JP3896222B2 - バターの品質回復方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バターの品質回復方法及びその装置であって、詳しくは2軸ローターを用いて、配管内を長距離搬送され、配管内面の抵抗によるずれによって発生する断面状態がバームクーヘン状に劣化したバターを、冷却しながら撹拌・均質化して、配管内を搬送する前の組織状態に回復させるバターの品質回復方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、バターの製造工程は、原料のクリームの調合・殺菌工程、そのクリームによってバターを製造する製造工程及び充填・包装工程からなる。
具体的には、原料乳からクリームを分離(脂肪濃度の調整)した後殺菌し、その後バター連続製造装置によってバターを製造し、そのバターを充填・包装装置により充填・包装して製品形態にしている。この工程において、バターの連続製造工程と充填・包装工程の間で、バターを配管(パイプ)で搬送している。
【0003】
この配管によるバターの搬送方法は、密閉系で搬送できるため微生物汚染や異物混入の危険性が少なく、また、バター連続製造装置と充填・包装装置の間にバッファ装置及び複数の搬送装置を設置して、1つのバター連続製造装置に対して同時に複数の充填・包装装置を稼働させることができ、また、容易に配管ラインを変更することができるため、多品種生産が同時にできるといった効果がある。しかし、一方、バターを配管搬送すると、配管内面の抵抗によるずれによって、バターの断面状態がバームクーヘン状になり、そのため均一な組織が得られずにバター特有の滑らかさがなくなり、また、しばしば離水を伴うとともに、充填・包装後にマーブル状に割れてしまうといった品質劣化の問題があった。
【0004】
この品質の劣化を防ぐため、通常、配管内面の表面処理を行い、配管内面の滑り効果を上げて配管抵抗を軽減し、配管内壁面での剪断応力を減少させることが行われている。すなわち配管内面をブラスト処理し、更にはバターの品温が10〜15℃、搬送能力が500〜5000kg/hrである搬送条件において、4インチ程度の配管を用いて、搬送距離を10m以下の範囲とすることによって品質の安定化を図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
配管を用いたバターの搬送は、上記したように、配管内面の表面処理をすることによって剪断応力を減少させることができ、また、微生物による汚染や異物混入が防止できるといった品質面での長所がある上、1つのバター連続製造機で製造されたバターを、複数の充填・包装装置に分配できるため、多品目の製品を同時に効率的に生産できるといった長所もある。
しかしながら、バターの流動性や搬送距離の長さによっては、従来の配管を用いた搬送方法をそのまま適用することが困難なことがある。
【0006】
すなわち、流動性が低いバターを搬送する場合や配管の長さ(搬送距離)が長くなった場合には、配管内面の抵抗が大きくなってずれが発生し、このずれによって断面状態がバームクーヘン状になることがある。ずれが発生する要因は、配管内面の滑らかさ以外にも、温度や粘性に依存するバターの流動性、あるいは圧力や配管の長さに依存する剪断応力、更にはこれらと搬送能力に依存する剪断速度の相互関係もあり、これらの要因の相互作用によってバームクーヘン状バターが発生する。
特に、バターの品温が10〜15℃、搬送能力が500〜5000kg/hrにおいて4インチ配管で10m以上搬送した場合は、バームクーヘン状のバターが顕著に発生する。
【0007】
そのため、バター連続製造装置と複数の充填・包装装置を同時に稼働させる際、各々の装置を接近した場所に設置することができず、10mを越える長距離搬送を必要とする場合、別の搬送手段を用いたり、別の充填・包装手段が必要となる。しかし、配管による搬送以外では、新たに微生物汚染防止や異物混入防止の品質面の対策が必要になるとともに、生産性が低下するといった問題が発生することが避けられない。
