JP3895525B2 - マイクロ流体システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療、化学、生化学などの分野において用いられる、少量のサンプルを用いて、分離、混合、合成、分析などを小型の装置でおこなうマイクロ流体システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のマイクロ流体システムにおいては、混合室や流路などを加工した複数のガラス基板やシリコン基板を、陽極接合法などを用いて強固に接合したり、未焼結状態の複数のセラミックス層を積層した後に焼結させることによって、一体型の集積マイクロ流体システムを作製していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のマイクロポンプやマイクロバルブを組み合わせた流体システムにはいくつかの問題があった。例えば各層が強固に接合された一体型のマイクロ流体システムの場合、バルブ部分、ポンピング部分、流路部分、混合室部分などの容積や形状、組み合わせなどを変更することはできなかった。このため異なる作業をおこなう際には全体を交換する必要があり、非常に汎用性が低かった。同時にアクチュエータを駆動する電源や制御系も設計変更する必要があった。
【0004】
また、部分的に故障が発生した際や内部に異物が混入した際には全体を交換しなければならないため、コストが高くなるという問題点を有していた。
【0005】
本願発明は、上記問題点を解決し、汎用性に富み、低コスト化を実現し、かつ取り扱いの容易なマイクロ流体システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の流体システムは、ダイアフラムをアクチュエータによって変形させるアクチュエータ用基板と、バルブ部、ポンピング部、流路部などを有するカバー用基板を密着させて固定する構造とした。このため、基板を自由に着脱することが可能となり、バルブ部分やポンピング部分の容積や形状、組合せを変更する際にも、カバー用基板だけを交換すればよく、アクチュエータ用基板は共通で使用することが可能となった。また異物混入の際にはアクチュエータ用基板とカバー用基板を取り外すことによって、内部の洗浄を容易におこなうことが可能となった。
【0007】
また、アクチュエータ用基板はあらかじめマトリックス状にダイアフラムとアクチュエータ、ヒーター、クーラー、センサー等を配置しておき、マイクロポンプやマイクロバルブ、流路、混合室といった、マイクロ流体システムに必要となる要素は、すべてカバー用基板の設計だけで決定できるようにした。このため異なる流体システムを構築する際にも、アクチュエータ用基板は常に共通のものを用い、カバー用基板だけを交換することによって、アクチュエータの電気的配線や制御系は常に共通のものを使えるような構造とした。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[実施の形態1]
本実施の形態では、アクチュエータ用基板が3×3のマトリックス状のダイアフラムを有し、カバー用基板が4つのバルブ部と1つのポンピング部を有している流体システムの一例について説明する。
【0009】
まず始めに本流体システムで用いるバルブ部の機能について説明する。図2と図3はその説明図である。バルブ部分のみの分解図を図2に、断面図を図3に示す。本実施の形態ではアクチュエータ用基板としてシリコン基板を、カバー用基板としてシリコーン樹脂を用いた。
【0010】
カバー用基板2は凹部を有しており、この凹部はセパレータ3によって隔てられた構造となっている。また凹部には貫通穴が形成されており、外部から流体が出入りする流体出入口4として機能する。このカバー用基板2はフォトリソグラフィーの技術を用いてレジストの型を作成しておき、そこに未硬化のシリコーン樹脂を流し込んだ後に硬化させる方法によって任意の形状のものを作成することができる。
【0011】
アクチュエータ用基板1はシリコン基板によって製作され、水酸化カリウム水溶液によるエッチングで作製されたダイアフラム5を有している。この裏面には圧電素子6が接着されており、ダイアフラム5と圧電素子6のユニモルフ構造となっている。このため圧電素子6に電圧を印加することによって、ダイアフラムはアクチュエータ用基板と垂直の方向にたわむ。本実施の形態では、ダイアフラムを変形させる方法として圧電素子を用いているが、例えば、静電力、磁力、空気圧、形状記憶合金など、他の方法を用いて変形をおこなうことも可能である。また、カバー用基板の凹部およびアクチュエータ用基板のダイアフラム形状を四角形としているが、形状はこれに限定されるわけではない。
