような方法によって形成されたダイヤモンド突起の先端部の電子顕微鏡写真であり、先端部に稜線が残っている。なお、同一の結晶成長時間においても、***部分の大きさのバラツキによって図14に示したような形状のダイヤモンド突起が得られる場合もある。
【0071】
(実施例6)
実施例6では、実施例2の結晶成長工程において、表面が{110}面であるIb型の単結晶ダイヤモンドからなる基材をエッチングすることにより***部分を形成し、その結晶成長工程において、原料ガスとして、メタンガスと水素とからなり、モル比[メタン]/[水素]が3%である混合ガスを206sccmでもって導入し、反応室内の圧力を約140Torrとし、基板温度1050℃、結晶成長時間を1時間とし、他の条件は実施例3と同じとした。図18は、このような方法によって形成されたダイヤモンド突起の先端部の電子顕微鏡写真であり、先端部に稜線が残っている。
【0072】
以上、好適な実施形態及び実施例に従って本発明のダイヤモンド部材の製造方法を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。図5(b)に示されるようなダイヤモンド部材も、原料ガスの組成や流量、反応室内圧力及び基材の温度等を適当に定めることにより得られうる。
【0073】
【発明の効果】
本発明のダイヤモンド部材によれば、表面に自形が現れた突起部分が基材上の所定位置に一体的に形成されている。この場合、突起部分は原子レベルで尖鋭化し、ダイヤモンド単結晶本来の種々の特性を有している。また、突起部分の表面はエネルギ的に安定している。したがって、品質の揃ったダイヤモンド部材が容易に得られるようになる。
【0074】
また、本発明のダイヤモンドの製造方法によれば、結晶成長の核を***部分として意図的に基材上に設けた結果、突起部分を基材の表面に一体的に形成する位置を、一意的に決めることができる。このため、かかるダイヤモンド部材を容易に製造することができる。
【0075】
また、原子レベルで尖鋭化した突起部分が電界放出に非常に有利であることに着目した本発明の電子デバイスは、FEDといった表示デバイスへの適用が期待され、省電力化が図れるようになる。
【0076】
ただし、本発明の電子デバイスはFEDにだけに適用されるとは限らない。例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)や電子回折用の電子銃、電界放射顕微鏡(FEM)用の電子源、整流素子、電流増幅素子、電圧増幅素子、電力増幅素子高周波スイッチ又はセンサ等にも適用可能である。また、本発明のダイヤモンド部材は上述した電子デバイスにだけ適用されるとは限らない。その形状及び機械的及び光学的特性の観点から、滑り防止用のスパイクや装飾品への適用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイヤモンドの結晶形態の斜視図である。
【図2】本発明のダイヤモンド部材の一実施形態を示した斜視図である。
【図3】本発明のダイヤモンド部材を製造する工程の一部を示す斜視図である。
【図4】マイクロ波CVD装置の断面図である。
【図5】本発明のダイヤモンド部材の他の実施形態を示した斜視図である。
【図6】本発明のダイヤモンド部材の他の実施形態を示した斜視図である。
【図7】本発明のダイヤモンド部材の他の実施形態を示した斜視図である。
【図8】本発明のダイヤモンド部材を詳細に示した斜視図である。
【図9】ダイヤモンド部材を製造する他の方法の一部を示す断面図である。
【図10】本発明の電子デバイスの一実施形態を概略的に示した断面図である。
【図11】ディスプレイの構成を示す断面図である。
【図12】反射高速電子線回折(RHEED)装置の断面図である。
【図13】***部分の電子顕微鏡写真である。
【図14】ダイヤモンド突起の電子顕微鏡写真である。
【図15】ダイヤモンド突起の先端部電子顕微鏡写真である。
【図16】ダイヤモンド突起の電子顕微鏡写真である。
【図17】ダイヤモンド突起の電子顕微鏡写真である。
【図18】ダイヤモンド突起の電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
10,10a,10b…電子放出素子、11,11a,11b…基板、12,12a,12b…突起部分、16…***部分、20…マイクロ波CVD装置、30…電子デバイス、31…電界放出型電子放出素子、32…制御電極。

Claims (15)

  1. ダイヤモンド基板と、電子放出可能な形状の先端部を有するように前記ダイヤモンド基板の表面上に成長させたダイヤモンド突起とを有し、前記ダイヤモンド突起は内部に核となる前記ダイヤモンド基板の一部をエッチングすることにより形成した***部分を有することを特徴とする電子放出素子用ダイヤモンド部材。
  2. 前記ダイヤモンド基板の前記表面は{100}面であり、前記ダイヤモンド突起は{111}面によって囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材。
  3. 前記ダイヤモンド基板の前記表面は{110}面であり、前記ダイヤモンド突起は{111}面及び{100}面によって囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材。
  4. 前記ダイヤモンド基板の前記表面は{111}面であり、前記ダイヤモンド突起は{100}面によって囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材。
  5. 前記ダイヤモンド突起は先端部が露出した四角錘部を有することを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材。
  6. 前記ダイヤモンド突起は、その上面が前記四角錘部の底面に、その底面が前記ダイヤモンド基板の前記表面に連続した四角錘台部を有し、前記四角錘台部の側稜線と前記ダイヤモンド基板の前記表面のなす角度は、前記四角錘部の側稜線と前記ダイヤモンド基板の前記表面のなす角度よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材。
  7. 前記ダイヤモンド突起は上面が露出した四角錘台部を有することを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材。
  8. 前記ダイヤモンド突起は、前記表面と平行な第1稜線と、前記第1稜線の一端から前記表面に向かって広がるように延びた第2及び第3稜線と、前記第1稜線の他端から前記表面に向かって広がるように延びた第4及び第5稜線と、によって囲まれる形状を有することを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材。
  9. 請求項1に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材において、前記ダイヤモンド基板が単結晶ダイヤモンドであることを特徴とする電子放出素子用ダイヤモンド部材。
  10. 請求項1に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材の製造方法において、
    (a)前記ダイヤモンド基板を用意する工程と、
    (b)前記ダイヤモンドの表面上に前記ダイヤモンド基板の一部をエッチングすることによってダイヤモンドの***部分を形成する工程と、
    (c)前記***部分を核にして、前記***部分にダイヤモンドを気相合成によりエピタキシャル成長させて前記ダイヤモンド突起を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする電子放出素子用ダイヤモンド部材の製造方法。
  11. 前記工程(b)は、前記ダイヤモンド基板の表面の前記***部分を形成すべき部分上にマスクを形成する工程と、前記ダイヤモンド基板の表面の前記マスクを形成しない部分をエッチングする工程と、前記エッチング後に前記マスクを取り除く工程と、を有することを特徴とする請求項10に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材の製造方法。
  12. 前記核となる前記***部分を形成するための前記マスクの開口の直径は、前記***部分の直径が0.5μm〜10μmとなるように設定されることを特徴とする請求項11に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材の製造方法。
  13. 前記エッチングする工程によって、前記核となる前記***部分の高さを1μmから100μmにすることを特徴とする請求項11に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材の製造方法。
  14. 前記エッチングする工程によって、前記核となる前記***部分の高さを2μmから10μmにすることを特徴とする請求項11に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材の製造方法。
  15. 請求項1に記載の電子放出素子用ダイヤモンド部材が内部に配置される真空容器と、前記真空容器内に配置され前記電子放出素子用ダイヤモンド部材との間に電圧が印加される電子引き出し用電極と、を備えることを特徴とする電子デバイス。
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