このように、配管によるバターの搬送方法は、微生物汚染防止や異物混入防止といった品質面での優位性を有していながら、長距離搬送すると、配管内面の抵抗によるずれによって、バターの断面状態がバームクーヘン状になり、それが原因で均一な組織にならず、また、バター特有の滑らかさがなくなる上、しばしば離水を伴い、更には充填・包装後にマーブル状に割れて、品質が劣化してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、以上のような問題点を解決すべく、種々実験を重ねた結果創出されたもので、その目的とするところは、バターの品質回復方法及び装置において、配管を使用したバターの長距離搬送における配管内面の抵抗によるずれによって発生した断面状態がバームクーヘン状に劣化したバターを、搬送前の組織状態容易に回復させることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の方法及び装置にあっては、2軸ローターを、それを囲むジャケット付きシリンダー内においてローター軸方向に空間を移動させる搬送能力を持たせないで回転させることにより搬送に伴う剪断作用を発生させずに、冷却しながら撹拌・均質化し、溶解を防ぎながら組織を回復させることによって、その問題点の解決を図っている。
【0010】
すなわち、本発明の方法は、2軸ローターを、それを囲むジャケット付きシリンダー内においてローター軸方向に空間を移動させる搬送能力を持たせないで回転させることにより搬送に伴う剪断作用を発生させずに、配管内を長距離搬送され、配管内面の抵抗によるずれによって発生する断面状態がバームクーヘン状に劣化したバターを、冷却しながら撹拌・均質化し、溶解を防ぎながら、配管内を搬送する前の組織状態のバターに回復するものである。また、本発明の方法は、2軸ローターの互いの外周軌跡を全く重なり合わせないことで2軸ローター間に強い剪断力を発生させず、かつ、2軸ローターにローター軸方向に空間を移動させる搬送能力を持たせないことで搬送に伴う剪断作用を発生させずに、配管内を長距離搬送され、配管内面の抵抗によるずれによって発生する断面状態がバームクーヘン状に劣化したバターを、冷却しながら撹拌・均質化し、溶解を防ぎながら、配管内を搬送する前の組織状態のバターに回復するものである。
【0011】
更に、本発明の方法は、品質が劣化したバターを投入する投入口と、品質回復したバターを排出する排出口とを設け、バターを冷却するためのジャケットとを有するシリンダー内に、2軸ローターを納設した装置において、この2軸ローターを回転させる際に、冷却を伴う撹拌・均質化における装置内部の滞留時間が30〜120sec、ローターの周速度が300〜1000mm/secとしたものである。
2軸ローターは、断面形状が4条で、2軸ローターの互いの外周軌跡が全く重なり合わず、搬送能力が無いストレートがよいが、これに限らず、2軸ローター間あるいはローターとシリンダー間で強い剪断力を防止しながら撹拌・均質化ができるローターならいずれのものでも使用可能である。
また、ローター同志の接触を防ぐため、回転方向は異方向回転が好ましいが、同方向回転でもよく、更にローターの回転数を可変にすれば、バターの搬送による劣化度合いに応じて対応できるために品質の制御も容易となる。
【0012】
ジャケット付きシリンダーによる冷却は、撹拌による内部発熱によって起こる昇温、特に溶解を防ぐとともに、充填・包装時の保形性を維持するために使用するだけでよく、また、冷却能力は、目的とする製品の充填・包装時の保形性、処理する能力などにより適宜決めることができ、更に冷媒の温度や循環する流量を任意に調節できるようにすれば好適に用いることができる。
尚、冷却を伴う撹拌・均質化は、上記したように、装置内部の滞留時間を30〜120sec、ローターの周速度を300〜1000mm/secとしたが、装置内部の滞留時間は、ローター外径、ローター形状、シリンダー内径(内面積)及びバターが接触するローターの長さによって決まる装置内の容積(ローターの溝容積)と目的とする処理量により決まり、上記範囲の中で適宜選択すればよい。また周速度は、ローター外径とローターの回転数から決まり、同様に上記範囲の中から適宜決めることができる。
