JP3900894B2 - 高吸湿保温性繊維構造物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性のある高吸湿保温性を兼ね備え、しかも風合いの柔軟な高吸湿保温性繊維構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維やナイロン繊維などの合成繊維は、優れた物理的および化学的特性を有しているため広く利用されているが、その反面、吸湿性が低いため、衣料として用いた場合着用時に蒸れやすく、また保温性も低いという欠点があり、改善が望まれている。
【0003】
これを改善するため、特公昭60−34979号公報に示されるように、合成繊維にアクリル酸やメタクリル酸をグラフト重合させたり、特公昭58−46589号公報に示されるように、ラジカル重合可能な親水性モノマーをポリエステル繊維上で重合させる方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、これら従来の方法は性能や耐久性が不十分であったり、風合いが硬くなったりする欠点があった。
【0005】
さらに、これらを解決すべく、耐久性のある吸湿性と制電性を有し、しかも柔軟な風合いを有する繊維材料を得る方法として、ビニルカルボン酸および/またはビニルスルホン酸モノマーとジビニルモノマーの重量比が1:1〜20:1である処理液を繊維材料表面で重合させる方法が、特開平8−209540号公報で提案されている。この方法により、耐久性のある吸湿性が得られるが、さらに高い性能と耐久性が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、さらに十分な耐久性のある高吸湿保温性を有し、しかも柔軟な風合いの高吸湿保温性繊維構造物を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の高吸湿保温性繊維構造物は、繊維表面に吸湿発熱性を有する高分子化合物が付着されており、その発熱エネルギー係数が、5以上30以下であって、該繊維構造物の単位面積あたりの繊維充填度が30以上200以下であることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の繊維構造物における該吸湿発熱性を有する高分子化合物は、ビニルカルボン酸および/またはビニルスルホン酸モノマー(以下、「モノマーA」という。)と、下記一般式[I]および[II]で示されるビニルモノマーから選ばれた少なくとも1種(以下、「モノマーB」という。)とを、重量比1:20〜1:1で含み、かつ、好ましくは重合開始剤を含む処理液が、繊維材料の表面上に付与され重合されたものである。
【0009】
【化4】
【0010】
(式中、X=HまたはCH3、n=5〜40の整数)
【0011】
【化5】
【0012】
(式中、X=HまたはCH3、m+n=は10〜30の整数)
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、繊維構造物の発熱エネルギー係数は5以上30以下であり、さらには7以上20以下であることが好ましい。この範囲において、その繊維構造物の吸湿発熱効果で保温性が得られ、特に冬場において、これらの繊維構造物を用いたブルゾン、ウィンドブレーカー、スキーウエア、下着などを着用すると、非常に暖かく、快適性のある衣服が得られる。また、発熱エネルギーが5より小さいと発熱効果が小さく、30より大きいと発熱エネルギーが大きすぎて、発汗量が多くなり、衣服内における温度が必要以上に上昇し、快適感が得られない。
【0014】
発熱エネルギーを5以上発生させるためには、後述するモノマーAとモノマーBの重合体を、繊維表面上に1wt%以上、30以下とするには、20wt%以下の範囲で付着させる必要がある。
【0015】
本発明でいう発熱エネルギー係数は、次のようにして決定される。すなわち、幅約3.5cmの試料3gを、温度計あるいは熱電対の測定部に巻き、摂氏30度×湿度30%RHの環境下に12時間以上放置後の温度を測定する。次に摂氏30度×湿度90%RHの環境まで、湿度3%/分の速度で変化させ、この間1分毎に4時間後まで温度を測定する。測定後、上昇温度を積分したものを発熱エネルギー量として求め、次の式によって表す。
【0016】
発熱エネルギー係数=試料の発熱エネルギー量/ポリエステルタフタ(JIS標準布)の発熱エネルギー量
本発明では、後述するモノマーA、モノマーBおよびモノマーCを、繊維材料上で重合させ重合体からなる被膜を形成する。
【0017】
本発明で用いられるモノマーAは、ビニルカルボン酸および/またはビニルスルホン酸である。ビニルカルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などが挙げられる。また、ビニルスルホン酸の具体例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、「AMPS」という。)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(以下、「AMPS−Na」という。)、2−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。本発明では、これらのモノマー2種類以上用いることも何ら差し支えない。特に、重合効率と吸湿性の面から、アクリル酸、メタクリル酸、AMPS、スチレンスルホン酸ナトリウムが好ましく用いられる。
