JP3895567B2 - 音波測定分析装置、および、音波測定分析プログラム - Google Patents
音波測定分析装置、および、音波測定分析プログラム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロフォンアレイを用いて移動する音源から選択的に収音した音波を補正する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロフォンアレイを用いて各マイクロフォンにて収音された音波の信号出力を加重平均することにより指向性を得る収音装置が知られている。従来の収音装置においては、入射波として平面波を仮定していた。これは、音源から測定位置までの距離|x|が20数mあり、音源の大きさlが十分に小さく、かつ、音波の波長をλとすると、音響学的遠方場条件|x|>>λと、音響学的コンパクト条件λ>>lが成り立つ。したがって、マイクロフォンへの入射波を平面波とみなすことができることに依拠している。このような収音装置は、たとえば特許第1134369号に記載されている。また、マイクロフォンアレイの軸と垂直方向以外に音源が位置する場合の補正法が、特開平5−91588号に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、低周波音(λが比較的大きい)の場合には、音響学的コンパクト条件は成り立つと考えられるが、音響学的遠方場条件が成立しない。したがって、低周波音の収音に際しては、これを平面波と考えることができない。また、音源から測定位置までの距離が収音対象となる音波の周波数と比較して小さい場合にも、同様に音響学的遠方場条件が成立しないため、同様に、平面波とみなすことができない。このような条件のもと、音波を平面波として測定すると、指向特性が低下するという問題点があった。
本発明は、波長が比較的長い場合や、音源と測定位置との間の距離が比較的短い場合など、音波を平面波と考えることができない場合であっても、適切な指向特性を備えた装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決しようとする手段】
複数のマイクロフォンを略直線上に配置したマイクロフォンアレイの各マイクロフォンの出力を重ね合わせることにより、指向性を得る音波測定分析装置であって、マイクロフォンからの出力のそれぞれを、取得すべき中心周波数を含む所定の特性を有するフィルタにて濾波する帯域通過フィルタと、音源を、指向性を持たない単極子点音源として、マイクロフォンに入射する音波を球面波とする前提の下で、前記各マイクロフォンの前記音源に対する相対位置に基づき、濾波された出力の振幅と位相を補正する補正手段と、前記補正手段により補正された波形を重ね合わせることにより、重ね合わせ波形を得る波形加重手段とを備えたことを特徴とする音波測定分析装置により達成される。
【0005】
好ましい実施態様においては、さらに、前記マイクロフォンからの出力のうち、直線上に等間隔で、当該間隔が前記中心周波数の音波の波長λcの1/2となるような第(−n)番・・・第0番・・・第n番の(2n+1)個のマイクロフォンからの出力を取得する取得手段を備え、前記補正手段が、前記取得手段にて取得された出力の各々に関して、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせる(ただし、qj=(1+(jλc/2s)2)1/2、sは、前記第0番のマイクロフォンの位置と、前記マイクロフォンアレイに沿った直線上の、前記第0番のマイクロフォンの位置から延びる垂線と前記音源を通る前記直線と平行な直線との交点との間の距離、c0は音速)ように、その振幅および位相を補正するように構成されている。
なお、本明細書において、「取得時間」とは、発せられた音波を実際に取得する時間を意味するのではなく、あたかも取得時間が、たとえば、遅れるように、データ中の時間軸を変更することを意味する。
【0006】
上記実施態様においては、利用するマイクロフォンの間隔が、解析対象となる中心周波数の音波の半波長となるようなマイクロフォンの音波が取得される。上記実施態様によれば、音源が固定されているときに、指向特性の良好な重ね合わせ波形を取得することが可能である。
【0007】
別の好ましい実施態様においては、さらに、前記マイクロフォンからの出力のうち、直線上に等間隔で、当該間隔が前記中心周波数の音波の波長λcの1/2となるような第(−n)番・・・第0番・・・第n番の(2n+1)個のマイクロフォンからの出力を取得する取得手段を備え、前記補正手段が、前記取得手段にて取得された出力の各々に関して、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせる(ただし、qjは、以下の数5に示される数式、sは、前記第0番のマイクロフォンの位置と、前記マイクロフォンアレイに沿った直線上の、前記第0番のマイクロフォンの位置から延びる垂線と前記音源を通る前記直線と平行な直線との交点との間の距離、c0は音速、Uは音源の移動速度、M=U/c0)ように、その振幅および位相を補正するように構成されている。