また、ローターとローター間及びローターとシリンダー間のクリアランスは、装置内をバターが通過する際に、吹き抜け(ショートパス)や溜まり(デッドスペース)ができないよう適宜決めるとよい。
【0013】
本発明は、配管内を10m以上の長距離搬送された際に、配管内面の抵抗によるずれによって発生する断面状態がバームクーヘン状に劣化したバターの品質を回復することができるもので、例えば、従来のバター製造において困難であった10〜50mの長距離搬送を可能にするものである。本発明によって、バター特有の滑らかさの回復、離水の防止、充填・包装後のバームクーヘン(マーブル)状クラックの防止などの品質の安定化が図れるとともに、微生物汚染や異物混入を防止することができる。また、これらの効果によって、バター連続製造装置により製造されたバターを遠距離に設置した充填・包装装置へ配管搬送できることから、多品種の品目を同時に生産できて生産性が向上し、更には、装置の構成が簡素であるため、装置の操作や制御が容易となる。
【0014】
本発明は、以上のような方法を具現化するために、次のような装置を提供する。
すなわち、本発明の装置は、配管内を長距離搬送され、配管内面の抵抗によるずれによって発生する断面状態がバームクーヘン状に劣化したバターの品質を回復するにあたって、品質が劣化したバターを投入する投入口と、品質が回復したバターを排出する排出口とを設け、バターを冷却するためのジャケットとを有するシリンダー内に、断面形状が4条で、2軸ローターの互いの外周軌跡を全く重なり合わせず、搬送能力が無いストレートのローターからなる2軸ローターを納設するとともに、2軸ローターを一定速度で回転させる駆動装置と、ジャケットに冷媒を循環させる供給装置及び冷媒の冷却装置と、シリンダー内に品質が劣化したバターを供給して押出す供給装置と、これらを制御する制御装置から構成されている。
【0015】
本発明の装置におけるローターは2軸で、その断面形状が4条で、2軸ローターの互いの外周軌跡が全く重なり合わず、搬送能力が無いストレートが好ましく、2軸ローター間あるいはローターとシリンダー間で強い剪断を防止しながら撹拌・均質化を行うことができるローターであればよい。また、ローターの表面及びジャケット付きシリンダー内壁面はブラスト処理することが好ましい。
ジャケット付きシリンダーは、品質が劣化したバターを投入する投入口と、品質が回復したバターを排出する排出口と、バターを装置内において冷却するためのジャケットとを有しており、投入口と排出口は、2軸ローター間の中心におき、その位置関係は、冷却において冷媒と向流とするよう、2軸ローターを挟んで両側に設置することが好ましい。すなわち、品質の劣化したバターの投入口は下方に、品質が回復したバターの排出口は上方に、また、冷媒の投入口は上方に、排出口は下方にそれぞれ設置することが好ましい。また、バターの投入口と排出口の配管サイズは、目的とする処理能力及び排出口での圧力を考慮し、1〜4インチで適宜決めることができる。
【0016】
2軸ローターを駆動させる駆動装置は、モーター、変速機、ギヤからなり、例えばインバーターなどで回転数を可変させたり、一定速度で回転させることができればよく、また、2軸のローターの両端を保持する軸受とシールを設けることでよい。
冷媒を循環させる供給装置及び冷媒の冷却装置は、一般的なものでよいが、冷媒の温度調節や供給量が可変できれば効果的である。
バターを供給して押出す供給装置は、例えばバターポンプなどが用いられ、定量的に供給でき、かつ、処理能力が可変できるものであればよい。
制御装置は、ローター回転数、冷媒温度や冷媒の循環流量を制御し、任意に設定することができればよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のバターの品質回復装置及びその系統を図面に基づいて説明する。
