JP3898539B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に関するもので、特に複数の燃料電池セルの集電特性が良好な燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来技術】
次世代エネルギーとして、近年、複数の燃料電池セルを収納容器内に収納した燃料電池が種々提案されている。
【0003】
従来の固体電解質型燃料電池は、複数の燃料電池セルを収納容器内に収納し、燃料電池セル同士を集電部材により電気的に直列又は並列に接続して構成されており、発電は燃料電池セルに酸素含有ガス及び燃料ガスを供給して600〜1000℃程度の高温で行われていた。
【0004】
そして、燃料電池セル間の電気的な接続を行う集電部材は、従来、繊維状の金属が集合した金属フェルト状のものが用いられていた。このようなフェルト状の集電部材を用いた燃料電池は、複数の燃料電池セルを配列集合させ、例えば、一方の燃料電池セルのインターコネクタと、他方の燃料電池セルの外側電極との間に、フェルト状の集電部材を詰め込み燃料電池セルを直列に接続してセルスタックを形成し、このセルスタックを収納容器内に収納して構成されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した燃料電池では、フェルト状の集電部材が繊維状の金属から構成されているため、一方の燃料電池セルのインターコネクタと、他方の燃料電池セルの外側電極とは点接触となり、集電特性が未だ低いという問題があった。
【0006】
また、燃料電池セル間に集電部材を詰め込んだとしても、振動や集電部材の弾性低下等の原因で燃料電池セルとの接触が十分に行われなくなり、発電当初は集電特性はある程度良好であったとしても経時的に低下する可能性があった。
【0007】
さらに、燃料電池セル間に空気等の酸素含有ガスが導入されて発電する場合には、繊維状金属の表面から酸化し、集電特性が低下し、また金属フェルトの弾性力が低下し、経時的に特定が低下するという問題もあった。
【0008】
また、一方の燃料電池セルのインターコネクタと他方の燃料電池セルの外側電極との間に集電部材を詰め込む際に、集電部材がフェルト状であることに起因して、一方の燃料電池セルと他方の燃料電池セルの外側電極同士が導通してしまうという危険性もあった。
【0009】
本発明は、燃料電池セル間の集電特性を向上できる燃料電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池は、内部にガス通過孔を有し断面が扁平状で柱状の複数の燃料電池セルを収納容器内に配列して収納し、前記複数の燃料電池セル間に板状集電部材を配置し、対向する前記燃料電池セル同士を電気的に接続してなるとともに、前記板状集電部材の一部に複数の切れ目であるスリットを平行に形成し、該スリット間の集電片を前記板状集電部材の両側に交互に突出させ、前記対向する燃料電池セルの平坦な外面にそれぞれ面接触せしめてなることを特徴とする。
【0011】
板状集電部材は、基部の一端部に複数の集電片が形成された櫛歯形状としたり、複数の集電片群を燃料電池セルの長さ方向に所定間隔を置いて形成して構成することができる。
板状集電部材が櫛歯形状である場合には、対向する燃料電池セル間に基部から挿入されることが望ましい。
【0012】
このような燃料電池では、板状集電部材のバネ性を有する集電片により燃料電池セル間を機械的に接続しているため、燃料電池セルとは面接触となり、従来のようなフェルト状の集電部材よりも燃料電池セルに当接する面積が大きくなり、集電特性を向上できる。さらに、板状集電部材の集電片が両側に交互に突出しており、集電片間に形成された隙間へガス供給でき、発電特性を向上できる。
【0013】
また、集電片は板状であるため弾性力も大きく、振動等が生じたとしても燃料電池セルとの十分な接触を長期間確保できる。さらに、集電片は板状であるため、収納容器内が高温となった場合でも、従来のフェルト状の集電部材よりも焼結しにくく、また、燃料電池セルとの十分な接触を長期間確保できる。
