JP3902260B2 - 金属ハロゲン化物担持メソポア材料、金属水酸化物担持メソポア材料、金属酸化物担持メソポア材料、金属担持メソポア材料およびこれらの製造方法 - Google Patents

金属ハロゲン化物担持メソポア材料、金属水酸化物担持メソポア材料、金属酸化物担持メソポア材料、金属担持メソポア材料およびこれらの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属ハロゲン化物担持メソポア材料、金属水酸化物担持メソポア材料、金属酸化物担持メソポア材料、金属担持メソポア材料およびそれらの製造方法に関する。これらの材料は、触媒、吸着材、脱臭剤その他の利用が可能である。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリカやアルミナなどの無機酸化物を担体として用いて、非水条件下で金属ハロゲン化物との反応をおこない金属ハロゲン化物担持触媒が合成されている。その合成方法としては、有機溶媒を用いる方法と金属ハロゲン化物の蒸気を接触させる方法があるが、無機酸化物と金属ハロゲン化物をより均一に反応させるには、有機溶媒法が優れている。
【0003】
特開昭48−61403号公報には、γ−アルミナと塩化亜鉛、塩化第二錫、または四塩化チタンのトルエン中での反応による合成が開示されている。また、特開昭50−92879号公報には、シリカと塩化マグネシウムとの高温(300℃)での固相反応、およびシリカと四塩化チタンのヘキサン中での反応による合成が開示されている。
【0004】
これらの無機酸化物担体は、不均一な孔径の細孔しかもっていないため、均一な細孔を有する無機酸化物から金属ハロゲン化物担持触媒はまだ得られていない。
均一な細孔を有する無機酸化物から金属ハロゲン化物担持触媒を合成するには、金属ハロゲン化物分子が侵入できる大きさの均一な細孔(メソポア)が無機酸化物に存在することが必要である。しかも、有機溶媒を用いる方法によって、無機酸化物粒子の外表面および細孔内表面と、金属ハロゲン化物とを均一に反応させるためには、金属ハロゲン化物分子が有機溶媒に溶解するかまたは室温で液状であること、および無機酸化物の有機溶媒中での分散性が良いことがさらに必要である。したがって、従来の有機溶媒中での金属ハロゲン化物担持触媒の合成反応では、使用される金属ハロゲン化物は主に室温で液状のものや有機溶媒に対する溶解性が優れたものに限られていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、一定の大きさの細孔(メソポア)を均一に有する無機酸化物に、金属ハロゲン化物、金属酸化物、金属水酸化物、金属が一層または二層以上結合した担持材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の金属ハロゲン化物担持メソポア材料は、2〜10nmの範囲内でかつ均一な径の細孔を多数有するシリカの多孔体と、少なくとも前記細孔内表面に備えたシラノール基に有機溶媒中の反応で結合した金属ハロゲン化物とからなることを特徴とする。
メソポア材料の細孔の径は、2〜6nmの範囲内で均一であることが好ましい。また、このメソポア材料の細孔は、細孔分布曲線における最大ピークを示す細孔直径が2〜10nmの範囲にあり、かつ細孔の60%以上が細孔径分布曲線における最大ピークを示す細孔直径の±40%の範囲の細孔径を有することが好ましい。
【0007】
金属ハロゲン化物は、メソポア担体の細孔内表面に均一に一分子層または二分子層以上に結合していることが好ましい。金属ハロゲン化物としては、周期律表のIVa 〜VIII族あるいはIb族のハロゲン化物、またはIa,IIa,IIb〜VIb の金属のハロゲン化物であることが好ましい。具体的により好ましい金属ハロゲン化物は、ルイス酸として作用するものでたとえば、無水塩化アルミニウム(AlCl)または無水塩化第二鉄(FeCl) が挙げられる。
【0008】
本発明の金属ハロゲン化物担持メソポア材料の製造方法は、2〜10nmの範囲内で均一な径の多数の細孔を有し、該細孔内表面には少なくとも金属ハロゲン化物が結合できるシラノール基を有するシリカの多孔体と、金属ハロゲン化物とを有機溶媒中で反応させて該金属ハロゲン化物と該シリカシラノール基との結合を形成することを特徴とする。
【0009】
該有機溶媒は、予め脱水処理され、該金属ハロゲン化物も予め乾燥され、反応が非水雰囲気下でおこなわれることが好ましい。この有機溶媒は、具体的には、ハロゲン系溶媒(クロロホルム、四塩化炭素など)、ニトロ化物溶媒(ニトロベンゼン、ニトロメタンなど)、芳香族溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)の少なくとも1種から選ばれることが望ましい。
【0010】
金属ハロゲン化物は、有機溶媒易溶性のもの、たとえば、3価あるいは5価のSbの塩化物、3価のUの塩化物、3価のGaの塩化物、2価あるいは4価のGeの塩化物、4価のSnの塩化物、1価のSeの塩化物、6価のWの塩化物、4価のTeの塩化物、4価のPbの塩化物、2価のPtの塩化物、4価のVの塩化物、3価あるいは5価のPの塩化物から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0011】
また該金属ハロゲン化物は、有機溶媒可溶性のものから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
金属塩化物を例にすると、Zn, In(III),U(IV), U(V),Ca,Au(III), Si,Co(II),Hg(II), Zr(IV),Sn(II),W(V),Ta(V),Fe(II),Fe(III),Te(II),Cu(II),V(II),Pd(II),Pt(IV),Bi,As(III),Be,B(III),Mo(II),Mo(V),Li,Re(IV)などの塩化物を挙げることができる。
また、この金属ハロゲン化物は、融点が25℃以下であり、室温で液体のもの、たとえば、4価のSiの塩化物、4価のGeの塩化物、4価のSnの塩化物、1価のSeの塩化物、4価のTiの塩化物、4価のPbの塩化物、4価のVの塩化物、3価のAsの塩化物、2価のBの塩化物、3価のPの塩化物から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0012】
本発明の金属水酸化物担持メソポア材料は、金属ハロゲン化物担持メソポア材料を加水分解して得られる、細孔を有し各該細孔の径が均一であり、少なくとも該細孔の内表面に備えたシラノール基に結合した金属水酸化物を有することを特徴とする。
金属水酸化物担持メソポア材料の製造方法は、金属ハロゲン化物担持メソポア材料を加水分解することを特徴とする。
【0013】
本発明の金属酸化物担持メソポア材料は、金属ハロゲン化物担持メソポア材料を焼成して得られる、細孔を有し各該細孔の径が均一であり、少なくとも該細孔の内表面に備えたシラノール基に結合した金属酸化物を有することを特徴とする。また本発明の金属酸化物担持メソポア材料は、金属水酸化物担持メソポア材料を焼成しても得られることを特徴とする。
属酸化物担持メソポア材料の製造方法は、金属ハロゲン化物担持メソポア材料又は金属水酸化物担持メソポア材料を焼成することを特徴とする。
【0014】
本発明の金属担持メソポア材料は、金属ハロゲン化物担持メソポア材料を還元または熱分解して得られる、細孔を有し各該細孔の径が均一であり、少なくとも該細孔の内表面に備えたシラノール基に固定された金属を有することを特徴とする。
金属担持メソポア材料の製造方法は、金属ハロゲン化物担持メソポア材料を還元または熱分解することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の金属類担持メソポア材料は、メソポア担体に金属ハロゲン化物、金属酸化物、金属水酸化物、金属が結合して構成されている。このメソポア担体は、たとえば、耐熱性層状シリカ多孔体が利用できる。耐熱性層状シリカ多孔体は、結晶性層状珪酸塩の板状のシート層が複数積層し、隣接する上記シート層の層間がシロキサン結合による結合点において縮幅し、該結合点の間においては拡幅して微孔を形成しているハニカム状多孔構造をもつ。
【0017】