本発明のバターの品質回復装置(E)は、図1に示したように、例えばバター連続製造装置(A)で製造した約10〜15℃のバターを、バッファリング装置(バターサイロ・トロリー)(B)に送り、次いでバター供給装置(バターポンプ)(C)によって配管(D)内を長距離搬送し、充填装置(F)及び包装装置(G)で充填・包装されて製品化される場合、充填装置(F)の前に設置されるものである。
本発明の装置(E)には、冷媒を循環させる冷却装置(H)、これらを制御する制御装置(I)が接続されており、これらを含め図1の(A)〜(I)に示しているが、本発明のバターの品質回復装置(E)以外はその詳細な説明を省略する。
【0018】
本発明の装置(E)は、図2に示したように、配管(D)内を長距離搬送され、品質が劣化したバターを取込み、冷却しながら撹拌・均質化する2軸ローター(a)と、この2軸ローター(a)を囲むジャケット付きシリンダー(b)とから構成され、この2軸ローター(a)の一端部、バターの排出口(3)側には、駆動部(d)と2軸ローター(a)及びジャケット付きシリンダー(b)を連結している連結部(c)があり、これらの連結部(c)、駆動部(d)及び内部に2軸ローター(a)を納設するジャケット付きシリンダー(b)は、支持台(1)に固定されている。
2軸ローター(a)の並設された各々のローター(a1 )、(a2 )は、図3に示したように断面形状が4条で、2軸ローター(a)の互いの外周軌跡が全く重なり合わない構造となっており、ジャケット付きシリンダー(b)には、駆動部(d)と反対側の位置にバターポンプ(C)に接続した配管(D)と接続した投入口(2)及び先端部軸受(e)があり、また、駆動部(d)側の位置にバターの排出口(3)があり、更に、ジャケット付きシリンダー(b)はジャケット構造となっており、駆動部(d)側に冷媒の投入口(4)と先端部軸受(e)側に排出口(5)が設置されている。
【0019】
2軸ローター(a)のうち、例えばローター(a1 )側が変速機を伴った駆動部(d)に接続しており、連結部(c)内において歯車が噛み合い、(a1 )と(a2 )とは互いに異方向に回転するようになっており、図示しないが先端部軸受(e)及び連結部(c)内にあるシールやベアリングにより、シール性を維持して安定した回転が行われるようになっている。
ジャケット付きシリンダー(b)の下部に図示しないが排水用のコックを設けることにより、残留バターや洗浄、殺菌後に残った水を除去することができるようになっている。2軸ローター(a)は、冷却しながら撹拌・均質化できる機能と一定の能力があればよく、特に上記のような構造に限定されるものでない。
【0020】
ローター(a1 )、(a2 )は、図3に示したように、互いの外周軌跡が全く重なり合わず、搬送能力が無いストレートで、強い剪断を防止しながら撹拌を行うことができるローターでよく、ローター(a1 )、(a2 )の径は、設定される処理量や、冷却を伴う撹拌・均質化における装置内部の滞留時間30〜120sec及びローターの周速度300〜1000mm/secの範囲から決めることでよく、また、バターが接触する2軸ローター(a)の全長(ローター有効長さ)は、ローター(a1 )、(a2 )の径と同様に決めるのがよい。ローター(a1 )、(a2 )が異方向回転の場合、ローター(a1 )、(a2 )の強度を維持するために、通常ローター径に対して10〜12倍のローター長さ(L/Dが10〜12)とすることがよく、ローターの溝容積を確保してL/Dが10以下であれば更によい。
【0021】
例えばバターの処理量を500〜1500kg/hrとし、ローターの回転数が30〜150rpmで、ローターの径を145mm程度とすると、ローターの全長が600mm程度でローターの溝容積がおよそ15リットル(バターでは約15kg)となり、上記条件の範囲となるが、これに限らず、配管の長さ、すなわち品質が劣化したバターの程度を考慮し、ローターの径やローターの長さを決めることが好ましい。