【数5】
この実施態様によれば、音源が移動する場合に、当該移動方向と平行となるようにマイクロフォンアレイを設置することで、指向特性の良好な重ね合わせ波形を得ることが可能となる。
【0008】
また、別の好ましい実施態様においては、さらに、前記マイクロフォンからの出力のうち、直線上に等間隔で、当該間隔が前記中心周波数の音波の波長λcの1/2となるような第(−n)番・・・第0番・・・第n番の(2n+1)個のマイクロフォンからの出力を取得する取得手段を備え、前記補正手段が、前記取得手段にて取得された出力の各々に関して、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj(1−McosΘoj)2倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせるとともに、その周波数を(1−McosΘoj)倍する(ただし、qjは、以下の数6に示される数式、sは、前記第0番のマイクロフォンの位置と、前記マイクロフォンアレイに沿った直線上の、前記第0番のマイクロフォンの位置から延びる垂線と前記音源を通る前記直線と平行な直線との交点との間の距離、c0は音速、Uは音源の移動速度、M=U/c0、Θojは、t=0を、第0番のマイクから延びる前記直線の垂線上を音源が通過した時刻としたとき、音源から音波が放射された時刻からt=s/c0経過した時刻tにおける音源の位置から第j番のマイクロフォンをみたときの方向ベクトルと、音源の移動方向に一致する方向ベクトルとがはさむ角)ように、その振幅および位相を補正するように構成されている。
【数6】
この実施態様においては、ドップラー係数を考慮した上で、指向特性のよい重ね合わせ波形を取得することが可能となる。
さらに、本発明の目的は、前述した各手段としてコンピュータを機能させるような音波測定分析プログラムによっても達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態につき説明を加える。図1は、本発明にかかる音波測定分析システムの概略構成を示すブロックダイヤグラムである。図1に示すように、この音波測定分析システムにおいては、軸方向に(2n+1)本のマイクロフォン14−(-n)、14−(n-1)、・・・、14−0、・・・、14−nがデータレコーダ16に接続されている。上記(2n+1)本のマイクロフォンによりマイクロフォンアレイ12が構成される。本実施の形態においては、低周波の音を測定することができるよう、いわゆる微気圧波計が、マイクロフォンとして使用されている。
【0010】
また、本実施の形態においては、(2n+1)本のマイクロフォンにて収集された信号がデータレコーダ16に与えられ、データレコーダにおいてそれぞれのマイクロフォン14からの信号が蓄積される。また、データレコーダ16には、処理装置18が接続されるようになっている。
【0011】
処理装置18は、データレコーダ16から、各マイクロフォン14にて収集された音響信号を受理して、これをディジタル化するA/D変換器20と、校正処理が施されたデータに対して、帯域通過フィルタをかける処理を実行するバンドパスフィルタ(BPF)22と、与えられた波形が球面波であると考えて、必要な補正処理を実行する補正処理部24と、補正処理により得られた波形を重ね合わせ、かつ、重ね合わせ波形を、パワーを示す物理量に変換する合成波形生成部26とを備えている。また、処理装置18は、キーボードやマウスなどの入力装置28、CRTなどからなる表示装置30、および、処理装置内の種々の構成部分やその処理を制御する処理制御部32を備えている。
【0012】
本実施の形態にかかる処理装置18は、パーソナルコンピュータにより実現することができる。パーソナルコンピュータに、CD−ROMに収容された処理プログラムをインストールすることにより、その機能を実現することが可能となる。
【0013】
[本発明の原理]
上述したように構成された音波測定分析システムにおける処理の説明に先立って、以下、本発明の原理について説明を加える。
まず、入射波を平面波と仮定して、図2に示すように、第(−n)番、第(−n+1)番、・・・、第0(ゼロ)番、・・・第n番までの(2n+1)個のマイクロフォンを軸200上に等間隔dで配置し、上記軸200に垂直な方向から角度θずれた方向から音波が入射することを考える。ここでマイクロフォン間隔dと入射波の波長λcとは、以下の関係が成り立つように設定されている。なお、図2において、波面201と202との間の距離が入射波の波長λcに対応する。
d=λc/2 (1.1)
【0014】
入射波を平面波と仮定しているため、第j番のマイクロフォン(符号201参照)で観測される音圧pjは、以下の式により表される。
【数7】
ここに、A、ω、ψjは、それぞれ、入射波の振幅、角周波数、第j番のマイクロフォン14−jにおける位相差を示す。第0番のマイクロフォン14−0における位相差を「0(ゼロ)」とすると、第j番のマクロフォンの位相差は、
ψj=κ0j(λc/2)sinθ (1.3)
で与えられる。ただし、
