JP3900484B2 - 乳酸菌の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、乳酸菌醗酵技術の分野に属し、乳酸菌の液体培養系における新規培養方法と、その乳酸菌末の製造に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体培地に乳酸菌などの微生物を接種し、培地pHなどを制御しながら培養し、生育の停止した定常期状態に到達後、菌体を培地から分離して回収する方法を回分培養法(バッチ・カルチャー)と呼ぶ。この方法は、培養中に生ずる培地の栄養素の減少および乳酸など分泌物の増加に起因する培地環境変化のために、乳酸菌の増殖が生育途中で抑制され易いことが特徴である。浜田小弥太らは、「Streptococcus faecalis等について1ml中1010に近い菌数を得るに至り、これに従前に知られてきた種々の発育促進物質を加えても、もはや増収とならず菌数増加もこのあたりが限度でないかと考える」と記載している(北原覚雄編、乳酸菌の研究、東京大学出版会、1966年、494頁)。
【0003】
当時から今日まで乳酸菌の液体培養法において菌体増大化に寄与する成分の研究がなされているが、例えば、にんじん抽出物(特公昭37−3536号)、ホーレン草抽出物(特公昭37−3535号)、紅茶抽出物(特公昭37−3534号)、アスペルギルス培養濾液(特公昭36−14277号)、蚕蠕抽出物(特公昭37−15292号)、塩化カルシウム(特開平7−99968号)などが開示されている。この様な乳酸菌の発育促進剤を用いる回分培養法では、菌体を培地1ml当たり100億以上の状態に至った報告がない。但し、回分培養法で乳酸菌数を高めることは、乳製品を製造する上でのスターターカルチャーとしての有用性を高めることになり、その最適培養条件の研究が鋭意行なわれている。
【0004】
炭酸カルシウムを乳酸菌の保存用寒天培地に0.5%前後添加することは古くから行われて来ている(根井外喜男編、微生物の保存法、東京大学出版会、1977年、208頁)。炭酸カルシウムの添加意義は、培養中に乳酸菌が培地に分泌する乳酸によって培地pHが酸性側へ低下するのを防ぐ'中和作用'と解析されている(北原覚雄編、乳酸菌の研究、東京大学出版会、1966年、371頁)。炭酸カルシウムの添加濃度は、液体培地に1%未満添加した例は多数あり、それ以上の濃度で添加した例としては、酢酸菌寒天培地に1〜2%添加(根井外喜男編、微生物の保存法、東京大学出版会、1977年、173頁)、炭酸カルシウム1.0%、プロテオースペプトン0.5%、バクト胆汁塩0.1%、チオ硫酸ソーダ3.0%で構成されたサルモネラ増殖用 Bacto Tetrathionate Broth Base (Difco Manual,10版、946頁)、あるいは上記と同様に乳酸による培地pHの低下を防ぐ目的で炭酸カルシウムを1.5%添加した特開平8−116872号公報などの例に限定される。
【0005】
炭酸マグネシウムは、乳酸菌の液体培地成分として使用した例が全く報告されていない。この理由は、炭酸マグネシウムを液体培地に少量でも添加すると、培地pHが乳酸菌の通常の増殖培地pH7〜6よりも容易にアルカリ化し、培地褐変の促進や菌の増殖阻害が見込まれる為と考えられる。事実、特開平8−116872号公報において記載されている様に、乳を窒素源および炭素源とする乳酸菌スターター用培養基を改良する目的で、乳酸の中和に適した難溶性炭酸塩の選択を行ない、炭酸マグネシウムを添加すると培養基pHを乳酸菌の最適生育pH範囲から逸脱させるとの理由で除外されていることからも明らかである。
【0006】
一方、液体培地に乳酸菌などの微生物を接種し、培養液中に生ずる培地栄養素の減少や代謝産物の増加などの培地環境変化をモニタリングし、不足栄養素の補給や代謝産物のろ過除去など適切な制御を加えることで菌体数や生産物の収率を最大化させる培養方法を流加培養法と呼ぶ(田口、永井編、微生物培養工学、共立出版、1985年)。以下に流加培養法の例を挙げる:乳酸を効率良く産生・回収する方法として、Streptococcus faecalis AHU1256株を1%酵母エキス、1%ポリペプトン、2%D−グルコース、および3.5%リン酸一水素二カリウムから成る液体培地(pH7.0)でフィルターーベッドータイプ リアクターと呼ぶ装置で効率良く乳酸を生産した例(Ohara,H.ら:Journal of Fermentation and Bioengineering,76巻、73−75頁、1993年)、乳酸菌の菌数を増加させた例として、アルミナセラミック製ろ過膜を装備した培養装置を用い、初発培地の主基質としてグルコース0.6%、酵母エキス0.2%およびポリペプトン1.0%を用いてLactococcus lactisを培養し、その培養期間中、グルコース1.2%および酵母エキス0.4%で構成した新鮮培養液を間欠的に供給し、菌体をセラミック膜の槽内に留めたまま培養液をろ過分離することで、菌体濃度を高めたこと(Suzuki,T:Journal of Fermentation and Bioengineering,82巻、264−271頁、1996年)、大豆煮汁または米ヌカ煮汁を用いて増殖させた乳酸菌の菌数を更に増加させる為、培養中に生じた乳酸によって培地pHが低下したことに対し、炭酸カルシウムを5.0%添加することで酸性化した培地pHを7.0に調整し、この後も培養〜炭酸カルシウムによる培地pH調整を数回継続することで高菌数化を図る方法(特開平8−56651号)が報告されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的の一つは、液体回分培養系において生きた乳酸菌菌体を工業的に安価に効率良く生産できる技術を提供することにある。また、本発明の別の目的は、その生産技術を利用することにより高菌数の乳酸菌末を得ることにある。
【0008】
【発明を解決するための手段】
昔から各社が導入している微生物の液体培養設備は、通常、回分培養法で行う為の生産設備であって、流加培養で行なうためには新たな設備を必要とする。本発明者らは、液体培地において乳酸菌を効率的に増殖させる方法について鋭意研究を重ねた結果、回分培養法においても増大化を実現できる方法を見出した。すなわち、本発明は、乳酸菌を液体培養するにあたり、以下に示す4つの栄養素を添加した液体培地で攪拌培養することにより菌数を増大化させる。
【0009】
本発明の液体培地に用いる4つの栄養素およびその添加量は、(1)炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムまたはヒドロタルサイトを1種、または2種以上の混合物を、炭酸マグネシウムまたはヒドロタルサイトを単独で用いる場合には1%(w/w)以上、そして炭酸カルシウムを単独で用いる場合には2%(w/w)以上、(2)単糖類または二糖類を4%(w/w)以上、(3)ペプトンを3%(w/w)以上、および4)麹または麹エキスあるいは酵母または酵母エキスの1種、または2種以上の混合物を0.5%(w/w)以上である。