冷媒を循環させる冷却装置(H)は、冷媒温度が0〜−15℃、循環流量が2000〜5000リットル/hrの条件で運転可能であればよく、本発明の装置(E)と品質を回復させるバターとの伝熱特性を考慮して運転条件を設定することでよい。
【0022】
本発明の装置(E)及び冷媒を循環させる冷却装置(H)を制御している制御装置(I)は、2軸ローター(a1 )、(a2 )の回転数、冷却装置(H)の冷媒温度及び循環流量を可変できるものであればよく、好ましくは本発明の装置(E)の出口に温度計や圧力計を設置し、温度や圧力を調節するために、2軸ローター(a1 )、(a2 )の回転数、冷却装置(H)の冷媒温度及び循環流量を制御できることが好ましい。更にバターの流動性を検知できるセンサーを設けると、品質の回復に応じて上記制御因子を制御できるので効果的である。
【0023】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示して詳細に説明するとともに、実験例を示して本発明の効果をより明瞭にする。
【実施例1】
図2に示す本発明のバターの品質回復装置(E)に、図3に示す異方向回転の2軸ローター(a1 )、(a2 )を設置し、本発明の装置(E)の前工程のバター供給装置(バターポンプ)(C)にて約13℃のバターを連続的に25mの配管(D)内を長距離搬送し、品質の劣化したバターを本発明の装置(E)の下方の投入口(2)より投入し、ジャケットで冷却しながら撹拌・均質化し、溶解を防ぎながらバターの品質回復を行った。
運転条件は、ローターの回転数が40、80、120rpm、バターの処理量がほぼ一定の700kg/hr、ジャケット(b)へ循環する冷媒は約−15℃、循環流量約2500リットル/hrとしたが、運転状況は良好であり、充填・包装も良好であった。
バターの品質は、25mの配管内を長距離搬送され、配管内面の抵抗によるずれによって発生した断面状態がバームクーヘン状に劣化したバターと比較し、処理されたバターは一様な組織で、また品温も約13℃で溶解も見られず良好であった。
【0024】
【実施例2】
図2に示す本発明のバターの品質回復装置(E)に、図3に示す異方向回転の2軸ローター(a1 )、(a2 )を設置し、本発明の装置(E)の前工程のバター供給装置(バターポンプ)(C)にて約13℃のバターを連続的に35mの配管(D)内を長距離搬送し、品質の劣化したバターを本発明の装置(E)の下方の投入口(2)より投入し、ジャケットで冷却しながら撹拌・均質化し、溶解を防ぎながらバターの品質回復を行った。
運転条件は、ローターの回転数が80rpm、バターの処理量は500、1000、1500kg/hr、ジャケット(b)へ循環する冷媒は約−15℃、循環流量約2500リットル/hrとしたが、運転状況は良好であり、充填・包装も良好であった。
バターの品質は、35mの配管内を長距離搬送され、バームクーヘン状に劣化したバターと比較し、処理されたバターは一様な組織で、また品温も約13℃で溶解も見られず良好であった。
【0025】
【実験例】
本発明は、上記の実施例1及び実施例2に示したように、2軸ローター間に強い剪断力を発生させず、かつ、搬送に伴う剪断作用を発生させずに、品質劣化したバターを、冷却しながら撹拌・均質化し、溶解を防ぎながら組織を回復するものであるが、実施例1及び実施例2におけるバターの撹拌あるいは混練度合いをバター中の水滴分散状態を指標として、視覚的及び数値的に明確に示す。
【0026】
図4〜7は、実施例1における位相差顕微鏡で観察したバターの水滴分散状態(800倍)を撮影したものであり、図4は原料としたバター、図5〜7は本発明の装置(E)にてローターの回転数40rpm(バター▲1▼)、80rpm(バター▲2▼)、120rpm(バター▲3▼)で処理したバターの水滴分散状態である。この図4〜7を基にバター中に分散する水粒子の直径(水滴径)を測定し、その平均値と標準偏差値を求め、その結果を表1に示した。表1のように、バター中に分散する水粒子の直径の平均値は4μm程度で、その標準偏差値も2μm程度となっており、原料バターと品質回復バターとはほぼ同等であった。