【0014】
さらに、集電部材が板状であるため、例えば、一方の燃料電池セルのインターコネクタと他方の燃料電池セルの外側電極との間に集電部材を詰め込む際にも、一方の燃料電池セルと他方の燃料電池セルの外側電極同士の導通を確実に防止できる。
【0015】
また、本発明の燃料電池では、燃料電池セルは扁平状であり、対向する燃料電池セル外面は平坦であるため、板状集電部材の集電片が燃料電池セル外面に確実に当接するため、集電特性を向上できる。
【0016】
本発明の燃料電池では、燃料電池セルは、軸長方向にガス通過孔が形成された内側電極の表面に、固体電解質、外側電極を順次形成し、前記固体電解質及び前記外側電極が形成されていない内側電極の表面にインターコネクタを形成してなり、一方の燃料電池セルのインターコネクタと他方の燃料電池セルの外側電極に、板状集電部材の集電片が当接していることを特徴とする。このように燃料電池セルを電気的に直列に接続する場合に好適に用いられる。
【0017】
また、本発明の燃料電池では、燃料電池セルは、酸素含有ガスに曝される外側電極を有しており、板状集電部材が、導電性を有する金属又は合金の表面を耐酸化性物質で被覆して構成されていることが望ましい。板状集電部材が耐酸化性を有するため、板状集電部材が酸素含有ガスに曝されたとしても良好な電気伝導性を有することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の燃料電池の一形態を示すもので、符号31は断熱構造を有する収納容器を示している。この収納容器31の内部には、複数の燃料電池セル33と、これらの燃料電池セル33の上方に形成された燃焼室37と、この燃焼室37を挿通する酸素含有ガス供給管39と、燃焼室37の上方に設けられた熱交換部41とが設けられている。
【0019】
収納容器31は、耐熱性金属からなる枠体31aと、この枠体31aの内面に設けられた断熱材31bとから構成されている。
【0020】
収納容器31内の燃料電池セル33は、図2に示すように、3列に整列しており、隣設した2列の最外部の燃料電池セル33の電極同士が導電部材42で接続され、これにより3列に整列した複数の燃料電池セル33が電気的に直列に接続している。尚、図1では燃料電池セルを4列に整列した状態を記載した。
【0021】
具体的に説明すると、燃料電池セル33は断面が扁平状で、全体的に見て楕円柱状であり、その内部には複数の燃料ガス通路34が形成されている。この燃料電池セル33は、断面が扁平状で、全体的に見て楕円柱状の多孔質な金属を主成分とする燃料側電極(内側電極)33aの外面に、緻密質な固体電解質33b、多孔質な導電性セラミックスからなる酸素側電極(外側電極)33cを順次積層し、酸素側電極33cと反対側の燃料側電極33aの外面にインターコネクタ33dを形成して構成されており、燃料側電極33aが支持体となっている。
【0022】
即ち、燃料電池セル33は、断面形状が、幅方向両端に設けられた弧状部と、これらの弧状部を連結する一対の平坦部とから構成されており、一対の平坦部は平坦であり、ほぼ平行に形成されている。これらの一対の平坦部は、燃料側電極33aの平坦部にインターコネクタ33d、又は固体電解質33b、酸素側電極33cを形成して構成されている。
【0023】
一方の燃料電池セル33と他方の燃料電池セル33との間には板状集電部材43が介在され、一方の燃料電池セル33の燃料側電極33aは、該燃料側電極33aに設けられたインターコネクタ33d、集電部材43を介して他方の燃料電池セル33の酸素側電極33cに電気的に接続されている。尚、図3では、集電部材43を簡略化して記載した。
【0024】
板状集電部材43は、図3に示すように、矩形状板の一端部に複数のスリットを略平行に形成し、該スリット間の集電片43aを板状集電部材43の両側に交互に突出させ、基部43bの一端部に複数の集電片43aが形成された櫛歯形状とされ、複数の集電片43aが対向する燃料電池セル33の外面にそれぞれ当接している。
【0025】