この結晶性層状珪酸塩中に含まれるアルカリ金属イオンの含有率は0.2重量%以下でかつ比表面積は1000m2 /g以上であることが好ましい。アルカリ金属イオンの含有率が0.2重量%を超えた場合には、比較的低温で原子の移動が促進され、クリストバライトなどへの結晶化が起こる。そのため、層状シリカ多孔体の比表面積が減少し、さらには耐熱性が低下してしまう。また、層状シリカ多孔体の比表面積が1000m2 /g未満の場合には、層状シリカ多孔体に触媒を担持させるとき、触媒の活性を十分に発揮することができず、また吸着剤として使用するときに有機物などに対する吸着能力が低い。
【0018】
代表的な層状シリカ多孔体を図12の生成機構の模式図に示すように、骨格の組成がSiO2 で、板状のシートが上下方向に湾曲又は屈曲している。そして上下の各シート間が部分的に結合し、ハニカム状の骨格を形成している。ハニカムの微孔の直径は、1〜60Åである。
シート層は、SiO2 四面体が2次元的に結合することで形成されるシリケート層であり、SiO2 四面体の結合点が屈曲可能であるため、シート層全体としても湾曲または屈曲が可能である。シート層は、マグネシウムイオン(Mg2+)、アルミニウムイオン(Al3+)などのシート層の屈曲性を妨げる八面体を含まない。また、上記シート層は、Na+ などのアルカリ金属イオンおよびH+ を挟んで、複数枚積層している。また、具体的には、結晶性層状珪酸塩としては、たとえば、カネマイト(NaHSi2 5 ・3H2 O)が好ましい。
【0019】
また、他の結晶性層状珪酸塩としては、ジ珪酸ナトリウム(Na2 Si2 3 )マカタイト(Na2 Si4 9 ・5H2 O)、アイアライト(Na2 Si8 17・XH2 O)、マガディアイト(Na2 Si1429・XH2 O)、ケニヤイト(Na2 Si2041・XH2 O)などが代表的であるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
上記層状シリカ多孔体の製造方法については、含水率10重量%以上の結晶性層状珪酸塩中の層間に存在するアルカリ金属イオンを有機物陽イオンとイオン交換させ、該有機陽イオンを層間に導入する層間拡幅工程と、上記イオン交換により遊離した上記アルカリ金属イオンを除去する洗浄工程と、洗浄した上記結晶性層状珪酸塩を焼成することにより、上記有機物陽イオンを燃焼せしめて多孔性の層状シリカ多孔体を得る多孔化工程とを含む耐熱性層状シリカ多孔体の製造方法がある。
【0021】
結晶性層状珪酸塩は非晶質珪酸塩から合成することができる。非晶質珪酸塩としては、市販の粉末珪酸ナトリウム、水ガラスを乾燥して粉末としたものなどである。たとえば、結晶性層状珪酸塩の1種であるカネマイトを合成する場合、Na2 O/SiO2 =2にできるだけ近い組成の非晶質の珪酸ナトリウムを用いることが好ましい。
【0022】
この非晶質珪酸ナトリウムを空気中、650〜750℃で焼成すると、δ型Na2 Si2 5 に結晶化する。650℃より低い温度ではβまたはγ型Na2 Si2 5 に、750℃を超える温度ではα型Na2 Si2 5 に結晶化する。α、β、γ型では水との反応で結晶性層状珪酸塩が生成しない。次に、このδ型Na2 Si2 5 を2倍から50倍の水に分散させ、15時間攪拌した後、濾過する。これにより、δ型Na2 Si2 5 のNa+ の一部が水中のH+ と置換し、NaHSi2 5 ・3H2 Oとなり、結晶性層状珪酸塩であるカネマイトが得られる。
【0023】
上記結晶性層状珪酸塩における含水率は10重量%以上である。10重量%未満では、結晶性層状珪酸塩が凝集し、次の層間拡幅工程において、水中での分散性が低下し、有機物陽イオンとアルカリ金属イオンとの交換が起こりにくくなる。10重量%以上であれば、結晶性珪酸塩が、次の層間拡幅工程の際に水によく分散し、層間のアルカリ金属イオンと有機物陽イオンとのイオン交換がスムースに短時間で行われる。その結果、層状シリカ多孔体の比表面積が1000m2 /g以上となり、また、アルカリ金属イオンの残存量が0.2重量%以下の優れた耐熱性層状シリカ多孔体を得ることができる。
【0024】
上記層間拡幅工程においては、結晶性層状珪酸塩中にあるアルカリ金属イオンが有機物陽イオンとイオン交換される。有機物陽イオンはアルカリ金属イオンよりも嵩高のため、結晶性層状珪酸塩の層間は拡幅される。これにより、シート層は有機物陽イオンを取り囲む形で湾曲する。
それと同時に、有機物陽イオンが導入された部分を除く、隣合うシート層中のシラノール(Si−OH)が形成される。これにより、隣合うシート層どうしが、部分的にシロキサン結合により結合され、三次元的ハニカム状の層構造を形成する。図13のa(活性化前)およびb(活性化後)に三次元的ハニカム状の層構造の説明模式図を示した。
【0025】
上記有機物陽イオンとしては、アルキルトリメチルアンモニウム、ジメチルジアルキルアンモニウム、アルキルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムなどがある。上記イオン交換の際、pHを8〜9に調整することが好ましい。さらに、その後、30〜90℃にて加熱することが好ましい。
上記洗浄工程においては、上記イオン交換により遊離したアルカリ金属イオン、有機物陽イオンの対イオン、または未反応の有機物陽イオンが除かれる。特に、遊離したアルカリ金属イオンの含有率が0.2重量%以下となる。
【0026】
上記多孔体化工程においては、層間に取り込まれた有機物陽イオンを燃焼させ、微細な微孔を形成させる。また、シロキサン結合の三次元骨格を安定化させる。焼成は、酸化雰囲気中で温度600〜1200℃で行うことが望ましい。600℃未満の場合、あるいは酸化雰囲気以外の場合には、有機物陽イオンを十分に除去することはできない。一方、1200℃を超える場合、焼結が進み過ぎ、微孔が破れ、比表面積が低下するので好ましくない。
【0027】
層状シリカ多孔体は、アルカリ金属イオンの含有量が0.2重量%以下であるので、800℃以上の高温状態でも結晶化しにくく、微孔も安定である。そのため、耐熱性に優れている。また、1000m2 /g以上の比表面積を有するため、触媒担体、燃料等の有機物の吸収材などの優れた吸着性能を発揮する。
また、上記の製造方法によれば、上記の如き優れた耐熱性層状シリカ多孔体を製造することができる。
【0028】
上記のメソポア担体は、2〜6nmのメソポアの細孔径が均一で、少なくとも細孔内表面に金属ハロゲン化物などと結合できるシラノール基を有するシリカ多孔体である。その表面積が非常に大きくかつ耐熱性が優れるので、触媒担体や吸着剤としての応用が期待されている。
なお、本発明の金属ハロゲン化物担持メソポア材料を構成するメソポア担体の具体例として主として層状鉱物より合成するものを説明したが、これに限られるものではなく、たとえば、表面活性剤のミセルを囲むようにセラミックスの殻を形成してメソポア担体とするもの等、他の方法で作られたメソポア担体を用いることができる。
【0029】
メソポア担体の細孔表面の官能基数は、特定の活性化処理によりその存在数を増加させることができる。たとえば、(シリカ)メソポア担体の場合には、1N濃度の塩酸中で加熱することにより、シラノール基を増加させることができる。
金属ハロゲン化物とシラノール基とを反応させる前に、メソポア担体の吸着水を除去する操作が必要である。メソポア担体の吸着水は80〜150℃の加熱で脱離するが、200℃以上の高温では官能基の脱離が生じる恐れがある。したがって、減圧下で吸着水の除去をおこなえば、80℃以下の低温で脱水・乾燥が可能である。たとえば、(シリカ)メソポア担体の場合には、真空ポンプ減圧下に110℃で4時間乾燥させることが可能である。
【0030】
メソポア担体を分散させる有機溶媒としては、たとえば、以下のような有機溶媒がメソポア担体と馴染みがよく、それらの溶媒中でメソポア担体の見掛けの体積が増加することが判明した。
1)メソポア担体が室温で膨張・透明になる溶媒:スルホラン、トリクレン、ピリジンなど。
2)メソポア担体が加熱で膨張・透明になる溶媒:ニトロベンゼン、ベンゾニトリル、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、アニソールなど。
3)メソポア担体が室温で膨張・半透明になる溶媒:N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなど。