また、図及び表には示さないが、実施例2における原料としたバター、及び本発明の装置(E)で処理したバターの位相差顕微鏡で観察した水滴分散状態も、ほぼ同等であり、バター中に分散する水粒子の直径の平均値が4μm程度、その標準偏差値が2μm程度であった。
【0027】
バターに強い剪断・混練を加える混練方法として、特開平7−264979号公報(発明の名称:改質バターとその製造方法)や特開平10−14427号公報(発明の名称:バターの混練・揚温・脱気・押出方法及びその装置)が知られている。比較として、特開平7−264979号公報に記載されている方法に基づいて、実施例1と同じ原料バターを同じ条件で配管内を搬送し、品質の劣化したバターを使用してこれを混練し、同様に位相差顕微鏡で観察した。
その水粒子の直径を測定し、平均値と標準偏差値を併せて表1に示す。この測定結果によると、バター中に分散する水粒子の直径の平均値は2μm程度、その標準偏差値が1μm程度であった。
【0028】
【表1】
Figure 0003896222
【0029】
表1から明らかなように、本発明においては、バームクーヘン状に劣化したバターを、強い剪断力を発生させずに撹拌・均質化しているため、バター中に分散する水粒子径の平均値及び標準偏差値、すなわち、これらが指標となるバターの分散性や混練度合い(緻密さ)が原料バターとほぼ同等である。従って本発明は、バターの分散性や混練度合いに影響を与えることなく、劣化したバターの品質を回復していることが判る。
これに対して、特開平7−264979号公報に記載されている方法は、強い剪断力と混練力によりバターの物性を改質することを目的としているため、得られたバター中に分散する水粒子径の平均値と標準偏差値がともに原料バターよりも小さく、より緻密になっており、明らかに原料バターとは異なる組織となっていることがわかる。
また、特開平10−14427号公報に記載されている方法は、強い剪断力と混練力によりバターを混練するとともに、機械的エネルギーにより凍結バターの揚温を目的としているため、バター中に分散する水粒子径の平均値と標準偏差値は、該公報に記載されているとおり、水粒子径がより小さく、より緻密になっている。
このようにバター中に分散する水粒子径の平均値と標準偏差値の差異は、明らかにバターの撹拌度合いあるいは剪断・混練度合いの違いを示すもので、本発明と、特開平7−264979号公報及び特開平10−14427号公報に記載の方法とは全く異なるものである。
【0030】
【発明の効果】
本発明の方法は、配管内を長距離搬送され、配管内面の抵抗によるずれによって発生する断面状態がバームクーヘン状に劣化したバターなどを、2軸ローターを、それを囲むジャケット付きシリンダー内においてローター軸方向に空間を移動させる搬送能力を持たせないで回転させることにより搬送に伴う剪断作用を発生させずに、冷却しながら撹拌・均質化し、溶解を防ぎながら組織を回復しているため、原料と同等であるバターを容易に得ることができる。また、本発明の方法は、2軸ローターの互いの外周軌跡を全く重なり合わせないことで2軸ローター間に強い剪断力を発生させず、かつ、2軸ローターにローター軸方向に空間を移動させる搬送能力を持たせないことで搬送に伴う剪断作用を発生させずに、バームクーヘン状に劣化したバターを、冷却しながら撹拌・均質化し、溶解を防ぎながら組織を回復しているため、原料バターにより近い組織を有するバターを容易に得ることができる。更に、本発明の方法は、冷却を伴う撹拌・均質化において、装置内部の滞留時間を30〜120sec、ローターの周速度を300〜1000mm/secとすることで、冷却効果、撹拌・均質化効果を充分に発揮させることができる。
【0031】