【0018】
また、本発明で用いられるモノマーBの1種は、下記一般式[I]で示される。
【0019】
【化6】
【0020】
ここでnは9〜23の整数である。nが9より小さくても23より大きくても十分な耐久性が得られない。また、制電性の面から、モノマーBは、n=14〜23の範囲であることが好ましい。
【0021】
また、モノマーBの他の1種は、下記一般式[II]で示される。
【0022】
【化7】
【0023】
ここでm+nは10〜30の整数である。m+nが10より小さくても30より大きくても十分な耐久性、制電性が得られない。
【0024】
モノマーBとして、上記一般式[I]と[II]で示されるモノマーから選ばれた少なくとも1種を用いる。つまりこれらのモノマーをそれぞれ単独でも用いることができ、また一般式[I]および一般式[II]で示されるモノマーを併用してもよく、さらに、一般式[I]と[II]で示されるモノマーの2種以上を用いても何ら差し支えない。
【0025】
また、上記一般式[I]と[II]において、XはHまたはCH3であるが、安全の面からX=CH3を用いることが好ましい。
【0026】
本発明において、モノマーAとモノマーBの混合比は、重量比で1:20〜1:1であることが好ましく、より好ましくは1:2である。この重量比が1:20を超える場合には、得られる吸湿性が低いレベルに留まる傾向を示し、一方、1:1に満たない場合には、重合体の網目構造化が十分進まず耐久性が悪くなってしまう傾向がある。制電性の面からは、重量比でモノマーAよりもモノマーBの使用量が多い方が好ましい。モノマーAとモノマーBの使用量については目的に応じて任意に決定できる。
【0027】
また本発明で用いられるモノマーCは、下記一般式[III]で示され、
【0028】
【化8】
【0029】
(R=HまたはCH3 、R1=Cl、Br、I、OCH3 、OC2 H5 、SCH3 、m=0〜9の整数、l=10以上の整数)
本発明では、モノマーAとモノマーBおよびモノマーCの重合反応に際し、重合開始剤が用いられる。かかる重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤を使用することができる。例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素など無機系重合開始剤や、2,2’−アゾビス(2−アミディノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(N、N−ジメチレンイソブチラミディン)ジハイドロクロライド、2−(カルバモイラゾ)イソブチロニトリルなどの有機系重合開始剤が挙げられる。また、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどの水不溶性重合開始剤をアニオン、ノニオン等の界面活性剤で乳化させて用いてもよい。コスト、取り扱いに容易さの点からは、過硫酸アンモニウムが好ましく用いられる。さらに、重合効率を高めるために、重合開始剤としての過酸化物と還元性物質を併用するいわゆるレドックス開始剤を用いてもよい。この過酸化物としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム、還元性物質としては、例えば、スルホキシル酸ナトリウムとホルマリンとの反応物やハイドロサルファイトなどが挙げられる。重合開始剤の使用濃度は、使用するモノマー濃度や処理条件にもよるが、0.1〜3%が好ましい。
【0030】
また、繊維との親和性を高めるために各種浸透剤を使用してもよい。例えばイソプロピルアルコールなどのアルコール類や、アニオン系界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムや、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどがあり、非イオン系では、オクチルフェノールのエチレンオキサイド付加物などの各種界面活性剤が使用される。
【0031】
本発明で用いられる処理液は、基本的には、モノマーA、モノマーBとモノマーCとの混合もしくは単独とそれに重合開始剤とで構成されるが、さらに必要に応じて仕上げ加工剤、例えば、撥水剤、柔軟剤、難燃剤、抗菌防臭加工剤などを添加してもよい。また、架橋促進のために、風合いをあまり粗硬にしない程度に、メチロール基を有するビニルモノマー、例えば、N−メチロールアクリルアミドやN−メチロールメタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミドなどを添加してもよい。