【0012】
カバー用基板2とアクチュエータ用基板1は、カバー用基板2における凹部の存在する側の面と、アクチュエータ用基板1における圧電素子が接着されている面と反対側の面が凹部を除いて接するような状態で密着させられる。この際、カバー用基板1におけるセパレータの中心とアクチュエータ用基板1のダイアフラム5の中心が一致するような状態で、2枚の基板は位置決めされる。カバー用基板2にPDMS(ポリジメチルシロキサン)などの粘着性の高いシリコーン樹脂を用い、アクチュエータ用基板1に表面平坦度の高いシリコン基板を用いれば、両者の間で高い密着力を得ることができる。この場合、流体出入口4から数キロパスカル程度の圧力を加えたとしても、アクチュエータ用基板1とカバー用基板2の間から流体の漏れが生じてしまうことはない。また、二つの基板はカバー用基板の粘着性によって密着させられている状態であり、接着されているわけではない。このため、ピンセットなどを用いて、アクチュエータ用基板からカバー用基板を容易に剥がすことができる。
【0013】
また、高圧力下で使用する場合には、図15に示すようにホルダ37を用いてアクチュエータ用基板1とカバー用基板2を挟み込むことによって固定する方法もある。ホルダ37はスペーサ38を介し、ねじ39によって固定されている。アクチュエータ側基板1とカバー用基板2の圧着力は、このスペーサ38の厚みによって調整することが可能である。この場合、両基板はホルダ37によって常に押し付けられた構造となっているため、高圧力下における使用の際にも、両基板の間から流体の漏れが生じることはない。また、カバー用基板2側のホルダに管路40を一体で成形しておけば、ホルダ37とカバー用基板2の間においても同様に高い密着性が得られるため、漏れのない管路が実現できるようになる。
【0014】
これらカバー用基板2およびアクチュエータ用基板1の材質は、それぞれシリコーン樹脂およびシリコン基板に限定されるわけではない。両者の密着性が良く、かつ着脱が可能な材質であればどのようなものを用いても構わない。また、カバー用基板2とアクチュエータ用基板1が、両者とも密着性を有さない物質で構成されている場合においても、カバー用基板1とアクチュエータ用基板2の接触面の少なくとも一方に粘着性の薄膜を形成することによって、両者が脱着可能で、かつ高い密着性を有する構造とすることもできる。また両基板の間に熱可塑性の接着層を用い、加熱/冷却により両基板の着脱が可能な構造とすることもできる。
【0015】
続いて、上記の二枚の基板から構成されるバルブ部の動作について説明する。アクチュエータ用基板1とカバー用基板2が密着している場合、セパレータ3とダイアフラム5も同様に密着した状態となっている。このため、圧電素子に電圧を印加していなければ、2つの流体出入口4はセパレータ3によって完全に遮断された状態となり、二つの流体出入口の間で流れがせき止められることによって、バルブが閉じた状態が保たれる。これに対して、圧電素子6に電圧を印加すると、圧電素子6とダイアフラム5のユニモルフ構造によってダイアフラム5がたわみ、ダイアフラム5とセパレータ3の間に間隙が生じる。この間隙を流体が移動することによって、バルブが開いた状態となる(図4)。このように、バルブ部は電圧印加によって開き、電圧印加を停止することによって閉じる動作をする。また、圧電素子に印加する電圧の向きを逆にすることによって、セパレータにダイアフラムを押しつけ、より強固にバルブを閉じるという動作も可能である。なお、流体出入口は貫通穴である必要はなく、図5に示すように流路7によって外部から流体が出入りする構造でも構わない。
【0016】
続いてポンピング部について説明する。ポンピング部はバルブ部と同じく凹部を有するカバー用基板と、圧電素子を接着したダイアフラムを有するアクチュエータ用基板を密着させることによって形成される。ただしバルブ部とは異なり、カバー用基板はセパレータを有していない。このため圧電素子によってダイアフラムが変形すれば、カバー用基板とダイアフラム間の体積変化によって、流体出入口を通じて、流体の吸入・吐出がおこなわれる。
【0017】
これらのバルブ部およびポンプ部を組み合わせた流体システムの一例を図6に示す。この流体システムは、4つのバルブ部と1つのポンピング部を組み合わせたものである。アクチュエータ用基板1は、9つのダイアフラム5が3×3のマトリックス状に配置されており、それぞれに圧電素子6を接着することでユニモルフ構造となっている。また、各ダイアフラムのサイズおよび厚みはすべて同一とし、圧電素子も同じものを用いている。このようにアクチュエータを統一することで、制御系を含めたシステム全体を単純化することができるようになっている。また、カバー用基板とアクチュエータ用基板はバルブ部の構造の説明で述べたように、自由に着脱が可能な構造となっている。