κ0=ω/c0 (1.4)
である。ただし、ωcをλcに対応する角周波数とし、無次元角周波数Ωを
Ω=ω/ωc (1.5)
と定義すると、上記式(1.4)は、
κ0=κcΩ (1.6)
となり、式(1.3)および(1.6)を用いて、式(1.2)を以下のように変形できる。
【数8】
【0015】
第j番のマイクロフォンの重みをwjとすると、各マイクロフォンの出力を重ね合わせた加重重ね合わせ波形P(θ,Ω)は、以下のように表すことができる。
【数9】
【0016】
この絶対値の二乗をとると、
【数10】
となり、θ=0であるときの式(1.9)の値は、
|P(0,Ω)|2=A2 (1.10)
となる。これにより、加重重ね合わせ波形の指向特性K2(θ,Ω)は、以下のように表すことができる。
【数11】
【0017】
上記式(1.11)の常用対数に10を乗じたものが、デシベル表示の感度特性となる。図3は、5本のマイクロフォンからなるマイクロフォンアレイの各マイクロフォンに、所定の重み係数(たとえば、両端(第(−2)番および第2番)のマイクロフォンの重み:0.125、残り(第(−1)番、第0番および第1番)のマイクロフォンの重み:0.25)を設定して計算したグラフである。図3において、中心周波数が式(1.11)に対応する。
【0018】
[固定点音源]
これに対して、本発明においては、入射音波として球面波を仮定している。まず、図4に示すように、音源を、指向性をもたない単極子点音源と考えた場合につき説明を加える。球面波を仮定すると、図4におけるj番目のマイクロフォンで観測される音圧pjは、以下のように表すことができる。
【数12】
なお、xj、yは、それぞれ、観測点つまり第j番のマイクロフォンの位置と、音源Sの位置であり、以下のように与えられる。
xj=(j(λc/2),0,0) (2.2)
y=(s*tanθ,s,0) (2.3)
ここに、sは、第0番のマイクロフォンの位置と、第0番のマイクロフォンの位置から延びる、垂線と、音源Sを通るマイクロフォンの軸と平行な線との交点との間の距離、また、θは、上記垂線と、第0番のマイクロフォンの位置から音源Sに延びる直線とのなす角である。
【0019】
観測点と音源との間の距離|xj−y|は、式(2.1)および式(2.2)を用いて、
【数13】
と表すことができる。
ここで、式(2.4)を変形すると、|xj−y|は、以下のようになる。
【数14】
式(2.5)を利用すると、式(2.1)は、以下のように表される。
【数15】
【0020】
したがって、各マイクロフォンの出力pjを重ね合わせた加重重ね合わせ波形P(θ,Ω)は、以下のように表される。
【数16】
式(2.9)で表されるP(θ,Ω)の絶対値の二乗は、
【数17】
であり、上記式(2.10)のθ=0のときに、αj(0)=1であるから、
【数18】
となる。したがって、加重重ね合わせ波形の指向特性K2(θ,Ω)は、以下のように表すことができる。
【数19】
【0021】
図5および図6は、上記式(2.12)にて示す指向特性に基づき算出されたオクターブバンドの指向特定Koct 2を示したグラフである。図5(a)、(b)および図6(a)、(b)において、グラフの右下に記載された「s=**m」は、音源からの距離を示している。これらグラフから、音源からの距離sが短くなるのにしたがって、また、音源の周波数が低くなるのにしたがって、マイクロフォンアレイの指向特性が悪化することが理解できるであろう。
【0022】
平面波の場合には、音波の入射角度が0°であるときに、各マイクロフォンにて測定される音波の振幅(距離減衰)および位相は、それぞれ揃っている。これに対して、球面波の場合には、図7に示すように、入射角度が0°であっても、波面702が球形(図7においては円形)となるため、各マイクロフォンにおける距離減衰および位相には差異が生じるため、指向特性が低下する。そこで、たとえば、入射角度が0°つまり音源が正面に位置するときに、各マイクロフォンにおける振幅および位相が揃うように補正することにより、指向特性の低下を抑えることができる。本明細書において、これを「球面波補正」と称する。
【0023】
まず、振幅に対する補正量を考える。図7において、第0番のマイクロフォンと音源Sとの距離をsとすると、第j番のマイクロフォンと音源Sとの間の距離R0jは、以下の式(3.1)にて表すことができる。
【数20】
したがって、第0番のマクロフォンに到達する音波と、第j番のマイクロフォンに到達する音波の振幅をそろえるための補正量qjは、以下のように求めることができる。
【数21】
【0024】
次に、位相の補正量を考える。第j番目のマイクロフォンと音源Sとの距離R0jと、第0番目のマイクロフォンと音源Sとの差ΔRjは、以下の式で表すことができる。
【数22】
したがって、第0番のマイクロフォンに到達する音波と同じ位相の音波が第j番のマイクロフォンに到達する時刻は、音速をc0とすると、
Δt=(s/c0)(qj−1) (3.4)
だけ遅れた時刻となる。したがって、マイクロフォンに到達する音波の位相を揃えるために、第j番のマイクロフォンの音圧の取得時刻をΔtだけ遅らせれば良い。