【0032】
また、必要に応じて天然物付与も好ましく行なわれ、植物から抽出された綿、麻、茶、または、動物から抽出されたウール、シルク、キチン、キトサン、スクワラン、または、鉱石から抽出されたスメクタイト、また古代海底ミネラル成分などが挙げられ、これらを処理液中に混合させ同時に処理をしたり、または上記処理後天然物だけの処理液を作成し、繊維に含浸させ、乾熱処理によって付与させる。これらの天然物が有する吸湿性によって保温効果がさらに高まる。
【0033】
本発明のモノマーA、B、Cを含む処理液を繊維材料に付与する方法としては、通常用いられる手段が適用可能である。例えば、パディング法、スプレー法、キスロールコータ、スリットコータなどが挙げられる。これらの方法で処理液を付与後、例えば真空脱水機で処理するなどして付与量を調整することも好ましく行われる。
【0034】
本発明において、モノマーA、B、Cを繊維上で重合させる方法としては、ラジカル重合に用いられるあらゆる手段が適用可能である。例えば、乾熱処理、スチーム処理、浸漬法、コールドバッチ法、マイクロ波処理、紫外線処理などが挙げられる。ここでマイクロ波処理とは、2450MHzまたは920MHzの波長の高周波を被加熱物に当てることで発熱させるものである。これらの処理手段は、単独で適用してもよいし、加熱効率を高めるために、例えば、スチーム処理または乾熱処理時にマイクロ波処理または紫外線処理を併用するなどしてもよい。なお、空気中の酸素が存在すると重合が進みにくくなるので、乾熱処理、マイクロ波処理、紫外線処理の場合には、不活性ガス雰囲気下で処理するのが好ましく、コールドバッチ法の場合にも、シール材で密封することが好ましい。
【0035】
これらの重合法の中では、スチーム処理が重合効率および処理の安定性の観点から好適である。スチーム処理は、常圧スチーム、加熱スチーム、高圧スチームのいずれでもよいが、コスト面からは、常圧スチームまたは加熱スチームが好ましい。スチーム処理温度は、80〜180℃さらには100〜160℃が好ましい。スチーム処理時間は、1〜10分程度でよい。
【0036】
なお、本発明において、繊維材料に処理液を付与した後、モノマーA、B、Cを重合させる前に、風乾あるいは乾燥機などで予備乾燥することも好ましく行なわれる。
【0037】
また、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維に対しては製糸、製紡の段階での付与も可能である。例えばポリエステルフィラメントの場合、溶融紡糸法でPOY(半延伸糸)を紡糸する際、上記化合物の1種もしくは2種以上と炭素数25〜33の高級炭化水素と、炭素数が3〜6の多価アルコールと炭素数が14〜18の脂肪酸とのエステル、炭素数が12〜17の脂肪酸とアミノアルコールとの反応により得られる脂肪族アミド、水溶性シリコーン化合物から成る群から選ばれた少なくとも一種の化合物とポリオキシエチレン系界面活性剤の混合組成物を紡糸油剤とともに付与し、後の延伸工程において乾熱処理されることによって化合物が繊維に強固に付着し、耐洗濯性のある水分子吸着発熱性能が得られる。アクリル繊維の場合は、湿式紡糸法で紡糸、延伸、水洗された後、モノマーA、B、Cの1種もしくは2種以上を混合した溶液を、0.05〜5.0重量%付着させ、乾燥緻密化処理、スチーム処理、乾燥工程を経て、繊維に強固に付着しポリエステルと同様に耐洗濯性のある水分子吸着発熱性能が得られる。
【0038】
本発明の処理液による重合物の付着量は、吸湿性能を優れたものにし、一方、風合いの粗硬化を防ぐ観点から、繊維材料に対して1〜20wt%とすることが好ましい。付着量は、より好ましくは、5〜20wt%である。
【0039】
本発明で用いられる繊維材料としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維、ポリエステルに第3成分を共重合したポリエステル系繊維、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリアミドに第3成分を共重合したポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリルを主成分とするアクリル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、セルロース系繊維、たんぱく質系繊維などが挙げられ、これらの混交品も用いられる。
【0040】
本発明における繊維構造物は、上記繊維材料から構成され、形態としては、スパン糸やフィラメント等の糸条物、織編物や不織布等の繊維布帛等が挙げられる。また、織編物としては混紡混織、交織、交編した繊維布帛も含まれる。
【0041】
また、本発明で用いられる繊維構造物は、単位体積当たりの繊維充填度が好ましくは30以上200以下であり、さらに好ましくは50以上180以下である。繊維充填度が30未満では、かさ高過ぎて衣服としては不適切であり、またまた繊維充填度が200より大きい場合は、発した熱を保持することが出来ない構造となる傾向がある。
【0042】