【0010】
本発明の乳酸菌の増殖方法は、乳酸菌数を増大化させる点において種々の技術へと応用展開され得るが、その好適な例として乳酸菌末の製造がある。かくして、本発明は、乳酸菌を上述した液体培養条件によって増大状態に至らしめた後、培地に酸を添加して液体培地pHを4〜6に調整することによって難溶性炭酸塩を溶解した後、乳酸菌菌体を培地と分離して回収することができる。その場合菌体と安定化剤を混合しても良いし、凍結真空乾燥して更に粉状化することによっても乳酸菌末をうることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の方法の特徴を更に詳しく説明する。
本発明は、乳酸菌数の増大化液体培養方法を提供する目的で、古くから用いられてきたペプトン、グルコース、酵母エキスなどの培地成分およびそれらの濃度範囲の検討に加え、無機塩の最適化を図る目的で炭酸カルシウムに着目し、鋭意検討して来た。そして、炭酸カルシウムに上回る効果を発揮する物質として炭酸マグネシウムを見出し、本発明を完成するに至った。本発明における乳酸菌の培地原料として以下のものが例示されるが、これ等に限定されるものでない。
【0012】
1)難溶性炭酸塩として、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、あるいはヒドロタルサイト[分子式、MgAl(OH)16CO・4HO、ヒドロタルサイトあるいは合成ヒドロタルサイトの名称で市販]が例示される。炭酸マグネシウムまたはヒドロタルサイトを単独で添加する場合には1重量%以上、炭酸カルシウムを単独で添加する場合には2重量%以上の添加で効果が出るが、好ましくは2〜13重量%の範囲である。両者の混合あるいは他の無機塩類との混合状態で使用してもさしつかえない。炭酸マグネシウムの本質は含水塩基性炭酸マグネシウムまたは含水正炭酸マグネシウムであり、酸化マグネシウム(MgO)を40.0〜44.0%含み、その分子式は(MgCO・Mg(OH)・5HOである。
【0013】
2)単糖類として、グルコース(以下Glcと呼ぶ)、マンノース、フルクトース、ガラクトース、などの六炭糖の他、リボースなど五炭糖も例示される。こららの単糖類は4重量%以上の添加量で効果が出るが、好ましくは5〜15重量%の範囲である。これらの糖類は、培地褐変を防ぐ目的で他の培地成分と別滅菌し、接種時に混合することが望ましい。なお、ガラクトースは、炭酸カルシウム添加培地では菌数の増大化効果を示すが、炭酸マグネシウム添加培地では効果を示さない。
【0014】
3)ペプトンとして、大豆ペプチド(ハイニュートSMP、ハイニュートR、ハイニュートS、ハイニュートSMS,ハイニュートPMなど、不二製油(株)製)、あるいはポリペプトン(牛乳カゼイン酵素分解物、日本製薬(株)製)、トリプチケース ペプトン(米国BBL社製)、ポリペプトン ペプトン(牛乳カゼイン製ペプトンと肉製ペプトンの混合物、米国BBL社製)、ポリペプトンS(脱脂大豆酵素分解物、日本製薬(株)製)、フィトン(米国BBL社製)、ソイトン(Difco社製),ポリペプトンP1(動物肉酵素分解物、日本製薬(株)製)、チオトン(米国BBL社製)、プロテオースペプトン(Difco社製)、ポリペプトンY(卵黄たんぱく質酵素分解物、日本製薬(株)製)などが例示される。3重量%以上の添加量で効果が出るが、好ましくは5〜13重量%の範囲である。ペプトン代替としてハイニュートを使用した例は、不二製油(株)の「大豆ペプチドの微生物生育促進資料」に多数開示されているが、その中で1%以上の濃度で用いた例としてYPD培地(Glc1%、ハイニュート2%、および酵母エキス2%)およびSabouraud培地(Glc4%、ハイニュート1%)が挙げられ、2%以下の濃度で使用されている。
【0015】
4)麹および酵母の混合物として強力わかもと(以下WTと呼ぶ。わかもと製薬(株)製一般用医薬品)が例示される。麹としては、糸状菌アスペルギルス・オリゼーを胚芽培地で固体培養して得た培養物(以下、AKと呼ぶ)、あるいは乳酸菌を胚芽培地で固体培養して得た培養物(以下、LFKと呼ぶ)を例示され、これらの麹から採取したエキス、あるいはAKやLFK製造に使用する胚芽培地、酵母末もしくは酵母エキスを単独または混合物を0.5重量%以上の添加で効果が出るが、好ましくは2〜5重量%の範囲である。これらの中で最適な成分は、AKであり単独で用いることにより最も高い効果が出る。なお、麹や胚芽培地を用いる場合、水に対する不溶性残渣を除いたエキスを調製して用いることにより、高濃度状態でも用いることが可能となり、更に不溶性残渣を凍結乾燥粉末中に持ち込まない分、一層望ましい。
【0016】
なお、1)〜4)の添加物は上記の濃度範囲より多く添加できることは申すまでもないが、その場合に留意すべき点は、〔1〕培地の加圧滅菌中に発泡が生じるので注意を要すること(これを避ける目的で、滅菌前に培地の予熱によって発泡させておくことが望ましい)、〔2〕炭酸マグネシウムを単独で用いる場合には培地pHがアルカリ性になり過ぎること、あるいは培地浸透圧が高くなり過ぎるので注意を要すること、〔3〕培地の褐色化が進み易いこと、〔4〕培地原料費が高くなり過ぎること、〔5〕麹エキスおよび酵母エキスを用いれば問題がないが、WT、AK、LFK、胚芽培地あるいは酵母末を培地成分として用いる場合には菌体量に対する不溶性固形分の割合が高くなるため、これらの不溶性残渣は凍結乾燥菌末に対して倍散剤としての意義はあるものの、凍結乾燥時の乳酸菌の菌体濃度を低くしてしまうことなどが挙げられる。
【0017】
5)本発明において、乳酸菌の培養条件としては培地を攪拌振盪することが必須である。この点を確保さえすれば、培養温度、培養時間、嫌気的あるいは好気的いずれでにおいても使用する菌株にとって最も好都合な培養条件を設定すれば、本発明の効果を十分確認できる。
例えば、炭酸塩の添加量を本発明の下限付近に設定し、タンク培養中、大気の代わりに炭酸ガスを用いて培地をバブリングすることによっても本発明の効果は充分に確認できる。
【0018】
6)本発明に使用し効果を確認できる乳酸菌は、Enterococcus faeciumやE. faecalisに属する菌種であれば何れでもよく、これらは分類学的に以前Streptococcus faecalisと呼ばれていた都合より、現在でも本名称を使用している場合もあり、いずれの名称の菌株であっても良い。従って、本実施例では、市販生菌製剤WTで使用しているS. faecalis(以下、Sfと呼ぶ)を用いた他、E. faecalis JCM5803株、E. faecium IFO3128株も用いた。 更に、本発明に適用できる他の菌種としては、Lactobacillus casei (実施例にはNRIC1917株を使用)などが例示される。上記の菌株を親株とする育種菌株を用いても本発明の効果を充分確認できることは申すまでもなく、又これらの菌株を混合して培養する共生系液体培養であっても良い。