【0025】
したがって、本発明においては、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせる。
式(2.1)に上述したように補正すると、補正された音圧pj’は、以下のようになる。
【数23】
【0026】
上記式(3.5)に式(1.6)および式(2.5)を代入すると、式(3.6)が得られる。さらに、式(3.6)に基づき、各マイクロフォンの出力を重ね合わせた加重重ね合わせ波形P’(θ,Ω)は、式(3.7)のようになる。
【数24】
上記式(3.7)の絶対値の二乗は、式(3.8)のように求めることができる。
【数25】
式(3.8)において、θ=0の値は、αj(0)=1かつΣ(j=−n,−n+1 , ・・・ , 0 , ・・・n)wj=1であることから、
|P’(0,Ω)|2=A2/s2 (3.9)
となる。
【0027】
これにより球面波補正後の加重重ね合わせ波形の指向特性(K’(θ,Ω))2は、以下のように求められる。
【数26】
【0028】
図8および図9は、式(3.10)にて示す指向特性に基づき算出されたオクターブバンドの指向特性Koct 2を示したグラフである。なお、図8(a)、(b)および図9(a)、(b)においても、グラフの右下に記載された「s=**m」は音源からの距離を示している。
図8および図9と、図5および図6とを比較すると、球面波補正により、マイクロフォンアレイの指向特性が改善されていることが理解できるであろう。
【0029】
[移動点音源]
さらに、本発明においては、点音源が移動することを考慮した球面波補正を実行することができる。この原理につき以下に説明を加える。
移動点音源に関しても、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせる
ことを基本としている。ただし、振幅qjは、以下の式を用いる。
【数27】
【0030】
ここに、Mは、音源Sのマッハ数であり、音源Sの移動速度をU、音速をc0とすると、M=U/c0と定義される。
音源Sが移動する場合には、第j番のマイクロフォンと音源とを結ぶベクトルと、音源の移動方向のベクトルとのなす角が変化する。式(4.2)において、Θjは、時刻tにおける音源Sから第j番のマイクロフォンの観測点を見たときの方向ベクトル(図10の符号1001参照)と音源が移動する方向の方向ベクトル(図10の符号1002参照)とのなす角を表している(図10参照)。式(4.2)で表す移動する音源Sの音圧pj(t)に、球面波補正を施すと、補正後の音圧pj’(t)は、式(4.3)のように表すことができる。
【数28】
【0031】
式(4.3)を整理することにより、補正後の音圧pj’(t)は、以下のように表すことができる。
【数29】
したがって、各マイクロフォンの出力を重ね合わせた加重重ね合わせ波形P’(t,Ω)は、以下のように表すことができる。
【数30】
【0032】
加重重ね合わせ波形の絶対値の二乗は、式(4.8)にて表される。ここで、式4.8において、t=s/c0の値は、t=s/c0のときのcosΘjをcosΘ0jと表したときに、αj(s/c0)=1であることから、式(4.9)のようになる。
【数31】
【0033】
これにより、加重重ね合わせ波形の指向特性(K’(t,Ω))2は、以下のように表すことができる。
【数32】
移動点音源が移動する場合であっても、基本的に、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせる
ことにより、補正を実現している。ただし、qjが、式(4.1)に示すように、マッハ数を考慮したものとなっている。図11は、式(4.10)にて示す指向特性にもとづき算出されたオクターブバンドの指向特性を示したグラフである。図11(a)は、音源からの距離s=32.088m、移動する点音源の速度を100kmに設定した場合の、中心周波数が31.5Hz、16Hzおよび8Hzでの特性を示す。
【0034】
図11(b)、(c)においても、音源からの距離と中心周波数は、図11(a)と同様である一方、点音源の速度が、それぞれ300kmおよび500kmとなっている。図11から、点音源の速度が高速になっても、比較的良好な特性が得られていることがわかる。
【0035】
[システムの具体的な動作説明]
上記原理を利用して、本実施の形態においては、以下のような処理が実行されるようになっている。ここでは、所定の速度で、略直線上を移動する音源から発せられた音波を収音している。図12は、本実施の形態で利用したマイクロフォンアレイの構造を示す図である。ここでは、線路上を走行する列車から発せられる低周波を収音するためにマイクロフォンアレイが配置される。図12に示すように、マイクロフォンアレイ1200は、その軸が、線路1210と平行になるように配置されている。本実施の形態において、マイクロフォンアレイ1200には、9本のマイクロフォン14−1〜14−9が配置されている。なお、このマイクロフォンアレイにおいては、第n番のマイクロフォンと称さず、音源側からみて右側のものから順に、1chのマイクロフォン、2chのマイクロフォン、・・・と称する。