即ち、集電片43aは、対向する燃料電池セル33の平坦部であるインターコネクタ33dと、酸素側電極33c間に配置され、燃料電池セル33同士が直列に接続されている。平坦部に集電片43aが当接しているため確実に当接し、電気的接続を確実に行うことができる。また、複数の集電片43aはAgペーストを介在して燃料電池セル33に接合している。このAgペーストは発電時に焼き付けられ、集電片43aと燃料電池セル33のインターコネクタ33dと酸素側電極33cに接合し、これにより、集電片43aと燃料電池セル33との電気的接続を十分にとることができる。集電片43aの幅は、集電特性を向上し、集電片43a間に十分に酸素含有ガスを供給するという点から、2mm以下が望ましい。
【0026】
これらの板状集電部材43は、対向する燃料電池セル33間に複数配置されており、対向する燃料電池セル33間に基部43bから挿入され、基部43bが下に位置している。これらの板状集電部材43は、導電性を有するCr、Feを主成分とするフェライト系ステンレスの表面をAgからなる耐酸化性物質で被覆して構成されている。尚、板状集電部材43は導電性を有する金属又は合金を主成分とするものの表面を耐酸化性物質で被覆したものであれば、上記したものに限定されるものではない。
【0027】
対向する燃料電池セル33間には、図4に示す板状集電部材44を介在せしめても良い。図4に示す板状集電部材44は、複数のスリットを略平行に形成し、その間の集電片44aを交互に板状集電部材44の両側に突出させて形成された集電片44a群を、長さ方向に所定間隔を置いて形成して構成し、基部44bと集電片44aを交互に形成しても良い。図4に示すような板状集電部材44では、図3の板状集電部材43よりも燃料電池セル間への配置を簡単に行うことができる。
【0028】
また、図4(c)に示すように、複数の集電片46a群を長さ方向に所定間隔を置いて形成し、一つの集電片46a群において集電片46aを一つおきに一方の燃料電池セル33の酸素側電極33c側に突出させて当接せしめ、その他の平坦な部分を他方の燃料電池セル33のインターコネクタ33dに当接せしめるようにしても良い。この場合、インターコネクタ33dとの接合を十分に行うことができる。
【0029】
燃料電池セル33の下方には、図1に示したように、燃料ガスを燃料電池セル33に供給するための燃料ガスタンク45が設けられ、この燃料ガスタンク45には、外部から燃料ガスを燃料ガスタンク45に供給するための燃料ガス供給管51が接続されている。
【0030】
燃料ガスタンク45には、燃料電池セル33の下端部に取り付けられた取付治具53が螺着しており、これにより、燃料電池セル33が燃料ガスタンク45にそれぞれ立設している。即ち、取付治具53は、燃料電池セル33の端部に取り付けられたセル端部側取付治具53aと、両端部がセル端部側取付治具53a及び燃料ガスタンク45にそれぞれ螺着する連結部材53bとから構成されており、連結部材53bの両端部には向きが逆のねじ部が形成され、連結部材53bを一方側に回転させると、両端部がセル端部側取付治具53a及び燃料ガスタンク45にそれぞれ螺着するように形成されている。
【0031】
セル端部側取付治具53a、連結部材53bには、燃料ガスタンク45と燃料電池セル33の燃料ガス通路34に連通するように貫通孔が形成されている。
【0032】
また、図1に示したように、燃焼室37を挿通する酸素含有ガス供給管39は、その先端部が燃料電池セル33間に位置している。発電で用いられなかった余剰の酸素含有ガスは、燃料電池セル33間を通って燃料電池セル33の上方に流れ、発電で用いられなかった余剰の燃料ガスは、燃料電池セル33の燃料ガス通路34を通って燃料電池セル33の上方から吹き出し、燃料電池セル33の上端近傍において、燃料ガスと酸素含有ガスが反応して燃焼するように構成されている。
【0033】
熱交換部41は、熱交換器41aと、燃焼室37を介してセルスタック35に対向して設けられた酸素含有ガス収容室41bとから構成されている。
【0034】