【0031】
これらの有機溶媒が上記メソポア担体を高分散できる理由は、上記メソポア担体の粒径が小さいことにあると考えられる。すなわち、大きさがあまり異ならない一次粒子どうしが疎にかつ弱く会合して二次粒子が形成されているので、有機溶媒中で二次粒子の一次粒子への解離が容易に起こると考えられる
【0032】
無水金属ハロゲン化物は、共有結合性が高く、有機溶媒に溶解するものが多い。有機溶媒に対する溶解性によって、金属ハロゲン化物を4つに分類できる。塩化物について、以下にその分類を示す。なお、金属ハロゲン化物は、ハロゲンが大きくなる順番(フッ化物<塩化物<臭化物<沃化物)に、共有結合性が増加して有機溶媒への溶解性が良くなる。
1)有機溶媒に不溶:IrCl ,BaCl ,KCl,CrCl ,Hg Cl ,PCl ,RbCl,RhCl ,AuCl など。
2)アルコールに溶ける:IrCl ,CdCl ,CeCl ,CsCl, TiCl ,TiCl ,NbCl ,NiCl ,VCl ,MgCl ,MnCl ,LaCl ,CuCl ,NaCl,PbCl など。
3)アセトンや酢酸エチルやエーテルなどの非プロトン性極性溶媒に溶ける(多くはアルコールにも溶ける):ZnCl ,InCl ,UCl ,UCl ,CaCl ,AuCl ,SiCl ,CoCl ,HgCl ,ZrCl ,SnCl , WCl ,WCl ,TaCl ,FeCl ,FeCl ,TeCl ,CuCl ,VCl ,PdCl ,PtCl ,BiCl , AsCl ,BeCl , BCl ,MoCl ,MoCl , LiCl,ReCl など。
4)クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン系溶媒、ニトロベンゼン、ニトロメタンなどのニトロ化物系溶媒、あるいはベンゼンなどの芳香族系溶媒に溶ける(多くはアルコールまたは前記非プロトン性極性溶媒にも溶ける):AlCl ,SbCl ,SbCl ,GaCl ,GeCl ,GeCl ,SnCl ,SeCl,WCl ,TeCl ,PbCl ,PtCl ,VCl ,PCl など。
【0033】
有機溶媒中でメソポア担体との反応に用いられる無水金属ハロゲン化物は、上記分類の4)に相当する有機溶媒易溶性のもの、上記分類の3)に相当する有機溶媒可溶性のもの、またはTiCl4 などの室温で液状のものである。なお、室温で液状の無水金属ハロゲン化物としては、塩化物を例にすると、SiCl4,GeCl4,SnCl4,SeCl,TiCl4,PbCl4,VCl4,AsCl3,B2Cl4,PCl3などを挙げることができる。
【0034】
これら無水金属ハロゲン化物を溶解する有機溶媒としては、上記の該当する有機溶媒を用いるが、無水金属ハロゲン化物が室温で液体の場合には無溶媒でもよい。
無水金属ハロゲン化物とシリカとの反応溶媒に求められる特性は、シリカを分散させることと、無水金属ハロゲン化物を溶解状態または液状に保つことである。したがって、反応溶媒は、純溶媒でも混合溶媒でもよい。
【0035】
無水金属ハロゲン化物有機溶媒可溶性かつシリカに対して有機溶媒中で非反応性である場合には、有機溶媒に脱酸剤を添加する。脱酸剤としてはトリアルキルアミン、ピリジン、ピコリン、ピラジンなどの窒素原子に結合した水素原子をもたない有機塩基が望ましい。
有機溶媒は、脱水処理して不活性雰囲気下に保存したものを用いることが好ましい。もしも反応系に水が存在すると、無水金属ハロゲン化物が加水分解されて一部が水酸化物となるために、シリカシラノール基との均一な反応が期待できなくなる。
【0036】
有機溶媒中での無水金属ハロゲン化物とシリカとの反応は不活性雰囲気下におこなう。反応操作の詳細は実施例で説明する。
反応生成物の精製は次のようにおこなった。反応終了後に濾別した粗生成物を、少なくとも無水金属ハロゲン化物を溶解する有機溶媒に分散して加熱攪拌した後に濾別する操作により、未反応の金属ハロゲン化物を洗いだした。この洗浄した粗生成物を、さらに、真空ポンプ減圧下に加熱して残存する未反応金属ハロゲン化物を蒸留又は昇華により除去した。
【0037】
金属ハロゲン化物担持メソポア材料の説明
ゼオライトと異なる機構で酸点を発現する無水金属ハロゲン化物担持メソポア材料の特徴を列挙する。
1 無水金属ハロゲン化物には、ルイス酸性を発現するものが多く、特に無水塩化アルミニウムは超強酸として作用するルイス酸である。したがって、無水金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料は、金属ハロゲン化物の種類により酸強度を制御できる。
2 (シリカ)メソポア担体が大きな表面積を有するので、大きな酸量を付加できる。
3 無水金属ハロゲン化物が細孔(メソポア)の大きさと分布が均一である(シリカ)メソポア材料に共有結合性の高い結合で均一に固定・担持されているので、得られた無水金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料も細孔(メソポア)の大きさと分布が均一である。
4 細孔の均一な大きさに基づく、触媒反応の形状選択性の発現が期待できる。
5 酸点が均一に分布した大きい表面を有しているために、触媒反応効率が高いことが期待できる。
6 無水金属ハロゲン化物が(シリカ)メソポア材料に高い共有結合性の高い結合で固定・担持されているので、ある程度の耐熱性が期待できる。
7 無水金属ハロゲン化物が(シリカ)メソポア材料に高い共有結合性の高い結合で固定・担持されているので、無水金属ハロゲン化物の揮発性に基づく反応装置腐食の問題などが改善できる。
8 ルイス酸性を発現する無水金属ハロゲン化物以外に、多様な無水金属ハロゲン化物を担持できる。
【0038】
種々の反応に利用される固体触媒は、反応効率などを向上させるために、一般に担体に期待されて表面積を増やした形で使用されることが多いが、担体を構成する無機酸化物の種類が異なると触媒活性も変化することが知られている。担体が触媒金属を電子的に活性化する効果は、シリカよりもアルミナ、チタニア、ジルコニアなどが優れている場合が多いが、シリカ以外の無機酸化物担体は高温条件下(たとえば500℃以上)での表面積が小さい(200m2 /g以下)という欠点があった。
【0039】
そこで(シリカ)メソポア担体の全表面を別の酸化物薄膜で被覆すると、表面積が大きくかつ耐熱性が優れる別種メソポア担体として、(シリカ)メソポア担体を改質できる。図13cおよびdにメソポア担体に塩化アルミニウムが結合した状態の説明模式図を示した。cは塩化アルミニウムが一分子層結合した場合であり、dは塩化アルミニウムが二分子層結合した場合である。そのため細孔(メソポア)に基づく形状選択性の発現も当然期待できる。このような改質目的の報告はまだなされていない。
【0040】
金属水酸化物担持(シリカ)メソポア材料、金属酸化物担持(シリカ)メソポア材料、金属担持(シリカ)メソポア材料の特徴を次にまとめる。
1.金属ハロゲン化物は、簡単な処理で水酸化物や酸化物や金属に変換できる。したがって、無水金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料から、上記担持物を簡単な処理で容易に合成できる。
【0041】
2.金属水酸化物(シリカ)メソポア材料と金属酸化物担持(シリカ)メソポア材料は、(シリカ)メソポア材料の全表面を別の酸化物薄膜で被覆したものであり、シリカと別種のシリカメソポア材料に相当する。(なお、無機水酸化物を表面酸化状態が異なる無機酸化物と見做すことができる。)
3.金属水酸化物担持(シリカ)メソポア材料と金属酸化物担持(シリカ)メソポア材料は、これまでにない大きさの表面積を有する、シリカとは別種のシリカメソポア材料である。
【0042】
4.焼成した金属酸化物担持(シリカ)メソポア材料は、細孔(メソポア)の大きさと分布が均一であり、かつ表面積が大きく耐熱性も良いので、優れた触媒担体として期待される。
5.金属水酸化物担持(シリカ)メソポア材料と金属酸化物担持(シリカ)メソポア材料は、合成に用いる金属ハロゲン化物の種類を代えることで、多様な金属の化合物が容易に得られる。
【0043】