【0019】
本発明の液体培養によって乳酸菌を増大化できる理論的背景を述べる: 乳酸菌の液体培養系において培地に分泌された乳酸によって培地pHが低下するなどの理由で乳酸菌の生育が抑制され易いことに着目し、C源及びN源を豊富に添加して生育の旺盛化を促す一方、乳酸産生を抑制する要因も加えて培養することによって増大化を図ることが'乳酸菌の増大化液体培養法'に対する当初の考えであった。
【0020】
乳酸産生を抑制すると乳酸菌が増大化するメカニズムは、(1)Sfの様なホモ乳酸醗酵菌を用いてGlcを炭素源とする液体培養を行なった場合、振盪培養と静置培養との間で見出された顕著な違いから推察される(北原覚雄編著、乳酸菌の研究、東京大学出版会、403−407頁、1966年)。即ち、静置培養ではいずれの菌株も乳酸以外の生産物をほとんど造らないが、振盪培養によって培地の酸素濃度を高くすることによって乳酸産生量が低下し、その代わり酢酸やアセトインを著量産生するように変化した。酢酸の生合成過程においてATPが新たに生成され、生育のエネルギー源として用いられ、この好気的条件において生育が促進された。従って、液体培地を好気的に振盪することで菌体内への酸素供給量を高めることが増大化の必須因子(=増大化要因―A)と想定された。
【0021】
その他、(2)Sfの様なホモ乳酸醗酵菌は、通常の培養条件では、Glc1モル当たり、2モルの乳酸と2モルのATPを産生する。ところが、ホモ乳酸醗酵菌であっても生育上限付近のアルカリpH域では、乳酸産生が減少し、その分のギ酸、酢酸、エタノールなどが増加する言わば'ヘテロ乳酸醗酵'が行なわれるように変化し、この過程においてATPが生成する。こうして過剰に生じたエネルギーがアルカリpH域における旺盛な生育を可能にすることが報告されている(Rhee,S.K.およびPack,M.Y.:Journal of Bacteriology,144巻、217−221頁、1980年)。 従って、液体培地pHを菌株の生育上限域付近に設定することが増大化の必須因子(=増大化要因―B)と想定された。
【0022】
この他、生育に必要な栄養素の供給源として、(1)単糖類、(2)ペプトン、及び(3)麹、麹エキス、胚芽培地、酵母、または酵母エキスの単独またはこれらを含む混合物を組み合わせて液体培地に出来るだけ高濃度添加する(=増大化要因―C)。
【0023】
本発明の液体培養条件において、増大化要因―Cは生育を旺盛化する要因であり、その効果に付随して乳酸産生を促進してしまう。そこで、培養系に乳酸産生を抑制する要因―A及びーBの両者を負荷して乳酸産生を抑え気味にしながら培養する。この方法を創案することによって現実に高菌数化出来たのであり,現在のところ以上が本発明の液体培養条件における高菌数化メカニズムであろうとの作業仮説を立てている。
【0024】
【実施例】
比較例1.「公知の液体培地に難溶性炭酸塩を添加してSfを回分培養しても増大化しない」
BL液体培地に、炭酸カルシウムを5重量%添加してSfの培養を行なっても、菌数が若干増加する程度の効果であり、またこの程度の菌数増加は同濃度の硫酸マグネシウムを添加しても見られたことから、炭酸カルシウムの特異的作用に由来する菌数増加とは云い難い。 更に、炭酸カルシウムをBL培地に5%添加しても、本発明の特徴であるSfの高い耐熱性および高い培地乳酸濃度も全く見られなかった。
一方、高濃度の炭素源および窒素源を含む米ヌカ培地や大豆粉培地に、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムを2〜5重量%添加してSfの培養を行なったが、本発明に匹敵するほどの添加濃度に依存した増大化効果が全く見られず、本発明の特徴の一つである高い乳酸産生効果も見られなかった。
【0025】
実験方法:BL液体培地10mlにSfを一白金耳量接種し、30℃で一夜振盪培養した。この定常期の菌液0.1mlを表1に示した組成の液体培地10ml(綿栓付き50ml試験管)に接種し(菌数、0.21x10cfu/ml)、30℃・24時間振盪培養した(振盪速度300回/分)。得られた菌液の到達菌数、耐熱性、および培地の乳酸濃度を試験例1に記載した方法で分析した。
米ヌカ培地および大豆粉培地の調製法: 特開平8−56651号において開示された方法に準拠して調製した。即ち、コーヒーミルで粉末にした米ヌカおよび脱脂大豆を30%(w/w)の割合で脱イオン水に懸濁し、50℃で1時間加温処理した。 その後、9000rpm・5分間遠心分離して上清画分を回収し、これをガーゼ4枚重ねてろ過した。得られたろ液に炭酸塩を添加した後、オートクレーブ滅菌して培地とした。
BL液体培地:BL寒天培地、「ニッスイ」日水製薬(株)製、5.8gを脱イオン水100mlに懸濁し、産業用ティシュー、キムワイプS-200、(株)クレシア製でろ過して寒天を除き、20分間オートクレーブ滅菌して調製した。
【0026】
【表1】
Figure 0003900484
【0027】
試験例1.「本発明の液体培養法の特徴、その1: Glc資化後も培地に分泌した乳酸を新たに資化することによって生育を続行することによって増大化状態に至る」
【0028】
本発明の液体培地および公知の液体培地としてBL液体培地を用いてSfを培養し、その経時的変化を解析した。表2に示す様に、本発明の液体培地における乳酸菌の増殖パターンをBL液体培地の場合と比較すると両者の違いが顕著であり、本発明の特徴を次のように要約できる:
1)本発明の液体培地でSfを培養すると、菌体数は培地1ml当たり500億 〜700億に至り、BL液体培地に比べて約20倍も増大化した。
2)本発明の培養条件で最大菌数に到達するまでの培養過程において、Sfは培養14時間目までは資化し易いGlcを優先的に消費した。培地からGlcを消費し尽くした19時間目以降、培地に分泌され蓄積してきた乳酸濃度が減少に転じ、乳酸を資化するようになった。こうして、培地pHもアルカリ側へ移行し、やがて27時間目で菌数が最大値に至った。
【0029】
一方、BL液体培地では、培地のGlcが消費された19時間目で最大菌数30億に到達した。それ以降の培養の継続でも菌数が増加しなかった他、培地に分泌された乳酸濃度の減少および培地pHのアルカリ化現象も見られなかった。
なお本発明の培養で見出された特徴と類似する現象は、培地のGlc濃度をあらかじめ低濃度に設定した場合、培地の炭素源として添加した乳酸が資化され、そして培地から乳酸消失に伴い培地pHがアルカリ化したことがStreptococcus mutansで報告されている(Hu,G,および Sandham,H.J.: Archives of Oral Biology、17巻、729−743頁、1972年)。このことから、本発明の培養において、最大菌数に至る過程で発生した乳酸量の減少は、菌体がGlcに代わる新たな炭素源して乳酸を資化した現象と示唆される。