【0018】
一方、カバー用基板2には第一バルブ13、第二バルブ14、第三バルブ15、第四バルブ16の4つのバルブ部およびポンピング部12が形成されている。これらのバルブ部は流路7によってそれぞれポンピング部12に接続されており、各バルブ部には外部との流体の移動をおこなう流体出入口7が形成されている。
【0019】
アクチュエータ用基板1とカバー用基板2は密着させられ、カバー用基板2に形成されたバルブ部およびポンピング部の位置と、アクチュエータ用基板1に形成されたダイアフラム5の位置は、2枚の基板を密着させた際に一致するように配置してある。ただしカバー用基板におけるバルブ部およびポンピング部の総数と、アクチュエータ用基板におけるダイアフラムの総数は必ずしも一致している必要はない。本実施例の場合、カバー用基板におけるバルブ部およびポンピング部の合計は5つであるが、アクチュエータ用基板におけるダイアフラムの総数は9つとなっている。この場合、カバー用基板のバルブ部もしくはポンピング部と対応しない4つのダイアフラムは駆動されないことになる。
【0020】
続いて、この流体システムの動作の一例について説明する。ここでは、第一バルブ部13、第二バルブ部14、第三バルブ部15にそれぞれ別の試薬タンクを接続した。各バルブから順番に一定の割合で試薬をポンピング部12に吸引し、合成や混合をおこなった後に、この試薬を第四バルブ部16から吐出をおこなった。このように流体システムを動作させることによって、図7に示すような流体システムを実現することができた。各バルブから吸引する試薬の量については、ポンピング部12におけるダイアフラムの変位量によって制御することが可能である。
【0021】
また、本流体システムのポンピング部やバルブ部といった要素の配置は、カバー用基板によって決定されており、かつアクチュエータ用基板にはあらかじめ3×3のマトリックス状にアクチュエータが配置されている。このためアクチュエータ用基板を共通に用いてカバー用基板を交換するだけで、最大9つの要素を有した、任意の流体システムを構築することが可能となる。
【0022】
本実施の形態では3×3のマトリックス状のダイアフラムを有するアクチュエータ用基板を用いた流体システムについて説明をおこなったが、もちろん、このダイアフラムの数はいくつにしても構わない。例えば10×10のマトリックス状ダイアフラム有するアクチュエータ用基板を用いれば、最大で100のバルブ部もしくはポンピング部を配置することができ、それだけ複雑な流体システムが実現可能となる。さらにシステム全体の制御を容易にするために、すべてのダイアフラムの形状、大きさ、厚み、アクチュエータの性能を統一してある。
【0023】
この流体システムは、バルブ部、ポンピング部、流路といった構成要素の配置はすべてカバー用基板によって決定されており、かつアクチュエータ用基板にはマトリックス状にアクチュエータが配置してある。また、アクチュエータ用基板とカバー用基板の着脱が可能な構造となっているため、アクチュエータ用基板およびその制御系をひとつ用意しておけば、カバー用基板を取り替えるだけで容易に異なる流体システムを構築することができ、非常に高い汎用性を有している。また、アクチュエータの電気配線や制御系は共通のものを使用することが可能であり、カバー用基板の交換だけですむため、低コスト化も実現できている。
【0024】
さらに、バルブ部、ポンピング部、流路といった構成要素がカバー用基板において一体で形成されているため、各要素間をコネクタを介して接続する必要がなく、漏れや組立誤差といった問題点も解決されている。
【0025】
流体システム内部にパーティクルが混入した際も、カバー用基板をはずして内部の清掃を容易におこなうことが可能である。カバー用基板が劣化した際には交換することができ、アクチュエータ用基板はそのまま継続して使用することが可能である。このように部分的な交換が可能であるため、流体システム全体としての長寿命化もはかることもできた。
[実施の形態2]
本実施の形態では、実施の形態1で説明した3×3のダイアフラムを有するアクチュエータ用基板を用い、カバー用基板を変えることによって、効率の良い混合作用を実現した流体システムの例について説明する。
【0026】
図8は本システムの分解図であるが、カバー用基板は、二つのバルブ部11の中間に第一ポンピング部17と第二ポンピング部18の二つのポンピング部を有している。