また、本発明の方法を実施するための装置にあっては、品質が劣化したバターを投入する投入口と、品質回復したバターを排出する排出口と、バターを装置内部で冷却するためのジャケットとを有するシリンダー内に、断面形状が4条で、2軸ローターの互いの外周軌跡が全く重なり合わず、搬送能力が無いストレートのローターからなる2軸のローターを設けたものであり、シリンダー内においてこの2軸ローターを並設して、異方向回転することにより、品質が劣化したバターを一様な組織に回復することができる。
しかも、このような機能を果たす本発明の装置は、全体として構成が簡単小型化され、その操作が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置とその前後工程の装置を含む系統図である。
【図2】本発明の装置の側面図である。
【図3】本発明の装置の2軸ローターとジャケット付きシリンダーとを含む断面図である。
【図4】混練度合いの指標として位相差顕微鏡で観察し、撮影した実施例1における原料バターの水滴分散の状態を示した図である。
【図5】混練度合いの指標として位相差顕微鏡で観察し、撮影した実施例1のローター回転数40rpmにおいて品質回復したバター▲1▼の水滴分散の状態を示した図である。
【図6】混練度合いの指標として位相差顕微鏡で観察し、撮影した実施例1のローター回転数80rpmにおいて品質回復したバター▲2▼の水滴分散の状態を示した図である。
【図7】混練度合いの指標として位相差顕微鏡で観察し、撮影した実施例1のローター回転数120rpmにおいて品質回復したバター▲3▼の水滴分散の状態を示した図である。
【符号の説明】
A: バター連続製造装置
B: バッファリング装置(バターサイロ・トロリー)
C: バター供給装置(バターポンプ)
D: 長距離配管
E: 本発明の装置
F: 充填装置
G: 包装装置
H: 冷媒を循環させる冷却装置
I: 制御装置
a: 2軸のローター
1 、a2 : ローター
3 : ローターの外周軌跡
b: ジャケット付シリンダー
c: 連結部
d: 駆動部
e: 先端部軸受
1: 支持台
2: バターの投入口
3: バターの排出口
4: 冷媒の投入口
5: 冷媒の排出口

Claims (4)

  1. 2軸ローターを、それを囲むジャケット付きシリンダー内においてローター軸方向に空間を移動させる搬送能力を持たせないで回転させることにより搬送に伴う剪断作用を発生させずに、配管内を長距離搬送され、配管内面の抵抗によるずれによって発生する断面状態がバームクーヘン状に劣化したバターを、冷却しながら撹拌・均質化し、溶解を防ぎながら、配管内を搬送する前の組織状態のバターに回復することを特徴とするバターの品質回復方法。
  2. 2軸ローターの互いの外周軌跡を全く重なり合わせないことで2軸ローター間に強い剪断力を発生させず、かつ、2軸ローターにローター軸方向に空間を移動させる搬送能力を持たせないことで搬送に伴う剪断作用を発生させずに、配管内を長距離搬送され、配管内面の抵抗によるずれによって発生する断面状態がバームクーヘン状に劣化したバターを、冷却しながら撹拌・均質化し、溶解を防ぎながら配管内を搬送する前の組織状態のバターに回復することを特徴とする請求項1記載のバターの品質回復方法。
  3. 冷却を伴う撹拌・均質化における装置内部の滞留時間が30〜120sec、ローターの周速度が300〜1000mm/secであることを特徴とする請求項1又は2記載のバターの品質回復方法。
  4. 品質が劣化したバターを投入する投入口と、品質が回復したバターを排出する排出口と、バターを装置内部において冷却するためのジャケットとを有するシリンダー内に、断面形状が4条で、互いの外周軌跡を全く重なり合わせず、かつ搬送能力が無いストレートのローターからなる2軸のローターを納設するとともに、2軸のローターを一定速度で回転させる駆動装置と、ジャケットに冷媒を循環させる供給装置及び冷媒の冷却装置と、シリンダー内に品質が劣化したバターを供給して押出す供給装置と、これらを制御する制御装置からなることを特徴とするバターの品質回復装置。
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