【0030】
1)耐熱性は、本発明の条件では培養4〜8時間目の対数増殖期で低く(0.04%以下)、培養20〜27時間目の定常期で高かった(40%以上)。そして、最大菌数に至った27時間目を超えて培養を継続した場合、30時間目以降から急激に耐熱性が低くなった(20%以下〜数%)。一方、BL液体培地では、同様に対数増殖期の培養4〜8時間目で低く(0.04%以下)、最大菌数に到達した19時間目は高い耐熱性であったが(33%)、更に培養を継続しても10〜12%とほぼ一定の耐熱性が維持された。
本発明の培地で乳酸菌を培養すると、定常期の到達最大菌密度付近では高い耐熱性が得られる。その要因の一つは、ペプトンを高濃度添加することであり、Glcを資化し終えた後も増殖するためにペプトンの栄養素を資する。従って、最大菌数に到達した後、急激に耐熱性が低下する理由は、培地からペプトンの栄養素が減った為と推察される(表5参照)。
【0031】
培養条件: BL液体培地10mlにSfを一白金耳量接種し、30℃で一夜振盪培養した。この定常期の菌液1.0mlを液体培地50ml(綿栓付500ml三角フラスコ使用)に接種し(接種菌数、0.15x10個/ml)、30℃で200rpmの振盪条件で培養した。表2に示した各培養時間においてサンプリグし、その時点の培地pH、到達菌数、耐熱性および乳酸濃度などを分析した。なお、Glcは他の培地成分と別に滅菌し、接種前に他の培地成分と混合した。
本発明の液体培地組成(重量%):8.43%炭酸マグネシウム、8.0%Glc、12.0%ハイニュートSMPおよび3.2%WT。
【0032】
分析方法:
到達菌数の測定法は、培養液0.5mlを下記の組成のリン酸バッファー4.5mlで10倍ずつ段階希釈し、その0.1mlをSCD寒天培地「ダイゴ」(日本製薬(株)製)2〜3枚ずつ塗沫した。このプレートを37℃で24〜40時間培養し、プレート上に生成した集落数を測定し、その平均値を液体培地1ml当たりに換算し、cfuと表現した(colony forming unit)。リン酸バッファーの組成:塩化ナトリウム7g、リン酸二カリウム5.31g、リン酸一カリウム2.65g、ツイーン80 2.0gおよび脱イオン水で最終液量を1000ml(pH6.8)に調整。
1) 培地に分泌された乳酸の濃度は、培養液に含まれるL−乳酸を特異的に定量分析する乳酸定量分析用試薬キット、F―キットL―乳酸((株)J.L.インターナショルより購入)を用いて測定した。
2) D−グルコースの培地濃度の測定は、市販のグルコース定量分析用試薬キット、F−キットD−グルコース((株)J.L.インターナショルより購入)を用いて行った。
3) 耐熱性は、到達菌数の測定時にリン酸バッファー(pH6.8)で段階希釈した液を60℃、15分間処理後、SCD寒天培地に0.1mlを塗沫し、熱処理後の生存菌数を測定した。耐熱性は熱未処理に対する菌数残存率%で表した。
【0033】
【表2】
Figure 0003900484
【0034】
試験例2 「本発明の液体培養の特徴、その2: 増大化に及ぼす無機塩類の特異性」
本発明の液体培養条件において、高濃度の無機塩を添加した場合のSf増大化に及ぼす特異性を検討し、得られた結果を表3に示した。
【0035】
その結果、無機塩に関する特徴として以下の点が判明した:
1)WTを3.2%、GlcおよびハイニュートRを各々10%もの高濃度で培地に添加した場合、無機塩を添加しなくても120x10cfu/mlもの高い菌数が得られた。 従来の回分培養法ではこの程度の菌数が到達し得る上限であり、添加物を追加しても菌数を更に増加させ得なかった。 本発明者らは、この培地条件に対して、更に高濃度の無機塩添加による増大効果を検討した。 その結果、表3.に示した様に、炭酸カルシウムを6.00%あるいは炭酸マグネシウムを5.06%もの高濃度添加した場合、更に増大することを見出した。 この他の無機塩としては、炭酸水素カリウムが無添加の条件に比べ菌数を若干高めたが、塩化カルシウムなどいずれも無添加の条件に比べて低い到達菌数となった。
【0036】
2)特徴的なことは、難溶性の性質を有する硫酸カルシウム(石膏)、炭酸マグネシウム、あるいは炭酸カルシウムを添加した場合、いずれも耐熱性が無添加の場合とほぼ同様の50%前後であった。一方、塩化ナトリウムなどの水溶性無機塩を添加した場合、いずれも耐熱性が低下した。 これら難溶性の無機塩を添加した場合、難溶性の性質のおかげで菌体に及ぼす作用が少ないおかげで耐熱性の低下を防止したと考えられるが、これら難溶性無機塩であっても添加濃度が高過ぎれば耐熱性を低下させる場合も見られた。
【0037】
3)培地の乳酸濃度は、培養後も培地pHが高い状態を維持し、そして菌数が高いと云う両条件を満たした場合に高かった。 その中で、難溶性の炭酸マグネシウムを添加した場合が最も高い乳酸濃度となり、重質あるいは軽質いずれも同じ効果であった。一方、炭酸マグネシウムと同じマグネシウム塩であっても水溶性の塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムは、無機塩無添加に比べて、到達菌数のみならず乳酸濃度も低かった。 ちなみに、菌数当たりの乳酸濃度(mg/億)は、塩化ナトリウム(0.70)、塩化マグネシウム(0.32)、炭酸マグネシウム(0.14)、炭酸カルシウム(0.11)、硫酸マグネシウム(0.093)の順に高く、本発明の液体培地の基本組成に塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムを添加しても乳酸産生の促進効果があるとは認められなかった。
【0038】
培養条件:BL液体培地10mlにSfを一白金耳量接種し、30℃で一夜振盪培養した。 この定常期の菌液0.1mlを液体培地10ml(綿栓付50ml試験管)に接種し(接種菌数0.25x10個/ml)、30℃で21時間培養した。振盪速度は300回/分と設定した。 グルコースは他の成分と別に滅菌し、接種前に残りの成分と混合した。
液体培地組成(重量%):0.6M無機塩類、10.0%Glc、10.0ハイニュートRおよび3.2%WT。
【0039】
【表3】
Figure 0003900484
【0040】
試験例3 「本発明の液体培養の特徴、その3: Glcおよびペプトンに対する補充培地栄養素の特異性は菌種により異なる」
本発明の液体培養条件における補充栄養素の特異性に関して、表4に示した結果より、
以下の特徴が見出された:
1)増大化に及ぼす補充栄養素の特異性は使用する菌種により異なることが判明した。 Sfで効果が見られた成分はWTの他、AK、LFK、胚芽培地、酵母末あるいは酵母エキスであった。 一方、L. casei NRIC1917株に対して効果が見られた成分は、AKおよび胚芽培地のみに限定された。 AKを添加した場合、SfとL. caseiの両菌株ともほぼ同じ到達菌数であった。
【0041】
2)酵母末の添加はL. casei NRIC1917株の増大化に対し抑制的に作用し、更に酵母エキスもSfの場合に比べ高い効果が見られなかった。 酵母末の添加による抑制作用は、至適成分のAKが共存しても起こると予想された。 このことは、WTを添加した場合、AKほどの効果が見られなかった。 WTは、AK50%の他に酵母末37%およびLFK10%で構成されており、含有する酵母末によってAKの増大化効果が抑制されたと推察される。
【0042】
3)Sfの増殖は胚芽培地に比べてLFKを添加した方が促進的に作用したが、L.casei NRIC1917株の増殖はLFKも胚芽培地と全く同じ到達菌数であった。LFKは胚芽培地においてSfを固体培養した麹であり、固体培養中に同菌株に対する増殖促進物質を分泌しており、そしてこの物質は異種のL. casei菌株に対して増殖促進作用を及ぼさない性質と推察された。
【0043】
培養条件:BL液体培地10mlにSfおよびLactobacillus casei NRIC1917株を各々一白金耳量接種し、30℃で一夜振盪培養した。 これら定常期の菌液0.1mlを液体培地10ml(綿栓付50ml試験管)に接種し、30℃でSfを20時間、L. casei NRIC1917株を27時間振盪培養した(振盪速度300回/分)。なお、グルコースは他の培地成分とは別に滅菌し、接種する直前に他の成分と混合した。補充栄養素として使用した胚芽培地は、アスペルギルス・オリゼーおよび乳酸菌を固体培養して得たAKあるいはLFKの培地であり、脱脂米胚芽と脱脂小麦胚芽の混合物である。
液体培地(重量%):共通成分として5%炭酸カルシウム、10%Glcおよび5%ハイニュートSを添加する他、補充栄養素を3.2%添加した。なお、補充栄養素も添加し、オートクレーブ滅菌後の培地pHは次の通りである:無添加、7.53;WT、7.09;AK、7.06;LFK、7.29;胚芽培地、7.47;酵母末、7.12;酵母エキス、6.64。
【0044】
【表4】
Figure 0003900484
【0045】
試験例4 「本発明の液体培養の特徴、その4: 増大化は嫌気的培養条件よりも好気的な方が適」
増大化に及ぼす好気的および嫌気的振盪培養による影響に関し、表5に示した結果から、以下の特徴が判明した:
1)好気的培養条件の方が嫌気的条件に比べて高菌数化した。ただし、嫌気的条件でも270x10cfu/mlもの高い到達菌数になったことから、酸素があると生育し難い偏性嫌気性乳酸菌でもその属や種を問わず本発明の培養条件によって増大化し得ることを示唆する。
【0046】
2)Sfを液体培養によって増大化させるには、好気的および嫌気的いずれもの培養条件であっても、(1)炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウム混合物、(2)Glc、(3)ハイニュートS、および(4)WTより構成された4要素が液体培地組成の必須要件であることが分かった。ちなみに、到達菌数が高いことおよび培地pHがアルカリ性に近いことの両条件を満たす程、培地乳酸濃度も高くなった。
【0047】
3)高い耐熱性を確保するためには、培地成分としてGlcおよびハイニュートの両者が高濃度添加されていることが必要であり、特にペプトンの添加が重要である事が分った。
【0048】
培養条件:BL液体培地10mlにSfを一白金耳量接種し、30℃で一夜振盪培養した。 この定常期の菌液0.1mlを液体培地10ml(綿栓付50ml試験管)に接種し(接種菌数、0.35x10cfu/ml)、綿栓して好気的培養条件とする一方、炭酸ガスを封入しゴム栓して嫌気的培養条件とした。 両者を30℃で20時間振盪培養した(振盪速度300回/分)。 なお、グルコースは他の培地成分と一緒に滅菌した。
【0049】
【表5】
Figure 0003900484
【0050】
試験例5 「本発明の液体培養の特徴、その5: 増大化にとって培養時の振盪が必須要件。炭酸カルシウム単独添加時の各種培地成分の濃度範囲。」
本発明の培養条件において高菌数化に及ぼす必須因子の解析を行ない、表6−2.に示した試験例の結果から、以下のことが判明した:
【0051】
1)本発明の培地組成を用いて静置培養した場合、100x10cfu/mlに届かない程の低い菌数であった。ちなみに、本発明の培地組成から逸脱した条件では、培地No.22や23の様に、振盪培養よりも静置培養の方が高い到達菌数になった例も見られた。
【0052】
乳酸菌(Leuconostoc mesenteroides)を振盪することにより好気的に培養した場合、静置培養した場合に比べて、NADHオキシダーゼ活性が顕著に高いことが報告され、この酵素が酸素に対する終末電子受容体として働く為、振盪によって液体培地の酸素濃度を培地へ補給することによって酸素を消費しATPを生産し易くしてやり、その結果菌体濃度が増加することが報告されている(Con,A.ら:Journal of General Microbiology,132巻、1789−1796頁、1986年)。 従って、本発明における振盪必須性の要因は、(1)水不溶性の炭酸カルシウムにとって培地を振盪することで培地における均一性を確保し易くなること、そして(2)NADHオキシダーゼ活性の増大化が考えられる。
【0053】
2)本発明の培地組成では、振盪培養によって高い菌密度に到達した。静置培養によって低い菌密度であったにもかかわらず、振盪培養よりも培地乳酸濃度が高かった場合がNo.15、17および20で見られた。 培地pHは静置培養の方が振盪培養よりも酸性側にシフトしており、菌体当たりの乳酸などの有機酸産生量は静置培養の方が高く、静置培養の方が嫌気的雰囲気の高いおかげて乳酸産生が活発化したと推察された。
【0054】
3)WTの添加量は3.2%が至適であり、それより高い濃度を添加すると、到達菌数が低下した。
4)炭酸カルシウムの添加濃度を増やすほど、Sfの到達菌数が高くなった。
5)炭酸カルシウムおよびGlcと共に、ペプトンとしてポリペプトンおよび補充栄養素として酵母エキスを用いても増大化した。
6)ガラクトースを炭酸カルシウム添加系においてGlcの代わりに添加した場合、到達菌数は200x10cfu/mlとGlcと同様の増大状態に至ったものの、振盪培養後の培地pHが培養前の培地pHよりもアルカリ側に若干ではあるがシフトしていた。培地乳酸濃度から逆算すると、約0.2程度pHが酸性側にシフトすべきであるので、培養中にアルカリ物質が分泌されたと思われた。
【0055】