【0027】
例えば実施の形態1で説明した流体システムの場合、4つのバルブがすべて閉じた状態では外部との流体の移動が不可能であるため、ポンピング部の駆動をおこなうことができない。そのためポンピング部において効率の良い混合をおこなうことは難しかった。
【0028】
しかし図8に示すシステムのように、ポンピング部を二つ設置してある場合は、流体を吸入した後に二つのバルブ部を閉じ、さらにポンプ部を図9(9−a、9−b)に示すように対称に駆動することによって、ポンピング部の総体積を変えることなく効率的に混合を実現することが可能となる。
【0029】
このように、本発明における流体システムでは、二つのバルブ部の中間にポンピングダイアフラムを二つ設置しておくことによって効率の良い混合デバイスを実現することができる。本実施の形態ではポンピングダイアフラムを二つ設置した例について説明しているが、ポンピングダイアフラムの数は二つ以上であっても同様の効果を得ることができる。また、ポンピングダイアフラムの配置に関しても特に限定されることはなく、複数のポンピングダイアフラムが二つのバルブ部の中間に位置していれば同じ効果を得ることができる。
[実施の形態3]
本実施の形態では、実施の形態1で説明した3×3のダイアフラムを有するアクチュエータ用基板を用い、カバー用基板の1つの凹部に対して複数のアクチュエータが対応している例について説明する。
【0030】
図10はひとつのポンピング部12に対して、4つのダイアフラム5が対応している例である。二枚の基板を密着させることによって、4つのダイアフラム5すべてがポンピング部12によって覆われた構成になっている。
【0031】
このような構造の場合、4つのダイアフラムを二つずつ対称に変位させることによって、実施の形態2で説明した構成と同様に、効率のよい混合をおこなうことができる。
【0032】
また、4つのダイアフラムを同時に同方向に変位させることによって、一回のポンピング動作における流体の移動量を4倍に増やすこともできる。もちろん、1つのポンプ部に対応するダイアフラムの数は4つに限定されるわけではない。
【0033】
このように、1つのポンプ部に対して複数のダイアフラムを対応させることによって、効率の良い混合作業をおこなうだけでなく、1回のポンピングによる流体の移動量を増やすことも可能となる。
[実施の形態4]
本実施の形態では、実施の形態1で説明した3×3のダイアフラムを有するアクチュエータ用基板を用い、カバー用基板を変えることによって、複数の試薬を任意の比率で何度でも混合することが可能であるシステムについて説明する。図1はシステム全体の分解図である。ポンピング部12には流路7によって第一バルブ13、第二バルブ14、第三バルブ15がそれぞれ接続されている。またポンピング部12内部の洗浄をおこなうための第一洗浄バルブ19、第二洗浄バルブ20も同じく流路7によってポンピング部12に接続されている。本実施の形態における流体の移動の様子をあらわした模式図を図11に示す。
【0034】
第一バルブ13および第二バルブ14から吸引された流体はポンピング部12において混合され、第三バルブ15から吐出される。この混合の比率に関しては、第一バルブ13および第二バルブ14からそれぞれ流体を吸入する際のポンピング部12の変位量を制御することによって、任意に設定することが可能である。さらに別の比率で混合をおこなう作業を続ける場合には、まず第一バルブ13、第二バルブ14、第三バルブ15のすべてのバルブを閉じた状態で、第一洗浄バルブ19から第二洗浄バルブ20へ向かって洗浄液を送液しポンピング部12内部の洗浄をおこない、その後で再び第一バルブ13と第二バルブ14からの混合をおこなえばよい。
【0035】
[実施の形態5]
本実施の形態では、アクチュエータ用基板に形成されたダイアフラムに対して、圧電素子によるアクチュエータ部だけでなく、加熱部や冷却部を設置した流体システムについて説明する。
【0036】
本実施の形態で説明をおこなう流体システムは、実施の形態1で説明したものと同様に、着脱可能なアクチュエータ用基板とカバー用基板から構成されている。ここでは、アクチュエータ用基板としてシリコン基板を使用しているが、このシリコン基板には水酸化カリウム水溶液によるエッチングによってダイアフラムが形成されている。このダイアフラムに圧電素子を接着すれば、バルブ動作やポンピング動作をおこなうアクチュエータ部として用いることができるが、圧電素子の代りにヒーターを接着すれば、ダイアフラム部分のみを加熱する加熱部が、ペルチェ素子を接着すればダイアフラム部分を冷却する冷却部が実現できる。特にダイアフラム部分はアクチュエータ用基板の他の部分よりも薄くなっているため、応答性の良い温度コントロールを実現することができる。