【0036】
本実施の形態においては、31.5Hz、16Hzおよび8Hzの音波を収音するために、マイクロフォンの間隔は、3ch〜7chの各マイクロフォンの間で、d1=5.397m、2ch、3ch、5ch、7chおよび8chのマイクロフォンの間で、d2=10.625m、1ch、2ch、5ch、8chおよび9chのマイクロフォンの間で、d3=21.250mとなっている。これら間隔は、それぞれ、31.5Hz、16Hzおよび8Hzの音波の半波長λc/2に等しくなっている。また、音源の移動ベクトル(符号1210参照)と各マイクロフォンとの間の距離Dは、32.088となっている。
【0037】
処理手順を示すフローチャートである図13に示すように、このような配置のマイクロフォンアレイ1200を利用して、時速約230kmで走行する列車、および、時速約270〜280kmで走行する列車から発せられ、各マイクロフォン14−1〜14−9が拾った音波をデータレコーダ16に記録する(ステップ1301)。
【0038】
以下、処理装置18の処理制御部32が、メモリやハードディスク装置(ともに図示せず)に記憶された解析プログラムにしたがって、処理装置18内の各構成部分に対して、指示等を出すことにより、解析処理が実行される。処理装置18が、データレコーダ16中に記録された各マイクロフォン14が取得した信号をA/D変換して、たとえば、処理装置18内のメモリ(図示せず)に一時的に記憶する(ステップ1302)。解析に際して、処理装置18が、解析対象の周波数に応じて、所定のマイクロフォンから取得された信号に基づくデータの組を選択する(ステップ1303)。たとえば、中心周波数を31.5Hzとする場合には、3〜7chのマイクロフォンから取得された信号に基づくデータの組が選択される。
【0039】
次いで、選択されたデータの組を構成するデータが、BPF22により、中心周波数により決められた特性の下で濾波される(ステップ1304)。次いで、補正処理部24において、それぞれのデータに対して、球面波補正が施される(ステップ1305)。前述したように、本実施の形態においては、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせる。なお、sは、第0番のマイクロフォンの位置と、第0番のマイクロフォンの位置から延びる、垂線と、音源Sを通るマイクロフォンの軸と平行な線との交点との間の距離であり、c0は音速である。
【0040】
本実施の形態において、たとえば、固定点音源および移動点音源のそれぞれについて、球面波補正が可能であり、オペレータが、動作モードを設定して、いずれかのモードの下で球面波補正を実行するように構成するのが望ましい。
ここで、固定点音源の動作モードにおいては、式(3.2)に基づくqjが利用される。また、移動点音源の動作モードにおいては、式(4.1)に基づくqjを利用すればよい。
【0041】
このようにして、球面波補正された各マイクロフォンから取得された音波に基づくデータは、波形生成部26に与えられる。波形生成部26は、それぞれのデータを重ね合わせた後(ステップ1306)、重ね合わせ波形を、以下の式(5.1)にしたがった評価波形(ここでは、「平均指向パワー波形」と称する)に変換する(ステップ1307)。
【数33】
ここで、Tは時定数、ρ0=2×10−5Paである。これは、取得された生の圧力波形が複雑で使いづらいものであることを考慮している。このようにして生成されたデータは、たとえば、データベース(図示せず)に記憶され、或いは、表示装置30の画面上に表示される(ステップ1308)。ステップ1308にて得られる平均指向パワー波形や、その前段階に得られる、重ね合わせの後2乗することにより得られる指向パワー波形は、比較され、或いは、さらに加工されることにより、解析の対象となりうる。
【0042】
本実施の形態によれば、点音源からの音波が球面波として、アレイ上に配置された各マイクロフォンに到達することを考慮して、その振幅および位相を補正している。したがって、指向特性の良好な重ね合わせ波形を得ることが可能となる。
【0043】
図14(a)〜(c)は、本実施の形態にかかる球面波補正を施さなかった指向パワー波形および球面波補正を施した指向パワー波形の例を示している。図14(a)〜(c)において、破線で示したものが球面波補正前の波形を示し、実線で示したものが球面波補正後の波形を示している。これらは、時速272kmで走行する車両が通過する際に取得された音波に基づき指向パワー波形を得たものである。図14(a)は31.5Hz、図14(b)は16Hz、図14(c)は8Hzにおけるパワー波形を示している。列車の先頭部やパンタグラフのカバーが位置する部分が通過する際のピーク値を比較すると、球面波補正を施したもの(実線参照)の方が、ピーク値が大きくなっていることが理解できる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【0044】