熱交換器41aは、図5に示すように、平板61と波板63を交互に積層したプレートフィン型構造とされており、酸素含有ガス収容室41bと連通する通路を形成する波板63aは、図5(b)に示すように形成され、また、燃焼ガスの排出用の通路を形成する波板63bは、図5(c)に示すように形成されている。
【0035】
燃焼ガスは、図1に一点鎖線で示したように熱交換器41aの下部側面から導入され、熱交換器41aの上方へ排出され、一方、酸素含有ガスは、図1に破線で示したように熱交換器41aの上部側面から導入され、熱交換器41aの下方へ導かれ、酸素含有ガス収容室41b内に導入される。
【0036】
酸素含有ガス収容室41bは、図6に示すように、熱交換器41aの酸素含有ガスが導入される側の端面、即ち燃料電池セル33側端面に設けられており、波板63aの各通路を通過した酸素含有ガスが一旦収容されるようになっている。
【0037】
酸素含有ガス収容室41bには、複数の酸素含有ガス供給管39の一端が開口し、連通している。
【0038】
また、図1に示したように、酸素含有ガス収容室41bの側面と断熱材31bとの間、即ち酸素含有ガス収容室41bの周囲は、燃焼室37中の燃焼ガスを熱交換器41aに導入する燃焼ガス導入口71とされている。この燃焼ガス導入口71を介して燃焼ガスが熱交換器41aの波板63bの通路へ導出される。
【0039】
以上のように構成された燃料電池では、外部からの酸素含有ガス(例えば空気)を酸素含有ガス管73を介して熱交換器41aに導入し、酸素含有ガス収容室41bに導入し、酸素含有ガス供給管39を介して燃料電池セル33間に噴出させるとともに、燃料ガス(例えば水素)を燃料ガス供給管51を介して燃料電池セル33の燃料ガス通路34内に供給し発電させる。
【0040】
発電に用いられなかった余剰の燃料ガスは燃料ガス通路34の上端から燃焼室37内に噴出し、発電に用いれらなかった余剰の酸素含有ガスは燃焼室37内に流れ、余剰の燃料ガスと余剰の酸素含有ガスを反応させて燃焼させ、燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスが燃焼ガス導入口71を介して熱交換器41aに導出され、熱交換器41aの上端から排出される。
【0041】
そして、本発明の燃料電池では、板状集電部材43、44、46のバネ性を有する集電片43a、44a、46aにより燃料電池セル33間を機械的に接続しているため、燃料電池セル33とは面接触となり、従来のようなフェルト状の集電部材よりも燃料電池セル33に当接する面積が大きくなり、集電特性を向上できる。また、集電片43a、44a、46aは板状であるため弾性力も大きく、振動等が生じたとしても燃料電池セル33との十分な接触を長期間確保できる。
【0042】
また、集電片43a、44a、46a間には隙間が形成されているので、酸素含有ガスが隙間、酸素側電極33cを介して、固体電解質33bへ供給され、発電が良好となる。
【0043】
さらに、集電片43a、44a、46aは板状であるため、収納容器31内が高温となった場合でも、従来のフェルト状の集電部材よりも焼結しにくく、また、燃料電池セル33との十分な接触を長期間確保できる。さらに、集電部材43、44、46が板状であるため、一方の燃料電池セル33のインターコネクタ33dと他方の燃料電池セル33の酸素側電極33cとの間に板状集電部材43、44、46を介装する際にも、一方の燃料電池セル33と他方の燃料電池セル33の酸素側電極33c同士の導通を確実に防止できる。
【0044】
また、発電に寄与しなかった余剰の燃料ガスと酸素含有ガスが燃焼室37内に導入され、この燃焼室37中で反応して燃焼し、この燃焼ガス及び外部の酸素含有ガスを熱交換器41aに導入し、この熱交換器41aで燃焼ガスと酸素含有ガスとの間で熱交換させ、起動時に酸素含有ガスを予熱することができ、また、酸素含有ガス供給管39が燃焼室37を挿通することにより、燃焼ガスにより酸素含有ガス供給管39内の酸素含有ガスをさらに加熱することができるため、加熱した酸素含有ガスにより燃料電池セル33を間接的に加熱して実質的に発電するまでの起動時間を短縮できる。
【0045】