繊維構造物の厚さは、荷重7g/cm2下における厚さが0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは2mm以上8mm以下である。荷重7g/cm2下における厚さが0.5mm未満では、繊維構造物としては薄すぎるため、十分な保温性が得られず、また10mmより大きい場合は、着用感が悪く、快適性のあるものとは言い難い。繊維構造物の形態としては、上述のように織物、編物、不織布などが挙げられ、これらの繊維構造物は、直接肌に触れるインナーに対して効果があることはもちろん、シャツ、スラックス、セーター、ブルゾン、フリース、ウインドブレーカーなどの一般衣料、ウォームアップウェアやマラソン、水着などのスポーツウェア、作業服やオフィスウェア、学生服などのユニフォーム類、芯地、裏地、中入れ綿、肩パットなどの衣料用資材、靴下、靴の中敷き、マフラー、ショール、手袋、帽子、膝掛けなどの衣料雑品、サポータ、腹巻きなどの健康補助衣料など、身にまとうあらゆる用途に好適である。たとえば、サポータや腹巻きにおいては、夏場の冷房による冷え対策などにも効果があり、特に、肌着や靴下と一体化したものであれば、身体にフィットするようなファッショナブルな女性の装いにおいても、その外観を損なわず、冷えから身体を守ることができる。
【0043】
さらに、本発明の保温布帛は、布団、こたつ布団、座布団、枕、クッションなどの中綿やカバー・シーツあるいは毛布などの寝装寝具類、カーペット、便座カバー、トイレマット、バスマットなどの敷物類、自動車・電車・バス・航空機・車椅子をはじめあらゆる乗り物のシート類、壁紙やカーテン、カーテンなど建装資材などに使用することによって、暖かく、快適性のある生活環境が得られる。また、省エネ効果も期待できる。その他、弁当・ペットボトル・植木鉢などの保温袋、ぬいぐるみ、ペット用品、貼布材の基布など、保温性の必要なあらゆるジャンルに転用してもなんら問題はない。
【0044】
【実施例】
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0045】
なお、実施例中に記載した各種性能は以下の方法により評価した。
【0046】
[洗濯]
自動反転渦巻き式電気洗濯機(東芝(株)製;VH−1150と同性能のもの)に、45cm×45cmの試験布500gと、40±2℃の0.2%弱アルカリ性合成洗剤(JIS K−3371弱アルカリ性・第1種)液25lとを入れ、強条件で25分間洗濯した。ついで、遠心脱水機で30秒間脱水後、常温水をオーバーフローさせながら10分間すすぎを行った。その後、再度30秒間脱水し、同条件で10分間すすいだ前記方法を洗濯5回とする。表1では、これを4回繰り返し洗濯20回と表示した。
【0047】
[樹脂付着量]
樹脂付着量[%]=[(A−B)/B]×100
ここで、A:加工後の生地重量
B:加工前の生地重量
ここで、生地重量とは20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置したときの重量をいう。
【0048】
[吸湿性(ΔMR)]
ΔMR(%)=MR2−MR1
ここで、MR1とは絶乾状態から20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置したときの吸湿率(%)をいい、洋服ダンスの中に入っている状態、すなわち着用前の環境に相当する。また、MR2とは絶乾状態から30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置したときの吸湿率(%)をいい、運動状態における衣服内の環境にほぼ相当する。
【0049】
ΔMRは、MR2からMR1の値を差し引いた値で表されるものであり、衣服を着用してから運動したときに、衣服内のムレをどれだけ吸収するかに相当し、ΔMR値が高いほど快適であるといえる。一般に、ポリエステルのΔMRは0%、ナイロンで2%、木綿で4%、ウールで6%といわれる。
【0050】
[風合い]
生地を掴んだときの感触を、非常に柔らかい、柔らかい、やや硬い、硬い、非常に硬いの5段階で評価した。
【0051】
[繊維充填度]
次の式によって求める。繊維充填度=目付(g/m2)/厚さ(mm)
[厚さ]
厚さの測定はJIS L 1096法による。
【0052】
(実施例1)
タテ糸に110dtex−48Fのポリエステル加工糸とヨコ糸に84dtex−36Fのポリエステル加工糸を使用した織物を、下記組成の処理液に浸漬後、ピックアップ率80%に設定したマングルで絞り、乾燥機で120℃、2分乾燥させた。乾燥後直ちに、105℃の加熱スチーマーで5分間処理し、湯水洗、乾燥した。次いで、乾燥機で170℃、1分でセットし、評価に供した。このときの織物の厚さは、3mmで繊維充填度は100であった。結果を表1に示す。
【0053】
[処理液]
AMPS 20g/l
一般式[I]においてX:−CH3、n=23のモノマー 40g/l
過硫酸アンモニウム 2g/l
(実施例2)