6.水溶性金属塩と別種シリカメソポア材料を混合して仮焼成した後に還元又は熱分解して金属担持触媒を調整する際に、本発明により得られる5種類の異なる表面酸化物状態を有する別種シリカメソポア材料を用いることにより、水溶性金属塩との相互作用を変えられるので、結果的に担持触媒中の金属分散状態を制御できる。したがって、触媒活性を制御できる。
【0044】
7.本発明により得られた金属担持(シリカ)メソポア材料は、(シリカ)メソポア材料に共有結合性の高い結合で固定・担持された無水金属ハロゲン化物を還元または熱分解して調整したものである。したがって、従来の水溶性金属塩を分散して調整するものに比べて、還元または熱分解で金属の凝集が生じにくいために、触媒金属の分散が良い金属担持(シリカ)メソポア材料が得られる。この金属担持(シリカ)メソポア材料は、触媒反応の効率の向上が期待される。
【0045】
無水金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料を次の2つの方法で加水分解すると、状態または化学構造が異なる2種類の金属水酸化物担持(シリカ)メソポア材料を合成することができる。
第一の方法は、無水金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料を空気中の水分に接触させて加水分解させるものである。無水金属ハロゲン化物は水に対する反応性が高く、極く微量の水分でも容易に室温で加水分解される。したがって、上記加水分解において、空気中の水分量は極く微量から飽和蒸気量まで変えることができ、また反応温度は0℃から100℃まで変えることができる。このような反応条件の違いは、上記加水分解反応において、無水金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料の金属原子上のハロゲン原子が、水酸基で置換される割合を調整することができる。
【0046】
第二の方法は、無水金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料を水中で加水分解して生成物を得るものである。この方法では、加水分解で生じる遊離のアルミニウム化合物が除去される特徴があり、また担体と金属ハロゲン化物との化学結合の切断が生じる。その切断の程度は、用いる水の量や反応温度などの反応条件に依存するが、これらについて特に限定はない。すなわち、得られる金属水酸化物担持(シリカ)メソポア材料の金属原子上の水酸基の割合および金属原子と担体中の珪素原子の割合を、反応条件の違いによって制御することができる。
【0047】
無水金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料を空気中で焼成すると、金属原子上のハロゲンが気体分子として脱離し同時に空気中の酸素分子が導入される反応が生じると推察される。したがって、焼成温度は、(シリカ)メソポア材料が熱的に安定な1000℃以下であれば問題はなく、焼成の温度と時間を変えることにより、得られる金属酸化物担持(シリカ)メソポア材料の金属の酸化状態を制御できる。
【0048】
金属水酸化物担持(シリカ)メソポア材料は酸化状態の異なる金属酸化物担持(シリカ)メソポア材料と見做すことができる。この材料を焼成する場合には、金属原子上のハロゲンと水素がハロゲン化水素ガスとして脱離して酸化が進行する反応と推察される。したがって、焼成温度は、(シリカ)メソポア材料が熱的に安定な1000℃以下であれば問題なく、焼成の温度と時間を変えることにより、得られる金属酸化物担持(シリカ)メソポア材料の金属の酸化状態を制御できる。
【0049】
無水金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料を還元雰囲気で加熱すると、無水金属ハロゲン化物部分が金属に還元されて、金属担持(シリカ)メソポア材料を調整できる。還元雰囲気としては、水素ガス、アンモニアガス、ヒドラジン蒸気、またはその他の還元性の有機化合物の共存下であればよい。反応温度は、特に限定はなく、一般的な還元反応温度で良いが、(シリカ)メソポア材料が熱的に安定な1000℃以下である必要がある。
【0050】
金属が金、銀、白金、パラジウムなどである無水金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料を空気中で加熱すると、金属ハロゲン化物部分が先ず比較的不安定な酸化物になるために、更なる加熱で熱分解がおこり金属担持(シリカ)メソポア材料が得られる。この場合の加熱条件は、無水金属ハロゲン化物について知られている条件でよい。
【0051】
【実施例】
(実施例1)
一定の大きさのメソポアを均一に有する(シリカ)メソポア担体の合成方法。
先ず粉末珪酸ソーダ(SiO2 /Na2 O=2.00日本化学工業株製)を700℃空気中で6時間焼成した。50gの焼成粉末珪酸ソーダを粒径1mm以下に粉砕した後、500mlの水に分散させ、室温で3時間攪拌した。その後、ブフナーロートを用い、固形分を濾別し、層状珪酸塩の一種であるカネマイト(NaHSi2 5 ・3H2 O)を合成した。
【0052】
このカネマイトを乾燥せずに、湿った状態で、セチルトリメチルアンモニウム水溶液に分散させた。このセチルトリメチルアンモニウム水溶液は、0.1モルのセチルトリメチルアンモニウムクロライドを1000mlの水に溶解させることにより調製した。
この分散液を2000ml容量のフラスコにいれた。先ず、70℃で3時間、攪拌モータで攪拌しながら湯浴中で加熱した。その後、2N塩酸水溶液を滴下して、そのpHをゆっくり8.5に調製した。その後、更に70℃で3時間攪拌しながら加熱した。
【0053】
この分散液を室温まで冷却した後、固形生成物を濾別した。1000mlの脱イオン水で合計5回洗浄した後、乾燥した。この粉末を、550℃、空気中で6時間焼成し、(シリカ)メソポア担体を得た。この生成物をF−16Cと略記する。
(実施例2)
実施例1で合成した(シリカ)メソポア担体(F−16C)の結晶構造を観察した。
【0054】
(シリカ)メソポア担体(F−16C)の粉末X線回折パターンを図1に示した。回折角度が10°以下の範囲に、六方晶構造に指数付けされる3〜4本の回折ピークが観測された。上記(シリカ)メソポア材料の結晶構造を図2の透過型電子顕微鏡写真で示した。この写真図2により、直径約3mの細孔が規則的に配列した蜂の巣状の構造をしていることがわかる。
(実施例3)
実施例1で合成した(シリカ)メソポア担体(F−16C)の細孔分布を測定した。その測定方法を以下に説明する。
【0055】
先ず、窒素吸着等温線を以下の装置および方法により作成した。装置は、絶対圧型トランスヂューサー(日本エムケーエス(株)製Baratron 127AA)及びコントロールバルブ(日本エムケーエス(株)製 248A)を装着した真空ラインを用い、定量法で測定を行った。約50mgの試料をサンプル管に計り取り、150℃で2時間真空脱気した。2時間後の真空度は10-3torrであった。その後、サンプル管を液体窒素に浸しながら、窒素の吸着測定を行い、窒素吸着等温曲線を得た。
【0056】
この窒素吸着等温曲線からCranston-Inclay 法により算出した細孔分布曲線を図3に示した。この細孔分布曲線のピーク位置から求めた中心細孔直径は2.8nmであった。
次に、Cranston-Inclay 法により、上記(シリカ)メソポア担体の比表面積の細孔直径に対する積分曲線を計算で求めた。中心細孔直径の±40%の範囲内にある比表面積の全表面積に対する比率(±40%細孔率とする)を求めたところ、93%であった。なお、全表面積は1031m2 /gであった。
(実施例4)
本例においては、有機溶媒易容性無水金属ハロゲン化物から無水塩化アルミニウムを選び、実施例1で合成した(シリカ)メソポア担体を用いて、無水塩化アルミニウムとの反応を行い、塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア担体を合成する方法説明する。
【0057】
先ず、酸処理による(シリカ)メソポア担体の活性化を行った。冷却管を付けた1000ml容量のナス型フラスコに70.0gの上記(シリカ)メソポア材料と1N塩酸520mlとを秤とり、水浴温度98℃で2時間、攪拌モータで攪拌しながら水浴中で加熱した。熱時濾過により濾別した固形生成物を、約75〜95℃の温脱イオン水3500mlを用いて、ろーと上で洗浄した後、105℃で4日間乾燥した。その粉末を粉砕して、粒子径0.21mm以下に整粒することにより、シラノール基を活性化した(シリカ)メソポア担体66.0gを得た。これを活性化(シリカ)メソポア担体(DHF−16)と呼ぶことにする。