培養条件: BL液体培地10mlにSfを一白金耳量接種し、30℃で一夜振盪培養した。この定常期の菌液0.1mlを表6−1.に示した組成の液体培地10ml(50ml試験管)に接種した(接種菌数0.35x10cfu/ml)。 試験管に綿栓をして好気的に30℃・20時間培養したが、その際、振盪(振盪速度300回/分)と静置の両条件で行った。 両培養条件とも培養を終了した後、直ちに到達菌数を測定した。 D−グルコースおよびガラクトース(Gal)は他の培地成分と別に滅菌し、接種する前に混合した。更に、公知の液体培地としてブリッグス変法培地を用いた[培地組成:2.0%Glc,1.5%ポリペプトン、0.6%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム、0.1%レオドールTW120、0.05%可溶性澱粉、0.05%L―システイン塩酸塩、0.2%軽質炭酸カルシウム、20%トマトジュース、7.5%肝臓エキス]
【0056】
【表6−1】
Figure 0003900484
【0057】
【表6−2】
Figure 0003900484
【0058】
試験例6 「本発明の液体培養の特徴、その5: 炭酸マグネシウム単独添加系における各種培地成分の有効濃度範囲」
本発明の培養条件において高菌数化に及ぼす必須因子の解析を更に行ない、表6および7に示した試験結果から、増大化に必要な4つの培地成分の濃度範囲を以下の様に設定した:
(1) 炭酸マグネシウムや炭酸カルシウムは、各々2%以上の添加で増大化の効果が見られた。なお、これらの塩類を13%より高濃度添加すると、培養タンクの底部への沈殿、培地滅菌中あるいは培養中の発泡現象などによって取り扱いが難しかった。
(2) 単糖類はいずれでも使用する菌株が資化し得るものであればいずれでも良く、Glcの場合、4%以上の添加で増大化の効果が見られた。なお、Glcを15%より高濃度添加すると、培地の褐色化が大きくなり、凍結乾燥菌末への処理が難しくなった。
(3) ハイニュートは、3%以上の添加で増大化の効果が見られた。なお、ハイニュートを13%以上もの高濃度添加すると、培地コストが大きくなり望ましくなかった。
(4) WTは、0.5%以上の添加で増大化の効果が見られ、その至適濃度は3.2%であった。 なお、5%より添加量を増やすと不溶性残渣が多くなり取り扱いが難しくなり、その場合には麹エキスを使用すれば問題なかったものの、麹エキス製造費が増える問題があった。
【0059】
培養条件: BL液体培地10mlにSfを一白金耳量接種し、30℃で一夜振盪培養した。 この定常期の菌液0.5mlをを表7.に示した組成の培地50ml(綿栓付500ml三角フラスコ)に接種し(接種菌数0.38x10cfu/ml)、30℃・19時間・200rpmで振盪培養した。 Glcは他の成分と別滅菌した。
【0060】
【表7】
Figure 0003900484
【0061】
試験例7 「本発明の液体培養の特徴、その5: 増大化に及ぼす糖質の特異性」
Sfが資化して乳酸を産生できる糖質を選択し(BERGEY's Manual of Systematic Bacteriology、 Volume 2, Williams & Wilkins,1064頁、1986年)、増大化に及ぼす糖質の範囲を解析した。その結果、炭酸カルシウム添加条件では増大化に有効であったガラクトースが無効となった他、グリセリンおよびマンニトールが無効であったことを除けば、いずれの糖も増大化した。中でも、Glcなどの六炭糖が最も高い効果を示し、二糖類ではマルトースが高い効果を示した。
【0062】
試験方法
SfをBL液体培地50mlに一白金耳量を接種し、好気的に30℃・120rpmの振盪条件で8時間培養した。到達菌数は32x10cfu/mlであり、その時の培地pHは4.69であった。この定常期初期の菌液0.1mlを10mlの本培養用培地に接種し、30℃で18時間振盪(300回/分)しながら培養を行なった。本培養用の培地は、下記の糖類を8.0%添加したが、いずれも別滅菌し接種直前に他の成分と混合し、その共通成分(重量%)は次の通り:4.22%炭酸マグネシウム、6.0%ハイニュートSMP、および3.2%WT(綿栓付き50ml試験管)
【0063】
【表8】
Figure 0003900484
【0064】
試験例8「本発明の液体培養の特徴、その6: Sfの増大化に及ぼすマルトースの同時滅菌・別滅菌、発育相、および炭酸マグネシウムの添加・無添加の影響」
Sfの増大化に及ぼすマルトースの同時滅菌・別滅菌、発育相、および炭酸マグネシウムの添加・無添加の影響を検討し、その結果を表9に示した。マルトースを別滅菌した培地の方が同時滅菌した培地に比べて滅菌後の培地pHが高くなり、pHがアルカリ変化した分、別滅菌の培地の方が増大化し易いことが分った。更に、褐変物質(メラノイジン)が滅菌中に生成すると、菌が資化し得る糖の絶対量が減少する分、乳酸生成量が減少すると見込まれる。
炭酸マグネシウムを添加した培養条件における到達菌数は、種菌の発育相に影響せず、マルトースを別滅菌した培地の方が同時滅菌培地に比べて高く、培地の乳酸濃度も別滅菌培地の方が同時滅菌培地よりも著しく高かった。一方、炭酸マグネシウムを添加しない培養条件では、到達菌数は別滅菌培地の方が同時滅菌した培地よりも若干ではあるが高くなったが、逆に培地乳酸濃度は別滅菌培地の方が同時滅菌培地より約50%前後に減少した。
【0065】
試験方法
SfをBL液体培地10mlに一白金耳量を接種し、好気的に30℃・6.5時間振盪培養し、対数増殖期の菌体を調製した。その到達菌数は3.6x10cfu/mlであり、その時の培地pHは6.23であった。この対数増殖期の菌液0.1mlを10mlの本培養用培地に接種し、30℃で18時間振盪培養を行なった。 同様にSfをBL液体培地に接種し、好気的に30℃で21.5時間振盪培養し、定常期の菌体を調製した。その到達菌数は14.5x10cfu/mlであり、その時の培地pHは4.32であった。この定常期の菌液0.1mlを10mlの本培養用培地に接種し、30℃で20時間振盪培養を行なった。更に、上記の定常期の菌液をリン酸バッファー(pH6.8)で10倍希釈し、室温で3時間放置した後、この菌液0.1mlを10mlの本培養用培地に接種し、30℃で17時間振盪培養を行なった。本培養用の培地は、マルトース一水和物を8.0%(w/w)添加したが、別滅菌の場合には、別滅菌したものを接種直前に他の成分と混合し、同時滅菌の場合には他の成分と一緒に滅菌し、その他の共通成分(重量%)は次の通り:4.22%炭酸マグネシウム(添加、無添加の別を表9に示した)、6.0%ハイニュートSMP、および3.2%WT(綿栓付き50ml試験管)。振盪速度、300回転/分。
【0066】
【表9】
Figure 0003900484
【0067】
試験例9「本発明の液体培養の特徴、その7: Sfの増大化に必要なヒドロタルサイト濃度」