たとえば、前記実施の形態においては、移動点音源の場合に、ドップラー効果を考慮することなく、振幅および位相を補正しているが、ドップラー効果を考慮した補正を実行しても良い。この場合には、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj(1−McosΘ0j)2倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせ、かつ、その周波数を(1−McosΘ0j)倍すればよい。ただし、ここに、Θojは、Θojは、t=0を、第0番のマイクから延びる、マイクロフォンアレイが配置された直線の垂線上を音源が通過した時刻としたとき、音源から音波が放射された時刻からt=s/c0経過した時刻tにおける音源の位置から第j番のマイクロフォンをみたときの方向ベクトルと、音源の移動方向に一致する方向ベクトルとがはさむ角である。
【0045】
また、マイクロフォンアレイを構成するマイクロフォンの本数は、上記実施の形態に限定されるものでないことは言うまでもない。また、マイクロフォンの間隔も、測定および分析すべき音波の周波数にしたがって適宜変更できることは明らかである。
【0046】
さらに、前記実施の形態においては、マイクロフォン14からの信号を一端データレコーダ16に記録し、データレコーダ16から出力された信号をA/D変換器20にてディジタルデータ化しているが、このような構成に限定されるものではなく、データレコーダを介することなく、マイクロフォン14からの信号を直接A/D変換器20に与えるように構成しても良い。この場合には、図13においてステップ1301が省略される。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、波長が比較的長い場合や、音源と測定位置との間の距離が比較的短い場合など、音波を平面波と考えることができない場合であっても、適切な指向特性を備えた装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明にかかる音波測定分析システムの概略構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図2】 図2は、平面波を仮定した場合に各マイクロフォンに入射する音波を模式的に示した図である。
【図3】 図3は、平面波を仮定した場合の、マイクロフォンアレイを用いた、重ね合わせ波形に基づく指向特性の例を示す図である。
【図4】 図4は、音源を、指向性をもたない単極子点音源と考えた場合に、各マイクロフォンに入射する音波を模式的に示した図である。
【図5】 図5は、球面波を仮定した場合に、本実施の形態にかかる補正を施さない波形の重ね合わせ波形に基づく指向特性の例を示す図である。
【図6】 図6は、球面波を仮定した場合に、本実施の形態にかかる補正を施さない波形の重ね合わせ波形に基づく指向特性の例を示す図である。
【図7】 図7は、点音源からの球面波が各マイクロフォンに入射する状態を模式的に示す図である。
【図8】 図8は、球面波を仮定した場合に、本実施の形態にかかる補正を施した波形の重ね合わせ波形に基づく指向特性の例を示す図である。
【図9】 図9は、球面波を仮定した場合に、本実施の形態にかかる補正を施した波形の重ね合わせ波形に基づく指向特性の例を示す図である。
【図10】 図10は、点音源が移動する場合に、点音源からの球面波が各マイクロフォンに入射する状態を模式的に示す図である。
【図11】 図11は、移動点音源から放射される球面波を仮定した場合に、本実施の形態にかかる補正を施した波形の重ね合わせ波形に基づく指向特性の例を示す図である。
【図12】 図12は、本実施の形態で利用したマイクロフォンアレイの構造を示す図である。
【図13】 図13は、本実施の形態にかかる音波測定分析システムにて実行される処理手順を示すフローチャートである。
【図14】 図14は、本実施の形態にかかる補正前および補正後の、重ね合わせ波形に基づくパワー波形を示す図である。
【符号の説明】
12 マイクロフォンアレイ
14 マイクロフォン
16 データレコーダ
18 処理装置
20 A/D変換器
22 BPF
24 補正処理部
26 波形生成部
28 入力装置
30 表示装置
32 処理制御部
Claims (6)
- 複数のマイクロフォンを略直線上に配置したマイクロフォンアレイの各マイクロフォンの出力を重ね合わせることにより、指向性を得る音波測定分析装置であって、
前記マイクロフォンからの出力のうち、直線上に等間隔で、当該間隔が前記中心周波数の音波の波長λcの1/2となるような第(−n)番・・・第0番・・・第n番の(2n+1)個のマイクロフォンからの出力を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたマイクロフォンからの出力のそれぞれを、取得すべき中心周波数を含む所定の特性を有するフィルタにて濾波する帯域通過フィルタと、
音源を、指向性を持たない単極子点音源として、マイクロフォンに入射する音波を球面波とする前提の下で、前記各マイクロフォンの前記音源に対する相対位置に基づき、濾波された出力の振幅と位相を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された波形を重ね合わせることにより、重ね合わせ波形を得る波形加重手段と、を備え、