【0058】
次に、(シリカ)メソポア担体の分散用有機溶媒及び無水塩化アルミニウムの溶解用有機溶媒として、ニトロベンゼンを用いて、塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料の合成を行った。
上記活性化(シリカ)メソポア材料12.0gを300mlナスフラスコにとり、真空ポンプで徐々に減圧にした後に、油浴中で110℃に2時間加熱して、吸着水の除去を行った。冷却後に、窒素導入により大気圧に戻してから、乾燥ニトロベンゼン70mlと乾燥四塩化炭素70mlとをナスフラスコに加えた。このナスフラスコに冷却管をつなぎ、窒素気流下で、超音波分散を5分間おこなった。アスピレータによる減圧で脱気した後に、再び窒素導入により大気圧に戻した。その後、この分散液を窒素気流下にスターラーで攪拌しながら油浴中で100℃に加熱した。
【0059】
一方、乾燥した200mlナスフラスコに、無水塩化アルミニウム20.3gをとり、乾燥ニトロベンゼン60mlを加えて、窒素気流下でスターラーで攪拌して溶解させた。この溶液を100mlのシリンジでとり、活性化(シリカ)メソポア担体の100℃に保たれた上記分散液に、15分間かけて滴下して加えた。この反応混合物を窒素気流下に100℃で8時間加熱・攪拌した。反応開始後90分間は、冷却管上部に水に濡らしたpH紙を近付ける、酸性ガスの発生が確認できた。
【0060】
反応混合物を窒素雰囲気下にテフロン濾紙を用いて減圧濾過して固形分を取り出した。冷却管を備えた500mlセパラブルフラスコに、この固形分を窒素雰囲気下でとり、乾燥ニトロベンゼン150mlと乾燥四塩化炭素50mlを加えて、窒素気流下の油浴中でスターラーにより100℃で1時間加熱・攪拌した。冷却後に固形分を窒素雰囲気下の吸引濾過により取り出した。上記と同じ装置を用いて、再度この固形分を乾燥四塩化炭素200ml中で1時間加熱・攪拌して還流洗浄した。冷却後に窒素雰囲気下の減圧濾過により固形分を取り出した。生成固形分を200mlの柱状フラスコにいれ、室温で真空ポンプにより徐々に減圧した後、ゆっくり昇温して170℃で5時間保持して乾燥した。冷却後に、窒素導入で大気圧に戻して、薄黄色粉体の塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料15.1gを得た。この生成物をFACl−4と略記する。
(実施例5)
本例においては、有機溶媒可溶性無水金属ハロゲン化物から無水塩化第二鉄を選び、実施例1で合成した(シリカ)メソポア担体を用いて、脱酸剤を含む有機溶剤中で、無水塩化第二鉄との反応を行い、塩化第二鉄担持(シリカ)メソポア材料を合成する方法を説明する。
【0061】
実施例4と同様にして調整した活性化(シリカ)メソポア担体の分散用有機溶媒にピリジンを用い、かつ無水塩化第二鉄の溶解用有機溶媒にアセトンを用いることにより、塩化第二鉄担持(シリカ)メソポア材料の合成を行った。なお、ピリジンは、(シリカ)メソポア担体の分散媒としてだけでなく、脱酸剤としての作用も併せ持つものである。
【0062】
活性化(シリカ)メソポア担体5.0gを300mlナスフラスコにとり、真空ポンプで徐々に減圧にした後、油浴中で110℃に2時間加熱して、吸着水の除去をおこなった。冷却後に、窒素導入により大気圧に戻してから、乾燥ピリジン30mlをナスフラスコに加えた。このナスフラスコに冷却管をつなぎ、窒素気流下で、超音波分散を5分間行った。アスピレータによる減圧で脱気した後、再び窒素導入により大気圧に戻した。その後、この分散液を窒素気流下にスターラーで攪拌しながら油浴中で100℃に加熱した。
【0063】
一方、乾燥した200mlナスフラスコに、無水塩化第二鉄14.2gをとり、乾燥アセトン120mlを加えて、窒素気流下でスターラーで攪拌して溶解させた。この溶液を200mlのシリンジでとり、活性化(シリカ)メソポア担体の100℃に保たれた上記分散液に、15分間かけて滴下して加えた。この反応混合物を窒素気流下に100℃で8時間加熱・攪拌した。
【0064】
冷却後に、窒素雰囲気下にテフロン濾紙を用いて減圧濾過して固形分を取り出した。冷却管を備えた500mlセパラブルフラスコにこの固形分を窒素雰囲気下でとり、乾燥アセトン200mlを加えて、窒素気流下に油浴中で加熱して還流させながら、スターラーにより1時間攪拌した。冷却後に固形分を窒素雰囲気下の吸引濾過により取り出した。生成固形分を200mlの柱状フラスコに入れ、室温で真空ポンプにより徐々に減圧した後、ゆっくりと昇温して170℃で5時間保持して乾燥した。冷却後に、窒素導入で大気圧に戻して、薄茶色粉体の塩化第二鉄担持(シリカ)メソポア材料11.2gを得た。この生成物をFFCl−5と略記する。
(実施例6)
本例においては、有機溶媒可溶性無水金属ハロゲン化物から無水塩化第二鉄を選び、実施例1で合成した(シリカ)メソポア担体を用いて、脱酸剤を含まない有機溶剤中で、無水塩化第二鉄との反応を行い、塩化第二鉄担持(シリカ)メソポア材料を合成する方法を説明する。
【0065】
実施例4と同様にして調製した活性化(シリカ)メソポア担体の分散用有機溶媒のニトロベンゼンを用い、かつ無水塩化第二鉄の溶解有機溶媒にアセトンを用いることにより、塩化第二鉄と(シリカ)メソポア担体の反応を行った。活性化(シリカ)メソポア材料5.1gを300m lナスフラスコにとり、真空ポンプで徐々に減圧にした後、油浴中で110℃2時間の加熱をして、吸着水の除去を行った。冷却後、窒素導入により大気圧に戻してから、乾燥ニトロベンゼン60m lをナスフラスコに加えた。このナスフラスコに冷却管をつなぎ、窒素気流下で、超音波分散を5分間おこなった。アスピレータによる減圧で脱気した後、再び窒素導入により大気圧に戻した。その後、この分散液を窒素気流下にスターラーで攪拌しながら油浴中で100℃に加熱した。
【0066】
一方、乾燥した200mlナスフラスコに、無水塩化第二鉄14.2gをとり、乾燥アセトン100mlを加えて、窒素気流下でスターラーで攪拌して溶解させた。この溶液を200mlのシリンジでとり、活性化(シリカ)メソポア担体の100℃に保たれた上記分散液に、15分間かけて滴下して加えた。この反応混合物を窒素気流下に100℃で8時間加熱・攪拌した。反応中に、冷却管上部に水に濡らしたpH紙を近付けたが、酸性ガスの発生は確認できなかった。
【0067】
冷却後に、窒素雰囲気下にテフロン濾紙を用いて減圧濾過して固形分を取り出した。冷却管を備えた500mlセパラブルフラスコに、この固形分を窒素雰囲気下で取り、乾燥アセトン200mlを加えて、窒素気流下に油浴中で加熱して還流させながら、スターラーにより1時間攪拌した。冷却後に固形分を窒素雰囲気下の吸引濾過により取り出した。生成固形分を200mlの柱状フラスコに入れ、室温で真空ポンプにより徐々に減圧にした後、ゆっくり昇温して170℃で5時間保持して乾燥した。冷却後、窒素導入で大気圧に戻し、白色粉体の固形生成物8.1gを得た。この生成物をFFCl−6と略記する。
(実施例7)
有機溶媒可溶性無水金属ハロゲン化物から無水塩化第二白金を選び、実施例1で合成した(シリカ)メソポア担体を用いて、脱酸剤を含む有機溶媒中で、無水塩化第二白金との反応をおこない、塩化第二白金担持(シリカ)メソポア材料を合成した。
【0068】
実施例4と同様にして調製した活性化(シリカ)メソポア担持の分散用有機溶媒にピリジンを用い、かつ無水塩化第二白金の溶解用有機溶媒にアセトンを用いることにより、塩化第二白金担持(シリカ)メソポア材料の合成をおこなった。なお、ピリジンは、(シリカ)メソポア材料の分散溶媒としてだけでなく、脱酸剤としての作用も併せ持つものである。
【0069】
活性化(シリカ)メソポア材料1.0gを200mlナスフラスコにとり、真空ポンプで徐々に減圧にした後、油浴中で110℃に2時間加熱して、吸着水の除去をおこなった。冷却後、窒素導入により大気圧に戻してから、乾燥ピリジン20mlをナスフラスコに加えた。このナスフラスコに冷却管をつなぎ、窒素気流下で、超音波分散を5分間おこなった。アスピレータによる減圧で脱揮した後に、再び窒素導入により大気圧に戻した。その後、この分散液を窒素気流下にスターラーで攪拌しながら油浴中で100℃に加熱した。