本発明の液体培養条件において、合成ヒドロタルサイトの有効濃度下限を検討し、その結果を表10に示した。合成ヒドロタルサイトは、添加濃度が1.0%以上において増大化に効果を示し、それに付随して培地乳酸濃度も高くなった。
【0068】
試験方法
SfをBL液体培地10mlに一白金耳量を接種し、好気的に30℃・300回転の振盪条件で21.5時間培養し、定常期の菌体を調製した。その到達菌数は14.5x10cfu/mlであり、その時の培地pHは4.32であった。この定常期の菌液0.1mlを10mlの本培養用液体培地に接種し、30℃で20時間振盪(速度、300回転/分)しながら培養を行なった。本培養用の液体培地の共通成分(重量%)は次の通り:6.0%ハイニュートSMP、8.0%Glc、3.2%WTおよび合成ヒドロタルサイト(綿栓付き50ml試験管) Glcは別滅菌したものを接種直前に他の成分と混合した。
【0069】
【表10】
Figure 0003900484
【0070】
試験例10 「麹エキスを用いたSfの増大液体培養および凍結乾燥菌末の製造」
1.液体培養
前培養は、1.0%Glc、1.0%ポリペプトンおよび1.0%酵母エキス1%から構成されるGPY液体培地10ml(綿栓付き50ml試験管)にSfを一白金耳量接種し、37℃・24時間静置培養した。WTエキスは、WTを脱イオン水で10%懸濁し30分間煮沸処理した後、9000rpm・10分間遠心分離して上清画分を回収し、これをWTエキス(10%)として用いた。 本発明の培地組成(重量%)は、4.2%軽質炭酸マグネシウム、8.0%Glc、6.0%ハイニュートSMPおよび3.2%WTエキスである。但し、Glcは他の成分と別にオートクレーブで滅菌し、接種する前に他の成分と混合した(培地液量、200ml及び100ml)。 比較例としてBL液体培地を用いた(培地液量、186ml及び96ml)。
本培養は、本発明の培地および比較例の培地それぞれ200ml(2L−綿栓付き坂口フラスコ)及び100ml(1L−綿栓付き坂口フラスコ)に前培養したSfの菌液を0.38x10cfu/mlの菌数になるように接種し、30℃で24時間振盪培養した。振盪速度は毎分150往復であった。
【0071】
その結果、本発明培地の到達菌数は、培地液量200mlの場合の到達菌数が405x10cfu/ml、そして培地液量100mlの場合の到達菌数が465x10cfu/mlであった。本発明の液体培養によって得られた総菌数は127,500x10cfuであり、比較例として用いたBL培地で培養した場合よりも22.2倍高く得られた。BL液体培地における到達菌数は、培地液量186mlの場合の到達菌数が17x10cfu/ml、そして培地液量96mlの場合の到達菌数が27x10cfu/mlであり、培養によって得られた総菌数は5,754x10cfuであった。
【0072】
2.凍結乾燥末の製造
凍結乾燥末の調製は以下の通りである: 各培養液のpHを1N塩酸でpH5.0に調整して難溶性の炭酸マグネシウムを溶解した後、9000rpm・5分間遠心分離して菌体沈殿画分を回収した。菌体は、リン酸バッファー(pH6.8)で懸濁し、遠心分離して回収する操作を2度行い、洗浄した。その後、安定化剤(組成:10%スクムミルクおよび1%グルタミン酸ソーダ)で菌体を懸濁した。本発明培地の培養物の場合、安定化剤の菌懸濁液50ml中、その8mlを安定化剤で更に2倍希釈して凍結乾燥した結果、白色の凍結乾燥粉末が1.95g得られ、12,900x10cfu/gの菌数となり、その耐熱性が26.0%であった。 更に、残った全量(42ml)を凍結乾燥した結果、白色の凍結乾燥粉末が6.49g得られ、23,400x10cfu/gの菌数となり、その耐熱性が17.2%であった。従って、200mlと100mlの培地を用いて遠心洗浄〜凍結乾燥工程を経た菌数歩留は138%であった。本発明の液体培養物を凍結乾燥して得られた菌末の総菌数は177,021x10cfuであり、比較例よりも26.4倍も高い菌数が得られた。BL培地の培養物の場合、安定化剤の菌懸濁液9.2ml中、6.2mlを凍結乾燥した結果、白色の凍結乾燥粉末が0.96g得られ、5,180x10cfu/gの菌数であり、その耐熱性は23.3%であった。残った3mlを更に安定化剤で約3.3倍希釈して凍結乾燥した結果、白色の凍結乾燥粉末が1.10g得られ、1,570x10cfu/gの菌数となり、その耐熱性が30.9%であった。従って、200ml培地と100ml培地をプールし、全工程を経た菌数歩留は116%であり、BL液体培養物を凍結乾燥得られた菌末の総菌数は6,700x10cfuであった。
【0073】
試験例11. 「ジャーファーメンターを用いたSfの増大液体培養」
BL液体培地50mlにSfを一白金耳量接種し、130rpmで30℃一夜振盪培養した。
この液種10mlを本発明の液体培地1000mlに接種し、所定の培養を行なった。得られた結果を表11に示した。攪拌しない条件では到達菌数が半分程度となり、ジャーの底に沈殿物が存在する状態で培養する状態となった。到達菌数は、本発明の液体培地組成において攪拌を行なって培養した場合、大気あるいは炭酸ガスの通気いずれにおいても同じとなった。一方、培地の乳酸濃度は、炭酸ガスを通気した嫌気的攪拌培養条件の方が大気を通気した好気的攪拌培養に比べて顕著に高かくなった。
【0074】
本発明の液体培地組成(重量%):4.22%炭酸マグネシウム、8.0%Glc、6.0%ハイニュートSMP、3.2%WT(Glcは他の培地成分と一緒に滅菌した。滅菌後の培地pHは8.07であった。)
ジャーファーメンター:東京理科器械(株)製 ジャー ファーメンターMBF、内容量2.5L培養条件:30℃・24時間培養。攪拌速度、500rpm。通気量、1vvm
【0075】
【表11】
Figure 0003900484
【0076】
試験例12 「E. faecalisJCM5803株の増大液体培養 & 凍結乾燥菌末の製造」
1. 液体培養
BL液体培地10ml(シリコ栓付き試験管)にEnterococcus faecalis JCM5803株を一白金耳量接種し、30℃一夜振盪培養した。 到達菌数は39.5x10cfu/mlであった。その菌液0.5mlを表9に示した2種類の組成の液体培地50ml(綿栓付き500ml三角フラスコ)へ接種し、30℃・振盪速度130rpmで24時間培養した。 なお、Glcは他の成分と一緒にオートクレーブ滅菌した。培養後の分析結果を表12に示した。本発明の培地2種類ではいずれも到達菌数が400x10cfu/mlおよび325x10cfu/mlとなり高菌数化した。ちなみに、BL液体培地では液種の調製に用いた10ml液体培地における到達菌数に比べて50mlの培地を用いた本培養では約30%と減少した。本菌株は、BL液体培地で好気的振盪培養を行なうと、試験例で用いたSfに比べ酸素供給量が多いと増殖が阻害され易い傾向があると推察された。
【0077】
【表12】
Figure 0003900484
【0078】
2. 凍結乾燥