さらに、燃料電池セル33の上部に燃焼室37、酸素含有ガス収容室41b、熱交換器41aが隣接して形成されているため、燃焼室37で燃焼した高温の燃焼ガスを、配管等を用いることなく熱交換器41aに直接導入でき、簡単な構造で酸素含有ガスの予熱効率を大きくできる。
【0046】
また、収納容器31内で、燃焼ガスと酸素含有ガスとを熱交換できるため、酸素含有ガスの予熱を行うためのバーナーを収納容器31内に別途設ける必要がなく、小型にでき、しかも燃焼ガスを有効利用できる。
【0047】
さらに、熱交換器41aに酸素含有ガス収容室41bを設けたので、熱交換器41aと酸素含有ガス供給管39との接続を酸素含有ガス収容室41bを介して行うことができ、熱交換器41aからの酸素含有ガスを発電室49内に確実に供給できる。
【0048】
尚、本発明は上記形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
また、熱交換器41aとしてプレートフィン型を用いたが、本発明ではこれに限定されるものではなく、それ以外の熱交換器を用いても良いことは勿論である。
【0050】
さらに、上記例では、燃料電池セル33を直列に接続した例について説明したが、並列接続しても良いことは勿論である。また、燃料側電極33aを内側電極としたが、酸素側電極を内側電極としても良い。
【0051】
【実施例】
先ず、平均粒径0.5μmのNiO粉末と、平均粒径0.5μmのYを8モル%含有したZrO2(YSZ)粉末と、ポアー剤、PVAからなる有機バインダーと、水からなる溶媒とを混合した燃料側電極材料を押出成形して、図2に示したような扁平状の燃料側電極成形体を作製し、これを乾燥した。
【0052】
次に、上記YSZ粉末と、アクリル樹脂からなる有機バインダーと、トルエンからなる溶媒とを混合した、固体電解質材料を用いてシート状成形体を作製し、このシート状成形体を、燃料側電極成形体上に、その両端間が、燃料側電極の平坦部部分で所定間隔をおいて離間するように巻き付け、乾燥した。
【0053】
この後、平均粒径2μmのLaCrO3系材料と、アクリル樹脂からなる有機バインダーと、トルエンからなる溶媒とを混合した、インターコネクタ材料を用いてシート状成形体を作製し、このシート状成形体を、固体電解質のシート状成形体間であって、露出した燃料側電極成形体の外面に積層し、燃料側電極成形体に固体電解質のシート状成形体、インターコネクタのシート状成形体が積層された積層成形体を作製した。
【0054】
次に、この積層成形体を脱バインダー処理し、大気中にて1500℃で同時焼成した。この積層体を、平均粒径2μmのLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3粉末と、ノルマルパラフィンからなる溶媒を含有するペースト中に浸漬し、固体電解質の表面に酸素側電極成形体をディッピングにより作製し、1150℃で焼き付け、図2に示したような燃料電池セルを複数作製した。
【0055】
そして、一対の燃料電池セルを配列させ、一方の燃料電池セルのインターコネクタと他方の燃料電池セルの燃料側電極との間に、Fe、Crを主成分とするフェライト系ステンレス表面をAgで被覆した板材に多数の集電片を形成した図3の板状集電部材を、Agペーストを介在させて配置した。
【0056】
そして、燃料電池セルの外側に空気を供給した状態で、集電部材が介装された燃料電池セルを850℃に加熱し、一方の燃料電池セルのインターコネクタと他方の燃料電池セルの酸素側電極との間の電気抵抗を測定した。
【0057】
また、一対の燃料電池セル間に、Fe、Crを主成分とするフェライト系ステンレスからなるフェルト状の集電部材をAgペーストを介して配置した比較例についても同様に電気抵抗を測定した。
【0058】
この結果、本発明の板状集電部材では、30mΩcm2と非常に良い電気伝導性が得られたのに対して、フェルト状の集電部材を用いた比較例では、300mΩcm2と電気伝導性が低かった。
【0059】
【発明の効果】