【0037】
図12はアクチュエータ用基板を上面から見た図である。アクチュエータ用基板は紙面上で裏面からエッチングがなされており、そのエッチング部分にそれぞれ圧電素子、ヒーター、ペルチェ素子が接着されており、アクチュエータ部、加熱部、冷却部として4×4のマトリックス状に配置してある。これらの各素子はそれぞれコントローラに接続されており、独立して動作させることが可能である。このようなアクチュエータ用基板に対して、例えば図13に示すようなカバー用基板を密着させた場合、図14に示すような流体システムが構築される。
【0038】
アクチュエータ部、加熱部、冷却部といった各要素は、あらかじめアクチュエータ用基板上にマトリックス上に配置されており、使用する要素はすべてカバー用基板の設計によって決定される。そのため、カバー用基板を交換することによって任意の流体システムを構築することが可能である。本実施の形態では、アクチュエータ用基板に配置する要素として、アクチュエータ、ヒーター、クーラーの三つを用いたが、圧力センサや温度センサ、pHセンサ、グルコースセンサなどの各種センサを同様にマトリックス状に配置することももちろん可能である。
【0039】
また、アクチュエータ用基板に、ポンプ部やバルブ部を設けず、ヒーターやクーラーや各種センサなどだけを設置し、流体の搬送はすべて外部からの圧力印加、もしくは高電圧印加による電気泳動によっておこなうことももちろん可能である。
【0040】
本実施の形態で説明した流体システムは、アクチュエータ用基板とカバー用基板の着脱が可能な構造となっているため、アクチュエータ用基板およびその制御系をひとつ用意しておけば、カバー用基板を取り替えるだけで容易に異なる流体システムを構築することができるという特徴を有している。また、アクチュエータの電気配線や制御系に関しても共通のものを使用することが可能であるため、汎用性も高く、低コスト化も実現できている。また、本流体システムの場合、各構成要素がカバー用基板において一体で形成されているため、各要素間をコネクタを介して接続する必要がなく、漏れや位置決めといった問題点が解決されている。
【0041】
さらに流体システム内部にパーティクルが混入した際にカバー用基板をはずし、内部の清掃を容易におこなうことができるという利点も有している。カバー用基板が劣化した際には交換することができ、アクチュエータ用基板はそのまま継続して使用することが可能である。このように部分的な交換が可能であるため、流体システム全体としての長寿命化をはかることもできた。
【0042】
【発明の効果】
本発明の流体システムは、複数のアクチュエータ部、センサー部、ヒーター部、クーラー部といった要素を有したアクチュエータ用基板と、これらの要素を接続するカバー用基板から構成され、着脱可能な構造となっている。このため複数のカバー用基板を用意しておき、必要に応じて交換することによって、異なる機能を有する流体システムが容易に実現することが可能となった。この場合、交換するのはカバー用基板だけでよく、アクチュエータ用基板は共通で使用することができるため、低コスト化も実現されるという効果を有している。またアクチュエータの電気配線や制御系に関しても共通のものを使用することが可能であるため、汎用性も高まった。さらに、流体システム内部に異物が混入した際には、両者を取り外すことによって、内部の洗浄が可能であるという利点も有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流体システムの一例を示す分解図である。
【図2】バルブ部分の構造を示す分解図である。
【図3】バルブ部分の構造を示す断面図である。
【図4】バルブ部分が開いた様子である。
【図5】バルブ部分におけるカバー用基板の一例である。
【図6】4つのバルブ部と1つのポンプ部を有する流体システムである。
【図7】図6のシステムにおける流れの様子を示している。
【図8】二つのポンプ部を有し、この部分で高効率な混合が可能な流体システムである。
【図9】二つのポンプ部において流体が混合される様子である。
【図10】一つのポンプ部に対して4つのアクチュエータが対応している流体システムである。
【図11】図1のシステムにおける流れの様子を示している。
【図12】アクチュエータ部、加熱部、冷却部がマトリックス状に配置されたアクチュエータ用基板である。
【図13】図12におけるアクチュエータ用基板に対して、カバー用基板を密着させ、流体システムを構築した例である。
【図14】図13のシステムにおける流れの様子を示している。