前記補正手段が、前記帯域通過フィルタの出力の各々に関して、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせる(ただし、qj=(1+(jλc/2s)2)1/2、sは、前記第0番のマイクロフォンの位置と、前記マイクロフォンアレイに沿った直線上の、前記第0番のマイクロフォンの位置から延びる垂線と前記音源を通る前記直線と平行な直線との交点との間の距離、c0は音速)ように、その振幅および位相を補正することを特徴とする音波測定分析装置。 - 複数のマイクロフォンを略直線上に配置したマイクロフォンアレイの各マイクロフォンの出力を重ね合わせることにより、指向性を得る音波測定分析装置であって、
前記マイクロフォンからの出力のうち、直線上に等間隔で、当該間隔が前記中心周波数の音波の波長λcの1/2となるような第(−n)番・・・第0番・・・第n番の(2n+1)個のマイクロフォンからの出力を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたマイクロフォンからの出力のそれぞれを、取得すべき中心周波数を含む所定の特性を有するフィルタにて濾波する帯域通過フィルタと、
音源を、指向性を持たない単極子点音源として、マイクロフォンに入射する音波を球面波とする前提の下で、前記各マイクロフォンの前記音源に対する相対位置に基づき、濾波された出力の振幅と位相を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された波形を重ね合わせることにより、重ね合わせ波形を得る波形加重手段と、を備え、
前記補正手段が、前記帯域通過フィルタの出力の各々に関して、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせる(ただし、qjは、以下の数1に示される数式、sは、前記第0番のマイクロフォンの位置と、前記マイクロフォンアレイに沿った直線上の、前記第0番のマイクロフォンの位置から延びる垂線と前記音源を通る前記直線と平行な直線との交点との間の距離、c0は音速、Uは音源の移動速度、M=U/c0)ように、その振幅および位相を補正することを特徴とする音波測定分析装置。
- 複数のマイクロフォンを略直線上に配置したマイクロフォンアレイの各マイクロフォンの出力を重ね合わせることにより、指向性を得る音波測定分析装置であって、
前記マイクロフォンからの出力のうち、直線上に等間隔で、当該間隔が前記中心周波数の音波の波長λcの1/2となるような第(−n)番・・・第0番・・・第n番の(2n+1)個のマイクロフォンからの出力を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたマイクロフォンからの出力のそれぞれを、取得すべき中心周波数を含む所定の特性を有するフィルタにて濾波する帯域通過フィルタと、
音源を、指向性を持たない単極子点音源として、マイクロフォンに入射する音波を球面波とする前提の下で、前記各マイクロフォンの前記音源に対する相対位置に基づき、濾波された出力の振幅と位相を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された波形を重ね合わせることにより、重ね合わせ波形を得る波形加重手段と、を備え、
前記補正手段が、前記帯域通過フィルタの出力の各々に関して、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj(1−McosΘoj)2倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせるとともに、その周波数を(1−McosΘoj)倍する(ただし、qjは、以下の数2に示される数式、sは、前記第0番のマイクロフォンの位置と、前記マイクロフォンアレイに沿った直線上の、前記第0番のマイクロフォンの位置から延びる垂線と前記音源を通る前記直線と平行な直線との交点との間の距離、c0は音速、Uは音源の移動速度、M=U/c0、Θojは、t=0を、第0番のマイクから延びる前記直線の垂線上を音源が通過した時刻としたとき、音源から音波が放射された時刻からt=s/c0経過した時刻tにおける音源の位置から第j番のマイクロフォンをみたときの方向ベクトルと、音源の移動方向に一致する方向ベクトルとがはさむ角)ように、その振幅および位相を補正することを特徴とする音波測定分析装置。
- 複数のマイクロフォンを略直線上に配置したマイクロフォンアレイの各マイクロフォンの出力を重ね合わせることにより、指向性を得るためにコンピュータを動作させる音波測定分析プログラムであって、
前記マイクロフォンからの出力のうち、直線上に等間隔で、当該間隔が前記中心周波数の音波の波長λcの1/2となるような第(−n)番・・・第0番・・・第n番の(2n+1)個のマイクロフォンからの出力を取得する取得手段、