【0070】
一方、乾燥した100mlナスフラスコに、無水塩化第二白金5.0gをとり、乾燥アセトン60mlを加えて、窒素気流下でスターラーで攪拌して溶解させた。この溶液を100mlのシリンジでとり、活性化(シリカ)メソポア材料の100℃に保たれた上記分散液に、15分間かけて滴下して加えた。この反応混合物を窒素気流下に100℃で8時間加熱・攪拌した。
【0071】
冷却後、窒素雰囲気下にテフロン濾紙を用いて反応混合物を吸引濾過して固形分を取り出した。冷却管を備えた500mlセパラブルフラスコに、この固形分を窒素雰囲気下でとり、乾燥アセトン200mlを加えて、窒素気流下に油浴中で加熱して還流させながら、スターラーにより1時間攪拌した。冷却後に固形分を窒素雰囲気下の吸引濾過により取り出した。生成固形分を200mlの柱状フラスコに入れ、室温で真空ポンプにより徐々に減圧にした後、ゆっくりと昇温して170℃で5時間保持して乾燥した。冷却後、窒素導入で大気圧に戻して、赤褐色粉体の塩化第二白金担持(シリカ)メソポア材料1.6gを得た。この生成物をFPCl−7と略記する。
(実施例8)
実施例4で合成した塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料を加水分解して、金属水酸化物担持(シリカ)メソポア材料を合成した。なお、加水分解は、飽和水蒸気中および水中で実施した。
【0072】
飽和水蒸気中での加水分解は、70mlの水を含む100mlビーカを入れた箱型デシケータ(30×20×10cm3 )に、上記塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料(FACl−4)3.0gを入れたシャーレを室温で24時間放置しておこなった。生成粉体を50mlナスフラスコにとり、室温で真空ポンプにより徐々に減圧にした後、毎時10〜20℃の昇温速度で75℃まで加熱して乾燥させ、冷却後に窒素導入で大気圧に戻して、白色粉体の生成物を得た。この生成物をFAOH−4Aと略記する。
【0073】
水中での加水分解は、上記塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料(FACl−4)3.0gを200mlナスフラスコにとり水100mlを加えて、アスピレータで脱気した後、1分間超音波分散して、その後室温で30分間静置することによりおこなった。固形分を濾別しロート上で400mlの水で洗浄した後、50mlナスフラスコにとり、室温で真空ポンプにより徐々に減圧にした後、毎時10〜20℃の昇温速度で75℃まで加熱して乾燥させ、冷却後に窒素導入して大気圧に戻して、白色粉体の生成物2.2gを得た。この生成物をFAOH−4Wと略記する。
(実施例9)
実施例8で合成した2種類の金属水酸化物担持(シリカ)メソポア材料を焼成して、金属酸化物担持(シリカ)メソポア材料を合成した。
【0074】
上記2種類の金属水酸化物担持(シリカ)メソポア材料、すなわち、1.4gのFAOH−4Aと1.2gのFAOH−4Wを、それぞれ50mlの磁製ルツボにとり、電気炉中650℃で4時間焼成した。なお、昇温および降温はそれぞれ2時間おこなった。白色粉体の生成物をそれぞれ1.1gづつ得た。これらの生成物を、FAO−4AおよびFAO−4Wと略記する。
(実施例10)
実施例4で合成した塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料、および実施例5で合成した塩化第二鉄担持(シリカ)メソポア材料を焼成して、金属酸化物担持(シリカ)メソポア材料を合成した。
【0075】
上記の塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料1.4gおよび上記の塩化第二鉄担持(シリカ)メソポア材料(FFCl−5)2.0gを、それぞれ50mlの磁製ルツボにとり、電気炉中650℃で4時間焼成した。なお、昇温及び降温はそれぞれ2時間おこなった。FACL−4からは白色粉体の生成物1.0gを、またFFCl−5からは赤茶色粉体の生成物1.3gを得た。これらの生成物を、それぞれFAO−4ClおよびFFO−5Clと略記する。
(実施例11)
実施例7で合成した塩化第二白金担持(シリカ)メソポア材料を熱分解して、金属担持(シリカ)メソポア材料を合成した。
【0076】
上記塩化第二白金担持(シリカ)メソポア材料(FPCl−7)1.0gを50mlの磁製ルツボにとり、電気炉中600℃で4時間加熱して熱分解をおこなった。なお、昇温および降温はそれぞれ2時間おこなった。灰色粉体の生成物0.8gを得た。生成物をFPt−7Clと略記する。
(実施例12)
実施例4〜11で合成した(シリカ)メソポア材料の各種担持誘導体について、窒素吸着によるBET法で比表面積を求めた。
【0077】
【表1】
Figure 0003902260
【0078】
実施例4、5、7の方法にしたがって、活性化(シリカ)メソポア材料(DHF−16)と無水金属ハロゲン化物を反応させると、得られた生成物の比表面積は原料DHF−16の値の半分以下となった。しかし、実施例6の方法で反応させた場合には、得られた生成物(FFCl−6)の比表面積は原料DHF−16の値と変わらなかったので、無水塩化第二鉄と活性化(シリカ)メソポア材料のシラノール基との反応が十分に起きなかったことがわかる。
【0079】
金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料から得られる各種担持誘導体は、少なくとも400m2 /g以上の十分に大きい比表面積を持つが、その値は出発原料の(シリカ)メソポア材料の比表面積より小さいことがわかる。
(実施例13)
実施例4で合成した塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料の微細構造をNMR測定により観察した。
【0080】
活性化(シリカ)メソポア材料(DHF−16)と塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料(FACl−4)について、29SiMAS−NMRスペクトルを図4に示した。FACl−4のスペクトルでは、DHF−16のスペクトルに比べて、−100ppm付近のシラノール基によるQ3 ピーク強度が減少して、−105ppm付近のSi(1Al)ピーク強度が増加したが、シリカ骨格内部のSi−O−Si結合に基づく−110ppm付近のQ4 ピーク強度に変化は無かった。したがって、無水塩化アルミニウムが活性化(シリカ)メソポア材料のシラノール基と反応したことがわかる。
【0081】
塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料(FACl−4)の27AlMAS−NMRスペクトルを図5に示した。未反応のAlCl3 による105ppmのピークはほとんど見られず、Si−O−Al(Cl)2 に基づくピークが80ppm付近に観測された。
(実施例14)
実施例4〜11で合成した金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料およびその誘導体の元素分析から求めた元素組成を説明する。
【0082】
各種担持(シリカ)メソポア材料について、金属原子と珪素原子の比および塩素原子と金属原子の比を表2にまとめた
種誘導体の金属含有量は金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料と変わらなかったが、塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料を水中で加水分解・濾別したものはアルミニウム含有量が減少した。
【0083】
【表2】
Figure 0003902260
(実施例15)
実施例3と同様の方法により、実施例4で合成した塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料の細孔径を測定した。
【0084】
図6に、窒素吸着等温曲線からCranston-Inclay 法により算出した細孔分布曲線を示した。この細孔分布曲線のピーク位置から求めて中心細孔直径は2.0nmであった。なお、全表面積は553m2 /gであった。
(実施例16)