【図15】アクチュエータ用基板とカバー用基板がホルダによって固定される様子を示している。
【符号の説明】
1.アクチュエータ用基板
2.カバー用基板
3.セパレータ
4.流体出入口
5.ダイアフラム
6.圧電素子
7.流路
11.バルブ部
12.ポンピング部
13.第一バルブ
14.第二バルブ
15.第三バルブ
16.第四バルブ
17.第一ポンピング部
18.第二ポンピング部
19.第一洗浄バルブ
20.第二洗浄バルブ
31.アクチュエータ部
32.加熱部
33.冷却部
34.第一入口バルブ
35.第二入口バルブ
36.出口バルブ
37.ホルダ
38.スペーサ
39.ねじ
40.管路

Claims (14)

  1. 少なくとも二つの流体出入口と、前記流体出入口と接続された少なくとも一つの凹部を有する基板Aと、
    前記凹部内の流体に作用する少なくとも一つの能動素子、もしくは前記凹部内の流体の状態を検知する少なくとも一つの受動素子、もしくは前記能動素子および前記受動素子の両方を有する基板Bから構成され、
    前記基板Aと前記基板Bが密着されることにより、前記凹部と前記基板Bの間で閉空間が形成され、
    前記能動素子の作用により前記閉空間内を流体が移動するマイクロ流体システムであって、
    前記基板Aは用途に応じて複数用意され、前記基板Bは共用とされ、前記基板Aが取り替えられることにより、複数の用途に対応することを特徴とするマイクロ流体システム。
  2. 少なくとも二つの流体出入口と、
    前記流体出入口と接続された少なくとも一つの凹部を有する基板Aと、
    前記流体の状態を検知する少なくとも一つの受動素子を有する基板Bから構成され、
    前記基板Aと前記基板Bが密着され、前記凹部と前記基板Bの間で閉空間が形成されることを特徴とするマイクロ流体システム。
  3. 少なくとも二つの流体出入口と、
    前記流体出入口と接続された少なくとも一つの凹部を有する基板Aと、
    前記凹部内の流体に作用する少なくとも一つの能動素子および前記凹部内の流体の状態を検知する少なくとも一つの受動素子を有する基板Bから構成され、
    前記基板Aと前記基板Bが密着され、前記凹部と前記基板Bの間で閉空間が形成されることを特徴とするマイクロ流体システム。
  4. 前記受動素子の少なくとも一つは、圧力センサ、温度センサ、pHセンサ、グルコースセンサのいずれかである請求項2または請求項3に記載のマイクロ流体システム。
  5. 前記受動素子が、前記基板B上において格子状に配置されている請求項2または請求項3に記載のマイクロ流体システム。
  6. 前記基板B上に配置されている前記受動素子が、すべて同じ大きさである請求項2または請求項3に記載のマイクロ流体システム。
  7. 前記能動素子の少なくとも一つは、前記基板B上に形成されたダイアフラムと、前記ダイアフラムを変形させるためのアクチュエータから構成される請求項3に記載のマイクロ流体システム。
  8. 前記能動素子の少なくとも一つは、流体を加熱するヒーターもしくは流体を冷却するクーラーである請求項3に記載のマイクロ流体システム。
  9. 前記能動素子および前記受動素子が、前記基板B上において格子状に配置されている請求項3に記載のマイクロ流体システム。
  10. 前記基板B上に配置されている前記能動素子および前記受動素子が、すべて同じ大きさである請求項3に記載のマイクロ流体システム。
  11. 前記基板Aと前記基板Bは着脱を繰り返しおこなう手段を有し、かつ前記基板Aと前記基板Bの密着時には、前記基板Aと前記基板Bの接触面から流体の漏れを生じない請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のマイクロ流体システム。
  12. 前記基板Aと前記基板Bの着脱を繰り返しおこなう手段は、前記基板Aと前記基板Bの接触面の少なくとも一方が粘着性を有することである請求項11に記載の流体システム。
  13. 前記粘着性を有する構造は、前記基板Aあるいは前記基板Bのいずれかが粘着性を有する材料で構成されているか、あるいは前記基板Aあるいは前記基板Bの少なくとも一方が多層構造であり、かつ、そのうちの少なくとも一層が粘着性を有する材料で構成されている請求項12に記載のマイクロ流体システム。
  14. 前記基板Aと前記基板Bの着脱を繰り返しおこなう手段は、前記基 板Aと前記基板Bの外部に設置された脱着可能なホルダによる機械的な結合である請求項11に記載のマイクロ流体システム。
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