本発明の燃料電池では、板状集電部材のバネ性を有する集電片により燃料電池セル間を機械的に接続しているため、燃料電池セルとは面接触となり、従来のようなフェルト状の集電部材よりも燃料電池セルに当接する面積が大きくなり、集電特性を向上できる。また、集電片は板状であるため弾性力も大きく、振動等が生じたとしても燃料電池セルとの十分な接触を長期間確保できる。
【0060】
さらに、集電片は板状であるため、収納容器内が高温となった場合でも、従来のフェルト状の集電部材よりも焼結しにくく、また、燃料電池セルとの十分な接触を長期間確保できる。さらにまた、集電部材が板状であるため、例えば、一方の燃料電池セルのインターコネクタと他方の燃料電池セルの外側電極との間に集電部材を詰め込む際にも、一方の燃料電池セルと他方の燃料電池セルの外側電極同士の導通を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池を示す説明図である。
【図2】図1のセルスタックを示す横断面図である。
【図3】基部の一端部に複数の集電片が形成された櫛歯形状の板状集電部材を用いて、燃料電池セルを接続した状態を示すもので、(a)は側面図、(b)は板状集電部材を示す斜視図である。
【図4】複数の集電片群を長さ方向に所定間隔を置いて形成して構成した板状集電部材を用いて、燃料電池セルを接続した状態を示すもので、(a)は側面図、(b)は板状集電部材を示す斜視図、(c)は集電片を一方側のみ突出させた板状集電部材を示す斜視図である。
【図5】図1の熱交換器の概念を説明するための図であり、(a)は熱交換器の斜視図、(b)は酸素含有ガスの通路を形成するための波板を示す斜視図、(c)は燃焼ガスの通路を形成するための波板を示す斜視図である。
【図6】本発明の熱交換部を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
31・・・収納容器
33・・・燃料電池セル
43、44、46・・・板状集電部材
43a、44a、46a・・・集電片
43b、44b・・・基部
33a・・・燃料側電極(内側電極)
33b・・・固体電解質
33c・・・酸素側電極(外側電極)
33d・・・インターコネクタ
Claims (6)
- 内部にガス通過孔を有し断面が扁平状で柱状の複数の燃料電池セルを収納容器内に配列して収納し、前記複数の燃料電池セル間に板状集電部材を配置し、対向する前記燃料電池セル同士を電気的に接続してなるとともに、前記板状集電部材の一部に複数の切れ目であるスリットを平行に形成し、該スリット間の集電片を前記板状集電部材の両側に交互に突出させ、前記対向する燃料電池セルの平坦な外面にそれぞれ面接触せしめてなることを特徴とする燃料電池。
- 前記板状集電部材は、基部の一端部に複数の前記集電片が形成された櫛歯形状であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 前記板状集電部材は、対向する前記燃料電池セル間に前記基部から挿入されることを特徴とする請求項2記載の燃料電池。
- 前記板状集電部材は、複数の集電片群を前記燃料電池セルの長さ方向に所定間隔を置いて形成して構成されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 前記燃料電池セルは、軸長方向にガス通過孔が形成された内側電極の表面に、固体電解質、外側電極を順次形成し、前記固体電解質及び前記外側電極が形成されていない内側電極の表面にインターコネクタを形成してなり、一方の前記燃料電池セルのインターコネクタと他方の前記燃料電池セルの外側電極に、前記板状集電部材の集電片が当接していることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の燃料電池。
- 前記燃料電池セルは、酸素含有ガスに曝される外側電極を有しており、前記板状集電部材が、導電性を有する金属又は合金の表面を耐酸化性物質で被覆して構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれかに記載の燃料電池。
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