実施例11で合成した白金担持(シリカ)メソポア材料(FPt−7Cl)のXPS観察の結果を説明する。
【0085】
図7に、FPt−7ClをXPSで測定した結果を示した。担体である(シリカ)メソポア材料のSiを標準としたPt4f5/2 とPt4f7/2 のスペクトルから白金が金属原子として存在することがわかる。
(実施例17)
実施例4、8、9、10で合成した塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料およびその誘導体の粉末X線回折パターンを観察した。
【0086】
活性化(シリカ)メソポア材料(DHF−16)とFACl−4の粉末X線回折パターンを図8に示した。FACl−4においても、六方晶構造に指数付けされる3〜4本の回折ピークが、回折角度が10°以下の範囲に観測されたが、それらは強度が低下して高角側に若干シフトしていた。したがって、上記塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料は、細孔径が若干減少すること、および規則的な構造をある程度保持していることがわかる。
【0087】
FACl−4を加水分解したFAOH−4AとFAOH−4Wの粉末X線回折パターンを図9に示した。これらも、規則的な構造をある程度保持しており、その細孔径はFACl−4のものとほぼ同じであることがわかる。
焼成して得られた金属酸化物担持(シリカ)メソポア材料であるFAO−4Cl、FAO−4A、FAO−4Wの粉末X線回折パターンを図10に示した。これらも、規則的な構造をある程度保持していたが、その細孔径は焼成原料のものより若干減少していることがわかる。
【0088】
FFCl−5、FFO−5Cl、FPCl−7、FPt−7Clの粉末X線回折パターンにおいても、六方晶構造に指数付けされる3〜4本の回折ピークが回折角度10°以下の範囲に若干高角側にシフトして観測された。
(実施例18)
実施例4で合成した塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料(FACl−4)が、分子径の大きい悪臭物であるトリメチルアミンを除去する脱臭効果を有することを説明する。なお、比較材料として、シリカ/アルミナ比が1.2であるXゼオライトとシリカ/アルミナ比が630であるHYゼオライトを用いた。
【0089】
2つの密封袋内に上記の各試料とトリメチルアミンガス(窒素バランス)および同量のトリメチルアミンガスのみを入れ、24時間静置した後に、トリメチルアミンの残留濃度をガスクロマトグラフにより定量した。トリメチルアミンガスの供給量(初期濃度)は、袋による吸着を考慮して、トリメチルアミンガスのみを24時間静置した際の濃度を用いた。したがって、試料によるトリメチルアミンガスの除去量は、上記残留濃度からの減少量として算出した。
【0090】
比較試料のゼオライトでは、トリメチルアミンガスの除去量は10mg/g未満であり、固体酸量が増えても大きな変化はみられなかった。一方、FACl−4によるトリメチルアミンガスの除去量は20mg/g以上であり、ゼオライトの2倍以上の脱臭効果が見られた。
(実施例19)
塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料(FACl−4)を固体酸触媒として用いて、その固体酸触媒とポリエチレンの混合物を加熱して油化反応をおこなった結果について説明する。なお、比較のために、三塩化アルミニウム六水和物を空気中350℃で1時間焼成したものを比較触媒として用いた場合と、無触媒で上記油化反応をおこなった結果を示す。
【0091】
図14に示した反応装置は、ガラス器具、攪拌用電動モータ、および加熱用の電気炉とリボンヒータからなり、生成ガス捕集用のアルミニウムラミネート袋を備えたものである。なお、高温雰囲気に置かれるガラス器具の接続部分は針金で固定した。50mlのフラスコに、高密度ポリエチレン・ペレット10.0gと粉末状触媒1.0gとを窒素気流下でとり、図14の反応装置を組立てた。この混合物を電動モータでゆっくりと攪拌しながら、電気炉内の温度が400℃に、およびリボンヒータの内側の温度が350℃になるように加熱して、ポリエチレンの接触分解油化をおこなった。
【0092】
生成油の収率は、無触媒で72%であったが、FACl−4を油化触媒に用いた場合は52%であり、比較触媒では12%であった。図15には、上記反応装置により無触媒でポリエチレンを熱分解して得た熱分解油と上記FACl−4による生成油とをガスクロマトグラフ(GC)法およびGC−MS法で分析してもとめた、生成炭化水素油の炭素数別の組成分布図を示した。熱分解油の組成は炭素数4〜28の広い分布であったが、FACl−4による生成油の組成は炭素数6と7を主成分とした炭素数3〜12の狭い分布であり、低沸点の炭化水素油からなる組成であった。なお、FACl−4による生成油と比較触媒による生成油には、有機ハロゲン化物の2−クロロ−2メチルプロパンが少量(共に0.3%)含まれていた。このことから、塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料は有機ハロゲン化物の副生を抑えながら低沸点炭化水素油を高収率で与えうる廃プラスチックの油化触媒であることがわかる。
【0093】
【発明の効果】
本発明の金属ハロゲン化物担持メソポア材料は、特定の大きさの細孔(メソポア)を均一に有するシリカを担体とした新規な金属ハロゲン化物担持化合物を供給できる。この化合物は、大きい比表面積をもつルイス酸担持触媒として、反応触媒や脱臭剤などに利用できる。この化合物は、その細孔径がゼオライトなどの従来の結晶性固体酸よりも大きいので、従来型固体酸の細孔内に侵入できなかった比較的大きいな分子(反応基質)と、反応や吸着を行うことができる。この化合物は、有機溶媒にたいする分散性がよいので、液相反応に用いる固体酸触媒としての利用が可能である。
【0094】
本発明の金属ハロゲン化物担持メソポア材料の製造方法では、特定の大きさの細孔(メソポア)を均一に有するシリカと金属ハロゲン化物がより均一に反応した新規な金属ハロゲン化合物を製造できる。また、金属ハロゲン化物が有機溶媒可溶性かつシリカに対して有機溶媒中で非反応性である場合には、有機溶媒に脱酸剤を添加することによって、金属ハロゲン化物担持化合物の合成を可能とした。
【0095】
本発明の金属水酸化物担持メソポア材料は、特定の大きさの細孔(メソポア)を均一に有するシリカを担体とした新規な金属水酸化物を提供できる。この化合物は、大きい比表面積を持つ新規な金属水酸化物担持化合物であるので、新規触媒担体としての利用が可能である。
本発明の金属水酸化物担持メソポア材料の製造方法は、特定の大きさの細孔(メソポア)を均一に有するシリカを担体とした新規な金属水酸化物担持化合物を製造できる。金属ハロゲン化物担持化合物の加水分解を空気中また水中で行うことにより、状態が異なる金属水酸化物担持化合物を製造できる。
【0096】
発明の金属酸化物担持メソポア材料は、特定の大きさの細孔(メソポア)を均一に有するシリカを担体とした新規な金属酸化物を提供できる。この化合物は、大きい比表面積を持つ新規な金属酸化物担持化合物であり、かつ新規複合酸化物であるので、新規触媒担持および新規触媒として利用が可能である。
本発明の金属酸化物担持メソポア材料の製造方法は、特定の大きさの細孔(メソポア)を均一に有するシリカに金属酸化物が均一に結合した新規な金属酸化物担持化合物(新規複合酸化物)を、金属ハロゲン化物担持化合物または金属水酸化物担持化合物から製造できる。
【0097】
発明の金属担持メソポア材料は、特定の大きさの細孔(メソポア)を均一に有するシリカを担体とした金属担持化合物提供できる。この化合物は、大きい比表面積を持つ金属担持化合物であるので、触媒として利用が可能である。
本発明の金属担持メソポア材料の製造方法は、特定の大きさの細孔(メソポア)を均一に有するシリカを担体とした金属担持化合物を、金属ハロゲン化物担持化合物から製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2における(シリカ)メソポア材料(F−16C)の粉末X線回折パターンを示す特性図である。
【図2】実施例2における(シリカ)メソポア材料(F−16C)の結晶構造を示す透過型電子顕微鏡写真図である。