上記2種類の培養液40.0mlを1N塩酸で各々pH5.0に調整して不溶性炭酸塩を可溶化した後、9000rpm、5分間遠心分離して菌体を回収し、リン酸バッファー(pH6.8)30mlで懸濁した。 再び、9000rpm、5分間遠心分離して菌体を回収して洗浄菌体とした。安定化剤(組成:10%スキムミルク & 1%グルタミン酸ソーダ;コッホ滅菌30分処理済み)15mlで菌体を懸濁し、100ml−ナスフラスコに全量を移し、凍結真空乾燥を一夜行なった。得られた凍結乾燥末を評価し、その結果を表13に示した。 2種類の本発明の培地はBL液体培地に比べて、凍結乾燥して得られたSfの総菌数が炭酸マグネシウム含有培地で5.48倍及び炭酸カルシウム含有培地で2.00倍も高かった。
【0079】
【表13】
Figure 0003900484
【0080】
試験例13. 「Enterococcus faecium IFO3128の液体培養、及び凍結乾燥菌末の製造」
1.液体培養
種菌は、シリコ栓付き試験管にBL液体培地10mlを入れ、20分間オートクレーブ滅菌した後、表14に記した菌株を一白金耳量接種し、300回転/分の振盪条件で30℃・20時間培養して調製した。各培養液の菌数測定は、菌液をリン酸バッファー(pH6.8)で10倍ずつ希釈した後、その0.1mlをBL寒天培地に2枚ずつ塗沫し、37℃で好気培養してコロニーを形成させて行なった。得られた結果を表14に示した。
【0081】
【表14】
Figure 0003900484
【0082】
上記の種菌0.5mlをシリコ栓付き500ml−三角フラスコに入れた液体培地50mlに接種し、30℃で120rpmの振盪条件で20時間培養した。得られた培養液は、種菌と同様の条件で菌数測定を行い、結果を表15に示したが、比較例に比べて本発明の液体培地では菌数が増大となり、特に炭酸マグネシウムを添加した培地の方が炭酸カルシウムを添加培地よりも増大化した。
【0083】
組成A. BL液体培地(比較例)
組成B. 3.2%WTエキス、6.0%ハイニュートSMP、8%Glc、4.22%炭酸マグネシウム
組成C. 3.2%WTエキス、5.0%ハイニュートSMP、10%Glc、5.0%炭酸カルシウム
※ WTエキスの調製:WTを脱イオン水で10重量%になるように懸濁し30分間煮沸処理した後、9000rpm・10分間遠心分離して上清画分を回収し、10%WTエキスとした。
【0084】
【表15】
Figure 0003900484
【0085】
2.凍結乾燥
培地組成がBとCの培養液40.0mlを1N塩酸で各々pH5.0に調整して難溶性炭酸塩を可溶化した後、9000rpm、5分間遠心分離して菌体を回収し、リン酸バッファー(pH6.8)30mlで懸濁した。 再び、9000rpm、5分間遠心分離して菌体を回収して洗浄菌体とした。 安定化剤(組成:10%スキムミルク & 1%グルタミン酸ソーダ;コッホ滅菌30分処理済み)10mlで洗浄菌体を懸濁し、その全量を100ml−ナスフラスコに入れ、凍結真空乾燥を一夜行なった。得られた凍結乾燥末の重量及び菌数を表16に示した。いずれの菌株においても、本発明の液体培養条件で得られた菌液を凍結乾燥すると、顕著に高い菌数の凍結乾燥菌末が得られた。
【0086】
【表16】
Figure 0003900484
【0087】
試験例14. 「乳酸桿菌の増大化液体培養および凍結乾燥菌末の製造」
1. 液体培養
BL液体培地10ml(シリコ栓付き50ml試験管)にLactobacilluscasei NRIC1917株を一白金耳量接種し、30℃で一夜振盪培養した(振盪速度、300回転/分)。 到達菌数は31x10cfu/mlであった。その定常期の菌液0.5mlを本発明の液体培地50ml(培地組成(重量%):5.0%炭酸カルシウム、10.0%Glc、5.0%ハイニュートSMP、および3.2%WT;綿栓付き500ml三角フラスコ)へ接種し、30℃・振盪速度130rpmで30時間培養した。なお、Glcは他の成分と一緒にオートクレーブ滅菌した。培養後の到達菌数は152x10cfu/mであり、培地乳酸濃度は38.9mg/mlであった。
【0088】
2. 凍結乾燥
上記の培養液40.0mlを1N塩酸でpH5.0に調製して難溶性の炭酸カルシウムを溶解した後、9000rpm・5分間遠心分離して菌体を回収した。菌体は、リン酸バッファー(pH6.8)30.0mlで懸濁し、9000rpm・5分間遠心分離して菌体を回収して洗浄した。この洗浄菌体を安定化剤(組成;10%スキムミルクおよび1%グルタミン酸ソーダ;コッホ滅菌30分処理済み)15.0mlで懸濁し、全量を100ml―ナスフラスコに移し、凍結真空乾燥を一夜行った。得られた凍結乾燥菌末は、重量が3.15g、菌数が675x10cfu/gであった。
【0089】
【発明の効果】
、(1)炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムまたはヒドロタルサイトの単独またはこれらを含む無機塩混合物(2)単糖類または二糖類、(3)ペプトン、(4)麹、麹エキス、胚芽培地、酵母、または酵母エキスの単独またはこれらを含む混合物を液体培地に用い、乳酸菌を攪拌培養すると菌数の増大した乳酸菌培養物がえられることが判明した。

Claims (5)

  1. (1)炭酸マグネシウム、
    (2)単糖類又は2糖類、
    (3)ペプトン、及び、
    (4)麹、麹エキス、胚芽培地、酵母、及び酵母エキスから選ばれる1種または2種以上、を含む混合物を液体培地に用い攪拌培養することを特徴とするエンテロコッカス・フェカーリス又はエンテロコッカス・フェシウムの培養法。
  2. (1)炭酸マグネシウムを2〜13%(w/w)、
    (2)単糖類を5〜15%(w/w)、
    (3)ペプトンを5〜13%(w/w)、及び、
    (4)麹、麹エキス、胚芽培地、酵母、または酵母エキスから選ばれる1種または2種以上を2〜5%(w/w)、
    を含む混合物を液体培地に用いることを特徴とする請求項1記載のエンテロコッカス・フェカーリス又はエンテロコッカス・フェシウムの培養法。
  3. 麹あるいは麹エキスの生成菌が糸状菌であることを特徴とする請求項1記載のエンテロコッカス・フェカーリス又はエンテロコッカス・フェシウムの培養法。
  4. 糸状菌がアスペルギルス・オリゼーであることを特徴とする請求項3記載のエンテロコッカス・フェカーリス又はエンテロコッカス・フェシウムの培養法。
  5. 請求項1記載の方法で培養した後、培地に酸を添加して培地pHを4〜6に調整することによって炭酸塩を溶解した後、菌体を培地と分離して回収し、凍結真空乾燥することを特徴とするエンテロコッカス・フェカーリス又はエンテロコッカス・フェシウム菌末の製造法。
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