78dtex−24Fのナイロン糸を使用した丸編み地を、下記組成の処理液に浸漬後、実施例1と同じ処理を施して試料を作製した。このときの丸編地の厚さは、5mmで繊維充填度は80であった。評価結果を表1に示す。
【0054】
[処理液]
AMPS−Na(固形分100%) 20g/l
一般式[I]においてX:−CH3、n=23のモノマー 30g/l
一般式[II]においてX:−CH3、m+n=30のモノマー 10g/l
N−メチロールアクリルアミド 7g/l
過硫酸アンモニウム 2g/l
(実施例3)
単糸の太さが2.2dtexのポリプロピレン不織布を、下記組成の処理液に浸浸後、実施例1と同じ処理を施して試料を作製した。このときの不織布の厚さは、1mmで繊維充填度は180であった。評価結果を表1に示す。
【0055】
[処理液]
AMPS 20g/l
一般式[I]においてX:−CH3、n=23のモノマー 10g/l
一般式[II]においてX:−CH3、m+n=30のモノマー 30g/l
過硫酸アンモニウム 2g/l
(実施例4)
実施例1で用いた生地を下記組成の処理液に浸漬後、実施例1と同じ処理を施して試料を作製した。評価結果を表1に示す。
【0056】
[処理液]
AMPS 10g/l
一般式[I]においてX:−CH3、n=23のモノマー 55g/l
過硫酸アンモニウム 2g/l
(実施例5)
湿式紡糸法によって紡糸、延伸、水洗されたアクリル繊維に対して一般式III(R=CH3、R1=OCH3、l=23、m=0)の化合物を、0.2重量%繊維に付着させ、乾燥緻密化処理、スチーム処理、乾燥工程を経て、繊維に対して強固に付着させ、2.2dtexのアクリルステープルとし、水分子吸着発熱性能を有する1/60のアクリル紡績糸を得た。そのアクリル紡績糸と、ナイロンフィラメント加工糸155デシテックス48フィラメント糸を用い、22Gの両面丸編機にて、裏面側ハニカムリバーシブル編組織となる丸編地を編成した。
【0057】
この編地を通常の丸編地の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥を行った。さらに、この染色・乾燥後の生地を、実施例1と同一の処理液に浸漬後、ピックアップ率80%に設定したマングルで絞り、乾燥機で120℃、2分乾燥させた。
【0058】
乾燥後直ちに、105℃の加熱スチーマーで5分間処理し、湯水洗、乾燥し、次いで、乾燥機で170℃、1分でセットした。 評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同一の生地を、下記組成の処理液に浸漬後、実施例1と同じ処理を施して試料を作製した。評価結果を表1に示す。
【0059】
[処理液]
AMPS 40g/l
一般式[I]においてX:−CH3、n=9のモノマー 20g/l
N−メチロールアクリルアミド 7g/l
過硫酸アンモニウム 2g/l
(比較例2)
タテ糸に220dtex−48Fのポリエステル加工糸とヨコ糸に110dtex−36Fのポリエステル加工糸を使用した織物と同一の生地を、実施例1と同じ処理を施して試料を作製した。このときの生地の繊維充填率は20であった。評価結果を表1に示す。
【0060】
(比較例3)
単糸の太さが1.1dtexのポリエステル不織布に対し、実施例3と同様な処理を行なった。このときの生地の厚さは、0.2mmであった。
【0061】
(比較例4)
実施例1と同一の生地に対して、何も加工も施さず、そのまま評価に用いた。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1から、比較例1は、大きな発熱保温効果が得られず、耐久性も得られていない。また比較例2は、繊維充填率が低く、比較例3は、生地厚さが薄すぎるため、保温効果が得られていないことがわかる。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、耐久性のある高吸湿保温性を兼ね備え、しかも風合いの柔軟な高吸湿保温性繊維構造物が得られる。
Claims (4)
- 繊維表面に吸湿発熱性を有する高分子化合物が付着されており、その発熱エネルギー係数が、5以上30以下であることを特徴とする繊維構造物であって、該繊維構造物の単位面積あたりの繊維充填度が30以上200以下であり、かつ、該吸湿発熱性を有する高分子化合物が、ビニルカルボン酸および/またはビニルスルホン酸モノマーと、下記一般式 [I] および [II] で示されるビニルモノマーから選ばれた少なくとも1種とを、重量比1:20〜1:1で含む処理液が、繊維材料の表面上に付与され重合されたものであることを特徴とする高吸湿保温性繊維構造物。
- 該繊維構造物の荷重7g/cm2下における厚さが、0.5mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の高吸湿保温性繊維構造物。
- 該吸湿発熱性を有する高分子化合物の付着量が、繊維材料に対して1〜20wt%である請求項1〜3のいずれかに記載の高吸湿保温性繊維構造物。
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