【図3】実施例3における(シリカ)メソポア材料(F−16C)の窒素吸着等温線から算出した細孔分布曲線を示す特性図である。
【図4】実施例13における活性化(シリカ)メソポア材料(DHF−16)と塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料(FACl−4)の29SiMAS−NMRスペクトルを示す特性図である。
【図5】実施例13における塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料(FACl−4)の27AlMAS−NMRスペクトルを示す特性図である。
【図6】実施例15における塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料(FACl−4)の窒素吸着等温線から算出した細孔分布曲線を示す特性図である。
【図7】実施例16における白金担持(シリカ)メソポア材料(FPt−7Cl)のXPS測定によるPt4f5/2 とPt4f7/2 のスペクトルを示す特性図である。
【図8】実施例17における活性化(シリカ)メソポア材料(DHF−16)と塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料(FACl−4)の粉末X線回折パターンを示す特性図である。
【図9】実施例17における2種類の水酸化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料(FAOH−4A、FAOH−4W)の粉末X線回折パターンを示す特性図である。
【図10】実施例17における3種類の酸化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料(FAO−4Cl、FAO−4A、FOA−4W)の粉末X線回折パターンを示す特性図である。
【図11】実施例18における塩化アルミニウム担持(シリカ)メソポア材料(FACl−4)、XゼオライトおよびHYゼオライトによるトリエチルアミンの除去量を示す特性図である。
【図12】(シリカ)メソポア材料FSM−16の生成機構の模式図である。
【図13】(a)は(シリカ)メソポア材料の表面構造の模式図である。(b)は活性化(シリカ)メソポア材料の表面構造の模式図である。(c)は金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料の金属ハロゲン化物(塩化アルミニウム)が一分子層担持された場合の表面構造の模式図である。(d)は金属ハロゲン化物担持(シリカ)メソポア材料の金属ハロゲン化物(塩化アルミニウム)が二分子層担持された場合の表面構造の模式図である。
【図14】熱分解工程で使用する場合の油化反応装置の説明図である。
【図15】無触媒および油化触媒FACl−4を用いて、ポリエチレンから生成した炭化水素油の炭素数別の組成分布を示すグラフである。

Claims (19)

  1. 2〜10nmの範囲内でかつ均一な径の細孔を多数有するシリカの多孔体と、少なくとも前記細孔内表面に備えたシラノール基に有機溶媒中の反応で結合した金属ハロゲン化物とからなる金属ハロゲン化物担持メソポア材料。
  2. 該シリカの細孔の径は2〜6nmの範囲内である請求項1に記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料。
  3. 該シリカ多孔体の該細孔は、細孔分布曲線における最大ピークを示す細孔直径が2〜10nmの範囲にあり、かつこれらの細孔の60%以上が前記細孔径分布曲線における最大ピークを示す細孔直径の±40%の範囲の細孔径を有する請求項1に記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料。
  4. 該金属ハロゲン化物は、該シリカ多孔体の少なくとも細孔内表面に均一に一分子層または二分子層以上に結合した請求項1から3のいずれかに記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料。
  5. 該金属ハロゲン化物は、周期律表のIVa 〜VIII族あるいはIb族遷移金属のハロゲン化物、またはIa,IIa,IIb〜VIb の金属のハロゲン化物である請求項1から4のいずれかに記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料。
  6. 該金属ハロゲン化物は、ルイス酸として作用するものである請求項1から5のいずれかに記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料。
  7. 該金属ハロゲン化物は、無水塩化アルミニウム(AlCl)または無水塩化第二鉄(FeCl) である請求項1から5のいずれかに記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料。
  8. 2〜10nmの範囲内でかつ均一な径の多数の細孔を有し、少なくとも該細孔内表面には金属ハロゲン化物が結合できるシラノール基を有するシリカの多孔体と、金属ハロゲン化物とを有機溶媒中で反応させ、該金属ハロゲン化物と該シリカのシラノール基との結合を形成することを特徴とする金属ハロゲン化物担持メソポア材料の製造方法。
  9. 該有機溶媒および該金属ハロゲン化物は、予め脱水処理され、該結合反応が非水雰囲気下でおこなわれる請求項8に記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料の製造方法。
  10. 金属ハロゲン化物が有機溶媒易溶性のものである場合には、該有機溶媒は、ハロゲン系溶媒、ニトロ化物溶媒、芳香族溶媒の少なくとも1種から選ばれる請求項8に記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料の製造方法。
  11. 該金属ハロゲン化物有機溶媒可溶性かつ無機酸化物に対して有機溶媒中で非反応性である場合には、前記有機溶媒に脱酸剤を添加する請求項8から9のいずれかに記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料の製造方法。
  12. 該金属ハロゲン化物は、融点が25℃以下であり、室温で液体のものである請求項8から9のいずれかに記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料の製造方法。
  13. 請求項1記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料を加水分解して得られる、細孔を有し各該細孔の径が均一であり、少なくとも該細孔の内表面に備えたシラノール基に結合した金属水酸化物を有する金属水酸化物担持メソポア材料。
  14. 請求項1記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料を加水分解することを特徴とする金属水酸化物担持メソポア材料の製造方法。
  15. 請求項1記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料を焼成して得られる、細孔を有し各該細孔の径が均一であり、少なくとも該細孔の内表面に備えたシラノール基に結合した金属酸化物を有する金属酸化物担持メソポア材料。
  16. 請求項1記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料を焼成することを特徴とする金属酸化物担持メソポア材料の製造方法。
  17. 請求項13記載の金属水酸化物担持メソポア材料を焼成して得られることを特徴とする金属酸化物担持メソポア材料。
  18. 請求項1記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料を還元または熱分解して得られる、細孔を有し各該細孔の径が均一であり、少なくとも該細孔の内表面に備えたシラノール基に固定された金属を有する金属担持メソポア材料。
  19. 請求項1記載の金属ハロゲン化物担持メソポア材料を還元または熱分解することを特徴とする金属担持メソポア材料の製造方法。
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