前記取得手段により取得されたマイクロフォンからの出力のそれぞれを、取得すべき中心周波数を含む所定の特性を有するフィルタにて濾波する帯域通過フィルタ手段、
音源を、指向性を持たない単極子点音源として、マイクロフォンに入射する音波を球面波とする前提の下で、前記各マイクロフォンの前記音源に対する相対位置に基づき、濾波された出力の振幅と位相を補正する補正手段、および、
前記補正手段により補正された波形を重ね合わせることにより、重ね合わせ波形を得る波形加重手段として、前記コンピュータを機能させ、
前記補正手段において、前記帯域通過フィルタ手段の出力の各々に関して、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせる(ただし、qj=(1+(jλc/2s)2)1/2、sは、前記第0番のマイクロフォンの位置と、前記マイクロフォンアレイに沿った直線上の、前記第0番のマイクロフォンの位置から延びる垂線と前記音源を通る前記直線と平行な直線との交点との間の距離、c0は音速)ように、その振幅および位相を補正するように、前記コンピュータを機能させることを特徴とする音波測定分析プログラム。 - 複数のマイクロフォンを略直線上に配置したマイクロフォンアレイの各マイクロフォンの出力を重ね合わせることにより、指向性を得るためにコンピュータを動作させる音波測定分析プログラムであって、
前記マイクロフォンからの出力のうち、直線上に等間隔で、当該間隔が前記中心周波数の音波の波長λcの1/2となるような第(−n)番・・・第0番・・・第n番の(2n+1)個のマイクロフォンからの出力を取得する取得手段、
前記取得手段により取得されたマイクロフォンからの出力のそれぞれを、取得すべき中心周波数を含む所定の特性を有するフィルタにて濾波する帯域通過フィルタ手段、
音源を、指向性を持たない単極子点音源として、マイクロフォンに入射する音波を球面波とする前提の下で、前記各マイクロフォンの前記音源に対する相対位置に基づき、濾波された出力の振幅と位相を補正する補正手段、および、
前記補正手段により補正された波形を重ね合わせることにより、重ね合わせ波形を得る波形加重手段として、前記コンピュータを機能させ、
前記補正手段において、前記帯域通過フィルタ手段の出力の各々に関して、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせる(ただし、qjは、以下の数3に示される数式、sは、前記第0番のマイクロフォンの位置と、前記マイクロフォンアレイに沿った直線上の、前記第0番のマイクロフォンの位置から延びる垂線と前記音源を通る前記直線と平行な直線との交点との間の距離、c0は音速、Uは音源の移動速度、M=U/c0)ように、その振幅および位相を補正するように、前記コンピュータを機能させることを特徴とする音波測定分析プログラム。
- 複数のマイクロフォンを略直線上に配置したマイクロフォンアレイの各マイクロフォンの出力を重ね合わせることにより、指向性を得るためにコンピュータを動作させる音波測定分析プログラムであって、
前記マイクロフォンからの出力のうち、直線上に等間隔で、当該間隔が前記中心周波数の音波の波長λcの1/2となるような第(−n)番・・・第0番・・・第n番の(2n+1)個のマイクロフォンからの出力を取得する取得手段、
前記取得手段により取得されたマイクロフォンからの出力のそれぞれを、取得すべき中心周波数を含む所定の特性を有するフィルタにて濾波する帯域通過フィルタ手段、
音源を、指向性を持たない単極子点音源として、マイクロフォンに入射する音波を球面波とする前提の下で、前記各マイクロフォンの前記音源に対する相対位置に基づき、濾波された出力の振幅と位相を補正する補正手段、および、
前記補正手段により補正された波形を重ね合わせることにより、重ね合わせ波形を得る波形加重手段として、前記コンピュータを機能させ、
前記補正手段において、前記帯域通過フィルタ手段の出力の各々に関して、
(1)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの振幅をqj(1−McosΘoj)2倍し、かつ、
(2)第j番のマイクロフォンで観測される音圧pjの取得時間を、s(qj−1)/c0だけ遅らせるとともに、その周波数を(1−McosΘoj)倍する(ただし、qjは、以下の数4に示される数式、sは、前記第0番のマイクロフォンの位置と、前記マイクロフォンアレイに沿った直線上の、前記第0番のマイクロフォンの位置から延びる垂線と前記音源を通る前記直線と平行な直線との交点との間の距離、c0は音速、Uは音源の移動速度、M=U/c0、Θojは、t=0を、第0番のマイクから延びる前記直線の垂線上を音源が通過した時刻としたとき、音源から音波が放射された時刻からt=s/c0経過した時刻tにおける音源の位置から第j番のマイクロフォンをみたときの方向ベクトルと、音源の移動方向に一致する方向ベクトルとがはさむ角)ように、その振幅および位相を補正するように、前記コンピュータを機能させることを特徴とする音波測定分析プログラム。
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